2013年シーズン24連勝を記録した田中将大投手の決め球となったスプリットの握り方・投げ方です。 一般的にフォークやスプリットを操るピッチャーは、真ん中低目をめがけて投げますが、田中将大投手はこのスプリットを内外角に投げ分けていたといいます。 また、通常このような落ちる球は決め球としてだけ使用することが多いのですが、田中将大投手はカウント球(追い込む前に投げる球)としても使用しています。 その場合はやや高めに投げ、バッターの目線を上下にずらすのだそうです。 非常に高いレベルのスプリットです。 握り方 ツーシームの方向からボールを若干回転させて人差し指と中指でボールを挟みます。 人差し指を縫い目に沿わせ、中指は縫い目には掛けず、親指と薬指の第一関節付近が縫い目にかかります。 ただ縫い目を意識して投げることはないのだそうです。 また、楽天に在籍した頃、一時期人差し指を縫い目にかけない握り方も試みていたようです(下記画像)。 Yankeesのユニフォームを着た田中将大投手の写真を丹念に調べてみましたが、現在はこの握りでは投げていないようです。 握り方画像 投げ方 ストレートと同じ腕の振りで投げます。 ボールを真下に叩きつけるようなイメージで腕を振り下ろします。 手首は固定したままでスナップは使いません。 膝元の低目からワンバウンドするかしないか程度の高さに落ちるような軌道をイメージすると良いようです。 球速 138㌔~145㌔ バッターからは初速はほとんどストレートと変わらないように見えるそうです。 変化軌道とバッターの反応 ストレートの軌道からバッターの手前で急激に落ちます。 球速が速いときはボール2,3個分ですが、140㌔以下になるとほとんどフォークボールのような軌道を描きます。 ボールの回転が比較的多いため(単純な縦回転でもない様子)、バッターはストレートとの見分けがつきにくく、ほとんどの場合ボールのかなり上を空振りします。 24連勝した2013年はワンバウンドでも空振りを奪うのをよく見ました。 メジャーに渡ってからは見逃し三振が増えたように思います。 余談 握り方自体は、週刊ベースボールに載っていたファルケンボーグの握り方を真似したとの事。 特にアレンジも加えず、田中将大投手自身が意識していることもないそうです。 すぐにブルペンで試して、使えそうだったので次の試合から早速使っていたのだとか。 田中将大投手は実は以前、フォークボールを投げていました。 しかし、2010年の投球データを見返すと、打たれたヒット数は159本、そのうち長打が35本で、そのほとんどがフォークのすっぽ抜けだったのです。 そこで一旦、フォークを封印。 そんな時にファルケンボーグ投手の握り方を週刊ベースボールで見つけ実践したみたところ、これがはまったのだとか。 すっぽ抜けても低めにきまるスプリットを習得した翌2011年、打たれた長打は27本にまで減ったのだそうです。 関連する記事• 金子千尋投手のチェンジアップの握り方・投げ方です。 握り方 ボールはフォーシームの方向で中指・薬指の指先を縫い目にかけます。 小指は指先の薬指側の腹を縫[…]• 西村健太郎投手のシュートの握り方・投げ方です。 握り方 最も基本的なツーシームの握り方です。 縫い目が最も狭くなっている部分に人差し指と中指を縫い目にか[…]• 二刀流大谷翔平投手のフォークの握り方・投げ方を紹介します。 ボールの縫い目が広がっていく部分を人差し指と中指で挟み親指は人差し指の下の縫い目に原の部分で[…]• メジャーでも一斉を風靡した野茂のフォークです。 握り方 人差し指と中指でボールを挟みます。 ボールはツーシームの方向ではさみ、特に縫い目に掛けることはあ[…]• 握り方大野豊投手のカーブです。 握り方は一般的なツーシームの握り方から、指一つ分内側にずらして握ります。 投げ方人差し指と中指側、中指の薬指側に縫い目がか[…]• 大野豊投手の縦スライダーです。 当時はスラーブと呼ばれていた変化球で、スライダーの横の変化に縦の変化が加わった変化球です。 カーブよりスピードが速く、スラ[…].
次のスプリットとは フォークやスプリットはストレートの軌道からストンと落ちるボールの為、三振を奪う決め球として最も有効な変化球の一つです。 しかしフォークは大きく開いた人差し指と中指の間から抜くように投げる為、指が長く、ボールをしっかり挟める投手しか投げられませんでした。 その為握りを浅くして指が短い投手でも投げることが出来るように改良されたのがスプリットです。 70年代にメジャーで生まれ、80年代半ばに日本に伝えられたスプリットは20数年の時を経て、2013年に開幕から24連勝の世界記録で東北楽天ゴールデンイーグルスを創設初の日本一に導いた田中将大投手(元楽天、現ヤンキース)が投げたことによって日本球界に再び一大ムーブメントを巻き起こしました。 握り FRONT 人差し指の内側に縫い目がかかるように持ち、親指は第一関節の内側に触れる程度。 SIDE 隙間ができるように浅く握る。 BACK 人差し指のみ縫い目にかける。 投げ方 ツーシームのようにスナップは利かせず、手首をロックしてリリース時に親指を投げたいコースへ押し込むように投げます。 よく言われるのは手首を返さずに投げるとのことですが、私にはその感覚がよく分かりませんでした。 手首のロックとは親指を投げたいコースに突き刺すイメージです。 このイメージはチェンジアップやツーシーム、ワンシームにも応用できます。 軌道 ストレートに近いスピードで打者の手元で沈みます。 まとめ 三振を狙うとき、空振りが欲しいときに打者の左右関係なく投げます。 すっぽ抜けずに低めに投げさせすればボールは必ず落ちます。 人差し指のみ縫い目にかけるのは保険です。 まっすぐ沈むのが理想ですが、うまく沈まなかったときに人差し指が縫い目にかかっていることで右打者の内側や左打者の外側に変化して被害を小さくしてくれるからです。 田中投手が投げて脚光を浴びて以降、日本人外国人問わずこのスプリットが流行しました。 フォークの握りより浅く握っても投げられるので、フォークの握りが合わない方は試してみてはいかかでしょうか。
次の西武の松坂大輔投手が「スプリットチェンジ」という、日本のファンには聞き慣れない球種を投げた。 15日のヤクルト戦で、村上を三振に斬った球だ。 実はこの球種、松坂は10年前から取り組んでいる。 レッドソックス時代の2010年9月26日(日本時間27日)のヤンキース戦。 「ファレル(投手コーチ)に教えてもらって、試したら試合でも使えそうだった。 指の位置でスピードを簡単に変えられる。 この先ずっと使える球になればいい」と話していた。 松坂は人さし指と親指で円を作り、残り3本の指で滑らせるように投げる「サークルチェンジ」というチェンジアップを武器にしているが、「スプリットチェンジ」は人さし指をあまり曲げず、ボールを人さし指と中指から抜くフォークに近いもの。 細かく、小さい変化で沈む。 しかし、日本復帰後はあまり使っていなかった。 本人は10日ほど前に「(同僚の)ニールに握りと投げ方を教わった」と話したが、日本の球でもしっかりと鋭く落ちることを確認できたのは収穫だ。 なぜなら「落ちる球」は松坂がキャンプ前から今季のキーとなる球種と考えていたからだ。 1月下旬に「カットボールとツーシーム(シュート)という横の変化に縦を加えたい。 でも、大きな変化はいらない」と話していた。 細かくボールを動かして打者のスイングを惑わす。 そして凡打に打ち取るために変化量を調整する。 宮崎キャンプから人知れず投げていた球に、ニールのヒントで改良が加えられた。 さらに、松坂はもう一つのチェンジアップも隠し持っている。 一時期メジャーで「ストレートチェンジ」といわれた球種である。 素人目には「スプリットチェンジ」との差は分からない。 まだ底は見せていない。 開幕延期が決まり、ここからの練習試合は原則従来の公式戦日程と同じ相手、つまりパ・リーグ相手の戦いとなる。 手の内を隠す必要があるのか、ないのか。 「色々な考え方はありますが、僕の場合は全部見せたとしても駆け引きなので。 毎回同じパターンというものはないので」と意に介していない。 肩と肘の状態は15年に日本に戻ってきてから最高といっていい。 このまま異常なく開幕を迎えてくれれば、無数の球種の組み合わせによる投球術をみせてくれるはずだ。 (記者コラム・倉橋 憲史) 2020年03月17日 08時00分 野球.
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