ベッドにもぐりこんだ後の、甘すぎる二人の時間を全編ダミーヘッドマイク仕様でお届けします。 第12弾は、シリーズ最年長の彼。 あなたはその店主、鳴海侑二に恋をしていた。 年齢差もあり、 最初はなかなか本気にしてもらえなかったが、通い詰めて想いを伝えようやく付き合うことに。 そしてとうとう、初めてのお泊まりの日がやってきて……。 オトナだけどどこか寂し気な彼と添い寝でしたいコト、ぜんぶです。 【キャラクター】 鳴海 侑二(なるみ ゆうじ)cv 鷹取玲 身長187センチ 37歳 喫茶店経営 数年前より両親が遺した喫茶店『マグノリア』を継ぎ、店長兼シェフとして働いている。 人気メニューは珈琲とパスタ料理。 気怠く、人を寄せ付けない雰囲気もある。 趣味は一人旅。 【出演】鷹取玲 【シナリオ】ひよ 【イラスト】カトーナオ お知らせ• CLOSE• 商品一覧• その他• CLOSE•
次の極度のストレスやら何やらで声が出ない。 人買いから逃げてる時に太宰と中也に出会って助けられる。 異能はあるけれど自分で発動できないし、存在すら知らない。 太宰に一番懐いている。 大人が少し怖い。 太宰…14歳。 任務の帰りに逃げている敦を見かけて助ける。 敦が好き。 敦をどうにかして助けてあげたいけれどいい案が思い浮かばなくて悩んでる。 敦を背負って歩くのが好き。 寝る時は敦と同じベッドで寝てる。 中也…14歳。 影薄くなってごめん。 最後には活躍する(予定)。 敦のご飯は全部中也が作ってる。 敦の事は気になるし、守ってあげたいけど、最後には別れが辛くなるので少し距離を置いている。 森さん…首領。 敦の治療をしてくれた。 敦の事は可愛がっているが、首領として敦を捕らえる任務を太宰と中也に言い渡した。 非道に見えて色々考えてる人。 助けを呼べない。 ならば走るしかない。 捕まらないように。 もうすでに冷たい、や痛い、と言った感覚は無かった。 それだけ必死だったのだ。 小さな体を利用して木の陰に隠れ、必死に逃げた。 しかし限界はやってきて、足が急に動かなくなった。 極度の疲労と傷が敦の身体を苛む。 「ッ……」 『痛い』も『苦しい』も伝える術はない。 雨に紛れて涙が落ちたその時、急に雨が止んだ。 「君、大丈夫?傷だらけだけど」 「大丈夫な訳ねぇだろ。 立てるか?」 傘を持つ包帯を巻いた少年と、帽子を被った少年が手を差し伸べてくれた。 「立てそうも無いか。 「お前どこから来たんだ?」 敦は必死に今の状況を伝えようとするが、声が出ない。 「声が出ねぇのか?」 コクコクと首を縦に振って肯定を伝える。 その音は敦の耳にも届いており、びくりと身体を震わせた。 「君、追われているのかい?」 敦は首を縦に振る。 怒鳴り声が近づいてくる。 「見つけたぞ!オイこっちだ!」 一人の男が中也の腕の中にいる敦を見つけてそう叫んだ。 「知らない餓鬼が二人いるな。 どうする」 「始末しても構わない。 最悪あの子どもさえいれば」 そんな話し声が聞こえ、敦は必死に出ない声で叫ぶ。 「たすけて」 聞こえるはずの無い声は、確かに二人の耳に届いた。 「太宰、此奴頼んだ」 「手っ取り早く終わらせてよ。 早く帰りたい」 太宰は敦に目を閉じるように囁いた。 目を閉じた事を確認すると、何も聞こえないように耳を塞いだ。 そのまま敦は暗闇の中に意識を落とした。 [newpage] 敦が目を覚ますと、ふかふかの布団の中にいた。 「……」 傷だらけだった身体には適切な処置が施され、消毒液の匂いが鼻に付く。 (ここ、どこだろう。 確かあの時、追われてて……) もしかして捕まってしまったのかもしれない、と思い一気に青ざめる。 だがそんな心配もすぐに取り消された。 「あ、起きた?おはよう」 部屋に入って来た太宰の顔を見て敦は胸を撫で下ろす。 「はい、これあげる」 太宰から渡されたのはスケッチブックとペンだ。 「君話せないみたいだし、これなら意思疎通出来るでしょ?」 スケッチブックの表紙を捲り、文字を書いていく。 『ここはどこですか』 「ここ?私の部屋だよ」 『あなたはだれですか』 「私は太宰。 太宰治。 君は?」 『なかじまあつし』 「あつしくん、ね」 『あのときいっしょにいたひとはだれですか』 「あの時……?嗚呼中也の事かな。 彼奴の事は気にしないで構わない。 それよりあつしくんの事、もっと教えてよ」 一通りの質問を終えたあと、何人かの大人を連れた中也が部屋に入って来た。 「森さんに姐さん」 「やぁ、調子はどうだい?」 森が笑顔で語り掛けるが、敦は太宰の後ろに隠れてしまう。 「おや、太宰君は随分と懐かれているようだね」 「あつしくん。 怖がらなくていいよ。 胡散臭いけれど、あの人が君を治療してくれたのだよ」 「太宰君。 胡散臭いは余計だよ。 まぁでも元気そうで何よりだ」 「童、痛むところはないかえ?」 太宰を引っぺがした紅葉が敦の頬に触れる。 「姐さん、あつしくんが怖がってます」 「失敬な。 怖がることなどしておらぬ」 太宰が敦に近寄ると、敦は太宰の服の裾をきゅっと握った。 少しばかり手が震えている。 「もしかして、大人が怖いのかい?」 太宰が敦に問いかけると、敦は小さく頷いた。 「と言うわけなので姐さんと森さんは出て行ってください」 「仕方ないね。 行こうか、紅葉君」 森が紅葉を連れて部屋を出ていく。 「あ、そうだ。 毎日診察には来るからね。 明日はエリスちゃんを連れて来よう。 君と同じくらいの女の子だ。 仲良くしてあげてほしいな」 じゃあね、と森が手を振ったので敦もつられて手を振り返す。 「ごめんね。 あつしくん」 『どうしてあやまるんですか』 「少し考えれば、君が大人を怖がっている事くらい理解できた。 君に怖い思いをさせてしまった。 だから、ごめんね」 敦が首を横に振る。 『あの人たちがやさしいこと、わかりましたから、だいじょうぶです』 ふわりと笑う敦を、太宰はぎゅっと抱きしめる。 「?」 何故抱きしめられているのか、この行為には何の意味があるのか、敦には分からない。 だけどとても温かい事だけは理解できた。 自分に向けられた敦の優しい笑顔を見て、太宰は罪悪感に苛まれていた。 (優しいなんて言わないで。 私は、私たちは優しくなんてないのだから) 太宰のポケットに入った一枚の紙。 それは任務内容が記された紙だった。 その任務内容は『逃げた子どもを捕らえろ』。 添付された写真は、確かに敦だった。 (君は、必死で逃げたのにね……) 敦と共に居られる時間は長くない。 足の傷が治るまで。 それが限界。 痛む心を押さえて、敦を抱いていた手を離す。 「ね、あつしくん。 明日森さんの診察が終わったら、ここの施設を見てまわろう。 大きな図書館とかあるのだよ」 図書館、と聞いて敦の顔が輝く。 「私たちはこれから仕事だからもう行くね。 夜には帰るから、ご飯一緒に食べようね」 『わかりました。 がんばってください』 「うん。 行ってくるね」 先ほどの様に手を振ってベッドの上から二人を見送る。 (少し、寝ようかな) 布団に潜り、目を閉じる。 静かな空間で眠るのは、久しぶりかもしれない。 (もうあそこに、戻りたくないな……) がやがやと人の声がうるさかったあの鳥籠。 ほとんど寝ないまま眩しい照明に照らされ値段を付けて競り落とされた記憶。 (……そう言えば、名前、誰かに呼んでもらえたの久しぶりだ) あの鳥籠の中では番号、買われた先で名前を呼んでもらえることなんて一度も無かった。 だから、名前を呼ばれた時、とても嬉しかった。 自分が此処に存在していると証明してくれているようで。 (また、呼んでくれるかな。 名前) 太宰に名前を呼んでもらえる事を楽しみに、敦は眠りに就いた。 「……」 「おいクソ太宰」 「……」 「オイ」 「聞こえてるし、君が言いたいことも何となく分かるけれど、とりあえず黙ってて」 「チッ」 (どうしたらあの子を助けてあげられる……) 生まれて初めて心から守りたい物が出来た。 それなのにあの子はきっと消えてしまう。 「そんなの、厭だ」 たった一つだけ、敦を守れる方法がある。 だがそれは最終手段。 出来る事なら幸せに生きてほしい。 「絶対に守ってみせるからね。 あつしくん」 確かにあの時、『助けて』と聞こえたのだから。 きっと守ってみせる。 太宰はそう決意した。
次の極度のストレスやら何やらで声が出ない。 人買いから逃げてる時に太宰と中也に出会って助けられる。 異能はあるけれど自分で発動できないし、存在すら知らない。 太宰に一番懐いている。 大人が少し怖い。 太宰…14歳。 任務の帰りに逃げている敦を見かけて助ける。 敦が好き。 敦をどうにかして助けてあげたいけれどいい案が思い浮かばなくて悩んでる。 敦を背負って歩くのが好き。 寝る時は敦と同じベッドで寝てる。 中也…14歳。 影薄くなってごめん。 最後には活躍する(予定)。 敦のご飯は全部中也が作ってる。 敦の事は気になるし、守ってあげたいけど、最後には別れが辛くなるので少し距離を置いている。 森さん…首領。 敦の治療をしてくれた。 敦の事は可愛がっているが、首領として敦を捕らえる任務を太宰と中也に言い渡した。 非道に見えて色々考えてる人。 助けを呼べない。 ならば走るしかない。 捕まらないように。 もうすでに冷たい、や痛い、と言った感覚は無かった。 それだけ必死だったのだ。 小さな体を利用して木の陰に隠れ、必死に逃げた。 しかし限界はやってきて、足が急に動かなくなった。 極度の疲労と傷が敦の身体を苛む。 「ッ……」 『痛い』も『苦しい』も伝える術はない。 雨に紛れて涙が落ちたその時、急に雨が止んだ。 「君、大丈夫?傷だらけだけど」 「大丈夫な訳ねぇだろ。 立てるか?」 傘を持つ包帯を巻いた少年と、帽子を被った少年が手を差し伸べてくれた。 「立てそうも無いか。 「お前どこから来たんだ?」 敦は必死に今の状況を伝えようとするが、声が出ない。 「声が出ねぇのか?」 コクコクと首を縦に振って肯定を伝える。 その音は敦の耳にも届いており、びくりと身体を震わせた。 「君、追われているのかい?」 敦は首を縦に振る。 怒鳴り声が近づいてくる。 「見つけたぞ!オイこっちだ!」 一人の男が中也の腕の中にいる敦を見つけてそう叫んだ。 「知らない餓鬼が二人いるな。 どうする」 「始末しても構わない。 最悪あの子どもさえいれば」 そんな話し声が聞こえ、敦は必死に出ない声で叫ぶ。 「たすけて」 聞こえるはずの無い声は、確かに二人の耳に届いた。 「太宰、此奴頼んだ」 「手っ取り早く終わらせてよ。 早く帰りたい」 太宰は敦に目を閉じるように囁いた。 目を閉じた事を確認すると、何も聞こえないように耳を塞いだ。 そのまま敦は暗闇の中に意識を落とした。 [newpage] 敦が目を覚ますと、ふかふかの布団の中にいた。 「……」 傷だらけだった身体には適切な処置が施され、消毒液の匂いが鼻に付く。 (ここ、どこだろう。 確かあの時、追われてて……) もしかして捕まってしまったのかもしれない、と思い一気に青ざめる。 だがそんな心配もすぐに取り消された。 「あ、起きた?おはよう」 部屋に入って来た太宰の顔を見て敦は胸を撫で下ろす。 「はい、これあげる」 太宰から渡されたのはスケッチブックとペンだ。 「君話せないみたいだし、これなら意思疎通出来るでしょ?」 スケッチブックの表紙を捲り、文字を書いていく。 『ここはどこですか』 「ここ?私の部屋だよ」 『あなたはだれですか』 「私は太宰。 太宰治。 君は?」 『なかじまあつし』 「あつしくん、ね」 『あのときいっしょにいたひとはだれですか』 「あの時……?嗚呼中也の事かな。 彼奴の事は気にしないで構わない。 それよりあつしくんの事、もっと教えてよ」 一通りの質問を終えたあと、何人かの大人を連れた中也が部屋に入って来た。 「森さんに姐さん」 「やぁ、調子はどうだい?」 森が笑顔で語り掛けるが、敦は太宰の後ろに隠れてしまう。 「おや、太宰君は随分と懐かれているようだね」 「あつしくん。 怖がらなくていいよ。 胡散臭いけれど、あの人が君を治療してくれたのだよ」 「太宰君。 胡散臭いは余計だよ。 まぁでも元気そうで何よりだ」 「童、痛むところはないかえ?」 太宰を引っぺがした紅葉が敦の頬に触れる。 「姐さん、あつしくんが怖がってます」 「失敬な。 怖がることなどしておらぬ」 太宰が敦に近寄ると、敦は太宰の服の裾をきゅっと握った。 少しばかり手が震えている。 「もしかして、大人が怖いのかい?」 太宰が敦に問いかけると、敦は小さく頷いた。 「と言うわけなので姐さんと森さんは出て行ってください」 「仕方ないね。 行こうか、紅葉君」 森が紅葉を連れて部屋を出ていく。 「あ、そうだ。 毎日診察には来るからね。 明日はエリスちゃんを連れて来よう。 君と同じくらいの女の子だ。 仲良くしてあげてほしいな」 じゃあね、と森が手を振ったので敦もつられて手を振り返す。 「ごめんね。 あつしくん」 『どうしてあやまるんですか』 「少し考えれば、君が大人を怖がっている事くらい理解できた。 君に怖い思いをさせてしまった。 だから、ごめんね」 敦が首を横に振る。 『あの人たちがやさしいこと、わかりましたから、だいじょうぶです』 ふわりと笑う敦を、太宰はぎゅっと抱きしめる。 「?」 何故抱きしめられているのか、この行為には何の意味があるのか、敦には分からない。 だけどとても温かい事だけは理解できた。 自分に向けられた敦の優しい笑顔を見て、太宰は罪悪感に苛まれていた。 (優しいなんて言わないで。 私は、私たちは優しくなんてないのだから) 太宰のポケットに入った一枚の紙。 それは任務内容が記された紙だった。 その任務内容は『逃げた子どもを捕らえろ』。 添付された写真は、確かに敦だった。 (君は、必死で逃げたのにね……) 敦と共に居られる時間は長くない。 足の傷が治るまで。 それが限界。 痛む心を押さえて、敦を抱いていた手を離す。 「ね、あつしくん。 明日森さんの診察が終わったら、ここの施設を見てまわろう。 大きな図書館とかあるのだよ」 図書館、と聞いて敦の顔が輝く。 「私たちはこれから仕事だからもう行くね。 夜には帰るから、ご飯一緒に食べようね」 『わかりました。 がんばってください』 「うん。 行ってくるね」 先ほどの様に手を振ってベッドの上から二人を見送る。 (少し、寝ようかな) 布団に潜り、目を閉じる。 静かな空間で眠るのは、久しぶりかもしれない。 (もうあそこに、戻りたくないな……) がやがやと人の声がうるさかったあの鳥籠。 ほとんど寝ないまま眩しい照明に照らされ値段を付けて競り落とされた記憶。 (……そう言えば、名前、誰かに呼んでもらえたの久しぶりだ) あの鳥籠の中では番号、買われた先で名前を呼んでもらえることなんて一度も無かった。 だから、名前を呼ばれた時、とても嬉しかった。 自分が此処に存在していると証明してくれているようで。 (また、呼んでくれるかな。 名前) 太宰に名前を呼んでもらえる事を楽しみに、敦は眠りに就いた。 「……」 「おいクソ太宰」 「……」 「オイ」 「聞こえてるし、君が言いたいことも何となく分かるけれど、とりあえず黙ってて」 「チッ」 (どうしたらあの子を助けてあげられる……) 生まれて初めて心から守りたい物が出来た。 それなのにあの子はきっと消えてしまう。 「そんなの、厭だ」 たった一つだけ、敦を守れる方法がある。 だがそれは最終手段。 出来る事なら幸せに生きてほしい。 「絶対に守ってみせるからね。 あつしくん」 確かにあの時、『助けて』と聞こえたのだから。 きっと守ってみせる。 太宰はそう決意した。
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