概要 [ ] 主人公不屈闘志ら全力学園野球部に次々と襲い掛かる、あまりにも非現実的な「逆境」に対し、不屈らがその名通りの不屈の闘志で乗り越えていくという、「熱血」漫画。 いわゆる漫画のとして、野球漫画の枠を超えるナンセンスで破天荒な展開が多く、作者自身は本作を「漫画」と定義している。 一方で作中人物たちはこうした状況展開にきわめて真剣に向き合っており、(それ自体がギャグ表現でもある事とは別に)読者が登場人物に感情移入して読めば純粋な熱血物語として機能するという側面も持っている。 物語の展開軸としては、スポ根路線を見せつつも、同時に少年漫画のバトル系作品でよく見られ、読者から批判の対象となる「」と呼ばれる現象を、ある意味では逆手にとった展開を見せる。 逆境が訪れる度に主人公が「これが逆境だ!! 」と叫び、その度にパワーアップや新魔球を会得する展開になり主人公が強化される、あるいは主人公が驚異的な能力を発揮して逆境を跳ね返すのは、バトル漫画の「パワーインフレ」と何も変わらないが、本作ではこれを見事にギャグとして昇華させている。 登場人物がしばしば放つポジティブでインパクトのある名ゼリフは、人生訓的で多くの場面に引用しうるもので、こうした教訓的表現は後の多くの作品にも引き継がれ『』シリーズのような漫画表現を離れた名言集として纏められるほどの展開を見せ、また『』のように人生訓そのものを描いた作品を生む土壌ともなった。 連載期間中には本作に関連した活字企画「逆境人生相談」も併載されており、ここでも作者自身が登場人物同様に力強く男らしい精神論で読者の人生相談に答えている。 この時の漫画的な作者像が同時期の『』にも反映され、また後年のラジオ・パーソナリティとしてのキャラクター性に大きな影響を与えた。 単行本は少年キャプテンコミックス全6巻(徳間書店刊、絶版)、ワイド版の少年キャプテンコミックススペシャル全4巻(徳間書店刊、絶版)、復刻版の小学館サンデーGXコミックス全6巻(刊)がある。 小学館サンデーGXコミックス版の第6集には初回限定の「特別版」があり、作者原案によるオリジナルエピソードを含むドラマCDが同梱されている。 続編として同作の十数年後を舞台に、妻子持ちとなった主人公不屈闘志が怪我で引退したプロ野球にカムバックする姿を描く『』が()に連載されたが、中途打ち切りとなっている。 作者は、大量の声があれば復活すると発言している。 実写映画としてによる『逆境ナイン』が、全国の劇場にて上映開始された。 ノベライズ版に『平成の偉人伝シリーズ 試験に出る不屈闘志物語 112対0からの大逆境克服』(著・2005年小学館刊)がある。 にはから本作とタイアップしたが登場している。 野球部キャプテンで左投右打 夢の中では左打席に入っていたが、実際は右打。 鉛筆は右手、食事の際は左手を使う両利き。 その名の通り不屈の闘志を持ち、逆境に追い込まれるたびその力を増大させる。 部員を強引なまでに引っぱる熱血漢だが、その性格上、窮地で励まされるとネガティブ思考になり、逆に諦めの言葉に反応し奮起するという、月田曰く「きょくたん」で「あまのじゃく」な一面もある。 地区大会3回戦前後、誤解からキャプテンの座を降ろされ補欠となる(背番号10)が、地区大会準決勝戦でピッチャーに返り咲く。 襲いかかる逆境の中で「男球」「全力スペクトル」等のを生み出した。 本選決勝直前に記憶喪失になるが、さらに男として大きく成長する。 作中に不屈が4番を打った描写は無いが、なぜか終盤「ピッチャーで4番」と発言した。 新装版では「ピッチャーで5番」と修正されている サカキバラ・ゴウ 声: 顧問 「特に実践の歴史を得意とする」社会科教師。 野球については門外漢だが、不屈に実践的かつ豊富な人生訓知識をかわれ部長として指名される。 校長も一目置く男だが、酒を飲むと手が付けられない酒乱。 大会中に強力学園に転勤となり、全力ナインのライバルとして立ちふさがる。 後に、本作の担当編集者はこの名前をもじって自分のペンネームとし、として評論家デビューした。 校長 声: 全力学園の校長で、生徒に対して常に妥協と怠惰を許さない。 たるんだ野球部に廃部を突きつけるが、逆境をものともしない不屈の闘志にほれ込み、その成長を厳しくかつ暖かく見守る。 ハギワラ・リョウ 声: 控え、ピッチャー、背番号11、2年生 親の都合で黒風高校から転校(当時はキャプテン、ピッチャー、背番号1)。 右投右打。 黒風高校時代に全力ナインと練習試合で熱戦を繰り広げ、以来不屈と意気投合する。 侠気あふれる男だが、けんかっ早く、時には不屈以上に無茶な行動を取って周囲をひやひやさせる。 源曰く、「不屈に匹敵する速球の持ち主」であり、不屈の不在時にはピッチャーを務め好投。 本選決勝では男球を身に付けた。 不屈補欠時代は背番号1番。 月田明子とは中学時代の同級生で友達以上恋人未満の関係。 家が貧しいせいか、荒っぽい性格の割りに金銭感覚は堅実。 異性にめっぽう弱く、野球よりも女性をとるタイプ。 しかし不屈とともに熱戦を超える中で、野球魂に開眼していく。 小柄で犬顔、関西弁の部のマスコット的存在だが走力は抜群。 練習をサボることもあったが、それが功を奏して野球部6人が脱落した中間テストを悠々突破したことも。 モデルは作者の(当時)で、後に「少年マガジン」でデビューした。 日の出商戦では、気絶した不屈に代わりピッチャーをつとめた。 亀谷万念(かめや まんねん) 3番、ファースト、背番号3、3年生 右投右打。 の熱狂的ファンで、好物はの「」「森の詩」、の「J. 」、更にはボールボーイだった父親を経由して王が現役時代に使用していたバットを所有している。 初登場の時点で既にを習得しており、野球の実力は抜群ながらも「野球は観る主義」だったが、不屈との勝負に負け野球部に入部し、その後3試合で10本塁打を記録し、高田から「いやなバッターだ」と一目置かれる等、全力学園の主砲として活躍する。 入部後は王の精神・生きざまを追い、さらには追い抜くことを目標に本塁打868本をめざす。 モデルも王貞治本人で、好物も王が出演したCMにちなむもの。 名前も同じくから。 長嶋茂(ながしま しげる) 4番、サード、背番号5、2年生 右投右打。 亀谷の同士で、同じようにの熱狂的ファンだったが、亀谷入部後その熱い決意にほれて後を追うように野球部に入部。 やはり、モデルは長嶋茂雄本人。 月田明子(つきた あきこ) 声: マネージャー、2年生 快活で責任感もあるが、やや天然ボケ。 かつて帰宅部時代、練習のしすぎで倒れた不屈を保健室に運んだ際に、彼女の器を見込んだ不屈に誘われマネージャーに就任した。 桑原真実子(くわばら まみこ) 声: 不屈が一目惚れした美少女。 不屈かかりつけの医者の娘だった関係から不屈と親しくなり周囲にあらぬ誤解を生みもしたが、後に不屈に想いを寄せる。 モデルは。 名前と性格のモデルは当時打ち合わせに使っていたファミレスのウェイトレス(作者が性格の良さに惚れ込んだらしい)。 源完人(みなもと? かんと) 6番、キャッチャー、背番号2 右投右打。 校長の甥で、部員不足の折にどこからともなく現われ入部した。 不屈の補欠時代はチームきっての理性派としてナインを率いるが、日の出商戦を前に自分の限界を知り、以後は裏方に徹する。 安藤トロワ(あんどう トロワ) 部長 社会科教師。 軽薄な性格の美人で、不屈らに水をさす発言が多い。 産休をとっていた(ただの勘違い)。 甲子園出場のお祭り騒ぎに慌てて復職したが、結果的に産休補助だったサカキバラを他校に追い出す形となり、新たなピンチを呼んた。 名前はコミックスには登場しないが、連載中の人物紹介欄では名前が表示されていた。 山根小太郎(やまね こたろう) 8番、レフト、背番号7 右投右打。 通称ネコ。 山下との校内レース対決に敗れるも意気投合し、野球部に入部。 猫のような外見と本当に猫科動物のような行状で親に心配をかけたが、野生の力を野球に転化して名プレイヤーとなる。 両親も猫そっくりな外見に描かれている。 平棚彦(たいら たなひこ) 1番、センター、背番号8 右投右打。 元はバイク狂だったが、山下との校内レース対決に敗れ意気投合し、野球部に入部。 バイクは売り払われた。 花 9番、ショート、背番号6 右投。 部員不足のおりにどこからともなく現われ入部した。 作中では最後まで影が薄く、名前すらはっきりとしていない。 後藤健(ごとう たけし) 声: 2番、ファースト、背番号3、2年生 右投。 男らしい外見と言動をするが、急に練習にめげたり案外意志は弱い。 中間テストで赤点を取り、補習のため高校野球大会から脱落。 特に活躍しないまま消えていった。 大石倉助(おおいし くらすけ) 声: 4番、キャッチャー、背番号2、3年生 右投右打。 不屈の事を「闘志」と唯一、下の名前で呼ぶ親密な関係を持つ、女房役。 中間テストで赤点を取り、補習のため高校野球大会から脱落。 以後ほとんど登場せず。 中間テストで赤点を取り、補習のため高校野球大会から脱落するも他の部員より早く復帰。 地区予選決勝からメンバーに戻るが、不屈の復帰後は補欠に。 古家秀明(ふるや ひであき) 声: 5番、レフト、背番号7、1年生 右投右打。 全力ナイン唯一の美少年。 中間テストで赤点を取り、補習のため高校野球大会から脱落。 以後登場せず。 映画では、脱落せず試合に出ている。 南洋(みなみ ひろし) 声: 6番、サード、背番号5、1年生 右投。 数学で赤点をとり、大事な試合にあわや登板できない事態となり不屈の肝を冷やさせた。 その後の中間テストでも赤点を取り、補習のため高校野球大会から脱落。 以後登場せず。 横山直也(よこやま なおや) 声: 8番、センター、背番号8、1年生 右投。 不屈のためにバイトを蹴って店長からクビを言い渡される。 後に中間テストで赤点を取り、補習のため高校野球大会から脱落。 以後登場せず。 日の出商業高等学校 [ ] 圧倒的な実力をもつ甲子園常連の強豪。 全力学園野球部の最大のライバルの1校。 (打順・背番号は地区予選決勝でのもの) 高田二流(たかだ ジロー) 声: 4番 新装版では5番 、背番号1 野球部キャプテン。 右投右打。 身長はとても低いがを使う実力者。 名前は長女の名「一流美」からの流れといきおいで付けられた。 その名前のためか誇り高い姉からは蔑まれていたが、憧れの人である姉に認めてもらいたい一心で日の出商キャプテンにまで昇りつめる。 不屈の前に初の敗北を喫するが、人間的には一段高く成長した。 以後不屈の同士として全力学園野球部に協力するようになる。 勝木強(かちき つよし) 8番、キャッチャー、背番号2 野球部第2キャプテン。 自分の負けを意識することがない性格で、人呼んで「負けず嫌いの勝木」。 不屈との死闘で完敗するも、その性格と自信にあふれた弁舌で不屈に敗北感を植え付けた。 地区予選決勝では試合中、高田にその傲慢な態度をとがめられ交代させられている。 一部名前のルビが かつきになっている。 星野(ホシノ) 1番、背番号7 右打。 強打者だが、独特の低い弾道でピッチャーの顔面を直撃、再起不能にするピッチャー返しを得意とし、ピッチャーを撃破するたびバットに星マークを描く不敵な男。 最初の対戦では初球で不屈を気絶させ、全力ナインを最大のピンチに陥れたが、復帰した不屈の男球を振り抜こうとして失敗、自分が再起不能となる。 馬力(バリキ) 8番、キャッチャー、背番号22 地区予選決勝で勝木に代わってキャッチャーとなった選手。 弾凱 1番、背番号15 地区予選決勝で負傷した星野と交代した選手。 有馬(アルバ) 2番、ファースト、背番号3 雷神具武愛也(ライジング ファイヤー) 3番、背番号8 無頼(ブライ) 5番、背番号6 村雨(ムラサメ) 6番、背番号5 天王丸(テンノウマル) 7番、背番号4 雷神具三打(ライジング サンダー) 9番、背番号9 七転ヤオキ(ナナコロビ ヤオキ) 厳しい練習と態度の鬼監督。 よみがえった全力ナインの猛攻にも取り乱さず、冷静に戦力を分析し余裕の態度を崩さなかったが、その余裕が最後には仇となった。 強力学園高校 [ ] 不屈とそっくり同じ性格・根性のメンバーが11人いる驚異の高校。 弱小野球部だったが廃部の決定に奮起して本選決勝に進出。 全力学園野球部と死闘を繰り広げた。 無敵勇士(むてき ゆうじ) 9番、ピッチャー、背番号1 左投左打。 野球部主将。 男球を使えないという弱点を克服するため、本選準決勝であえて100点差をつけられその逆境から男球を身に付けた。 打席の描写はないが、最終話で右耳にしかついてない片耳メットを使っているところから、左打だと考えられる。 底力(そこぢから) 3番、キャッチャー、背番号2 激闘 2番、背番号3 武士道 4番、背番号6 逆転 5番、背番号7 必殺 6番、背番号9 炎尾 7番、背番号8 根気 8番、背番号4 その他 [ ] 不屈根性(ふくつ こんじょう) 不屈闘志の父。 55歳。 不屈に幼い時から熱い根性を叩き込み、迷った時にはその道を正す偉大な魂をもつ男。 モデルは。 不屈撫子(ふくつ なでしこ) 不屈闘志の母。 不屈大和(ふくつ やまと) 不屈闘志の祖父。。 不屈男児(ふくつ だんじ) 不屈闘志の兄。 27歳、警察官。 高校生時代、実戦空手の100人抜き組手を果たした猛者。 不屈卑弥呼(ふくつ ひみこ) 不屈闘志の姉。 25歳。 不屈乙女(ふくつ おとめ) 不屈闘志の妹。 中学2年生。 高田一流美(たかだ いるみ) 元体力高校チアガール。 高田二流の姉。 プライドが必要以上に高く、親は泣いている。 山路険(やまじ けわし) 4番、ピッチャー、背番号1 元体力高校野球部。 作中の4年前、高校野球大会決勝でサヨナラホームランを浴び敗北するも、決して弱音を吐かず笑ってみせた一流の男。 その姿に高田一流美が惚れ込み、後に婚約に至る。 桑原(くわばら) 桑原真実子の父で、桑原医院院長。 医師の冷静さと男の魂をもつ好漢。 モデルはで、そのため作中でも必然性なくボクシングに通じている。 ザッシュ1号(ザッシュいちごう) 桑原真実子の愛犬で、『』からのゲスト出演。 タバカリ 5番、ピッチャー、背番号1 駄麻下(だました)商業高等学校野球部。 部員とともにニセ情報を流し全力ナインを追い込むが、気迫負けで猛打を浴び敗北。 落田(おちた) ピッチャー 右投。 砦二高(とりでにこう)選手。 前年の優勝投手でフォークを得意とするが、作中では不屈の夢にのみ登場。 高木(たかぎ) ピッチャー 右投。 ガッツ高選手。 不良生徒だったが教師の熱意ある指導で更生。 しかし日の出商の前に大敗北を喫し、観客をいたたまれない気持ちにさせた。 用語 [ ] 逆境 思うようにならない境遇や不運な境遇のこと。 すべてが思いどおりにいかない不運な境遇のこと。 自分の甘い予想とはうらはらにとてつもなく厳しい状況においつめられた時のこと。 男の成長に必要不可欠なもの。 男球(おとこだま) 球に魂を込める必殺の魔球(気球)。 あまりの気迫にボールが顔を持ち咆哮するかのように見える。 地区予選決勝にて不屈が編み出した。 初期は直球のみだったが、一回り成長した不屈は男球の変化球を投げられるようになった。 全力スペクトル 全力七光と書くことも(読みは同じ)。 不屈闘志最初の魔球。 実質的には単なるだが、モーションのあまりの迫力に相手は思わず凄いスピードボールを想定して早めにバットを振ってしまう。 ボールに「親の七光り」を与えるという意味からこの名が付いた。 亀谷万念との対決で使われたが、以後使用されたことはない(ただし、との合作である外伝では、1度使用)。 おもな逆境 [ ]• 廃部決定 - 校長から野球部の廃部を通告される(第1話)• レギュラー7名脱落・ピッチャー利き腕にけが - 試合を前にし、レギュラー9名のうち7名が怪我や病気・心理的問題などで休場。 ピッチャーの不屈も利き腕を脱臼する(第1話~第2話)• 部員残り4人 - 地区大会2回戦直前で部員6名が赤点をとり、補習のため高校野球大会出場が不可能に。 部員は全員で4人となる(第6話)• キャプテンの信用失墜 - 怪我の療養から試合を休んだ不屈が、女にうつつを抜かし試合をさぼったとあらぬ誤解を受けどん底に落ちる(第8話)• 112対3 - 地区大会決勝、不屈が気絶から目覚めると、9回表で109点差がついていた(第14話)• 残り54点差で試合続行不可能 - 地区大会決勝、点差を54まで詰めるもナインが不屈とケガをしているハギワラを残し全員疲労でダウン(第18話)• 部長退部 - 精神的支柱だったサカキバラが転勤、代わりに不屈らとそりの合わない安藤が部長になる(第22話~第23話)• 敵は11倍強い - 決勝戦の相手強力学園野球部は11人全員不屈レベルの選手と判明する(第26話)• かつての師が敵に - サカキバラが強力学園野球部準顧問と判明(第27話)• キャプテンが記憶喪失 - 不屈が自動車事故にあい、試合に遅れた上記憶喪失になる(第27話) 戦歴 [ ] (3球勝負などの私闘は含まない)• 雨天のため日の出商が試合放棄(ルール上試合放棄すると9対0になる)。 日の出商側は翌日の大強高校戦(練習試合)の肩慣らしのつもりだったため、あっさりとこの決断をした。 弁当にあたって普段のプレイができずラフプレイに走る黒風と、うしろめたく本気を出せない全力とで荒れた試合になるも、最後は互いの実力勝負で決着。 5回までに15点を入れられるが、サカキバラの喝を受け気迫で逆転。 スコアは不明。 不屈を欠きながらも弱小の世和井に僅差で勝利。 完人のリードとハギワラの好投で圧勝。 不屈はこのときベンチ要員。 スコアは不明。 腕を痛めたハギワラの降板、交替した不屈の不調とトラブルが続くも、それに奮起したメンバーの必死のプレイと亀谷のサヨナラで辛勝。 不屈が初回ピッチャー返しを受け気絶。 9回表で3対112(地区予選決勝にはコールドがないため)という大差を付けられた後、復帰した不屈を軸にじりじりと得点。 途中日暮れをまたいでの(翌日に延期)、全力ナインのダウンと波乱続きだったが、命がけの不屈の闘志が最終的に勝負を決した。 スコアは不明。 圧勝した模様。 現代育英はヒット0本。 不屈の好投で相手を0点に抑える。 不屈の好投は止まらず。 事故で不屈を欠いた試合となるもハギワラの好投で接戦に。 終盤抑えのピッチャーに不屈を迎え、渾身の男球が炸裂した。 エピソード [ ]• 地区予選決勝で重要な役割を果たす「 透明ランナー制」のルールは、実際の高校野球には存在しない。 作者は先輩であり野球経験のあるの冗談を真に受けて執筆し、後に実在しないルールだと知らされたが、すでに描き直す時間はなく、そのまま掲載された。 連載以前、本作の企画は二転三転し「メンバー全員がヒーローのサッカー漫画」の予定が予告掲載直前に野球漫画に変更になった。 その時点でタイトルは「 全力タイフーン」に決定したが、さらにその後第1話執筆時にタイトルも現在のものに変更されたという(ワイド版書き下ろし付録より)。 本作のテーマ「逆境」は映画『日本一のホラ吹き男』主演のが逆境を楽しむ姿に発想のヒントがあったとされる(ワイド版書き下ろし付録より)。 全力学園が所属するのは作者の出身地でもある南北海道地区である。 連載当時は北海道勢の優勝は前例が無く、野球漫画ですらリアリティが無いと考えられていた。 作者は本作であえてこの暗黙の了解を破って全力学園を優勝させている。 その後、偶然にも映画化の決定したにが北海道勢初の優勝、さらに映画公開の2005年に同校が連覇を果たした。 なお、作者は執筆当時から北海道勢の優勝は野球漫画史上初と思っていたが、後に読者の指摘で著『』が先に北海道勢の優勝を描いていた事を思い出すことになる(ラジオ『マンガチックにいこう!』より)。 本選1日目で全力学園と対戦した星雲高校は野球漫画『』主人公の出身校と同名。 電光掲示板にも同作の登場人物の名前が書いてある。 この回のスコアボードには『』の明訓高校、土佐丸高校、『』の青田高校、『』の巨人学園の名前も見てとれる。 また審判員の名前は歴代の変身前の名前(・・)となっている。 映画中の試験成績表に登場する人名の殆どは映画関係者である。 映画版テーマ曲にもなった『夢をあきらめないで』は原作の第3話タイトルにも使われている。 作者は執筆当時から同曲のファンで、映画版では悲願かなっての採用となった(ラジオ『マンガチックにいこう!』より)。 ドラマCD版に出演した声優・田中理恵は高校時代に出場し、その際に審査員を務めた島本和彦と出会っている。 声優志望という当時の田中に島本は「デビューしたら自分の作品に出てもらおう」と約束。 本作のドラマCDで約束を果たした(ドラマCD制作発表時のインタビューより)。 映画 [ ] 逆境ナイン 監督 脚本 原作 製作 平井文宏 出演者 音楽 主題歌 『』 撮影 村埜茂樹 編集 製作会社 「逆境ナイン」製作委員会 配給 公開 2005年7月2日 上映時間 115分 製作国 言語 『逆境ナイン』は、公開の。 企画・制作。 漫画を原作とした実写映画。 ストーリーは原作の第1話から地区予選決勝(日の出商業戦)までをもとに再構成されている。 原作での訓話的表現は比較的控え目に演出され、より喜劇面を強調した内容となっている。 原作通り目を剥く男球、威圧感の表現で巻き起こる突風や映画オリジナルの「宇宙から飛来する四字熟語が刻印された」などのスポーツ映画らしからぬも特徴。 舞台は北海道からに変更されている。 現地のの協力もあり、など当地の社会風俗が印象的な背景として登場しているが、各シーンの地理的な繋がりは実際とは異なる。 ロケ地は・・が主で、試合のシーンでは伊勢市以外にとの野球場も使われた。 全力学園の撮影にはとが使われた。 ROBOTの山際新平プロデューサーは志摩市(当時は)出身である。 山際が育った時代は全盛期であり、で大映ロケが多く行なわれていた。 約2時間の上映時間にまとめるためかハギワラや亀谷ら中途加入メンバーの存在はカットされ(エピソード自体はおおむね健在)、原作で中途脱落していた初期メンバーのままストーリーが進められる。 なお、映画中盤に登場する逆境「レギュラー7名脱落」では、新屋敷と山下を除く5名のキャラクターと欠場理由の対応が原作とずらす形で配されている。 主演のが右利きのためか、原作では左腕投手だった不屈闘志が、映画版では右腕投手になっている。 映画版の成り立ちは監督のがROBOTの山際プロデューサーに『逆境ナイン』ドラマ化を持ちかけた事が切っ掛けで、に依頼する際に「ドラマ」ではなく「映画」と言ってしまった事が映画化の発端となっている。 映画化までのエピソードを島本が漫画化した作品『逆境に吼えろ』は本作DVD(「全力版」)に同梱されている。 映画版キャスト [ ]• 不屈闘志(演:) - ピッチャー• 榊原剛(演:) - 監督 原作におけるサカキバラ・ゴウ。 映画では「元日本代表。 ただしの」という触れ込みだった。 校長(演:)• 月田明子(演:) - マネージャー 原作に登場した桑原真美子が映画ではカットされているため、不屈が恋に落ちる相手も映画では月田になっている。 新屋敷(演:) - ショート• 山下(演:) - ライト• 後藤(演:) - ファースト• 大石(演:) - キャッチャー• 小林(演:) - セカンド• 古家(演:) - レフト• 南(演:) - サード• 横山(演:) - センター• 神崎優司(かんざき ゆうじ)(演:) 原作における高田二流。 スナイパー東郷(スナイパー とうごう)(演:) 原作における星野。 本名は東郷十三(とうごう じゅうぞう)。 この名はデューク・東郷ことのパロディ。 炎尾燃(ほのお もゆる)(演:島本和彦〈クレジットでは炎尾燃名義〉) 漫画家。 試合の解説者(原作では桑原医院長の役所)として登場する。 スタッフ [ ]• 監督:()• 脚本:• 音楽:• 主題歌:『』• 製作:全力学園野球部(映画「逆境ナイン」製作委員会)• (今井田光代、佐藤礼文、立原滉二、由田和人、阿部慶輔、細川祐司、加藤直人、勝山健晴、岩瀬英介、福井達也)• (太田勝己)• 宣伝協力: エピソード(映画) [ ]• 『逆境に吼えろ』内などでも、それをネタとして扱っている。 解説役として島本和彦の演じる炎尾燃が登場。 炎尾燃は原作者の描く漫画作品『』『』『』の主人公で、本作では作品を越えて特別出演()したという形になっている。 また炎尾のモデルは島本和彦自身と言われており、島本が炎尾を演じるのは実質的な「本人役での登場」と言える(島本は『燃えよペン』作中でも既に「実写版 炎尾燃」として写真で登場している)。 島本は自作『』のアニメ版(1991年)でも「島本」という解説者役を演じており、映画でのこの役所はそのパロディあるいはオマージュとも言える。 不屈役の玉山鉄二は、「山下をトラックの交通事故から回避するシーン」で手を負傷してしまい、その後に撮影されたシーンのいくつかでは玉山の手に包帯が巻かれている。 『』内などでも、それをネタとして扱っている。 映画版での戦績 [ ]• 原作同様不戦勝。 - 地区予選第二回戦。 スコア不明。 原作でのvs世和井戦にあたる? 余談 [ ]• 映画音楽は『』『』、『』など、様々な場所で使われている。 制作はだが、一部の出演者と脚本家が共通していたため、フジテレビの『ココリコミラクルタイプ』などでも紹介された。 ドラマCD [ ] 『逆境ナイン ドラマCD 特別編』。 2005年発行の小学館サンデーGXコミックス版第6集(特別版・初回限定)に収録された。 ダイジェスト「全力学園野球部とキャプテン不屈闘志の奇跡の軌跡」、オリジナルドラマ「さようならサカキバラ! 虎口を逃れて龍穴に入る編」、ボーナストラック「島本和彦のマンガチックにいこう! 逆境ナイン特別編」の3編から成る。 ダイジェストは地区予選優勝直後の月田明子の手記という形で、原作の冒頭から地区予選優勝までの道のりを描いている。 特別書き下ろしのイメージソング「炎の笑顔」(作詞:島本和彦、歌:)も収録されている。 オリジナルドラマの原案は島本和彦、脚本は座主一剛。 地区予選決勝後、湯治に向かった山中でのエピソードを描く。 サカキバラが全力学園野球部を辞した本当の理由が語られている。 ボーナストラックはラジオ番組『』のパロディ版で、実際の番組のパーソナリティの島本和彦とアシスタントのモナミン()が出演。 漫画の登場人物達からのハガキに島本が答えるという内容。 オリジナルドラマのあらすじ [ ] 地区予選決勝を終え、満身創痍となったナインは疲労を癒すため、校長なじみの温泉に向かう。 しかし行った先の温泉は店じまいの後という逆境がナインを襲う。 遭難しかけたところを温泉学園高校の面々に救われた部員たちだが、温泉の歓待につい酒を飲んでしまったサカキバラが酔って暴れ出してしまう。 翌日、ナインは事件の口止めと引きかえに、温泉学園野球部と商業目的の練習試合をする羽目に。 慣れない高山の温泉地での試合に苦しむ全力ナイン。 はたしてこの逆境を不屈は乗り越えられるのか? そして、サカキバラは不祥事を隠し通せるのか!? ドラマCDオリジナルの登場人物 [ ] 登別(のぼりべつ) 声: 温泉学園野球部キャプテン。 温泉の地の利を活かした戦法で全力ナインを苦しめる。 有馬(ありま) 声: 温泉学園高校校長。 温泉学園は温泉宿と学校が一体化した総合教育施設であり、校長は女将も兼任している。 温和な口ぶりに似合わぬやり手で、サカキバラも一本取られた。 校長と同年代だが温泉の薬効で非常に若々しい。 舞台作品 [ ] 6月2日から10日まで、東京・池袋のBIG THREE THEATERにて上演。 プロデュース作。 が脚本・演出を担当する。 主な出演者 [ ]• 不屈闘志 -• 月田明子 -• 高田二流 -• 無敵勇士 -• ハギワラ・リョウ -• 源完人 -• 勝木強 -• 星野 -• 山下鉄男 -• 大石倉助 -• 古家秀明 -• 山根小太郎 -• 南洋 -• 後藤健 -• 新屋敷章 -• サカキバラ・ゴウ -• 小林孝志 -• 桑原真実子 -• 全力学園校長 - コラボレーション [ ] 、 逆境ナインの世界を舞台とした『全力学園高校』編を配信。 シナリオには逆境ナインの登場人物も登場。 登場高校• 全力学園高校 桑原も登場するが、シナリオではサクセス選手と月田との間にフラグを立てることも可能、その場合、同様の勘違いからデートが始まる• 日の出商業高等学校 メンバーは原作のものだが、星野の代打としてが、高田のリリーフとしてが登場している• 強力学園高校 原作同様サクセスの甲子園決勝の相手チーム• 駄麻下商業高等学校 ゲーム対戦のチームではなく、シナリオ内のイベントとして登場• 黒風高校 ゲーム対戦のチームではなく、シナリオ内のイベントとして登場• ゲーム対戦のチームではなく、シナリオ内のイベントとして登場 関連作品 [ ]• - 成人し教師になったハギワラが柔道部担当顧問として登場する。 - 不屈が全力学園3年野球部キャプテンとしてゲスト出演。 - 正式な続編。 プロ野球選手となった不屈が描かれている。 - 不屈が主人公の旧友として登場し、『逆境ナイン』の販促キャンペーンに協力する。 本作の設定では不屈闘志は(作品世界における)実在の有名人であり、『逆境ナイン』は不屈らを題材に描かれたノンフィクション作品という位置付けになっている。 - 本作の映画化の様子が戯画化されて描かれている。 逆境に吼えろ - 映画『逆境ナイン』DVD(「全力版」)封入特典で、同人誌『逆境の夏 日本の夏』からの再録。 本作の映画化に至る経緯が描かれている。 パロディ [ ]• 『』 - テレビアニメ第2期第3話で、不屈闘志に似た「男球」を投げるピッチャーが登場。 その時の対戦校は日の出高。 『』 - 単行本1巻の書き下ろし四コマに主人公が影響を受けた漫画として『タッチ』とともに登場(主人公が全力と書かれたユニフォームを着ている)。 漫画第417話では、「野球」と「かけがえのない女」を選ぶ二者択一のエピソードのパロディが描かれた。 脚注 [ ] [].
次の『タッチ』『H2』『クロスゲーム』『ナイン』感想 『タッチ』『H2』『クロスゲーム』『ナイン』感想 「試験をうけてみようと思ってさ。 これ以上ないきびしい試験だよ。 なにしろ相手は今一番輝いてもっとも魅力的な、日本中のあこがれの女の子なんだから。 」(上杉達也、『タッチ』第26巻) 「全国四千校が狙ってる甲子園とデートしようってんだからなァ。 こいつは大恋愛だ。 」(国見比呂、『H2』第10巻) 日本野球マンガの通史では60年代は『巨人の星』、70年代は『ドカベン』『キャプテン』、そして80年代は『タッチ』が時代を代表する野球マンガとされているようです。 たしかに私が小学生のころアニメも放映されていた『タッチ』は周囲でも男女問わず人気があり、岩崎良美さんが歌う主題歌も周囲で口ずさまれていた記憶があります。 バブル前期の明るく軽薄な時代の中でかつてのようなスポ根マンガは廃れていき、81年に『週刊少年ジャンプ』で連載が開始され一世を風靡したサッカーマンガ『キャプテン翼』にしても「魔球」系のブッとんだ必殺技は出てくるものの絵柄は爽やかで汗臭さは感じられない。 『タッチ』もまた、少女マンガ誌でも連載していたあだち充先生の親しみやすく可愛い感じの絵柄とすっきりした画面構成、幼なじみ三人の(ドロドロしたところのない)三角関係といった要素から、本来野球やスポーツマンガに興味なさそうな女の子たちにも広く受け入れられたようです。 それだけに「あれはラブコメマンガであって野球マンガではない」と野球マンガ、スポーツマンガファンからは言われることもしばしば。 また最終話でライバルに「またどこかのグラウンドで会うこともあるだろう」と言われた主人公が「もういいよ。 疲れるから」と答えるシーンは、スポ根マンガの時代に完全に終止符を打ったと表現されてるのを見たこともあります。 私も当時は野球部分に特に注目することなく読んでいたので、実際のところ野球の描写はどうだったんだろう?と思って、久々にあだち野球マンガ数作を読み返してみました(『H2』は初読。 以下『タッチ』『H2』『クロスゲーム』『ナイン』のネタバレあり)。 主人公・上杉達也が野球を始める前の数巻はもちろん、地区予選決勝直前に事故死した双子の弟・和也の志を引き継いだ達也が明青学園野球部のエースとなってからも。 達也が野球をする動機は和也の夢を叶えることにあり、その和也の夢とは幼なじみの少女・南を甲子園に連れていくことだった。 いわば彼らは女のために野球をやっていたわけで、実際ついに甲子園出場を果たした達也がすでに目的を達してしまったために全国大会を前にモチベーションが上がらず悩む話が終盤に出てきます。 結局全国大会そのものは描かれずに最終回のラスト一コマで明青学園が優勝したことが示されて物語は幕となる。 新たなライバル候補?たちがわざわざ名乗りをあげる場面があるので、もともとは甲子園大会も描く予定だったのが達也同様甲子園出場を果たしたら以降のストーリーを動かす原動力がなくなってしまった(作品の大テーマ「南を甲子園に連れていく」に決着がついてしまったため)結果、あのラストになったのかもしれません。 しかし『ナイン』など過去にも野球マンガを複数手がけてきたあだち先生だけに野球シーンの描写はさすがでした。 しかし『タッチ』の場合は投球も打撃も野手の動きも体の使い方にちゃんと説得力がありました。 『ドカベン』のパワーのある筆致とはまた違い、もっと軽やかでよりすっきりした印象を与える描き方です。 野球シーンに限らず、あだち先生の描く人物はなだらかな曲線を多用した柔らかい体のラインを持っていて、ゆえにたびたび登場する南のレオタード姿の局所的アップなども決していやらしくならない。 あだちマンガが女性読者にも抵抗なく支持される秘訣はこのあたりにあるのでしょう。 基本的には捕手のリードは描かれず(達也はストレートの速球一本槍だし)、監督の采配も(理由はあるものの)ほぼ描かれない。 そしてほとんどが三振によるアウトなので野手の活躍どころはそんなにない。 こう見てくるとあだち先生は野球の好きな方なんだろうなと思います。 本当は作者的にはもっと野球要素を強く出したかったけど、読者の興味が野球そのものより恋愛と兄弟愛に向かっていたためにそうもいかなかったのかなあ、などと想像したりしています。 (余談ですが、「基本は高校野球マンガだが中学時代から物語がスタート」「主人公がなかなか野球をはじめない」「野球の実力を見せる前から周囲の人間が彼の才能を見抜いて野球部にスカウト」というところで鷹丘中学編の山田を思い出しました。 『タッチ』が『ドカベン』を真似したということではなく、あまり自分から動こうとしない主人公のすごさを示すのに有効な描き方なんでしょうね) そのぶんも、数年後の『H2』では満を持して高校野球に正面から取り組んだ感があります。 こちらは完全に野球マンガ。 やはり恋愛(四角関係)は重要なテーマとして登場してきますが、女のために野球をやるわけではない。 『タッチ』や後述の『クロスゲーム』『ナイン』でも主人公が野球を始める、甲子園を目指す動機が好きな女の子にあったのに対し、『H2』の主人公・国見比呂は野球が好きだから野球をやっている。 このページのトップに達也と比呂の台詞を掲げてみましたが、このうち達也の台詞は甲子園大会開幕を目前にしてのもの。 高校球児みなの憧れである甲子園を前に彼の頭を占めているのは女のこと。 そして野球でも恋でもライバルで親友の強打者・橘英雄との甲子園での対決が物語のクライマックスとなる。 比呂と英雄は近所に住んでいる(頻繁に会える設定でないと四角関係の展開が難しい)のに通う高校がそれぞれぎりぎり北東京・南東京に分類される設定にすることで、作品の目玉となる二人の対決の場を地区予選でなく甲子園大会に持っていけた=今度こそ最高のテンションで甲子園大会を描くことができた。 また二人の対決をラストまで引っ張る(三年夏まで対戦できない)理由づけも秀逸。 『タッチ』では目についた整合性の粗さ(未消化の伏線や予定してたエピソードをいきなり変更した跡が目立つ。 控え投手だった吉田の扱いとか)がなく、ストーリーがしっかり練り上げられています。 『H2』でも『タッチ』同様甲子園大会での新ライバルたちが一堂に会し名乗りを上げる場面があり、ものものしく紹介(しかも二度にわたって)だけされて、主人公チームである千川高校がまさかの二回戦負けを喫したため結局対決せずに終わるものの、こちらは当然これら新ライバルと対決するんだろうと読者に思わせて二回戦負けの意外性をなお際立たせるための意図的演出という感じで、『タッチ』のときのような消化不良感はない。 彼らの登場場面の演出もよかったし。 あえて『タッチ』を思わせるエピソードを入れたのは、当時消化不良になってしまった部分の仕切り直し(結局対決しないものの消化不良にはならないよう演出する)という意味があったのかもしれません。 試合の描写についても『タッチ』の時点よりさらに表現力が増した。 その表現力を十二分に発揮させているのが比呂が「打たせてとる」タイプの投手であること。 その気になれば打者にかすらせないだけの速球を持ちながらも、「三振よりもバックの力を借りて取るアウトの方がうれしいんだって。 」「打たせて捕ってノーヒット。 それが、国見くんの一番理想のゲームなのよ。 」(マネージャー・古賀春華の台詞)との思いから、比呂は三振を取りにいこうとはしない。 結果、野手の活躍する場面が増えることになる。 比呂の属する千川高校野球部にはフィールディングに長けた選手が複数いて、彼らの好守備も見どころの一つとなっている。 『ドカベン』のような俯瞰図(ヒットを打って走る打者、打球を追う内野手、空いた塁をカバーに入る他の内野手までが一コマに収められてるような画面構成)は出てこないものの、塁上での走者と守備側の攻防がきちんと説得力をもって描かれている。 捕手の野田のリードも(山田ほどではないものの)時折登場するし、単なる投手と打者の対決ではない、ゲームの駆け引きの面白さがそこにはありました。 千川ベストナインの半分以上に印象的なエピソードがありしっかりキャラ立ちしていることも含め、間違いなくあだち野球マンガの最高峰じゃないかと思います。 対して2010年に完結した『クロスゲーム』は、意識的に『タッチ』を踏襲した作品のように思えます。 物語の比較的早い段階で重要キャラクターが亡くなり、それが主人公が甲子園を目指す動機となるところ(ゆえに『クロスゲーム』でも甲子園大会そのものは描かれない)、ヒロインが近所の喫茶店の娘であること、ヒロインの母親は故人であること(死亡ないし病気による「ヒロインの母の不在」はこのページで紹介する4作品全てにあてはまる。 学生生活の傍ら家事もきりもりする健気で家庭的な少女という属性をヒロインに付すためかと思われます。 もっとも『クロスゲーム』の場合、長姉の一葉が母親代わりをしてることもあってヒロイン=家庭的少女属性は薄いんですが。 ちなみにヒロインの恋のライバルは対照的に何不自由なく育ったお嬢様というパターンが多い)、主人公・樹多村光(コウ)がストレートの速球でガンガン三振を取るタイプの投手であることなど。 この作品で出色なのは何といってもヒロインの一人・月島青葉の人物像。 男にモテモテの美少女ながら男まさりのがさつな性格も主人公を(表面的には)嫌いまくってる点も、ここで取り上げた作品に限らずあだち漫画全般においても珍しい。 とりわけ彼女が中学・高校と野球部に所属し、女であるために公式戦には出られないものの、ピッチャーとして野球選手として主人公に次ぐほどの実力を有している点。 野球マンガのヒロインはマネージャーポジションにあることが定石(『タッチ』や『H2』もそう)なのに、自らもプレーヤーとしてグラウンドで汗を流す青葉は、チームメイトの誰より懸命に練習に励み、その姿が回りのナインを鼓舞する(能力があるのに公式戦に出場できない彼女のためにもみっともない試合はできないと奮起させる)効果をあげている。 主人公のコウに至っては、ろくにキャッチボールもしたことのなかった彼が野球を始めピッチャーを目指したのは小学校の頃に一つ年下の青葉のピッチングフォームの美しさ・投手としての才能を目の当たりにしたことにある。 女がきっかけで野球を始めたには違いないですが、恋心のせいではなくプレーヤーとしての彼女に憧れたがゆえ。 青葉の練習メニューやフォームに学び、剛速球投手として注目を集めるようになってからも、日常生活では口喧嘩してばかりの青葉を野球の師匠として敬意を払い、フォームの修正その他のアドバイスを求める場面が多々あります。 甲子園を目指す動機も、小学生の時に亡くなった初恋の少女・若葉(青葉の一つ違いの姉)が最後に見た夢を現実にすることが第一ではあるものの、 「おまえがおれの体を借りて投げてると思えばいいじゃん。 普段は喧嘩ばかり、しかしピッチャーとしての才能を高く評価し時には教えを乞う、というコウのスタンスは同性のライバルに対するものに近く、ヒロインを守るべき対象ではなく一緒に戦う同志と見なしているのが爽快です。 高校生になってもなお死んだ若葉への想いを抱きつづけているコウがこのまま若葉だけを愛し続けるのか、プレーヤーとしてではない一人の少女としての月島青葉を愛するようになるのか。 野球そのものの描写の緻密さ(プレー中の動作の描き方は相変わらずのクオリティ)では『H2』に一歩を譲りますが、野球を間に置いた主人公とヒロインの関係性が革新的な佳作だと思います。 そして初期の傑作野球マンガである『ナイン』。 これはもう、主人公・新見克也が中学男子陸上の短距離記録を持ちながら一目ボレした女の子(中尾百合)のために野球部に入る決意をするのが第一話という段階ですでに恋愛要素が前面に来ることを予測させます。 この作品の画期的な点は主人公がピッチャーでないこと。 これはあだち作品に限らず野球マンガ全般を通して珍しい。 あれだけ野球マンガを多く著している水島新司先生にしてさえ、主人公がピッチャーでない作品は『ドカベン』『あぶさん』『ダントツ』『おはようKジロー』くらいなんではないか。 最初は主人公が外野手をやっていた『ストッパー』『極道くん』もやがて投手に転向することになりますし。 こう見てくると『ナイン』の克也が一貫してセンター(紅白試合で一回ピッチャーをやるだけ)というのは相当珍しいといえる。 試合をしている場面の数(作品全体に対する試合の割合)でいくとこのページで取り上げた4作品で一番少ないんじゃないかと思いますが、あだち先生のキャリアの比較的初期にあたるこの作品ですでに選手のフォームや体さばきなどの描き方を確立しているのに驚きました。 連載開始当初はまだ絵柄がやや劇画調というか、シリアスな場面とコミカルな場面での絵の切り替えに若干違和感がありましたがそれも終盤にはすっかりこなれていて、十分に説得力のあるプレーを見せてくれました。 またあだちマンガは主人公ないしヒロインによる愛の告白かそれに匹敵する意思表明は最終回かその手前というパターンがほとんどですが(野球マンガに限らず『ラフ』『みゆき』『スローステップ』『虹色とうがらし』など)、『ナイン』では全5巻の4巻目ですでにはっきりした告白が行われ、5巻では完全に克也と百合はカップルとして描かれていて、これも特色といえるでしょう。 途中で主要キャラが亡くなるような悲劇が起きないぶん、本当に青春恋愛+野球マンガと言う趣きです。 克也の俊足と、柔道から転向した唐沢の怪力の生かし方もうまかった。 ちなみにこの5巻目に甲子園でのライバルとして「強肩、強打の四番オカベン」こと優勝候補・賢条学園のキャッチャー岡部なる人物が登場します。 克也が岡部について説明する場面にナレーションの形で「二番せんじ・・・・・・・・・」と入っているのでドカベン山田太郎を意識したキャラなのは間違いない。 太めで鈍足なのも一緒です(笑)。 それがあだち野球マンガなんじゃないでしょうか。 (2011年10月15日up) [PR].
次のフェイズ開始時にラブパワー解除• 練習ではなくレッスンコマンドになる• レッスンは体力が減らずケガもしない• 一緒にレッスンしたキャラのアイドルレベルが上がる• 一緒にレッスンしたキャラに「アイドルハート」が付く• 体力は自然回復する• 専用のランダムイベントが発生• 通院・遊ぶ・デート不可• 不眠症・サボりぐせ・虫歯・爆弾の効果なし• 1回につき1度アイドルバトルステージ発生 アイドルにはタイプがある イベキャラが入れ替わったアイドルにはタイプがあり、アイドルの初期タイプは「役割」によって決定する。 タイプはバトルステージのお題と獲得できる経験点に影響する。 レッスン後にアイドルレベルが他のメンバーより大幅に低いキャラがいた場合、特別レッスンをするイベントが発生する。 発生時には対象のイベキャラのアイドルレベルが6上がり、評価も5上がる。 特別レッスンの発生条件• 一緒にレッスンをしたキャラの中に全キャラの中でレベルが最低値のキャラがいる• アイドルフェイズのアイドルバトルステージ解説 条件を満たすことで経験点を入手できる固定イベント アイドルバトルステージは、 4つのアイドルタイプの内1つがテーマとして選出され、選出されたタイプの合計Lvで結果が決まるイベント。 結果に応じて経験点の入手や、次の野球フェイズにおけるコツイベ強制発生、評価アップの恩恵が受けられる。 どのタイプが選出されるかはランダムなので、お悩み相談でタイプを偏らせてしまわないように注意しよう。 入賞時はイベキャラの1人がMVPになる.
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