フジロックで平沢進が演奏する……これはひとつの「事件」と言ってもいい出来事だった。 何しろレコード会社ともJASRACとも契約せず、特定の音楽シーンにも属さずに独立独歩で活動し、現在の地位を築き上げてきた「キング・オブ・アウトサイダー」みたいな人である。 その彼がロック・フェスでどんなライブを行ない、人々(ここでは主にファンではない人、の意)はどんな反応をするのかーーP-Modelでデビューしてから40年、ソロ・デビューしてから30年というこの節目の年に実現した僥倖に、どうしたって心ははやる。 驚いた。 ファンであればこの特別なステージをベスト・ポジションで見届けたい思いは同じ。 その抑えきれない興奮は、開演前のテストでライトが光ったり、わずかな音が出たりする度に「おーっ!! ライブは「TOWN-0 PHASE-5」でスタート。 壮麗さをたたえたエレクトロニックなサウンドに乗せて、平沢の朗々とした声が伸びやかに響き渡る。 両脇に伴う会人(ペストマスクを被ったマルチ奏者で、近年の平沢ライブには欠かせない存在)は、今日はいずれもギターを抱えており、平沢と合わせるとトリプルギターになる濃厚な編成だ。 当然、音も普段よりエッジが増大していて、聴衆はまず、サウンドそのもののカッコよさと平沢の歌の力に度肝を抜かれたようだった。
次のPhoto by 平川啓子 2019年、平沢進+会人(EJIN)の〈フジロック〉でのパフォーマンスは、多くの者に衝撃を与える〈事件〉となった。 レーザーハープやテスラコイルといった独特の楽器、マスクをかぶった会人(EJIN)のSSHOとTAZZの出で立ち、そしてなにより、その唯一無二の音楽世界。 現場では生々しい驚きが観客たちを襲ったのであろうことは想像に難くないが、リアルタイム配信の視聴者たちが興奮した感想を投稿し、Twitterのタイムラインを埋め尽くしていたことが忘れがたい。 そして〈フジロック〉の余韻が残る11月、平沢進+会人(EJIN)は、新作『Juice B Crypts』を携えたバトルスの来日ツアー3公演に出演。 事前に平沢が〈〉とツイートしていたことから、〈戦法STS〉と銘打たれたそのパフォーマンスには強い思いが込められていたように感じられた。 新たに迎えたドラマーのユージ・レルレ・カワグチとのパワフルな演奏は平沢ファンの期待を大きく上回り、もちろんバトルスのファンをもあっと驚かせるものだった。 そのように今年一年、音楽ファンの話題をかっさらい続けてきた平沢進にメール・インタビューを行った。 バトルスと彼らの新作について、〈フジロック〉について、そして2020年の2月から4月にかけて大阪と東京で行うライブ〈会然TREK 2K20〉について。 ツアーを共にされたことについてのご感想や印象的なエピソードをお聞かせください。 「東名阪では特にツアーという感覚はなく、日常的にかかる負荷を超えるものではありませんでした。 バトルスにはこちらから挨拶に行こうと思っていましたが、モタモタしているうちに先手を打たれてしまいました。 それもドアをノックするでもなく、声をかけるでもなく、ただドアのところにヌっと巨体が立っているのを発見し、慌ててこちらから駆け寄った次第です。 挨拶バトルではバトルスに一本取られました」• そして、バトルスに〈新しいスタイル〉を感じたとのことですが、その〈新しさ〉について具体的に教えてください。 「ある標準的な演奏フォームをカッコ良しとする伝統的な美意識も新鮮さを失います。 私自身現状でカッコ良いとされるギタリストの姿勢には飽きており、音楽のスタイルと有機的な関係の深いフォームもそろそろ音楽スタイルごと転換期を迎えてもいいのではないかと感じていました。 そこで、ニューウェイヴの興隆と共に長髪から短髪に変わったように、高い位置にギターを構えて新しい音楽スタイルを完成させている人は居ないかと検索をしたところ、ピンポーンと鳴ってバトルスが出てきました。 バトルスの新しさは〈オーガニック・デジタル〉とでも呼べそうなその質感です。 非常に乱暴な言い方をすると、多くの電子的なニュアンスを持つ音楽は、扱う音源単位の整合化を経て得られるトータルな同期感覚が特徴なのに対して、バトルスは音源単位の整理度は低く、あるいは未整理のまま、時間軸に正確に打たれたタグにそれらを配置したという感覚です。 それは意図したニュアンスに加え、時に偶発的なバランスを発生させます。 総論的には同期しており、各論的には誤差や揺れが渦巻いている。 この奇妙な半機械感を横軸に、縦軸に生ドラムが加わるという肉体性。 これがバトルスの新しさです。 それとも未知の音楽と出会った驚きのほうが大きいのでしょうか? ギタリストの音楽とキーボーディストの音楽、その本質的なちがいはなんだと思われますか? 「質問を、ギタリストの打ち込み音楽とキーボーディストの打ち込み音楽の本質的なちがいは? というふうに置き換えてよいなら、どちらも本質的なちがいはそれほどなく、むしろそれぞれの楽器奏者がそれぞれの楽器奏者であることの執着をどれほど捨てられるかによって質感は変わる。 ということでしょうか」 バトルスの2019年のスタジオ・ライブ映像。 バトルスもカワグチさんについても、そういったアティテュードやスタイルに平沢さんは注目されているように思います。 それはなぜなのでしょう? 「昔から私はただ音楽が好きという理由で音楽をやっている人に関心がありません。 音楽に至る動機によって音楽の質は変わるものです。 どんな要求でも正確にこなしてくれるプレイヤーと、背景に音楽以外の何かを感じるがあまり上手ではないミュージシャンのどちらを選ぶかといわれれば、後者です。 常にそうしてきました。 その点ユージ・レルレ・カワグチは良いバランスです」.
次のアンチ・ビストロン 02. SPEED TUBE 03. 排時光 05. それ行け! Halycon 06. Nurse Cafe 07. 脳動説 08. 王道楽土 09. アンチモネシア 10. 庭師KING 11. 帆船108 12. Astro-Ho! Phase-7 13. Big Brother 14. Parallel Kozak 15. フ・ル・ヘッ・ヘッ・ヘッ 16. Black in White 17. パレード 18. Kingdom 19. 救済の技法 20. TOWN-0 PHASE-5 21. Timelineの東 -----------------ボーナストラック 22. Rocket Shoot II 23. ナーシサス次元から来た人 25. 現象の花の秘密 26. 論理空軍 27. パラ・ユニフス 28. スノーブラインド 29. 聖馬蹄形惑星の大詐欺師 30. 白虎野 今作品の音声はドルビーデジタル仕様です。 再生機の「ダイナミックレンジ圧縮」「音声圧縮」「ドルビーデジタル」等の設定で 「圧縮しない」オプションを選択してください。 (グリーンナーブ会員様は送料無料の特典あり) 口座番号:00100-2-369722 加入者名:GREEN NERVE 通信欄:商品名「HYBRID PHONON DVD」、枚数、お届け先、電話番号、グリーンナーブ会員様は4桁の会員番号 ハガキ 下記事項を記載しお送りください、ヤマト運輸の代金引換にて発送いたします。 (送料のほか、別途代引手数料324円がかかります)• 商品名「HYBRID PHONON DVD」• グリーンナーブ会員様は4桁の会員番号• 会員様向け送料無料サービスは終了しました。 PHOTO by Hideki Namai.
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