妊娠検査薬の使用時期 妊娠している可能性の有無を知るのに役立つ妊娠検査薬ですが、 いつでも好きなタイミングで使用していいわけではありません。 より有力な結果を得るためには、適切なタイミングで使用することが重要です。 受精卵が子宮内膜に着床する、つまり 妊娠すると、その状態を維持するために「ヒト絨毛性ゴナドトロピン 以下、hCG 」というホルモンが胎盤から分泌されます。 hCGは出産するまで分泌され続け、妊娠した翌日あたりからは尿内でも検出されるようになります。 そのため、順調にhCGの分泌量が増加しているとしても、 着床してから約5日後 排卵から約2週間後 にしか検出できません。 つまり、 それよりも早い段階で使用してしまうと、正確な結果を得られない可能性が高いわけです。 日本製の妊娠検査薬に比べて検出できるタイミングが早く、妊娠後約3日 排卵から約12日 で検査可能です。 また、通常よりも早めに検査して妊娠の可能性を調べる 「フライング検査」に適しているのがポイントです。 日本製の妊娠検査薬は生理開始予定日の約1週間後からしか使用できないのに比べて、海外製の製品は生理開始予定日の2日前から使用できます。 ただし、早くても生理開始予定日2日前 高温期12日以降 から行うようにしてください。 あまりに早くから検査をしても、正しい結果を得られません。 検査するタイミングについては特別決まっていませんが、朝一に測定すると、より正確な結果を得られやすいとされています。 ・流産や中絶をしてから日にちが経過していない場合 上記のほかにも、LH 黄体形成ホルモン との交差反応が起きている、重度の糖尿または蛋白尿である、尿内に血液が混入している、といった場合に陽性反応を示すことがあります。 妊娠しているにもかかわらず、陰性反応が現れるケース ・尿が薄かった場合 ・妊娠初期であり、尿内のhCG量が十分ではなかった場合 ・生理周期が不規則な場合 ・日数計算を誤り、適切な検査時期よりも早く検査してしまった場合 ・胎児の発育停止や重度の遅滞などによってhCG量があまりに過少な場合 ・胞状奇胎 受精卵に異常がある、または胎盤の組織に異常があることで起こる症状 が確認された場合 ・稽留流産 胎児が死亡し、子宮内に留まるタイプの流産 の場合 そのほか、流産が起き始める前兆として陰性反応が現れるケースもあります。 【化学的流産について】 早期妊娠検査薬を使って検査した際、 一度は陽性反応が現れたにもかかわらず、3~4日後の再検査では陰性反応が認められるケースがあります。 この場合、 「化学的流産」が起きた可能性があります。 化学的流産とは、 一度は着床が成立することで妊娠反応が認められるものの、胎嚢が形成されず、そのまま胎児の成長が進むことなく終わってしまう現象をいいます。 生理時に似た出血をともなうため、以前までは生理現象として認識されることがほとんどでした。 しかし、妊娠検査薬の質が上がり、早期検査によって陽性反応を確認できるようになったことで、化学的流産に気付くパターンが増えているようです。 また、妊娠出産歴に流産した経歴が残ることもありません。 フライング検査、蒸発線について フライング検査 推奨されているタイミングよりも早く検査すること によって、 「蒸発線」による誤反応が現れるケースがあります。 蒸発線とは、検査薬に吸収された尿が蒸発することで成分が濃縮され、時間差で現れる薄いラインをいいます。 通常、妊娠検査薬による検査は、使用方法や使用時期を正しく守っていれば1分前後で結果がわかるようになっています。 そのため、 5分以上経ってからラインが薄く現れた場合は蒸発線である可能性が高く、ただの誤反応と判断していいでしょう。 蒸発線が現れたとしても特に気にする必要はありませんが、 混乱を招く要因になりかねないため、妊娠検査薬の使用方法や使用時期を守って正しく検査するようにしてください。 冷蔵庫内で保管しないように注意しましょう。 結露によって検査結果に影響を及ぼすおそれがあります。 冷凍も厳禁です。 また、天候や気温などによる影響を防ぐために、 外箱に入れた状態で保管することをおすすめします。 そのほか、湿気に弱いのも注意すべきポイントのひとつ。 開封後はなるべく早く使用するようにしてください。 検査精度が落ちるおそれがあります。 妊娠検査薬には使用期限があります。 使用期限については外箱に記載されているので、はじめに必ず確認しておきましょう。 使用期限を過ぎた妊娠検査薬は検査精度が落ちるおそれがあり、それによって妊娠しているにもかかわらず陰性反応を示すことがあります。 ちなみに、「尿内のhCGにのみ反応する」という検査薬の性質上、「hCGが分泌されていないのに陽性反応を示す」というケースはほとんど考えられません。 使用期限を過ぎた妊娠検査薬を使用したとしても、陽性反応が現れた場合はそのまま妊娠していると判断していいでしょう。
次の妊娠検査薬で検査ができるのはいつから? タイミングによっては正しい判定が出ないことも 妊娠検査薬の陽性判定が出るのは、早くても「最後の生理から数えて3週5日」以降。 月経が順調に来ている人であれば、月経予定日~予定日1週間後頃以降が目安です。 生理不順の人の場合は、最後の性行為から3週間後を目安にしましょう。 妊娠検査薬は複数のメーカーから発売されているため、取扱説明書をよく読み、正しい使い方で使用しましょう。 妊娠検査薬の感度が高く、早い時期に妊娠検査の陽性判定が出るようになると、産婦人科を受診する時期が早まることもあります。 その場合、超音波検査をしても子宮に胎のう 赤ちゃんが入っている袋 がまだ見えてこないことも。 子宮外妊娠やケミカルアボーション 化学的流産 も考慮しなければならず、1~2週間様子を見て、正常な妊娠かどうかを確認する必要がでてきます。 また、検査薬を使うタイミングによっては正しい結果が出ないこともあります。 必ず医師の診察を受けて確認しましょう。 2~3日後に再度検査をすると陽性になったり、その後の受診で妊娠が判明することはあり得ます。 最も考えられる可能性の一つは、検査のタイミングが早すぎたということ。 病院で検査した方がより精度が高いことも理由として考えられます。 陰性だったにも関わらず、吐き気・腹痛・胸が張る・腰痛などの妊娠初期のような症状がある場合、どうしても妊娠を疑ってしまいますが、検査が陰性なら妊娠ではありません。 月経前症候群やホルモン異常による症状が疑われます。 何度検査をしても陰性なのに生理が来ない場合、無排卵、閉経、早発卵巣機能不全などのホルモン異常が原因のことも。 日常的に性行為の機会があって、月経が遅れたり少量出血で終わったりした場合は、たとえ妊娠を疑っていなくても検査はするようにしましょう。 陰性が続いても月経が来ない場合には、病院受診をおすすめします。 注意が必要なのは、子宮外妊娠など「子宮以外の場所」に妊娠が成立、つまり「異所性妊娠」という異常妊娠でも、妊娠反応は陽性になるという点です。 妊娠反応が陽性だったら、まずはそれが「正常な位置」での妊娠かどうかを確認する必要があるため、最初に産婦人科を受診して超音波検査を受ける必要があります。 ただし、妊娠反応が陽性に出ていても、時期が早すぎると子宮内にまだ胎のう(赤ちゃんが入っている袋)が見えないことがあります。 その場合は、数日あけて再度超音波検査が必要になります。 「時期が早すぎるから受診はもう少し先にしよう」と自己判断で受診時期を遅らせるのではなく、妊娠検査薬の陽性を確認したら、すぐに最初の受診をしましょう。
次の妊娠検査薬が陰性=妊娠していないとは言えない!? 妊娠検査薬を使用する時期が早すぎた場合、妊娠していたとしても陰性となることもあります。 このようなフライングの場合、1週間ほどおいて再度検査するとよいでしょう。 また、水分を多くとりすぎた後に検査した場合、尿が薄まってしまい、正しい結果が出ないこともあります。 その場合は、朝起きてすぐの尿で検査すると、hCGの濃度が高くなっているので、より正確な結果が期待できます。 その他、検査の時期が遅かったり、双子など多胎児を妊娠した場合、hCGの量が高くなり、逆に妊娠検査薬が反応しないこともあります。 妊娠検査薬が陰性だったのに、生理予定日を過ぎても生理が来ないというのは、妊娠の可能性があるというだけでなく、排卵日が遅れて生理開始も遅れることもありますし、ストレスなどで生理が遅れているということも考えられます。 そのため、普段から基礎体温を測定することを習慣化しておき、自分の生理周期を把握することが大切です。 妊娠しているとすれば、早期にだるさや眠気、吐き気、ほてり感など、妊娠初期にみられる症状が出てくる人もいます。 このような症状がみられるようであれば、再度、妊娠検査薬をおこなうとよいでしょう。 手軽に使える妊娠検査薬ですが、正しく使うことが前提です。 誤った使い方をして、結果に一喜一憂することのないように、正しく使っていきましょう。 そして、陽性反応が出たときには、産院を受診して、確定診断を受けるようにしましょう。
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