ずっと木々のざわめきや風の音を子守歌としてきた。 だからこの静寂の闇に、なかなか寝つけない。 加えて、目を開けるといつもそこにいた殺生丸がいない。 それがさらに不安をかき立てる。 何度も寝返りをうった後、ようやく決心したように起きあがると、りんのために、と用意された部屋をこっそり抜け出す。 殺生丸の部屋から仄かに灯りが漏れてることに安堵し、そっと障子を開ける。 同時に殺生丸が振り向き、りんと目が合う。 せっ……名前を呼ぶつもりが、声ととも息まで呑みこんでしまった。 燭台の僅かに揺れる光が、殺生丸をより幻影的に演出している。 外見は闘いの様相を解き、薄い長着を纏ってる以外、他は何も変わってないのに、初めて見る殺生丸のようだった。 もう見慣れてるはずの金の眸に、胸がどきどきする。 「入るのか、入らんのか?」 呆けたように突っ立ているりんに掛ける言葉は、相変わらず素っ気ない。 でも何故かこっちのほうにほっとする。 じゃれつくように殺生丸の傍らに座ると、安心したような顔を向ける。 殺生丸が、どうした? という表情を見せる。 「このお屋敷とっても静かで、何か変なの。 殺生丸さまも邪見さまもいないし」 「眠れんのか?」 うん、とりんが頷く。 「ここで寝るか?」 さらに大きく頷くと、嬉しそうに殺生丸の夜具にくるまる。 上掛けを顎の所まで引き上げ目を閉じるが、またすぐに開き、殺生丸を見る。 えへへ、と笑うとまた目を閉じ、再び同じような仕草をする。 そんなことが何度か繰り返されるうちに、すうすうと穏やかな寝息が聞こえてきた。 なんともおかしな話だが、実は殺生丸も奇妙な違和感に囚われていて、りんと同様、寝つけないでいた。 いみじくも、りんがその 理由 わけを言ってくれたわけだ。 同じ空間に、邪見はともかく、りんがいることで妙な違和感は正され、全てが元に戻る。 そんな感じだった。 その夜から、また以前のように、当たり前のように殺生丸とりんは、側で寝るようになった。 ただちょっと違うのは、その距離が少し縮まったことくらいである。 ある夜、りんは殺生丸の寝所に来なかった。 続けて数日、やはり来なかった。 さすがにもう、この屋敷にも夜の静けさにも慣れたのだろう。 一抹の寂しさは感じるものの、それもよかろうと思った。 だが、またひょっこりやって来た。 そしておやすみなさい、と言って夜具にくるまるのは、今までと同じである。 ひとつだけ、殺生丸と目を合わせないことを除けば。 何だ? 眉根を寄せりんに問おうとして、はっとする。 匂いが若干変わっている。 初めての血の流れに、 乳母 めのとあたりからその意味を聞き、多少は恥じらいも出てきたのだろう。 だが、男の寝所に赴く意味に関しては、まだ無垢である。 無邪気なものだ。 殺生丸は苦笑いする。 身体は大人に向けて萌芽したものの、まだまだ心は稚い。 そうして再び、月に数日あけてまた一緒に寝る、という新しい習慣が始まった。 今夜もりんは、血の忌み日を終え、殺生丸の夜具に嬉しそうにくるまっている。 しかし、このところ殺生丸は息苦しさを感じていた。 特に今夜のように、数日あけて来た夜は、また僅かにりんの匂いが変わっている。 少しずつ、濃く、女への芳香が増している。 近くにありすぎて気づかなかった。 静かな寝息とともに上下する胸は、いつしか優しい曲線を描き、仔犬のようにコロコロとしていた手足はしなやかに、野生の子鹿を思わせる。 つと、頬に乱れた一筋の髪を耳の後ろにかき上げ、艶やかな黒髪にその手を埋めた。 ひとの子とは、なんと早く成長するものか。 あとひと時を刻めば、りんはまさに大輪の花を咲かすであろう。 幼子から少女へ芽吹き、女へと息吹く瑞々しい 時季 とき。 黒髪に埋もれていた手は頬を撫で、唇に止まる。 男の欲望を知らぬ無垢な唇が、殺生丸を誘うが如く微かに開く。 一瞬、息が止まる。 あまりに純真ゆえ、それが男をどれほどそそるか、りんは知らない。 無邪気さゆえの残酷。 突然、内なるところから、熱い塊が湧き出でる。 同時に、冷酷で凶暴な思いが頭を過ぎる。 この無垢な魂を、己の欲望で穢したい。 愛欲の渦に溺れさせたい。 上掛けをはずすと、りんの夜着の紐を解いた。 薄衣は音もなくりんの身体を滑り落ち、白い裸体が露わになる。 その瞬間、殺生丸は自分が間違いを犯したことに気づいた。 欲望の渦に巻き込まれるのは、己の方かもしれぬ……。 肌に感じた冷気に、りんは目を覚ました。 いつの間にか夜着がはだけている。 慌てて襟を正そうとした手が押さえられた。 驚いて顔を上げると、そこに殺生丸の顔があった。 掴まれていた手が身体の両脇に下ろされる。 視線が再び露わになった胸に注がれた。 まるで焼き印を押すかのような視線。 そしてそれは徐々に下に移り、薄い繁みに止まる。 全身がかっと熱くなる。 胸の先端が固くなり、腿の奥に痺れるような感覚が走り、思わず脚を縮める。 りんの身体の変化に気づいた殺生丸は、りんの顔に視線を戻し、顎に手を添える。 頬を長い髪が滑り、殺生丸の唇がおりてきた。 あっ……何か発しようとした声を、殺生丸の唇が封じ込めた。 逸れようとする唇を、さらに深く唇を重ね、逃がさない。 りんの唇の隅々まで探り、やがて舌で輪郭をなぞる。 唇の合わせ目に舌を這わせると、開くように促す。 すでに抵抗も思考も奪われていたりんは、促されるまま殺生丸の舌を受け入れる。 少し冷んやりとした舌が、りんの舌を掠める。 躊躇いがちに舌先を合わせると、殺生丸の舌は大胆に絡め取る。 息が苦しくなるほど深く、親密にまさぐられ、思わずりんの口から甘い吐息が漏れる。 ようやくりんから離れると、りんの唇は艶めかしく濡れて、腫れていた。 殺生丸の眼は熱く、熱を帯びている。 そして妖しく光っていた。 ああ……ずっと昔、こんな眼を見たことがある。 あの時は蝋燭のせいだとばかり思っていたけど。 りんとて無知ではない。 初潮を迎えたときから折にふれ、男の褥に添うことが、何を意味するかは聞かされていた。 ただ今までは言葉で理解するだけで、本当の意味など分かりもしなかった。 殺生丸さまはずっとりんを待っていてくれたんだ。 切ないほどの想いが、りんの胸に込み上げる。 体を起こすと、肩から夜着を滑らせる。 そしてその手は、今度は殺生丸の紐を解いた。 やはり始めるべきではなかった。 だがそう思った時はすでに遅かった。 殺生丸の下半身は痛いくらいに張りつめ、高ぶっていた。 上体を起こしたままのりんは、躊躇いながらも着実に殺生丸を追い詰める。 嘗て誰かに、これほどまで追い詰められたことがあっただろか……。 りんは、殺生丸がしたと同じように、自分の唇を合わせる。 屈み込んだりんの胸先が、殺生丸の胸を掠める。 りんの唇を受けながら、殺生丸は喉の奥で唸る。 「だめだ、りん……」 殺生丸は身体を反転させ、りんを組み敷く。 限界はすぐそこまできていたが、ここで屈するわけにはいかない。 再び主導権を取り返すと、りんの胸を口に含む。 舌で執拗に転がし、軽く歯をたてる。 「い……や……」 懇願するような、すすり泣きのような声が漏れる。 だが殺生丸は容赦しなかった。 もう片方の胸に唇を移すと、同じように責め続けた。 やがて胸から離れた唇は、手も加わってりんの全身を愛撫する。 経験したことのない、信じられない快楽の波が、絶え間なくりんを襲う。 息をするのが精一杯で、声すら出ない。 殺生丸の唇は、徐々に脚の付け根に迫り、繁みに達する。 殺生丸の熱い息を感じ、りんがはっとした次の瞬間、強烈な快感が全身を貫いた。 唇で愛撫され、苛まれ、舌が花芯を捉えたときは、今度こそ悲鳴を上げた。 己の欲望など、もうどうでもよかった。 今あるのは、りんに真の歓びを与えたいという思いだけだった。 唇をりんの唇に戻す。 激流に翻弄され続けていたりんは、流されまいと必死に殺生丸の首に両手を巻きつける。 りんの背中を優しく愛撫し、そっと両手を外す。 もう一度りんを仰向けにすると、指を秘めやかな部分に這わせる。 余韻が残っている秘所はまだ熱く潤っていた。 再び火をつけるように、指先を巧みに動かす。 引き始めていた快楽が、新たにきた波に呑まれ、さらに大きくなって戻ってくる。 身体の芯がぎゅっと掴まれたような疼きに耐えきれず、背中を弓なりに反らし、殺生丸の身体の下で小刻みに震え、強ばる。 次々と押し寄せる大きなうねりを、身体は解放したがっている。 だが、その先にある未知の感情に怯え、りんの心がそれを阻んでいた。 高みが近づくにつれ、噛みしめる唇から喘ぎが漏れる。 「力を抜け」 怖くて、ぎゅっと目をつむったのは一瞬だった。 唇が重ねられた刹那、身体の奥で何かがはじけ、頭の中が真っ白になった。 官能の彼方から戻ったとき、肩に薄衣がかけられ、殺生丸の腕の中にいた。 「殺生丸さま……」 りんのけだるい声に、満たされないままに終わった身体が強ばる。 代わりにりんを抱く腕に力を込めた。 りんの中に己を埋めたいと思わないでもなかったが、まだ青い身体はそれを全力で拒絶するだろう。 ようやく歓びを知った身体に、苦痛を与えるのは酷というものだ。 確かに身体は欲求不満に陥っていたが、他に己を解放する術なら知っている。 だが、それをりんに求めるのは難しい。 りんがすっと腕の中からすり抜け、下にさがる。 「何をする……!」 殺生丸はりんを押し止める。 りんはどうしようもない羞恥を、精一杯の勇気で押さえつけ、殺生丸に目をやる。 「りんだって知ってる。 男の人も女の人と同じだって教えてもらったから……。 だから、りんも殺生丸さまがしてくれたことと、同じことをしたいの」 りんにそんな入れ知恵をした奴を、叩き斬ってやりたかったが、それ以上思考は止まってしまった。 りんの細い指に、疼いてる部分を優しく擦られた。 全身の血液がその一点を目指し、流れ込む。 りん……とてつもない快感に声が掠れる。 まるで拷問だ。 だがそれ以上の拷問が、さらに待ち受けていた。 温かく湿ったものの中に含まれた。 ぎこちない手と舌に目が眩みそうになる。 殺生丸は思わずりんの髪を掴む。 いまだかつて、誰も殺生丸を支配したものはいなかった。 今、何よりも弱き存在であるりんの前に、殺生丸は屈しそうだった。 殺生丸は力の加減も忘れ、ぐいとりんを組み敷いた。 もう自制はきかなかった。 りんの身体の全てに唇を這わせ、熱い刻印の軌跡を残す。 りんも無我夢中でそれに応えた。 高まりがついに限界を迎えようとしたとき、殺生丸は一気にりんの中に押し入った。 苦痛の声を漏らすりんを、唇で塞ぐ。 太古の昔より続く、力強い律動でりんを貫く。 求めても、与えられても、尽きることのない渇望。 あまりにも罪深い快楽の激流の中に、殺生丸は我が身を投じるしかなかった。 ただ、溺れるのみ。
次のずっと木々のざわめきや風の音を子守歌としてきた。 だからこの静寂の闇に、なかなか寝つけない。 加えて、目を開けるといつもそこにいた殺生丸がいない。 それがさらに不安をかき立てる。 何度も寝返りをうった後、ようやく決心したように起きあがると、りんのために、と用意された部屋をこっそり抜け出す。 殺生丸の部屋から仄かに灯りが漏れてることに安堵し、そっと障子を開ける。 同時に殺生丸が振り向き、りんと目が合う。 せっ……名前を呼ぶつもりが、声ととも息まで呑みこんでしまった。 燭台の僅かに揺れる光が、殺生丸をより幻影的に演出している。 外見は闘いの様相を解き、薄い長着を纏ってる以外、他は何も変わってないのに、初めて見る殺生丸のようだった。 もう見慣れてるはずの金の眸に、胸がどきどきする。 「入るのか、入らんのか?」 呆けたように突っ立ているりんに掛ける言葉は、相変わらず素っ気ない。 でも何故かこっちのほうにほっとする。 じゃれつくように殺生丸の傍らに座ると、安心したような顔を向ける。 殺生丸が、どうした? という表情を見せる。 「このお屋敷とっても静かで、何か変なの。 殺生丸さまも邪見さまもいないし」 「眠れんのか?」 うん、とりんが頷く。 「ここで寝るか?」 さらに大きく頷くと、嬉しそうに殺生丸の夜具にくるまる。 上掛けを顎の所まで引き上げ目を閉じるが、またすぐに開き、殺生丸を見る。 えへへ、と笑うとまた目を閉じ、再び同じような仕草をする。 そんなことが何度か繰り返されるうちに、すうすうと穏やかな寝息が聞こえてきた。 なんともおかしな話だが、実は殺生丸も奇妙な違和感に囚われていて、りんと同様、寝つけないでいた。 いみじくも、りんがその 理由 わけを言ってくれたわけだ。 同じ空間に、邪見はともかく、りんがいることで妙な違和感は正され、全てが元に戻る。 そんな感じだった。 その夜から、また以前のように、当たり前のように殺生丸とりんは、側で寝るようになった。 ただちょっと違うのは、その距離が少し縮まったことくらいである。 ある夜、りんは殺生丸の寝所に来なかった。 続けて数日、やはり来なかった。 さすがにもう、この屋敷にも夜の静けさにも慣れたのだろう。 一抹の寂しさは感じるものの、それもよかろうと思った。 だが、またひょっこりやって来た。 そしておやすみなさい、と言って夜具にくるまるのは、今までと同じである。 ひとつだけ、殺生丸と目を合わせないことを除けば。 何だ? 眉根を寄せりんに問おうとして、はっとする。 匂いが若干変わっている。 初めての血の流れに、 乳母 めのとあたりからその意味を聞き、多少は恥じらいも出てきたのだろう。 だが、男の寝所に赴く意味に関しては、まだ無垢である。 無邪気なものだ。 殺生丸は苦笑いする。 身体は大人に向けて萌芽したものの、まだまだ心は稚い。 そうして再び、月に数日あけてまた一緒に寝る、という新しい習慣が始まった。 今夜もりんは、血の忌み日を終え、殺生丸の夜具に嬉しそうにくるまっている。 しかし、このところ殺生丸は息苦しさを感じていた。 特に今夜のように、数日あけて来た夜は、また僅かにりんの匂いが変わっている。 少しずつ、濃く、女への芳香が増している。 近くにありすぎて気づかなかった。 静かな寝息とともに上下する胸は、いつしか優しい曲線を描き、仔犬のようにコロコロとしていた手足はしなやかに、野生の子鹿を思わせる。 つと、頬に乱れた一筋の髪を耳の後ろにかき上げ、艶やかな黒髪にその手を埋めた。 ひとの子とは、なんと早く成長するものか。 あとひと時を刻めば、りんはまさに大輪の花を咲かすであろう。 幼子から少女へ芽吹き、女へと息吹く瑞々しい 時季 とき。 黒髪に埋もれていた手は頬を撫で、唇に止まる。 男の欲望を知らぬ無垢な唇が、殺生丸を誘うが如く微かに開く。 一瞬、息が止まる。 あまりに純真ゆえ、それが男をどれほどそそるか、りんは知らない。 無邪気さゆえの残酷。 突然、内なるところから、熱い塊が湧き出でる。 同時に、冷酷で凶暴な思いが頭を過ぎる。 この無垢な魂を、己の欲望で穢したい。 愛欲の渦に溺れさせたい。 上掛けをはずすと、りんの夜着の紐を解いた。 薄衣は音もなくりんの身体を滑り落ち、白い裸体が露わになる。 その瞬間、殺生丸は自分が間違いを犯したことに気づいた。 欲望の渦に巻き込まれるのは、己の方かもしれぬ……。 肌に感じた冷気に、りんは目を覚ました。 いつの間にか夜着がはだけている。 慌てて襟を正そうとした手が押さえられた。 驚いて顔を上げると、そこに殺生丸の顔があった。 掴まれていた手が身体の両脇に下ろされる。 視線が再び露わになった胸に注がれた。 まるで焼き印を押すかのような視線。 そしてそれは徐々に下に移り、薄い繁みに止まる。 全身がかっと熱くなる。 胸の先端が固くなり、腿の奥に痺れるような感覚が走り、思わず脚を縮める。 りんの身体の変化に気づいた殺生丸は、りんの顔に視線を戻し、顎に手を添える。 頬を長い髪が滑り、殺生丸の唇がおりてきた。 あっ……何か発しようとした声を、殺生丸の唇が封じ込めた。 逸れようとする唇を、さらに深く唇を重ね、逃がさない。 りんの唇の隅々まで探り、やがて舌で輪郭をなぞる。 唇の合わせ目に舌を這わせると、開くように促す。 すでに抵抗も思考も奪われていたりんは、促されるまま殺生丸の舌を受け入れる。 少し冷んやりとした舌が、りんの舌を掠める。 躊躇いがちに舌先を合わせると、殺生丸の舌は大胆に絡め取る。 息が苦しくなるほど深く、親密にまさぐられ、思わずりんの口から甘い吐息が漏れる。 ようやくりんから離れると、りんの唇は艶めかしく濡れて、腫れていた。 殺生丸の眼は熱く、熱を帯びている。 そして妖しく光っていた。 ああ……ずっと昔、こんな眼を見たことがある。 あの時は蝋燭のせいだとばかり思っていたけど。 りんとて無知ではない。 初潮を迎えたときから折にふれ、男の褥に添うことが、何を意味するかは聞かされていた。 ただ今までは言葉で理解するだけで、本当の意味など分かりもしなかった。 殺生丸さまはずっとりんを待っていてくれたんだ。 切ないほどの想いが、りんの胸に込み上げる。 体を起こすと、肩から夜着を滑らせる。 そしてその手は、今度は殺生丸の紐を解いた。 やはり始めるべきではなかった。 だがそう思った時はすでに遅かった。 殺生丸の下半身は痛いくらいに張りつめ、高ぶっていた。 上体を起こしたままのりんは、躊躇いながらも着実に殺生丸を追い詰める。 嘗て誰かに、これほどまで追い詰められたことがあっただろか……。 りんは、殺生丸がしたと同じように、自分の唇を合わせる。 屈み込んだりんの胸先が、殺生丸の胸を掠める。 りんの唇を受けながら、殺生丸は喉の奥で唸る。 「だめだ、りん……」 殺生丸は身体を反転させ、りんを組み敷く。 限界はすぐそこまできていたが、ここで屈するわけにはいかない。 再び主導権を取り返すと、りんの胸を口に含む。 舌で執拗に転がし、軽く歯をたてる。 「い……や……」 懇願するような、すすり泣きのような声が漏れる。 だが殺生丸は容赦しなかった。 もう片方の胸に唇を移すと、同じように責め続けた。 やがて胸から離れた唇は、手も加わってりんの全身を愛撫する。 経験したことのない、信じられない快楽の波が、絶え間なくりんを襲う。 息をするのが精一杯で、声すら出ない。 殺生丸の唇は、徐々に脚の付け根に迫り、繁みに達する。 殺生丸の熱い息を感じ、りんがはっとした次の瞬間、強烈な快感が全身を貫いた。 唇で愛撫され、苛まれ、舌が花芯を捉えたときは、今度こそ悲鳴を上げた。 己の欲望など、もうどうでもよかった。 今あるのは、りんに真の歓びを与えたいという思いだけだった。 唇をりんの唇に戻す。 激流に翻弄され続けていたりんは、流されまいと必死に殺生丸の首に両手を巻きつける。 りんの背中を優しく愛撫し、そっと両手を外す。 もう一度りんを仰向けにすると、指を秘めやかな部分に這わせる。 余韻が残っている秘所はまだ熱く潤っていた。 再び火をつけるように、指先を巧みに動かす。 引き始めていた快楽が、新たにきた波に呑まれ、さらに大きくなって戻ってくる。 身体の芯がぎゅっと掴まれたような疼きに耐えきれず、背中を弓なりに反らし、殺生丸の身体の下で小刻みに震え、強ばる。 次々と押し寄せる大きなうねりを、身体は解放したがっている。 だが、その先にある未知の感情に怯え、りんの心がそれを阻んでいた。 高みが近づくにつれ、噛みしめる唇から喘ぎが漏れる。 「力を抜け」 怖くて、ぎゅっと目をつむったのは一瞬だった。 唇が重ねられた刹那、身体の奥で何かがはじけ、頭の中が真っ白になった。 官能の彼方から戻ったとき、肩に薄衣がかけられ、殺生丸の腕の中にいた。 「殺生丸さま……」 りんのけだるい声に、満たされないままに終わった身体が強ばる。 代わりにりんを抱く腕に力を込めた。 りんの中に己を埋めたいと思わないでもなかったが、まだ青い身体はそれを全力で拒絶するだろう。 ようやく歓びを知った身体に、苦痛を与えるのは酷というものだ。 確かに身体は欲求不満に陥っていたが、他に己を解放する術なら知っている。 だが、それをりんに求めるのは難しい。 りんがすっと腕の中からすり抜け、下にさがる。 「何をする……!」 殺生丸はりんを押し止める。 りんはどうしようもない羞恥を、精一杯の勇気で押さえつけ、殺生丸に目をやる。 「りんだって知ってる。 男の人も女の人と同じだって教えてもらったから……。 だから、りんも殺生丸さまがしてくれたことと、同じことをしたいの」 りんにそんな入れ知恵をした奴を、叩き斬ってやりたかったが、それ以上思考は止まってしまった。 りんの細い指に、疼いてる部分を優しく擦られた。 全身の血液がその一点を目指し、流れ込む。 りん……とてつもない快感に声が掠れる。 まるで拷問だ。 だがそれ以上の拷問が、さらに待ち受けていた。 温かく湿ったものの中に含まれた。 ぎこちない手と舌に目が眩みそうになる。 殺生丸は思わずりんの髪を掴む。 いまだかつて、誰も殺生丸を支配したものはいなかった。 今、何よりも弱き存在であるりんの前に、殺生丸は屈しそうだった。 殺生丸は力の加減も忘れ、ぐいとりんを組み敷いた。 もう自制はきかなかった。 りんの身体の全てに唇を這わせ、熱い刻印の軌跡を残す。 りんも無我夢中でそれに応えた。 高まりがついに限界を迎えようとしたとき、殺生丸は一気にりんの中に押し入った。 苦痛の声を漏らすりんを、唇で塞ぐ。 太古の昔より続く、力強い律動でりんを貫く。 求めても、与えられても、尽きることのない渇望。 あまりにも罪深い快楽の激流の中に、殺生丸は我が身を投じるしかなかった。 ただ、溺れるのみ。
次の秋の空 『 犬夜叉 』のワイド版を読みながら、二次創作も同時に読んで凄く不思議だったことが。 なんで二次では りんの方が殺生丸に恋をして、色々アプローチかけている話が多いの? なんで二次の りんって書き手さんが違うのに同じような雰囲気のキャピキャピした娘になっているの? りんが殺生丸に恋している……は、まぁ、二次創作特有の願望込みの妄想話なんでありがちだから 不思議とは言えないかもしれませんが、二次のりんの性格・雰囲気は原作りんとかけ離れている、 しかもかけ離れ方が書き手が違うのに同じ方向に離れているのは何故か? すごく不思議でした。 でもアニメを見て納得しました。 二次創作のりんってアニメ版りんの影響だったのですねぇ……。 アニメのりんは、原作りんの部分とアニメオリジナルの部分がちくはぐで正直苦手です。 だって アニメのりんて……、ぶっちゃけ性格悪いじゃないですか。 邪見を踏んづけて蔑ろに したり、毒舌だったり、何より一番違和感を感じたのはやたら殺生丸に好きですアピールを するところでしょうか。 言っとくけど原作のりんは、殺生丸に意味なく甘えたり、じゃれついたりなんか絶対にしない 子なんですよ。 と言うか必要な事以外話しかけたりもしないんじゃないかと思うぐらい微妙 な距離感があります。 りんからすれば殺生丸は見える所に居てくれたら良い、それ以上は 何も望んでいなさそうです。 優しくしてくれれば嬉しいけど、自分からは求めない。 無欲すぎて 読んでいて、ちょっとりんが可哀想に思えてくる事もあります。 当然原作のりんが殺生丸を異性として意識して恋をしているなんて描写、原作を何度読んでも 一切出てこないんですよねー。 良い意味で原作りんの女子力は低い。 少女と言うより性差がまだ 分かりづらい幼児って感じですからね。 おまけに神楽のことを「 あの人、殺生丸さまのことが好き なんだよ 」と神楽が聞いたら恥ずかしさで憤怒しそうなことを本人( 殺生丸 )の前でさらっと 言ったり、傍観者っぽい感じすら漂わせている原作りんさん。 最近原作りんは大きくなったら『 境界のRinne 』の真宮桜に似た女の子になるんじゃないかと 思っています。 あの動じなさと冷静さ……、それでいて性格はあくまで親切で優しいところが よく似ている気がするのです。 しかし真宮桜はるーみっく史上、最強の難攻不落系ヒロインと言われりんねも彼女の気持ちが 分からず、一人でやきもきしたり、落ち込んだりと振り回されっぱなし……。 りんねも一途は一途 なんですが、すべては父親が原因なのか、本人の無自覚なヒモ体質( 父の血 )が悪いのか。 何にしても原作りん相手では殺生丸も自分の元に帰ってきてもらうには相当苦労しそうな気が します。 着物を届けても一言か二言ぐらいしか喋れなさそうだし、邪見が必死にフォローしてそう。 殺生丸が知りたがっているだろう質問を予想してりんに聞いてそうですが、たまに的外れな質問 をして足蹴にされてそうです。 「 ご自分でお聞きください! 」と心の中で叫んでそうな邪見。 殺生丸自身もアニメと原作では別人ですけどね。 原作の殺生丸はりんに対してデレを見せる事も 優しい言葉をかけたりする事もないのですが、りんが知らない所で彼女のために結構頑張ってます よね。 ただ、自分の沽券に関わる事や父親が残した刀関連ではりんのこと忘れて放置して飛んで いってしまうことが多いのも事実……。 犬夜叉が桔梗のことになるとかごめを置いていっちゃうの同じように、殺生丸も父の刀関連の 話になるとりんを放置して危ない目に合わせてるので、思慕は思慕のままで、りんは殺生丸以外 の男性とくっついた方が幸せになるのかも? と思ったりもする事もありますが、爆砕牙が手に入った ので大丈夫なのかな? もー犬夜叉・殺生丸兄弟はよく分かりません。 弥勒の方が結婚相手と して考えたらこの兄弟より断然頼りになるのは分かりますがね。 楓の元にりんを残すとき、嫌がるの見越してりんが寝ている間に置いて行ったんじゃない かと思っています。 だからりんはそこまでして人里に残されたのなら殺生丸から「 行くぞ 」と 言わない限りお願いしても無理なんだと思って3年間一度も「 一緒に連れて行って下さい 」 と言ってないんだろうなー。 殺生丸と邪見からすれば予想外のことかもしれません。 一年目は( あれ? 言わない ? )と 疑問に感じて、 二年目は困惑、 三年目が動揺だと思います。 りんが年頃になるにつれて訪問回数が増えるんじゃないかと。 で、訪れるたびに目で催促して いるのにりんには通じず……。 邪見やかごめは毎回ハラハラしながら見守っているんだと思います。 無事めでたく殺生丸の意図がりんに通じて戻って来ても、なんで今まで言わなかったのか? 問い詰めてきそうな気がします。 なんて言うか犬夜叉といい、殺生丸も面倒くさい性格だと 思います。 自分から気持ちを言わないけど、りんからは言って欲しい、そんな奴だと思います。
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