「すげぇ。 ぼっち席スシロー行きてぇ」 「最近出来たスシロー来てみたんだけど」とあるユーザーがツイートしたのは2017年6月25日。 同時に掲載したカウンター席の写真には、テーブル上の左右に仕切りが立てられている様子が写されている。 写真で確認できる範囲では、仕切りは座った状態で頭上までありそうな高さで、奥行きはテーブルの手前と奥の端から端まですべてに及んでいるようだ。 食事中に両隣の客から見られそうもなく、投稿したユーザーは「何このある意味理想のぼっち専用席」とも書いている。 1人で入店した時に周囲が気になる他のユーザーからは 「スシローのぼっち席いいな」 「すげぇ。 ぼっち席スシロー行きてぇ」 「こういうのあれば満足」 「凄い助かる」 との声があがり、28日18時までに8000超の「いいね」が付いている。 スシローはどういう意図でこの席をつくったのか。 運営する「あきんどスシロー」(本社・大阪府吹田市)の広報担当者は28日のJ-CASTニュースの取材に「店舗によってはそのような形になっているカウンター席があります」と「ぼっち席」の存在を認めつつ、「隣のお客様を隠すという目的のもとにできた席ではありません」と話す。 「1つでも多くの座席を確保」した結果 スシロー広報担当者によると、既存のビル内に店舗を構える場合、もともと飲食店用、まして回転寿司店用に設計されていない建物もある。 そのため「柱があったり、内部の形状もまちまちだったりするので、そのスペースで工夫して客席やレーン、キッチンなど必要設備の配置を決めることになります」という。 この時、「1つでも多くの座席を確保できるよう、できるだけデッドスペースは減らすようにしています。 その中で隣に柱があるなどの位置関係から、たまたま左右が遮られた座席ができることもあります」と説明する。 改めて「周囲の目を気にせず食事を楽しみたいという1人客のための席ではないか」と聞くと、「直接そうしたニーズにお応えしたものではありません」という。 一方「こうした座席があることで、結果的にお1人のお客様がご来店しやすくなるのであれば、ありがたい限りです」とも話している。 店側の意図せざるところで、ぼっち専用席は反響を呼んでいるということのようだ。
次のぼっち席とは、いわゆる「おひとりさま席」のことです。 ファミレスや食堂、カフェなどにおいて、一人で食事をすることを前提として用意されている席を指します。 これらは、今回の「ぼっち席」導入の先駆けのようなものだと考えられます。 今では、一人で行動するのも不自然ではなく、むしろ増加傾向にあります。 これまでは、一人であっても、複数人が利用できるテーブル席に案内されて「申し訳ない気分になる」ことも多々あったかと思います。 しかし、ぼっち席は一人で利用するための席なので罪悪感を覚えることなくゆっくり過ごすことができます。 近年では、テーブル席を減らしてぼっち席を増やすお店も多くなり、一人で来店するお客さんのためにさまざまな工夫を凝らしているところも多いです。 これは、決して気のせいではなく、確実におひとり様の需要が増加しているからなのです。 ここでは、それを裏付けるためにデータを見ながらおひとり様需要の変遷を見ていきましょう。 国立社会保険・人口問題研究所が発表した「日本の世帯数の将来推計(全国推計) 2018(平成30)年推計」を見てみましょう。 このデータは2015(平成27)年10月1日から2040(令和22)年10月1日までの25年間を推計したものです。 日本の世帯数の将来推計 全国推計 2018 平成 30 年推計(国立社会保険・人口問題研究所)より引用 これによると、「単独世帯(一人で暮らしている世帯)」は年々増加傾向にあります。 2015年では1842万世帯だった単独世帯が、2040年には153万世帯多い、「1994万世帯」まで増加するとされています。 一般世帯全体を見たときに単独世帯が占める割合は、2015年では34. 8ポイント上昇し39. また、さらにさかのぼると、単独世帯の増加は1980年から始まっています。 当時は710. 5万世帯で、そこから増加を続け2030年には2025. 4万世帯とピークを迎え、2040年には1994. 4万世帯に落ち着くという推計結果となっています。 世界の諸外国の単独世代の割合を見てみると、2015年・2016年時点で約3~4割を占める国も多く、2016年のデンマークでは44. このことから、世界的にも「おひとりさま需要」は高まっていると考えられます。 したがって、近年飲食店などが次々と導入し始めている「ぼっち席」の需要は今後も増加するといって良いでしょう。 フリーランスや学生にもぼっち席は需要高 単独世帯の増加に加えて、雇用形態の多様化にともなって働き方が変化してきたことも、ぼっち席の需要が高まったことに大きく影響していると言えます。 また、学生にとってもぼっち席は非常にありがたい存在となります。 この記事をお読みの方の中には、学生時代にファミレスやファストフード店で勉強をしたことがある方も多いのではないでしょうか。 テスト前や受験前の勉強の場所としても、ぼっち席の需要は高いのです。 フリーランス・ノマドワーカーと学生にとっての「ぼっち席」の需要は非常に似ていると言えます。 仕事や勉強は自宅でももちろんできるのですが、家の中には布団やテレビなど誘惑がたくさんあり、思うように集中できないという方も多いです。 誘惑がなく、比較的長時間過ごしても咎められず、しっかりと集中できる環境として、ファミレスやファストフードのぼっち席が利用しやすいというのも、需要が高まる理由と言えます。 ぼっち席の採用企業 需要の高まりから、ぼっち席を採用している企業も増えています。 ここでは、2019年11月現在でぼっち席を採用している企業や大学をまとめてみました。 ・ガスト、ジョナサン 2019年5月中旬、ガストのぼっち席を利用した方がSNSに投稿したことがきっかけで、ファミレスのぼっち席が注目されるようになりました。 ガスト、ジョナサンなどさまざまなファミレスを運営するのはすかいらーくグループで、系列のいくつかのファミレスでぼっち席が導入されています。 ボックス席があり、ビジネスマンや学生を中心に利用されています。 ・大戸屋 ビジネス街や駅前に多くの店舗を並べる大戸屋は、やはりビジネスマンや学生が多いと言えます。 しかし、単品メニューが多く、ヘルシーな和食が食べられることから、女性の利用者も比較的多くなっています。 町田店では、店舗を全面改装してぼっち席を二倍に増やし、正面に座ったお客さんと視線が合わないようにするなどの工夫がされています。 ぼっち席を採用しているファストフード・カフェ ファストフードやカフェは、以前から比較的ぼっち席を採用している店舗は多いですよね。 傾向としては、ファストフード店は学生が、カフェはビジネスマンやフリーランスが多いです。 ・ケンタッキーフライドチキン 五反田店では、仕切りのついたぼっち席が導入されています。 パソコンなどを置くと少し手狭ですが、仕切りがあるため周りの視線は気になりません。 店舗によって利用できるWi-Fiが異なり、料金がかかる場合もあります。 ・喫茶室ルノアール こちらも店舗によりますが、ぼっち席が導入されている店舗があります。 新宿西口1丁目店では、ビジネスマンを中心とした利用者が多い傾向があります。 この店舗のぼっち席は仕切りで区切られており、コンセントも2口用意されています。 広々としており、パソコンを置いても十分な広さがあります。 時間制限がありますが、無料Wi-Fiを利用することができます。 ぼっち席を採用している大学 ・京都大学、神戸大学、学習院大学 京都大学では2012年、神戸大学では2013年、学習院大学では2014年と、大学の学食では比較的早い段階でぼっち席を導入しています。 ついたてをつけることで、正面に座った人と視線を合わせずに食事できるようになりました。 その他ぼっち席を採用している企業・店舗 ・牛角、焼肉ライクなど(焼肉店) 焼肉店は、ぼっち席を導入しているところが多いようです。 カウンター席で1~2人に1つ程度のロースターが用意されています。 1人前から注文できるのはもちろん、さまざまな種類が食べられるセットメニューなどが用意されている店舗もあります。 焼肉ライクでは無煙ロースターが導入されており、休憩中のビジネスマンなどが多く利用しています。 ・スシロー(回転ずし) もともとカウンター席もあった回転ずしですが、さらにおひとり様でも利用しやすいように仕切りつきのぼっち席を採用したのがスシローです。 食べている姿を周りから見られることがなく、注文もタッチパネルが使えるので店員さんと話す必要がないため、女性も気兼ねなく利用することができます。 ぼっち席にはどのような工夫や設備があるのか さまざまな形態の飲食店でぼっち席が採用されていることがわかりました。 では、こういった店舗ではどのような工夫や設備があるのでしょうか。 ぼっち席にあると喜ばれる設備 ・仕切り 個室や半個室とまでは言わないものの、やはり一人で食事などをするには周りの視線が気になってしまいます。 ちょっとした仕切りがあるだけでも、周りのお客さんと視線が合ってしまう心配がなく、落ち着いて過ごせる環境となります。 ・コンセント ぼっち席を利用するのは、ビジネスマンやフリーランスの方が非常に多いです。 パソコンを持ち込んでそのまま仕事を進めたいという方も多いため、自由に使えるコンセントがぼっち席にあると、非常に喜ばれます。 ・Wi-Fi コンセントと同じく、Wi-Fi環境も重要なポイントです。 30分ごとにログインし直す必要があったり時間制限があったりしたとしても、無料で利用できるWi-Fi環境は喜ばれる傾向があります。 ぼっち席を利用してもらうための工夫 ・店頭やHPなどで一人席の有無をアピール 上記の設備が整ったぼっち席を探すのは、意外と大変です。 ぼっち席を探している方はおおむね、HPなどをチェックしたり店舗の入り口の表示を見たりしてお店を選んでいます。 HPや店頭でぼっち席があることが一目でわかるアピールは、利用者からすると非常に嬉しい工夫です。 ・導入店舗の限定(学生の多い街で実装し、家族連れが多い街では実装しないなど) ぼっち席は、一人で食事をしたい方ももちろんいますが、集中して作業や勉強を進めたい方の利用も多いです。 そういった方にとっては、店内が賑やかすぎると作業や勉強が捗らずに困ってしまいます。 学生の多い街やビジネス街にぼっち席を充実させ、家族連れの多い店舗では導入しないなど、ぼっち席のニーズに合わせ店舗を限定することでより過ごしやすい環境が整います。 ・サイドメニューなどを頼みやすい形にする サイドメニューの充実はぼっち席利用者にとっては非常に嬉しいサービスです。 仕事や勉強で比較的長時間店舗に滞在することを考えると、ボリュームのあるメインメニューばかり頼むことはできません。 少しずつお腹を満たせるサイドメニューがあれば、頼み過ぎの心配がありません。 ・そもそもぼっち席において高回転率を期待しない 上述の通り、作業や勉強を進めたい方は比較的長時間滞在することを前提にぼっち席を利用します。 回転率の高い店舗は、集中できず居心地が悪くなりがちなので、おひとり様向きとは言えません。 中小店舗がぼっち席を導入するには 近年のぼっち席導入の傾向や、企業や大学が行っているぼっち席の設備や工夫について解説しました。 ぼっち席に有効だと考えられる設備や工夫には以下のようなものがあります。 仕切りなどのある、周りの視線が気になりにくい席• 学生街、ビジネス街など、ぼっち席の導入店舗の限定• HPやSNS、店頭で「おひとり様歓迎」のわかりやすいアピール• サイドメニューやおひとり様でも食べられる量のメニュー• クーポン発行などでリピートしてもらう仕掛け• 今後は、より一層単独世帯が増え、ぼっち席の需要がさらに高まることが考えられます。 現在でも、大手チェーン店の多くがぼっち席の導入を進め、顧客獲得に努めており、今後は中小店舗もぼっち席の導入を進めていく必要があるでしょう。 上記のような工夫を行い、早めのぼっち席導入を検討してみてはいかがでしょうか。
次の「すげぇ。 ぼっち席スシロー行きてぇ」 「最近出来たスシロー来てみたんだけど」とあるユーザーがツイートしたのは2017年6月25日。 同時に掲載したカウンター席の写真には、テーブル上の左右に仕切りが立てられている様子が写されている。 写真で確認できる範囲では、仕切りは座った状態で頭上までありそうな高さで、奥行きはテーブルの手前と奥の端から端まですべてに及んでいるようだ。 食事中に両隣の客から見られそうもなく、投稿したユーザーは「何このある意味理想のぼっち専用席」とも書いている。 1人で入店した時に周囲が気になる他のユーザーからは 「スシローのぼっち席いいな」 「すげぇ。 ぼっち席スシロー行きてぇ」 「こういうのあれば満足」 「凄い助かる」 との声があがり、28日18時までに8000超の「いいね」が付いている。 スシローはどういう意図でこの席をつくったのか。 運営する「あきんどスシロー」(本社・大阪府吹田市)の広報担当者は28日のJ-CASTニュースの取材に「店舗によってはそのような形になっているカウンター席があります」と「ぼっち席」の存在を認めつつ、「隣のお客様を隠すという目的のもとにできた席ではありません」と話す。 「1つでも多くの座席を確保」した結果 スシロー広報担当者によると、既存のビル内に店舗を構える場合、もともと飲食店用、まして回転寿司店用に設計されていない建物もある。 そのため「柱があったり、内部の形状もまちまちだったりするので、そのスペースで工夫して客席やレーン、キッチンなど必要設備の配置を決めることになります」という。 この時、「1つでも多くの座席を確保できるよう、できるだけデッドスペースは減らすようにしています。 その中で隣に柱があるなどの位置関係から、たまたま左右が遮られた座席ができることもあります」と説明する。 改めて「周囲の目を気にせず食事を楽しみたいという1人客のための席ではないか」と聞くと、「直接そうしたニーズにお応えしたものではありません」という。 一方「こうした座席があることで、結果的にお1人のお客様がご来店しやすくなるのであれば、ありがたい限りです」とも話している。 店側の意図せざるところで、ぼっち専用席は反響を呼んでいるということのようだ。 (下記サイトより).
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