「ハムストリング」とは太もも裏にある「大腿二頭筋(だいたいにとうきん)」「半腱様筋(はんけんようきん)」「半膜様筋(はんまくようきん)」といった筋肉群の総称です。 複数形で「ハムストリングス」とも呼ばれます。 筋肉の名称は基本的に漢字表記ですが、この部位だけカタカナ語のハムストリングで定着しているのには理由があります。 昔はハム作りの際この部位を、もも肉(ハム)を吊るす紐(ストリング)として使っていたから。 豚ハム用のストリング=「ハムストリング」なのです。 ちなみにヨーロッパでハムがさかんに作られるようになったのは12~13世紀のこと。 また、紀元前2800年ごろの中国では既に豚の加工肉が作られ始めており、その名も「ハン」と呼ばれていました。 これがヨーロッパへ伝わり「ハム」になったという説もあります。 ハムストリングは大きく、パワーのある筋肉なので、鍛えた効果が目に見えて分かることが特徴です。 走力や瞬発力に差が出てくるので、アスリートならとりわけ強化しておきたい部位です。 サッカーやバスケットのトッププレーヤーたちの肉体を注意して見てください。 がっちりした太ももに対して、すっきりしたふくらはぎの選手が目立つかと思います。 もちろん、皆さんふくらはぎのトレーニングもしっかり行っているのですが、より重点を置いているのはパワーのあるハムストリングや大腿四頭筋、バランスをつかさどる体幹なのです。 特にハムストリングは大臀筋とともに走る動作をつかさどっているため、アスリートだけでなくすべての人にとって大切な部位です。 また、ハムストリングは股関節の動きにも関与しています。 速く走るためには、大きなストライド(歩幅)が必要になってきます。 陸上100m、200mで五輪三連覇を果たしたウサイン・ボルトのストライドは2. 44m。 ボルトは196cmと身長にも恵まれていますが、ハムストリングの柔軟性がなければやはり2m半に迫るストライドは実現しません。 身体機能だけでなく、美しいルックスにもハムストリングは寄与してくれます。 ハムストリングを鍛えれば、男性ならたくましい太ももを、女性なら引き締まった脚のラインを実現できます。 陸上はもとより、野球、サッカー、バスケット、テニスなど多くの球技に役立てることができます。 ハムストリングを鍛えるメニューの多くは、お尻の大臀筋も併せて刺激できるように設計されています。 ハムストリングに集中しているつもりでも、知らず知らずのうちにお尻の引き締め、ヒップアップもできているのです。 がっしりと、あるいは引き締まった理想のシルエットを手に入れてください。 鍛えれば筋肉量を比較的簡単にアップさせることができます。 筋肉量が増すと基礎代謝も上がるので、ダイエットしやすい身体になるのです。 約束に遅れそうになってダッシュした、運動会で久しぶりに走った…そんな場面で鍛えられていない太ももの筋肉が急激な負荷を受け、肉離れを起こしてしまうのです。 肉離れの要因となるのは、筋力の弱さ、柔軟性の乏しさ、バランスの悪さ(他の部位に比べ筋力に差のある状態)。 下半身を鍛えるメニューで、ハムストリングを中心に複数の部位を鍛えることで、突然の肉離れを予防することができるのです。 「筋トレの王道」としてよく知られている下半身のトレーニングメニューです。 ハムストリングを含めた複数の部位を同時に鍛えることができ、かつ自重でも、ダンベルやトレーニングチューブを使って負荷を変えることもできるため、積極的に用いられています。 ポピュラーなメニューである一方、正しいやり方をよく確かめずに続けた結果、腰痛を招いてしまうというケースもあります。 以下の4ポイントに気をつけてスクワットを行いましょう。 ・足は肩幅に開く。 ・つま先を正面に向ける(外股、内股にならない)。 ・膝を曲げることより、腰を落とすことに意識を向ける。 ・曲げた膝が、つま先より先に出ない。 ・しゃがむ時に息を吸い、戻す時に息を吐く。 自重で簡単にこなせるようになったら、ダンベルやチューブを使って、さらにジムで行うフルスクワット(14. で解説)と徐々にステップアップするとよいでしょう。 最初にご紹介した普通のスクワットで十分ハムストリングを鍛えることが可能です。 ワイドスクワットは「もしも」の時に試してみてほしい方法です。 スクワットにまつわるネガティブなウワサに「太ももの前側だけが大きくなってしまう」というものがあります。 太ももの前側にある大腿四頭筋という部位をスクワットで鍛えられることができるのですが、この大腿四頭筋だけが肥大しすぎて、足のシルエットが不恰好になることを心配する方が少なくないのです。 実際のところ、大腿四頭筋が発達しすぎてアンバランスになるためには、アスリート顔負けのハードなトレーニングが必要です。 しかし、女性の方はやはりボディラインが気になってしまうようです。 もしも、その点が心配でしたらワイドスクワットを試してみてください。 ・肩幅よりやや広く足を置く。 ・つま先を少し外側に開く。 この2点だけ変えてスクワットすると、大腿四頭筋よりハムストリング側に刺激を与えることができるのです。 脊柱起立筋、いわゆる背筋を中心に鍛えるメニューですが、足を上げる動作が含まれるのでハムストリング全体のトレーニングにもなります。 背中側全体のシルエットを整えたい方はぜひチャレンジしてください。 方法は体育の授業で行った、いわゆる背筋運動とほぼ同じ。 授業ではパートナーに足を固定してもらい、上体だけ起こしていったかと思いますが、ここでご紹介するのは同時に足を上げていく方法です。 うつぶせになり、両手を頭の上で組んだら、息を吐きながらゆっくり頭、胸、足を上げていきます。 胸が床から離れるくらいまで上げたら静止。 息を吸いながらゆっくり戻します。 筋肉の緊張を維持しながら、スローに行うのが主眼なので、極端なエビ反りの姿勢になる必要はありません。 ここまでご紹介した1~4のメニューがハードに感じる方、筋トレ休養日だけど軽めのメニューはしておきたい方におすすめです。 あおむけの姿勢で寝ころんででき、とっつきやすいのが特徴です。 膝を立ててあおむけになりましょう。 足は肩幅程度に開きます。 肩甲骨の下あたりから、腰を持ち上げます。 腰は真上に突き上げ過ぎず、背中、腰、膝までが一直線になるようにします。 この時、お尻を引き締めて持ち上げることを意識しましょう。 お尻から太ももにかけて緊張している感覚が伝わってきたら筋肉に効いている証拠です。 持ち上げてから一度静止、床すれすれまで腰を落としてからまた持ち上げます。 一度床についてしまうと筋肉の緊張が解けてしまうので「寸止め」にして次の動作に入るのがポイントです。 同じくバランスボールを使ったメニューです。 グルートブリッジとは逆に、両足を揃えて、かかとをバランスボールに乗せます。 あおむけになって身体をまっすぐ伸ばし、ふくらはぎから腰までが浮いている状態にします。 腕は両脇に置いてバランスをとります。 このポジションから膝を曲げて、バランスボールを手前に引き寄せましょう。 自然と背中まで持ち上がってくるはずです。 うまくバランスボールが転がらない時は、かかとからつま先までボールを表面をすべらせるイメージで。 ただし、ボールの移動よりも、深く膝を曲げてハムストリングを刺激することが目的です。 膝の角度を意識しましょう。 バリエーションとして片足だけで行うこともできます。 使わない方の足はまっすぐ伸ばしてください。 「レッグプレスマシン」を用いて行います。 足の曲げ伸ばしという動作はスクワットと同じですが、腰への負担が少ないのが特長です。 ハムストリング、大腿四頭筋を中心に下半身を広く鍛えられるので、ジム初心者におすすめされることの多いメニューです。 反動を使わず、息を吐きながらゆっくり踏み込み、吸いながらゆっくり戻していきます。 ポイントはウエイトが落ちる寸前で止めて、次の動作に移ること。 ウエイトが一度戻ってしまうと筋肉の緊張がゆるみ、効果が減ってしまいます。 通常はパネルの中央付近に足を乗せますが、上側に置くと角度が変わり、ハムストリング中心に攻めることができます。 レッグエクステンション同様、引き締めだけにとどめたいなら、軽いウエイトで回数を重視していきましょう。 バーベルを使って行う最高強度のスクワットです。 設備の整ったジムで行います。 ウエイトを肩にかけて立ちます。 足は肩幅。 つま先はやや外側に開きます。 ポイントは胸を張ること。 肩甲骨を閉じるように意識すると自然に胸を張った姿勢になります。 腰を落としていきます。 スクワットの基本に従い、膝がつま先より出ないところまで曲げます。 立ち上がって次の動作に入る時、膝を伸ばし切らないようにするのもポイント。 膝がまっすぐに伸びると骨格でウエイトを支えてしまうため、ハムストリングへの負荷が減ってしまいます。 ウエイトはジムのトレーナーと相談し、適切な重さを選んでください。 フルスクワット初心者の方は、始める前に鏡でフォームをチェックしてみましょう。 丸まらず、反りすぎず、腰をまっすぐキープするのが大切です。 ウエイトを使うのでつい腰痛のリスクを心配してしまうかもしれませんが、正しいフォームで行えば、腰や膝への負担はさほど大きくないメニューです。 ハムストリングは肉離れのケガが多い部位です。 肉離れは一度経験すると再発しやすくなるので注意が必要です。 肉離れが起こりやすいのは、ハムストリングの柔軟性が失われている時。 トレーニング不足の状態や、血行のよくない冬場に発生しがちです。 予防のためにはしっかりストレッチを行いましょう。 もうひとつの要因が疲労。 筋肉に疲れがたまっていると、いつもと同じ強度でもケガの起こる可能性があります。 「トレーニングは3日に一度」と決めている人でも、筋肉痛の残り方や疲労感に注意し、疲れがたまっているようなら軽めのストレッチだけで済ませましょう。 疲労回復には適切な栄養摂取も欠かせません。 サプリも使いながら、タンパク質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく補給しておきましょう。 ・ハムストリングは大きく、パワーのある筋肉なので、鍛えた効果が目に見えて分かります。 ・身体の表面近くにある筋肉などで、鍛えることでボディラインを整えることができます。 ・ハムストリングは大きな筋肉なので、鍛えることで基礎代謝を上げやすくなります。 ・スクワット、レッグランジといったメニューは、ダンベル、トレーニングチューブを使うことでより強度を上げることができます。 ジムに通わず、より効果的にトレーニングしたい方におすすめです。 バランスボールやストレッチポールも汎用性が高く、ハムストリングや体幹に使える器具です。 ・ヒップリフト、ハムストリングカールは片足で行えば負荷が増し、体幹のトレーニングにもなります。 ・ハムストリングは肉離れを起こしやすい部位。 疲労をためないよう注意し、事前によくストレッチを行いましょう。
次のby むう この記事では、見事脚痩せに成功した人がやっていた、効果的な筋トレ方法を紹介していきます。 1といえば、やっぱり太ももですよね。 太ももを細くしたいなら、太ももの前側ではなく内側(以下内もも)と裏側の筋肉(以下裏もも)を鍛えることが重要! 内ももと裏ももを重点的に鍛えて、脚を細くする筋トレを紹介していきます。 これにより、お尻の位置がきゅっと上がり、ヒップラインも引き締められスッキリさせることができます。 ポイント• つま先に体重をかけるとふくらはぎを鍛えてしまうため、かかとに重心をもってくる• お尻を上げようとするあまり、腰や背中を反らさないようにする 絵にもあるように、頭から肩と足に体重がかかりますが、足側の体重をつま先にかけてしまうと、ふくらはぎが太くなってしまいます。 足はかかとに体重をかけるようにしましょう。 体の反動を使わずにお尻の筋肉に力を入れて、お尻の筋肉だけで持ち上げます。 この時、お尻を高く上げようとして背中や腰を反らさないように。 背中から腰を反らすと、腰を痛める原因になります。 さらに仕上げのマッサージに加えて1日1200kcalのカロリー制限を行うことで、4ヶ月で-9kgのダイエットに成功しました。 5センチと、想像以上に数字に現れていたのでびっくりしました。 by いずみず 「3日筋トレして1日休み」というサイクルで3週間。 また、この記事を書いたライターは、腕立て伏せと平行して行い、ストレッチやリンパマッサージも行なっていました。 さらに歩き方や立ち方を見直し、重心を後ろにかけ、ひざ下を使って歩くなど徹底しています。 太ももだけでなくふくらはぎやお尻にも効果があった相撲スクワット。 まずは30回やってみて、「筋肉に効く感覚」を実感してみてはいかがでしょうか。
次の太ももの筋肉基礎知識 太ももは体の中でも 特に大きな筋肉があるパーツです。 ただ、大きな筋肉が1つあるわけではなく、いくつもの筋肉が集まってできています。 太ももの筋肉って? 太ももの筋肉は、大きく分けると 「大腿四頭筋 だいたいしとうきん 」と 「ハムストリング」の2つがあります。 大腿四頭筋は太ももの前側の筋肉、ハムストリングは太ももの裏側の筋肉です。 その他にも、内側に位置する 内転筋や 内側広筋、外側に位置する 外側広筋などがあります。 美しい太もものために必要なのは、太ももの裏の筋肉! すらりと伸びた 美しい太ももをつくるカギとなるのが、太ももの裏側にあるハムストリングです。 スポーツ選手の太ももを想像してみてください。 少しオーバーですが、大腿四頭筋を鍛えるとぐっと前に張り出すように、太ももの前側が強化されていきます。 モデルとして活躍する人の太ももはどうでしょうか。 横から見ると、太ももの裏側からヒップにかけてきゅっと引き締まっていますよね。 大腿四頭筋のように張り出してはいません。 ハムストリングを鍛えると、あんな感じで太ももを細く見せてくれます。 太ももを引き締めたいときは太ももの前ではなく裏側の筋肉、つまりハムストリングを意識することがポイントなのです! 太ももの裏の筋トレ6選 ここからは具体的にハムストリングを鍛えるトレーニング方法をご紹介していきます! できそうなものから普段のトレーニングに取り入れてみましょう。 ヒップブリッジ 負荷を高めたい場合は、バランスクッションに足をのせましょう。 初心者はなくてもOK! 【HOW TO】 1.両手を肩幅に広げて床につきます。 足は腰幅に開き、お尻を持ち上げて三角の形をつくります。 2.片足を、膝を曲げた状態で天井へ持ち上げます。 3.目線を前に向けながら、上げた足を胸元に引き寄せます。 4.足を上げ、2の状態に戻ります。 ・肘は常に伸ばした状態をキープしましょう。 脂肪燃焼には有酸素運動 ここまでご紹介した筋トレは、筋肉に負荷をかけて強化するトレーニングです。 脂肪の燃焼量をアップさせるには「有酸素運動」が必要です。 太もも裏の引き締め効果だけでなく、ダイエット効果も得たい!という人には、次のトレーニングもおすすめです。 シザーズジャンプ 【HOW TO】 1.足を肩幅くらいに開いて立ちます。 両手は前へ伸ばします。 2.真上にジャンプしながら片足を前に、もう片方の足を後ろに下げます。 3.ジャンプしながら左右の足を前後に入れ替えます。 柔らかい動きを意識しましょう。 ・前後の足幅が広いほど運動の強度がアップします。 編集部からヒトコト 太ももは大きな筋肉である分、筋トレでは効果が出やすい部分、引き締めやすい部分、と言い換えることもできます。 ハムストリングを構成しているのは、主に 「大腿二頭筋(だいたいにとうきん)」「半腱様筋(はんけんようきん)」「半膜様筋(はんまくようきん)」の3つです。 大腿二頭筋 ハムストリングの外側にある筋肉です。 名前の通り、2つパーツからできています。 一つは太ももの縦に大きく伸びている「大腿二頭筋長頭(だいたいにとうきんちょうとう)」。 もう一つはそれよりもやや外側から内側へと伸びている短い筋肉「大腿二頭筋短頭(だいたいにとうきんたんとう)」です。 この2つを合わせて「大腿二頭筋」と呼びます。 半腱様筋 ハムストリングの内側にある筋肉です。 大腿二頭筋長頭と同じスタート地点(坐骨結節)から、太もも内側に向かって大きく縦に伸びています。 半膜様筋 ハムストリングの内側を縦に走っている筋肉です。 半腱様筋に覆われているのが特徴です。 これらを合わせて「ハムストリング」と呼び、鍛えることで太もものシェイプアップ効果が期待できます。 ハムストリングの役割は? 太ももを細く見せるのに重要なハムストリング。 主な役割は、 股関節の動きをスムーズにすることです。 また、膝の裏側を両サイドから支え、 曲げ伸ばしを補助する働きも。 骨盤の位置を正常に保つ働きもしています。 かがむ、立ち上がる、歩く、走る、まっすぐ立つなど、普段の何気ない動きや姿勢をサポートしてくれているのです。 ぐっと力を込めて体を支える大腿四頭筋は 「ブレーキ筋」と呼ばれます。 対してハムストリングは、体を前方に進める動作に優れていることから 「アクセル筋」と呼ばれています。
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