それにより、公共交通機関の運賃の改定が行われるのは間違いないでしょう。 企業にとっては、定期券の金額変更による通勤費の増加が気になるところではないでしょうか。 前回消費増税された2014年4月前後に起こった事例も含め、企業が注意すべきポイントを詳しくご紹介いたします。 ほぼ従業員全員の通勤定期代が変わることになります。 交通機関会社によって運賃改定時期はまちまちです。 1人1人の通勤経路は細かく違いますから、通勤経路の妥当性を1つずつチェックするためには膨大な工数がかかり、精算業務に携わる従業員にとって大きな負担となるでしょう。 実際に前回の消費増税では、以下のような問題が発生した企業もありました。 お問い合わせ・資料請求はこちらから>> 1,000名規模の企業で通勤経路のチェックに330時間以上 前回の増税時、1,000名規模の企業で通勤経路のチェックに330時間以上かかったケースもあります。 企業側も短期間に従業員からの定期代変更申請が殺到し、精算業務が立て込むことは予測できていたため、人員を増やすなどの対応をしていました。 それでも残業しなければ業務を期間内にこなすのは困難なケースが多かったようです。 長時間の精算業務で計算ミスが多発 通常、公共交通機関が一斉に運賃を改定することはないため、通勤費の変更申請が集中することはあまりありません。 しかし、同時期に変更申請が殺到する消費増税時期には、長時間の精算業務による計算ミスも多発しました。 計算ミスを防ぐため、何度か再計算し確認することになり、ますます精算業務に時間がかかってしまうケースもあったようです。 経費検索ソフトで改定後運賃データの反映が遅延 PCやスマートフォンなどを使いインターネットで運賃や定期代が検索できるサイトは便利ですが、増税時期は検索サービスを利用するユーザーも多く、サーバーが混雑し、思うように検索ができないケースもありました。 また、中小私鉄会社や路線バスの定期代については改定後の運賃データの反映が遅くなるケースもあり、調べたい鉄道・バス会社の運賃データの反映がされているかを確認しながらの作業で想定以上に時間がかかってしまうこともあったようです。 従業員による交通費変更の申請漏れ 運賃改定による交通費変更を従業員に申請任せの企業では、なかなか変更届を提出しない従業員もいたそうです。 提出するように呼びかける手間がかかり、円滑な精算業務の妨げになってしまったケースがありました。 つまり、今回の消費増税では、2019年9月30日までに6ヵ月の定期を購入してもらうことで運賃改定による定期券の金額変更の精算業務がある程度軽減されますし、通勤費も若干抑えられます。 ただし、9月末は定期券購入窓口の混雑が予想されますので、余裕を持って購入するように従業員に周知させましょう。 お問い合わせ・資料請求はこちらから>> 消費増税から3ヶ月間は各社員の給与支給額の確認が必要 消費増税する2019年10月以降3ヶ月間は、社員1人1人の給与支給額が月額変更の届け出(随時改定)に該当するかどうかも確認しなくてはなりません。 どういうことかと言うと、消費増税で定期券代が高くなると「固定的賃金の変動」に該当するため、健康保険料や介護保険料、厚生年金保険料など社会保険料の月額変更の届け出(随時改定)を提出しなくてはならない可能性が出てくるのです。 届け出が必要なのは、3ヵ月間で保険料を計算する基礎となる「標準報酬」が2等級以上変動する場合ですから、消費増税分の定期券代(通勤費)が高くなるだけであれば、可能性は低いです。 しかし、たまたまその月に残業が多かったりするなども給与が増える要因があった場合には注意が必要です。 例えば10月〜12月分の給与支給額のうち、標準報酬が2等級以上変動していた場合、1月の社会保険料から標準報酬月額が変更になり、2月からは給与から控除される社会保険料が増えることになります。 急に保険料が高くなった、と慌てないように該当する従業員には説明が必要となるでしょう。 ほぼ全従業員の交通費が変更となるため、通勤経路のチェックなどで精算業務にあたる従業員にはかなり大きな負担がかかります。 人員を増やしたり、消費増税前に定期券を購入するよう従業員に周知させることである程度は負担の軽減が可能ですが、より業務の効率化を図るには、通勤費管理のシステム化がおすすめです。 精算のための残業を減らせ、人件費など大幅なコスト削減も図れるでしょう。 お問い合わせ・資料請求はこちらから>>•
次のしかしたとえば増税前に予約した運賃、書籍、映画のチケットなどの受取が、10月1日の増税後だった場合は、どちらの税率になるのでしょうか? このような混乱を避けるために、増税前には毎回、 経過措置という制度が設けられています。 本記事では、• 消費税の経過措置とは?• 経過措置の対象となるもの10選• 増税のタイミングの前に、しっかりと把握しておきましょう。 もくじ• 経過措置は消費税法で定められているので、把握せずに間違った税率を適用してしまうと、 法令違反になってしまうので、注意しましょう。 軽減税率との違いは? 前回の記事では消費税の軽減税率について紹介しましたが、経過措置との違いを紹介していきます。 一方、今回紹介する経過措置は…• 対象となる具体例は以下で挙げているので、一緒に確認していきましょう。 ちなみに軽減税率の対象になっているものは、条件を満たしても経過措置の適用にはなりません。 経過措置の対象となるもの10選 経過措置の対象になる 代表的な例10選を紹介していきます。 旅客運賃・施設入場料• 水道光熱費• 定期購読している書籍の予約販売等• 特定の新聞• 工事・製造などの請負契約• 冠婚葬祭用施設など指定役務の提供• 資産貸付• 老人ホームの介護サービスの提供• 電車賃(定期券や回数券含む)• 航空機のチケット• 映画館の料金• 美術館・博物館などの入場料金• 遊園地などアミューズメント施設の入場料金 など上記のような 旅客運賃や 施設の入場料は、経過措置の対象です。 ICカードへのチャージは対象外! PASMOやSuicaなど 交通系ICカードは、増税前にチャージをしても、乗るタイミングが増税後なら経過措置の対象にはなりません。 (チケットレスでの購入も同様) 2019年10月1日以降に出かける予定がもう確定している場合は、今のうちに買っておいたほうがいいでしょう。 安く買えるものは、少しでもおトクに買いたいよね。。 販売者側が2019年4月1日より前に販売価格等の条件を提示 (もしくは提示する準備を完了)する• 増税前に消費者が申し込みをする• 経過措置の対象となるのは、9月30日まで価格変動がないときのみです。 工事・製造のほかにも• 地質調査• ソフトウェアの開発 なども該当します。 経過措置の対象になるかは 「完成するまで長期的になるのが一般的」かつ、 「完成したときの引き渡しが一括」という2点から見極めることが可能です。 ちなみに実際に引き渡す物質的なモノがなくても、一括で完了する契約であれば、経過措置の対象になります。 ただし下記の要件を満たす必要があります。 貸付の期間と額が定められていること• 事業者が貸付額の変更を求められる旨の定めがないこと• 解約の申入れができる旨の定めがないこと• ただし入居期間中の介護料金が、入居一時金として支払うなど、要件を満たさないと対象外です。 家賃(賃貸借契約)• ゴルフ場の年会費• 航空チケットのアップグレード• ディナーショー• インターネットの定額プラン• 歯の矯正・インプラント治療• インターネット通販のセール期間 なるべく身近な例をチョイスしたので、一緒に確認していきましょう。 (参考資料: ) Q1:家賃(賃貸借契約) 家賃について質問です。 物件Aは、2019年10月分の家賃を前月20日(増税前)に支払う賃貸借契約。 物件Bは、2019年9月分の家賃を翌月20日(増税後)に払う賃貸借契約をしています。 この場合、物件A・Bでは税率が変わりますか? A1:変わります。 電気料金が経過措置の対象になるケースは、下記2つに限ります。 増税前~増税後も継続的に契約• 2019年10月1日~10月31日までの間に検針(もしくはこれに類すること)をして料金が確定するもの 通信量に関わらず定額の通信料の場合、検針(もしくはこれに類すること)をして料金が確定するわけではないので、経過措置の対象にはなりません。 ちなみにデータ通信量や通話料などで毎月変動するスマホ料金などは、経過措置の対象です。 Q6:歯の矯正・インプラント治療 2019年3月31日にインプラント治療の申し込みをして、治療代を9月30日までに支払いました。 この場合、治療が終わるのが増税後の10月1日以降でも経過措置の対象になりますか? ちなみに契約書には、一度払った治療代は途中でキャンセルしても返還しないという旨が記載されていました。 A6:経過措置の対象外。 経過措置の対象となるのは、「役務の全部の完了が一括して」行われるものに限ります。 歯の矯正・インプラントは上記に含まれないので、経過措置対象にはなりません。 そのため一般的な商品と同じく、払った時点での税率ということになります。 Q7:インターネット通販のセール期間 2019年4月1日より前までに販売価格等の条件が提示されている通販サイトについて質問です。 通販で経過措置の対象になるのは、以下3つの条件を満たすとき。 販売者側が2019年4月1日より前に販売価格等の条件を提示 (もしくは提示する準備を完了)する• 増税前に消費者が申し込みをする• 提示した条件に従って、消費者が増税後に購入する つまり途中で販売価格を変更する=新たな販売条件を提示するということです。 そのためセール開始日の8月13日~9月30日までに購入申込した商品で、10月1日以降の譲渡になった場合は、経過措置の対象になりません。 まとめ~消費税の経過措置を覚えておこう~ 以上、本記事では消費税の経過措置について、• 軽減税率との違いなど基本的なこと• 経過措置の対象となる代表的なもの• 経過措置のことを事前に知っておくのと、いきなり対応するのとでは、増税後の心持ちが異なります。 全てのケースを網羅するのは至難の業ですが、あなたの馴染みのあるケースだけでも頭に入れておきましょう。 もし気になる点があったら、下記よりご連絡ください! 起業をするにあたって、 やるべきことや 知っておくべき情報はたくさんあります。 当サイトでは会社設立に関する情報をお伝えしていますが、ときには 検索してもスッキリしない疑問が生じることもありますよね。 直接誰かに質問したくなったときは、ぜひ スタートアップ会計事務所にお問い合わせください。 " 話しやすさNo. 1" " 実績多数"のスペシャリストが、会社設立のことはもちろん 税務や 労務に関することも丁寧に対応します。 あなたの抱える疑問や不安を解決して、 効率よくスムーズに会社設立をしていきましょう。 様々な業種の起業を全力でサポートするべく、私たちはいつでもあなたからのご連絡をお待ちしています。
次の今回の消費増税の概要 2014年4月1日以来、5年6ヶ月ぶりの増税で、税率が8%から10%へと上がります。 ただし、今回は「軽減税率」が導入され、(1)酒類・外食を除く飲食料品、(2)週2回以上発行される新聞で定期購読契約にもとづくもの、が軽減の対象品目となり、税率が8%の据え置きとなります。 増税は消費者に限らず、事業主・会社側にも多大な影響を生じさせます。 例えば、小売業の現場では、レジの入れ替え作業が労力的、費用的に大変で懸念されることとして、ニュース等で報じられていたことは記憶に新しいかと思います。 視点を「会社の部署」に向けるならば、営業部門や経理部門となりましょう。 売上や経費等にダイレクトに関係します。 営業や経理と比べると、一見関係ないようであって実は給与計算に影響があり、見過ごせない部分があります。 それは、 「通勤手当」 です。 今回は、給与担当者として「通勤手当」の取り扱いで注意すべきことを説明していきたいと思います。 その「性質」をまとめると、以下のようになります(平成24年9月20日 第2回 社会保険料・労働保険料の賦課対象となる報酬等の範囲に関する検討会におけるを参照)。 「労働の対償」として支払われるものとして、労働基準法上の「賃金」の一部である。 「最低賃金法」における「賃金」に該当しない。 会社の時給等が最低賃金額を満たし、適法か否か調べる際は、通勤手当の金額を除外する必要がある。 源泉所得税上、通勤の手段や通勤の片道距離に応じて、非課税限度額がある。 公共交通機関・・1ヶ月当たりの非課税となる限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額( 15万円以下ならば、全額非課税となります。 ) 自家用車・・・1ヶ月当たりの非課税の限度額は、片道の通勤距離に応じて定まる。 例としては以下となります(所得税法9条及び所得税法施行令20の2を参照) 片道距離が2km未満の場合は 全額課税 2km以上~10km未満の場合は 1ヶ月当たり4,200円が非課税 10km以上~15km未満の場合は 1ヶ月当たり7,100円が非課税• 雇用保険料を計算する際の賃金に含める(非課税限度額は関係なし)。 社会保険料(健康保険料・介護保険料・厚生年金保険料)に関する「標準報酬月額」を決定する際の「報酬」に含める(非課税限度額は関係なし)。 「通勤手当」は法律上、必ずしも支給すべきものではありませんが、約9割超の会社が支給をしている実態があります 「平成27年就労条件総合調査」を参照。 1.公共交通機関で通勤をする場合 1ヶ月の定期代に相当する金額を「通勤手当」として支給するのが主流かと思います。 相当額としては「実費」、「最寄駅から勤務地までの最短経路の1ヶ月定期代」、「6ヶ月定期代の1/6相当額」、等が考えられます。 計算方法に違いはありますが、いずれにせよ、運賃や定期代には消費税がかかり、かつ軽減品目には該当しないため、増税に伴い値上がりすることになりますので、 「通勤手当」の変更が必要です。 かたや、ガソリン単価と連動しない計算式であれば、消費税の影響はありません。 これを採用する場合、「通勤手当の非課税限度額」を参考にして、支給金額を定めている会社が多々あるかと思います。 公共交通機関による通勤といえども、 一律の金額を支給している場合は、消費税は関係がないため、増税を考慮する必要はありません。 もし変更を怠った場合 消費税の増税が実施される前に、給与担当者として、自社の就業規則や給与規程の「通勤手当」に関する条項や計算式を見直し、消費税と関係がないか、改めて確認してみましょう。 消費税が影響する計算式であれば、「通勤手当」を一斉に変更する作業が必要となります。 変更を怠った場合、当該会社の就業規則・規程違反に留まらず、労働基準法にも抵触することにもなります。 変更を怠ったことによる差額が少額だったとしても、労働基準法上の「賃金」に該当するため、24条との兼ね合いで問題となります。 24条では「賃金は、通貨で、直接労働者に、その 全額を支払わなければならない。 」とあり、賃金の支払いに関する重要な原則を謳っております。 変更を怠ることは「全額払い」の原則に反することになるため、給与担当者として注意をしましょう。 通勤手当の金額変更を行う場合、それを正確に行い適切な時期に給与へ反映させることは当然のことといえますが、「変更それ自体」にも増して、給与担当者として、変更の情報を、どのように収集するかを考慮する必要もあります。 該当する者に対して「一斉に」行う作業となるため、その段取りやアナウンスが大変重要となります。 増税の時期が迫っているにも関わらず、まだ作業に着手できていない会社の担当者は、効率的な段取りや丁寧なアナウンスをも念頭において、業務を進める努力をしましょう。 まとめ 上記では該当者のみに言及をしましたが、この増税を機会に、通勤手当の『棚卸し』の意味も込めて、従業員全員に対して「通勤手当申請書」を提出して頂くこともよいかもしれません。 該当者か否かの選別を行う煩雑な業務を省略しつつ、全員を対象として、「申請書の提出がなされているか」、「住所や通勤経路・手段に変更はないか」、等の精査を行うよい機会かと思います。 「通勤手当」変更後、日々の給与計算において注意すべきことは、以下となります。 自家用車の場合、通勤手当の増額に伴い、今まで非課税限度額で収まっていたところ、課税となる金額が生じる可能性も否定できません。 例えば、片道の通勤距離が5kmで、その距離にガソリン単価を乗じて「通勤手当」を計算・支給している会社において、今まで4,200円の範囲内に収まっていた手当が、増税を反映させたガソリン単価を乗じた結果、4,300円になった場合には注意が必要となります。 4,200円を非課税、100円を課税に振り分ける必要があります。 非課税と課税の区別をしっかり行い、月々の源泉所得税の金額を正確に算出し、正しい給与計算を行うようにしましょう。 すなわち「通勤手当」として、1ヶ月一律に支給しているもの(公共交通機関を通勤で使用している場合を想定)やガソリン単価に通勤距離を乗じて計算しているもの(自家用車での通勤を想定)のどちらにせよ、その変更は「固定的賃金の変動」に該当し、月額変更の契機となります。 そのため、変更を反映・支給する給与から以後3ヶ月間の給与額を注視し、月額変更(等級差)が生じないかの確認を忘れないようにしましょう。 変更時だけに注意を払って安心するのではなく、月変の可能性を意識して、要件を満たす場合は、速やかに月額変更届を提出することとなります。 以上を踏まえ、給与担当者として、来る2019年10月1日の消費増税に備えましょう。
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