食事療法のポイント 1 食事療法の基本 食事療法の基本は腎臓の働きや病気の症状に応じて医師からたんぱく質、エネルギー、食塩、水分、カリウム等についての摂取量の指示がだされますので、指示にあった食事をします。 (1)たんぱく質はとりすぎないようにしましょう たんぱく質を多くとりすぎると、腎臓からしか排泄されない尿素窒素やクレアチニン等が多くなり腎臓への大きな負担になります。 たんぱく質は魚や肉だけではなく、ご飯、パン、芋類、果物、野菜などにも含まれていますので注意しましょう。 1日の指示されたたんぱく質量をいろいろな食品からとりましょう。 (2)エネルギーは十分にとりましょう たんぱく質が体内で有効に利用されるよう、エネルギーは不足しないようにしましょう。 また、エネルギーが不足しますと、身体中のたんぱく質が分解されエネルギー源になり(これを異化作用といいます)、体内の尿素窒素が増えるため、たんぱく質を多く食べたことと同じ状態になり、たんぱく質を制限する意味がなくなります。 たんぱく質が含まれない砂糖・でんぷん等や油類を上手に使用しましょう。 甘い和菓子や洋菓子はエネルギーアップになりますが、たんぱく質も多く含まれていますので気をつけましょう。 サラダ油、マヨネーズ、ドレッシング等の油類は少量で高カロリーがとれます。 (3)食塩は控えましょう 腎臓でのナトリウムを排泄する能力が落ちていますので、食塩は控えましょう。 特に高血圧の方は食塩の制限が必要となります。 加工食品(ハム、ソーセージ等)や練り製品(はんぺんやかまぼこ等)はできるだけ控えましょう。 漬け物、佃煮、干物はやめましょう。 みそ汁等の汁物は半量にするか又は飲まないようにしましょう。 レモンや酢等の酸味の利用により減塩でもおいしく食べられる工夫をしましょう。 (4)カリウムの制限をする場合 腎機能が低下して血液中のカリウム量が多くなり過ぎたとき、カリウム制限の指示がでる場合があります。 カリウムはあらゆる食品に含まれています。 たんぱく質を減らすことによりカリウムも減らすことができます。 生果物は通常の半量にするか果物の缶詰にしましょう。 特にバナナ、メロン、キウイフルーツはカリウムが多いため注意しましょう。 なお、缶詰のシロップは飲まないようにしましょう。 カリウムは水に流出しやすいので野菜・芋類は小さめに切ってから茹でこぼすか水にさらしてから調理しましょう。 茹でた場合に除去できるカリウム量は、その種類や調理するときの形状、水の量、処理時間によっても異なります。 ほうれん草などの葉茎菜類で約45%、いんげんなどの未熟豆類で約30%除去できます。 小さめに切ったり、茹でた後によく水を切ったり、搾るようにすると、より多く除去できます。 水にさらした場合も、茹でた時と同様に種類や切り方で相違が見られますが、玉ねぎなどの根菜類はカリウムの約40%が除去できます。 海藻類はカリウムが多く含まれていますので、一度に多量にとることは控えましょう。 (5)水分の制限をする場合 症状によっては水分の制限が必要になります。 飲む水分量を計量しましょう。 料理の水分も考慮しますので、水気を切って食べるようにしましょう。 極端な水分制限は腎臓を流れる血液量が減少し、働きが落ちるため指示量は摂取しましょう。 2 疾患別食事療法 疾患ごとに食事療法のポイントが少しずつ異なります。 概ね次のようになりますが、個々に異なりますので医師に必ず確認しましょう。 (1)糸球体腎炎(急性腎炎、慢性腎炎)• たんぱく質の過剰摂取を避けます。 標準体重1kg当たり0. 5~1. エネルギーは十分とりましょう。 標準体重1kg当たり35kcal。 但し高齢者や肥満の方はエネルギーを減らします。 食塩は浮腫(むくみ)や高血圧の症状にあわせて制限をしましょう。 浮腫や高血圧が認められた場合は厳しく制限します。 利尿剤を使用している時は低ナトリウム血症が生じやすいため注意が必要です。 水分は症状により制限します。 乏尿期(尿の量が減ってきたとき)の場合は制限が必要となります。 (2)ネフローゼ症候群• たんぱく質の過剰摂取を避けます。 標準体重1kg当たり0. 8~1. エネルギーは十分とりましょう。 標準体重1kg当たり35kcal。 食塩は浮腫や高血圧の症状にあわせて制限をしましょう。 著明な浮腫がある時は添加食塩1日0~4gとしますが通常は1日5~6gとなります。 水分制限はほとんどしません。 高度な浮腫がある場合は制限することがありますが、通常は制限しません。 (3)腎不全• たんぱく質は厳しく制限します。 標準体重1kg当たり0. 6~0. エネルギーは十分とりましょう。 標準体重1kb当たり35kcalは必要となります。 たんぱく質制限が厳しいためエネルギーを十分とる必要があります。 食塩は全身浮腫や高血圧の症状があるため1日7g以下にします。 水分は浮腫および尿量により制限します。 カリウム・リンは場合によっては制限します。 たんぱく質が制限されるとカリウム・リンはかなり少なくなりますが、血液中にカリウム・リンが増えた場合は制限します。 3 食事療法の実際 食事療法を行う場合は必ず医師の指示に従い、具体的には管理栄養士に相談しながら行いましょう。 (1)「腎臓病食品交換表」の活用 医師の指示に合わせてたんぱく質、食塩を控え、エネルギーを十分にとるには、食品の選び方や料理方法の工夫が必要です。 食事療法の複雑な条件のもとでも腎臓病食の特徴を生かした、治療の目的にそった食事ができるように工夫された 「腎臓病の食品交換表」(医歯薬出版)の活用をおすすめします。 (2)治療用特殊食品の使用 食事療法を継続させるために、たんぱく質を抑えた食品やエネルギーを補うための治療用特殊食品があります。 できるだけ良質なたんぱく質を含む肉や魚などをとるためには、治療用特殊食品を利用すると良いです。 ご飯・パン類、麺類等主食のたんぱく質含有量を減らしたたんぱく質調整食品を1日1~2食は使用しましょう。 炭水化物・でんぷん類や油脂類を主にしたエネルギー調整用食品を調理に使用したり、間食に食べるようにしましょう。 食塩を調整した調味料を上手に使用し、おいしく減塩食を食べましょう。
次の腎臓にいい飲み物 麦茶 お茶の中では麦茶がおすすめです。 麦茶は腎臓に負担をかけるカリウムの含有量が少なく、利尿作用のあるカフェインが含まれていないため、水分補給の効率もいいのが特徴。 夏場に冷やして飲むイメージの強い麦茶ですが、温かい麦茶も甘みや香ばしさが感じられ、おいしいものです。 冬場はぜひ温茶で楽しんでみてください。 紅茶 紅茶も比較的カリウムが少なく、腎臓に負担がかかりにくい飲み物です。 砂糖や生クリームを加えることで、腎臓病患者が進んで摂取したいカロリーを増やすことができるのも利点。 ノンカフェインのものを選ぶとより腎臓への負担を軽減できます。 無果汁のジュースや炭酸飲料 果汁の含まれるジュースはカリウムの含有量が多く控えなければなりませんが、無果汁のものにはほとんどカリウムが含まれず、安心して楽しめます。 コーラやサイダーもおすすめです。 無果汁の炭酸飲料は爽快感があり、ストレス軽減にも繋がります。 腎臓に悪い飲み物 野菜ジュース、トマトジュース 果汁飲料以上に気を付けるべきなのが野菜ジュースやトマトジュースです。 野菜ジュースと聞くと、体によさそうなイメージがありますが、腎臓に疾患のある方は野菜ジュースは避けるべきです。 カリウムの含有量が高く、商品によっては塩分も含まれているため、飲まないようにしましょう。 赤ワイン、黒ビール 病状によっては、飲みすぎない程度であればお酒を飲んでもいいと言われる場合もあります。 しかし、カリウムの多いお酒は避けたほうがいいでしょう。 特にカリウムが多いのは赤ワインと黒ビールです。 飲む場合は、白ワインや普通のビールなど、他のお酒にしておきましょう。 玉露 お茶の中で避けるべきなのは、日本茶の玉露です。 カリウム・カフェインの含有量が群を抜いて多く、おすすめできません。 ペットボトルの緑茶は比較的カリウムが少ないので、日本茶を飲みたい場合には活用するのも良いでしょう。 乳飲料、豆乳 乳飲料や豆乳も健康に良いイメージがありますが、腎臓の負担を考えると避けなければなりません。 カリウムが多いだけでなく、タンパク質が含まれている点でも、乳飲料や豆乳を選ぶべきではないでしょう。 腎臓病と水分制限について 排尿障害がない場合 排尿障害がなく、尿毒素適切な濃度で排泄できている場合は、腎臓病であっても水分の摂取量を制限されることはありません。 脱水症状が腎機能をさらに低下させる契機となる場合もあるので、逆に水分を多めに摂り、脱水にならないよう注意を促されることもあります。 しかし、水分を多く摂ることで病状が改善するわけではないため、過剰に摂りすぎないよう気をつけましょう。 希釈尿が出ている場合 腎臓の機能が低下し尿毒素を濃縮できなくなると、薄い尿(希釈尿)が出るようになります。 希釈尿が出ている場合は、尿毒素を充分に排出するため、水分を多く摂るよう指示されます。 排尿障害が起こると 腎機能が著しく低下すると、尿があまり出なくなります。 こうなると体内の余分な水分が排出できず、体にむくみが現れるでしょう。 むくみが進行すると体液が増え、心臓や他の臓器に負担がかかることになります。 排出される量以上の水分を摂取しないよう、水分量を制限しなければなりません。 人工透析が必要な場合 末期の腎臓病になると、尿がうまく作られず摂取した水分を自分で排せつすることができなくなります。 余分な水分は体重の増加に繋がり、排出はすべて人工透析に頼ることに。 水分を多く摂取していると、透析の際に血液から多くの水分を取り除かなければならなくなります。 この時、急激に血圧が下がることがあり、安全に透析を行う為にも厳密な水分制限が必要になります。 人工透析の水分制限は1日に500~600ccとかなり厳しいもの。 汁物や煮物の汁など、食事からの水分摂取も避けます。 自己判断はNG 腎臓病の水分制限は、病状だけでなく、体重や代謝量などによって厳密に計算されています。 控えすぎや、摂りすぎはかえって症状を悪化させる原因になることも。 主治医の指示に従い、水分摂取量を守り、カリウムや塩分に気を付ければ甘いジュースや炭酸飲料、お茶なども楽しむこともできます。
次の控えたい食事 自覚症状が少なく病状が進行してから気づく人もいる慢性腎臓病は、タンパク質や塩分、カリウムなどを控えながらエネルギーを摂取していくことが不可欠です。 ここでは、腎臓に悪い食べ物や控えたい食事を説明していきます。 腎臓に悪い食事とは?注意すべき栄養素 タンパク質コントロールの必要性と注意点 タンパク質は体の中でアミノ酸となり、体を構成する重要な栄養素です。 しかし、過剰に摂取するとタンパク質は尿素窒素などの老廃物として腎臓から排出されるのです。 ところが、腎臓の機能が低下すると血液中に老廃物が蓄積し、さらに腎臓に負担をかけます。 このような悪循環を防ぐために、タンパク質を制限する必要があるのです。 精白米や大豆などの植物性タンパク質は、アミノ酸の配分が悪く控えた方がよい食品と言えます。 タンパク質の含有量を通常の10分の1に抑えた、ご飯・パン・麺類などの特殊食品を食事に活用すると良いでしょう。 塩分コントロールの必要性と注意点 腎臓の機能が低下すると、ナトリウムを排出する機能も落ちてしまいます。 そのため、塩分制限をしないと血圧が上昇し、体はむくみ、さらに腎臓に負担をかけてしまうことになるのです。 高血圧やステージが進んでいる慢性腎臓病の人は特に塩分制限が重要です。 1日あたりの塩分の目安量は3~6gですが、病状により個人差があるので気を付けましょう。 肉や魚などの加工食品は塩分が多く使用されているので控えるのが賢明です。 調味料は減塩しょうゆを使用し、お酢やレモンなどの酸味を生かして減塩料理を楽しみましょう。 カロリーコントロールの必要性と注意点 糖質・脂質などの必要なエネルギーが不足すると、エネルギーを作るためにタンパク質が分解され、老廃物が増えてしまいます。 すると、尿素窒素などの老廃物が腎臓へ負担をかけてしまうのです。 腎臓病の食事制限で陥りやすいエネルギー不足を補うのは、タンパク質が含まれていない砂糖やサラダ油、マヨネーズなどの高エネルギー食品です。 お菓子でカロリーを補う場合は、穀類や小豆、牛乳、卵などのタンパク質を含むものは控えましょう。 カリウムコントロールの必要性と注意点 腎臓の機能が低下するとカリウムの排出も減少し、「高カリウム血症」に陥ります。 高カリウム血症とは電解質代謝異常症のひとつで、血液中のカリウム濃度が高くなり、不整脈や頻脈、手足のしびれ、筋力の低下などを引き起こすのです。 慢性腎臓病の人は、カリウムを多く含む生野菜・果物・豆類・イモ類の摂取を控える必要があります。 カリウムは水やお湯に溶けやすい性質を持っているので、野菜は細かく切って茹でこぼし、流水にさらして成分を減らすなど調理法を工夫するのがポイントです。 水分コントロールの必要性と注意点 腎機能が低下すると、体内にたまった水分を排出できなくなってしまいます。 そのため、体内に水分が貯留してしまい、体重が増加し、血圧が上昇してしまいます。 ひどくなると、心不全や肺水腫、呼吸困難といった命に関わる状態にもなってしまいます。 そのため、腎臓病の患者さんは水分制限をする必要があるのです。 飲み水やお茶などの飲料が多くならないように気をつけたり、水分の多い料理を控えるようにする工夫が必要となります。 リンコントロールの必要性と注意点 腎臓の機能が低下すると、体内の余分なリンを排出できなくなり、高リン血症になってしまいます。 リンは、体内ではカルシウムに次いで多く存在するミネラルで、細胞のエネルギーの代謝や骨の形成に関わっています。 このリンが体内で増加して起こるのが、二次性副甲状腺機能亢進症です。 たくさんある腎臓の機能のひとつに「活性型ビタミンD」の産生があり、これによって人の骨は丈夫に保たれています。 腎機能が低下すると、活性型ビタミンDが減って腸からカルシウムを吸収できなくなり、血中のカルシウム濃度が低下してしまいます。 この状態が長く続くと、甲状腺の裏にある小さな臓器である副甲状腺から副甲状腺ホルモン(PTH)が多量に分泌されるようになるのです。 その結果、骨からカルシウムとリンが溶かし出されるようになり、骨の密度が低くなって骨折しやすくなってしまうのです。 また、血管や関節、皮膚の下などに石灰化(カルシウムとリンが骨でない場所に沈着する現象)が起こり、心筋梗塞や脳梗塞、皮膚のかゆみ、関節の可動域の低下などを引き起こす可能性もあります。 リンはタンパク質を多く含んだ食品やインスタント食品などに含まれており、これらの摂取を控えることが大切です。 腎臓に悪い食べ物 腎臓病の場合、上記で説明したようにタンパク質・塩分・カロリー・カリウム・リンのコントロールが重要となります。 これらをコントロールするためには、以下のような食品は避けるように気をつけましょう。 タンパク質 肉や卵、魚などのタンパク質は、分解されて尿素窒素になり排出が難しくなるほか、二次性副甲状腺機能亢進症の原因となるリンも多く含んでいます。 腎臓病の方が多く摂りすぎることはよくありませんが、体に必要な栄養も多く含まれていますので、必要な量はきちんと摂取する必要があります。 適切なタンパク質の量は、腎臓病の病態によって異なります。 かかりつけの医師や栄養士に確認し、必要な量を摂取するようにしましょう。 タンパク質が多く含まれている食材 豚肉のゼラチン 世間のイメージ的にタンパク質の多い食材といえば鶏肉というイメージがありますが、豚肉の方が豊富にタンパク質を含んでいるんです。 豚肉はビタミンB1が豊富に含まれているため、身体の疲労回復にはうってつけの食材です。 しかしビタミンB1が含まれているのは主に赤身の部分であり、その証拠に一番ビタミンB1が豊富に含まれている部位はヒレ肉なのです。 赤み以外の部位はゼラチンの割合が多く、ゼラチンといえば成分タンパク質です。 そのタンパク質を多く含んでしまっているのが、トロトロとした脂身やホルモンとして食される内臓なのです。 タンパク質が一番多ゼラチン状のものだけを集めて抽出したものは、文部科学省が公表している成分表を調べてみると100gあたり87. 食材を形成している約9割がタンパク質なのです。 またその部位を避け食しているつもりでも、スープやお鍋を食する時に出汁として溶け出してしまうので飲み干してしまうと、その成分を全て体内で吸収してしまうことになるので注意しましょう。 ちなみにたんぱく質とは関係はありませんが、ゼラチンは脂質も高いのでカロリーを多く摂取することになり、腎臓病の要因の一つになりえます。 鶏卵の白身(乾燥) 卵は黄身と白身に分かれており黄身というのはタンパク質も摂取できますが脂質の割合も多く、対して白身というのは脂質が少なくタンパク質が多く含まれています。 よくダイエットをしている人や、スポーツをして体を鍛えている人は黄身を避け白身だけを食している光景を見ます。 あれは余分な脂質を抑えながらも多くのタンパク質を一度に摂取するためなのです。 そのことから卵の白身は避けておきたいところですが、文部科学省の公表している成分表で生卵の白身に含まれているタンパク質を調べてみると100gあたり10. 5gとさほど多いというほどのものではありません。 問題は乾燥させたものなのです。 白身を乾燥させた乾燥卵白というものはどのような家庭にもあるものではありませんがケーキ作りなどで使われるもので、白身を乾燥させて粉状にしたものです。 主にケーキ作りの際のメレンゲを作るのに役立ち保存もできるのです。 しかし一般的に馴染みがなくてもいつの間にか口にしている可能性があります。 先ほども話しましたがケーキに使われるということは、お店で購入するケーキ・お菓子・パン類にこの乾燥卵白が含まれている恐れがあるのです。 どんな食品でもそうですが、食品を乾燥させてしまうと栄養素が凝縮してしまいます。 現にこの乾燥卵白は100gあたり86. 5gもタンパク質が含まれているのです。 生の状態と比べても乾燥させただけで、約8倍も多いタンパク質が含まれているという結果になってしまいます。 市販の製品を買うときは注意が必要です。 カゼイン(乳製品) カゼインと言われてもどんなものか想像がつかないという人は多い気がします。 カゼインとは乳製品に含まれるタンパク質の約8割を占めているタンパク質の種類になります。 プロテインの一種にも使われ、ソイプロテインというのは大豆からタンパク質を抽出したもので、ホエイプロテインとこのカゼインプロテインは牛乳からタンパク質を抽出したものになります。 とくにカゼインはチーズやヨーグルトなどの加工製品を凝固する役割があり、水分に溶けにくい性質があります。 そのことから体内でゆっくり浸透していくものになるので、体内に残りやすいタンパク質になります。 ということは摂取し過ぎてしまうといつまでも体内にタンパク質が残り、摂取過多になってしまいます。 100gあたりに含まれるタンパク質の量は86. 上記2つのものと遜色がないほど量が多いので注意が必要です。 練り物、加工食品 かまぼこやちくわといった練り物、ハムやソーセージ、干物などの加工食品は塩分やリンが多く含まれています。 これらの食品は避けるようにした方が良いでしょう。 特に冬場に食べる機会の多いおでんは練り物が多く使われているので、注意が必要です。 塩分相当量が多い加工食品 粉末スープ 食卓の付け合わせや朝の忙しい時間に好んで食される粉末スープ。 お湯を入れるだけで立派な一品となるので、ついつい使っている人も多いのではないでしょうか? しかし便利で好んで使いがちなものですが、塩分相当量は非常に多いのです。 よく粉末スープを飲んでいると、最後の方でダマになってしまっている粉の固まりがありますよね?あれを食べてしまったことはありませんか?相当味が濃く、食べられたものではありません。 そのことからも一袋あたりに含まれている塩分量の多さが分かると思います。 文部科学省が発表している成分表では粉末状のコーンスープの100gあたりに含まれる塩分相当量は7. 1gです。 加工食品の中ではトップで、2番目に多い醤油に浸かっている松前漬けの5. 2gを上回ります。 便利なものなので飲むのをやめるのは難しくても、現在は減塩したものや量を半分にして飲むなど十分に対応は取れると思います。 野菜、果物 野菜や果物には、カリウムが多く含まれています。 血中のカリウム濃度が上昇すると、不整脈を起こし、場合によっては心停止を起こし死に至ってしまうこともありますので、注意するようにしましょう。 野菜は1日200g程度を目安にしてください。 カリウムは水に溶け出る性質がありますので、食べる際は茹でこぼしたり、水にさらしたりしてから食べると良いでしょう。 茹でたからといってカリウムをすべて除去できるわけではありませんが、生で食べるよりは含有量を減らすことができます。 果物は、1日50g程度が目安となります。 果物の中でもメロンやキウイ、バナナは特にカリウムが多く含まれていますので、これらはできるだけ避けるようにしましょう。 カリウムが多く含まれている食材 干しずいき ずいきというものに馴染みがない人もいるかもしれませんが、ずいきとは里芋の茎から葉の変わり目の部分のこと。 これを乾燥させると芋がらと呼ばれる干しずいきとなります。 昔から乾燥させ保存食として食され、現在では高級食材として取り扱われています。 100gあたりのカリウムの量は10g。 他にもカリウムが多く含まれている干し大根やドライトマトなんかよりも、2倍以上の摂取量を誇ります。 漬物、佃煮 漬物や佃煮には、塩分が多く含まれています。 できるだけ摂取は控えるようにしましょう。 松前漬け 松前漬けは昆布やスルメ、数の子と海の幸がふんだんに使われていながら、はじめとした調味料もふんだんに使い漬けてあるので塩分の固まりといってよいでしょう。 塩分相当量は100gあたり5. タンパク質も漬物の部類の中でも多いので注意が必要です。 味噌汁、鍋料理、麺料理 味噌汁や鍋、ラーメンなどの麺類は水分の過剰摂取につながるほか、スープや汁の塩分が高いので注意が必要です。 スープや汁は残すようにしましょう。 調理の際は具沢山にして、スープや汁の量が少なくなるようにすることもポイントです。 スープに塩分が多く含まれている食品 おでん 味噌汁や鍋、ラーメンなどはどれも塩分が多いですが、何気に注意しておきたいのが練り物・加工食品の項目でも話したおでん。 加工食品自体の塩分も多いですが、お汁も塩分が高いのです。 家庭でおでんを作るときに便利な顆粒だしは、100gあたりに56. 1gものの塩分が含まれているので注意が必要です。 顆粒だしを少なくすることや、自ら出汁を取るなどの対策を講じて塩分量を減らしましょう。 インスタント食品 インスタント食品は塩分やリンが多いので、できるだけ控えるようにしましょう。 控えた方が良い食品 カップラーメン 「カップラーメン=体に悪い」というイメージはみなさんにもすっかり根付いていることでしょうから、説明はあまりいらないと思います。 上記でも話したように塩分やリンが多く含まれ、油で麺を揚げていることから脂質も多いのです。 添加物も多めに使用されていますので極力避けたい食品です。 調味料 醤油や味噌、塩などを使いすぎると、塩分過多になってしまいます。 調理の際は計量スプーンを使って、どのくらいの量を使っているか把握するようにしましょう。 醤油やソースなどはかけて使うと使い過ぎてしまいがちなので、小皿にとってつけて食べるようにするのがおすすめです。 意外に塩分量が多い調味料 ドレッシング 野菜を食べるうえで欠かせないのがドレッシング。 野菜の上に大量にかけて食べると美味しいですよね?しかし塩分量が多いのです。 ドレッシングのこととして第一に気になるのが油分の多さ。 ドレッシングは基本的に油に味をつけているものが多いので、こちらを気にしてしまいます。 ところが現在、健康志向の波が押し寄せノンオイルタイプのドレッシングが増えています。 そちらを選べば脂質対策はできるでしょう。 塩分量が二の次になっている しかし塩分に関してはどうでしょうか?確かのスーパーを除くと減塩の製品もありますが、ノンオイルに比べてはまだまだです。 「ドレッシング=塩分が多い」というイメージが多くの人にないのです。 一番スタンダートな和風ドレッシングの平均的な塩分量は100gあたり0. 5〜1. 0あるかないかくらいです。 健康のために野菜を食べているという人も、大量にかけてしまったら何の意味もありません。 ノンオイルにプラスして減塩ということも常に頭においておきましょう。 調理・食事の際に気をつけたいポイント タンパク質を抑える方法 タンパク質は適度に摂取しなければならないものなので、制限し過ぎないように注意が必要です。 不足し過ぎるとエネルギー量が足りないので気をつけておかなければなりません。 エネルギーを取る際にはタンパク質からと考えるよりも、できる限りタンパク質が含まれていない砂糖やでんぷん、油類などをうまく活用するのも一つの方法です。 普段の食生活の中でタンパク質を抑えていくのはなかなか難しいのでは…と思うかもしれませんが、おすすめの方法として治療用特殊食品を活用する手が挙げられます。 治療用特殊食品とは、腎臓病の食事について考える上でぜひとも知っておいて欲しいもので、様々な種類の治療用特殊食品が販売されています。 例えば、一般的な6枚切り1枚の食パンは1枚あたり70g程度となり、エネルギー量は185kcal、たんぱく質は6. 5g程度含まれています。 一方で治療用特殊食品の場合はというと、50g程度のものでエネルギーが130~220kcal程度となり、たんぱく質にいたっては0. 3~2. 0g程度しか含まれていないのです。 食品の中でも特に小麦製品はタンパク質が多いので、パンのように小麦粉の割合が多い食材についてはできる限り控えるか、食べるにしても治療用特殊食品を取り入れるなどの工夫をしていきましょう。 例えば、主食に含まれているタンパク質の量を減らすことができれば、その分おかずとしてタンパク質が含まれているものを取り入れることもできますよね。 また、治療用特殊食品を取り入れれば効率よく主食に含まれているタンパク質の量を抑えながらも、満足感はしっかりといられるため、食事制限で大きなストレスを感じることも少なくなります。 こういった食品を取り入れる以外にタンパク質を減らすには、やはりタンパク質が含まれている食品を控えていくしかありません。 様々な食材にタンパク質は含まれているので、総合的な食事の量を抑えながらタンパク質を制限するように心がけていきましょう。 普段食べている食品にどれほどタンパク質が含まれているのか考えることも大切です。 たんぱく質は肉や魚類に多いイメージがあるかもしれませんが、卵や生クリーム、牛乳などタンパク質豊富な材料を使って作られる洋菓子などにも注意が必要です。 カリウムを抑える方法 カリウムは、タンパク質が豊富な食材にも含まれているため、先述したタンパク質を抑える方法を実践していくと、結果的にカリウムの摂取量も抑えることに繋がります。 それ以外のポイントでカリウムについて考えておきたいのが、タンパク質を制限する時と同じく、カリウムの含有量が多い食品を避けるということです。 また、カリウムは水やお湯に溶ける性質を持っていることから、湯でこぼしと水にさらす事も積極的に実践していきましょう。 湯でこぼしのやり方は次の通りです。 湯でこぼし 湯でこぼしとは何か?というと、食材をゆでたお湯を捨てる調理法のことをいいます。 沸騰してから2~3分ほど湯で、あとは食材をざるにあげてゆで汁をしっかりと切りましょう。 食材をゆでたお湯の中にはたくさんのカリウムが溶け出しているので、これをそのまま使って料理をすると溶けだしたカリウムもしっかり取り入れることになってしまいます。 特にスープなど、ゆで汁をそのまま使うような調理では注意しておかなければなりませんね。 塩分を抑える方法 塩分が豊富な食材を控えたり、調味料に注意することも大切です。 食品類には塩分量が記載されているので、そういったものを参考にし、できるだけ抑えられるように注意していかなければなりません。 ただ、メニューを作る際に塩分を控えようとすると、どうも味気ない薄味になってしまいますよね。 実際に腎臓病のための食事制限に取り組んでいる方の中には薄味であることにストレスを感じ、食事制限がうまくいかないケースもあるようです。 いくら健康のためとはいえ、おいしくないものは食べたくないと感じている方にぜひとも実践して欲しいのが、だしをしっかりとるということ。 だしにはうまみ成分が含まれているため、使用する塩の量が少なくても満足しやすくなります。 昆布や鰹節だけでなく、キノコや干しエビなどもだしが出るので、うまく活用してみてくださいね。 また、味が薄いとうっかり醤油を足してしまう方もいるはず。 醤油にも塩分が豊富に含まれているので、それ以外の香辛料や香味野菜をうまく活用して味に深みを出していきましょう。 例えば、シソやにんにく、ショウガなどを使うのも良いですね。 もう一つおすすめしたいのが、煮物料理などを作る際に始めから調味料で味を染みこませてしまうのではなく、基本的な味つけは控えめにしておいて最後に食材の表面に調味料を絡めるようにするということ。 こうすると舌に触れる部分は味がついているものの、総合的に使う調味料の量は抑えられます。 カロリーを抑える方法 カロリーを抑えるためにも、何にどれくらいのカロリーが含まれているのかをしっかり把握しておきましょう。 意外にカロリーが高いものとしては、ナッツ類や春雨そうめんなどが挙げられます。 どういったものにカロリーが豊富に含まれているのかを理解すれば、それを取らないようにするだけでも高カロリーの食事を避けることに繋がりますよね。 ただ、腎臓病のためのカロリーコントロールといえば、不要なものはできるだけ抑えてエネルギーを摂取することに注目しなければなりません。 タンパク質などが含まれているものを減らすと、どうしても総合的な摂取カロリーが減り、カロリー不足の状態になってしまうのです。 肥満体型よりもカロリー不足で痩せている方が良いのでは?と思うかもしれませんが、栄養不良に繋がってしまう恐れもあるので良質な食品でカロリー不足を補いましょう。 油などから取り入れる方法もありますが、他にも腎臓病食として高カロリー飲料やゼリー、カロリーアップ食品といったものが出ているので、それらを役立ててみるのもおすすめです。 どうしても自分では適度なカロリーを維持してタンパク質・カリウム・塩分を抑えたメニューが組めないという場合には宅配弁当などで腎臓病のための食事制限を試し、そのメニューを真似するのも一つの方法だといえるでしょう。 レシピ本などもあるので、参考にしてみてくださいね。 参考文献•
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