ドクター キリコ 事件。 ドクターキリコ事件

「ドクター・キリコ」の毒物宅配事件 犯人も青酸カリで命を絶った理由【平成の怪事件簿】

ドクター キリコ 事件

ドクターキリコ事件 ドクターキリコ事件 【事件概要】 1998年12月15日、3日前に毒物を飲んだ東京・杉並区の無職女性(24歳)が死亡した。 女性はインターネットを通して毒物を購入し、ある男の口座のその代金を振り込んでいたこともわかった。 同年8月にも同様の自殺があり、やはりこの男の口座に金が振りこまれていた。 まもなく札幌市内の男(27歳)も15日に自殺していたことがわかり、この男が女性らに毒物を郵送していたことがわかった。 毒物は青酸で、10日前後に宅配便で届けられており、送り主は札幌市の「草壁竜次」なる人物だった。 X子さんが搬送された杏林大学病院の担当医師は、すぐさま伝票に書かれたPHSに連絡した。 「まさか。 あれを本当に飲んでしまったんじゃないでしょうね。 あれは純度の高い青酸カリですよ。 その人(杉並の主婦)が死んだら、私も死にます」 男はそう言って電話を切った。 このため病院は警察と相談して、女性がまだ生きていることにしておこう、とした。 「女性から頼まれて青酸カリを送った。 カプセルで6錠だ。 普通は5万円だが、無職で金がないということだったので、3万円にしてやった」 「草壁」は偽名で判明したが、男はそう話した。 男はさらに7人に青酸カリを売ったことを認めたが、X子さんが死亡した15日から連絡がつかなくなっていた。 自殺したX子さんは、2年前から精神的に不安定になり、自殺未遂を数回図っていた。 3日、X子さんは「草壁」の銀行口座に3万円を振り込んでいる。 「草壁」は7日に入金を確認し、引き出している。 残金は数百円だった。 12日午後、宅配便を受け取った母親にその中身について尋ねられると、X子さんはこう答えている。 銀行口座開設の時に使用した健康保険証も偽物だった。 X子さんの交友関係にも「草壁」という男は見当たらない。 インターネットなどで知り合ったものかとも見られたが、彼女自身がそういうことに詳しいわけではなかった。 まもなく関係を仲介した人物が判明する。 練馬区の主婦A子(当時29歳)、彼女もまた死にたい1人で、「自殺ネットワーク」というホームページを運営していた。 X子さんとA子は病院で知り合い、「草壁」を紹介した。 「草壁」が不特定多数の人に、毒物を送っていたことがわかったのである。 15日未明、札幌市北区の塾講師の男性H(27歳)が自殺した。 家族が悲鳴を聞き、救急車を呼んで病院に運ばれた時にはすでに死亡していた。 男性はぜんそくの持病があったので、発作により亡くなったものと当初見られたが、25日になって毒物の送り主である可能性が出てきたため、血液を調べたところ、高濃度の青酸カリが検出された。 警視庁は被疑者死亡のまま、男性を「草壁」と断定、自殺幇助の容疑で書類送検した。 26日と27日、男性宅を家宅捜索。 毒物は発見されなかったが、壊れたパソコンなどが押収された。 パソコンは男性の父親が、自殺の理由を知りたいと思い、開いたところ壊れたのだという。 【ドクターキリコの診察室】 「安楽に逝くために。 無駄なく、苦しみ味わうことなく、安楽に、そして確実に逝きたい。 誰もが願うことでしょう」 このメッセージは「ドクターキリコの診察室」というホームページのイントロ部分である。 「ドクターキリコの診察室」とは、ハンドルネーム「美智子交合」なるA子のホームページ「安楽死狂会」の掲示板として開設されたものである。 A子とHは6月頃にネット上で知り合い、膨大な量のメールを交換していた。 HはA子から「(ホームページの)専属のドクターになって」と頼まれて、ここでは「草壁竜次」と名乗った。 「ドクターキリコ」とは手塚治虫の漫画「ブラックジャック」に出てくるキャラクターで、助かる見通しのない重病患者の安楽死を請け負う医師である。 なんとかして患者の命を救おうとするブラックジャックとは真逆のスタンスにいる。 「生きる望みをたたれた人間はむしろ楽に死なせてやった方がいい」 草壁もこうした考えを持つようになったのだろうか。 A子によると、死にたい人には誰でもかれでも毒物を送ったわけではないという。 失恋や受験失敗などの一過性の自殺念慮については送らず、カウンセリングをしてどうにもならない症状の人にだけ送ったらしい。 A子自身も、8月上旬にHから青酸カリ6錠を3万円で購入し、お守りがわりに持ち歩いていたが、「いつでも死ねるんだから、もう少し頑張って生きてみよう」と思うようになり、それを電話でHに伝えると、 「だろう?そういうものなんだよ。 僕はこれまで何人かの人にお守りを渡したけれど、誰も飲んだりしていない。 つまり、死なせてあげるためではなく、生きてもらうために毒物を送ったというのである。 このホームページを通じて、毒物の郵送をHに要求したのは、確認されただけでこの8人である。 これは後に青酸カリと判明している。 【草壁竜次】 Hは私立大学の化学科を卒業すると、札幌市の医薬品検査会社に就職。 しかし、朝礼でボーナスに関する不満を上司にぶつけ、「改善しなければ会社を辞める」と言って本当に辞めた。 96年には薬局に就職。 しかし4ヶ月ほどで辞めた後は学習塾の講師の仕事をしていた。 97年2月頃、薬品検査会社時代の取引相手であった薬品卸会社に「青酸カリを売ってくれ」と電話。 担当者は断ったが、しつこく頼み込み、「湖沼の水のカリウム検査のため」と説明してなんとか入手した。 その量は5g、660円ほどだった。 Hは薬学の専門家ではなかったが、薬学部に進みたいと考えていたこともあって、地道に勉強していたようだ。 「(量は)これくらいで死ねますか?」という質問に、「その10倍は必要です」などと丁寧に教えている。 薬のことについて勉強するために高価な専門書を購入するなど、なかなか熱心であり、「無理をなさらないで」という内容の投稿もあり、悩める人々から慕われていた。 もちろんネット上での相談であるから、誰もHとは会ったことはない。 会うことを望む人もいなかった。 11月には自分のPHSの番号も掲示板上に公開している。 ちなみに彼は毒物を郵送する時、伝票の品名欄に「EC」と書いている。 「エマージェンシー(緊急)・カプセル」という意味だった。 【識者よ黙れ】 事件がワイドショーなどで取り上げられると、次のような書きこみがあった。 「マスコミの扱いは偽善に満ちていた、特にフジテレビ。 殺人者扱いじゃないか。 カレーに毒盛ったわけじゃないし」(12月26日) 「いざとなったら草壁さんっておもっていたから生きて来れたのかもしれない。 (中略)草壁さんいないならまたクスリ溜めなくちゃ」(同日) 「すばらしい希望にみちあふれた世界へ旅立たれたキリコ先生のご冥福をお祈りします。 (中略)自殺が悪のように報道されていますが、どうしていけないの?死ぬよりもつらい苦しみを強いることがどうして善なのでしょう?最後の逃げ場まで強制的に奪い上げてさらにつらい苦しみ=いきていく事をおしつける。 そんな偽善者に満ちた社会に生きていたいと思いますか?」(同日) 「識者たち黙れ、キリコ先生の冥福をお祈りします。 残された私たちは、いろいろなものを奪われましたね。 自殺を語るだけで悪のように扱われている。 ネットの世界ですら居場所を奪うのか。 ただ静かに、安楽に逝きたかっただけなのに・・・・」(12月27日) なお、掲示板は同日中に閉鎖されている。 【トピックス ネットと事件、自殺】 この事件はインターネットの闇の部分が問題となった。 その後も自殺志願者達は、自殺サイトや掲示板を訪れ、同じ目的を持った人と一緒に死ぬ「ネット心中」が社会問題となる。 現実社会では、死にたいという気持ちがあっても、なかなかそれを口に出したりするのは憚られる。 だがネットの世界では、顔も知らない人相手だから、死にたい理由などを話しているうちに同情しあったり、お互い込み入った話はしないであくまで「一緒に死んでくれる人を探す」というドライな関係を構築しやすい。 05年には人の苦しむ表情に性的興奮を覚える男が、そうしたネット心中を呼びかけ、会った男女を殺害する、いわゆるが起こった。 また出会い系サイトで知り合った男女の痴情をめぐる殺人事件が起こり、親友と仲違いした小学生の女児が自身のホームページを攻撃し合い、果てに学校内で殺害するというもあった。 05年12月には長野県内の男が実の父親殺害をネット掲示板で知り合った男に依頼するというも起こっている。 だがどんな世界であっても、人間関係を築くうえで嫉妬、愛憎、勘違いなどはつきものである。 これはつまり、本当は出会うはずのなかった人を、犯罪の被害者、または加害者にしてしまう可能性を生み出したということなのかもしれない。

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ドクター・キリコ事件

ドクター キリコ 事件

ドクター・キリコ事件(ドクター・キリコじけん)とは、1998年12月12日に東京都杉並区で起きた毒殺による遠距離ネット心中とマスコミに報道された事件である。 1998年12月12日午後1時頃、被害者の女性(当時24歳)宅に青酸カリのカプセルが配達され、それを服用した女性が死亡した。 通報を受けた警察が送り主を調べたところ、架空の住所からであった。 また配達伝票には携帯電話の番号があり、電話したところ男性が出て、「女性が死んだら自分も死ぬ」と答えた(その時点では被害者の女性はまだ危篤状態であった)。 12月15日に女性が死亡。 また、男性も青酸カリを飲んで自殺した。 男性は、「青酸カリの保管委託」という名目で被害者の女性を含む数人に青酸カリを送付。 保管委託契約が終了する5年後には青酸カリを男性に返却するという契約であった。 自殺の幇助のためではなく、自殺を思いとどまらせるお守りとして送付していたとされる。 被害者の女性は送付された青酸カリを服用して自殺を試み、死に至った。 翌1999年2月12日、警視庁高井戸警察署は男性を自殺幇助の疑いで被疑者死亡のまま書類送検した。 送り主の男性は北海道在住で、東京都に住む主婦の女性(当時29歳)が運営していた「安楽死」を取り扱ったウェブサイトに設置された掲示板に「専属医」として招かれ、「ドクター・キリコ」というハンドルネームで参加していた。 男性自身、薬学関係に詳しく、掲示板へ書き込みにくる「自殺志願者」に対して、「診察」として相談を受けていた。 被害者となった女性は、ウェブサイト開設者の知人の知人であり、青酸カリを送付した男性をインターネット経由ではなく、電話での口コミによって紹介を受けた。 マスコミは、インターネット経由で知り合った男性から青酸カリを購入、服用して死亡した事件であると報道したが、事実とは異なる。 また、掲示板で相談を受けていた「あや」という女性とのやりとりから「キリコとあやの心中劇」として報道したマスコミも存在するが、「あや」はこの事件で死亡した女性ではありえない。 この錯誤は、日コン連代表山本隆雄の誘導によるものである。 ドクター・キリコとは、週刊少年チャンピオン(秋田書店)に連載されていた手塚治虫の漫画『ブラック・ジャック』に登場するキャラクターで、安楽死を行う医師の名前である。 ただしドクター・キリコは、あくまで手の施しようのない重症患者への処置として安楽死を行うのであり、安易な自殺や命を粗末にすることを嫌うキャラクターである。 男性はそれ以前にも自殺を扱う他の掲示板に参加し、「草壁竜次」というハンドルネームを用いていた。

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Dr.キリコ 白い死神

ドクター キリコ 事件

午後3時ころ、母親から宅配便を受け取った女性Aは間もなくブルブル震え出した。 様子がおかしくなったあと、「6錠全部飲んだ」と答え、女性Aの意識が薄れていった。 母親は119番に通報、女性Aは私立医大附属病院に運ばれた。 病院ではすぐに心臓蘇生を行い、成功したが、自己呼吸は不可能で脳死状態になった。 青酸カリ・・・シアン化カリウムのことで、これは無色の結晶からできており、高濃度の場合はアルカリ性に保っておかないと、シアン化水素を発生する。 この水溶液を俗に青酸と呼ぶ。 金属精錬やメッキ、殺虫剤などに使われる。 毒殺に用いられてきたものは、このシアン化カリウム塩あるいは、ナトリウム塩であり、どちらも水溶性で飲料にもよく溶ける。 シアン化水素の溶液を吸うだけで、皮膚がただれたり、癌になることがある。 また、シアン化水素の蒸気を吸うと、ほぼ瞬間的に麻痺が起き、けいれんが始まり、呼吸が止まり死亡する。 致死量は0.15〜0.3グラム。 宅配便の差出人欄には<草壁竜次>という名前と住所<札幌市豊平区・・・・・・>、連絡先には携帯電話のPHSの番号、品名には<EC>と書かれていた。 警視庁高井戸署が送り主の捜査を始めたが、その住所に該当する人物は存在せず、PHSの登録も電話料金を引き落とすための銀行口座も仮名で、その銀行口座を開設するときに提出された身分証明書としての健康保険証は偽造されたものだった。 「草壁竜次」も仮名だった。 高井戸署の署員がPHSにかけたところ、男が出た。 男は「青酸カリ入りのカプセル6錠を送った」「杉並の女性が死んだら自分も死ぬ」「あれは純度の高い青酸カリです。 6錠飲むと死にます。 ある女性に頼まれて送りました」「普通は(カプセル6錠で)5万円ですが、彼女は無職で金がないということだったので3万円にしました」と答えた。 12月3日、女性Aは「草壁竜次」名義の銀行口座に3万円を振り込み、12月7日に「草壁」は銀行からその代金を引き出し、12月10日に自宅から2キロほど離れた札幌駅よりのコンビニから宅配便で、女性A宛てに送ったのである。 12月15日午前2時過ぎ、病院に運ばれた女性Aが死亡した。 体内から致死量の15倍の青酸化合物を検出した。 女性Aは精神的に不安定な状態で、1996年(平成8年)ころから入退院を繰り返していた。 薬を常用しており、最近も家族に「死にたい」と漏らしていた。 これまでに数回、薬物による自殺未遂を図っているという。 遺書は見つかっていない。 同日、「草壁竜次」は自分が青酸カリを売った女性Aが自殺したことを知って自宅の2階の自室で自殺し、救急病院に運ばれて死亡したが、「草壁」の死亡は持病のぜんそくの発作による心臓停止と診断された。 女性Aと「草壁」の死亡時刻は奇しくも同じ頃だった。 「草壁」は札幌市に住む27歳の男性で、学習塾の非常勤講師だった。 千代田区内の私立大学の理工学部化学科を卒業し、札幌市内の医薬品開発研究会社や薬局に勤務していた。 薬剤師の資格はなかったが、勤務先では「毒劇物取扱主任の資格がある」などと話していたという。 12月25日、札幌の救急病院に保存されていた「草壁」の血液が検査され、女性Aが服毒した青酸カリと同じ成分と判明した。 綾瀬署の調べでは、死因は「バルビタール」という睡眠薬による薬物中毒だった。 この睡眠薬は主婦Bが通院していた医院の処方を受けて服用していた睡眠薬のようである。 主婦Bは1996年(平成8年)に結婚後、1997年(平成9年)に精神障害で通院し、投薬治療を受けていた。 主婦Bの死因と「草壁」とは関係なかったことになる。 その数週間後、コンテンツのひとつとして、「ドクター・キリコの診察室」という掲示板を設けた。 同年6月、主婦Cがインターネットの自殺系の掲示板を通じて、「草壁」と知り合っていたが、その際に、「草壁」が薬関係に詳しいので、「診察室」専属の「ドクター」になって欲しいと頼んで引き受けてもらうことになり、「草壁竜次」は「ドクター・キリコ」という名前で掲示板の専属「ドクター」になった。 また、主婦Cは他の掲示板で「草壁」が青酸カリを持っていたことを知り、譲り受けていた。 それは、「草壁」が「販売」したのではなく、「保管の委託」をしたのであり、その「保管」の期限は5年ということであった。 5年後には「草壁」に返すことになっていた。 「草壁」は主婦Cに「保管」は「お守り」という意味で、「持っていることが安心感を生む」として、飲まずに持っていてくれればいいと言っていた。 「委託料」は必要だったが、5年経ったら新しい「お守り」をあげるから、そのときは「委託料」は要らないと言った。 主婦Cは「保管」として譲り受けた青酸カリを飲むつもりでいたが、結局、飲むことが出来ず、「お守り」となった。 「草壁」は、譲り受けた誰もがそれを飲むことなく、逆に、自殺の衝動から解放される手段となる筈だと確信していた。 同じ練馬区に住む女性D(当時21歳)が主婦Cとインターネットを通じて知り合っていたが、死にたがっていた。 そこで、主婦Cは女性Dに「草壁」を紹介した。 その後、女性Dは「草壁」から「お守り」を入手したが、同じ病院の精神科の患者で、12月12日に青酸カリを飲んで自殺することになる杉並の女性Aに、「私はこういう『お守り』をもっている」と話したところ、女性Aから「私もそれがほしい」と言われたので、「草壁」のPHSの番号を教えたという。 その後、女性Aは「草壁」と直接、話をして青酸カリを入手したらしい。 ドクター・キリコ・・・手塚治虫の人気マンガ『ブラックジャック』に登場するキャラクターで、ブラックジャックと敵対し、病人を安楽死させようとする。 ドクター・キリコの診察室 ・・・安楽に逝く為に・・・ 無駄な苦しみを味わう事なく、安楽に、そして確実に逝きたい。 誰もが願う事でしょう。 『完全自殺マニュアル』が出版されて既に5年程が経過し、 あの中のお薬情報も、時代の経過と共に、一部『ずれ』も生じてきたようです。 5年経った今、あの中には紹介されていない、素敵なお薬も存在する事でしょう。 眠るように、安楽に逝きたい。 だけど、薬学の知識も無ければ、化学のイロハも知らない。 調べようにも、めんどくさい・・・(わたくしの事ですが) そこで、交合お知り合いの化学者・薬学者であるドクター・キリコ先生に ご登場頂き、交合からのお願いで、一肌脱いで戴く事となりました。 ここは、志願者が、より安楽に、そして確実に逝く為に、 適切なアドバイスを戴く診察室です。 キリコ先生は、薬学に関するエキスパートでいらっしゃいます。 交合・・・美智子交合(主婦C) 同年11月5日から12月27日までの53日間に、計40人余り(名前の数)の人が掲示板の「ドクター・キリコの診察室」にアクセスしている。 アクセスしてきた人からは、自殺に関する質問が頻繁に飛び交い、「草壁」はそれらの質問に淡々と真面目に、「ドクター・キリコ」として答えていた。 「ドクター・キリコ」は主に、『日本薬局方 (第7版)』を丸写しして、商品名、正式な成分名、主な作用、副作用、用法を説明し、マウスの単位重量あたりの致死量から算出した人間の致死量を「診察」と称して紹介している。 だが、この掲示板を見る限り、ここを通して青酸カリが譲渡された様子はない。 実際、掲示板には「青酸カリ」「シアン化カリウム」という言葉すらない。 N <リスロンSの致死量をうかがいましたが、リスロンS2箱(24錠)とアタP1箱(20錠)しか手に入りませんでした。 プラス酒やらでも、無理ですか?>(投稿日:11月5日) ドクター・キリコ <結果から言うと「全然足りないです・・・」かる〜く見積もってもその10倍以上は必要ですね。 その量では残念ながら酒をたしても悪酔いするだけでしょう。 近いうちに幾つかの医薬品の致死量について資料室に載せようかなと思っています。 (以下省略)>(投稿日:11月5日) 「草壁」は11月28日の掲示板に、自分のPHSの番号を載せた。 ドクター・キリコ <レスが遅れてスイマセン。 2度もカキコしていただいたようで・・・ お詫び方々 私のPHSの番号を公開します。 緊急を要する質問の場合はココにかけてきてください。 PHS番号公開には「反対」の声もあったのですが、掲示板で十分にカキコができない状態に陥ったときに、少しでもみなさんの役にたてばと思い、公開にふみ切りました。 ただし非通知の場合は着信しませんので、それはお許しください。 また不携帯(PHS)電話な物ですからでられるとは限りませんが、私がいて起きていればみなさんの質問を受け付けたいと思っております。 > 「草壁」は1997年(平成9年)2月、医薬品開発研究会社や薬局に勤務していた立場を悪用して、札幌市内の薬品卸会社で、青酸カリを購入。 9月、同じく札幌市内の薬局で青酸カリを購入。 翌1998年(平成10年)6月にも同じ薬局で青酸カリを購入し、合わせて500グラム以上の青酸カリを自宅に蓄えていた。 「草壁」はその後、杉並の女性A、足立区の女性B、ホームページ開設者の主婦C、練馬区の女性Dなど8人に、1人分の仕入れ値が約1円分の青酸カリを売り値(「草壁」によれば「保管の委託料」ということになるが)3〜5万円で送ったのだった。 2月12日、警視庁捜査1課と高井戸署は「草壁」を自殺幇助容疑で被疑者死亡のまま書類送検した。 日本では「自殺幇助」は、刑法202条によって、6ヶ月以上7年以下の懲役または禁固に処される。 自殺の意味を理解していない幼児や高度精神障害者に自殺を促した場合は殺人罪を適用することもある。 「草壁」の自殺は謎に包まれたままである。 「草壁竜次」という名前は、爆弾事件を起こして時効になった犯人の「草加次郎」の名前と似ているので、参考にしたとも思えるのだが・・・。 「ドクター・キリコ事件」は、インターネット経由で青酸カリを入手した者が自殺した事件と報じられたが、実際は口コミによって青酸カリを入手した人が自殺した事件だった。 だが、その翌年、インターネットを通じて入手した薬品を飲んで自殺を図るという次のような事件が起きている。 1999年(平成11年)8月、静岡市の無職の女性(当時38歳)は、兵庫県尼崎市の無職の女性が開設した自殺や安楽死をテーマにしたホームページに「死ねる薬ください」とメールを送った。 これに返信した女性は、筋弛緩系薬品100錠を入れた小包を郵送した。 メールで「薬はヨーグルトに溶かして飲みなさい」などと自殺方法もアドバイスしていた。 小包は静岡市内の郵便局留めの代金引き換え郵便として発送され、8月26日、静岡の女性が窓口に出向き、現金5万円を支払って受け取っていた。 同日夜、この女性は豊橋市内のビジネスホテルに1人でチェックインしたが、その後、応答がなかったため、翌27日午後、従業員の119番通報により救急隊員が室内に入り、ベッドで倒れている女性を発見した。 ベッドわきに残っていたヨーグルトから筋弛緩系薬の成分が検出された。 静岡の女性が「ホームページで知り合った女性から入手した薬を飲んだ」と話したことからメールの交信記録を分析し、メールの相手を突き止めた。 2000年(平成12年)1月6日、静岡の女性に薬品を郵送した女性(当時32歳)を自殺幇助未遂の疑いで逮捕した。 この女性は精神科で治療を受けていた。 さらに、その翌年には、次のようなネットで知り合った者同士の心中事件が起きている。 2000年(平成12年)10月25日、福井県北部にある空き家で、2人の男女が死んでいるのを男性の家族が発見した。 2人とも睡眠薬を大量に飲んでいた。 10月上旬、2人は、自殺に関する情報を集めたホームページで知り合った福井県内の歯科医師の男性(46歳)と愛知県内の元会社員の女性(25歳)だった。 男性は家族関係の問題や体調不良で、女性は家庭環境についてそれぞれ悩んでいた。 知り合ってからは、自殺について度々、メールを交換するようになっていた。 直接会ったのは自殺の数日前で、睡眠薬は男性が用意したらしい。 美智子交合の著書にがある。

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