血液 凝固 カスケード。 凝固反応 一般社団法人日本血液製剤協会

凝固因子の覚え方・ゴロ

血液 凝固 カスケード

前駆的な止血の機序 [ ] 血管因子 [ ] の血管が収縮したり、周囲へ漏れた血液が血管を圧迫することで出血を止める。 前者の反応にはから放出されるやA2が関わっている。 またE2が局所の神経を敏感にして痛み信号をに送り、患部への注意を喚起する。 中枢神経系は生体外の状況を勘案し、末梢の瑣末な損傷を放置してでもその状況から「闘争か逃走か」をすることが肝要と判断すればを分泌してさらに末梢血管を収縮させると同時に、で痛み信号を遮断して外的状況を「闘争か逃走か」によって打開することを選ぶ。 血小板因子 [ ]• 傷害を受けた組織の細胞はを分泌する。 は血小板表面に結合する。 損傷部位のとが血小板を活性化し、が活性化される。 は損傷部位に凝集する、また、、アデノシン二リン酸(ADP)を放出し、周囲の血小板を活性化する。 血漿の凝固系 [ ] 血液凝固カスケード 開始期 [ ] 外因性経路 [ ]• 細胞が傷害を受けると、が第VIIa因子(が活性化したもの)と結合する。 第VIIa因子はを活性化して第IXa因子とする。 第IXa因子はを活性化して第Xa因子とする。 内因性経路 [ ]• 血液が負にした固体(例えば、岩石や砂)に触れると、プレカリクレインと高分子量キニノゲンがを活性化し、第XIIa因子とする。 第XIIa因子はを活性化して第XIa因子とする。 第XIa因子は第IX因子を活性化して第IXa因子とする。 増幅期 [ ]• は第XI因子を活性化して第XIa因子とする。 第XIa因子は第IX因子を活性化して第IXa因子とする。 また、トロンビン自体も第V因子とを活性化させてそれぞれ第Va因子、第VIIIa因子とする。 さらにトロンビンは血小板を活性化して、 第XIa因子 [ ]、第Va因子、第VIIIa因子を血小板表面に結合させる。 伝播期 [ ]• 血小板表面に結合した第VIIIa因子と第IXa因子は第X因子を活性化して血小板表面に結合させる。 血小板表面に結合した第Xa因子と第Va因子はプロトロンビンを次々とトロンビンに変化させる。 大量のトロンビンが血漿中のフィブリノーゲンを分解してモノマーにする。 フィブリンモノマーはによって架橋されてフィブリンポリマーとなり、他の血球を巻き込んで(血栓)となる。 各々の凝固因子 [ ] 個々のには通常の自然科学の慣例(発見者が名を付ける)ではなく発見順のローマ数字が使われている。 これは、次々に新しい因子が発見され、しかも後になってそれは同じ因子の別の形態だと言うことが判明したためである。 後者の理由により、いくつかの欠番がある。 ただし、最初の4つはローマ数字による呼び方は余り使われない。 ・(第I因子)• プロトロンビン・(第II因子)• 組織因子(第III因子、トロンボプラスチン)• イオン(第IV因子)• (プロアクセレリン):第1染色体長腕(1q23)にマップされたF5遺伝子によってコードされる分子量33000ので、肝臓で発現し血流に放出される。 第506残基がアルギニンからグルタミンへと変異した多型を(その多型が多いオランダの街の名前から)第V因子ライデン変異 Factor V Leiden と言い、の増加がみられる。 黒人・黄色人種ではまれである。 また、この遺伝子はのため欠損症はまれである。 第VI因子は欠番である(第Va因子の旧名)。 (プロコンペルチン)• :X染色体長腕末端(Xq28)にマップされたF8遺伝子によりコードされる分子量約3万のタンパク質。 中では、と複合体を形成して存在する。 この欠損によりを罹患する。 (クリスマス因子):X染色体長腕末端近く(第VIII因子に隣接するXq27領域)にマップされたF9遺伝子によりコードされる分子量約55000〜60000の。 この欠損によりを罹患する。 上図のように、第VIII因子または第IX因子を介する反応以外はそれをバイパスする反応経路があるが、第VIII因子および第IX因子にはない。 それゆえAおよびBは先天性の凝固障害でも特に重篤な物となる。 またX染色体上にマップされており、染色体の末端にも近いことから、他の凝固障害に比べて罹患率が高く、新規に発生する突然変異も無視できない頻度で存在する。 (スチュアート・ブラウアー因子)第13染色体長腕末端近く(第VII因子に隣接する13q34領域)にマップされたF10遺伝子によりコードされる分子量約35000の糖タンパク質で、主に肝でビタミンK依存的に合成され血流に放出される。 (血漿トロンボプラスチン前駆物質)第4染色体長腕末端近く(4q35領域)にマップされたF11遺伝子によりコードされる80kDaのタンパク質で,S-S結合した二量体を形成し、さらに高分子量キニノゲンと1:1で結合している。 (ハーゲマン因子)• :フィブリンの安定化。 プレカリクレイン• 高分子キニノゲン(Fitzgerald因子) 検査所見 [ ] における検査所見 - 状態 ビタミンK欠乏 or 延長 変化なし または やや延長 変化なし 変化なし 延長 延長 延長 減少 変化なし 延長 or 変化なし 延長 変化なし 変化なし 延長 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 延長 変化なし 変化なし 変化なし 延長 減少 急性 延長 変化なし 変化なし 変化なし 末期肝不全 延長 延長 延長 減少 変化なし 変化なし 延長 変化なし 延長 延長 延長 変化なし 欠乏 延長 延長 変化なし 変化なし 欠乏 延長 延長 変化なし 変化なし 変化なし 変化なし 延長 変化なし 変化なし 変化なし 延長 減少 または 変化なし 欠乏 変化なし 延長 変化なし 変化なし 変化なし 短縮 変化なし 変化なし 凝固阻止物質 [ ]• (AT3):分子量65000のタンパク質で、肝および血管内皮細胞で発現して血流中に放出される。 第Xa因子やの作用を阻害する。 アロステリック部位へのの結合により活性が1000倍にもなる。 :多糖類であり、アンチトロンビンIIIを活性化させる。 また低分子量ヘパリンはフォン・ウィルブランド因子の活性をも低下させ、血小板との反応を抑制する。 :トロンビンにより分解され活性化プロテインC Activated Protein C; APC となり、補酵素であるプロテインSと結合する。 活性型第V因子や活性型第VIII因子に結合し抑制する。 :活性型プロテインC APC の補酵素であり、APCと結合し抗凝固作用を示す。 (EDTA)・ は血漿中の遊離をキレート化することでトロンビンの形成を阻止する。 両者とも採血した血液の凝固を阻止するために使用される。 クエン酸は体内成分でもあり、体内では速やかに代謝されて凝固活性が問題にならない濃度になるため、体外循環回路内や輸血用保存血液の凝固阻止にも使用される。 一方、EDTAはの体の成分ではなく、体内では代謝されず二価金属イオンをキレートしたまま尿中へ排泄されるため、抗凝固作用を利用した後人体へ戻されることはない。 はの体の成分ではなく、を阻害し、血小板のから、の生合成を阻害することにより抗血小板作用を発揮する医薬品である。 採血した血液に直接加えても、凝固を阻止しない。 はの体の成分ではなく血栓形成を抑制する目的で使用される医薬品である。 内服すると、肝で血液凝固因子が生合成される際にCa結合部位であるの生成を阻害して血液凝固因子の機能を損なうことにより、血液凝固を阻害する。 採血した血液に加えても凝固を阻止しない。 線溶系 [ ] 線溶系の図(単純化)。 青矢印は促進因子、赤矢印は阻害因子を示す。 凝固した血餅は生体にとっては異物であり、組織の修復とともに除去されねばならない。 このために存在するのが線溶系である。 血漿中のプラスミノゲンが(t-PA)もしくは(u-PA)によって活性化され、プラスミンになる。 プラスミンは凝固したフィブリンを分解し、その他の分解産物に変化させる。 線溶阻止物質 [ ]• プラスミノゲン活性化阻止物質• この欠損によりCOPD()を発病する確率が上がることが知られているが、機序は不明である。 トロンビン活性化性線溶阻止物質 線溶系の異常 [ ] そもそも侵襲を受けていない血管壁でも血栓の形成と線溶は絶えず繰り返されており、このバランスが崩れると様々な疾患を引き起こす。 多発外傷では組織因子が血液内に流入して凝固系を発動し、またによるなどは炎症性メディエイターの誘導を介して血管内皮細胞の抗血小板作用を減弱させるため、身体各部で血栓が形成されて凝固因子が消費され、ついには凝固因子の枯渇に至る。 同時に血栓による循環不全を解消すべく線溶系が亢進する結果、止血ができなくなる。 これが(DIC)である。 DICの治療にはヘパリンを用いるが、AT3が枯渇している場合は効果がないのでAT3も同時に投与する。 また凝固因子と線溶系の因子の多く(第II、VII、IX、XI、XIII因子、プラスミン)はが進化した物であるから、セリンプロテアーゼ阻害薬であるメシル酸ナファモスタットやメシル酸ガベキサートを投与する。 参考文献 [ ] Ferguson JJ. et al. " Eur Heart J. 19 Suppl D:D40-51. ;1998 Apr 関連項目 [ ] ウィキメディア・コモンズには、 に関連するカテゴリがあります。 外部リンク [ ]• この項目は、に関連した です。 などしてくださる(/)。

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トロンビン

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PT、APTTの基準範囲• PT:10-12秒(参考値)• APTT:22. 5-37. 以下の疾患が疑われるとき DIC、肝疾患、胆道系疾患など• 手術前のスクリーニング• 薬剤のモニタリング 〈目次〉• PT・APTTとは、PT・APTTの読み方 の凝固にかかわる機序としては、血管内皮細胞などにある組織因子(tissue factor、TF)依存性の凝固(外因系凝固活性化機序)と、TF非依存性の凝固(内因系凝固活性化機序)があります。 プロトロンビン時間(PT)は外因系凝固活性化機序を、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)は内因系凝固活性化機序を反映した検査です。 PTもAPTTも、クエン酸入りの凝固専用採血管から得られたを用いて検査を行います。 PT・APTTはそれぞれ短縮を認めることもありますが、主に延長時に病的意義があります。 図1APTTとPTに関与する因子群 (、p. 114より許可を得て転載) 例えば手術前のでは、PT・APTTの延長により凝固系の異常が見つかると、場合によっては手術の延期も必要になります。 また、PT・APTTは抗凝固療法で用いられる薬剤のモニタリングにも利用されています。 (手順1)PT、APTTが延長する3つの原因を検討する 手順2とあわせて解説します。 さらにビタミンK欠乏状態が悪化すると、APTTも延長することがあります。 ビタミンKが欠乏する原因はさまざまです。 例えば食事摂取量が低下すると、ビタミンKの摂取量も低下するためPTが延長します。 また、ビタミンKは脂溶性で、その吸収には胆汁が必要です。 胆道疾患などにより腸管内に胆汁が排出されないと、ビタミンKが吸収されず、PTが延長します。 この場合、ビリルビンの値が上昇します。 2 肝不全による「凝固因子の合成低下」がないか検討する 凝固因子はで合成されるため、肝不全や肝硬変によって肝臓の合成能が低下すると、PTやAPTTは延長します。 肝不全による凝固因子の産生低下を考えた場合、肝合成能のマーカーであるやコリンエステラーゼの値が参考になります。 肝硬変の場合、やも低下します。 3 DICによる「凝固因子の消費」がないか検討する DIC()は基礎疾患が存在する状態で、全身性かつ持続性に激しい凝固活性化が生じ、微小血栓が多発する病態です。 凝固因子は微小血栓の材料として使用され、その消費された結果としてPTやAPTTの延長が見られることがあります。 DICが疑われる場合は、これらの項目も一緒に見るとよいでしょう。 なお、DIC症例数の多い基礎疾患としては、、急性、固形などが挙げられます。 コラム先天性疾患によるPT、APTTの延長 先天的に凝固因子が欠乏している場合あるいは活性異常を示す場合、PTやAPTTの延長が見られます。 またの診断に用いられる(循環抗凝血素)が陽性の場合、APTTが延長することがあります。 (手順3)原因となる薬剤がないか確認する ワルファリン、抗菌薬、NOAC、ヘパリンの投与がないか見る 薬剤の投与の影響で、PT、APTTが延長することがあります。 ワルファリンやは抗凝固療法として用いられる薬剤です。 延長が適切な範囲を超えていた場合は注意が必要です。 ワルファリン 抗凝固療法として用いられるワルファリンは、深部静脈血栓症、症などの発症予防やによるの発症予防に使用される薬です。 ワルファリンはビタミンKであり、肝臓でのビタミンKの働きを拮抗的に阻害します。 そのため、ワルファリンを内服すると、ビタミンK依存性凝固因子の活性は低下し、PTは延長します。 このワルファリンのモニタリングにPTが利用されていますが、実際には、PTは試薬によって検査値に差が出るという問題があり、施設間で比較できるよう、補正されたPT-INR(international normalized ratio、国際標準比)が使用されています。 ワルファリン内服の目的により、PT-INRの目標値を設定し、内服量を調整します。 ワルファリン内服時は、PT-INRは2-3程度でコントロールされることが多いようです。 抗菌薬 抗菌薬の投与によっても、PTが延長することがあります。 抗菌薬の投与によって腸内細菌が減少すると、もともと供給源となっていた腸内細菌が産生するビタミンKの量が低下するためです。 このNOACの内服でもPTやAPTTの延長が見られることがあります。 ヘパリン ヘパリンは抗凝固療法に用いられる薬剤です。 モニタリングにはAPTTが用いられ、約1. 5~2倍程度の延長をめやすに管理されることが多いようです。 透析回路やヘパリンロック部位、留置カテーテルからの採血などでヘパリンが混入しても、アーチファクトとしてAPTTが延長します。 [引用文献]• 1 山田俊幸:3M. 活性化トロンボプラスチン時間(APTT)とプロトロンビン時間(PT).河合忠,屋形稔,伊藤喜久,山田俊幸編:異常値の出るメカニズム第6版.医学書院,東京,2013:113-114. [参考文献]• 1 朝倉栄策編著:臨床に直結する血栓学.中外医学社,東京,2013.• 2 神田善伸編:血液検査の悩みや疑問、解決します!.レジデントノート2014;16(6).• 3 金井正光監修,奥村伸生,戸塚実,矢冨裕編:臨床検査法提要改訂第34版.金原出版,東京,2015.• 身体所見をとるように血液を読んでみよう![細菌1~3]. 54~「PT、APTT」 [出典] 2015年10月号/.

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血液凝固カスケードのゴロや覚え方 ワーファリン®(ワルファリン)の作用機序

血液 凝固 カスケード

止血機構 止血機構 通常は、生体内を流れている血液は、凝固しない。 出血し血液が血管外に流出した時に、血小板の凝集が起こり、血液凝固因子が活性化され、フィブリン網が形成される。 その後、フィブリン網は、線維素溶解系(線溶系)で分解される。 1.凝集(一次止血) には、粘着、変形のみで血小板内顆粒の放出を伴わない可逆的な 一次凝集と、顆粒の放出を伴う不可逆的な 二次凝集とがある。 1). が障害を受け剥離すると、血管内皮細胞下組織のコラーゲンに、von Willebrand因子()が結合する。 なお、vWFは、血管内皮細胞で合成される。 血小板は、血小板膜糖蛋白のGPIb受容体を介して、血管内皮細胞下組織のvWFと結合し、血管内皮細胞下組織に粘着する。 あるいは、血小板は、コラーゲンと(GPVIなどのコラーゲン受容体を介して)直接結合し、血管内皮細胞下組織に粘着する。 :、、、、を含む。 なお、 血小板は、を合成できないので、腸の粘膜内に存在するEC細胞で合成されたセロトニンを、腸の血管内で取り込んで(能動輸送)、濃染顆粒内に貯蔵するという。 セロトニンは、血管を収縮させ、止血に関与する。 TXA 2やADPは、新たに血小板を凝集させる。 は二次凝集のみを、ADPは一次凝集と二次凝集を、起こす。 なお、は一次凝集と二次凝集を、コラーゲンは二次凝集のみを、起こす。 また、血液凝固反応の場となる、を放出する。 粘着蛋白でつながれた血小板は、血流で生じるで刺激され、活性化される。 一次凝集では、粘着蛋白による結合は、可逆的で、凝集の解離が起こる。 放出反応のある二次凝集では、粘着蛋白による結合(つなぎ)は安定化して、凝集は解離しない。 粘着蛋白の安定化には、thrombospondin(TS)が関与している。 血小板の膜には、フィブリノゲン、血液凝固因子(V、VIII、XI、XIII)などが、吸着されている。 血小板凝集で形成される血小板血栓は、不安定なので、以下のような血液凝固反応により、フィブリン網が形成され、血小板血栓は、補強される。 2.(二次止血) 凝集した血小板のリン脂質は、血液凝固反応が効率的に進行するのに必要な場となり、血液凝固を促進する。 血液凝固では、最終的に、フィブリノーゲン(第I因子)から、フィブリンポリマー(フィブリン網)が、形成される。 血液凝固機序には、12ケの(ローマ数字で、I〜XIIIまで、第VI因子は欠番)と、リン脂質(血小板膜)と、カルシウムイオンが関与する。 血管外にもれた血液は凝固する()が、血管内でも、血液の凝固は起こる()。 外因系血液凝固は速い(10〜13秒で完了する)が 内因系血液凝固の進行は遅い(15〜20分を要する)。 血液凝固因子は、I〜XIIIまで番号が付けられている(第VI因子は欠番で、存在しない)。 血液凝固カスケードと、系との関連を、下図に示す。 a. 内因系血液凝固は、血管内皮細胞が破壊されることが契機で、始まる。 血液が血管内皮細胞下組織(コラーゲン)に接すると、 の活性化に引き続いて、ドミノ倒し的に血液凝固因子が活性化される()。 生じた活性化第IX因子は、血小板膜のに結合して、[活性化第IX因子-カルシウムイオン-第VIII因子-血小板膜リン脂質]のごとき複合体を形成する。 血小板膜リン脂質は、血小板第3因子とも呼ばれる(血小板第3因子様リン脂質:PL)。 この複合体は、第X因子を活性化し、活性化された第X因子は、プロトロンビンをにする。 こうして生じたトロンビンは、フィブリノゲンを分解して (線維素)にする。 フィブリン分子は、ただちに重合して、フィブリン網が形成される。 内因系血液凝固の進行が遅いのは、第XII因子の活性化から、第IX因子が活性化されるまで、時間を要するため。 内因系血液凝固は、血管を保護するように働く。 内因系血液凝固は、関与する因子が、循環系(血液内)に存在する。 トロンビンは、をバイパスして、血小板を活性化させる。 b. 外因系血液凝固は、外傷などの際に、損傷組織から、組織因子が放出されることで、始まる。 によ り開始される、外因系血液凝固は、生理的な止血で、最も重要な働きをしている。 組織因子は、各種組織の細胞のミクロゾームの膜蛋白質。 組織トロンボプラスチンは、組織因子との複合体。 組織因子は、通常は、血管内皮細胞、単球などでは、合成されていないが、血管外膜の線維芽細胞では活発に合成されている。 組織因子は、特に 脳、肺、胎盤に、多く存在する。 組織因子は、インターロイキン 1() で刺激されると、細胞膜の表面に出現する。 組織損傷で流入した組織因子は、活性化された第VII因子(VIIa)と、カルシウムイオン(第IV因子)と、血小板膜などのリン脂質とで、複合体を形成する。 この複合体[活性化第VII因子-カルシウムイオン-組織因子-血小板膜リン脂質]は、第X因子を活性化し、それ以降、内因系血液凝固と同じ反応で、フィブリン網が形成される。 最近は、複合体[活性化第VII因子-カルシウムイオン-組織因子-血小板膜リン脂質]が、第IX因子を活性化させ、第X因子を活性化させる経路が重要視されている。 フィブリン網のあいだに赤血球が閉じ込められ、赤い凝固血塊ができる。 血管内にできた凝固血塊が、(赤色)血栓。 3.線維素溶解() 線溶により、血栓は徐々に溶解され、傷が修復される頃には、凝血塊は消失する。 が、組織プラスミノゲンアクチベーター(t-PA)により活性化されて、プラスミンになる。 は、フィブリン(線維素:繊維素)を分解し、血栓が溶解され、フィブリン分解産物(FDP)ができる。 a. t-PAは、血管内皮細胞で産生されて、循環血液中に分泌される。 血液中t-PA値は、血栓が形成されやすい、心筋梗塞や脳梗塞や糖尿病の患者では、反応性に高値を示す。 b. PAI-1(パイ・ワン)は、t-PAと複合体を形成し、t-PAを除去する。 そのため、プラスミンが産生されにくくなり、線溶系が抑制される。 PAI-1は、血小板およびに由来する。 脂肪細胞(adipocyte)も、PAI-1を分泌する。 血液中のt-PA-PAI-1複合体は、 朝8時頃に一番高値で、午後から夕方に低値を示す、日内変動がある。 では、血液中のt-PA-PAI-1複合体が増加する。 エンドトキシン血症では、血液中のPAI-1は、著明に増加するが、t-PAも血管内皮細胞から放出される。 インターロイキン-1(IL-1)は、PAI-1の血管内皮細胞からの放出を濃度依存性に増加させるが、t-PAの放出は抑制する。 (IL-1が産生される時は、フィブリンが分解されず、血栓が形成されやすくなる。 ) 運動も、血液中PAI-1濃度を低下させる。 不安定狭心症患者では、血液中のPAI-1は、安定労作狭心症患者に比べて、亢進している。 急性心筋梗塞の患者では、血液中のPAI-1は、亢進している。 ただし、急性心筋梗塞の自然再開通例では、血液中のPAI-1は、むしろ低下している。 は、PAI-1産生を増加させる。 4.抗凝固因子 体内では、ドミノ倒し的に進む血液凝固が、無限に進行するのを防ぐため、活性化された凝固因子を網内系で処理したり、抗凝固因子により凝固反応がネガティブフィードバックを受ける機構が存在する。 血液中の抗凝固因子には、アンチトロンビンIII(ATIII)、プロテインC、プロテインSがある。 a. ATIIIは、で産生される。 ATIIIは、セリンプロテアーゼインヒビター:ATIIIは、主として、であるトロンビン(活性化された第II因子)を不活化するが、活性化された第X因子(第Xa因子)、第IX因子(第IXa因子)、プラスミン、カリクレインをも、不活化する。 この不活化作用は、ATIIIが、血管内皮表面に存在する( :、)と言うと、複合体を形成して、発現する。 そのため、を投与すると、ATIIIによる不活化作用の速度が、速められる。 播種性血管内凝固症候群()では、活性化された凝固因子を不活化するために消費され、低値となる。 b.(TM) 血管内皮細胞表面のTMは、血管内凝固で生じたトロンビンと結合し、トロンビンの凝固活性を直接阻害する。 形成されたトロンビン-TM複合体は、プロテインCを活性化させる。 活性化されたプロテインCは、第Va因子と第VIIIa因子を不活化させ、凝固反応を阻害する。 血液中のTM値は、播種性血管内凝固症候群(DIC)や糖尿病性血管障害()などで、増加する。 また、川崎病では、尿中のTM排泄量が増加する。 c. プロテインCは、肝臓で合成される。 プロテインCの合成には、が必要。 血管内で生成したトロンビンは、血管内皮細胞膜上のに結合する。 プロテインCは、TMと複合体を形成したトロンビンにより、血管内皮細胞表面において分解を受け、活性化される。 トロンビンが、血管内皮細胞上のトロンボモジュリン(TM)と結合すると、血管内皮細胞上のプロテインC受容体と結合したプロテインC(PC)を活性型プロテインC(APC)に変える。 活性化プロテインC(APC)は、補因子であるプロテインSと結合して、血小板や血管内皮細胞上で、活性化された凝固因子(第Va因子、第VIIIa因子)を不活化し、血液凝固反応の進行を遅滞させる。 活性化プロテインCは、構造に、フコシル化オリゴサッカライドを持ち、血管内皮障害を緩和する言う。 血液中プロテインC値は、では消費され、低値となる。 プロテインCの遺伝的欠損症は、約500人に1人といわれ、反復する血栓症として発症するという。 また、プロテインCの欠損や低下は、ワーファリンのようなビタミンK拮抗性抗凝固剤の投与や、叢の破壊によるビタミンK異常により、発症するという。 d. プロテインSは、プロテインCと同様に、肝臓で、ビタミンK依存性に産生される。 プロテインSは、活性化プロテインC(APC)と共同して、活性型凝固第V因子(Va)、及び、第VIII因子(VIIIa)を不活性化させ、新たに活性型第X因子(Xa)やトロンビンが痙性されることを阻害することで、抗凝固的に作用する。 プロテインSは、血液中では、60%が補体蛋白C4b(C4bp)と結合して存在し、C4bpと結合していない遊離型プロテインSのみが、抗凝固的に作用する(抗血栓能がある)」。 プロテインSのコファクター活性(APCの補因子としてAPCと共同的に示す抗凝固作用)は、妊婦、経口避妊薬の服用、SLE、ネフローゼ症候群では、低下する。 これは、遊離型プロテインSが減少するため。 新生児では、血中C4bp(C4BP)が低値のため、プロテインS活性は、上昇する。 5. (第II因子)、 第VII因子、第IX因子、第X因子の4因子は、での産生に、が必要なので、ビタミンK依存性凝固因子と呼ばれる。 プロトロンビンは、ビタミンKが欠乏すると、活性のない、PIVKA II(protein-induced by vitamin K absence or antagonist:ピブカ)になる。 従って、PIVKA IIは、ビタミンK欠乏の指標になる。 (Warfarin)と言う薬は、肝臓でのビタミンK依存性凝固因子の産生を抑制し、PIVKA IIを増加させ、血栓形成を予防する。 ヘパプラスチンテストは、トロンボテストと同様に、肝臓で合成される血液凝固因子のII因子、VII因子、X因子活性を、判定する検査。 ヘパプラスチンテストは、ビタミンK欠乏時に肝臓で作られるPIVKA(血液凝固因子活性を持たない異性体蛋白)に影響を受けないので、肝臓で、合成される血液凝固因子量(凝固活性)を、忠実に反映する。 従って、ヘパプラスチンテストは、ビタミンK欠乏症の診断、ビタミンK剤投与の指標として、利用される。 他方、トロンボテストは、PIVKAの影響をも含めた凝固活性を反映するので、ワーファリンなどによる抗凝血薬療法のモニターに用いられる。 トロンボテストは、PIVKA-Iiの影響を受け、実際の凝固活性より、低値を示す。 6.フィブリノーゲン 血漿フィブリノーゲン(第I因子)が、高値だと、冠動脈疾患(心筋梗塞など)や、脳梗塞の発症リスクが、高まる。 日本人より、ハワイ日系人の方が、血漿フィブリノーゲン値は、高い。 鉄(肉類の摂取に由来する)、 、カフェインの摂取量が多いと、血漿フィブリノーゲンが、上昇する。 7.血小板と血液凝固 血流が停滞すると、内因系血液凝固が活性化され、凝固血栓が形成される。 血流が停滞し凝固血栓が形成される機序として、説と赤血球膜プロテアーゼ説などが提唱されている。 リポ蛋白説:リポ蛋白レムナントの表面に存在するリン脂質により、内因系血液凝固が活性化され、XI因子をXIIa因子が活性化させたり、IX因子をXIIa因子やカリクレインが活性化させる。 赤血球膜プロテアーゼ説:赤血球膜上に存在するプロテアーゼ(好中球やマクロファージから放出されると同様の因子)が、血流が停滞した際に、IX因子を活性化させる。 また、陰性荷電リン脂質(赤血球膜由来のマイクロパーティクルでリゾホスファチジン酸から誘導される)が、内因系血液凝固を活性化させる。 活性化された。 Xa因子は、活性化された血小板の膜上で、Va因子と複合体(プロトロンビン活性化複合体)を形成し、プロトロンビン(II因子)をトロンビン(IIa)にする。 では、(XIIa因子により、)XI因子が、陰性荷電脂質などの生体異物面や、リポ蛋白レムナント膜上で活性化される。 活性化されたXIa因子は、(外因系血液凝固と同様に、活性化された血小板の膜上で、)IX因子を活性化させる。 活性化されたIXa因子は、外因系血液凝固と同様に、血小板の膜上で、X因子を活性化させ、凝固反応が進展する。 また、血小板の膜上では、トロンビン(IIa)によって、XI因子が効率良く活性化される。 このように(活性化され血小板凝集を起こした)血小板は、血液凝固(外因系血液凝固も内因系血液凝固も)を、促進させる場となる。 血流が停滞した際、血小板が活性化され血小板凝集が起こる(血小板血栓が形成される)と、内因系血液凝固も活性化され、凝固血栓が形成される。 脂質(陰性荷電リン脂質やリポ蛋白レムナント)は、血小板と一緒に、特に、内因系血液凝固を進展させる。 従って、血液中にこれらの脂質が多いと、血栓を形成し易くなると、考えられる。 :とは、を含むので、 と呼ばれる。 :糖尿病では、毛細が起こるが、動脈側の毛細血管の基底膜が肥厚することが、特徴とされる。

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