ジョーカー見る前に。 映画館が「子供に『ジョーカー』を見せないように」と警告

【独占】映画「JOKER(ジョーカー)」が無料・高画質で見れる?NETFLIX、Hulu、U

ジョーカー見る前に

「ジョーカー」を見る前に、「バットマン」などの作品を見て予習しておくべきかどうかについてですが、 結論から言うと、見る必要はありません。 なぜならこの作品は、DCエクステンデッドユニバースとは全く関係のない、ジョーカーだけにスポットを当てたオリジナル作品だからです。 ジョーカーが出演している関連作品は秀逸なものが多いですが、興味があればチェックしてみても良いかもしれません。 「ジョーカー」は事前の予習は特に必要としませんが、もし興味があればこの二作品を事前にチェックしていくことをおススメします。 監督が伝えたかったメッセージをより受け取りやすくなると思います。 それではこの二作品がどのような内容なのか、類似点などを見ていきましょう。 「キング・オブ・コメディ」(1982年)• 主人公がコメディアン志望• 母親と二人暮らし• 片思いをしている• 憧れのコメディショーの司会者がいる• 憧れの司会者と(強引に)連絡を取り合い、ショーに出演• 妄想癖があり、現実と妄想の狭間を行ったり来たりしている 主人公がコメディアンであること、母親と二人で貧しく暮らしているところなど、 置かれている環境がよく似ています。 しかも「ジョーカー」に出演する人気コメディアンは、「キング・オブ・コメディ」で主演を務めたロバート・デニーロなのです! 「タクシードライバー」(1976年)• 鬱屈した日々に疲れ、精神的に参っている• 世間から蔑まれ、疎まれている• 自分の頭を銃で打ち抜こうとする衝撃的なジェスチャーをする• 暴力的な行動を取っているのに世間から賞賛されてしまう 鬱屈した精神状態から心を病んでいるところや、 社会から不適合者として冷たく扱われているところなどもよく似ています。 ここまで見てきただけでも「ジョーカー」との類似点が非常に多いことが分かります。 もはや「ジョーカー」は、この二作品へのオマージュ的な作品であることは間違いありません。 この二作品を ご覧頂くことで、監督が伝えたかった格差社会や差別などという 社会の闇に対する重要なメッセージをより受け取りやすくなる かもしれません。 純然たる悪役としてカリスマ性を放ち、多くの人々を魅了しています。 そんなジョーカーを数々の人気俳優たちが演じ、それぞれに違う表情を見せているので見比べてみると面白いですね! 「ジョーカー」とは全く趣が違いますが、ジョーカーが出演している人気作品をご紹介します。 「バットマン」(1989年) ハリウッド映画界の 実力派ベテラン俳優のジャック・ニコルソンがジョーカーを演じるということで、上映当時は非常に話題となりました。 ジョーカーになった理由は、 仲間に裏切られ見た目も醜悪になり精神的におかしくなってしまったからのようです。 この作品でもジョーカーは、狂暴さと冷静さを併せ持つ優秀なギャングという印象で、 無邪気な子供のような部分も併せ持っています。 この作品を見た後に「ジョーカー」を見ると、あまりに作風が違うため面食らうかもしれません。 怪優ジャック・ニコルソンのジョーカーは一見の価値ありです! 「ダークナイト」(2008年) こちらは「バットマン」「スーパーマン」などが登場するDCコミックの悪役たちがチームを組んでヒーローたちと戦う、悪役たちが主役のアクション映画です。 ジョーカー役を「ダラス・バイヤーズクラブ」で アカデミー助演男優賞を受賞したジャレッド・レトが演じています。 ここでもジョーカーは既に悪役として面白おかしく描かれており、彼がジョーカーになった過程などは描かれていません。 コミカルで面白いジョーカーが見たいならこちらがおススメですが、残念ながらジョーカーの登場シーンが少なめです。 ジョーカーのファンにとっては少し物足りないかもしれませんが、作品としてはどれも高評価で楽しめる内容となっています。 本来こういう作品だったんということが信じられないくらい、「ジョーカー」はシリアスな作品です。 対比が面白いかもしれません。 「バットマンビギンズ」(2005年) 『バットマンビギンズ』を観た。 速い展開で崩れない話。 ホラー的なバッ!と出てくる アクション。 良い人達。 それ以上のクズ達。 後半の詰め込みは 良い詰め込みだった。 街のあり得ないけど格好いいデザインが最高に最高。 ジョーカーの出演はほぼありませんが、 宿敵のライバル同士が戦う舞台が出来上がるまでの過程が詳細に描かれており、興味深い作品です。 何とジョーカーの母親はバットマンの父の会社で働いていたのです。 その関係で ジョーカーと少年バットマンは遭遇していました…。 まさに因縁のライバルだったんですね。 興味のある方は是非! 「レゴ・バットマン・ムービー」(2017年) 昨日のプレミアで「レゴ・バットマン・ムービー」観てきたんだけど、「バットマン vs スーパーマン」より余裕で面白かったのはもちろん「レゴムービー」より更によかった😝 マーベルいじりも超ウケた。 子供向け映画かと思いきや、 大人の方からの高評価が目立ちます。 あらすじは、バットマンがジョーカーと悪者たちから街を守るという定番のストーリーですが、 親子でご覧頂くのも良いかもしれませんね。 「ジョーカー」や関連作品を無料で観る方法をご紹介 映画「ジョーカー」は、U-NEXTの「31日間無料お試し期間」を利用すれば無料で観ることが可能です。 その他にも、.

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映画ジョーカーはバットマン見てないけど楽しめる?予備知識が必要かについても解説

ジョーカー見る前に

どうもでょおです。 いよいよ来週、ダークナイト宿敵の誕生を描いた 2019年新作映画『ジョーカー』の公開が始まります。 アメコミ原作の映画としては異例のヴェネチア国際映画祭最高の栄誉である金獅子賞を受賞しました。 DCコミックス原作の映画としては史上最高傑作となることでしょう。 個人的にはハリウッドのエンタメ映画をアート思想の高いお偉いさんたちが語るのは好きくありません。 『ダークナイト ライジング』が前作と比較して中身が空っぽだと批判されてたのと似てる。 極論だけどアメコミ映画は中二病な私たちがカッケーーと思えたらそれでいいんすよ。 さて、そうは言ってもここまで 注目度の高い作品となるとそれを避けることできません。 映画公開後は多分自称評論家が語りに語り尽くすことになると思います。 というわけで(どういうわけ?)今日は 中二病疾患を持ったザ・アメコミ映画ファンの私が、映画『ジョーカー』について予習復習していこうかと思います。 ジョーカーの能力 アメコミ映画のヴィランといえばイカしたスーパーパワーが特徴ですが、ジョーカーにそんなものはありません。 基本的にはイカれたただの常人です。 イカれてるから常人ではないか。 なので戦闘能力は弱いです。 タイマンじゃバットマンに完敗するくらいめちゃめちゃ弱いです。 そんなジョーカーがバットマンのライバル、強敵として戦うことができる理由は頭脳です。 狂人でアーカムアサイラムに何度も収容されているくせに、恐ろしく賢い策士です。 賢いことに合わせて、そもそもの行動理念が常軌を逸脱してるので予測不可能な恐ろしさもあります。 武器は胸ポケットにつけたお花から毒ガスだしたり、飛び出しナイフ使ったりパーティーグッズ的なネタものが多いですね。 ジョーカーの正体、本名 ジョーカーの正体や本名は明確には確立していません。 出生も本名もコロコロ変わったりします。 バットマンといえば路地裏で両親を殺された大富豪のブルース・ウェイン。 みたいなのがないです。 基本的にはバットマンとの戦いの末、工場の薬品に浸かって肌が白くなりジョーカーとなったというのがお決まりではあります。 ジョーカーに変貌する前はレッドフードサービスというヴィランだったという設定もありますね。 ちなみにレッドフードは2代目ロビンがジョーカーに殺され復活して襲名します。 出典: ティム・バートン版『バットマン』ではジャック・ネピアというのが本名で、これが通称とされてました。 本作『ジョーカー』ではアーサー・フレックが本名だそうです。 歴代のジョーカー ジョーカーと言えば歴代数多くの名優が演じてきたヴィランですよね。 演じる方も恐ろしくプレッシャーを感じる役だというのが想像できます。 そんなジョーカーを演じてきた俳優たちがこちら。 シーザー・ロメロ• ジャック・ニコルソン• ヒース・レジャー• ジャレッド・レト• みんな甲乙つけがたい名演技ばかりでしたよね。 歴代ジョーカーの比較に関しては下記の記事で詳しく紹介しているので、そちらをご覧ください。 映画『ジョーカー』のあらすじ というわけで、ここからは 2019年の新作映画『ジョーカー』についてまとめていきたいと思います。 「どんな時でも笑顔で人々を楽しませなさい」という母の言葉を胸に、大都会で大道芸人として生きるアーサー。 しかし、コメディアンとして世界に笑顔を届けようとしていたはずのひとりの男は、やがて狂気あふれる悪へと変貌していく。 出典: 先ほども言った通り、本作に登場するジョーカーになる男の本名はアーサー。 原作コミックには登場しないジョーカーです。 なので本作のジョーカーは原作コミックに沿ったものではなく完全オリジナルとして描かれるということです。 原作コミックではバットマンとの戦いの末ジョーカーに変貌するのが定説でしたが、本作にはバットマンは登場しないようでジョーカー誕生のきっかけもバットマンじゃないみたいです。 ただバットマンことブルース・ウェインの父、トーマス・ウェインが登場するところがちょっと気になりますね。 コメディアンとして活動しているのに報われず、次第に狂人と化しジョーカーへ変貌していくというストーリーとのことなので、エース工場の化学薬品に落ちるシーンなんかもないんでしょう。 Ent. ビーガンなのにアル中になったり、ラッパーへ転職するなど訳の分からない奇行に走ることでも知られるハリウッドでも中々の問題児。 そのくせ演技力の方は折り紙付きで『ザ・マスター』など賞レースでも常連の俳優です。 ちなみにホアキン・フェニックスの妹の 元 夫がケイシー・アフレックなので、バットマン役ベン・アフレックとは親戚にあたります。 さらにもう一つ言うと妻のルーニー・マーラはファンタスティック・フォーのインビジブル・ウーマン役ケイト・マーラの妹なので、ジョーカーの義姉がファンタスティック・フォーの一員ということになります。 …くだらないセレブの家系図。 マーレイ・フランクリン(ロバート・デ・ニーロ) C 2019 Warner Bros. Ent. 人気コメディ番組の司会者役です。 演じる当のロバート・デ・ニーロはというと、『キング・オブ・コメディ』という映画でコメディ番組への出演を夢見る異常者パプキンを演じたことがあります。 パプキンはほぼほぼアーサーみたいなキャラクターです。 今回は逆に司会者側を演じることになりました。 ロバート・デ・ニーロに関してはぶっちゃけ改めて語る余地は一切ないよね?みんなさすがに十分ぐらいしってるでしょ? 私の知る限り意外だけどアメコミキャラは本作が初めてだと思う。 ソフィー・デュモンド(ザジー・ビーツ) C 2019 Warner Bros. Ent. 『デッドプール2』のドミノですな。 特殊能力は「運がいい」ってやつ。 個人的にデップー1のネガソニックが好きだったので、ポジション奪ったドミノが嫌い。 ドミノいなきゃもっとネガソニック活躍できたもん。 トーマス・ウェイン(ブレット・カレン) C 2019 Warner Bros. Ent. 妻マーサは出ないっぽいです。 出すとまたマーサかぶりネタで失笑しちゃうので出なくていいです。 トーマス・ウェインを演じるブレット・カレンは『ダークナイト ライジング』でアン・ハサウェイ演じるキャットウーマンことセリーナ・カイルにお持ち帰りされちゃう議員さんですね。 ちなみに本作には子供時代のブルースと執事のアルフレッド・ペニーワースも登場するとのことです。 一応ちゃんとバットマンシリーズなんだね。 本当にあったジョーカーの怖い話 ジョーカーはあくまで創作されたキャラクターですが、実際現実に大きな影響を与えているとされています。 本当にあっちゃいけない事なんだけど、呪われてるって言われても仕方ないくらい曰くあるキャラクターなんですよね。 ここからはそんな本当にあったジョーカーの怖い話をご紹介。 コロラド州映画館銃乱射事件 『ダークナイト』のジョーカーに感化された男が『ダークナイト ライジング』のプレミア上映中に、完全武装して映画館内で銃を乱射して12名が死亡70名が負傷というおぞましい事件が起きました。 この男は取り調べ時に自分のことをジョーカーと名乗っています。 今回2019年新作の『ジョーカー』でも強い影響を与えるのではないかと、遺族が心配して配給会社のワーナーへ書面を送ったそうですね。 ヒース・レジャーの急逝 『ダークナイト』で鬼気迫る演技でジョーカーを演じたヒース・レジャーは公開を待たずして亡くなっています。 オーバードーズではなく薬の飲み合わせを間違えた事故死だそうですが、不眠症問題を抱えていたとのことで、その不眠症の原因になったのがジョーカーの役作りだったと言われています。 タイミングがタイミングなだけに自殺だと思ってる人が多いですよね。 大統領暗殺未遂事件のきっかけになった映画を参考にしてる 本作『ジョーカー』はロバート・デ・ニーロの出世作である『タクシードライバー』から大きな影響を受けていると言われています。 『タクシードライバー』はベトナム戦争帰りのトラヴィス・ビックルがタクシーの運転手として生活していく中で、世の中の汚さに気づき浄化するために次期大統領候補を暗殺しようとして失敗、最終的に売春婦のポン引きを殺害するという話。 この『タクシードライバー』を見て、映画に登場する12歳の売春婦アイリスに一目惚れしたジョン・ヒンクリーという男が、アイリスを演じたジョディ・フォスターをストーキング。 エスカレートし続けて最終的には彼女を振り向かせるためにレーガン大統領暗殺を試みました。 映画『ジョーカー』はそんな『タクシードライバー』から大きな影響を受けていると言われています。 ジャレッド・レト奇行に走る 『スーサイド・スクワッド』でジョーカーを演じたジャレッド・レトは役にのめり込み過ぎて奇行に走ったという話もありましたね。 銃火器の天才デッドショット役のウィル・スミスに弾丸を送り、ハーレイ・クイン役のマーゴット・ロビーには黒いラブレターとネズミを送り、他のメンバーには豚の死体を送ったとか。 もう完全にヤバい奴です。 こんだけヤバいヤツのジョーカーがここまで評価されないのはもう気の毒としかいようがない。 『スーサイド・スクワッド』一番の被害者はジャレッド・レトだよ。 最後に ジョーカーはそれだけ人々に影響を与える悪のカリスマですから新作映画がどのような仕上がりになっているのか楽しみで仕方ありませんね。 予告編ではジョーカーらしい出で立ちを見ることは出来ず、ただのピエロメイクしか確認できませんが、この後ちゃんとジョーカーのようになるんでしょうか。 いずれにしても映画公開までもうしばらく我慢しましょう。 映画公開後はこのブログでも感想を書こうと思っているのでお楽しみに。 ちなみに予告編で使われたサントラ楽曲はこちら。 Nat King ColeのSmile。 別名チャールズ・チャップリン・ソング。 映画『モダン・タイムス』の曲です。 もしかしたら使ってるのはJimmy Duranteのカバーバージョンかもしれません。

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映画『ジョーカー』を観る前に知るべきこと

ジョーカー見る前に

論争を生む映画『ジョーカー』 映画『ジョーカー』が公開され、様々な反響を呼んでいる。 同作はヴェネチア国際映画祭で最高賞にあたる金獅子賞を受賞するなど、公開前から高い評価を受けていた。 とりわけ、24キロの減量に取り組んで撮影に臨んだホアキン・フェニックスの演技は圧巻で、アカデミー賞主演男優賞のノミネートは確実とされている。 様々な理由から『ジョーカー』を「観ない」と宣言する人も現れており、『ジョーカー』に心を打たれたという人と、『ジョーカー』という作品を否定する人の距離感は増すばかり。 この分断はなぜ生まれているのだろうか。 『ジョーカー』への批判 『ジョーカー』に対する批判の主なものとして、作中の重要なシーンで性犯罪者であるゲイリー・グリッターの楽曲が使用されている、精神疾患を患っている人間を犯罪者として描いている、貧困に追いやられた末の解決策として暴力を肯定している、といった声が挙げられる。 とりわけゲイリー・グリッターの楽曲使用については、現実に被害者が存在している以上、観客が意図しない(望まない)形でゲイリー・グリッターの作品に触れざるを得ないつくりとなっていることは、批判されるべき決定だと言える(SF界では、生前に性差別・人種差別的な言動があったジョン・W・キャンベルの名前を冠した文学賞の名称が変更されるなど、抑圧される人々の側に立った変化が起きている点も指摘しておく)。 同作のクライマックス、コメディショーに登場したアーサーは、 「コメディは主観だ」と主張し、 何が笑えて何が笑えないかは人々が勝手に決めていると指摘する。 世間はエリートが殺されれば悲しむが、自分のような底辺の人間が道端で倒れていても見向きもしないではないか、と。 「お前が私の命をどうでもいいと考えるのなら、私もお前の命をどうでもいいと考える」と。 『ダークナイト』のジョーカーは、秩序をもたらすバットマンを否定し、カオスを取り戻すジョーカーだったが、バットマンが存在しない世界を舞台にした『ジョーカー』で描かれたのは、捨象されてきた声を取り上げ、ゴッサムにカオスをもたらすジョーカーであった。 アーサーは「何が尊くて、何がそうでないか、それを決めているのはお前たちの主観じゃないか」とうそぶく。 こうした『ジョーカー』の論法の前では、あらゆる批評や評価が無下にされてしまう。 ここに、映画『ジョーカー』を容易には評価できない理由がある。 アーサーに共感した観客にとって、『ジョーカー』に対する率直な批判は、「貧困や障がいといったアーサーの困難に見向きもしない人々の主観から生まれたもの」としか映らないからだ。 こうして現れた分断は、一筋縄で埋まるものではない。 トッド・フィリップス監督は『ジョーカー』の評価を 「見る人がどのようなレンズを通して見るかによって決まる」と語り、ホアキン・フェニックスはジョーカーを 「定義し難い」と形容している。 『ジョーカー』の宣伝のためにコメディショー『ジミー・キンメル・ライブ! 』に出演したホアキン・フェニックスは、先行上映で家族に『ジョーカー』を見せた際に家族が同作の解釈を述べる姿を見て、「それは面白い見方だね」とだけ反応したと述べている。 彼は家族が述べた解釈であっても、それを肯定することも否定することもしなかったのだ。 公式見解、公式設定の公言が最小限に抑えられていることで、あらゆる批評や考察を、アーサーよろしく「受け手の主観的な評価だ」と片付けてしまうことができる。 『ジョーカー』が逆手に取った『アクアマン』の手法 こうした複雑な構造を持つ『ジョーカー』という作品が登場した背景も語っておく必要があるだろう。 『ジョーカー』と同じくDCコミックスから米国で2018年末、日本で2019年2月に公開され、大ヒットを記録した映画が 『アクアマン』だ。 「バットマン」や「スーパーマン」といったアメコミシリーズを擁するDCコミックスの映画作品では、名作『ダークナイト』以降、ヒーローはその正義を相対化され、ヒーロー自身が正当性を問われるダークな展開が主流となっていた。 『ダークナイト』でヒース・レジャーが演じたジョーカーは、バットマンの正義を 個人的な復讐でしかないと看破した。 自らの行動を自戒しながら、自身がマイノリティであることに価値を見出し、前に進んでいくアクアマンの姿は多くの人々に受け入れられた。 だが、 ヒーローのオリジン=ミクロで絶対的な物語を描くことによって、斜に構えた相対主義に打ち克つという『アクアマン』の手法を、『ジョーカー』は逆手に取った。 『ジョーカー』もまた、 アーサーの個人的で相対化できない物語を描いた上で、 「全ては主観だ」と結論づけることで、ゲームを振り出しに戻してしまったのだ。 「アーサーが異常なだけだ」という一方的な自己責任論への拒否感こそが『ジョーカー』への共感を生んだのだとすれば、私たちは、ジョーカーのロジックを否定しながら自己責任論に陥らないアクロバティックな理論を見つけ出さなければならない。 この論考は『ジョーカー』という作品を否定するものではない。 トッド・フィリップス監督が「映画は社会の鏡」と述べたように、『ジョーカー』はこの社会に存在する分断を露わにしただけだ。 だが、『ジョーカー』は乗り越えられていくべき作品である。 少なくとも、そう信じるべきだ。 性犯罪者であるゲイリー・グリッターの楽曲を使用している件に話を戻せば、このようなケースでは、多くの場合は被害者自身が声を上げることは難しく、代弁者を必要とする。 現実に存在する被害者の痛みを想像し、共感の想いを寄せ、人々が批判の声をあげることは至極真っ当なことだ この件に関しては、『ジョーカー』は自ら分断を生み出したと言える。 貧困、障がい、虐待の経験を抱え、拠り所や代弁者を求める声もまた、切り捨てられたり、捨象されたりするべきではない。 こうした痛みと痛みがぶつかり合う複雑な状況下で求められるのは、 互いの間に線を引くロジックではなく、互いの痛みに想いを寄せる感受性や他者性なのかもしれない。 そしてそれは、『ジョーカー』という作品の世界には微塵も存在しなかったものだ。 いずれにせよ、ジョーカーが現代社会に突きつけた難題を乗り越え、分断を埋めていく作業は、映画の登場人物ではなく現実社会に生きる私たちが担っていかなければならない。 『ジョーカー』に評価を下すのは、それからでも遅くはない。

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