日本赤十字社助産師学校卒業後、大学病院総合周産期母子医療センターにて9年勤務。 現在は神奈川県横浜市の助産院マタニティハウスSATOにて勤務しております。 妊娠から出産、産後までトータルサポートのできる助... 初めての妊娠では、食べ物や過ごし方など、いろいろなことが気になりますよね。 特にホルモンバランスの変化で精神的に不安定になりやすい妊娠初期は、小さな疑問が大きな不安につながってしまうこともあります。 なかでも、妊娠初期の寝方は、妊婦さんによくある疑問の一つです。 今回は、妊娠初期のうつぶせ寝には問題がないのか、どんなリスクや注意点があるのかをご説明します。 妊娠初期の母体の状態と過ごし方は? 妊娠初期は、胎盤やへその緒、赤ちゃんのさまざまな器官などが形成される、とても大切な時期です。 つわりでつらい思いをする人も多くいますが、食べられるものをできる範囲で食べたり、こまめに水分補給してくださいね。 この時期は、まだそれほどお腹が目立たないものの、デリケートな時期なので無理は禁物です。 外出時はバッグにマタニティマークをつけるなどして、周囲に協力をお願いするのも一つの方法です。 妊娠する前と比べて心身ともに変化があって戸惑ったり、仕事との両立などに悩んだりすることもあるかもしれませんが、まずは赤ちゃんとママの体を第一に考えたマタニティライフを送りましょう。 関連記事 妊娠初期にうつぶせで寝てもいいの?リスクはある? 妊娠初期の赤ちゃんは、胎盤と羊水でしっかりと守られているので、ママの寝方が赤ちゃんに悪影響を与えることはありません。 普段からうつぶせ寝だとリラックスできるという人は、引き続きうつぶせで寝ても大丈夫です。 自分が楽だと感じる体勢で寝ましょう。 ただし、妊娠初期にお腹の張りがあり、少し安静にしても治まらないようであれば、念のため産婦人科を受診してください。 また、お腹がだんだんと大きくなってきて、うつぶせや仰向けが苦しくなってきたら注意が必要です。 基本的に、ママが苦しい姿勢は赤ちゃんにとってもあまり良くないと考え、なるべく楽な寝方をしてくださいね。 関連記事 妊娠初期の寝方の注意点は? 妊娠初期の寝方で避けたいのは、座ったまま机などに突っ伏して長時間寝てしまうことです。 長い時間座ったままの姿勢でいることで体の血流が悪くなり、さらにお腹を内側にして背中を丸めているので、肩こりや腰痛を引き起こしやすくなってしまいます。 妊娠初期は体型がほとんど変わらないので、つわりなどの妊娠初期症状がなければ、無理をしてしまいがちです。 しかし、妊婦さんの体の中ではホルモンバランスが大きく変化しており、体調が変わりやすい時期です。 また、妊娠週数が進むにつれて、思うように体を動かせなくなってくるので、できるだけ妊娠初期から体を労ってあげてください。 もし仕事中などに気分が悪くなったら、デスクに突っ伏すのではなく、できるだけ静かで横になれる場所へ移動しましょう。 関連記事 妊娠初期を過ぎたら、うつぶせ以外の寝方をすべき? 妊娠初期を過ぎてお腹が大きくなり、うつぶせで寝るのが苦しくなってきたら、抱き枕を使った「シムスの体位」を試してみてください。 上のイラストのとおり、左側を下にして寝て、左足をまっすぐ伸ばし、右足の膝を曲げて抱き枕に乗せます。 抱き枕がなければ、膝の下に座布団やクッションを置きましょう。 シムスの体位は、お腹の右側にある太い血管(下大静脈)を子宮が圧迫しないよう、左を下にして寝るのが基本です。 しかし、ずっと同じ向きで寝ると苦しいという場合は、たまに体の右側を下にしたり、仰向けで寝たりするのもいいですね。 ただし、妊娠後期になるとお腹がだいぶ大きくなり、張りやすくなってくるので、仰向けで寝ていると大きくなった子宮で血管が圧迫され、低血圧・めまい・腰痛などさまざまなマイナートラブルが起こりやすくなるので注意しましょう。 シムスの体位には血液の循環を改善するだけでなく、リラックス効果も期待できるので、ぜひ試してみてくださいね。 妊娠初期はうつぶせで寝ても大丈夫! 妊娠すると、自分ひとりの体ではなくなるので、寝方一つを取っても「赤ちゃんに影響はないかな?」と心配になってしまうものです。 しかし、妊娠初期はうつぶせでも仰向けでも問題はないので、あまり深く考えすぎずに自分が心地よいと思えるスタイルで寝ましょう。 つわりなどで体調がつらいこともある時期なので、疲れやストレスを溜めこまないようゆっくり睡眠をとってくださいね。
次の妊娠初期の寝方は 妊婦の寝方は、妊娠時期によって最適な状態が変わってきます。 なぜなら、子宮の大きさや赤ちゃんの重さに違いがあるからです。 妊娠初期は、まだ子宮も小さく他の臓器を圧迫することはないので、寝方の体勢に気を付ける必要はないでしょう。 また、妊娠初期はつわり症状が出る方も多いため、特定の寝方にこだわるよりも一番楽な体勢を見つけて休むことを優先すべきです。 妊娠初期は眠気が起きやすい時期 妊娠初期は、とにかく眠くて仕方がなかったという方が多いのは、妊娠初期に急スピードで身体の状態が変わっていくからです。 妊娠初期は、子宮を大きくするために骨盤の靭帯や筋肉が緩み始め、ホルモンバランスが急変し、体温も上昇し、胎盤が作られて、赤ちゃんに送られる栄養を増やすために血液量も増加していきます。 短期間で身体の構造が一気に変わっていくため、身体をできるだけ安静にしておく必要があるのです。 眠気は身体を安静にするために作用する防衛反応のひとつと考えられているため、妊娠初期は特に眠気が強くなってしまうのでしょう。 妊娠中期の寝方は 妊娠中期に入ると、胎盤が完成して身体の状態も落ち着いてくるため、つわりも治まってくるようになります。 ただ、妊娠中期に入ると少しずつお腹が大きくなってくるため、次第に寝る時の姿勢に違和感を覚える方が出てくるでしょう。 お腹の大きさには個人差がありますし、苦しいと感じる体勢や時期にも違いがありますので、自分が一番楽に寝られる寝方を見つけられるようにすると良いでしょう。 ただ、妊娠中期も後半に差し掛かると、かなりお腹が大きくなってくるため、仰向けの寝方が辛く感じてくる場合もあります。 その時は、妊娠後期で行うシムスの体位の寝方を試みると良いでしょう。 妊娠後期、臨月の寝方は 妊娠後期に入ると、お腹はかなり大きくなっていきます。 ニワトリの卵くらいの大きさだった子宮も、みぞおちに迫るくらいまで広がるため、周囲の内臓や血管を圧迫しやすくなります。 そのため、寝方の体位が決まらず寝苦しさを感じる方が増えてくるでしょう。 妊娠後期、臨月の妊婦の寝方として、オススメとされているのが「シムスの体位」です。 この寝方により身体がずいぶん楽になるので、ご紹介しておきましょう。 なぜ左下のシムスの体位がいいの? シムスの体位は、19世紀ごろに提唱された寝方のひとつで、イギリスの産婦人科医J・マリオン・シムズが広めたとされています。 もともとシムスの体位は昏睡状態にある患者の気道確保の姿勢や、直腸検査でとられる姿勢でした。 しかし、この寝方は妊婦にとって最適で、血流が良くなって身体が楽になり、気分もリラックスできるということから、それ以来多くの妊婦に勧められるようになったのです。 左下のシムスの体位のやり方 シムスの体位のやり方は、まず左側の身体が下になるように横向きに寝ます。 下になっている左側の手と足は少し後ろ側に引いて軽く曲げておき、右側の手と足は少し前側に曲げて、うつ伏せに近い体勢になりましょう。 お腹に圧迫感を感じるようなら、うつ伏せの状態を少し戻すようにしてください。 シムスの体位がやりにくい場合 シムスの体位は、横向き寝とうつぶせ寝の中間という寝方になります。 ただ、初めてこの寝方をやってみた方の中には、あまりしっくり来なかったり、寝にくかったりすることもあるでしょう。 その場合は、クッションや抱き枕を使用すると体勢が取りやすくなります。 柔らかさや大きさによって好みのものがあると思いますので、いろいろ試してみると良いでしょう。 お腹が大きくなったら仰向けの寝方に注意 妊娠初期はいろんな寝方をしても問題はありませんが、妊娠中期や妊娠後期、臨月にお腹が大きくなってきた時は、仰向けの寝方に注意するようにしましょう。 お腹が大きくなるにつれて、周辺の臓器や血管を圧迫しやすくなるため、長時間仰向けの寝方をすることにより身体の不調が引き起こされやすくなるからです。 どのような不調が起きやすくなるのか、ご紹介していきましょう。 仰向けは胃を圧迫しやすい お腹が大きくなってくる妊娠中期~妊娠後期、臨月に仰向けの寝方をすると、胃が圧迫されてムカムカと気分が悪くなることがあります。 中には、逆流性食道炎を引き起こす場合もあるでしょう。 食事の直後などお腹がいっぱいになった状態で仰向けの寝方をすると、このような症状が引き起こされやすいので、しばらく時間を置くかシムスの体位で横向きに寝るようにするか対策を取るようにしましょう。 仰向けは仰臥位低血圧症候群の危険性 お腹が大きくなってくる妊娠中期~妊娠後期、臨月に仰向けの寝方をすると、仰臥位低血圧症候群(ギョウガイテイケツアツショウコウグン)を引き起こす可能性があります。 仰臥位低血圧症候群とは、大きくなった子宮が下大静脈を圧迫することで急激な血圧低下が引き起こされる症状のことを言います。 子宮により下大静脈が圧迫されると、心臓に戻るべき血液が急激に減少し、心臓は血液が少ない状態で動くようになります。 戻ってくる血液量が減ると、送り出す血液量も減少していくため、血圧が急速に低下して身体に送られるはずの血液量も減少してしまうのです。 そのため、仰臥位低血圧症候群が引き起こされると、息苦しさを感じたり、心臓の鼓動を強く感じたり、意識がもうろうとして場合によっては失神してしまうこともあります。 この状態が長く続くと、赤ちゃんに送られる血流にも影響し、酸素や栄養が充分に行きわたらなくなる可能性があるので、仰向けの寝方で具合が悪くなってきたと感じたら、すぐに体勢を変えるようにしましょう。 仰向けはお腹が張りやすくなる お腹が大きくなってくる妊娠中期~後期、臨月に仰向け寝の寝方をすると、お腹が張りやすくなります。 これは、子宮の重さで下大静脈が圧迫されているだけでなく、子宮が背骨側に沈んで行くことで周囲の筋肉や皮膚が引っ張られるからです。 妊娠後期は特にお腹が張りやすくなるので、仰向けの寝方でお腹が張りはじめたらシムスの体位を取るようにしましょう。 仰向けはむくみや静脈瘤の発生しやすい お腹が大きくなってくる妊娠中期~妊娠後期、臨月に仰向けの寝方をすると、下半身にむくみや静脈瘤が発生しやすくなります。 大きくなった子宮が下大静脈を圧迫し、下半身の血液やリンパ液が心臓へと戻りにくくなるからです。 血流が停滞すると、間質液などの水分バランスが崩れて細胞に染み出していき、飽和状態となった水分が皮膚の下に溜まりやすくなります。 そのため、下半身にむくみが生じやすくなってしまうのです。 また、その状態が長く続くとたくさんの血液が静脈に停滞して、皮膚を凸凹させる静脈瘤を引き起こしてしまうでしょう。 横向きならどちらの向きでもいいの? お腹が大きくなってくる妊娠中期~妊娠後期、臨月にかけては、仰向け寝で寝ると仰臥位低血圧症候群を引き起こす可能性があるため、シムスの体位がオススメです。 ただ、それなら左側の身体を下に寝る横向きだけでなく、右側の身体を下にして寝るのも良いのではないかと思う方もいらっしゃるでしょう。 右下の横向き寝はNG 左下で シムスの体位のように横向きに寝れば、左下も右下も同じでは?と思う方もいらっしゃるでしょうが、左下と右下では大きな違いがあります。 なぜなら、下大静脈は背骨の右側にあるからです。 背骨を中心にみると、右側に下大静脈、左に大動脈で、その上に子宮が乗っかっている状態になります。 仰向けの状態になると、柔らかい下大静脈だけが圧迫され血流が停滞しやすくなりますが、動脈は構造が強いため子宮の重さでも圧迫されて血流が滞ることはありません。 そのため、右側の身体を下にして寝ると、仰向けと同じように下大静脈を圧迫してしまうようになるのです。 どうしても仰向けの寝方にしたい場合 シムスの体位が妊婦の身体に良いことはわかるけれど、肩が痛い、腕がしびれるなどクッションを利用してもどうしても寝にくいという方もいらっしゃるでしょう。 できれば仰向けの寝方に近い方が良いという方は、仰向けの寝方で右半身の下にクッションをはさみ、身体に少し傾斜をつけるようにしてください。 仰向け寝に近い状態でも、30度身体が傾斜しているだけで下大静脈の圧迫を緩和することができます。 人によって快適な寝方は違う 妊娠後期はシムスの寝方がオススメですが、人によって快適な寝方には違いがあります。 臨月まで仰向け寝が一番楽だったという方もいるので、必ずしもシムスの体位でなければならないというわけではありません。 逆に、シムスの体位で寝なければと身体が緊張してしまうようでは意味がないため、自分が一番リラックスできて快適な寝方を取るようにしましょう。 仰向け寝でも、ちょこちょこと体勢を変えていれば、長時間下大静脈を圧迫し続けることはありません。 ただ、仰向け寝で気分が悪くなったりする場合は、一時的でも良いのでシムスの体位を取るようにしてください。 寝方で逆子が直る場合も 妊娠中期から後期にかけて、今までの姿勢では寝苦しくなってきた妊婦さんも多いことでしょう。 妊娠中にお勧めの寝方はすでにご紹介しているとおりですが、実は逆子が直るといわれている寝方があります。 基本は横向きの寝方なのですが、赤ちゃんの背骨が左右どちらにあるかで寝る方向が変わるのが特徴です。 赤ちゃんの背骨がお母さんの右側にある時は左を下にして、お母さんの左側にある時は右を下にした寝方を習慣にすると、赤ちゃんがお腹の中でぐるっと回り逆子が直るといわれています。 始める前に、まず定期健診で赤ちゃんの背骨の位置をエコーで確認してもらいましょう。 ただやはりすぐには効果が出ないので、毎日の習慣として取り入れていくのが大事です。 妊娠後期とくに臨月は熟睡しにくい 妊娠後期の後半臨月になりお腹が大きくなってくると、長時間眠りつづけられなくなってきます。 人によっては2~3時間ごとに目が覚めてしまうこともあるでしょう。 妊娠後期に熟睡しにくくなってくるのは、さまざまな身体の変化が関係しているからです。 寝返りの衝撃が強いから寝れない 妊娠後期、臨月はお腹が大きくなるため、仰向けの寝方だと身体に不調が生じやすくなります。 ただ、シムスの体位でずっと寝続けるのも辛い部分があるでしょう。 ヒトは、寝ている間に何度も寝返りをして血流が滞るのを防ぐ本能があります。 妊婦も同じように寝返りを打ちますが、お腹が大きいため寝返りがスムーズにできず、寝返りできた時の身体の衝撃も強いため、自然と眠気が覚めてしまうようになるのです。 胎動が強くなるから寝れない 妊娠後期に入ると、赤ちゃんは大きくなっていきますし、徐々に羊水の量が減っていくため、より胎動を感じやすくなります。 赤ちゃんは昼夜関係なく動きますから、寝ている間の胎動を感じやすくなるのです。 人によっては激しい胎動で痛みを感じる方もいらっしゃいますから、夜中の胎動の強さに何度もたたき起こされる状態になってしまいます。 ただ、この胎動も臨月に入ると落ち着いてくるようになるでしょう。 出産後の予行練習 妊娠後期、臨月に眠りが浅くなるのは、出産後の生活リズムになれるための予行練習とも言われています。 出産後は赤ちゃんの生活リズムに合わせて生活するようになるため、夜中でも2時間~3時間おきにおむつを替えたり授乳したりしなくてはなりません。 そのため、出産前から予行練習しておくことで、いざ産まれた後も適応しやすくなるのです。 出産への不安から寝れない 妊娠後期、臨月に眠りが浅くなるのは、出産への不安を感じているからかもしれません。 妊娠後期に入ると、いよいよお産が近づいていることを実感しやすいですし、出産後の準備も始まるため、考え事が増えるようになります。 四六時中考えることが増えてくると、脳が活発な状態が続き眠気が起きにくくなってしまい、眠りが浅くなってしまいます。 1人で悩みや不安を抱えていると、マタニティブルーに陥りやすくなるので、先輩ママや病院の先生、家族などに相談するようにしましょう。 また、アロマオイルでリラックスしたり、マッサージをしたり、ホットミルクを飲んだりしてリラックスした状態で眠りの準備を進めるのもオススメです。 熟睡できないときは仮眠・昼寝のすすめ 夜きちんと眠れないことがストレスとなってしまうのならば、開き直って日中に寝れなかった分を昼寝でカバーしてみてはいかがでしょうか。 もちろん上の子の世話や家事で忙しく、1・2時間の昼寝すらも出来ないことがあるかもしれません。 眠くて頭がフラフラの状態では無理をしても危ないですから、家事子供の世話の合間合間に15分・20分と仮眠を取りましょう。 20分程度の昼寝はパワーナップと呼ばれ、脳の働きをリフレッシュしたり疲労回復・眠気防止に効果があると言われています。 アメリカで実証され、現在では欧米や日本の企業や学校でも注目され始めていますから、この効果をぜひ試してみてはいかがでしょうか。 まとめ 妊婦の寝方について詳しくご紹介しました。 妊娠初期なら、どんな寝方でも問題ありませんが、妊娠中期~妊娠後期にかけてはお腹が大きくなってくるのでシムスの体位がオススメです。 お腹が大きい時期に仰向けの寝方で長時間い続けると、下大静脈を圧迫してさまざまな悪影響が出る可能性があるので、気分が優れなくなってきたときはすぐに体勢を変えるようにしましょう。 妊娠後期は、お腹が大きく胎動も激しいため、普通に眠るだけでも一苦労になりますが、自分にとって快適な寝方を見つけ少しでも熟睡できるようにしてください。
次の看護師・助産師を免許を取得後、未熟児病棟、脳神経外科病棟、産科病棟で医療業務に従事。 その後、医療現場での経験を活かして、青年海外協力隊の看護職としてアフリカに2年間駐在し、現地の医療技術向上に貢献。 妊娠中、お腹が大きくなってくると気になるのが、夜眠るときの「寝方」ではないでしょうか。 特に、妊娠前は眠る姿勢がいつも仰向けだったという人は、「いつまで仰向けに寝てもいいのかな」と気になりますよね。 そこで今回は、妊婦さんはいつまで仰向けで寝ていいのか、お腹が大きくなってから仰向けに寝ると母体や胎児に影響があるのか、妊婦のおすすめの寝方はあるのかなどをご説明します。 妊娠中に仰向け寝がよくないといわれるのはなぜ? 妊娠中に仰向け寝がよくないといわれるのは、大きなお腹が、体の太い血管(下大静脈)を圧迫するリスクがあるからです。 妊娠後期になると、子宮底はおへその上あたりまで届いているので、体内の臓器や血管を圧迫しています。 その原因で、足のむくみや静脈瘤などを発症しやすくなっています。 寝ている間に息苦しくなったり、眠りが浅くなったりする可能性もあり、お腹が大きくなってきたら仰向け寝はしないほうがよいといわれています。 妊婦はいつまで仰向けで寝ても大丈夫? 妊娠後期になったら仰向け寝はよくないといわれていると、「いつまでだったらいいの?」と疑問に思いますよね。 実は、妊娠後期に仰向けに寝たとしても、ママ自身が苦しくないのであれば問題はありません。 先輩ママのなかには臨月まで仰向けで寝るのが楽だったという人がいるくらいです。 妊娠中の仰向け寝はいつまでという決まりはなく、楽に感じるかどうかで判断してください。 朝起きたときにお腹が強く張っているときは、睡眠中の圧迫が強いことが考えられるので、寝る姿勢を変える方が良いでしょう。 妊娠後期は特にお腹が張りやすいので、注意が必要です。 関連記事 妊娠中の仰向けは赤ちゃんに悪影響はないの? 自分にとっては楽な姿勢だとしても、仰向けに寝ていると「お腹の赤ちゃんは苦しくないのかな?」と不安に感じるかもしれません。 お腹が張ったり、血流が悪くなったりしたときの、赤ちゃんへの影響が気になると思います。 仰向けに寝たからといってすぐに赤ちゃんに悪影響があるわけではありません。 仰向けに寝ても自分が楽な状態なら過度に心配しないでください。 しかし、基本的にママが苦しいときは、赤ちゃんにとっても苦しい状態だといえるので、自分がつらいと感じるときは要注意です。 妊娠中の仰向け寝で苦しいときは仰臥位低血圧症候群かも? お腹の大きくなった妊娠後期に仰向けで寝ていると、子宮が太い血管を圧迫し、血流が急激に減ります。 その結果、血圧が著しく下がり、呼吸困難やめまい、吐き気といった症状が現れることがあります。 これが、「仰臥位低血圧症候群(ぎょうがいていけつあつしょうこうぐん)」の症状です。 仰向けで寝ていて息苦しいと感じる人は、この仰臥位低血圧症候群にかかっている可能性があります。 ただし、仰向け寝で息苦しいからといって、仰臥位低血圧症候群であると一概に判断することはできません。 ほかの症状と合わせて考え、不安なときは医師に相談しましょう。 また、自分にあった仰向けではない寝方を見つけることも大切です。 妊娠中におすすめの寝方は? 妊娠初期であれば、仰向けでもうつ伏せでも寝方は自由で問題ありませんが、お腹が大きくなってきたらおすすめの寝方があります。 「シムス体位」といって、体の左側を下にして、横向きに寝る姿勢です。 下にある左足を真っすぐ伸ばし、右足は曲げてベッドの上に置きます。 そしてお腹に負担がかからない程度に上半身をうつ伏せ気味にかぶせてください。 クッションや抱き枕などを抱えるようにすると、体勢が安定しますよ。 お腹や膝の下にクッションを当てるのも寝やすくておすすめです。 左側を下にすることで、下大静脈が開放されるので血流がよくなります。 妊婦さんにとってリラックスできる姿勢ですよ。 ただ、どうしても仰向けのほうが落ち着くという場合は、背中にクッションやタオルを入れて、少し角度をつけてみてください。 圧迫がやわらぐのでリラックスできる上、仰臥位低血圧症候群の予防にもなります。 関連記事 妊娠中の仰向け寝には気をつけよう お腹が大きくなってくるまでは、寝方のことを気にしすぎることはありません。 自分が楽だと思える姿勢で寝るのが一番です。 しかし、お腹が大きくなってきたら寝方にも気をつけましょう。 少しずつ、シムスの体位で寝るように習慣づけてみるといいですよ。 マタニティライフを健康的に過ごすために、睡眠はとても大切です。 妊娠後期はただでさえ眠りが浅くなりがちなので、寝方のせいで息苦しくなったりよく眠れなくなったりすると、精神的にもイライラしやすく、体力的にも疲れやすくなります。 日頃の睡眠を充実させるためにも、運動や自分なりのストレス解消法を心がけ、リラックスできる寝方を見つけてくださいね。
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