「骨盤を立てる」とは、 骨盤を本来の正しい位置(ニュートラルポジション)に置くということです。 骨盤は上半身と下半身を繋ぐ重要な部位であり、姿勢に大きく関係する背骨とお互いに連動します。 したがって骨盤の正しい位置にすることで、自然と正しい姿勢を作りやすくなるのです。 骨盤が立っている正しい位置とは 骨盤が座面や床に対して水平、垂直な位置にあるのが正しい位置です。 骨盤が水平かどうかの目安は、座ったときの肩と膝に注目しましょう。 膝や肩が水平だと骨盤も水平になります。 骨盤が床や座面に垂直かどうかの目安は、 恥骨と腰骨のでっぱりが一本のまっすぐなライン上にあるかどうかです。 一直線上にあるときは、前後の傾きのない正しい位置になっています。 これが座ったときに意識して頂きたい骨盤の正しい位置です 骨盤が立っていないと猫背や反り腰に・・・ 骨盤を立てないで座ると、猫背や反り腰などの不良姿勢に直結します。 骨盤が後方に傾いた状態で座ると骨盤と連動している背骨も丸まり、この状態が日常化してクセがついてしまうのが猫背です。 一方骨盤が前に傾いた状態は腰が過剰に反ってしまうことになり、反り腰という不良姿勢につながります。 背筋より骨盤を意識するのが大事な理由は、 背筋を伸ばすことを意識しすぎると反り腰になるリスクがあるためです。 椅子の座り方を知ろう! ここからは不良姿勢につながりやすい椅子の座り方と、整骨院の先生方も実践している正しい椅子の座り方をご紹介していきます。 普段の座り方を振り返りながら、正しい座り方は普段の生活の中に取り入れてみましょう。 猫背や反り腰になりやすい座り方 まずは骨盤が前後に傾いてしまう椅子の座り方です。 このような座り方になっていないか、改めて普段の座り方を振り返ってみましょう。 【猫背になりやすい椅子の座り方】 骨盤が後ろに傾いてしまうと、骨盤と連動する背骨も丸まり猫背に繋がるのは先ほど確認しました。 ここでは、ついついやってしまいがちな骨盤が後傾する座り方を2パターン紹介します。 反り腰になりやすい椅子の座り方も2パターン知っておきましょう。 上半身を反ることによってお腹が前に張り出すだけでなく、お腹の筋肉をあまり使わない姿勢なのでポッコリプヨプヨのお腹の原因になります。 またこの姿勢は負担が腰にかかりやすく、腰痛の直接的な原因にもなるので腰に負荷がかかっているのを感じたら反りを緩めるクセをつけましょう。 その姿から「スフィンクス座り」とも言われています。 パソコン作業や事務仕事が多い方がついついやってしまう座り方ですね。 肩に力が入り首が縮こまってしまうので首や肩、背中、腕のしびれや痛みにつながってしまいます。 腕でバランスをとっていると感じた時は、背中の反りを弱めるようにしてください。 足を組むのもNG! 昔からの癖や足を組んだほうが楽という理由でついつい足を組んでしまう方は要注意です。 足を組むと体が自然と捻られた状態になり、腰椎(腰の骨)や骨盤も付随して歪んだ状態になります。 この状態が習慣になり筋肉が凝り固まると、体のバランスがくずれて肩こりや腰痛がでやすい体質になっていきます。 丹田とはおへその下あたりの事。 私たちの体は骨盤が前にも後ろにも傾かず、正しい位置にあるときに丹田に自然に力がはいるようになっています。 【正しい椅子の座り方のポイント】• 深く腰掛ける• 座面に対して骨盤を垂直に立てる意識• 上半身の傾きを丹田(おへその下あたり)に自然と力が入る位置にする• 太ももを床と平行にする• かかとを床につける(つかない場合は台を使う) 骨盤を立てた正しい座り方でも長時間同じ姿勢でいると体への負担はかかってしまいます。 そこでおすすめしたいのが以下のタオルを使った ポスチャーチェンジ法という負担を減らす方法です。 【体への負担を減らすポスチャーチェンジ法の手順】• バスタオルのような厚手のタオルを八つ折りにする• 背中と背もたれの間にタオルを挟む• 仕事中や、ご自宅で座る時間が長い方には特におすすめです。 床の座り方を知ろう! 床に座るときは、椅子に座るときよりも負荷が分散されにくいので体への負担が大きくなってしまいます。 椅子に座れるときは椅子に座ることをおすすめしますが、床に座らないと駄目な場面ってありますよね。 床に座る場合でも大事なのは「骨盤を立てる」こと。 椅子の座り方紹介と同様に、骨盤が傾きやすく猫背や反り腰になりやすい座り方と骨盤をたてる正しい座り方をそれぞれご紹介します。 猫背や反り腰になりやすい床の座り方 女性が床に座るときに最も多いとされるのがこの座り方ですが、横座りは体の片側に負担がかかり骨盤が左右に歪みやすい注意すべき座り方と言えます。 骨盤が歪むと骨盤と連動している背骨も歪んでいき不良姿勢や腰痛につながるので、横座りが習慣になっている人は要注意です! (割座) 女の子座りともいわれる座り方です。 ぺったんこ座りは骨盤が後ろに傾き猫背になりやすいだけでなく、骨盤下部がひらくのでお尻が大きくなってしまうなどの悪影響もあります。 子供のころから学校でおなじみの体育座りですが、体への負荷という観点からみると避けたい座り方です。 膝を抱えこむこの座り方は、どうしても骨盤が後ろに傾き背骨も丸まり、腰への負担が大きくなります。 また坐骨への負担がかかることや、体を丸めることよる内臓の圧迫といったデメリットもあります。 「場所を取らない」というメリットで学校で半ば自動的に採用されてきましたが、体への負担が考慮されて最近では徐々に見直されてきています。 正しい床の座り方 床に座るときもポイントとなるのは「骨盤を立てる」ことです。 骨盤をたてやすい床の座り方を3種類ご紹介しますので、ご自宅やお店などで試してみてくださいね。 最も骨盤を立てやすいのは正座です。 意識してほしいのは「かかと」と「かかと」をくっつけること。 くっつけたかかとにお尻のくぼみを載せることで、自然と坐骨(おしりの後部にある骨)を座面に当てることを意識できるため理想的な座り方になります。 正座をすると骨盤をしっかりと立てることができる上に腰への負担も少ないので腰痛持ちの方におすすめできる座り方です。 足の筋肉や足首の柔軟性がない方は、最初のうちは例のような綺麗な正座はできないかもしれません。 そういう場合は決して無理をせずに、体がほぐれるお風呂上がりなどにテレビやスマートフォンを見ながらストレッチ感覚で毎日1分ほどやってみてください。 <あぐら> あぐら(胡座)は自宅や外食先でリラックスしたい時に老若男女に好まれる座り方です。 本来は骨盤をたてやすい座り方ですが、あぐらをかきながら背中が丸まっている方も見かけますよね。 股関節の柔軟性がないと骨盤を起こしきれずに後ろに傾き、背骨もそれに連動するので背中が丸まります。 現代の日本人は平均的に股関節が硬いので、あぐらで座るときに骨盤をたてられる人は少なくなっています。 そこで、股関節の硬いあなたでもちょっと工夫するだけで楽にあぐらで骨盤を立てることができる方法を紹介します。 【あぐらで骨盤を立てやすくする方法】 手順は座布団やタオルの上にお尻をのせるだけ! ポイントは太ももや足を乗せずにお尻だけを乗せることです。 この方法により高低差が生まれることで、骨盤を立てやすくなります。 座布団の上に座りお尻だけをタオルの上に乗せるなどの応用も効くので、自分にあった方法を試してみてください。 <長座> 最後におすすめしたいのが長座です。 長座とは足を前方に伸ばして座る姿勢のことです。 長座は正しく座ると体への負担がかかりにくい座り方ですが、正しい長座ができるかどうかは太ももの裏側の「ハムストリングス」という筋肉の柔軟性に大きく左右されます。 ハムストリングスが硬いと十分に上体を起こすことができず、骨盤が後ろに傾き背骨が丸まってしまうので、一転して猫背になってしまう危険性のある座り方になってしまいます。 長座をしてみると背中が丸まってしまうという方は、まずはハムストリングスのストレッチで柔軟性を高めるとこからはじめてみてください。 いくら骨盤を立てた正しい座り方でも、長時間同じ姿勢だと体に負担がかかってしまうのは椅子に座るときと同じです。 骨盤を最も立てやすい正座でも、長時間となると足が痺れて姿勢どころではありませんよね。 1つの座り方に縛られずに、疲れを感じてきたら正座や長座、あぐらを気分で変えるのがコツです。 骨盤を立てる運動をしよう 骨盤の傾きに大きく関わるのが、骨盤を前に傾ける「腸腰筋 ちょうようきん 」「大腿四頭筋 だいたいしとうきん 」と、骨盤を後ろに傾ける「腹直筋 ふくちょくきん 」「大臀筋 だいでんきん 」「ハムストリングス」などの筋肉です。 これらの筋肉をバランス良くほぐしたり鍛えたりすると、骨盤を立てた正しい姿勢が楽にキープできるようになります。 ここからは骨盤を立てるためにおすすめの運動を3つご紹介するので、仕事や家事の合間など、時間を見つけて取り組んでみてくださいね。 足乗せストレッチ 猫背気味の方におすすめのストレッチです。 骨盤と股関節をつなぎ、骨盤を前に傾けるはたらきを持つ「腸腰筋」をほぐしていきます。 椅子から立ち上がり、50cmほど離れます。 右足を後ろに引き、スネを座面に乗せます。 膝を少しずつ曲げながら、右足に体重をかけます。 右側のお腹から股関節までが心地よく伸びたところで、30秒キープします。 ゆっくりと元に戻します。 左足でも同様に行ないます。 バランスが崩れそうなときは近くの壁や机などに手を添えてもOKです。 腸腰筋が縮こまると骨盤が前に傾き反り腰などの原因にもなるので、しっかりと伸ばして股関節を柔らかく保ちましょう。 ひざ曲げ伸ばし運動 猫背気味の方、反り腰気味の方、どちらにも取り入れてもらいたいのがこちらの運動です。 骨盤の前傾にはたらく前ももの筋肉「大腿四頭筋」と、骨盤の後傾にはたらく「腹直筋」を同時に鍛えられます。 少し浅めに椅子へ座り、座面の両端や肘掛けをしっかりとつかみます。 両膝を曲げて足を床から浮かします 基本姿勢• 息を吐きながらゆっくりと膝を伸ばし、両足と床を並行にします。 息を吸いながら基本姿勢に戻します。 膝の曲げ伸ばし動作を10回連続で行ない、1日2セットを目安に取り組みましょう。 体勢がつらい場合は背もたれに寄りかかっても大丈夫です。 お尻上げ下げ運動 反り腰気味の方におすすめなのが、こちらの運動です。 骨盤の後傾にはたらくお尻の筋肉「大臀筋」と、裏ももの筋肉「ハムストリングス」を同時に鍛えます。 マットを敷いた床か布団の上に、あお向けで寝転がります。 両膝90度ほど曲げ、手は骨盤近くの床にやや開いて置きます。 膝・お腹・のど元までが1直線になるように、少しずつお尻を上げます。 両手と足で身体を支えながら、この状態を5秒キープします。 お尻の位置をゆっくりと元に戻します。 同様の動作を10回繰り返します。 呼吸を止めず、ゆっくりと運動するのがポイント。 このトレーニングは骨盤を安定させるだけでなく、ヒップアップや太もものサイズダウンにも効果的です。 慣れてきたら片足ずつ膝を伸ばして行なうと、さらに効率良く鍛えることができます。 骨盤の歪みが気になる人は骨盤矯正もおすすめです 「正しい座り方をキープするのが難しい」「試してみたけど習慣にできなくて挫折してしまった」という方もきっといらっしゃいますよね。
次の腰痛を抱えている人は、基本的に姿勢が悪い状態で日常生活を送っています。 いつ来るかわからない腰痛におびえながら暮らすと猫背になりやすくなり、痛くない姿勢を保とうとして知らず知らずのうちに腰を反らせてしまう人もいます。 腰への負担は立っている時よりも座っている時の方が大きいと言われています。 ここでは床に座る時、腰の負担にならない座り方や姿勢について考えていきます。 ・正座 床に直に座る場合、一番腰の負担にならない座り方は「正座」です。 正座をすることにより骨盤が正しい位置に納まるため、腰へかかる力が軽くなります。 さらに、正座で背筋を伸ばすと自然に腹筋を使うので、お腹に余計な脂肪がつきにくくなります。 このように正座は体のバランスをとって腰痛を軽減するのに非常に優れた座り方でありますが、膝に負担がかかるため膝が弱っている人は長時間の正座に気を付けてください。 ・あぐら 女性であぐらをかく人は少数派ですが、男性ならば畳の上や床の上に座る際にあぐらをかく人は多いでしょう。 あぐらで座る時、人の体は自然と上半身が前のめりとなってしまうので、気づかないうちに腰に負担をかけています。 上半身が前のめりになるという事は猫背にもなりやすいということなので、腰に良いはずがありません。 また、あぐらは腰ばかりでなく股関節にも負荷がかかりますので、下半身の骨盤がずれやすくなります。 気持ち的には楽なあぐらですが、腰や股関節などの負荷を考えるとあまりおすすめできません。 ・体育座り 体育座り、またはお山座りと呼ばれる座り方は、「最も腰痛になりやすい座り方」と言われています。 正座でもあくらでも腰痛の原因は猫背に起因するものですが、体育座りの場合はその猫背をさらに前倒した座り方になり、椎間板に負荷がかかりやすくなります。 さらに両膝を抱きかかえるように丸くなって座ると、猫背に拍車がかかり、腰痛はおろか体に無理のある体勢になるため肩こりも発症することになります。 どうしても体育座りをしなければならない状況であれば、体育座りをする際にお腹を反るように座れば、多少は負荷が軽減されるのでお試しください。 ・横座り 床に直に座る際、女性は横座りをする方が多いでしょう。 横座りは体が自然と斜めになってしまうので、腰に大きな負荷をかけてしまいます。 また、無意識に同じ方向に足を崩すクセがつくため、負荷をかける場所も同じとなり、骨盤のゆがみが慢性化し、結果的に腰痛を引き起こす原因となります。 横座りは足の血流も悪くなってしまうので、できれば避けた方が良いでしょう。 ・長座 体や股関節が柔らかい人は、床に座る時に足を前に伸ばす長座で座る事があります。 とくに年配の女性は長座を好む傾向にありますが、長座は長時間にわたると股関節に負荷をかけるため、腰痛の原因になる座り方とされています。 よほど体が柔らかいか、座る前にストレッチをしていない限り、大腿直筋などが緊張して股関節が痛くなるので、長時間の長座は避けた方が良いでしょう。 また、座椅子を使えば長時間楽に座れると考えられがちですが、体が楽な分猫背になったり姿勢が悪くなってしまうので、座椅子の場合でも長時間座りっぱなしにならないよう注意が必要です。 椅子は床に座るよりも腰にかかる力が分散され、負担の少ない姿勢をとりやすいからです。 椅子に座る場合は、背もたれから体が離れれば離れるほど姿勢が悪くなるので、深く腰を掛けて背筋がピンと伸びることを意識して座りましょう。 常に「骨盤を立てる」ことを意識すると良い背筋が保てるので、ぜひ実践してみましょう。
次の健康上よくない「座っているときも猫背」の姿勢 ここでは正しい姿勢、中でも「正しい座り方」についてお話しします。 椅子に座るときでも、あぐらをかくなど床に座るときでも、悪い姿勢になる人は珍しくありません。 多いのは「座っているときも猫背」というパターンです。 「座っているときも猫背」の場合、正しい姿勢でいるよりも、首や腰に負荷がかかってしまい、ひいては首痛や肩こり、腰痛などになってしまいます。 また、内臓を圧迫するため呼吸は浅くなり、内臓内の血流も滞るため、健康上決してよくありません。 正しい座り方を身につけて、常に気持ちよく座るようにしましょう。 曹洞宗の開祖である道元禅師による書『坐禅儀』などにも、座り方についての記述があります。 「鼻はへそに、耳は肩に」。 これは、「鼻とへそ、耳と肩の位置を意識しなさい」という教えです。 「へその上に鼻があるような、また肩の上に耳たぶが乗っている」というイメージで座ることの大切さを伝えてくれています。 「鼻はへそに、耳は肩に」を正しく行うと、背筋が自然にまっすぐになり、からだ全体が整います。 「耳を肩の上に乗せる」と連想するのが難しい場合は、両手をいったん上げて、耳の横につけ、そのまま静かに両手を下ろしてみましょう。 ラジオ体操の最後、深呼吸の手の動きと同じです。 腕を上げ下げすることによって肩甲骨を動かすと、耳と肩の位置をうまく意識することができます。 この動作は、からだが硬くなっている人にはなかなか難しい動作かもしれません。 この動きを繰り返すだけでも、頭痛や肩こり、腰痛の解消につながります。 理想は「赤ちゃんの座り方」!? 実は、もっとも理想の座り方は「赤ちゃんの座り方」です。 首が据ってお座りができるようになった赤ちゃんは、足を前に投げ出して座っています。 一見すると不安定なように見えますが、実は背筋をきちんと伸ばし、大きな頭を背骨の上に乗せて、うまく支えています。 赤ちゃんのからだは、筋力がまだまだ多いわけではありません。 したがって、姿勢のよさによって、うまく頭を支えていることになります。 また、からだ全体がグラグラ、ユラユラしているような印象がありますが、よく見ると「鼻はへそに、耳は肩に」ができています。 その上、赤ちゃんはリラックスもできています。 これは見事な姿勢です。 私たち大人は、まず正座やあぐらから、座り方を練習してみましょう。 肩甲骨を骨盤に向かって下ろすようイメージし、鼻とへそが揃う ことを意識しましょう。 この「整え方」を行う際は、丹田を意識するとさらにうまく、楽に座ることができます(丹田とはへその下の部分、声を出したときに連動して力が入るお腹のポイントを指します)。 あぐらの姿勢で行うとき、股関節が硬くなっていると、上体を起こすことがなかなか難しくなります。 その際は、お尻の下に座布団を敷いて行ってみてください。 股関節から上体を倒し、お尻をつき出すよ うにします。 肩甲骨を外に開き、首固定をして、背筋を伸ばすことをイメージしましょ う。 背骨を立てて、腰を下ろすこ とをイメージするとよいでしょう。 【図表 座ったときの姿勢の整え方】.
次の