冒頭で炭治郎が禰豆子を背負い雪道を歩きながら「なんで…なんでこんなことになったんだ。 禰豆子死ぬなよ。 死ぬな。 絶対助けてやるからな。 死なせない。 兄ちゃんが絶対に助けてやるからな」というセリフの意味が回想としてその後描かれ、竈門家を襲った事件がなんだったのかということがわかる演出となっていました。 その後兄弟が多く家族がいるのに何故、禰豆子だけを背負っていたのか疑問に思いましたが、それも後半パートで起こった事件がわかり第1話の中で物語がこれからどういう方向にいくのかはっきりとわかるようになっていました。 第1話だけでも雰囲気に引き込まれ、素直に面白かったです。 同時に続きも気になりました。 三郎爺さんが鬼と鬼狩り様の話をしているシーンのBGMがなんだか蟲師に似ているなと思いました。 演出的にも何かが起こるような不穏さが漂っており見入ってしまいました。 三郎爺さんの鬼の話を聞いた炭治郎はこの時点では鬼の存在を「三郎爺さん、家族を亡くして一人だから寂しいんだろうな。 今度弟たちを連れてくるから。 怖がらなくても鬼なんていないよ。 大丈夫」と信じていない様子でした。 竈門家を襲った事件 炭治郎が朝になってから家に帰ると家族は皆血を流し、何かに襲われたような状況にありました。 炭治郎のそれをみた苦しそうな絶叫が演出的にとても印象深かったです。 まだぬくもりが残っている禰豆子を医者に見せるため炭治郎は背負い街へ向おうとします。 このシーンが冒頭に繋がっているのですね。 しかし初撃を炭治郎が躱し、言葉をかけた事で富岡義勇が禰豆子がどうなったのかを教えます。 その後炭治郎の「妹を助ける方法を探す」、「家族を殺したやつを見つけ出すから」、「俺が全部ちゃんとするから」「やめてくれ」という絶叫を聞いた後、炭治郎が土下座し「やめてください。 どうか妹を殺さないでください。 お願いします。 お願いします」という懇願する態度を見せます。 これに富岡義勇は「生殺与奪の権を他人に握らせるな」と激怒し、炭治郎が言葉にしたことを否定します。 そして突き放すようなことを炭治郎に言いつつも、炭治郎が自分に向かってくるように仕向け試すような行動にでます。 炭治郎は富岡義勇に立ち向かい、怒りという感情に任せた攻撃をするのではなく、頭を使って富岡義勇を倒そうとしたことと、その後気絶した炭治郎を鬼となったはずの禰豆子が守ろうとした様子をみせたことで「こいつらは、何か違うのかもしれない」と禰豆子を斬ることをやめます。 意識を取り戻した炭治郎に「砂霧山の麓に住んでいる鱗滝左近次という老人を訪ねろ。 富岡義勇に言われてきたと言え。 今は日が指していないから大丈夫なようだが、妹を太陽の元に連れ出すなよ」とだけ言い残してその場を去ってしまいます。 こうして炭治郎の妹を治す旅と家族の敵討ちが始まりました。 激怒し炭治郎を叱咤する富岡義勇が「妹を治す方法は鬼ならば知っているかもしれない」とヒントのようなことを言っていたのは伏線なのでしょうか? オープニングテーマとエンドロール 本編終了後オープニングテーマとエンドロールが流れましたがオープニング映像でその後が少し描かれており少し炭治郎の今後が予想とは違いました。 孤独な復讐と治療方法を求める2人旅になると勝手に思っていたのですが、オープニング映像をみると鬼狩りの組織に属し仲間やその組織で学ぶような展開になるのかなと予想しています。 第1話の感想は以上です。 鬼滅の刃が観れるVOD.
次の最新刊 第13巻 11月2日 金 発売!! 鬼滅の刃 13 著者:吾峠呼世晴 上弦の鬼・半天狗と玉壺が、隠れ里である刀鍛冶の里に襲来!? 攻撃するたび分裂して威力を増す半天狗に、炭治郎と玄弥は苦戦を強いられる。 一方、他人への関心が薄い霞柱・時透は、鬼に襲われている小鉄を目撃して…!? 鬼滅の刃 12 著者:吾峠呼世晴 113年振りに上弦の鬼が欠け、憤る無惨は残りの上弦の鬼たちへ更なる命を下す!! 一方、妓夫太郎との戦いで刀を刃毀れさせた炭治郎に鋼鐵塚は大激怒。 新たな刀を求めて、炭治郎は鋼鐵塚のいる刀鍛冶の里へと訪れるが…!? 鬼滅の刃 11 著者:吾峠呼世晴 上弦の陸の兄妹鬼、妓夫太郎と堕姫との花街での戦いは熾烈を極める。 次第に柱の宇髄と連携がとれる炭治郎たちだが、宇随や伊之助、善逸は鬼の凶刃に倒れてしまう。 仲間が倒れた今、炭治郎は二人の鬼を打ち破れるのか!? 鬼滅の刃 10 著者:吾峠呼世晴 花街を支配していた花魁の鬼、堕姫!力を分けていた帯とひとつとなり、増した力で堕姫は炭治郎を襲う!! 炭治郎はヒノカミ神楽で応戦するが限界を超え!? 炭治郎に代わり禰豆子や宇随が対峙するが、上弦の鬼の堕姫との戦いは、思いがけぬ展開に!? そこではくノ一である天元の妻3人が、情報収集中に連絡を絶っていた。 調査のため炭治郎たちは女装して潜入するが、鬼の居場所は掴めなかった。 そんな中、花魁たちに鬼の魔の手が!! 炭治郎たちは、鬼を見つけられるか!? 鬼滅の刃 8 著者:吾峠呼世晴 眠り鬼・魘夢にヒノカミ神楽「碧羅の天」を放った炭治郎の戦いの顛末は!? さらに、炭治郎一行の下に現れたものの正体とは!? そしてついに炎柱・煉獄杏寿郎が動く。 その強き者の口から語られる言葉の先に炭治郎が見たものとは!? 鬼滅の刃 7 著者:吾峠呼世晴 "柱"の一人、しのぶの計らいで戦いの傷を癒し、全集中・常中を会得した炭治郎たち。 そして新たな指令で"無限列車"に乗り込む一行は、炎柱の煉獄と共に、列車に潜む鬼を退治する!だが、それは鬼が作り出した夢の中の出来事で、炭治郎たちは夢にとらわれてしまう!! この窮地から抜け出す道はあるのか!? 鬼滅の刃 6 著者:吾峠呼世晴 蜘蛛の鬼に辛勝した炭治郎...。 だが同胞の胡蝶しのぶに禰豆子を狙われ、禰豆子と炭治郎は捕われの身に。 次に目覚めた場所は鬼殺隊の本部で、最高位の剣士"柱"に囲まれていた。 鬼である禰豆子を伴っていた炭治郎に対し、一方的に裁判を行う"柱"たち。 だがそこに現れたのは!! 鬼滅の刃 5 著者:吾峠呼世晴 那田蜘蛛山へ向かった炭治郎たちは、山に棲む蜘蛛の鬼の家族に苦戦を強いられる! 善逸は蜘蛛になる毒に侵され、伊之助と炭治郎も巨大化した父鬼に翻弄され、戦いに終わりは見えず... そんな絶体絶命の一行の下にある影が...!? 鬼滅の刃 4 著者:吾峠呼世晴 鼓を操る鬼の屋敷から出た炭治郎は、我妻善逸が猪頭の少年に一方的に殴られている所に出くわす。 少年を止めに入る炭治郎だったが!? そしてしばしの休息の後、炭治郎たちは鬼殺隊の緊急の指令により、不気味な山へ向かう!! そこに潜んでいたのは…!? 鬼滅の刃 3 著者:吾峠呼世晴 毬と矢印を操る鬼二人と刃を交える炭治郎と禰豆子。 自らを鬼舞辻の直属の部下・十二鬼月と名乗る鬼たちに、珠世や愈史郎の助力を得て炭治郎たちは立ち向かう!! 見事撃破し、宿敵・鬼舞辻への手がかりを得られるか!? 鬼滅の刃 2 著者:吾峠呼世晴 鬼殺隊入隊の最終選別で、異形の鬼と対峙する炭治郎は、師匠・鱗滝から教わった技で立ち向かう!! はたして選抜突破なるか!? そして、鱗滝の下へ戻った炭治郎は、目覚めた禰豆子と共に、毎夜少女が消えているという町へ向かい...!? 鬼滅の刃 1 著者:吾峠呼世晴 時は大正時代。 炭を売る心優しき少年・炭治郎の日常は、家族を鬼に皆殺しにされたことで、一変する。 唯一の生き残ったものの、鬼に変貌した妹・禰豆子を元に戻すため、また家族を殺した鬼を討つため、炭治郎と禰豆子は旅立つ!! 血風剣戟冒険譚、開幕!!
次の幸せが壊れる時は、いつも血の匂いがする。 再びの生を受けたのは戦国の世、ある商家。 有馬の屋号を賜るその家で、なんの変哲もない、ただの人間として命を得た。 物静かだが利発で、ときおり浮世離れした面を見せるものの、優しい心根を持つ彼を親兄弟はよく愛したし、彼もまた当たり前に家族を愛した。 朝日が眩しかったり、村の子どもたちと駆け回ったり、父親に字を習ったり。 そういった日常から得た言いようのない充足感に胸を満たされ、彼は健やかに育っていった。 しかし同時にまた、覚えのない喪失感もあった。 独りになると、大事な何かを置いてきたような漠然とした寂しさが唐突に去来する。 その時には彼は決まって馬の世話をした。 誤魔化すようにして始めたことなのに、ひどく手に馴染む。 それは天職であるからと勝手に納得していた。 商売道具であるのだが 命を自らの手で慈しむことは、確かに彼の心を暖めた。 「こんな時間に馬の世話か、貴彦」 「…父さん」 「お前はかなり夜目がきくが、厩の中は真っ暗じゃないか」 「どうしても世話がしたくなったんだ」 「…お前は頭がいい。 体もいっとう丈夫だ。 そのうち学をつけさせようと思っている。 馬に蹴られて大怪我などしたら…」 「ごめんなさい。 あとちょっとだけ」 「……はぁ。 今夜は冷える。 早く切り上げるんだぞ」 「うん、父さん。 」 昼夜となく馬の世話をする彼の奇行(?)はもはや家族にとってはお馴染みのものだ。 何度となく見咎められてきたが、素直にやめたことは一度もない。 それなのにこうして様子を見にくるのは、やはり彼が家族に愛されているということの証左だった。 字を習い物を知るにつれ脳裏をよぎる像に、彼は強く苛まれる。 ここ最近はとくに酷く、彼が今のように馬と戯れている時でさえ、憩いを嘲笑うかのようにあらわれるようになった。 主人のただならぬ様子を察してか、気遣わしげにぶるると馬が啼く。 「……驚かせたか」 「よしよし…大丈夫だ」 「そう…大丈夫…大丈夫、だ」 自らに言い聞かせるように馬を宥める。 胸のざわめきを落ち着かせるように世話に没頭する。 そうして、その夜も彼は遅くまで厩にこもった。 それが、彼の命を助けた。 彼の命だけを。 すっかり夜も更けて、家々もまばらな村はいっそ不気味なほどに静まりかえっていた。 『月が綺麗ですね』…って、どこで読んだんだったか 遠くの木々がざわめき、冷たい風が強く吹く。 身震いする前に、風が知らせたおぞましい兆しが鼻腔を突き刺す。 「っ血の、匂い?」 何故、嗅いだことのない匂いをそうだと思ったのか。 疑問を抱くより疾く、手近な家に駆ける。 「もし、誰か……っ!?」 そこには、適当にぶちまけたような血溜まりと、食い散らされた肉だけがあった。 「っっ、ぅ、ぁ」 覚えもなく識っていただけの感覚が、現実として形を得る。 「っっ、う゛ぉ゛ぉぇ゛えっ!!」 ただ、それを即座に飲み込むには、精神が未熟すぎた。 涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら村中をひたすら駆ける。 助けを求めるように家々に突っ込む。 その度、でたらめに繰り広げられる地獄を観て精神が壊乱する。 その度、自分を苛んできた見知らぬ記憶を得て精神が再生する。 「誰か……」 ここは駄目だ 「誰かっ、いませんかっ」 ここも 「……誰か…」 ここも、ここも、多分あっちも 今や臭いはそこら中に満ちている。 獣臭に鼻が塞がっていた愚鈍さ、月ばかり見上げて惨劇に気付かなかった呑気さに忸怩たる思いを抱きながらも、それが表にでることはもうほとんどない。 「真面目にやれ」なんて言っておいてこれか 現実逃避的な述懐をする間も足を止めることはない。 駆けて、駆けて、漸く家族のいる家に戻る。 見ても無駄だと五感が告げる。 しかし、どうしても必要なことなのだ。 彼が、 生き残る 死神に立ち戻る ためには。 父さん 刀のそばで息絶えている。 母さん 幼い兄妹を庇うようにして、折り重なって死んでいる。 逍遥と、家族だったものにすがりついた。 涙する暇もなく、刀を取って踵を返す。 「ごめんなさい。 そこから、慣れ親しんだ馬たちの臭いと、むせ返るような濃密な血の臭いが漏れ出していた。 ばりばりと穴を広げて、異形が姿を現す。 獣のような瞳に、額には鬼を思わせる二本角、全身には返り血。 間違いようもなく、惨劇の下手人だった。 「小せえガキがくっせえ厩に逃げやがってよお。 俺は獣臭いのが大嫌いだってのに!」 鬼が、にやにやと顔を歪めながら持っていた腕を齧る。 「まあ、それもご馳走が出てきてくれたんで帳消しだぜ。 瞬きの間に落とされた鬼の首が地面に転がる。 「…!?」 目の前の非力なご馳走が、己の首を斬り落とした。 信じがたい現実に思考を止めたのも束の間、即座に首を拾い上げ再生する鬼。 「てめえ…何し」 しかし、二の句を告げる間もなく、背後に現れた彼によって脳髄を穿たれ、眼窩から刃が突き出る。 「ッッッ、おらァッ!!」 凄まじい速度で繰り出される裏拳。 苦し紛れの反撃でも、鬼の膂力で繰り出されれば人の身など簡単に粉砕してしまうだろう。 当たれば、の話であるが。 「……」 二秒…も要らないか。 殺すだけなら 体を地面すれすれに倒しながら逆袈裟に胴体を斬断。 異常な再生速度を織り込んで、四肢もついでに斬り落とす。 「ガッ…!!」 鬼の面相が苦渋に染まり、ものの数秒で胴体から順に欠損部位が繋がる。 「てめえ…何なんだ、顔色一つ変えねえで、けったくそ悪い…!!」 随分と頑丈な喰種だな 「……」 「大人しく喰われろやぁ!!」 再生力に任せて突進を繰り返す鬼だが、彼にとってはまるで相手にならない。 防ぐまでもなく体捌きのみで猛攻を躱し、ついでとばかりに脳や首や臓器など、人体の重要な部分を破壊していく。 どうやっても捉えられないどころか容易く封殺され続けることに恐れと苛立ちを募らせ、余計に隙が増え、更に斬られる頻度が増す。 業を煮やした鬼は飛びすさり、距離を取った。 「しこたま喰って強くなったんだ!!もう容赦しねえぞクソガキ!!」 そう叫ぶや、鬼の全身がメキメキと音を立てて倍近い大きさに膨れ上がり、背中から鋭い爪を生やした虫のような触腕が生える。 「後悔しやがれ!!」 殺意を漲らせた異形が、目にも止まらぬ速度で突撃する。 迎え撃つ死神は、それでもなお無表情を崩すことはなかった。 その速度は死神をして反応が遅れるほど。 人の身にはあり得ないと言っていいその存在に、彼は臨戦態勢のまま向かい合う。 喰種か?しかし、赫眼はない… 「……」 殺気を受けてなお、剣士は泰然と赫い刀を納めた。 額には炎のような痣。 日輪の意匠を持つ耳飾り。 「怪我は、ないか」 現れたのは、始まりの呼吸の剣士だった。
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