糖尿病の3大合併症(網膜症、腎症、神経障害)のひとつ糖尿病腎症の検査には血液検査と尿検査があります。 は、このうち血液検査である血清クレアチニンと尿素窒素(BUN)検査を紹介しました。 今回は尿検査であるクレアチニンクリアランスと尿中微量アルブミン検査について詳しく見ていきましょう。 尿中微量アルブミン 尿中微量アルブミンは、糖尿病腎症の初期に尿中に出てくる非常に少ない量のアルブミンを検出する検査です。 アルブミンは生体内のタンパク質の主な成分で、体液の浸透圧を維持し、いろいろな物質の運搬を行う重要な物質です。 糖尿病腎症になって腎臓のろ過機能が低下した状態になると、本来ならば尿中へ排泄されないはずのタンパク質が排泄されてしまいます。 生体内にある多くのタンパク質の中で、アルブミンは分子量が比較的小さいという特徴があります。 そのため、腎臓のろ過機能が低下すると他の分子量の大きなタンパク質よりも早く尿中に出てきます。 ですから、尿中微量アルブミンを検出することで糖尿病腎症の早期発見につながります。 アルブミンの尿中への排泄量は、いろいろな要因によって変動するので、1日 24時間 蓄尿して1日の排泄量を調べるのがベストですが、蓄尿は手間がかかりますので、早朝尿(寝る前に排尿して翌朝起床後最初の尿)や随時尿(尿をしたくなったときにする尿)で検査する場合もあります。 また、糖尿病腎症を疑う場合、1回の検査だけでは判定せず日を変えて数回行い、尿中にアルブミンが持続して出ていることを確認する必要があります。 尿中微量アルブミンには、尿糖と同様にを用いる簡便な定性法と自動分析機を用いて行う定量法があります。 糖尿病腎症の初期においては、アルブミンはごく微量しか尿中に出ないため、尿タンパクは陰性または弱陽性と判定されます。 尿中にアルブミンが1日300mg以上出た尿タンパクが陽性と判定されます。
次の尿アルブミン 尿Alb とは? 血清に含まれる蛋白質は、たくさんありますが、その中でも主となるのが• アルブミン• 通常行われる尿蛋白試験紙では検出できないほどの微量のアルブミンは、 マイクロアルブミン(英語表記で「microalbumin」)とも呼ばれています。 アルブミンが低下するのはどんなとき? アルブミンは肝臓で作られますが、• 肝障害・・・(アルブミンの生産が減少)• 腎障害・・・(アルブミンが流れ出す) などがあると、アルブミンとグロブリン比が低下してしまいます。 尿アルブミンは糖尿病腎症の指標として有用 尿アルブミンの変動は複雑なため、解明されてないことも多くありますが、 (糖尿病の合併症で、知らない間に腎症は進み、進行すると人工透析が必要になる)の指標として特に有用とされています。 関連記事) 尿アルブミンの基準値は? 尿アルブミンの測定は、尿の量による変動があるため、尿クレアチニン(Cr)lgあたりに変換した相対濃度として表現されます。 この尿中アルブミンの基準値を測る検査として、 随時尿と 24時間尿とがあり• また、旭川医科大学において、成人150名を対象とした検査で、• 平均6. 25〜36. 平均5. 32〜19. 尿アルブミンの検査方法は? 定性法と 定量法とがあります。 それぞれ分けて、ご説明します。 定性法 pH指示薬の誤差減少を利用した色素法で、色素を変換することによってアルブミンに対する感度を約10倍までに増強します。 しかし、濃縮の程度により左右されるため、クレアチニンを同時に測定して補正する方法が一般的です。 定量法 アルブミン検査としては、この定量検査が ごく少ない量でも検出できるため有用です。 抗原体反応によって形成される免疫複合体濁度を測定する方法で、尿とラテックス液とをよく混ぜ合わせ、尿中にあるアルブミンがラテックスとつながることによって凝集する仕組みで、アルブミンの量が多ければ、凝集量が増え濁度が増加します。 そこに光を照射し、散乱光・透過光などを検知器で測定することになります。 関連記事) 尿アルブミンが異常な場合に考えられる病気は? 糖尿病の腎症の経過観察の他にも、• 糸球体腎炎• ネフローゼ症候群• ループス腎炎• 腎硬化症• 肝硬変• 慢性肝炎• 肝臓がん• 蛋白質漏出性胃腸炎• 多発性骨髄腫• 悪性腫瘍 などで陽性になることがあります。 特に腎臓の慢性の病気(慢性腎臓病(CKD:chronic kidney disease))を早期に発見できるという点で注目されています。 (日本糖尿病学会 腎臓学会合同委員会による糖尿病腎症の早期診断基準2005より) 参考文献:今日の臨床検査 2011ー2012 P205・206 参考文献:最新 尿検査 その知識と病態の考え方 第2版P50〜53 参考文献:最新 検査のすべてP110 参考文献:新版 検査と数値を知る事典P150 参考文献:よくわかる検査数値の基本としくみP118・119 最後に 尿アルブミンについてまとめました。 カテゴリー• 141• 103•
次のいずれにしても、慢性腎臓病は、早期発見、早期治療が最も肝心です。 慢性腎臓病と診断されたら、まず、その原因をきちんと把握することです。 そして、その原因に応じた対策を講じなければなりません。 例えば、生活習慣病による慢性腎臓病なら、悪い生活習慣や肥満などを改善することが大前提となります。 最後に、腎機能を保ち、透析を回避するための日常生活上のポイントを二つ紹介します。 これは腎臓に負担をかける「腎毒素」となります。 また、腸の機能が悪いと、たんぱく分解もうまくいかず、腎臓の負担になります。 ですから、腎臓の負担を減らすには、腸内環境を整えて、便秘を予防する必要があります。 体を芯しんから温めて血流を促すことが、腎機能の維持・改善につながります。 お勧めは、38~39度のぬるめの湯船に30分つかったり、湯たんぽをおなかやお尻に当てたりして、内臓を温めることです。 そうしたことで、腎血流を増やす効果が期待できます。 発酵食品(納豆や漬物、みそ汁など)や、食物繊維の多い野菜や果物、海藻、キノコ類などを積極的にとりましょう。 ただし、腎機能低下が著しい場合は、カリウムも毒素になるので、カリウムを多く含む野菜や果物は控えてください。
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