最後に簡潔にもう一度、『受け取る』の敬語表現を一覧にして、おさらいをしておきましょう。 『受領いたしました』 もっともオーソドックスで、使い勝手が良い。 大事なデータを送る際に、重宝します。 『拝受いたしました』 大切な取引先や、目上の方に使うには最も適した言い方。 『受け取る』の謙譲語表現の中でも、とても丁寧な表現方法。 『賜わる』なども、同様に大変丁寧な言葉です。 使う相手を見誤ると、堅苦しい表現になり兼ねないので要注意。 『頂戴します』『お納めください』 謙譲語と尊敬語での『受け取る』の敬語表現。 『受領いたしました』に近く、少しこちらのほうがライトな使い方が出来ます。 『ご査収ください』『ご笑納ください』 必ず確認をお願いしたいデータを送る場合は『ご査収ください』を。 贈り物を送る場合には『ご笑納ください』を。 相手が何を受け取るかによってうまく取り入れることが出来る敬語表現です。
次の公開日: 2018. 11 更新日: 2019. 07 「お電話」のビジネスの使い方、「お電話差し上げる」は正しい?適切な敬語を解説! ビジネスシーンにおいて、大変なのが電話対応です。 会社には上司宛であったり、取引先やお客様からなどいろいろな人から電話がかかってきます。 そんな電話対応の中で、難しいのが敬語の使い方です。 電話をかけてくれた相手に対して、失礼であってはいけませんよね。 ですが、そもそも「お電話」という表現は正しいのか、「お電話差し上げる」は目上の人に使っていいのかと迷ってしまいますよね。 そこで今回は「お電話」の正しい使い方、「お電話」とともに使われる敬語について解説していきます。 適切な敬語表現を知って、上手く使いこなせるようにしましょう。 「お電話」は正しい敬語 「お電話」の「お」は敬語の接頭辞 「お」は敬語の接頭語です。 「お電話」は正しい敬語で、尊敬語にも謙譲語にも丁寧語にも美化語にもなりえます。 「お電話」の後に続く言葉が尊敬語か謙譲語かによって、「お電話」も尊敬語か謙譲語となります。 ですので、自分の動作に「お」をつけるのはおかしいのではと疑問に思っているかもしれませんが、 「お電話」は相手の動作に対しても自分の動作に対しても使えます。 例えば、「お電話ありがとうございます」といった場合は相手を高める尊敬語になります。 一方で「お電話いたします」とした場合は相手に敬意を表しているため謙譲語に当たります。 「お電話」は美化語でもある また、「お電話」は美化語にも当たります。 接頭語「お」はとても汎用性が高く、様々な範囲で使われます。 尊敬語か謙譲語か区別するのは難しいですが、文脈によってしっかり分類できるようにしましょう。 外来語にこの表現は使わないので注意しましょう。 「お電話差し上げる」の意味と使い方 「お電話差し上げる」の意味は「電話をしてあげる」の謙譲語 「差し上げる」の意味は、 「やる」「与える」の謙譲語となります。 「差し上げる」は「奉仕の気持ちをもって捧げる」というニュアンスが含まれます。 「花を差し上げる」といったように「与える」という意味としてだけでなく、「ご説明して差し上げます」といったように「やる」という行為をするといった意味でも使うことができます。 「お電話差し上げる」は自分が電話するときにのみ使う 「差し上げる」は謙譲語です。 自分を謙って相手を立てる言葉なので、相手の動作に「差し上げる」を使うと失礼に当たります。 「お電話差し上げる」は上から目線に感じられることがある 「差し上げる」は「〜してあげる」の謙譲語なので、「お電話差し上げる」というフレーズは自分を謙り相手を立てていることには間違いありません。 ですが そもそもの「してあげる」というニュアンスが相手に上から目線に聞こえてしまい不快感を与えてしまう可能性があります。 相手にとって利益やメリットがある内容でないと偉そうで厚かましい響きになってしまうので注意してください。 例えば、頼んでもいないのに「教えて差し上げる」と言われたらどう思うでしょうか。 「教えてやる」と上から目線のように感じ、不快感を持ってしまいます。 こういった場合は「教えて差し上げる」ではなく、「必要であればご説明します」「良ければご案内します」と言い換えた方が適切になります。 目上の相手には「お電話差し上げる」「メールを差し上げる」は使わないのがベスト 「お電話差し上げます」や「メールを差し上げる」は相手がこちらからの電話やメールを望んでいる場合にのみ使うことができます。 例えば、取引先や顧客様から電話があった際に担当者が不在で、戻り次第こちらから電話をすることを伝える場合に「担当者が戻り次第、折返しお電話差し上げます」と使います。 ただ何度も説明しているように目上の相手に対して、いくら相手が電話を望んでいるとはいえ「電話をしてあげる」といったニュアンスが含まれる表現です。 そのためなるべく「お電話差し上げる」「メールを差し上げる」といった表現は避け 「折返しお電話いたします」「ご連絡します」と言い換える方が良いでしょう。 「お電話差し上げる」の例文 例文 ・こちらの方で準備が整いましたらお電話差し上げます。 ・それでは、また後ほど折り返し電話差し上げます。 実はこの表現は誤りです。 「頂戴」は「もらう」の謙譲語で、物をもらうときに使う表現なので、電話番号だったり名前を聞くときに使用するのは間違いになります。 電話番号を聞くときは「お伺いしてもよろしいでしょうか」「お名前をお教えいただけますでしょうか」などを使います。 「お電話させていただく」の意味と使い方 「お電話させていただく」は「電話をさせてもらう」の謙譲語 「させていただく」は、 使役の助動詞「させて」+「もらう」の謙譲語「いただく」で成り立っています。 「させていただく」は、 「相手に許可を得て、ある行為を遠慮しながらすること」を意味します。 そのため「お電話させていただく」は謙譲語となります。 「お電話させて頂く」と漢字で書くのは誤用 「させて頂く」は誤りで、正しくは「させていただく」と表記します。 「頂く」と漢字表記にする場合は、「大切にする」「敬う」「食べる・飲む」と「もらう」の謙譲語として使用します。 例えば、「頂く」は「お酒を頂く」「労いのお言葉を頂く」「お便りを頂く」といったように使うことができます。 逆に「いただく」を「頂く」と漢字表記ではなく、平仮名表記にしなくてはいけない場合があります。 「いただく」を平仮名表記として使う場合は、 補助動詞として使用するときです。 ひらがなで「いただく」と書く場合は、 「何かを~してもらう」という意味で使います。 例えば「ご覧いただく」「お越しいただく」「ご足労いただく」といったようになります。 つまり「~していただく」はひらがなで書くのが正解です。 「〜して頂く」「させて頂く」は誤りになります。 「お電話させていただく」場合は相手や第三者からの許可を受けて行う 「させていただく」は、 使役の助動詞「させて」+「もらう」の謙譲語「いただく」で成り立っています。 「させていただく」は、 ・相手や第三者の許可を受けて行う場合 ・それを行うことで恩恵を受けるという事実がある場合 の2つの条件を満たすときに使用するのが正しい使い方になります。 不適切な場面で「お電話させていただく」を使うと、こちらが許可したようなニュアンスになり、違和感を持つという人もいます。 「電話差し上げる」は電話する自分を低め、動作の向かう先である相手を高めるということになるのに対して、 「電話させていただく」は許可を受け自分が電話をすることによって、(自分が)ありがたく思うことを伝える言い回しになります。 「お電話させていただく」の例文 例文 ・よろしければ終わり次第、お電話させていただきます。 ・準備が整いましたら、こちらからお電話させていただきます。 「お電話いただく」の意味と使い方 「お電話いただく」は「電話をかけてもらう」ことの謙譲語 「いただく」は 「もらう」の謙譲語です。 「お電話いただく」は「電話をかけてもらう」という意味になります。 「私はあなたに〜(して)もらったことを(私にとってメリットになることであると感じ)ありがたく思う」というニュアンスです。 「お電話いただけると幸いです」はとても丁寧な表現 相手に対して電話をかけてもらうことを頼む場合は、 「お電話をいただけますか」「お電話いただいてもよろしいでしょうか」を使います。 また 「お電話いただけると幸いです」も丁寧な表現です。 「幸いです」を依頼をするときに使う場合は、「〜してくれるとありがたい」という意味になります。 電話をかけてもらったことに対してお礼を述べる場合は、「お電話いただきまして、ありがとうございます」ということができます。 文法的に正しい敬語でも、言い回しや場面によっては相手に不快感を与えてしまう場合があります。
次の4 まず三種類の敬語を把握しておく。 敬語には、三つの種類があります。 尊敬語、謙譲語、丁寧語の三つです。 それぞれの敬語をごちゃごちゃに混ぜてしまうと、 二重敬語といい、間違った言葉づかいになってしまうので、注意が必要です。 まずは、 話す相手に敬意を払うことを意識することで、おのずと正しい言葉づかいになってくるので、常に敬意を意識して会話をしましょう。 尊敬語とは? 尊敬語とは、相手に敬意を表す語となります。 動詞 尊敬語 する なさる、お……になる 言う おっしゃる 見る ご覧になる 食べる 召し上がる 聞く お聞きになる 読む お読みになる 来る おいでになる 謙譲語とは? 謙譲語とは、自分をへりくだる語となります。 動詞 謙譲語 する いたす、お……する 言う 申し上げる 見る 拝見する 食べる いただく 聞く うかがう、承る 読む 拝読する 来る 参る 丁寧語とは? 丁寧語とは、表現を丁寧にする語となります。 動詞 丁寧語 する します 言う 言います 見る 見ます 食べる 食べます 聞く 聞きます 読む 読みます 来る 来ます 敬語間違い探しテスト! 相手への言葉づかいが正しいか正しくないか、どういう風に言い換えれば正しい敬語となるか、チェックしてみましょう! 【問題1】会社内で、上司に会った時に『 ご苦労様でした。 』と言った。 【問題2】大事な取引先の会社にうかがった際に、受付で『 〇〇様はどこにおられますか?』尋ねた。 【問題3】来場されたお客様にパンフレットを渡す際に『 もしよろしければご自由に持っていってください。 』と言った。 【問題4】お客様からの電話で、営業部の鈴木さんに代わってほしいとの連絡があった時、『 申し訳ありません。 ただいまうちの鈴木は、お電話中ですので、折り返しお電話させていただいてもよろしいでしょうか?』と言った。 【問題5】会社内にて、お客様にトイレの場所を聞かれたとき、 『おトイレはあちらになります。 』と言った。 敬語間違い探しテスト!解答編 【問題1】会社内で、上司に会った時に『 お疲れさまでした。 』と言った。
次の