職業によって異なる遺族年金 遺族年金には、 遺族基礎年金と 遺族厚生年金の2種類があり、どちらの遺族年金が支給されるかは本人の職業、つまり加入している年金制度によって決まります。 ただし、平成27年9月までに共済年金の加入期間がある公務員の方については、厚生年金に統合された後に亡くなられた場合でも、職域年金相当分が支給されます。 万が一の場合、誰が受け取れるの? 遺族年金は国民年金や厚生年金に加入していれば必ず受け取れる訳ではなく、 本人が亡くなった際の家族構成・年齢等によって、受け取れるかどうかや受け取れる金額が変わります。 以下の表を参考に、ご自身がどこに当てはまるのかを確認しておきましょう。 例)会社員・公務員の妻が亡くなった場合 妻の死亡時に子どものいる夫が55歳以上であった場合、遺族基礎年金と合わせて遺族厚生年金を受給できますが、 子どもが18歳到達年度の末日を迎えた際に、夫が60歳未満の場合、遺族厚生年金は支給停止されます。 なお、60歳で夫への遺族厚生年金が再開しても、中高齢寡婦加算や経過的寡婦加算はつきません。 また、妻の死亡時に子どものいる夫が55歳未満だった場合は、遺族基礎年金のみを受給できます。 この場合、遺族厚生年金は子どもが受給できます。 遺族年金の計算方法 では、遺族年金の受給資格は確認できたところで、実際に受給できる金額はどれくらいになるのか目安額を確認しておきましょう。 会社員・公務員の方 平成27年9月までに共済年金の加入期間がある公務員の方はAに加え、Bで算出した年金額が支給されます。 昭和31年4月2日以降生まれの妻へは、この加算はありません。 どの遺族年金も受け取れない場合は? 自営業の方で遺族が子どものない妻だった場合などは、遺族年金は給付されませんので、支払ってきた保険料が無駄になってしまいます。 また、「寡婦年金」と「死亡一時金」の両方を受け取ることはできませんので、どちらも受給できる場合はどちらかを選択する必要があります。 (夫は対象にとなりません。 まとめ いかがでしたでしょうか。 「年金」といえば、老後のためのものというイメージが強いかもしれませんが、「遺族年金」のような万が一のときの保障機能も備わっています。 しかし、どの遺族年金がいくら支給されるかはご家庭の状況によって様々です。 いざというときのために、しっかりと年金の加入状況を確認しておきましょう。
次の遺族基礎年金と遺族厚生年金 一般的に遺族年金と言われる年金には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の2つがあります。 遺族基礎年金は国民年金に基づく年金制度、遺族厚生年金は厚生年金に基づく年金制度です。 つまり、• 自営業者の場合:遺族基礎年金• 会社員などの場合:遺族厚生年金 が遺族に支払われることになります。 また、遺族基礎年金と遺族厚生年金とでは手続きの方法も異なり、遺族基礎年金加入で、現役で亡くなった場合は、市町村役場で手続きを行います。 一方、遺族厚生年金は厚生年金に関するものなので、事業所で手続きを行うのが特徴です。 事業所側で資格喪失届が提出されます。 遺族基礎年金を正しく理解しよう 遺族基礎年金とは、国民年金に加入している人、もしくは国民年金に基づく老齢基礎年金を受け取っている人が亡くなった場合、遺族の生活がいきなり困窮しないように設けられている制度です。 なお、遺族基礎年金を遺族が受け取れるかどうかは、まず亡くなった被保険者がどのくらいの期間国民年金に加入していたかどうかで決定します。 なお、受給できる範囲も厳しく、遺族であればだれでも受け取れる訳ではないという点は注意が必要です。 遺族基礎年金を受け取るための条件 まず、遺族基礎年金を受け取るためには条件があります。 亡くなった方の条件と受け取る側の条件、それぞれについて詳しく見ていきましょう。 亡くなった方の条件 まず前提として、納付免除・若年者納付猶予・学生納付特例の期間を含めて25年以上国民年金を納めていることが条件となります。 さらに、亡くなった日の前々月までに3分の2以上を納めていること、亡くなった日の前々月まで1年の間に未納がないこと(2026年3月31日まで)が条件です。 つまり、少なくとも25年の加入年数を考えると、国民年金の加入は満20歳以上になるので、被保険者が45歳を超えていないと、そもそも遺族基礎年金の対象にならないことが分かります。 受け取る側の条件 遺族と言うと一般的に亡くなった人の家族がイメージされますが、遺族基礎年金での遺族は限定的です。 受け取れる遺族は、亡くなった被保険者によって生計が維持されていたこと、さらに子どもと子どものいる配偶者に限られます。 なお、子どもにも年齢の上限があり、18歳に到達する年の3月31日まで、または20歳未満で1級または2級の障害が認められる場合に限ります。 つまり、遺族基礎年金が支払われるのは、細かい条件を除いて、被保険者が45歳以上で、配偶者との間に18歳未満の子どもがいる場合。 すべての遺族に対して支払われるものではないことが分かります。 受け取れる年金額は? 遺族基礎年金があれば生計を維持できるのか、実際に気になる部分ではないでしょうか。 遺族基礎年金の場合、支払われる金額は、2017年時点で基礎部分年779,300円。 プラス子の加算分があります。 第1子と第2子で各224,300円、第3子以降は74,800円です。 配偶者と子ども1人の場合は年100万3千6百円で月当たり約8万3千円、子ども2人の場合は年122万7千9百円で月当たり約10万2千円、子ども3人の場合は130万2千7百円で月当たり約10万8千円です。 最低限必要な額が支給されていることが分かります。 なお、ご紹介したものはいずれも寡婦年金と言われるものです。 遺族基礎年金の加入には厳しい条件があることをご紹介しましたが、もし条件に該当しない場合はどうなるのでしょうか。 遺族基礎年金には、寡夫年金の他にも死亡一時金というものがあります。 遺族が遺族基礎年金を受け取れず、老齢基礎年金の受給もない場合の制度です。 3年以上の国民年金の支払いが行われている場合に支給され、配偶者や子の他、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順で受給資格が得られます。 受給できる金額は、3年から15年未満の加入で12万円、15年から20年未満で14万5千円、20年から25年未満で17万円、25年から30年未満で22万円、30年から35年未満で27万円、35年以上で32万円です。 父子家庭でも受給可能 これまで遺族基礎年金は、亡くなった妻と子どもが受け取るというイメージがありました。 実際に、2014年の3月まで受け取れるのは妻に限られていたためです。 ですが、社会での家族のあり方も変わり、遺族基礎年金も見直されることとなりました。 2014年4月1日からは、母子家庭に限らず、父子家庭、妻を亡くした夫も遺族基礎年金を受給できるようになっています。 ただし、2014年4月1日以降に、遺族基礎年金の定める遺族となった人、条件に該当する人に限られます。 元配偶者が再婚した場合 遺族基礎年金の加入条件は、被保険者によって生計が維持されていることです。 元配偶者が再婚した場合、遺族基礎年金の受給資格は、妻、子ともに消滅してしまいます。 もしものときの遺族基礎年金ですが、亡くなった被保険者の保険料支払い状況、子のあるなしなどで寡婦年金に関しては支払われないことがあります。 ただし、寡夫年金に該当しない場合でも、死亡一時金の対象となる場合はあるので、条件を確認しておくと安心です。
次の配偶者や親など、親族の中でも特別に近しい人が亡くなるのは本当につらいことです。 あまりの喪失感に、葬儀の後は現実を受け入れることが難しく、 ただ呆然としてしまう方もいらっしゃいます。 しかし、そんな中でも毎日の生活は維持していかなければなりません。 特に、生計を支えていた「大黒柱」の方が亡くなった場合、 すぐに今後の生計の立て方を考え、実行に移すことが必要になります。 ここではそんなとき、 残された家族の経済的な強い味方となる遺族年金について解説していきます。 遺族年金は非常に優れた制度ではありますが、 受給資格のある方は自ら率先して手続きを行わなければなりませんので、 出来る限り素早く行動に移すようにしましょう。 遺族年金とは? 遺族年金とは、 国民年金、 または厚生年金の被保険者(つまり、毎月年金保険料を支払っていた方)の遺族が 単独で今後の生計を立てることができない場合に支払われる年金のことを指します。 いわば、一家の大黒柱を失った方に年金を支払って 当面の生活を補助する生活保障の制度。 ただ、年金にも今まで「国民年金」や「厚生年金」など種類に違いがあったように、 遺族年金にも今まで支払ってきた年金保険料が国民年金か厚生年金かによって 受給できる遺族年金の種類も違ってきますし、実際に受給できる金額にも違いが出ます。 遺族基礎年金 遺族基礎年金は国民年金に加入していた方の収入によって生計を立てていた配偶者、 または子が受給できるものです。 国民年金は 自営業者(フリーランス・個人事業主なども含む)や農業従事者、 20歳以上の学生など、一般的には会社員以外の働き方をしていた方が加入する、 日本の公的年金です。 年金手帳等ですぐ判断がつけば問題ないですが、書類からはよく判別できない場合は、 亡くなった方がどのような労働形態で働いていたのか調べる必要があります。 遺族厚生年金 主に会社員として働いていた方の収入によって生計を立てていた配偶者、子ども、 亡くなった方の両親(子から見ると祖父母)が受給できるものです。 金額 遺族厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分の年金額4分の3となります。 つまり、被保険者の給与額とこれに基づく今までの保険料によって遺族が受け取ることができる金額も変動しますので、受給できる金額はある程度はっきりさせたい場合には、年金事務所などに問い合わせするのも手です。 以上が大まかな諸条件ですが、状況によって受け取れない、 または受け取ることができる場合もありますので、迷ったときには最寄りの年金事務所や 年金相談センターに相談してみましょう。 共働き家庭の場合は? 遺族年金は被保険者の死後、自活が難しいと思われる遺族への支援制度です。 したがって、 自活ができる経済状況だと受給できないことがあります。 具体的には、遺族の将来年収が850万円以上になる可能性がある方などは受給ができません。 ただし、被保険者死亡当時、配偶者に850万円以上の年収があっても、 向こう5年以内にこの年収がなくなる可能性のある方は受給できます。 共働き家庭の場合は、こうした年収による受給制限があることを念頭に将来設計をしましょう。 保険会社が販売する死亡保険や個人年金に加入しておくのも得策です。 戸籍謄本(被保険者死亡後の、全部事項証明書)• 年金手帳(被保険者、請求者)• 住民票の写し(世帯全員の記載が必要)• 年金証書・恩給証書等、受給権のあるものすべて• 被保険者の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)• 被保険者、請求者のマイナンバーがわかるもの• 請求者の健康保険証• 請求者の収入状況がわかるもの(源泉徴収票、所得証明書など)• 子の収入状況がわかるもの(義務教育中は不要)• 子が高等学校在学中は学生証明書など在学を証明するもの• 死亡診断書のコピー• 請求者の預金通帳、印鑑(キャッシュカード等でも可) 2 年金請求書の準備・記入 以上の書類をそろえたら、次は年金請求書を準備し、必要事項を記入します。 年金請求書は年金事務所の窓口でもらえますし、インターネットを使用できる場合は 日本年金機構のホームページからもできます。 3 書類・年金請求書の提出 ここまできたら、最後はそろえた書類と必要事項記入済みの年金請求書の提出です。 どちらの遺族年金を請求するかによって提出先に違いがあります。 遺族厚生年金 + 障害基礎年金 or 遺基基礎年金• 遺族厚生年金 + 老齢基礎年金 or 遺族基礎年金• 遺族厚生年金 + 老齢厚生年金 基本的に、併給できる組み合わせ以外のパターンだった場合には 「一人一年金」の原則に従い、 どちらかを選択しなければならないと考えておきましょう。 年金を選択する 二つの年金を受け取ることができる場合になったら、 併給できるパターン以外はすべてどちらか一つを選ぶ必要があります。 選択の手続きは「年金受給選択申出書」を最寄りの年金事務所、 または年金相談センターに提出して行います。 選択の手続き自体に期限などはありませんが、「一人一年金」の原則を守り、 後々複雑な状況になるのを避けるためにも、速やかに行ってください。 被保険者が死亡した時点では胎児だった子が生まれたとき この他にも、 遺族厚生年金の受給権を取得して5年経過し、 被保険者が死亡した時点で30歳未満、 子がいなかった妻などが該当します。 遺族年金の制度には目的があり、その目的が他の手段で達成されていれば、 遺族年金の出番はありません。 この点をよく考慮した上で生活設計を立てることをおすすめします。 遺族年金がもらえない場合、他の支援はあるのか? 遺族年金自体は非常に優れた、頼りがいのある制度ですが、 今まで見てきたように受給には諸条件をクリアしなければならず、 中には当然受給できない遺族も出てきます。 しかしそのような場合でも、遺族年金以外の経済的支援が用意されています。 その代表的なものが寡婦年金、死亡一時金、児童扶養手当です。 寡婦年金 その名の通り、妻のみ受給できる年金制度です。 子供がおらず、遺族基礎年金の受給ができない場合でも、 以下の条件を満たせば年金を受給できます。 故人と請求者の関係がわかる戸籍謄本• 被保険者の住民票の除票(世帯全員の住民票の写しに含まれている場合は不要)• 請求者の収入状況がわかる書類(源泉徴収票、所得証明書など)• 公的年金を受給している場合は年金証書• 請求者の預金通帳、またはキャッシュカード、印鑑 2 請求書の準備・記入 「国民年金寡婦年金裁定請求書」、もしくは 「死亡一時金裁定請求書」を 最寄りの年金事務所または年金相談センターの窓口で入手します。 からもダウンロード可能です。 3 書類・請求書の提出 準備した書類と請求書を最寄りの市区町村の役場窓口、または年金事務所に提出しましょう。 児童扶養手当の請求方法 児童扶養手当の請求は寡婦年金、死亡一時金の請求方法と共通する部分がありますが、 書類の提出先が年金事務所ではないので注意しましょう。 1 書類の準備• 請求書と子の戸籍謄本• 世帯全員の住民票• 請求者名義の通帳と印鑑• マイナンバーが確認できるもの• 年金手帳 2 請求書の準備・記入 最寄りの市区町村の役場でもらえます。 入手後、必要事項を記入します。 3 書類・請求書の提出 最寄りの市区町村の役場窓口に提出しましょう。 各種支援制度を利用する際の注意点 家族を扶養していた大黒柱の方が亡くなった場合でも遺族が路頭に迷わないよう、 様々な制度が用意されていることがわかりましたね。 それでは最後に制度を利用する際の注意点を挙げておきます。 遺族年金にも課税されるのか? この点を心配されている方が多いですが、 遺族年金は非課税ですので安心してください。 そのほかの支援制度も非課税です。
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