ジベル 薔薇色 発疹。 日本臨床皮膚科医会

ばら色粃糠疹

ジベル 薔薇色 発疹

ジベル薔薇色粃糠疹(Pityriasis rosea Gibert)は、主に10代~30代といった若い方に生じる皮膚疾患です。 体幹(背中やお腹)に小さな赤い発疹がたくさん出現するため、慌てて皮膚科を受診するという事が多い疾患です。 「炎症性角化症」というタイプの皮膚疾患に属しますが、これは何らかの原因で皮膚に炎症が生じる事によって角化(角質が厚くなる事)してしまう疾患の事です。 皮膚に赤いブツブツがたくさん出てくるため、「何か重篤な病気にかかってしまったのではないか」と心配される方も多いのですが、ジベル薔薇色粃糠疹は良性の疾患であり、基本的には大きな心配はいりません。 ここでは、ジベル薔薇色粃糠疹という疾患について詳しく紹介させて頂きます。 1.ジベル薔薇色粃糠疹とは ジベル薔薇色粃糠疹(Pityriasis rosea Gibert)は、体幹(主にお腹や背中)に小さな紅色の発疹がたくさん生じる疾患です。 体幹にたくさんの赤いブツブツが出来るため。 皆さんびっくりされますが、基本的には良性の疾患であり、放置していても自然と治るような疾患です。 10~30代といった若い方に発症しやすく、時期としては春や秋といった季節の変わり目に生じやすい傾向があります。 炎症性角化症という疾患に属し、これは何らかの原因で皮膚に炎症が生じ、それによって皮膚表面の角質が角化(肥厚してしまう)疾患の事です。 ジベル薔薇色粃糠疹は、恐らくウイルス感染によってな皮膚に炎症が生じるのではないかと考えられており、炎症によって皮膚角質の一部が肥厚するため発疹が多数出現します。 ちなみに何故この疾患は、「ジベル薔薇色粃糠疹」と難しい名称なのでしょうか。 この疾患名は発見者の名前から来ています。 1800年代中盤、「カミーユ・メルシオール・ジベール」というフランスの皮膚科医がこの疾患を発見したためにこのような名前になっているのです。 粃糠疹(ひこうしん)というのは、粃糠(こめぬか)のような発疹という意味です。 粃糠疹は落屑(皮膚表面が代謝の過程で剥がれ落ちてしまう事)が生じている皮膚状態の事で、角化異常が原因で生じると考えられています。 ジベル薔薇色粃糠疹とは、ジベールが発見した、バラ色(紅色)の粃糠疹が生じる疾患だという意味になります。 2.ジベル薔薇色粃糠疹の原因 ジベル薔薇色粃糠疹はどのような原因で生じるのでしょうか。 実はジベル薔薇色粃糠疹の原因ははっきりとは分かっていません。 近年の研究によると、ヒトヘルペスウイルスの感染が発症の原因になっているのではないかという報告があります。 ヒトヘルペスウイルスの中でも、HHV-6(ヒトヘルペスウイルス6型)、HHV-7(ヒトヘルペスウイルス7型)がジベル薔薇色粃糠疹を原因として有力視されています。 ジベル薔薇色粃糠疹の中には、発疹が出現する前に風邪っぽい症状が先行する事があり、ここからも何らかのウイルス感染が引き金になっているのではないかという考えもあります。 また、薬疹(お薬の副作用で発疹が出てしまう事)の中にはジベル薔薇色粃糠疹のような経過を取るものがあり、ここからアレルギーや自己免疫的な機序も原因として関係しているのではないかともいわれています。 様々な仮説がありますが、現段階ではどれもあくまでも仮説に過ぎません。 ちなみにジベル薔薇色粃糠疹の原因としてウイルス感染が有力視されているため、「他の人にうつってしまうのではないか」という事を心配される事があります。 確かにヘルペスウイルス感染症の中には、水痘(水疱瘡)などのように人にうつるものもありますが、ジベル薔薇色粃糠疹は人から人に感染する事はありません。 3.ジベル薔薇色粃糠疹の症状と経過 ジベル薔薇色粃糠疹では、どのような症状が認められるのでしょうか。 また症状はどのような経過で出てくるのでしょうか。 ジベル薔薇色粃糠疹の典型的な経過は次の3段階に分けられます。 またそれぞれの段階で特徴的な症状が出現します。 発疹は2~5cmほどと比較的大きく、発疹の周辺は鱗屑(皮膚表面が剥がれ落ちている状態)を認め、発疹の中心部はやや退色して色が薄くなっているのが特徴です。 「あれ、この赤い発疹何だろう??」と思っていると、その後1週間ほどして体幹に突然、多数の発疹が出現します。 また、他にも先行症状として感冒様症状(風邪のような症状)が出現するケースもあります。 微熱が出たり咳や鼻水が出て「風邪を引いたかな?」と思っていると、その後体幹の多数の発疹が生じます。 ヘラルドパッチは2~5cmほどと比較的大きい発疹でしたが、その後に生じる発疹は1~2cm程度と比較的小さな発疹になります。 形は同じく楕円形になります。 ジベル薔薇色粃糠疹の発疹で特徴的なのが、発疹は「皮膚のしわ(Langer割線)」に沿って発疹が出現するという点です。 そのため背中にジベル薔薇色粃糠疹が出ると、まるで「クリスマスツリー」のような形になるという特徴があります(クリスマスツリー様発疹と呼ばれ、ジベル薔薇色粃糠疹に特徴的な皮膚症状として知られています)。 またこの発疹は体幹にしか生じない点も特徴です。 時に上腕や大腿部に生じる事はありますが、顔や前腕、下腿に生じる事はありません。 発疹が出ると「顔に出てしまって痕が残ってしまったらどうしよう」と心配される方は多いのですが、ジベル薔薇色粃糠疹はそのような心配は全くありません。 また、痛みや痒みといった症状はほとんど認めないか、あっても軽度になります。 特に何も治療をしなくても多くの症例では発疹は痕も残らず、キレイに治ります。 4.ジベル薔薇色粃糠疹の診断 ジベル薔薇色粃糠疹はその特徴的な発疹から、経験を積んだ皮膚科医が見ればすぐに診断する事が出来ます。 診断のポイントとしては、• 先行症状(ヘラルドパッチや感冒症状など)がある• 皮膚のしわに沿った発疹が出現している• 紅色の楕円形の1cmほどの発疹である といった点が挙げられます。 また薬疹としてジベル薔薇色粃糠疹が認められる事もあるため、発疹が出現した付近で服薬していたお薬の情報も重要になります。 5.ジベル薔薇色粃糠疹の治療法 ジベル薔薇色粃糠疹が生じてしまったら、どのように対処すれば良いでしょうか。 ジベル薔薇色粃糠疹は自然と治る発疹であり、人にうつるようなものでもないため、基本的には困るような症状がなければ放置していて問題ありません。 人にうつる事はないため学校や仕事を休む必要もありませんし、後遺症や痕が残るものでもありませんので、発疹があっても放置していて大丈夫です。 時にかゆみを認める事があり、その程度が強い場合は、• 抗ヒスタミン薬• ステロイド といったお薬が用いられる事もあります。 抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンという物質のはたらきをブロックする事でかゆみを抑える作用があります。 ステロイドは炎症を抑える作用があります。 ジベル薔薇色粃糠疹は皮膚に炎症が生じている炎症性角化疾患ですので、炎症を抑えるステロイドで症状の改善が得られる事があります。 いずれも飲み薬の他に塗り薬もありますので、症状が軽度であれば塗り薬を皮膚に塗るだけでも良いでしょう。 しかし基本的には治療薬を使う必要はなく、自然と治っていく疾患になります。 注意点としては、ジベル薔薇色粃糠疹発疹は特に何も治療をする必要はないのですが、それが本当にジベル薔薇色粃糠疹なのかは正確に判断する必要があります。 一見、ジベル薔薇色粃糠疹のように見えても別の疾患である可能性もあるため、医学知識のない方が独自に判断する事は危険です。 ジベル薔薇色粃糠疹と似た発疹を呈する疾患として、• 疲労性皮膚炎• 梅毒性ばら疹• 乾癬 などがあります。 このような疾患であった場合、治療法がジベル薔薇色粃糠疹と異なってくる可能性があり、安易に湿疹を放置してしまうと症状が悪化してしまう事があります。 必ず一度は専門家の診察を受けるようにしましょう。 その上でジベル薔薇色粃糠疹と専門家から診断を受けたのであれば放置していて問題ありません。

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ジベルばら色粃糠疹は原因不明?治療するならステロイド?

ジベル 薔薇色 発疹

ジベル薔薇色粃糠疹とは この皮膚疾患は、ジベル薔薇色粃糠疹(じべるばらいろひこうしん)と言われ、突然、全身あるいは体幹を主とした部位に紅斑(赤い斑点)がたくさんでき、その紅斑の体幹における配列模様がクリスマスツリーの様に見えるのが特徴です。 ちなみに、ジベルとは、フランスの皮膚科医でこの病気を初めて論文に記載した医師の名前です。 発熱、倦怠感などの皮膚病にありがちな痒みもほとんどなく、多くの場合は自然に治る病気でもあるのでほとんど心配はいりません。 この病気はお年寄りや子どもにはあまり発症する事がなく、20~30歳代に多く見られ、夏よりも冬に多いと言われています。 再発の心配はほぼなく、はじめに軽い風邪の症状があり、その1~2週後に突然指先くらいの大きさの紅斑が体中にたくさんできて受診される方が多いようです。 親指ほどの大きさの赤みの少し強い、楕円形の発疹が大量に生じます。 これがジベル薔薇色粃糠疹の本症状になります。 全身に紅斑が多発する皮膚疾患には、時として薬疹、ウイルス性発疹など重症化するものもあるので注意を要します。 その他にジベル薔薇色粃糠疹によく似た病気で、梅毒2期疹、脂漏性皮膚炎、乾癬、ジアノッティー症候群、癜風などがあります。 多発性の紅斑が生じたら、早めに皮膚科専門のクリニックを受診されるのが良いでしょう。 ジベル薔薇色粃糠疹の原因 この病気の原因は未だ解明されておらず、様々なケースが考えられます。 1番多いケースは、一般細菌感染・ウイルス感染を伴い、感染症の症状として皮疹がでる場合で、皮疹の出現する数日前に扁桃腺が痛いなどの症状があるケースです。 他に、ある種の薬疹としてみられるケースもあります。 これらのことと他に病巣感染アレルギー、自己免疫、自家感作皮膚炎なによる二次的な反応と考えられていますが、詳しいことは不明です。 したがって、症例により原因を知るために血液検査を行うようになります。 そして大事な点は、この病気自体が伝染することはありません。 ジベル薔薇色粃糠疹の主な治療法 ほとんどの場合は特別な治療がなくても1~2ヶ月で症状は改善して痕を残さずに自然治癒します。 まれに痒みなどの不快な症状が出ることがあり、外用薬や内服薬を処方することもあります。 かゆみを伴う場合や発疹がひどい場合には、皮膚科を受診して治療をする必要があります。 かゆみに対しては服用抗ヒスタミン薬、発疹に対してはステロイド外用薬が用いられます。 通常は数週間で治癒するケースがほとんどです。 ジベル薔薇色粃糠疹という病気自体は過度に心配する必要はありませんが、薬疹やウイルス性発疹などの病気や体部白癬などの病気と識別することが難しいので、皮膚科の医者に相談することが大切です。 そして、他の病気を患っているにもかかわらずジベルばら色粃糠疹だと誤って放っていると、後に重い症状が現れる場合があるので注意が必要です。 ジベル薔薇色粃糠疹に関するQ&A Q. 聞いたことのない病名で、予後が心配です。 予後は良好で発疹が長く続いても跡形もなく消えます。 妊娠中になっても、胎児は大丈夫ですか? A. 妊娠中に発病しても胎児奇形を起こしたり、流産などの心配はありません。 ジベル薔薇色粃糠疹は、再発しますか? A. ウイルスに対する免疫が出来るため、再発はほとんどみられません。 普段の生活で気をつけることはありますか? A. 通常であれば、長期間かかるかもしれませんが、なにもせずとも治癒の経過をたどります。 しかしながら、発疹に対して、掻く、触る、掻きむしるなどの行為はせず、つねに清潔に保つようにしましょう。

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ジベル薔薇色粃糠疹の、かゆみ対策には市販のムヒソフトGXがオススメ|HAREnote(はれノート)|岡山のグルメと観光情報を発信するWEBマガジン

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突然皮膚にカサカサした赤みが出現し、1~2週間ほどかけて広がっていくジベルばら色粃糠疹。 自然治癒するので怖い病気ではありません 名前が難しいのでどんな難病かと思われるかもしれませんが、実際は悪い病気ではありません。 通常2ヶ月以内に自然治癒する皮膚の病気です。 英語では「pityriasis rosea」と呼ばれ、病名はこれを訳したもの。 突然皮膚にカサカサした赤みが出現し、1~2週間ほどかけて広がります。 赤みが出現するのは、胸、おなか、背中がメインで、腕や脚の先や顔にはまず広がりません。 <目次>• ジベルばら色粃糠疹の初期症状・進行 一番最初に出る赤い部分は「ヘラルドパッチ」と呼ばれ、2~3cmの楕円形でほかの赤い部分に比べて大きいのが特徴です。 これが出てからしばらくして、周りに赤い発疹が拡がっていきます。 胸、おなか、背中メインの分布でヘラルドパッチが確認できれば、まずジベルばら色粃糠疹の診断で間違いないと考えていいです。 ジベルばら色粃糠疹の症例画像 ジベルばら色粃糠疹は、以下のような赤い発疹が広がっていくのが特徴です。 ジベルの特徴である、乾燥した皮膚である細かい鱗屑(りんせつ)が発疹に付着しているのが確認できます ジベルばら色粃糠疹はかゆみが出るか かゆみが出る場合と、かゆみが出ない場合が半々くらいです。 かゆくて夜も眠れないという人もいれば、全くかゆみを感じないという人もいます。 ジベルばら色粃糠疹の原因・人への感染はしない これは患者さんからよく受ける質問ですが、原因はよくわかっていません。 ウイルス感染が関連しているのではないかと推測されています。 しかし人から人に感染する病気ではありません。 湿疹は皮膚の炎症で痒みが出るよくある病気ですが、ジベルばら色粃糠疹のように急激に赤みの数が増えていくことはまれです。 また、ジベルばら色粃糠疹ではかゆくないこともありますが、湿疹が広い範囲に出ればかゆみが強いのが普通です。 体の水虫は丸い形をしたカサカサを伴う赤みで症状が出るのでジベルばら色粃糠疹と見た目が似ていることがあります。 水虫の方が一つ一つの発疹が大きめで、広がるのも遅いです。 足に水虫がある場合にはそれが体にうつったという可能性も考えて下さい。 梅毒の場合、かゆみはありません。 体で発疹が一番目立つ点はジベルばら色粃糠疹と似ていますが、梅毒の場合は腕や脚を含めた全身に発疹が出ることが多く、手のひらや足の裏にも円形の赤みが出現するのが区別できる点になります。 紛らわしいケースもありますので、梅毒を疑うときには採血で梅毒を検査する項目、RPRやTPHAを調べてもらいましょう。 ジベルばら色粃糠疹の治療法・自然治癒までの期間・再発リスク 見た目に体の広範囲が赤くなるので心配になりますが、1~2ヶ月で自然に消えてしまいます。 かゆみが多少なりともあるケースが多いので、その場合はステロイドの塗り薬を処方します。 早く治したい、と患者さんから言われることがあります。 かゆみやガサガサした見た目は塗り薬である程度治まりますが、完全に消えるには時間がかかります。 その後再発することはありませんので、心配はいりません。 ステロイドの塗り薬を処方する場合には子どもでは弱めのものを使うことが多いですが、病気の経過や治療は大人の場合と変わりません。 ジベルばら色粃糠疹が消えるのに6ヶ月かかったというまれな報告例もありあすが、もし2ヶ月しても治らない場合はほかの病気の疑った方がいいです。 湿疹、水虫、梅毒の他にも体に赤みが急速に広がるタイプの 乾癬(滴状乾癬)など、ジベルばら色粃糠疹に似た症状が出る特殊な病気もあります。 このようなときには皮膚科を再度受診して診てもらいましょう。 ジベルばら色粃糠疹の治療法……治療無しでも自然治癒 ジベルばら色粃糠疹は見た目の範囲が広く心配になりますが、2ヶ月ほどで自然に治まる病気で心配はありません。 かゆみが強い場合は皮膚科でかゆみを抑える薬を処方してもらいましょう。 もし2ヶ月しても消えない場合には他の病気のこともありますので、皮膚科で再度診察を受けるようにしましょう。 【関連記事】•

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