もともとはのparadeigmaに由来し,〈範例〉を意味した語。 しかし1962年,の《科学革命の構造》が発刊され,そのなかで,クーンはこの言葉に新しい特定の意味を与えて使い,この用法が非常なを見せたため,それ以降〈パラダイム〉は,でも日本でも ときに〈範型〉〈範例〉と訳されるが,通常はこの片仮名書きが多用されている ,クーンの意味によることになった。 出典 株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について の解説 特定の学問分野を担う科学者の集団において,歴史上の一定期間その成員に共有される研究の範例。 元来は,語形変化表の意の文法用語,あるいは範例,模範などの意の普通名詞であったが,アメリカ合衆国の科学史家トマス・S. が『科学革命の構造』The Structure of Scientific Revolutions(1962)のなかでこの語を用いてのち,学術的概念として普及した。 クーンのパラダイム論によれば,の歴史は連続的な進歩,拡大の歴史ではなく,いくつかの科学革命(パラダイムの転換)によって画される断続史である。 パラダイムを共有する科学者集団が,一定期間パラダイムに基づいて科学を発展させ,その通常科学が行きづまると科学革命が起こり,新たなパラダイムが取って代わるという。 学問の基本的路線を問題にする概念として,自然科学だけでなく,人文科学にも多大な影響を及ぼした。 日本ではの翻訳により紹介され一般にも広まった。 ことばとしては、辞書によれば範例とか模範という訳があり、また文法の語形変化の例として用いられるが、クーン以来、学界・思想界で彼の用い方が広く使われて今日に至っており、日本では訳語をあてず、パラダイムのまま通用している。 クーンによれば「パラダイム」とは「広く人人に受け入れられている業績で、一定の期間、科学者に、自然に対する問い方と答え方のモデルを与えるもの」とされる。 例としてはプトレマイオスの『アルマゲスト』、コペルニクスの『天球の回転について』、ニュートンの『プリンキピア』などがあげられる。 あるパラダイムをモデルとして普通の科学者が行っている仕事が通常科学normal scienceであり、通常科学の発展が行き詰まると変則性が現れて危機が生じ、科学者は他のパラダイムに乗り換えて科学革命が起こる。 ニュートン力学からアインシュタイン相対論へのパラダイム変換はそのような科学革命の例である。 科学研究の成果は累積的に一定方向に進歩するという伝統的な科学観を崩し、科学の進歩は、あるパラダイムに基づいて一定期間行われる活動によって、科学革命がおこり路線が変わるものであることを示した。 そこから一般にパラダイムは思考の枠組みというように拡大して用いられ、既成慣行のものにとってかわる新しいオルターナティブalternativeを求める際によく使われる。 彼の名を有名にしたのは概念を駆使した1962年の《科学革命の構造》で,そこで彼はパラダイムを〈広く人々に受け入れられている業績で,一定の期間,科学者に,自然に対する問い方と答え方の手本を与えるもの〉と定義した。 この言葉は1960年代以降の学問の問い直しが迫られる知的状況のなかで,広く学問論や学術体制論の基本を問うためのキーワードとして受け入れられただけでなく,政治路線や体制を意味するまでに拡張解釈して用いられるようになり,学界,思想界に大きな影響を及ぼした。 … 【認識人類学】より …次に,差異化と包摂関係をもつが,この包摂関係はたとえば〈鼻は顔の一部〉のように,下位範疇が上位範疇に対して〈~の一部〉という関係をもつパルトノミーpartonomyがある。 さらに,差異化による分類だが範疇の階層化が生じない たとえば色彩分類 パラダイムparadigmなどがある。 民俗分類folk classificationの語は,分類形式と分類対象の双方を指す幅広い用語であるが,このほか,枝分れ分類tree,検索表keyなど分類方法に関する概念,あるいは原意と拡大意,範疇の境界,標識と中和,含意関係など,認識人類学は分類と意味づけに関する多くの概念を整備し,方法の精緻化を進めてきた。 出典| 株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について.
次のパラダイムの意味とは パラダイム、 パラダイスと間違えないよう注意。 英語では「paradigm」。 <パラダイムの意味> これは、 「現在の時代・分野において絶対的な規範とされている考え方」 という意味です。 例えば、「電池は使い捨てるもの」という当時の絶対的な考えが、 今では「充電して繰り返し使えるもの」という考えになっています。 このように絶対的な考えが変わることを、 「パラダイムシフト」と言います。 昔はいかに長持ちさせるか?だけを技術者が考えてきたものを、 いかに繰り返し充電できるかなどの考えになる、大きな科学的な進歩のことによく使われます。 辞書などでは「地動説」と「天動説」を例に挙げられています。 このような、その時代の絶対的な考えや常識のことをパラダイムと言います。 どこまでが?という程度が難しいですが、 「これは常識」という考えはパラダイムになると考えていいでしょう。 元は科学史者のトーマスクーンが提唱したパラダイム概念が由来となっており、 その言葉の意味が広く解釈され、現代では様々なジャンルにおいて使われるようになりました。 ここはちょっと難しいので興味があればを見てください。 和英辞典では「理論的枠組」「模範,範例,実例」という意味が書いてあります。 語源はラテン語の「並んで示す」という言葉。 それが「これらが絶対」という意味に変化したものでしょう。 <パラダイムの使い方> ・科学界では、大きなパラダイムシフトが起こりつつある。 ・新しい経営のパラダイムを掲げる。 ・パラダイム変化への対応など議論。 以上、パラダイムの意味とはでした。 -- 前: 次:.
次のもともとはのparadeigmaに由来し,〈範例〉を意味した語。 しかし1962年,の《科学革命の構造》が発刊され,そのなかで,クーンはこの言葉に新しい特定の意味を与えて使い,この用法が非常なを見せたため,それ以降〈パラダイム〉は,でも日本でも ときに〈範型〉〈範例〉と訳されるが,通常はこの片仮名書きが多用されている ,クーンの意味によることになった。 出典 株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について の解説 特定の学問分野を担う科学者の集団において,歴史上の一定期間その成員に共有される研究の範例。 元来は,語形変化表の意の文法用語,あるいは範例,模範などの意の普通名詞であったが,アメリカ合衆国の科学史家トマス・S. が『科学革命の構造』The Structure of Scientific Revolutions(1962)のなかでこの語を用いてのち,学術的概念として普及した。 クーンのパラダイム論によれば,の歴史は連続的な進歩,拡大の歴史ではなく,いくつかの科学革命(パラダイムの転換)によって画される断続史である。 パラダイムを共有する科学者集団が,一定期間パラダイムに基づいて科学を発展させ,その通常科学が行きづまると科学革命が起こり,新たなパラダイムが取って代わるという。 学問の基本的路線を問題にする概念として,自然科学だけでなく,人文科学にも多大な影響を及ぼした。 日本ではの翻訳により紹介され一般にも広まった。 ことばとしては、辞書によれば範例とか模範という訳があり、また文法の語形変化の例として用いられるが、クーン以来、学界・思想界で彼の用い方が広く使われて今日に至っており、日本では訳語をあてず、パラダイムのまま通用している。 クーンによれば「パラダイム」とは「広く人人に受け入れられている業績で、一定の期間、科学者に、自然に対する問い方と答え方のモデルを与えるもの」とされる。 例としてはプトレマイオスの『アルマゲスト』、コペルニクスの『天球の回転について』、ニュートンの『プリンキピア』などがあげられる。 あるパラダイムをモデルとして普通の科学者が行っている仕事が通常科学normal scienceであり、通常科学の発展が行き詰まると変則性が現れて危機が生じ、科学者は他のパラダイムに乗り換えて科学革命が起こる。 ニュートン力学からアインシュタイン相対論へのパラダイム変換はそのような科学革命の例である。 科学研究の成果は累積的に一定方向に進歩するという伝統的な科学観を崩し、科学の進歩は、あるパラダイムに基づいて一定期間行われる活動によって、科学革命がおこり路線が変わるものであることを示した。 そこから一般にパラダイムは思考の枠組みというように拡大して用いられ、既成慣行のものにとってかわる新しいオルターナティブalternativeを求める際によく使われる。 彼の名を有名にしたのは概念を駆使した1962年の《科学革命の構造》で,そこで彼はパラダイムを〈広く人々に受け入れられている業績で,一定の期間,科学者に,自然に対する問い方と答え方の手本を与えるもの〉と定義した。 この言葉は1960年代以降の学問の問い直しが迫られる知的状況のなかで,広く学問論や学術体制論の基本を問うためのキーワードとして受け入れられただけでなく,政治路線や体制を意味するまでに拡張解釈して用いられるようになり,学界,思想界に大きな影響を及ぼした。 … 【認識人類学】より …次に,差異化と包摂関係をもつが,この包摂関係はたとえば〈鼻は顔の一部〉のように,下位範疇が上位範疇に対して〈~の一部〉という関係をもつパルトノミーpartonomyがある。 さらに,差異化による分類だが範疇の階層化が生じない たとえば色彩分類 パラダイムparadigmなどがある。 民俗分類folk classificationの語は,分類形式と分類対象の双方を指す幅広い用語であるが,このほか,枝分れ分類tree,検索表keyなど分類方法に関する概念,あるいは原意と拡大意,範疇の境界,標識と中和,含意関係など,認識人類学は分類と意味づけに関する多くの概念を整備し,方法の精緻化を進めてきた。 出典| 株式会社平凡社 世界大百科事典 第2版について.
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