タンカーといえば、石油を運ぶオイルタンカーがまずあげられます。 中でも大型なのが、経済や暮らしをエネルギー面から支える原油を運ぶ 原油タンカーです。 原油タンカーには、サイズ別に種類があります。 原油タンカー サイズ別呼称• VLCC( Very Large Crude oil Carrier):20万〜32万重量トン級• スエズマックスタンカー: 14万~15万重量トン級 スエズ運河航行可能な最大船型• アフラマックスタンカー:8万~12万重量トン級 構造・特徴 何種類かの原油を積み分けられるように、通常は縦2-3つの区画に仕切られたタンク状の船倉(カーゴタンク)を持ち、さらにそれらは横方向に数区画に分割されています。 揚げ荷役は、陸から離れた水深の深い場所に設けた基地(シーバース)から、船のパイプと基地のパイプを接続して行うのが一般的です。 プロダクトタンカーとケミカルタンカーは、基本的な船体構造や荷役方法は原油タンカーと同じですが、多種類の貨物を積み合わせられるように、タンク数を多くしている船もあります。 また、パイプラインやカーゴポンプもタンクごとに独立させ、個々の石油精製品や化学品が混ざらないように配慮しています。 貨物の特性から原油に比べてタンクやパイプが腐食しやすいので、タンクにステンレスなどの腐食に強い材料を用いたり、特殊な塗装をタンク内部やパイプに施したりなどの工夫が施されています。 原油を精製する設備のない地域への輸送に活躍します。 次の3種類のサイズに大別され、さまざまな地域へ必要とされる量を輸送します。 近年需要が高まり大型化が進んでいます。 プロダクトタンカー サイズ別呼称• MR型 Medium Range : 25,000〜 60,000重量トン• プロパンやブタンなどの石油ガスを液化した液化石油ガス( Liquefied Petroleum Gas=LPG)を運ぶタンカーです。 LPGタンカーの中にはプロパンやブタンに加えて化学繊維や肥料の原料となるアンモニアや石油化学製品の原料となるプロピレンなども液化して輸送できるタイプもあります。 プロパンとブタンの長距離輸送には主として大型LPGタンカー(Very Large Gas Carrier=VLGC)が利用されますが、VLGCは貨物を冷却して液化しています。 プロパンとブタンの沸点はそれぞれマイナス42. 2度・マイナス0. 5度ですので貨物を積載するタンクには低温に耐えうる特殊な材質の鋼材が用いられているほか、貨物の温度を常時沸点以下にするための再液化装置という特別な装置が備わっています。 その他、貨物を加圧して液化するLPGタンカーもありますが、主として内航船など、小型船で採用されています。 世界初、メタノールを燃料とする主機関を搭載した「メタノールタンカー」 アルコールの一種でホルマリンの原料やアルコールランプの燃料などとして使用されるメタノールを専門に輸送するケミカルタンカーが「メタノールタンカー」です。 2016年、商船三井は、貨物であるメタノールと重油の2元燃料に対応可能な低速ディーゼルエンジンを搭載した新造のメタノールタンカー3隻を船隊に加えました。 また、硫黄分を含まないことから、硫黄酸化物 SOx や粒子状物質(PM)の排出も大幅に削減することができます。 環境にやさしい燃料の使用に加え、最新の通信技術とIoT・AI技術を駆使するなど、最新鋭の「エコシップ」として技術的に優れていると高く評価された3隻は、「シップ・オブ・ザ・イヤー2016」の「技術特別賞」を受賞しました。
次の詳細は「」を参照 タンカーは通常、類を輸送する油槽船を指す。 搭載する油種はのほか、精製された、などを扱う「プロダクト・タンカー」と呼ばれる船もある。 低速で航行する巨大な油槽船は、大きければそれだけ燃費を低減できるため可能であればますます大きな船体が求められる。 他の大型貨物船とは異なり、大型タンカーの油の積卸しには岸壁ではなく、が使われることがほとんどであり、喫水によって港で制約を受けることがない。 しかし一方で、通過できる運河や海峡が制約されて不経済な遠回りの航路を強いられる、長時間の荷役にかかる時間のロス、機関やなどが特殊なものとなる、など大型化による不利益な面も多くあるため、際限なく大型化できるわけではない。 21世紀初頭の現在は、30万が最大級である。 軍用のタンカーは「補給艦」と総称されるが、さらなる区分として、他艦船へ洋上給油を行うための設備を持つものは「給油艦 きゅうゆ-かん 」、給油設備を持たない輸送専門のものは「油槽艦 ゆそう-かん 」と呼ばれる。 詳細は「」を参照 外観 [ ] 油槽船は平たい甲板上に多数のパイプが走っているため、輸送船の中では比較的分かりやすい姿をしている。 安全確保のために機関室を油槽と離す必要があり、ほぼすべての船で船尾に機関室と船橋、居住区画が置かれる「アフトエンジン形式」になっている。 大きさによる分類 原油輸送を中心とする大型タンカーは大きさによっていくつかに分類される。 :Ultra Large Crude Oil Carrier - 30万重量トン以上• :Very Large Crude Oil Carrier - 20-30万重量トン 最大21m• :AFRA Max - 約10万重量トン• :Panamax Max - 5万~8万重量トン 最大幅32. 2m VLCCまでが中東日本間での原油輸送時にマラッカ海峡の最大喫水21mを通過できるため、日本への原油輸送の主力を担っている。 2010年にスエズ運河の浚渫作業が終われば21mのVLCC相当になる予定である。 シングルハル(一重船殻構造) [ ] 2001年4月に開催された(IMO)内の海洋環境保護委員会で、MARPOL()条約対象であるシングルハル・タンカー(船体全部が一重船殻構造:Single Hull)の使用を原則船齢25年で順次廃止し、最終使用期限も原則2015年に決定された。 2002年9月1日発効。 カテゴリー1 2万重量トン以上で1981年以前のMARPOL条約対象建造船 - 2003年から2007年間に船齢順に廃止。 カテゴリー2 2万重量トン以上で1982-1996年MARPOL条約対象建造船 - 2003年以降船齢25年のタンカーから順次廃止。 カテゴリー3 5千重量トン以上2万重量トン未満のMARPOL条約対象外建造船 - 2003年以降船齢25年のタンカーから順次廃止。 例外事項• 旗国の許可により、2017年まで使用可能。 MARPOL条約終結国は、2015年以降においてシングルハル・タンカーの入港を拒否できる権利を有する。 ダブルハル(二重船殻構造) [ ] に沖で発生したタンカー「」ので、による大規模な環境汚染が発生したため、よりIMO()の取り決めで7月以降に建造契約されるか、または以降完成の積載重量600トン以上の新造油槽船については船体全部が二重船殻(ダブルハル:Double Hull)構造とし、既に建造済みの一重船殻(Single Hull)タンカーの廃船を促すなど、事故発生時の環境負荷リスクの低い油槽船への切り替えが義務付けられた。 ミッドデッキ構造 [ ] 日本発の建造規格である。 原油タンクを上下の2層にだけ分け、だけを二重船殻構造にして船底は一重船殻構造のままである。 上下のタンクを分ける中間デッキが喫水線より下にある点が重要で、これにより下のタンクの原油の圧力は常に周囲の水圧よりも低く保たれる為、衝突・座礁によって下部タンクの底に穴が開いても海水より比重の軽い原油はタンクの上方へ押しやられ、理論上は原油が漏れる事が無い。 (IMO)海洋環境保護委員会でも、ダブルハル構造と共に1993年7月以降建造が認められている。 構造上、ダブルハル・タンカーより舷側の二重構造幅を広く取れるため、舷側から来る衝撃で起こるタンクへの損傷度合いも、ダブルハル・タンカーより軽くできる。 隔壁 油槽内の油は流動性を持ち「復原性に対する自由水影響」を避けるために、多数の隔壁によって細かく仕切られている。 安全空間の確保 機関室は安全のため、タンクの後方に配置し、タンクとの間を空き部屋やポンプルーム、燃料油により隔離するようには求めている。 また空荷で荒天の場合でもプロペラが水面上に出ないように原油タンク内への注水を避けるために、十分なバラストタンクの設置が国際条約で定められている。 荷役 油槽船への油の積荷は送油側の陸上よりで送り込まれるが、揚荷の場合には油槽船側のポンプによって取り出される。 パイプラインは2~3種類の油が混ざらないように分けて搭載できるようになっており、大量に送油できるメインのラインの1つと、残油を扱うストリップラインが1つある。 メインのパイプラインから揚荷時に使用するポンプはで駆動され、大きな油槽船では数台が設置されている。 大型油槽船での油の送受は万一火災が発生した場合、非常に危険であるため、陸から離れた海上のシーバース(Sea berth)で行なわれる。 シーバースには大型ブイがあり、大型ブイは海底パイプラインによって地上設備とつながっている。 大型油槽船と大型ブイの間はフローティング・ホースによって接続され荷役が行なわれる。 また、シーバースの使用により狭い港での接岸の手間と危険や余計な浚渫工事も省かれる。 イナート・ガス装置 積荷の油が発火するのを防止するために、ボイラーからの排ガスからススや硫黄燃焼物、湿気を取り除いて油槽内に送る「イナート・ガス装置」によって、油槽内に不活性化ガス(イナート・ガス)を送り込む。 バラストタンク 油槽船はその荷物の性質上、産油国から消費国へ石油類の一方通行の輸送を行なっている。 常に片道は荷物を積まない状態で運航されている。 そのような、油槽内に石油類が積まれず空荷の時には、巨大なタンクがすべて浮力を持つために、船体が異常に浮き上がり、船尾の舵やプロペラ、船首のが水面上に出てしまう。 これは推進効率の低下や、過回転による機関やのの原因となるため、専用のタンクに海水を注水して浮力の相殺を行なう。 それだけでは十分でない古い船の場合には、石油のタンク、つまり油槽にも注水する。 また、油槽は修理や検査の前には洗浄されねばならない。 油槽を洗浄した後のはクリーン・バラスト水であり、洗浄せずに油槽に入れたバラスト水はダーティ・バラスト水と呼ばれる。 (IMO)では、船舶の移動に伴う排出が環境への影響を防止する目的で、が採択されている。 スロップタンク 油槽をバラストタンクとして使用した場合の上部の水やタンク内を洗浄した油濁液はスロップタンクに蓄えられて時間をかけて油と水に分離され、水は海へ排出される。 スロップタンクは縦に長い形をして、油との分離をなるべく容易にしている。 スロップタンクに残ったスロップの上に次回の積荷の油が入れられる。 この方法は「ロード・オン・トップ」(Load on Top)またはROB(Retention Oil on Board)と呼ばれる。 バラスト水と環境問題 船体の浮沈を調節するために消費国の海でバラストタンクに積まれた海水は、産油国で石油類の積荷の前に海へと排出される。 結果として消費国の海水が産油国の海へと運ばれる。 これらの海水に含まれる水中生物が意図しない侵入者となるとなっている。 バラスト水を船内に取り込む時に網で生物を入れないようにすれば良いといった簡単な問題ではなく、海水にはエビやカニの幼生をはじめ微小な生物が多数含まれているため、目の粗いフィルターでは簡単には生物を排除できず、それらを除去できるような細かな目のフィルターは単位時間あたりの処理能力の問題から現実的ではない。 現代では環境に配慮してバラスト水をできるだけ積まないようにしている。 救命艇 油槽船やLPG船、LNG船で火災が発生した場合には大きな火炎となって周囲を焼き尽くす事態が考えられるため、これらのタンカーでは特別に設計された救命艇が装備されている。 45度ほどに傾けて後部甲板等に用意された自由降下式救命艇に必要な避難乗員が搭乗して準備が整うと、斜めの角度で海面に向けて落下して着水し火災現場である本船から遠ざかる。 この救命艇は全体が密閉式の耐熱カプセルになっており、屋根に散水して炎と熱から艇体を防護し、低速ながら自航して避難が可能となっている。 火炎によって周囲の酸素が失われる場合に備えて、10分間程度ならば艇内に備え付けの酸素ボンベによって乗員の呼吸が可能になっている。 歴史 [ ] 日本で最初に建造されたタンカーは1908年の大阪鉄工所櫻島製「虎丸」531総トンで油槽容量は400トンであった。 1956年、政府による封鎖によって中東からヨーロッパへの原油の海上輸送にはアフリカ南端、を回らなければならなくなり、それまでのスエズ運河通航の上限であった載貨重量43,000トン型の規制に縛られず、輸送コストの上昇を補うためにタンカーの大型化競争が始まった。 1955年以前は大きくとも6万重量トン以下であったタンカーも、1956年「ユニヴァース・リーダー」(85,500重量トン)、1959年「ユニヴァース・アポロ」(104,520重量トン)、1962年「」(132,334重量トン)、1966年1月「東京丸」(151,265重量トン)、1966年12月「」(209,302重量トン)と大型化。 1967年の第二次スエズ運河閉鎖で更に船型の巨大化を招き、1968年「」(331,826重量トン)、1971年「」(372,698重量トン)、1973年「」(483,664重量トン)、1975年「」(484,377重量トン)といったULCCが建造。 1973年ので石油の消費が一段落する1976年には50万重量トン超のULCC「」(553,662重量トン)が現れた。 (最大は1979年建造の「シーワイズ・ジャイアント(現)」(564,763重量トン)) オイルショック以後の燃料価格の高騰に対応するために、タンカーもそれまでの蒸気タービンエンジンから燃費の良いディーゼルエンジンへと変更されるなど、さまざまな方法での燃費の向上策が採られた。 1972年竣工の「ジャパン・アイリス」(IHI製)は252,059tの油を4万馬力の蒸気タービン1基(減速後84. 7rpm)により16. 1972年竣工の「鳥取丸」(MHI製)は237,383tの油を34,000馬力の蒸気タービン1基(減速後90rpm)により15. 8ノットの速度で運航し、166. 1967年3月、英国コーンワル沖で「」(Torrey Canyon)が座礁して事故を起こした。 この後、IMCO(現在の)でタンカーの油流出事故に対応する船体設計の規制について検討し、1971年に個々の油槽の積載容量に対して上限を設ける規則を制定した。 1973年には、油槽をバラストタンクに使用して油の混ざった水を海洋投棄する事を禁じたSBT規則が制定された。 1978年にはイナートガスをタンク内に注入するよう規則が制定された。 1989年にはが起きた。 1992年には1993年以降に建造されるタンカーに対して二重船殻構造規則が制定された。 LNGタンカー [ ] 詳細は「」を参照 LNGタンカーは液化天然ガスを専門に輸送する船舶である。 液化天然ガスは比重が軽く0. 5以下であり、メタンを主成分としていて摂氏-161. 85と比べてもかなり軽いため、他のタンカーと比べても船体に対する荷の体積が必然的に大きくなり、船体のシルエットでも水線上の部分が大く見える。 超低温条件下でも船体構造材が脆性破壊を起こさない工夫や火気に対する配慮が図られている。 タンクの形式には独立球型(モス型)、独立角型、独立円筒型、メンブレン型などがあり、4個から10個程度のタンクを船体内に一列に備え、上部は甲板上に出ていることが多い。 メンブレン型を除けば独立支持タンクがLNGを圧力をかけて保持しており周囲を断熱材で囲ってある。 メンブレン型ではメンブレン(薄膜)と呼ばれる薄いまたはがタンク支持を兼ねる断熱材をはさんで船体そのものによって保持され、強度が保たれている。 いずれの形式でも船体は二重船殻構造をとり、事故からタンクを保護している。 以前から丸いタンクが甲板から突き出すのは船尾にある船橋からの前方視界がわるく、また、独立球型のタンクでの亀裂問題があってからは、メンブレン型が見直されて、タンクの形が丸型から角型になる傾向がある。 航行中、気化した天然ガスを再液化するための設備はこれまで大型であったため、主機関にを利用し、気化したガス(ボイルオフ・ガス、BOG)をメインボイラーのガス専焼やガス焚きディーゼルなどで(燃料として)燃焼処分がなされてきた。 近年では、再液化装置の小型化に成功しを主機関としたLNGタンカーも出てきた。 LPGタンカー [ ] 詳細は「」を参照 なお、海軍によっては後方支援や一般的な物流業務などの目的から一般的なタンカーが運用されている事もある。 この場合は油槽艦と呼ぶ事が多い(米海軍のチャンピオン級など)。 簡易の洋上給油能力を持つ場合もある。 砕氷タンカー [ ] ロシアがの油田から石油と天然ガスを輸送するため、造船に設計と製造を依頼した。 7 m の氷を砕くことができる。 推進には・IPSと同様の、プロペラを前にした、自由に方向を変えられるドライブが採用された。 船以外のタンカー [ ] 航空機 [ ] 基本的に貨物倉庫がタンク使用になっているものを「タンカー」と呼ぶ。 以下の種類がある。 油槽機 [ ].
次のタンカーのマニホールドにローディングアームを接続して、タンカーと岸壁のステーションの間で積み荷が移送される 石油タンカー上での作業は、これまでの最良の経験と国際法に基づいて行われる。 積み荷をタンカーに積み込み、タンカーから積み降ろす方法はいくつかある。 1つの方法は、船を岸壁に繋留してホースかローディングアームを接続して行うものである。 他には、沖合いのに船を繋留して、水面下でホースを接続して行う方法がある。 また船から船へ転送する方法もある。 この場合、2隻の船は海上で並んでマニフォールドからマニフォールドへ接続された柔軟なホースで石油を転送する。 この方法はタンカーが大きすぎて特定の港に入港できないような場合にもしばしば用いられる。 転送前の準備 積み荷の転送作業を始める前に、船の一等航海士は、どれだけの量の積み荷を移送し、どのタンクから転送し、船のバランスがどのように変わるか、作業の詳細を定めた転送計画を作らなければならない。 次の手順としては転送前打ち合わせがある。 この打ち合わせでは、どのような種類の石油が転送されるか、転送の順序、関係者の氏名と肩書き、船側と陸上側の設備の詳細、転送中の重要な状態、定められている規制、緊急事態や漏洩防止の手順、監視と勤務体制、終了処理などを打ち合わせる。 打ち合わせが完了すると、船側の責任者と陸上側の責任者が最終チェックリストを再点検する。 アメリカ合衆国では、このチェックリストはDOI Declaration of Inspection と呼ばれる。 チェックリストにある項目は以下の通りである。 積み荷移送作業がまさに始まる時に通知されるべき適切な担当者• マニフォールドで積み荷を監視する適切な要員がいるか• 禁煙・裸火禁止の警告表示• 消火設備が緊急の使用に備えられているか• 繋留がしっかりしていて、緊急時の曳航ワイヤーが適切に備えられているか• 船と陸上の通信システムが正しく動作しているか• 許可されていない作業が実施されていないこと• 許可されていない人員が船上にいないこと• 安全な照明があること• 調理室への事前警告が行われていること• 積み荷タンクのリードが閉鎖されていること• マニフォールドの雫受けが使われていること• 不活性ガスシステムが点検されていること• 乗員施設への全てのドアとポートが閉鎖されていること• 空調設備が内部循環に設定されていること• 船と陸上の安全な往来ができること• タンクの換気設備が点検されていること• 船が自力航行可能な状態であること• 緊急時の遮断が了解されていること• 適切な旗が掲げられ、信号灯火が示されていること• 石油の漏れを防ぐため、甲板の排水口全てが閉鎖されていること• 許可されていない船舶がそばにいないこと• 積み荷配管が適切に設定され、使われない全てのバルブが閉鎖されていること• 全ての必要な火花防止具(アレスタ)が適切な状態で設置されていること 積み込み マニフォールドに接続された管により石油が積み込み・積み降ろされる 石油タンカーへの積み込みは、で石油を船のタンクに流し込むことによって行われる。 石油がタンクに入るにつれて、タンク内の空気を何らかの方法で排出する必要がある。 地域の規制により、この空気は大気中に放出されるか、あるいは空気戻し配管によりポンプステーションへ送り返される。 また、釣り合いを保つために積み込み作業中にバラスト水を移動させることが普通である。 積み込みは、設備がうまく動作していて接続がきちんとしていることを確認するために、低圧でゆっくりと開始される。 その後安定した圧力になり、タンクがほぼ一杯になった"topping-off"(満タン)の段階まで維持される。 満タンになる状態は石油を扱う上でとても危険な時期であり、取り扱い手順は特に注意深く行われる。 タンクの計量装置により担当者はあとどれくらいタンクに空間が残っているかを知ることができるようになっており、全てのタンカーは少なくとも2つの異なる計量装置を備えている。 タンカーが石油で満たされるにつれて、乗員はバルブを開いたり閉じたりして石油の流れを変え、ポンプ設備と緊密に連絡をとって石油の流れを減らし最終的に止めるようにする。 積み降ろし VLCCに設置されたこのポンプは、1時間に5,000立方メートルの石油を移送できる タンカーから石油を積み降ろす処理は積み込みに似ているが、いくつか重要な点で異なっている。 最初の手順は、積み込みの際と同じ転送前手順を行うことである。 積み降ろしの際には、石油を陸上へ送るために用いられるのは船に設置された積み荷ポンプである。 積み込みのときと同じ様に、設備がうまく動作していて接続がきちんとしていることを確認するために、低圧でゆっくりと開始される。 その後安定した圧力となり積み降ろし作業中維持される。 積み降ろし作業中、タンクの石油残量が注意深く監視され、またマニフォールドの接続箇所や船のポンプ室など重要な場所も監視される。 担当者の指示の下、船員がバルブを開いたり閉じたりして石油の流れを変え、地上側の受け入れ設備と緊密な連絡を取って石油の流れを減らし、最終的に停止させる。 タンクの清掃 VLCC級石油タンカーの油槽配置 それぞれの油槽には前方から順番に番号が振られ、左舷側は"Port"を意味する"P"が、中央は"Center"を意味する"C"が、右舷側は"Starboard"を意味する"S"が加えられる。 船尾側の左右にスロップタンク Slop tank がある。 時によって異なるが様々な理由によりタンクを清掃する必要がある。 1つの理由としては、タンク内に入れて輸送する石油の種類を変更するということがある。 また、タンク内に入って検査したり保守したりする必要がある時には、単に清掃するだけではなく石油蒸気の無い状態にしなければならない。 ほとんどの原油タンカーでは清掃用に専用の原油洗浄システムが備えられており 、タンク洗浄システムを通じて積み荷の一部を循環させることで、ワックスやアスファルト状物質を取り除くようになっている。 粘り気の少ない積み荷を輸送するタンクは水で洗浄される。 高圧ウォータージェットでタンクを洗浄する備え付け、あるいは可搬式の自動タンク洗浄装置が広く用いられている。 こうしたシステムの中には回転式の高圧ウォータージェットによってタンク内面すべてに湯を吹き付けるために用いるものもある。 船舶は検査や修理のために定期的な入渠が求められるが、その前には必ず原油を抜いてから入念な洗浄作業を行う。 この時、使用される洗浄作業によって汚れた海水は、油槽の底からポンプで吸い出されて船内のスロップタンク Slop tank へ送られる。 このスロップタンクは、原油輸送時には他の油槽と同様に原油で満たされるが、油槽の洗浄時には油水分離槽として用いられ、スロップタンク内の汚水は十分な時間の後に油が上に浮いた下側のほぼ清浄な海水だけが船外へ排出され、油は適正な成分か確認されてから陸上施設へと送られる。 タンクが洗浄された後、タンクは石油蒸気の無い状態にされることがある。 これは新鮮な空気をタンクに送り込んで溜まっていたガスを追い出すなどの方法がある。 特別に訓練された人員が環境中の炭化水素ガス濃度を計測できる携帯ガス計測器によりタンクの環境を監視する。 濃度がタンカーの規制で定められたある値を下回ると、タンク内に石油蒸気が無い gas-free と宣言される。 石油蒸気がなくなった後、手作業での清掃作業がさらに行われることがある。 この作業は"mucking"(くそいまいましい、といった意味の言葉)などと呼ばれる。 この作業には、閉鎖環境への立ち入り手続き、防護服、指定された安全管理者、人工呼吸器の使用が必要である。 Office of Data and Economic Analysis, 2006:6. Delgado, James 1988年. Maritime Heritage Program. National Park Service. 2008年2月24日閲覧。 Chisholm, 19:316. Woodman, 1975, p. 176. Tolf, 1976, p. Chisholm, 24:881-882. Chisholm, 24:882. 177. 177. 2008年2月23日閲覧。. Navy Contribution to Australian Maritime Operations. Royal Australian Navy. 113-120. 2008年2月23日閲覧。. Hendrick, 2007, p. Tsakiris, T.. PDF. Agora Without Frontiers Piraeus: Institute of International Economic Relations 9 4 : 327-329. 2008年10月8日閲覧。. 17-18. Time Magazine. Time Incorporated. 2008年4月8日閲覧。 Time Magazine 1957年10月14日. Time Magazine. Time Incorporated. 2008年4月8日閲覧。 2008年2月28日. Press Releases. Overseas Shipholding Group, Inc.. 2008年4月8日閲覧。 International Registries, Inc 2007年4月30日. Press Releases. International Registries, Inc. 2008年4月8日閲覧。 wartsila. com. wartsila. com. 2008年4月8日閲覧。 Hellespont Shipping Corporation 2008年. Group History. Hellespont Shipping Corporation. 2008年4月8日閲覧。 tankersinternational. com. Tankers International LLC.. 2008年4月8日閲覧。 Overseas Shipholding Group, 2008, Fleet List. 211. Winter 2002. PDF. Surveyor American Bureau of Shipping 4 : 5—11. 2008年2月27日閲覧。. UNCTAD 2006, p. 41、2005年時点の新造船の価格、米ドル• UNCTAD 2006, p. 42、2005年時点の5年使用の中古船の価格、米ドル• Evangelista, Joe, Ed. Winter 2002. PDF. Surveyor American Bureau of Shipping 4 : 5—11. 2008年2月27日閲覧。. 貨物船としての石油タンカーの大きさは「トン」で表されるが、その貨物である原油は世界的には「」で計られることが一般的であり、日本ではバレルと共にキロで表示されることが多い。 2007年. cia. gov. Washington, DC: General Publishing Office. 2008年10月8日閲覧。 例えば、排水量104,500 ロングトンの「ユニバース・アポロ」 Universe Apollo は、1958年の文書ではスーパータンカーとして触れられている Time Magazine 1958年12月15日. Time Magazine. Time Incorporated. 2008年4月8日閲覧。 212. Huber 2001, p. 212 - 213. 213. 225. Huber 2001, p. 227 - 228. 228. 225-226. UNCTAD 2007, p. Andersen, Erik M. March 2008. PDF. The Platou Report Platou : 14-18. 2008年10月21日閲覧。. PDF. The Platou Report Platou : 9-13. 2008年10月21日閲覧。. iPaper. Tanker Shipping Review Platou : 6-17. 2008年10月21日閲覧。. UNCTAD 2006, p. UNCTAD 2006, p. UNCTAD 2006, p. Review of Maritime Transport 2007 : 36. December 2007. Devanney, 2006, p. 21-23. 委員会では、海運業界でしばしば表明されている、船級協会の業務が求められている基準に達していないという懸念を共有する しかしながら、船級協会に影響している商業的な圧力と、この分野で増加しつつある充分な技能と職業意識に欠けた組織のために、船舶業界からのこれらの組織に対する信頼が近年低下している p. UNCTAD 2006, p. 2000年. Sectoral Activities Programme. International Labour Organization. 2007年5月29日閲覧。 Maritime Transport Coordination Platform November 2006. pdf. Tonnage Measurement Study. MTCP Work Package 2. 1, Quality and Efficiency. 2007年5月29日閲覧。. Turpin and McEven, 1980:14-20. Turpin and McEven, 1980:8-25. Environmental News Service, , Environmental News Service, December 5 2003. Joem K. Paik and Tak K. Lee, , International Journal of Offshore and Polar Engineering, Vol. 5, No. 4, December 1995. Devanney, 2006, p. 381-383. Turpin and McEwin, 1980:16-42. Transport Canada, 1985:5. Hayler and Keever, 2003:14-1. Huber, 2001, p203. Hayler and Keever, 2003:14-6. Hayler and Keever, 2003:14-10. 2008年4月. Fact Sheets. United States Navy. 2008年4月8日閲覧。 Olsen Productions 2005年. Fred. Olsen Productions Website. Fred. Olsen Productions. 2008年10月8日閲覧。 Carter, J. ; Foolen, J. 1983-04-01. Journal of Petroleum Technology 35 4 : 695—700. 2008年4月9日閲覧。. デット・ノルスケ・ベリタス 2007年. 2008年10月7日閲覧。. Exxon Valdez Oil Spill Trustee Council 1999年. www. state. State of Alaska. 2008年10月8日閲覧。 Chair 2003. America's living oceans: charting a course for sea change [Electronic Version, CD] Pew Oceans Commission. United States Coast Guard. 2008年10月8日時点のよりアーカイブ。 2008年4月10日閲覧。 London: International Tanker Owners Pollution Federation. 2008年10月8日閲覧。 2008年2月22日閲覧。.
次の