むちうち症の典型的な症状 むちうち症(頸椎捻挫)になったときの典型的な症状をご紹介します。 よくある症状 以下のような症状が多いです。 首の疼痛• 肩や後頭部、肩甲骨周辺の疼痛• 肩や背中のコリ• 腕や手の疼痛、しびれ感、筋力の弱化• 首の可動域の制限(回旋運動、上下運動をしにくくなる) バレ・リュー症候群になった場合 頸椎を損傷した場合の中でも、交感神経に異常が生じ「バレ・リュー症候群」となった場合には、以下のような症状も出ることがあります。 頭痛、頭重感• めまい• 耳鳴り、難聴• 眼精疲労、視力障害、流涙• 首の違和感• 摩擦音• 疲れやすい• 血圧低下 交通事故後、上記のような症状が出てきたら「頸椎捻挫」や「バレ・リュー症候群」ではないかと疑ってください。 むちうち症の治療方法 むちうち症(頸椎捻挫)になったときの治療方法は基本的に保存療法であり、外科手術は行いません。 以下のような方法が有効です。 受傷直後は首を動かさずに固定 受傷直後は、なるべく首を動かさずに固定します。 「ネックカラー」という固定具を装着するケースもあります。 薬剤の投与 痛みが強い場合には消炎剤や鎮痛剤を投与したり、シップを貼って対応したりすることがあります。 筋肉が緊張している場合には筋弛緩剤、被害者が精神的に不安定になっているケースでは精神安定剤が処方される例もみられます。 注射 痛みが特に強いケースや、損傷が交感神経に及んでいるバレ・リュー症候群の場合などには、局所的に注射をすることで症状を抑えることもあります。 バレ・リュー症候群に有効とされる注射は「星状神経節ブロック」と呼ばれる神経ブロック注射です。 温熱療法 患部を温めて血行をよくすることにより、症状の改善を目指します。 運動療法、牽引 症状が落ち着いてきたら、頸部を動かして運動療法をしたり、頸部を引っ張る牽引を行ったりしてリハビリを実施します。 マッサージ、鍼灸 症状が慢性的になってくると、整骨院や接骨院におけるマッサージや手技療法、鍼灸などによって改善を目指すケースもあります。 むちうち症になったときの注意点 交通事故でむちうち症(頸椎捻挫)となったときには、以下のようなことに注意が必要です。 すぐには症状が出ないことがある むちうち症(頸椎捻挫)となった場合、受傷直後は症状が出ないことが多いです。 受傷後2~3日が経過してから痛みやしびれを自覚するケースもあります。 そこで 追突事故などに遭って首に衝撃を受けたら、自覚症状がなくても一度病院に行き、受診しておくべきです。 受診時に異常を確認できず、その後も症状が出なければそのままにして良いですし、もしも数日が経過して症状が出てきたら、継続的に通院して治療を受ける必要があります。 事故後、通院しないで放置すると、後にむち打ち症の辛い症状が出てきても、治療費も慰謝料も支払われず後遺障害認定も受けられなくなります。 頸椎損傷になった可能性があるならば、交通事故直後 その日か翌日中 に整形外科に行くことが大切です。 通院期間が長くなりやすい むちうち症には、通院期間が長くなりやすい問題があります。 一般的に通院中の治療費は加害者の保険会社が負担するので被害者が窓口で直接払いしなくて良いことが多いのですが、治療期間が長びくと相手が治療費支払いを打ち切ってくることがあります。 治療費を打ち切られたとしても、治療が必要な状態であれば通院をやめてはいけません。 自分の健康保険を使ったりして通院治療を継続しましょう。 MRI画像などで証明できないケースがある 交通事故でむちうち症となり治療を受けても完治しなければ、後遺障害認定を受けられます。 しかしむちうちの場合、 MRIやレントゲンなどの画像によって症状を証明できないケースが多いです。 すると、症状があるかどうか定かではないとして後遺障害に「非該当」とされてしまい、慰謝料や逸失利益を支払ってもらえません。 画像によって証明できない場合には、自覚症状に合致する症状を推定させることで「14級」の後遺障害認定を受けられる可能性がありますが、そのためには立証に工夫が必要となります。 頸椎損傷の分類 頸椎捻挫は頸椎に損傷を受ける「頸椎損傷」の1種ですが、頸椎損傷にはいくつかの分類があるので、確認しましょう。 軽度の「頚椎捻転」 頸椎捻挫が軽度な場合には「頚椎捻転」と診断されることもあります。 頸椎捻転とは、頸椎周辺の組織が一瞬衝撃を受けてねじれたり引き延ばされたりしても、すぐに元の状態に戻り、組織が損傷せずに炎症だけが残った状態です。 症状は頸椎捻挫と同様、首や肩の痛み、肩こりなどですが、炎症が落ち着いたら症状が治まるので、治癒が早く後遺障害も残りにくいです。 一般的な「頸椎捻挫」 交通事故でむちうち症となったときにもっとも多い「頸椎捻挫」は、外部からの衝撃によって頚椎周辺の筋肉やじん帯などの軟体組織が損傷を受けてしまう症状です。 炎症のみならず組織が損傷を受けているので、頸椎捻転と異なります。 MRIなどの画像によって他覚的所見を確認できるケースと確認できないケースがあります。 どちらの場合にも、治療を施しても完治せず、後遺障害が残る可能性のある症状です。 神経が損傷を受ける「根症状型」 頸椎損傷の中でも、損傷が神経に及ぶと「根症状型」あるいは「神経根障害」となります。 頸椎は7つの骨が積み重なってできていますが、これらの骨が交通事故で衝撃を受けると元の位置からずれてしまうことがあります。 すると、頸椎の中を走っている神経が圧迫されたり引き伸ばされたりして、損傷を受け、根症状型の頸椎損傷となります。 神経が損傷すると、正常な神経伝達が阻害されるので、さまざまな症状が出ます。 症状の一例• 首や手足の痛みや痺れ• 筋力の低下• だるさ• 後頭部の痛み• 顔面痛 これらの症状は、咳やくしゃみ、首を横に曲げる・回す、首や肩を引っ張った時に強まる傾向があります。 損傷が神経にまで及ぶケースでは、完治させることが難しく、後遺障害も残りやすいです。 交換神経に影響が及ぶ「バレ・リユー症候群」 頸椎が損傷を受けたとき「バレ・リュー症候群」(後部交感神経症候群)となるケースがあります。 フランスの医師であるバレー(Barre)とその門下であるリユウー(Lieou)が症例を報告したので、この名称がついています。 バレ・リュー症候群の原因は、頸椎の損傷が「交感神経」に及んでいることです。 症状は「根症状型」に似ていますが、交感神経に損傷を受けるので、症状が全身に広がりやすいのが特徴です。 交感神経は自律神経の一種であり、血液やリンパ液の循環や体温管理などの人間の基本的な生体反応や働きを司っています。 ダメージを受けると、耳鳴りや難聴、不眠や全身の倦怠感など、頸椎の損傷とは一見直接関係のなさそうな症状が出ることが多く、目のかすみや流涙、動悸や発汗などもみられます。 診断や治療が難しい症状ですが、交感神経をブロックする「星状神経節ブロック」という注射が有効なケースもあります。 バレ・リュー症候群が疑われるなら一度「ペインクリニック」を受診して相談してみると良いでしょう。 最も重い症状が出る脊髄損傷型 もはや頸椎捻挫とはかけ離れた症状となりますが、損傷が中枢神経にまで及ぶ「脊髄損傷型」の症例があります。 脊髄は脳から背骨に続く中枢神経であり、脊椎(背骨)の中の脊髄腔を通っています。 中枢神経は全身の運動神経や感覚神経を司っているので、頸椎損傷が中枢神経まで及ぶと、手足の麻痺や知覚障害、歩行障害などが起こります。 膀胱や直腸の障害が起こり、排便・排尿に支障をきたすケースも多いです。 ただ、交通事故の通常の頸椎捻挫やむちうちで、ここまでの症状となることはレアです。 むちうち症(頸椎捻挫)で通院するときの注意点 以下では、むち打ち症で後遺障害認定を受けるために必要な注意点を示していきます。 症状の証明方法 頸椎捻挫で後遺障害認定を受けるには、後遺障害に該当する症状を証明することが重要です。 以下で、症状の証明方法のポイントを示します。 まずはMRI画像による証明を目指す 交通事故の後遺障害認定における調査では、「画像」が非常に重要視されています。 被害者の自覚症状は被害者がいくらでも自由に主張することができますが、画像は被害者がコントロールできるものではなく、「嘘をつかない」からです。 画像によって症状を立証できれば、そのまま後遺障害認定を受けられる可能性が高まります。 むちうちの場合、損傷を受けるのは軟部組織です。 これらの損傷を写せるのはMRIなので、事故直後から精度の高いMRIによる画像診断を受けておくことが重要です。 MRI検査機器にはさまざまな精度のものがあり、当然精度が高い方が、症状を把握しやすいです。 旧来式の機器では0. 5テスラですが、新しいものだと3テスラにもなります。 もしも古いMRI検査機器で他覚所見を得られなかったら、新しいMRI検査機器を導入している医療機関を受診して検査を受け直すのも1つの方法です。 神経学的検査による立証 MRI画像による立証が難しい場合には、「神経学的検査」による症状の立証を目指しましょう。 神経学的検査とは、運動能力や知覚などを測る検査方法です。 むちうちの場合には、以下のような神経学的検査方法が有効です。 ジャクソンテスト• スパークリングテスト• 筋萎縮検査• 腱反射検査• 握力テスト• 筋電図• 徒手筋力検査 ジャクソンテストやスパークリングテストは、頭を痛みのある側に傾けたり後屈させたりして痛みを誘発するテスト、腱反射テストはゴムハンマーで反射が正常に起こるかどうか確認するテストです。 またMRI画像によって他覚所見を確認できる場合でも、補足的に上記のような検査結果を提出することが有効です。 12級を目指す場合にも14級を目指す場合にも、むちうちで後遺障害認定を受けたいならば神経学的検査を必ず受けましょう。 自覚症状は一貫性を持つこと むちうちでは、自覚症状の内容も重要です。 問題になりやすいのは、受傷後から症状固定までの間に主張内容がコロコロ変わるパターンです。 当初は「首が痛い」と言っていたのに「腕や手が痛い」に変わったり「首を動かしにくい」に変わったり、「肩こりがひどい」に変わったりすると、「本当に交通事故のむちうちの症状か?」が疑わしくなります。 確かにむちうちではいろいろな症状が出るので、一貫した主張につながらなくなることもありますが、そういった事情を斟酌してもらうのは難しいので、自分で説明方法を工夫する必要があります。 また、画像診断がある場合にも、画像によって確認できる他覚所見と痛みなどの自覚症状の内容が一致していないと問題があります。 「その症状は交通事故と無関係では無いか?」と思われてしまうからです。 そこで、むちうちで後遺障害認定を受けるには、 一貫した症状の説明を心がけること、あまりその場の思いつきで次々に訴える症状を変えないことが大切です。 継続的に治療を受けること むちうちで後遺障害認定を受けるには、継続的に治療を受けることも大切です。 症状が慢性的になってくると、治療を受けるのをやめてしまう方がおられますし、たまにしか通院しなくなるケースもあります。 しかしそのような対応をしていると、「もはや完治しているのではないか」と思われて後遺障害認定を受けにくくなります。 痛みやしびれなどの症状が続いているのであれば、医師が「症状固定」と判断するまで真面目に通院を続けましょう。 整骨院への通院について むちうちの場合、整骨院へ通院するケースもあります。 しかし、整骨院は病院ではないので、治療や診断、投薬や検査を受けることができません。 交通事故後に整骨院にしか通っていない場合、後遺障害認定は絶望的となります。 そこで、交通事故で頸椎に損傷を受けたなら、必ず整形外科(病院)に行き、治療と検査を受けましょう。 その上で、症状が慢性的になってきたら、医師と相談の上整骨院への通院を検討すべきです。 交通事故でむちうち症になったら弁護士に相談しよう 交通事故でむちうち症になったとき、後遺障害認定を受けるにはいくつものハードルがあります。 乗り越えるには専門家である弁護士によるサポートを受けることが大切です。 弁護士に依頼すると、自分で対応するよりも後遺障害認定を受けやすくなりますし、示談交渉の際には「弁護士基準」が適用されるので、賠償金が全体的にアップします。 弁護士には、交通事故直後の段階から継続的に相談しておくと、さまざまな場面に適切に対応できて、有利になりやすいものです。 追突事故などで頸椎に衝撃を受けたら、むちうち症が疑われるのですぐに病院を受診し、その後どのように対応すべきか弁護士に相談しましょう。 都道府県から交通事故に強いを探す 北海道・東北地方 |||||| 関東 |||||| 北陸・甲信越 ||||| 東海 ||| 関西 ||||| 中国・四国 |||||||| 九州 |||||||.
次のContents• 捻挫とは何か? 簡単に言えば、関節が捻られて損傷、つまりケガをした状態です。 関節は、靭帯(じんたい)、関節包(かんせつほう)などによって安定しています。 多少の外力が加わったとしても、動ける範囲以上には動きません。 靭帯とは、関節がそれ以上動かないように骨と骨をつないでいる紐(ひも)のようなものです。 関節包とは、関節を包む袋のことです。 図1、図 2 のように、足は靭帯によって安定しています。 ただし、ここでは足首捻挫に関係する靭帯だけを載せています。 そして、動ける範囲を超える外力が加わった時、靭帯や関節包、関節周囲の細胞が壊れます。 細胞内の液体が細胞外に溢れ、 毛細血管が傷つき、血液が血管外に流れ出します。 そうなると、今までと違った部分に細胞内液や血液が溢れ出します。 それが、 腫れる、内出血(皮下出血)もしくは関節内血腫 (関節の中に血が入る)となります。 こうなると炎症反応が起こり、 腫れて、熱を持ち、赤くなったり、青くなります。 炎症反応については、捻挫の症状で説明 させていただきます。 捻挫の症状 ( 腫れ、熱、赤くなる、内出血) 先程お伝えした通り、足関節周囲の細胞、血管が損傷を受け、 通常と違う場所に細胞内液や血液が溢れ出すことで、腫れが起こります。 そして、血管の外に血液が流れ込むので、 体表から血液が見えて内出血(皮下出血、青たん)が確認できます。 内出血は、時間とともに重力により下方向(地面の方向)に移動し、 青色から黄色に変化し消失します。 また、壊れた組織を修復する為、体に炎症反応が起こります。 炎症反応 炎症反応について簡単に説明すると• 発赤(赤くなる)• 発熱(熱が出る)• 腫脹(はれる)• 疼痛(痛い)• 機能障害(動かない) と言われています。 足首を捻ると、赤くなり、熱が出て、腫れて、痛くて、動かせません。 このような状態になるのは、身体が壊れた組織を治そうとしているからです。 このような反応が起こらなければ、身体は壊れた組織を治すことができません。 ですから、炎症反応が起こることは悪いことではありません。 ただ、炎症反応が起こるから痛い訳ではありません。 実は、 腫れて、皮下出血があっても、痛みなく動くことは可能です。 では、次に病院へ行くべき捻挫について説明させていただきます。 すぐ病院に行くべき捻挫 すぐに病院へ行くべき捻挫は、• 靭帯完全断裂 がある捻挫です。 骨折があれば、固定し、松葉杖での生活となります。 脱臼では、骨折や靭帯断裂があれば、 手術などで整復(せいふく)し、リハビリとなります。 靭帯完全断裂で、安定性が失われていれば、 手術により靭帯を再建し、リハビリとなります。 また、病院では足首捻挫を「足関節靭帯損傷」として捉え、 靭帯がどれくらい傷ついているかを重要視します。 靭帯がどれくらい傷ついているかを、 専門的には靭帯 損傷の程度として1度から3度で表わします。 靭帯損傷の程度 1 度(捻挫) :靭帯の一過性の伸長のみで断裂はない (靭帯は切れていない) 2 度(部分断裂) :靭帯の一部が部分的に断裂 (靭帯が部分的に切れている) 3 度(完全断裂) :靭帯が完全に断裂 (靭帯が完全に切れている) 3度の完全断裂でも、図1,2で示した全ての靭帯が切れているということではありません。 1本の靭帯に対しての評価です。 そして、病院では 「1度、2 度の靭帯損傷は保存的治療で特に問題なく治癒するの で、 足関節靭帯損傷の診断で重要なことは、 3度の損傷があるかないかを見分けることである」 (『整形外科クルズス』 南江堂) と考えられています。 保存的治療とは、手術以外の治療方法のことです。 骨折、脱臼、靭帯完全断裂を疑う判断基準については、後ほど 詳しく説明します。 その前に、説明を分かりやすく するために、 足首捻挫の分類から説明します。 足首を捻った(ひねった)方向による分類 一般的には大きく分けて、2つのタイプの捻挫があります。 一般的な捻挫の分類 1. 内返し捻挫(内反強制) 足を内側に捻る 2. 外返し捻挫(外反強制) 足を外側に捻る があります。 病院に行くべき捻挫の判断基準 先ほどもお伝えしたように• 靭帯完全断裂 この3つがあれば、すぐに整形外科を受診する必要があります。 では、骨折、脱臼、靭帯完全断裂が疑われる判断基準について説明させていただきます。 骨折を疑う判断基準 皮膚から明らかに骨が飛び出していなければ、骨折の判断は難しいと思います。 レントゲン撮影できれば早いですが、これはドクターでなければできません。 ですが、骨折を疑う症状があるので、説明させていただきます。 1.短時間での異常な腫れ 捻挫して 30 分以内に 急激に腫れる場合、 骨折の可能性が高いので、すぐ整形外科を受診した方がいいでしょう。 意外かもしれませんが、骨、特に骨膜(こつまく)にはたくさんの血液が流れています。 骨膜とは、読んで字のごとく、骨を覆っている膜のことです。 ですから、骨折をするとかなりの出血が起こります。 短時間のうちに通常と違う異常な腫れが起これば、 病院で骨折部位の確認が必要です。 2.内返し捻挫で外側ではなく、内側が腫れている 内側に捻ったのに内側だけが腫れている場合、骨折が疑われます。 3.外返し捻挫で内側ではなく、外側が腫れている 外側に捻ったのに外側だけが腫れている場合、 骨折が疑われます。 4.全体が腫れている 足首をどのように捻ったかにかかわらず、 足首全体が腫れている場合も骨折が疑われます。 ただし、全体が腫れていても、骨折していないこともあります。 こんなに腫れて内出血しているのに骨折していない場合もあります。 *ここに挙げたのは、あくまで目安であり、絶対ではありません。 また、スティーブン・ティパルドス,D. の骨折の診方を参照させていただいています。 『 FDM 医学と外科的処置の実践範囲内におけるファッシャルディストーションモデルの理論的、臨床的応用』 スティーブン・ティパルドス,D. 著 翻訳田中啓介,FDM. 脱臼を疑う判断基準 まず、脱臼(だっきゅう)とは、 関節を構成する骨同士の位置関係がおかしくなっている状態です。 そして、足関節の脱臼ですが、 これは慣れていないと判断がつきにくいかと思います。 非常に強い痛みがあり、足を着くことは難しいでしょう。 この場合、骨折も併発している可能性があるため、 手術を考慮し、 大きな病院で診察を受ける方が賢明だと思います。 靭帯完全断裂を疑う判断基準 最後に、靭帯完全断裂ですが、左右 の足関節の可動域(動かせる範囲)を、 見比べる必要があります。 これは、慣れていないと難しいと思います。 素人が分からないなりにやってできるものではありません。 靭帯が切れているかどうかは、 MRI や関節造影をしても分からないこともある程です。 経験が必要ですので、あえてやり方は説明しません。 そして、靭帯が断裂し、関節の安定性が失われていれば、 手術で靭帯を再建しなければなりません。 病院に行くべき捻挫のまとめ 上記の判断基準に当てはまらなくても、何かおかしいと感じれば 、整形外科を受診しましょう。 ただし、大丈夫だけど、心配だからレントゲン撮影は、 あまりお勧めできません。 レントゲン撮影するということは、 被爆するということだからです。 「それなら、結局どうしたらいいの?」 という声が聞こえてきそうですが、 脱臼や靭帯完全断裂の判断は、難しいでしょう。 足首捻挫でも 「脱臼や靭帯が切れることもある」という知識があれば、 いつもと違う異常を感じやすくなると思います。 もし、この腫れ方はおかしいと 感じたら、 すぐ病院へ行ってください。 一般的な対処法 テーピングや包帯) 一般的には、捻挫をした直後には、 RICE処置を行うことが推奨されています。 RICE処置• 安静 Rest• 冷却(Icing)• 圧迫 Compression• 挙上 Elevation それぞれ の英語の頭文字をとったものをRICE処置と言います。 1.Rest(安静) 足首が動かないように、テーピングや包帯で固定し、動かないようにする。 2.Icing(冷却) 足首の腫れを抑える、腫れたことで他の細胞に悪影響をあたえないようにする為に冷やす。 3.Compression(圧迫) 足首の内出血や腫脹を防ぐ為、テーピングや弾性包帯(普通の包帯より弾力がある包帯)により足首に圧迫を加える。 4.Elevation(挙上) 腫れを防ぐことと、腫れを軽減することを目的に足首を心臓より上に挙げる。 これらを行うことが、RICE処置といわれる一般的な捻挫の対処方法です。 私は、中学生の時バスケ部に所属し、何度も足首を捻挫しました。 何度 捻挫しても、骨折も脱臼も靭帯完全断裂もありませんでした。 腫れが強い、痛みが強い時は病院や整骨院に行き、 電気を当て、冷やし、固定などのRICE処置を受けました。 2~3週間は 固定しました。 固定後も痛いので、 仕方なくテーピングやサポーターをしていました。 毎回RICE処置をしても、時間が痛みを解決してくれていると感じていました。 そして、大人になっても学生時代の捻挫のせいで、 痛みが残っていました。 ただ、その痛みを取り除きたくて、• 超音波治療器• レーザー治療• マイクロカレント療法(微弱電流療法)• 高電圧電気刺激療法• 低周波治療器• 中周波治療器• SSP• キネシオテーピング• 色々なサポーター など色々な物理療法を、通常の患者様以上の時間をかけ、何度も試しました。 残念ながら、私には何の効果もありませんでした。 そんな経験を踏まえ、捻挫の超回復法で 早く回復する方法を説明させて頂きます。 捻挫の超回復法(早期回復方法) 先ほども説明した 骨折、脱臼、靭帯完全断裂があれば、 早く治すことは諦めてください。 骨折であれば、固定して松葉杖での生活になります。 また、脱臼や靭帯完全断裂では、手術し、リハビリとなります。 早期回復の可能性があるのは、靭帯損傷の程度でも説明させていただいたように、 ・ 1度(捻挫) :靭帯の一過性の伸長のみで断裂はない (靭帯は切れていない) ・ 2度(部分断裂) :靭帯の一部が部分的に断裂 (部分的に切れている) の場合になります。 そして、早く回復する方法は、 足首の背屈制限 (足首を上に上げられない)を取り除くこと です。 後 ほど「 捻挫ぐせの正体」でも説明しますが、 それが取り除かれていないのです。 痛いからではなく、上げようとしても上がりません。 (写真の右足のように) 捻挫をすれば、ほとんどの足首に 写真の右足のような背屈制限が発生します。 足首を上にあげられない制限を取り除けば、 固定せずに歩行が可能です。 さらに、捻挫により正常でなくなった「変化」を見つけ、 元に戻せれば、さらなる回復が可能です。 ちなみに、私の足首にも背屈制限が残っていました。 背屈制限を取り除いて以来、あれだけ解決しなかった足首の痛みが消失しました。 RICE処置やたくさんの物理療法で解決しなかったのにです。 背屈制限は、施術で取り除かない限り 永続すると言われています。 『 FDM 医学と外科的処置の実践範囲内におけるファッシャルディストーションモデルの理論的、臨床的応用』 スティーブン・ティパルドス,D. 著 翻訳田中啓介,FDM. 捻挫による背屈制限は、 FDM(ファッシャル・ディストーション・モデル)という施術方法で取り除けます。 ここで、その施術内容や 方法については説明 できません。 それは医療の国家資格を有し、 「FDM(Fascial Distortion Model、筋膜歪曲モデル)」 を継続して学ばなければ、施術が不可能だからです。 FDMは、 アメリカの医師スティーブン・ティパルドス,D. が創始した手技療法です。 アメリカ、ヨーロッパ、ロシアなど 世界の整形外科医は、 FDMを既に取り入れています。 「自分でも何かできることはありませんか?」 と質問されることがあります。 何度も捻挫を繰り返したり、 早く復帰したい方が読まれていると思います。 ・RICE処置や電気や超音波などの物理療法 ・固定力が強いサポーター ・湿布やテーピング ・食べ物に気を遣って解決 これらで、早期解決が可能だと思いますか? もしくは、早期解決しましたか? 私自身が捻挫を治したくて、たくさん無駄な事をしてきました。 だから言えることがあります。 今までと同じことをして、違う結果を得ることはできません。 アルベルト・アインシュタインの言葉を借りれば、 「 今までと同じ考えや行動を繰り返して、異なる結果を期待するのは狂気である」 今までと違う結果を求めるのであれば、違う方法を選択する必要があります。 ・自分で何とかしようという考え方 ・湿布やテーピング ・サポーター ・物理療法(プロスポーツ選手が使っている物も含めて) これら今までのやり方から離れ、 「FDMが主催するセミナーで勉強を続けているFDMの専門家」 に捻挫の施術を任せるのが近道だと、私は考えます。 テーピングやサポーターで固定することは「保護」です。 痛いから「保護」しています。 どんなに固定力の素晴らしいテーピングでも「保護」でしかありません。 「保護」することと、「治療」は一緒でしょうか? 捻挫したことのある方ならお分かりでしょう。 2~3週間の「保護」の後、固定を外して足の痛みは消えましたか? 施術内容は、「FDMアジアンアソシエイション」で検索してください。 捻挫の予防のためにサポーターをしながら、何度も捻挫する方がおられます。 その原因は「 足首捻挫が治っていない」からだと考えます。 その事実を、FDMアジアンアソシエイションの田中啓介,FDM. から教えていただきました。 捻挫ぐせと言われる足首には、 足首が上に上げられない背屈制限が、 解決されずに残っています。 治っていない状態で復帰すれば、 また捻挫もするでしょうし、痛みも出るでしょう。 背屈制限が残った状態で、関節の動きや筋肉の柔軟性を高めたところで、捻挫ぐせとは無関係です。 そして、足首の背屈制限は、 「アスリートが能力を発揮する際の大きなマイナス」 です。 足の内側のくるぶしの下の痛み(有痛性外径骨) 捻挫の後に、足の内側のくるぶしの下の飛び出した骨が痛くなることがあります。 その痛みのことを、 「 有痛性外脛骨(ゆうつうせいがいけいこつ)」 といいます。 日本人では、約15~20%の人が外脛骨を持っていると言われています。 この外脛骨を持っていれば、必ずといっていいほど、捻挫後に痛みを発生させます。 後脛骨筋腱内の種子骨(しゅしこつ)による障害と言われています。 簡単に説明すると、足の舟状骨に過剰にできた骨(あまり必要ない骨)が外脛骨です。 そこが、捻挫や運動など機械的な刺激によって痛みを起こす症状です。 この症状もFDMで、正常でなくなった「変化」を見つけ、 元に戻すことができれば改善が可能です。 ただし、この外脛骨が、舟状骨と癒着している場合に限ります。 この外脛骨を押して、膝のお皿の骨(膝蓋骨)のように動くのであれば、一時的な 改善になります。 ただ、刺激が加わらなければ痛くないのであれば、 そこにクッションを入れることで対処可能です。 下の写真のようなレジャーシートを切り、 痛い部分に当てれば、交換可能なクッションになります。 形は真ん中が空洞になっているドーナツのような形でも、丸でもいいと思います。 足の形は人それぞれなので、 痛くないように工夫してみてください。 プロが教える捻挫の対処法まとめ いかがでしたか?• 捻挫とは何か?• 捻挫の症状(腫れ、熱、赤くなる、内出血)• すぐ病院に行くべき捻挫• 足首を捻った(ひねった)方向や状況による分類• 病院に行くべき捻挫の判断基準• 対処方法(テーピングやサポーターなど)• 捻挫の超回復法• 捻挫ぐせの正体• 捻挫後の足の内側のくるぶしの下の痛み(有痛性外脛骨) について説明させていただきましたが、足首捻挫についての理解が深まれば幸いです。 改めて、自分で何とかできない、してはいけない捻挫は• 靭帯完全断裂 のある捻挫です。 また、早期回復を望むなら、まず足首の背屈制限を取り除く必要があります。 足首を上にあげられない制限を取り除けば、 固定せず歩行が可能です。 さらに、捻挫により正常でなくなった「変化」を 元に戻せれば、さらなる回復が望めます。 ただし、全ての方が必ずそうなるとは限りません。 また、このサイトにテーピング方法を探して辿り着いた方も多いかもしれません。 どんなに素晴らしいテーピングもサポーターも、「保護」が目的です。 「保護」と「治療」は、一緒でしょうか? 捻挫後の2~3週間の「保護」で、痛みは消えましたか? 「保護」はあくまで、「保護」でしかありません。 また、背屈制限を取り除く方法は、 ここで説明することはできません。 それは、医療の国家資格を有し、 FDM(ファッシャル・ディストーション・筋膜歪曲モデル) を学ばなければ、施術が不可能だからです。 素人は勿論、自分がプロだと思っている方でも勉強せずに行うことは、 危険で、無責任です。 FDMの習得は、決して簡単ではありません。 相当の修練と期間、経験が必要です。 FDMの詳しい施術内容・施術所については、 「FDMアジアンアソシエイション」 で検索し、ホームページをご覧ください。 そこで、 田中啓介,FDM. の施術動画をご覧になってください。 「本当にこんな事が可能なのか?」 と目を疑うような動画が、たくさん公開されています。 その全てが本物の患者様の同意を頂き、施術の様子を撮影した動画です。 また、あなたがお住まいの地域の施術院も、そこに紹介されています。 捻挫やスポーツ障害でお困りなら、連絡してみることをお勧めします。 長野県松本市の当院での施術をご希望であれば、お気軽にお問い合わせください。 ただし、 「どんな固定方法がいいですか?」 「 どうやったら早く治りますか?」 「明日の試合までに何かできることはありませんか?」 など記事を読まずに質問するのはやめてください。 私は、FDMで施術する以外の早期回復方法を知りません。 FDM以外で治すつもりであれば、私への質問は無意味です。 ラインでのお問い合わせ LINEでのお問い合わせは ラインID @jkx5981f (@マークをお忘れなく) そこで、松本あさはらFDM・整骨院をお友達追加していただき、ご予約 をお願いします。 また、 その際には 都道府県名 、お名前 、症状 、 希望の予約日時をご記入ください。 松本あさはらFDM・整骨院 院長 浅原 繁 電話でお問い合わせ 営業時間、料金などの詳しい内容は、 まで 〒 399-0001 長野県松本市宮田 10-20 平林ハイム1 F JR東日本篠ノ井線南松本駅から徒歩15分 松本理美容専門学校駐車場の南側(看板が目印) ケーズデンキ松本宮田店から西に徒歩1分 駐車場2台分 ライター紹介 浅原 繁 松本あさはら FDM ・整骨院 院長• 柔道整復師• FAA会員(FDMIC国際認定取得)• コアチューニングスペシャリスト 臨床経験18年、大阪で14年間の修業を経て、 2016年 7 月に長野県松本市宮田で開業。 中国拳法(螳螂拳)を25年間学び、 体幹(丹田)の使い方、護身術を指導。 さらに詳しい経歴を確認したい方は、 をご覧ください。 この記事を書いたのは、捻挫で苦しむ方が少しでも減ればと思ったからです。 小学校1年生の女の子が、階段を下りる際に捻挫し、来院したことがあります。 整形外科で診察してもらい、固定され、松葉杖を渡されたそうですが、 小学校1年生に松葉杖での歩行は難しく、2日間学校を休んだそうです 体は元気でも外に出れない、学校にも行けない状態に困り果て来院されました。 お母さんにテッシュで涙を拭かれながら、 お父さんに水を飲ませてもらいながら施術を受け、 抱っこされて入ってきた女の子は、 歩いて帰り、 その日から普通に生活し、痛みも松葉杖も無く、学校へ通えました。 また、高校生活最後の試合前に捻挫し、 試合を諦めていた高校生が、 半信半疑で来院し、2日後の試合にフル出場できたこともありました。 いつも必ず良い結果がでるとは限りません。 ただし、試してみる価値のある施術がFDMです。 たかが捻挫、されど捻挫。 捻挫しても、すぐ復帰できる可能性があることを知っていただければと思います。 もし、この記事が役に立つ たくさんの方が知っておいた方がいいと思っていただけたら、 いいね!、はてブ!お願いします。 また、お気軽に Facebook から友達申請ください。 申請頂く際は、メッセージを添えていただけると大変ありがたいです。 【 facebook 】 松本あさはらFDM・整骨院 院長 浅原 繁.
次の原因と病態 ケガをした関節の腫れ、痛みが見られます。 これら症状は一般には損傷の程度と一致しますが、痛みを感じにくい靭帯もあるため、余り痛くないから大丈夫と考えてはいけません。 また多くの捻挫(靭帯や軟骨のケガ)ではケガの後1〜2ヵ月くらいもすると強い痛みは取れ、日常生活に支障はなくなります。 その後はスポーツ活動などで負担が加わったときの痛みや腫れ、ぐらつき感などが主な症状です。 したがって重症のケガという感がなく、ついつい無理をしてしまい、その結果関節内に二次的な傷が進行することがあります。 このような関節内の傷は積み重なると、というような(老化現象で関節の軟骨がすり減って関節が変形してくる)状態に至ることがあり、注意を要します。 捻挫をした最初の時点できっちりとした診断が下されている必要があります。 予防と治療 上に述べたもののうち、直達外力によるケガは防ぎようがない部分があります。 ケガを予防のためのサポーターの効果にも限界があります。 一方、非接触性のケガについては、ケガをしないような体の使い方や基本的な切り返し・着地動作をトレーニングで身につけることにより、ある程度防止できるのではないか、と考えられています。 捻挫の治療には、手術による治療と、手術以外のいわゆる保存的治療のいずれかを選択します。 手術は近年、関節鏡(内視鏡)を用いるなど、小切開で行うものが多く、回復が早くなっています。 手術をしない場合もギプスによる長期の固定は現在はほとんど行われないようになってきています。 すなわちどのような治療の場合も早くから運動を開始する方法が主体となっています。 捻挫の後にスポーツに復帰していく場合、日常生活に支障がない程度に回復したといっても、いきなり元のレベルのスポーツに戻ろうとするとその過程で、またケガをする危険があります。 その場合のケガはもともと捻挫をしたところ以外で生じる場合もあります。 このようなスポーツ復帰過程での問題を予防するためには、基本的な身のこなしや敏捷性などブランクの間に低下した運動機能を再び獲得していくためのリハビリテーションが必要で、これをアスレティックリハビリテーションと呼びます。
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