記事の内容• 回答:『ノボラピッド』は超速効型、『トレシーバ』は持効型のインスリン 『ノボラピッド(一般名:インスリン アスパルト)』とは、どちらもインスリンの注射薬です。 『ノボラピッド』は 超速効型のインスリンで、食事の後に起こる血糖値の上昇を防ぐために使います。 『トレシーバ』は 持効型のインスリンで、不足しているインスリンの基礎分泌を補うために使います。 インスリンを使った治療では、こうした作用時間の異なる薬を使って、生理的なインスリン分泌を再現するのが基本です。 また、『ノボラピッド』と『トレシーバ』を最初から混合してある『ライゾデグ配合注』も登場しています。 しかし糖尿病の人は「インスリン」の分泌が弱まっているため、通常よりも急激に血糖値が上昇することがあります。 このような「 食後の過血糖」は、心筋梗塞など様々な病気のリスクになることから、薬で治療することが推奨されています1。 1 国際糖尿病連合 IDF 「糖尿病における食後血糖値の管理に関するガイドライン」, 2011 『ノボラピッド』は「超速効型」に分類されるインスリン製剤で、通常10~20分で効果が現れます2。 そのため、食事の前に注射しておくことで、こうした「食後の過血糖」を防ぐことができます。 こうした「インスリン」の基礎分泌の不足は空腹時の高血糖の原因となり、糖尿病の進展にも大きな影響を与えます。 で、1日1回の注射で24時間安定した効果が続きます3。 そのため、こうした「インスリンの基礎分泌」を補うために使います。 3 トレシーバ注 インタビューフォーム 『トレシーバ』は持効型の中でも、特に作用が長い が、中でも特に『トレシーバ』は作用が42時間と長続きします3。 そのため、 注射の時間指定がなく、また注射を忘れた場合でも 8時間以上の間隔をあければ使えるなど、時間管理の難しい人でも使いやすい薬です。 そのためインスリン療法では1型・2型を問わず、食後の血糖値の上昇に対しては『ノボラピッド』などの「超速効型」で、足りないインスリンの基礎分泌に対しては『トレシーバ』などの「持効型」で、それぞれ補う必要があります(basal-bolus療法)。 通常は、『トレシーバ』などの「持効型」だけでは食前・食後の血糖値がコントロールできない場合に、『ノボラピッド』などの「超速効型」のインスリンを追加します。 しかし、2型糖尿病ではインスリンの基礎分泌が残っている場合もあります。 そういった場合には『ノボラピッド』などの「超速効型」の薬だけで血糖値をコントロールできる場合もあります4。 4 日本糖尿病学会 「糖尿病診療ガイドライン 2016 」 このように、様々な作用時間・組み合わせのインスリン製剤を利用し、病状や生活習慣に合わせてオーダーメイドの投与方法を考える必要があります。 薬剤師としてのアドバイス:「シックデイ・ルール」は予め確認しておく 糖尿病の人が風邪をひいた場合、食事を摂れない場合もあります。 この時、食事を摂らないのだから血糖値も上がらないはずだ、と薬を自己判断で中断してしまう人は少なくありません。 しかし、個々の病気の状況や生活習慣によって血糖値がどう変動するかは大きく異なります。 そのため、薬を何割減らせばよい、どの薬を中断すれば良い、と一概に述べることはできません。 体調不良などで食事を摂れない場合に、インスリンをどのように使えば良いか、予め「 シックデイ・ルール」を主治医と相談し、決めておくようにしてください。 ポイントのまとめ 1. 『ノボラピッド』は「超速効型」、毎食前の注射で、インスリンの追加分泌を補う 2. 『トレシーバ』は「持効型」、1日1回の注射で、インスリンの基礎分泌を補う 3. 従来の混合型(例:『ノボラピッド30ミックス』)や、『ノボラピッド』と『トレシーバ』を個別に使う場合と比べ、夜間の低血糖リスクが少ないとされています5,6。 5 ライゾデグ配合注 インタビューフォーム 6 J Diabetes. 9 3 :243-247, 2017 PMID: 個別に注射しなくても良いため注射の回数も少なくて済むほか、注射前の混濁操作も必要ない5 ため、シンプルな操作で注射ができることも特徴です。 これらの薬は、『ノボラピッド』と同じ「超速効型」と、作用が持続する「中間型」のインスリンを、様々な比率で配合した混合製剤です。 「超速効型」単独の『ノボラピッド』と、「中間型」も配合された『ノボラピッド ミックス』は別の薬であることに注意が必要です。 ほか 利益相反 COI 特定の製薬企業との利害関係、開示すべき利益相反関係にある製薬企業は一切ありません。
次の以前は最終手段のようにいわれていたインスリン療法ですが、最近では糖尿病の早期からインスリンを使うことも増えてきました。 インスリンを投与することによって、すい臓を休ませることが、より長期の血糖コントロール改善に良いということがわかったためです。 一方、インスリンとは異なる作用を持つ注射薬として「GLP-1受容体作動」があります。 <監修:上條内科クリニック 院長・医学博士 上條武雄 / 文:星野美穂> 糖尿病のインスリン療法とは インスリンとは、すい臓から分泌される、血糖値を調節するホルモンのことです。 インスリンの作用が不足して高血糖になる糖尿病に対して、インスリンを注射して補い、血糖値をコントロールするのが「インスリン療法」です。 1型の糖尿病患者さんでは、インスリンがほとんど分泌されていないため、インスリン注射は必須です。 一方、糖尿病のほとんどを占める2型糖尿病患者さんはインスリンを分泌する力が残っていることが少なくありません。 それでも特に血糖値が高い場合や、食事・運動療法や経口薬でも血糖コントロールが悪い場合にはインスリン療法を選択します。 早期にインスリンを導入すれば、インスリンが不要になることも これまでは治療の最終手段として使用されることが多かったインスリンですが、早期にインスリン療法を導入したほうが、長期的な血糖コントロールを改善し、合併症を減らせるという考え方が広がってきています。 長期間使用していると、すい臓が疲れてインスリンが出せなくなることもあります。 そうなる前に、身体の外からインスリンを入れることですい臓を休め、インスリンを分泌する能力を回復させるのが早期インスリン導入の目的です。 インスリン療法により、すい臓のインスリン分泌が回復した場合、インスリンが不要になることも少なくありません。 現在は注射器も改良されて、取り扱いが簡単で痛みの少ないものになっています。 医師からインスリンを勧められたら、「とうとう……」とは思わず、「まだ回復の見込みがある」ことを念頭に、導入を考えてみてもいいでしょう。 インスリンの種類 インスリンは作用時間によって、いくつかの種類があります。 患者さんのインスリンの分泌の状況や、血糖値の上がり方によって使用するインスリンを選択します。 健常な人では、常に少量のインスリンが分泌されています。 これが基礎インスリン分泌です。 ですから、ほぼ24時間作用する持効型インスリンで基礎インスリンを補充した上で、食事ごとに超速効型インスリンを注射する「強化インスリン療法」は、健常な人のインスリン分泌パターンを再現することができます。 ですが、1日に何度も注射を打てない場合や、本人が注射を打てず家族が注射する場合などは、1日1回だけ持効型インスリンを注射し飲み薬を併用する方法や、混合型を家族が在宅する朝・夕の2回注射する方法などを選択することもあります。 2015年には、24時間を超えて作用する時効型インスリン「トレシーバ」と、超速効型インスリン「ノボラピッド」をひとつにした配合注射剤「ライゾデグ」が発売になっています。 血糖コントロールをより良く、そして長く続けていくためには、生活の状況に合わせてインスリン製剤を選択していくことも大切です。 基礎分泌を補う目的で、1日1回もしくは2回使用する。 食事の直前の注射で、食後の高血糖を抑えるインスリン。 朝・夕2回の注射で使用する。 5時間で効果が現れ始め、4~6時間後で効果が最大になり、12~16時間後に効果が消滅するインスリン製剤。 インスリンとは異なる作用を持つ、「GLP-1受容体作動薬」 GLP-1受容体作動薬は、インスリンとは異なる作用を持つ注射剤です。 私たちが食事を摂ると、十二指腸や小腸から「インクレチン」というホルモンが分泌されます。 この「インクレチン」を注射することで、インスリンの分泌が増え血糖値が下がるのです。 「インクレチン」は高血糖のときだけ作用するため、低血糖が起こりにくいという特長があります。 また、体重を減らす作用もあります。 副作用としては、吐き気や嘔吐、下痢などが報告されています。 「インクレチン」はすい臓からのインスリン分泌を促す薬であるため、すい臓がインスリンを分泌する力がない場合は効果がありません。 その場合はインスリン療法を選択することになります。 GLP-1受容体作動薬は、現在5種類が使われています。 2007年から横浜市内の在宅療養支援診療所3ヶ所に勤務の後、2011年に上野原市に上條内科クリニックを開業。 地域を支える在宅医として、認知症ケア・緩和ケアなどにも力を入れる一方、アニマルセラピーの普及や、医療・介護が連携しやすい仕組みづくりにも取り組む。 忙しく飛び回る毎日の癒しは愛犬のチワワたち(花音、鈴音ともに7歳)。 自身でアニマルセラピーの効果を感じる日々。
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