アンレバードベータとは、企業のリスクの中から財務リスクを除いて事業リスクのみを抽出したベータのことです。 なぜなら、株主は負債が多いほど、会社が倒産したときに自らの手元に戻ってくる金額が少なくなる可能性が高いという財務リスクを背負っているからです。 また、アンレバードベータを求めることをベータをアンレバー化するといいます。 (この数式の証明はこのページの下部をご覧ください。 ) 非上場企業におけるベータ算出例 ここでは、非上場企業F社のベータ算出を例にします。 ここでは類似企業をそれぞれZ社、N社、P社とし、次のように求められたとします。 40 45% 40. 7% 1. 11 N社 1. 35 35% 41. 7% 1. 12 P社 1. 28 10% 41. 3% 1. 14となるので、1. しかし、非上場企業の場合、バランスシート上の簿価の資本構成はわかっても、時価の資本構成(特に株主資本の時価)については、株価がないのでわかりません。 ) その場合は、対象企業は上場している企業に近い資本構成で事業運営されるという前提に立って、上場企業の資本構成を参考にします。 3) = 1. 29 税率は仮に41. 5%としています。 ) これが株主から見たF社のレバードベータ(リスク)になります。 アンレバードベータ その他の使い道 新規事業に参入して、会社のビジネスリスクが変化するとき アンレバードベータは、非上場企業のベータを求めるときだけでなく、ある会社が新規事業に参入する際、あるいは新規事業を買収する際のビジネスリスクを求めるときにも用いられます。 会社の事業構成を変える場合、それまでのベータで表されるリスクだけを考えるのは不十分で、新規事業のリスクを会社のリスクとして織り込む必要があります。 そこで、新規事業のビジネスだけのリスクを表すアンレバードベータを業界他社のアンレバードベータを参考に算出して、会社の新規事業を加える前のアンレバードベータと資産額ベースで加重平均します。 そこで、求めたアンレバードベータは、自社の資本構成に応じてレバードベータに変換してその会社のベータとして扱います。 事業部ごとのリスクを求めるとき 同じ会社の中でも、競争環境が全く異なる事業が複数ある場合、全社のベータを用いると投資の判断を誤ってしまうことから、事業部ごとにベータを求めることがあります。 その際にも業界他社を参考にアンレバードベータを求めます。 参考 アンレバードベータ計算式の導出 アンレバードベータの導出は、バランスシートから考えてきます。 次のように調達側の負債Dと資本Eが、負債の節税効果と無借金とした場合の資産に分かれていたとします。 otoken.
次のアンレバードベータとは、企業のリスクの中から財務リスクを除いて事業リスクのみを抽出したベータのことです。 なぜなら、株主は負債が多いほど、会社が倒産したときに自らの手元に戻ってくる金額が少なくなる可能性が高いという財務リスクを背負っているからです。 また、アンレバードベータを求めることをベータをアンレバー化するといいます。 (この数式の証明はこのページの下部をご覧ください。 ) 非上場企業におけるベータ算出例 ここでは、非上場企業F社のベータ算出を例にします。 ここでは類似企業をそれぞれZ社、N社、P社とし、次のように求められたとします。 40 45% 40. 7% 1. 11 N社 1. 35 35% 41. 7% 1. 12 P社 1. 28 10% 41. 3% 1. 14となるので、1. しかし、非上場企業の場合、バランスシート上の簿価の資本構成はわかっても、時価の資本構成(特に株主資本の時価)については、株価がないのでわかりません。 ) その場合は、対象企業は上場している企業に近い資本構成で事業運営されるという前提に立って、上場企業の資本構成を参考にします。 3) = 1. 29 税率は仮に41. 5%としています。 ) これが株主から見たF社のレバードベータ(リスク)になります。 アンレバードベータ その他の使い道 新規事業に参入して、会社のビジネスリスクが変化するとき アンレバードベータは、非上場企業のベータを求めるときだけでなく、ある会社が新規事業に参入する際、あるいは新規事業を買収する際のビジネスリスクを求めるときにも用いられます。 会社の事業構成を変える場合、それまでのベータで表されるリスクだけを考えるのは不十分で、新規事業のリスクを会社のリスクとして織り込む必要があります。 そこで、新規事業のビジネスだけのリスクを表すアンレバードベータを業界他社のアンレバードベータを参考に算出して、会社の新規事業を加える前のアンレバードベータと資産額ベースで加重平均します。 そこで、求めたアンレバードベータは、自社の資本構成に応じてレバードベータに変換してその会社のベータとして扱います。 事業部ごとのリスクを求めるとき 同じ会社の中でも、競争環境が全く異なる事業が複数ある場合、全社のベータを用いると投資の判断を誤ってしまうことから、事業部ごとにベータを求めることがあります。 その際にも業界他社を参考にアンレバードベータを求めます。 参考 アンレバードベータ計算式の導出 アンレバードベータの導出は、バランスシートから考えてきます。 次のように調達側の負債Dと資本Eが、負債の節税効果と無借金とした場合の資産に分かれていたとします。 otoken.
次のWACCの意味 WACCは、企業が達成すべき投資利回りの基準になる数値です。 企業買収や企業評価する際、あるいは、企業内の投資案件の評価をする際に用いられます。 企業が事業を運営していく上で必要な資金には負債と資本があり、それぞれ調達のためには金利や配当金など、調達のためのコストが必要となります。 WACCは、資本にかかるコストと、負債にかかるコストの加重平均する考え方で、その会社の総合的な資金調達コストを示します。 資金調達コストは、その会社がビジネスから得るべき最低利回りと同じになります。 なぜなら、会社は資金調達コストを上回る利回りをビジネスから得ることができなければ、その存在意義がないからです。 負債にかかるコスト 負債のコストとは、借入金に対する利息になります。 借入による資金調達には、何%かの利息をコストとして払う必要があります。 負債コストは、次の式から求める事ができます。 そこで、財務諸表から簡単に判別できる実際の支払利息と、期首・期末の有利子負債から計算します。 負債には節税効果があるので、負債コストは実効税率の分だけ割引かれます。 実効税率とは 実効税率とは、法人税や事業税、住民税などの税率に基づいて計算された総合的な税率のことです。 実効税率は、税効果会計や中期経営計画等で法人税等を想定する際に用いることが一般的で、実際の納税計算で使われることはありません。 実効税率は次の計算式によって表されます。 株主資本にかかるコスト 資本の調達先は主に株主です。 株主は企業に資金を投資することによって、他の投資機会(他の企業の株式や外為など)を奪われるうえ、元本割れのリスクを背負うことになります。 したがって、株主は企業への投資に対してリスクフリーの利回り以上の利回りを求めます。 逆に株主の期待する利回りを上回ることができなければ、株主は資金を投資してくれないでしょう。 株主が期待する利回りは、次のCAPMと呼ばれるモデルで算出することができます。 CAPMで株主資本コストを算出 株主資本コストは一般的にCAPM(Capital Asset Pricing Model 資本資産価格モデル)と呼ばれる理論に基づいて算出されます。 (CAPMはキャップエムと読みます) CAPMとは、株主が企業に期待する利回りのことで、理論上では企業はCAPM相当の利回りを株主に対して実現できなければ、株主資本は他の投資機会に奪われることになります。 CAPMでは株主資本コストを次のように求めます。 リスクフリーレートには、銀行預金や郵便貯金の利回りなどがありますが、一般的によく用いられるのが、10年ものの日本国債の利回りになります。 (厳密に言うと国債はリスクフリーではありませんが、日本の場合はほぼリスクフリーと考えて差し支えないと思います。 ただし、発展途上国などは経済が不安定なため、国債をリスクフリーと考えることができない場合があります。 最近では、2002年にアルゼンチンが国債のデフォルトをしています。 ) リスクフリーレートは、何かに投資をする際の意思決定に用いられます。 例えば、割とリスクの高い投資対象の利回りがリスクフリーレートより低かったら、始めから預金をしておいたほがマシという結論になります。 では、リスクフリーレートを上回りさえすればよいかというと、そういうわけでもありません。 リスクの高い投資対象の期待利回りには、リスクフリーレートの他にリスクプレミアムを上乗せします。 これによりリスクに見合うだけの利回りを算出し、投資対象がそれを上回るどうかで投資の意思決定をしていきます。 一般的に、リスクフリーレートとリスクプレミアムを加えたものを割引率として現在価値の算出を行います。 リスクプレミアムとは リスクプレミアムとは、投資をする際に資金を同じようなリスクにさらした場合の期待利回りとリスクフリーレートとの差をいいます。 元本を危険にさらすような投資の場合、期待利回りがリスクフリーレートより高くなるのは当然ですが、それをどの程度見ておけばよいか判断するときにリスクプレミアムを用います。 例えば、リスクフリーレートが1. 5%で、同じようなリスクの投資対象が5%の利回りの場合、リスクプレミアムは次のようになります。 (5%-1. 5%)=3. 5% 会社における投資判断では、無リスクということはまずあり得ないので、リスクプレミアムを考慮する必要があります。 リスクフリーレートとリスクプレミアムを用いた期待利回りとしてよく用いられのがWACCです。 例として、ある企業のある期間における株価上昇率が5%で市場全体の上昇率が4%だった場合、株主資本コストは次のようになります。 rE=1. 44%)=4. 64% WACCの計算例 以下のような条件でWACCを計算してみます。 44% + 1. 5% = 5. 94% 負債コストrD=125/5755 = 2. ここでは、WACCを用いる際に留意しておかなければならないWACCの限界について解説します。 WACCの限界1(時制の不一致) 企業の資本に対するコストはWACCで求められるとしました。 WACCは理論としてほぼ完璧で、今のところ資本コストの算出でWACCに変わるモデルはありません。 しかし、そのWACCにも限界がひとつあります。 WACCは、企業が将来創出するキャッシュに対する割引率として用いられます。 ということは、すべての要素は企業の未来の状況に基づいて考えなければなりません。 これがWACC(CAPM理論)の限界といわれています。 WACCの限界2(資本構成の変化が反映できない) WACCのもうひとつの限界は、資本構成によって負債コストと株主資本コストを加重平均しているという点です。 つまり、WACCによる割引率は、資本構成(負債と株主資本(時価)の割合)が将来にわたって一定であることを前提としているわけです。 逆に、将来の資本構成が変われば将来のWACCも変えなければいけないわけです。 しかし、株主資本の時価(つまり株価)が将来にわたって不明確である以上、一定という前提を立てることや将来のWACCを求めることはほぼ不可能に近いわけです。 したがって、でWACCを割引率に用いる場合、将来にわたって資本構成が安定していてWACCの変動が少ないと想定される場合に用いることができます。 (資本構成が安定しない場合のキャッシュフローの求め方としてAPV法というものがあります) APV法に関する記事はこちら WACCに関しての質問 YAHOO知恵袋にあったWACCに関する質問の中に私が答えたものがあるので、そのリンクをこちらに貼っておきます。 (なお、回答のリンク先は古いリンク切れのページになっていますこと、ご了承ください) まとめ 以上、WACCの解説でした。
次の