もくじ• シド・フィールドとは? まずは、この本の著者であるシド・フィールドに関して簡単にご紹介します。 シド・フィールドはアメリカの脚本家で、映画学校の名門・南カリフォルニア大学でシナリオを教えていました。 この記事で紹介する「シド・フィールドの脚本術」の原本である「SCREEN PLAY」。 この本は、22カ国で翻訳されており、全米400以上の学校で教科書として採用されているそうです。 また、シド・フィールドは数多くの映画会社で脚本に関してのコンサルタントを歴任しており、全米脚本家協会へ殿堂入りしています。 この本にも登場する、映画監督サム・ペキンパーやジャン・ルノワールらに師事していました。 以上、簡単にご紹介しました。 間違いなく世界の脚本家のトップオブトップですね! それでは、「シド・フィールドの脚本術」の内容に入っていきます。 脚本のパラダイム パラダイム paradigm とは、「模範」などという意味があるそうです。 脚本のパラダイムということは、 脚本の模範。 この本では、その模範を軸として、脚本について解説されています。 映画の脚本は、 発端・中盤・結末という3要素に分解できる。 そう解説されています。 では、それぞれについてまとめていきます。 脚本の始まりである発端では、 脚本 を通 して変わらない枠組みの設定が行われます。 具体的に言うと、• 登場人物• ドラマ上の前提(誰に関しての?何についての?映画)• 状況の説明• キャラクター同士の関係性 などなど。 ストーリーを進めていく上で必要な前提がここで設定されるんですね。 ここでは、 主人公の葛藤が描かれます。 ストーリーには結末(ゴールがあり)、主人公はそこを目指します。 例えば、恋愛映画のゴールは結婚や恋人になること。 サスペンスなら、事件の解決がゴール。 しかし、そこには壁が立ちはだかります。 恋愛映画なら、ライバルや結婚を許してくれない親の存在。 サスペンスなら、次々と起こる事件や犯人でしょうか。 その壁との対決が、 葛藤です。 ここで、ストーリーは解決に向かいます。 葛藤を終えた主人公の姿が描かれます。 プロットポイント この脚本のパラダイムで重要なのが、プロットポイントです。 プロットポイントとは、物語の転換点。 ストーリーが向かう方向をガラッと変えるポイントです。 プロットポイントは脚本上で、2点に置かれます。 それは、発端の最後と中盤の最後。 必ずしもそれは大きな事件ではなく、登場人物のセリフ上の一言ということもありえます。 主題の見つけ方 テーマとも言います。 主題とは、 アクションに関するアイディアやキャラクターに関して、ノートに数ページ分どんどん書き込んでいく。 主題をまずは、アクションとキャラクターに分けます。 アクションは、なにが起こるのか? キャラクターは、登場人物は誰か?ということ。 アクションも、身体と感情に分けて考える。 身体は、銃撃アクション・カーアクション・銀行強盗など目に見える動き。 感情は、心の動き。 怒りや喜び、好き嫌いなど。 キャラクターも同様です。 必要性の決定とは、 なぜそのキャラクターなのか?ということ。 そのキャラクターである必要性です。 アクションこそキャラクターというのは、 キャラクターはどう動くのか?ということ。 それぞれに関して、アイディアを思いつくだけノートに書き留め、探していきます。 登場人物(キャラクター)を作る キャラクターを考える時、内面と外面に分けて考えます。 内面は、感情の人生。 映画の始まりから終わりまで。 内面のキャラクターを身体で表現していく。 キャラクターの実状 図のように、キャラクターの現状を3要素で深く考えておくことも重要と言います。 人間は変化を求めるので、現状を設定しておくことで、ストーリーが止まりそうになったときのヒントになります。 3要素は以下の通り。 社会生活• 個人の人間関係• プライベート 社会生活は、仕事に関することです。 登場人物は今の仕事に満足しているのか?それとも不満なのか? 不満なら、本当にしたいことは何なのか? 個人の人間関係というのは、恋愛です。 結婚はしているのか?したいと思っているのか? 恋人はいるのか?いるなら、どこで出会ったのか? プライベートは、普段の生活の全て。 趣味はあるのか? 朝型の生活?それとも夜型? などなど。 4つの要素でキャラクターは魅力的か確認してみる 魅力的なキャラクターには、共通して4つの要素を持ち合わせています。 協力ではっきりとした、ドラマ上の欲求を持っている ドラマ上の欲求とは、ストーリー上で登場人物が成し遂げたいことや手に入れたいもの。 その欲求が、登場人物を突き動かします。 また、ドラマ上の欲求はストーリーの中で変わることもあり、それがプロットポイントになることがあります。 その人独自の考え方・ものの見方を持っている 例えば、宗教。 神を信じているのか? 何を信じて、何を信じないのか? 正解・不正解はないが、登場人物の行動の指針になる考え方・ものの見方。 ある事柄に対して、態度を示している 例えば、政治。 今の政治に反対?賛成? 反対なら、デモに参加するなど。 ストーリ上で何かしらの、変化や変身と遂げる。 変化は人間の欲求であり、魅力的な登場人物はストーリー上で変化や変身する。 その感情や行動の変化が明確であれば、登場人物は魅力的になる。 映画のオープニング 「映画をどう始めるか?」ということをしっかり考えておくこともまた重要です。 なぜなら、 脚本の面白さははじめの10ページ(映画の10分)で判断されるから。 そのため、多くの映画でオープニングに派手なアクションシーンや衝撃的なシーンが使われています。 この読み手や観客の注意を掴むシーン・出来事を インサイト・インシデントと言います。 直訳すると、「誘発する事件」。 次に起こることを誘発し、ストーリーを大きく動かす事件のことです。 英語の記事ですが、以下のリンクが参考になります。 さて、脚本のパラダイムでは、序盤は状況設定の役割を持つと書きました。 その中でも、オープニングでは、特に以下の3つに重きを置きながら進めていきます。 主要な登場人物は誰か• ドラマの前提は?何についてのストーリーか?• どんな世界観か? これらを、さらに細分化したオープニングのルールがこちら。 動き(セリフではなくアクション)の中で、ストーリーが進んでいる• 登場人物が明確• ドラマ上の前提が紹介されている• 世界観が作られている• ドラマ上の障害が生まれている• ドラマ上の欲求が生まれている このルールを意識しておくことで、その後のストーリーをスムーズに、そして重厚にできます。 シーンとシークエンス シーンとは、同一の時・場所でおこる出来事を収めた、ショットの集合体です。 場面とも言います。 なので、 時や場所が変われば、シーンは変わります。 シドいわく、各シーンはストーリーに関係する情報が必ず1つ以上明らかにされます。 シーンを書くコツとしては、• 結末 に分けて考えてみることです。 それを、1つに繋げるようにシーンを書いていく。 ポイントは、 シーンの目的(オチ)は最後までとっておくということ。 このようにしてシーンを書いていく上で、必ず理解しておくべきことがあります。 なぜ、その人物がそのシーンに必要か? そのシーンの目的は何か?(役割) そのアクションと会話はどのようにストーリーと関係しているのか? すべてのシーンは必然であり、意図されたものでなくてはいけません。 次にシークエンスですが、シーンが集まった1つの意味上のまとまりことを言います。 なので、1言で表現できるんですね。 (例)カーチェイス、結婚式、葬式、救出、出産、、、 脚本を書く上で役立つと思ったこと ここまで書いてきたことも当然脚本を書く上で重要です。 また、それ以外にも役立つと思ったことが書かれていたので、まとめていきます。 会話の目的 個人的に会話の内容を考えるのが非常に苦手です。 でも、以下の会話の目的を満たすように考えると考えやすいと思いました。 ストーリーを進めること• 登場人物の情報を明らかにすること。 どちらにもあてはまらない場合は、そのセリフは必要ないと考えることができます。 脚本30ページで14枚くらい。 120分なら、56枚くらい使用。 脚本については考えず、まずはこのカードを作ることに集中します。 自由に並べ替えたりすることで、話の流れを決定したところで、カードの情報を元に脚本を書いていく。 ドライブの監督である、ニコラス・ウィンディング・レフンがドキュメンタリーのなかで、この方法を使っていました。 書いているうちに湧いてくる、妨害衝動 脚本だけではないですが、やらなくてはいけないことを始めようとすると妨害衝動。 急に部屋の掃除をしたくなったり、眠くなったり、漫画を読んでしまったりした経験はありませんか? 妨害衝動とは、やらなきゃいけないことに対する、やらなくてもいい理由を探してしまうことです。 脚本を書いている途中で、新しいアイディアが浮かび、今書いている脚本が急につまらなく感じてしまうことがあるかもしれません。 この妨害衝動への対処法は、その衝動をただ認識すること。 そして、できれば衝動に対して反対の行動をとる。 そうすることで、妨害衝動に対応することができます。 書くことは書き直すことである Done is better than perfect(完璧より完了) なんて言葉もありますが、まずは書き上げることを目指す。 脚本は1度書ききって終わりということは、ありません。 天才でなければ。 「書くことは書き直すことである」と考えておくことが、脚本を前に進めることができます。 とりあえず書ききってみる。 これを目指しましょう。 以上が、「シド・フィールドの脚本術」のまとめでした。 簡単にしかまとめられておらず、これだけ見てもわからないことがあったかもしれません。 もし少しでも興味が湧いたなら、ぜひ購入してみてください。
次のシナリもん 映画を作るには、監督や俳優はもちろん、衣装を用意する人、小道具を作る人、カメラで撮影する人などたくさんのスタッフが必要です。 みんなが力を合わせて、初めて良い映画は作れます。 しかしスタッフの中に「自分は何をすればいいんだろう?」と 迷う人がいたら良い映画は作れません。 良い映画を作るには、 みんなが自分の役割に精一杯取り組まなければならないのです。 俳優は台詞を覚えなければいけないし、監督はどうやって演出するか頭をひねります。 衣装係は服装やかつらを用意して、カメラマンはどこから撮影するべきかを研究するのです。 そんな、みんなの役割が書いてある本が脚本です。 だからスタッフは全員同じ脚本を持って映画を作ります。 料理を作るときにレシピ本が必要なように、 映画を作るときには 脚本が必要なのです。 シナリもん 脚本は小説などと違います。 台詞がカギカッコで囲まれていたり、文章が箇条書きになっていたりするのが特徴です。 そのため 初めてだと 脚本は読みにくいかもしれません。 一方その脚本の独特な書き方は、俳優や監督、スタッフたちにとっては都合がいいのです。 カギカッコがあれば俳優は台詞をすぐに見つけられるし、箇条書きで書かれているとパッと映像が浮かびやすいメリットがあります。 つまり 脚本は映画を作るときに役立つ本なのです。 そもそも脚本は、小説などと目的が違います。 小説は読んで楽しむものですが、脚本は映画を作る時のレシピ本です。 小説は読者によって解釈が異なることがあるかもしれませんが、 脚本は誰が読んでも内容が正確に伝わるように書かなければなりません。 そのため脚本の書き方にはルールがあります。 しかし難しく考える必要はなく、 台詞とト書きと柱書きで書けばいいだけです。 あとは小説などと同じで自由にアイディアを広げられます。 シナリもん 脚本家は、思いついたアイデアを元にして 脚本の執筆に取り掛かります。 また逆に、「このアイデアで書いてほしい」と映画を作る会社の人(プロデューサーなど)からお願いされて脚本を書くこともあるのです。 一方、上手くいかないこともあります。 例えば、 自分は面白くても他人にとってつまらないアイデアは、 映画にならないので 脚本が書けません。 また実績がない新人の場合、プロデューサーから脚本を書いてほしいとお願いされることもないでしょう。 脚本を書いていない時でも仕事はあります。 その一つが取材です。 脚本家は、本を読んだり、人から話を聞いたり、自分で体験したりして、題材に関する知識を深めます。 その上で 企画書やプロットなど物語の魅力を短くまとめた資料を作るのです。 プロデューサーに認められると、晴れて脚本を書き始められます。 当たり前ですが、脚本家だけで映画は作れません。 スタッフみんなが一致団結して制作がスタートします。 そのなかで 脚本家として認められるには事前準備が大切なのです。 シナリもん 脚本家になるには、シナリオコンクールに応募するのが近道です。 受賞者はもちろん、たとえ受賞できなくても「一緒に仕事をしてみたい」と審査員から評価されれば、プロ脚本家への道が開けます。 しかし、 脚本家になりたくてもなれない人が多いのも事実です。 この差はどこにあるのでしょうか。 脚本家になるには書き続けなければなりません。 たとえ10年以上書き続け、あと一歩で夢が叶うところまで到達していたとしても、書くことをやめた瞬間に脚本家への道は途絶えます。 逆に言えば、 書き続けてさえいれば 脚本家になれる可能性は残されているといえるでしょう。 ただし、脚本を書き続けるために生活が破綻してはいけません。 学校や仕事に追われる忙しい日常のなかで、必死に時間を作って脚本を書く必要があります。 そして書き上がった作品は、定期的にコンクールに応募してください。 脚本家になるにはこのような地道な努力が必要です。
次のシナリオとは? 映画やテレビなどの場面構成や人物の動き・セリフなどを書き込んだものをいいます。 映画でもドラマでもCMでも、ストーリー仕立てのものには必ずシナリオが存在します。 役者さんはそれを元に演技を作り、セリフも前もって覚えて、撮影に臨みます。 そんな映像制作には欠かせないシナリオ!その書き方を全3回でお伝えします! 【目次】 1. 1.シナリオの構成要素 シナリオは、実はとてもシンプル!たった3つの要素で成り立っています。 それは、 「柱」、「セリフ」、「ト書き」です。 それぞれを簡単に説明すると、 柱・・・1シーンの舞台となる場所、つまり、カメラを置く場所(撮影場所)。 セリフ・・・登場人物が話す言葉。 ト書き・・・人物の動作やそのシーンの状況を具体的に書き記したもの。 それでは、一つずつ細かくみていきましょう。 2.「柱」について 「柱」とは、その舞台となる場所、つまり、カメラを置く場所(撮影場所)のことを言います。 柱は、なるべく簡潔に、そして映像が思い浮かぶように具体的に書くよう心がけて下さい。 例えば、「道」だけでは、どのような道か伝わりませんね。 「商店街の大通り」とか、「学校の裏道」の様にわかりやすく簡潔に書きましょう。 それは、 監督や撮影スタッフが、そのシーンにぴったりの場所を選ぶ時に役立つからです。 同じ道を歩くのでもどんな道であるかで、ドラマ上、大きく意味合いが違ってくる場合もあります。 どんな「道」にすることで描きたいことを表現できるのか、感性を研ぎ澄まして決めましょう。 また、柱には、早朝、朝、夕、夜、深夜などの時間帯も記さなければなりません。 どうして、わざわざ朝や夜を書かなければならないのでしょうか? 実際、映画やドラマの現場では、朝から夜のシーンを撮ったりしなければならないことは日常茶飯事です。 この時間指定は、実は本来照明スタッフへの指示なのです。 ですから、昼のシーン以外は必ずその時間帯を指定することを忘れないで下さいね。 時間指定を忘れると、夜のシーンのつもりで書いていても昼のシーンになってしまう可能性もあります。 もちろん、この時間指定の表記は、読む上で時間経過をわかりやすくする機能も持ち合わせています。 書き方 原稿用紙の1マス目に〇を書き、その下に撮影場所を書きます。 時間帯は、柱の一番下にカッコを書いて記すことになっています。 3.「セリフ」について 「セリフ」とは、登場人物が話す言葉のことです。 良いセリフを書くことができれば、あなたの作品は魅力的になり、観ている人を感動させることができます。 ただしその分、書く上で一番難しいとされるのも、セリフです。 「どうもセリフが説明くさくなってしまう」 「ありきたりなセリフばっかりになってしまう」 「リアルなセリフが書けず、嘘っぽくなってしまう」 そんなスパイラルにはまってしまうと、どうやって書けばいいのかわからなくなってしまいます。 セリフはとっても奥が深いので、良いセリフを書く為の方法を次の回でしっかりと紹介していきます。 書き方 行頭に誰のセリフなのか人物名を書き、カギ括弧内にセリフを書きます。 2行目以降は、1字下げるのがルールです。 4.「ト書き」について 「ト書き」とは、人物の動作やそのシーンの状況を具体的に書き記したものを言います。 ト書きは、もともとは歌舞伎用語です。 歌舞伎の脚本では、古くから役者の動きや音楽を指定するために、「ト振り向いて」や「トやって来る」のように書かれていたことから、「ト書き」と言うようになりました。 「ト書き」も色々と注意点が多いので、別の機会で説明することにしましょう。 書き方 上から3字下げて、人物の動作や状況を記します。 そのシーンの現在の状況を指示するので、基本的には現在形で書きます。 過去形で書かないほうがいいです。 過去形で書く場合は、何か作者の意図があると思われます。 それについて答えられなければ、現在形にしておきましょう。 5.例文 では、一つ、例を用いて書き方をおさらいしていきましょう。 私が書いた短編ドラマの冒頭シーンです。 〇学校の裏道(夕方) 真宮純(13)が、柏木航平(13)と歩いてくる。 柏 木「お前、ホンマにやるんか?」 真 宮「おう。 手に入れたら拝ませたるわ」 柏木、ゴクッと唾を呑み込む。 分岐点にて、二手に分かれる真宮と柏木。 柏 木「・・・死ぬなよ」 真 宮「童貞のまま死ねるかよ!」 と、柏木に手を振る。 原稿用紙ではないので、何字下げるとかが分かりづらいと思いますが、シナリオが「柱」「セリフ」「ト書き」の3つの要素から成り立っているのをお分かり頂けたのではないでしょうか。 次の回では、セリフについて深堀りしていきます。 お楽しみに!.
次の