写真はイメージ c WERAYUTH PIRIYAPORNPRAPA-123RF 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が拡大し、収束の糸口が見えない。 折しも今は、風邪やインフルエンザだけでなく、スギ花粉症の流行時期にもあたる。 咳や鼻水、発熱などの症状が出たとき、「新型コロナでは?」と不安に感じる人も多いだろう。 安倍晋三首相は、大規模なイベントを2週間自粛するように呼びかけたことに続き、3月2日から春休みまで全国の小中高校と特別支援学校を臨時休校にする、という異例の要請を表明した。 まさに前代未聞の事態を迎えている。 パニックを起こさず冷静に行動するためには、この感染症について正しく理解することが大切だ。 新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)は未知の病原体であり、まだまだ分からないことが多い。 だからこそ、誰もが不安を抱えている。 私たちがまず知っておくべきは、「 肺炎」という病気についてだ。 新型コロナウイルス感染症において人の命が奪われるのは「肺炎」が原因。 まず肺炎について正しく理解すること、それが新型コロナウイルスを「正しく恐れる」第一歩となる。 しかし、肺炎は誰もが名前を知っている病気だが、正しく理解している人は必ずしも多くはないだろう。 即答できないことは少なくない。 そこで今回の特集では、肺炎を含めた呼吸器疾患のエキスパートとして知られる池袋大谷クリニック院長の大谷義夫さんに解説していただこう。 ウイルスによる炎症が上気道だけでとどまれば軽症だが… そもそも肺炎とは、その名の通り「 肺に炎症が起こった」状態だ。 多くは感染症で、気道から侵入した 細菌や ウイルスなどの病原体が肺の中で炎症を引き起こす。 なお、感染が原因ではない アレルギー性の過敏性肺炎もある。 それに対し、風邪は、炎症が起きる場所が違う。 別名「上気道炎」というように、気道のうち、食べ物も通る上側「 上気道」(喉頭から上)で炎症が起きている。 これより奥の、空気しか通らない下部が「 下気道」(気管から肺まで)であり、体のさまざまな防御システムがあるため、健康な人なら細菌やウイルスの侵入は許さない。 FEATURES of THEME テーマ別特集• 激痛に襲われる「急性膵炎」や、発見しにくく5年生存率が極めて低い「膵がん」など、膵臓の病気には厄介なものが多い。 今回は、膵臓という臓器の役割や、膵臓の代表的な病気である「膵炎」「膵がん」の怖さ、早期発見のコツをまとめていく。 中高年にさしかかった男性にとって、病気が心配になる臓器の1つが「前立腺」だ。 前立腺の病気のツートップ、前立腺肥大症と前立腺がんは、いずれも中高年になると急増する。 前立腺肥大症は夜間頻尿などの尿トラブルの原因になり、前立腺がんは、進行が遅くおとなしいがんと思われているが、骨に転移しやすいという特徴があり、怖い一面もある。 今回のテーマ別特集では、前立腺の病気の症状から、具体的な治療法までを紹介していこう。 健康診断で多くの人が気にする「コレステロール」。 異常値を放置すると動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症のリスクが高まっていく。 数値が悪くても自覚症状がないため、対策を講じない人も少なくないが、異常値を放置しておいてはいけない。 では、具体的にどのような対策を打てばいいのだろうか。 今回のテーマ別特集では、健診結果のコレステロール値の見方から、具体的な対策までを一挙に紹介していこう。
次の間質性肺炎の余命はどれくらい? それでは、早速紹介していきます。 今回は 間質性肺炎の余命についてです。 かなり危険な病気の一つなのですが、その名前は案外知られていません。 ですが、 高齢者の方を中心にこの病気を申告される方はどんどん増えてきています。 普通の肺炎よりも恐ろしい病気という事は、病名と共に余命宣告を受けることからもわかってもらえるかと思います。 今回は、そもそも間質性肺炎がどういった病気なのか解説をした後、その余命や症状改善のために出来ることについて説明していきます。 そもそも間質性肺炎ってどんな病気なの? まずは、 そもそも間質性肺炎がどういった病気なのかについてです。 どういった症状の病気なのか知っておくと、病院受診するときの指針にもなりますよね。 間質性肺炎とは、文字通り 間質と言う部分が炎症を起こしている肺炎の事を指します。 肺の中にある多数の肺胞。 この肺胞の壁を間質と呼びます。 通常の肺炎は、この肺胞の内部が細菌感染などが原因で炎症を起こすことによって生じる病気です。 しかし、間質性肺炎の場合は違います。 粉塵(羽毛・カビ・アスベスト等)の常用的な吸い込み• 薬剤(漢方薬や風邪薬など)の服用• 膠原病• 原因不明 といった具合に、様々な要因が絡み合って症状が現れてしまいます。 体にいいはずの薬が原因で発生することもあれば、逆に 何が原因か一切分からないにも関わらず生じてしまうもの(=突発性間質性肺炎)もあります。 特にこの突発性のものは、原因不明という事もあり難病指定されている、大変治療の難しい病気です。 初期症状としては• 痰が出ない乾いた咳• 呼吸困難• 安静時は症状がない といったものがあげられます。 咳が出て苦しいというのは、多くの高齢者の方が経験していること。 そのため、 「風邪かな・・・」 と勘違いされてしまい、病院へ行かず放置してしまうことも多々あります。 呼吸が苦しくなり、咳が止まらなくなったところでようやく病院へ。 そこで初めて、重度の間質性肺炎にかかっていることが分かるのです。 症状を自覚し、生活に息苦しさを感じるシーンとしては• 坂道を上っていたときに息切れした• 家の階段を上るのが急につらくなった• すぐそこのコンビニに歩くのでも息が上がる 等、日常生活の何気ない行動の異変で気付かされるようです。 余命はどれくらい さて、それではいよいよこの 間質性肺炎の余命について見ていきたいと思います。 正直あまり知りたくない情報も入っているかもしれません。 ですが、 余命を知っておくことで自分の今後をどうするか考える一つのきっかけになるのも事実です。 この記事が少しでもあなたの力になれば幸いです。 実はこの病気、いくつかの病型に枝分かれしているんです。 ここからは、その枝分かれした各病気についても詳しい余命をお伝えします。 まずは、 通常の間質性肺炎から。 一般的に、 診断後の平均余命は5年とされています。 発症から5年後に生存している方は3割程度と言われており、生存率の低さが分かります。 急性憎悪(急激な症状悪化)の場合はさらに悪く、 中には数カ月で亡くなってしまう方もいる程です。 次に、 非特異的間質性肺炎。 また、治療の効果も出やすく、比較的治りやすい病気と言えます。 ただし、 この肺炎の恐ろしいところは、一度治ってもまたすぐ再発する危険があることです。 治療と再発を繰り返していくうちに、徐々に体力が落ちていき、症状も悪化していく傾向にあります。 5年死亡率は5%前後、治療もしやすい病気です。 余命平均も12年と長く、治療後の症状も安定しています。 早期発見・早期治療ができれば、恐れる必要はありません。 文字通り、急激に悪化していく恐ろしい病気、 急性間質性肺炎。 年齢・性別に関係なく、誰しもが発症するリスクを背負っています。 突発性間質性肺炎は、先ほども少し説明したように原因不明の難病指定されている病気です。 その中でも特に多いのが、突発性肺線維症と言う病気です。 60歳以上の男性に最も多く発症するリスクがあり、治療効果がないことも多いです。 患者ごとにその症状に大きな差が出ているため、予後が予測不可能なことも少なくありません。 最も効果的な治療法は、現在のところ肺移植とされています。 ただし、医療の発達によりすべてではありませんが原因が解明できるケースも増えてきています。 原因が究明できた場合は治療方法も分かる場合が多く、その場合は生存率・余命は大幅に向上します。 とはいえ、年々この数値は改善傾向にありますので、今後医療が発展していけば、病気の原因解明や治療法確立に繋がっていくと考えられます。 高齢者の場合どうなるの? 病気にかかる年齢を見ていただければ分かるとおり、 中高年の方が非常になりやすい病気です。 その中でも 特に警戒して欲しいのが、高齢者の方たちです。 体力が低下している高齢者の方は、たとえただの風邪であっても要注意です。 肺炎に発展する恐れもあり、場合によっては命を脅かしかねません。 どれをとっても危険な病気、その中でも 間質性肺炎は高齢者の方にとってかなり危ない病気といえます。 そもそも、 薬が原因で発症する恐れのある間質性肺炎です。 高齢差の方は何らかの病気を持っている可能性が高く、若い世代に比べて発症しやすい条件がそろっています。 仮に 原因が薬だと究明できても、その他の病気との兼ね合いから、薬を切れない可能性もあります。 その場合、治療のため他の薬を飲み、今度はその副作用で体力が低下して・・・という悪循環に陥ってしまうことも・・・ こういった背景から、高齢者の方は 『病気の治療』よりも 『病気とどのように付き合っていくか』に重きを置く傾向にあります。 具体的には、• 痛みを取り除く治療• 余命をどのように過ごすか考える• 最低限の治療で苦しみを和らげる といった点が高齢者の方の場合重要視されます。 突発性過失性肺炎が難病指定されている事からも分かるように、かなり 治療は困難です。 治すことよりも、 残された時間をどう有意義に過ごすか、高齢者の方の場合そこが重要です。 日常生活は、酸素吸入などにより呼吸の苦しさを和らげます。 また、服薬により痛みを緩和することも行います。 しかし、病気の進行に伴って、酸素吸入などだけでは耐えられないほどに痛みが増してきます。 その場合は、強い痛み止め(最も多いのは モルヒネ)を服用することで苦しみを緩和していきます。 モルヒネは、依存度が高いなど昔のイメージが強い薬です。 しかし実際は、 痛みを緩和し患者のQOL(クオリティオブライフ)を向上する効果がある大変素晴らしい薬です。 医師の指示の元使用すれば危険性もかなり少ない、ホスピスケアに欠かせないアイテムなのです。 高齢者の方にとって、治療だけが選択肢ではありません。 緩和ケア・ホスピス医療もその人のためを思って行う最高の選択肢の一つです。 あなた自身、あるいはあなたの大切な家族が間質性肺炎になり、苦しむときが来るかもしれません。 そのときは、病気と闘うのではなく• 病気と付き合う• 痛みや苦しみと戦う という選択もあることを、どうか心に置いておいて下さいね。 治療と予防方法 最後に、 間質性肺炎の治療・予防方法について紹介していきます。 予防 この二つの観点は、病気と付き合っていく上で決して外せない視点です。 それぞれについて、詳しく見ていきます。 治療方法 原因が分からない病気ではありますが、それでも医学の発展により出来る治療はかなり増えてきています。 主な治療法としては• 副腎皮質ステロイド剤の投与• 免疫抑制剤• 酸素療法• 鎮咳剤• 呼吸リハビリテーション• 在宅療法 が上げられます。 ただし、 ステロイド剤は体質や薬の量によっては糖尿病などを引き起こす恐れもあります。 その辺は、担当医と相談しながら適切な治療法を探っていってもらえれば菜と思います。 呼吸リハビリテーションは、その名の通り 呼吸をより良い状態にするためのリハビリです。 理学療法士らと二人三脚で行うこの治療は• 足を使った運動• 腹式呼吸の練習 等を中心に、日々行う呼吸に重点を置いて進めていきます。 このように、薬を使った治療から酸素を用いた在宅での治療、更には呼吸のやり方をよくするなど 治療の選択肢は多岐にわたります。 沢山ある治療方法の中から、あなたに合った最適なものを行ってもらえればなと思います。 予防方法 そして 予防方法ですが、こちらは日常生活の改善が主となってきます。 風邪やインフルエンザの予防• 適度な運動• 環境改善 こういった事を徹底的に行うことで、病気の予防を行い、症状の進行を遅らせます。 特に禁煙は重要で、 タバコと間質性肺炎には深い関わりがあるとすでに報告されています。 喫煙者の方は、まず一番にタバコを止めることから始めましょう。 風邪やインフルエンザの予防ですが、これは 高齢者の方を中心に、風邪から一気に症状が悪化(急性増悪)し、病気の進行が進むことがあるためです。 たかが風邪、されど風邪です。 呼吸も更に苦しいものとなってしまいますので、できる限り病気の予防に努める必要があります。 適度な運動は、体力の維持に必要不可欠です。 やり過ぎは息が苦しくなってしまうし、症状を悪化させる引き金になりかねません。 主治医と相談しつつ、 負荷のかかりすぎない範囲で体を動かしてもらえたらなと思います。 粉じんに悩んでいる場合は、その原因(アスベスト・カビなど)を取り除く必要があります。 ハウスクリーニングを行う• 住居を変える• 使っている道具を買い換える 等、自分の出来る範囲で環境をよりよい物にしていくことも間質性肺炎予防・改善の第一歩となります。 間質性肺炎とどう付き合うか考える いかがだったでしょうか? 今回は、 間質性肺炎患者の余命はどれ位か、ということで各症状に関して余命はどの程度なのかについて詳しく見ていきました。 また、 間質性肺炎の治療法や予防・改善方法についても紹介させてもらいました。 確かに恐ろしい病気ではありますが、それでも治療法は徐々に確立しつつあります。 また、原因不明だったこの病気ですが、医学の発展により少しずつなどが解き明かされても来ています。 緩和ケアやホスピス医療の発展により高齢者の方のQOLも向上しています。 ですので、いたずらに恐れる心配はありません。 怖がりすぎず、 病気と向き合って生活を送ってもらえればなと思います。 医師や看護師と言った専門職は勿論、家族や友人も立派な治療のための資源であり、あなたを元気にしてくれるカンフル剤です。 どうか 一人で苦しまず、周りと一緒になって病気と付き合っていって下さい。
次の間質性肺炎とは、肺の中にある 肺胞の壁の部分(= 間質)に炎症が起こる病気の総称です。 間質は、呼吸で取りこんだ酸素と、血管中の二酸化炭素を交換する場所で、健康な肺では非常に薄くなっています。 しかし、間質性肺炎になると、間質が 線維化して厚くなり、次第に形が崩れていきます。 そうなると、肺に酸素を取り込むのが難しくなるため、動くと 息切れするようになり、 空ぜきが出るようになります。 日常生活に支障を来すほどの自覚症状がでるまでには数年かかります。 原因はさまざまです。 まずは「 加齢」。 遺伝が原因の場合もあります。 さらに、「喫煙」「じん肺」「ほこりやカビなどに対する過敏性」「薬の副作用やアレルギー」「こう原病」などが原因となります。 原因を特定できない 特発性間質性肺炎と呼ばれるものもあり、これは厚生労働省により難病に指定されています。 特発性間質性肺炎の約半分が、 特発性肺線維症というタイプで、まれな病気ですが命に関わる可能性が高い病気です。 間質性肺炎の治療では、アレルギー性や薬剤性など原因が明らかな場合には、その原因を取り除くことが基本です。 こう原病のように 原因を取り除くことが困難な場合は、 ステロイドや 免疫抑制剤による治療が行われます。 以前は、特発性間質性肺炎には有効な治療法がありませんでしたが、近年、ピルフェニドンなどの 抗線維化薬が開発され、特発性肺線維症の進行の抑制が期待できるようになりました。 2015年にはニンテダニブという新しい薬も登場しています。 また、酸化ストレスを抑えるNACという 抗酸化薬が使われる場合もあります。 特発性肺線維症以外の特発性間質性肺炎の場合には、対症療法として、ステロイドや免疫抑制剤が用いられます。 こうした治療を行っても症状が進行して呼吸が苦しくなった場合には、在宅酸素療法が行われます。
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