監督作品。 黄昏のを舞台に、当時の人間模様を活写した大作群像劇である。 原題を意訳すると「 昔々、西部で・・・」となる。 レオーネの代表作であるのみならず、の金字塔として高く評価されている。 この作品から『』、『』までを、それまでの「ドル箱三部作」に対して「 ワンス・アポン・ア・タイム三部作」と呼ぶこともある。 概要 [ ] 『』、『』、『』のいわゆる「ドル箱三部作」を撮影し終えたレオーネは、もう西部劇というジャンルでやりたいことは全てやりつくしてしまった、として新しく禁酒法時代のユダヤ人ギャングを描いた映画(17年後に『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』として結実)を製作しようとしていた。 しかし、がレオーネに期待したのはあくまで従来のでしかなかった。 当初「ドル箱三部作」の配給会社であったは、、たちが出演する映画製作を打診したが、レオーネは気が進まなかったのでその申し出を辞退した。 しかしがが出演する映画製作のオファーを出した時にはそれを受け入れた。 パラマウントが提示した潤沢な製作資金が魅力的であったことの他に、ヘンリー・フォンダがレオーネの敬愛する俳優であったことがレオーネの心を動かしたといわれている。 レオーネは新鋭監督のと当時まだ映画評論家であったに映画の原案を委託した。 彼らはレオーネの自宅で『』や『』といった西部劇の名作を鑑賞しながら、『ウエスタン』のプロットを練ったという。 そのためか『ウエスタン』はこれまでの娯楽性を追求したレオーネの「ドル箱三部作」(いずれも典型的なマカロニ・ウェスタンである)と異なり、登場人物の心境の変化や作品のテーマ性によりフォーカスを当てた構成、いわば伝統的な西部劇スタイルへの回帰が見られるとされる。 「アメリカの良心」を体現してきたヘンリー・フォンダが悪役を演じることに抵抗を感じた観客が多かったアメリカでは、『ウエスタン』は期待されたほどのヒットにはならなかった。 しかしヨーロッパや日本では大ヒットし、それらの国におけるレオーネの評価を更に高めることになった。 にはアメリカの雑誌『』によって映画ベスト100中の1本に選ばれた。 本作を観たジェーン・フォンダは父ヘンリーが極悪非道な殺し屋のボスを演じた事が自分と弟ピーターそして自殺した母たちへの謝罪だと感じ涙を流し一人のファンとしてヘンリーにファンレターを出した。 因みにクラウディア・カルディナーレはジェーンより1歳年下である。 ストーリー [ ] 物語は物寂しい西部のにある駅から始まる。 駅のホームで何者かを待ち受ける屈強な三人のギャングたち。 そこに現れたハーモニカを吹く謎のガンマンはあっというまに三人のギャングを射殺してしまう。 舞台は変わって荒野の一軒屋、そこでは開拓者のブレット・マクベインが再婚相手を迎え入れるための準備をしていた。 しかし突如として現れたならず者フランクとその部下達によってマクベイン一家は皆殺しにされてしまう。 更にフランクは偽の証拠を現場に残すことで事件を山賊のシャイアン一味の仕業に見せかける。 ブレッドの新妻であるジルは夫を殺した男への復讐と、女一人で西部で生きていく決意をする。 実はフランクがマクベイン一家を殺害したのは、マクベイン一家の土地を奪い取ろうとする鉄道王モートンの差し金だった。 事件の真相を探ろうとするシャイアン、フランクを付け狙う「ハーモニカ」は美しい未亡人ジルと彼女の財産を守るために協力しあう。 キャスト [ ] 役名 俳優 日本語吹き替え 版 版 ソフト版 機内上映版 ハーモニカ ジル・マクベイン フランク シャイアン モートン 小林清志 ブレット・マクベイン フランク・ウルフ ストーニー スネイキー サム• 日本テレビ版 - 1979年9月29日『土曜映画劇場』初回放送 14:30〜15:55 演出:、翻訳:佐藤一公、制作:• テレビ朝日版 - 1982年2月21日『』初回放送• ソフト版 演出:、翻訳:、制作:ビデオテック• 機内上映版 - 1970年代のジャンボ機にて上映 テーマ [ ] 『ウエスタン』はレオーネの後期作品群である「ワンス・アポン・ア・タイム三部作」の第一作目に相当する作品である。 三部作の間に話の繋がりは存在しないものの、いずれもレオーネなりに解釈した西部開拓時代から近代社会までのアメリカという共通のテーマを扱っている。 レオーネは当初本作品を自身が監督する最後の西部劇映画だと認識していた。 『ウエスタン』にはレオーネの西部劇への決別の意志と共に、当時全盛期を終え徐々に衰退しつつあったハリウッド製西部劇への愛惜の念が込められているとされる。 作中には実際に過去の西部劇の名作からの引用が多く為されている。 それまでの賞金稼ぎや無法者たちが闊歩する「ドル箱三部作」の世界観と異なり、『ウエスタン』の舞台はフロンティアが消滅しつつあった西部開拓時代末期である。 映画に登場するハーモニカ、フランク、シャイアンの三人のガンマンたちは単純な西部劇の英雄や悪漢ではなく、時代の流れに抗しきれず居場所を奪われた男たちとして描写されている。 本作品では鉄道が彼らに西部開拓時代の終わりを告げる象徴的存在として登場している。 また、『ウエスタン』はそれまで映画中に女性をあまり登場させなかったレオーネが、初めて本格的に女性に焦点を当てた作品でもある。 演じる気丈な未亡人ジルは、それまでの西部劇に多く見られたような悪党に苦しめられ助けを待つか弱い女性ではなく、はっきりと独立した意思を持った物語の中心人物として描かれている。 その他 [ ]• 撮影を終えてから場面ごとに楽曲を追加するという通常の映画撮影の手法と異なり、本作品では撮影前にが作曲した楽曲でイメージを膨らませたレオーネが、そのイメージの通りに映画を撮影するという製作方法が採られた。 ハーモニカを演じたは、かつてレオーネの「ドル箱三部作」の出演を打診されたが断っている。 映画で悪役を演じることに難色を示したヘンリー・フォンダを、レオーネ本人が説得したという。 撮影初日、フォンダは役作りのために彼のトレードマークであった青い眼に茶色のを入れ、更に口鬚を生やしてスタジオに現れた。 レオーネはフォンダの変貌に驚愕、すぐにコンタクトレンズを外すように要請した。 駅のホームでハーモニカを待ち受けるフランク配下の三人のギャングたちを、『続・夕陽のガンマン』の三人の主役(、、)たちが演じるという計画()が有ったという が、イーストウッドが多忙であったため実現しなかった。 まだ無名だった頃のがスタントマンとして映画に登場している。 序盤の駅のシーンで風車の油が切れており、回るたびに鳴っていた音を監督のレオーネはとても気に入っていた。 スタッフが「油を差しましょうか? 」と聞くとレオーネは「差したら撃ち殺すぞ!」と怒鳴りつけたという [ ]。 脚注 [ ] []• 2012年7月5日閲覧。 セルジオ・レオーネ、1984年のインタビューより• 冒頭でストーニーが使っているは、がの監督映画『』で使用したものである。 2018年7月4日閲覧。 Railroad: Revolutionising The West(鉄道の開通と西部開拓時代の終焉を扱ったドキュメンタリー、パラマウント映画版DVD収録)• Something To Do With Death(『ウエスタン』製作の模様を扱ったドキュメンタリー、パラマウント映画版DVD収録)• ヘンリー・フォンダ、1975年のインタビューより 外部リンク [ ] ウィキクォートに に関する引用句集があります。 - (英語)• - (英語)• - (英語)• - (英語)•
次の第1~3作と第5作をが監督し、(当時はリー・リンチェイ)が第1~3作と第6作で主演、第4・5作をが主演している。 が監督を担当した『』、及び監督の『』などと関連はない。 概要 [編集 ] 基本的には、が制作に関わり、(ウォン・フェイホン)を主人公にしたものが正当なシリーズとされている。 主演の映画では黄飛鴻そのものが中心に描かれ、主演の映画では、弟子たちの活躍も同時に描かれるという違いがある。 日本では第2作『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱』(劇場公開題『 ワンス・アポン・ア・タイム 天地大乱』)が第1作『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明』(劇場公開題『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』)よりも先に劇場公開・ビデオリリースされた。 時代的に西洋文化が中国に入り始めた時期であり、純粋な中国の文化しか知らない黄飛鴻らが西洋文化への対応に苦労する(ナイフとフォークを武器と勘違いする、列車が山を突き破って進むと思い込む)など、文学的な娯楽性も高い。 黄飛鴻は実在した人物で、の達人としてのその強さは伝説として語り継がれ、弟子たちはで活躍し、その師匠の名をより大きなものにした。 も『』シリーズで黄飛鴻を演じている。 ジャッキーがコミカルな黄飛鴻を演じたのと対照的に、ジェット・リーは、正義感の強い高潔な武術家を演じている。 梁寛(実際には黄飛鴻に殺された、梅毒で死亡など諸説ある)、林世栄などの弟子たちも当然実在の人物で、『』を監督したや、義弟の『』『』で知られるゴードン・リューことは、直系の弟子にあたる。 なお、同じ黄飛鴻ものでジェット・リーが主演している『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地雄覇』(『ラスト・ヒーロー・イン・チャイナ 烈火風雲』)があるが、監督はで今シリーズとは別物。 シリーズのセルフ・パロディでコメディの要素が強い。 映画の好評により、ツイ・ハーク制作による香港TVMによるTVシリーズも作られ、シリーズ化された。 黄飛鴻役は第4・5作主演のチウ・マンチェク。 TV版ではアクションよりもドラマ性を重視して作られている。 シリーズ代表作 [編集 ] ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地黎明 [編集 ] 公開。 原題:黄飛鴻、英題:Once Upon a Time in China。 日本では1994年10月11日公開。 劇場公開邦題は『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』。 第11回において、最優秀監督賞、最優秀編集賞、、最優秀音楽賞を受賞した。 ストーリー [編集 ] 欧米の侵略に動揺する朝末期。 暴れるアメリカ人や地元のと黄飛鴻が戦う。 シリーズ中、シーンが一番多い。 キャスト [編集 ] 役名 俳優 日本語吹替 版 梁寛 十三姨 牙擦蘇 巖振束 ヤム・サイクン エイ その他 演出 田島荘三 翻訳 久保喜昭 調整 長井利親 担当 吉富孝明 仲田美歩 制作 ニュージャパンフィルム スタッフ [編集 ]• 監督・脚本・製作:• 製作総指揮:• 主題歌:『男兒當自強』• 武術指導:ユエン・チョンヤン、ユエン・シュンイー、ラウ・カーウィン ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地大乱 [編集 ] 公開。 原題:黄飛鴻之二: 男兒當自強、英題:Once Upon a Time in China II。 日本では1993年9月11日公開。 劇場公開邦題は『 ワンス・アポン・ア・タイム 天地大乱』。 第12回、受賞作品。 ストーリー [編集 ] 以前に増して欧米諸国の中国進出が活発化する混迷の時代、「鎮護国家」を建前に過激な排外活動を繰り返して国家掌握を目論む新興教団『』が広州を席巻。 これに「平和な理想国家の樹立」を夢見て地下活動を展開すると革命派、さらに「清朝の威信と安泰」のために両者を危険視する広州警察の三者が睨み合う中、ふとした事で黄飛鴻がその渦中に巻き込まれていく。 ワイヤーアクションを駆使した白蓮教教祖・ 九宮真人(日本語版では字幕、吹き替えとも「クン大師」)との奇想天外なバトルシーンはもとより、同年齢でほぼ同期で過去に共演歴を持ち、しかも本域の武術家であるが広州警察提督・ 蘭(日本語版では字幕、吹き替えとも「ラン提督」)役で助演し、アクション俳優としても武術家としても油の乗り切った当時29歳の両名が繰り出す超絶技巧のカンフーアクション、加えてドニーが作品用に考案した「布棍」 (ふこん。 両方の先端を固く結んだ長尺の布地の一方を持って力の限り硬く絞り込み、布を緩めないようにを利用して扱う事で、、、の特性を兼ね備える)の妙技で話題を呼んだ。 白蓮教の台頭や若き日の孫文の存在など史実を取り入れつつも大胆な映画的解釈に終始し、時代のうねりに飲まれて変貌する祖国の現状に苦悩しながら己の信じる道を切り拓く黄の姿が秀逸で、ストーリー表現とアクション表現の両面でこの第二作をシリーズ最高傑作、並びにジェットとドニー双方の代表作品の1つと評する声が高い。 また、前作『天地黎明』終盤で巖振束が語った「 銃の前には武術は無力」を反映し、銃が通用しない敵を敢えて登場させて対処するなど、プロットの継続性への配慮が成されている。 (リー・リンチェイ)/黄飛鴻 池田秀一• /十三姨 玉川砂記子• モク・シウチン/梁寛• /ラン提督• /クン大師• チャン・ティエリン/ スタッフ [編集 ]• 監督・脚本・製作:• 製作総指揮:• 主題歌:『男兒當自強』(エンディングテーマ)、『男兒當自強』(オープニングテーマ)• ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ 天地争覇 [編集 ] 公開。 原題:黄飛鴻之三: 獅王争覇、英題:Once Upon a Time in China III。 日本では1993年9月27日にで上映され、劇場では未公開。 映画祭公開邦題は『 ワンス・アポン・ア・タイム 天地争覇』。 日本では1999年2月27日公開。 ストーリー [編集 ] のを訪れた黄飛鴻と荒くれガンマンとの対決。 銃をものともしないカンフーの切れが見所。 (リー・リンチェイ)/黄飛鴻 池田秀一• /十三姨• /鬼脚七(チャト)• チャン・クォクボン/ソー• ジェフ・ウルフ/ビリー• パトリック・ロン• /龍剛 スタッフ [編集 ]• 監督、武術指導:• 製作: シリーズ一覧 [編集 ] シリーズ作品(映画)• が黄飛鴻役に。 チウ・マンチェクが黄飛鴻役。 が5年ぶりに復帰(上記)。 シリーズとは別の作品(映画)• 時代考証を無視してまで登場。 パロディ作品。 主人公である父親役に『天地大乱』の敵役の。 TVシリーズ• (1995年、原題:黄飛鴻之少林故事)• (2002年、原題:少年黄飛鴻) 脚注 [編集 ] [].
次のクリント・イーストウッド主演のマカロニ・ウエスタン3部作で世界的ヒットを飛ばした、西部劇の巨匠セルジオ・レオーネ監督の遺作にして超大作 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』。 厳しい境遇の中、一緒に育った幼なじみの仲間。 ギャングになり共に栄光を目指します。 加速する危険な仕事に命を懸け挑んでいくギャング達。 歯止めが利かなくなった彼らの終末とは。 アメリカ公開時には、映画の上映時間を短縮するために制作会社がフィルムをカットし上映したことで波紋を呼んだ問題作。 のちにセルジオ・レオーネ監督自ら編集し3時間越えの完成版を作り上げました。 映画 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』ディレクターズ・カット版を紹介します。 CONTENTS• 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の作品情報 【公開】 1984年(アメリカ映画) *2019年デジタルリマスター版日本公開 【原作】 ハリー・グレイ 【監督】 セルジオ・レオーネ 【キャスト】 ロバート・デ・ニーロ、ジェームズ・ウッズ、エリザベス・マクガバン、トリート・ウィリアムズ、チューズデイ・ウェルド、バート・ヤング、ジョー・ペシ、ウィリアム・フォーサイス、James Hayden、Larry Rapp、ダーラン・フリューゲル 【作品概要】 マカロニ・ウエスタン創始者とも言える巨匠、セルジオ・レオーネ監督の遺作にして上映時間3時間を超える超大作。 幼なじみの仲間がギャングとなり、栄光を目指し駆け上がるも、友情と恋に悩み、裏切りという挫折に苦しむ姿が丁寧に描かれます。 20代から60代まで演じ分けた若かりし頃のロバート・デ・ニーロの演技力にも注目です。 午前十時の映画祭9にて『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』は、デジタル・リマスターのディレクターズ・カット版で上映。 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』のあらすじとネタバレ 寝室に入ってくる女、イヴ。 ベッドには人型に撃ち抜かれた拳銃の痕が残っています。 「男はどこにいる」待ち伏せしていた男たち。 「知らないわ」と答えるも、女は撃たれてしまいます。 追われているのは、デイヴィッド・アーロンソン、通称ヌードルス。 ヌードルスは中国人の経営する怪しいサロンにいました。 薬でラリっているヌードルスの手には新聞記事が握られています。 鳴り響く電話の音が合図かのように記憶に入り込むヌードルス。 3人の男の死体が浮かび上がります。 死体に付けられた名札には、コックアイ、パッツィー、マックスと書かれています。 マックスの死体は焼け焦げ、顔が判別できません。 鳴りやまない電話の音。 電話をかけているのはヌードルス本人でした。 仲間の窃盗を警察に通報する裏切りの電話でした。 目覚めたヌードルスは、住処の店ファット・モーへ戻ります。 待ち伏せする男を殺し、モーを助けたヌードルスは、逃げるために駅のロッカーの金を受け取りに向かいます。 しかしトランクの中身は新聞紙に差し替えられていました。 仲間は皆いなくなったのに、いったい誰が? 謎のまま、行先も決めずバスに乗り込むヌードルス。 もうこの町に戻ることはないでしょう。 それから35年後。 60代となったヌードルスの姿が同じ駅にありました。 ファット・モーの店に向かいます。 「35年間何をしていたんだ?」と聞くモーに、「早寝だよ」と答えるヌードルス。 町に戻った理由は、見覚えのないパーティーの招待状が届いたことでした。 「どこに逃げてもムダだ」と脅され続ける人生に決着をつけるためかもしれません。 誰に呼ばれたのか?当時の金の行方は?幼かった頃の記憶が蘇ります。 モーの店のトイレには倉庫を覗く穴が開いていました。 ヌードルスは、懐かしそうに穴を覗きます。 そこには、幼いころ恋焦がれていた相手、ヌーの妹デボラの踊る姿が見えました。 当時に思いを馳せるヌードルス。 ユダヤ移民の子であるヌードルスと幼なじみのドミニク、コックアイ、パッツィーの4人組は、厳しい境遇の中でも寄り添い懸命に生きていました。 いつものようにスリを企てる4人の前に邪魔をする人物が現れます。 マックスです。 マックスとの出会いは最悪でしたが、次第に意気投合していきます。 頭脳派のマックスと感情派のヌードルスは良いコンビです。 禁酒法施行の時代に酒の密輸法を生み出した5人は、大人相手に金儲けをしていきます。 設けた金の一部は、マックスの提案で、駅のロッカーに共同基金とし常置してありました。 スーツを着こなし、ハンチング帽をかぶり、いっちょ前のギャング気取りです。 そんな5人の前に、町のギャングのトップ、バグジーが現れます。 バグジーは拳銃を振りかざし、命を狙ってきます。 逃げ遅れたドミニクが撃たれました。 目の前で倒れたドミニクを胸にヌードルスは怒りを覚えます。 持っていたナイフでバグジーに襲い掛かり、一心不乱に相手を刺すヌードルス。 ヌードルスは、警察に捕まり刑務所に送られます。 手錠をかけられ車の背に乗り収容されるヌードルスを、マックス、コックアイ、パッツィー、モーが見送ります。 長い回想から現代に戻ります。 ヌードルスは墓地にいました。 目の前に、コックアイ、パッツィー、マックスと記された墓があります。 自分の裏切りで殺してしまった3人に思いを馳せるヌードルス。 そこにはロッカーの鍵が残されていました。 駅のロッカーを開けます。 この町を離れる時、新聞紙に変えられていた中身が、現金に戻っていました。 金を束ねた帯には「次の仕事の前金だ」と記されています。 追われるように金を持ち出し歩くヌードルスは、刑務所を出てからの記憶を辿ります。 刑期は6年でした。 出所したヌードルスを出迎えたのはマックスです。 2人とも青年になっていました。 懐かしいファット・モーの店。 隣には、華やかな社交場が増設されていました。 パーティーが繰り広げられる中、顔を出したヌードルスに、昔の仲間が集まります。 感動の再会です。 幼少期、恋焦がれたデボラも美しい娘へと成長していました。 彼女への愛が再び燃え上がるヌードルス。 しかしハリウッド女優を目指す彼女は、相変わらず彼をかわし続けます。 ヌードルスがいない間、マックス、コックアイ、パッツィーの3人は大きな組織のボスや政界のドンからの依頼も受けるようになっていました。 少年時代、ボスの下で働くのは嫌だと言っていたマックスは、今ではすっかり飼い犬のようでした。 そんなマックスに意見を言うヌードルス。 「一生チンピラでいるつもりか」とマックスも理想と現実との間で揺れていました。 意見の食い違いはあっても幼なじみの絆は強いものでした。 再び楽しい悪ガキ4人組の結成です。 時代は変わりつつありました。 禁酒法が撤去され、ヌードルスたちは次の仕事を探さなければなりません。 マッスクはヌードルスに夢を語ります。 全米一の警備を誇る連邦準備銀行の襲撃です。 「お前と夢を叶えたい」と誘うマックスに「狂ってる」と返すヌードルス。 2人の距離は離れるばかりです。 ヌードルスがいなくても実行するつもりのマックスは、コックアイ、パッツィーと準備を進めます。 危険な犯罪を止めたいヌードルスのもとに、「彼を止めて欲しい」とマックスの愛人キャサリンがやってきます。 事前に捕まれば銀行を襲わずに済む。 「殺されるよりは捕まった方がましよ」キャサリンも覚悟を決めていました。 ファット・モーの店では犯行前夜、パーティーが開かれていました。 記憶は冒頭のシーンに繋がります。 ヌードルスは、イヴにしばらく会えないと伝え、部屋の電話へと向かいます。 受話器を取りダイヤルした場所は、警察でした。 35年の時を経て、届いた招待状と、ロッカーの金と殺人依頼。 謎の正体を突き止めるためヌードルスは、招待されたベイリー財団を訪ねます。 そこで発見したのは、財団のメンバーと共に写真に写っていたデボラの姿でした。 パーティー前夜、ヌードルスはデボラを訪ねます。 デボラは今では女優として大成していました。 「なぜここに?」と質問するデボラにヌードルスは答えます。 理由は2つ。 「ひとつ目は、自分より女優を選んだ結果が見たかった。 君は正しかった。 立派だよ」とデボラに敬意を払うヌードルス。 「ふたつ目は、ベイリー財団からパーティーの招待状をもらったんだ。 君なら何か知っているはずだ」 動揺を隠せないデボラに、ヌードルスはさらに聞きます。 「ベイリー長官は何者なんだ。 君は愛人なんだろ」 デボラは「パーティーには出席しないで帰って」とお願いします。 扉を開け部屋を出たヌードルスは、青年時代のマックスにそっくりな男の子を見ます。 「私の子よ。 デイヴィッド。 あなたと同じ名前よ」デボラの告白に唖然とするヌードルス。 次の日ヌードルスは、デボラの願いも空しく、パーティー会場にやってきます。 そこで再会したのはマックスでした。 マックスは、35年前のヌードルスの裏切りにも気付いていました。 そしてさらにヌードルスをだまし、金もデボラも奪い生きていたのでした。 ベイリー財団の理事長にまで上り詰めたマックスに、命の危険が迫っていました。 他人に殺されるぐらいなら、ヌードルスの手で死にたい。 彼に仕事を依頼した目的でした。 「裏切者を撃ってくれ」と懇願するマックス。 蘇る少年時代の思い出。 ヌードルスは、独り言のようにつぶやきます。 「俺の昔話は単純だ。 友達がいた。 良い友情だった」 パーティー会場を後にするヌードルス。 それを追うようにマックスの姿が見えます。 しかし、2人の間を清掃車が通り過ぎると、マックスの姿は消えていました。 清掃車の後ろでは、ゴミを粉砕する大きな刃が回転し続けていました。 はしゃぐ若者たちがオープンカーで通り過ぎます。 ヌードルスたちの青年時代と姿が重なります。 35年前、警察に通報したあと、中国人の経営するサロンでラリッているヌードルス。 不気味なほどの笑顔を浮かべるのでした。 映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』の感想と評価 幼なじみの仲間がギャングとなり、成長していく数十年の歴史を追った大作映画『 ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』。 主役のヌードルスが、 現在と過去の回想を行ったり来たりする展開で物語は進みます。 普通であれば今どの時代?と迷子になりそうな所を、違和感なく見られるのも、 ロバート・デ・ニーロの演技力の成せる技と言えます。 20代から60代のヌードルスを演じきった、ロバート・デ・ニーロの演技力があったからこそ、実現できた手法だと感じます。 また、物語の前半は幼少期を描いているのですが、 それぞれの子役が素晴らしいです。 中でもヌードルスの初恋の相手、デボラの幼少期を演じた、 ジェニファー・コネリー。 当時14歳だった彼女のダンスシーンはとても魅力的です。 シーンの間をたっぷり取り、静かな音楽で語られるシーンは、 抒情的で詩的、どこか切なさが漂います。 幼い頃から強い絆で結ばれていた仲間同士が、 裏切りによって向かえた結末のむごさに胸が痛みます。 そして、最後のシーンでの、ヌードルスの謎の笑み。 推測でしか語ることは出来ませんが、意味深すぎるラストシーンに ヌードルスのさらなる裏の顔が垣間見えたシーンとなっています。 マフィア・ギャング映画と言えば『ゴッドファーザー』シリーズや、セルジオ・レオーネ監督のファンでもあるタランティーノ作品『レザボア・ドッグス』、日本で言えば『仁義なき戦い』『アウトレイジ』などヤクザ映画と、いつの時代も人気のジャンルです。 アウトローな男たちの裏社会でしか生きられない生い立ちや時代背景、それでも プライドを持ち力強く生きていく姿に、誰もが魅力を感じるからなのでしょう。 まとめ マカロニ・ウエスタン創始者とも言える巨匠、セルジオ・レオーネ監督の遺作にして上映時間3時間を超える超大作映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』を紹介しました。 アウトローな男たちのプライドをかけた戦い、仲間との絆、そして裏切りと、マフィア・ギャング映画の魅力がたっぷり詰まったの映画です。 男も惚れる男たちの痺れるギャング映画、名作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』 おススメです。
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