ミステリー 小説 新刊。 [2020年版]最後に驚かされるどんでん返しミステリー小説24作ランキング紹介

海外ミステリー小説おすすめランキング ベスト10作品

ミステリー 小説 新刊

6月26日刊 閻連科 『丁庄の夢』 政府の売血政策で多くの死者が生まれた「エイズ村」をめぐる、死と絶望と哄笑の物語。 世界規模の感染症が生む悲喜劇を描く傑作長篇。 谷川毅訳 (河出書房新社 予価3520円) 6月26日刊 『皆川博子長篇推理コレクション3 知床岬殺人事件 相馬野馬追い殺人事件』 極寒の地を訪れた映画ロケ隊を襲うスタッフ転落殺人事件。 その容疑者は二重人格の女!? 巧緻な犯罪計画の上で繰り広げられる男女の愛憎劇を、トリッキーかつ哀切に描く二長篇。 日下三蔵編 (柏書房 予価3300円) 6月26日刊 『時のきざはし 現代中華SF傑作選 』 立原透耶監修 韓松、何夕、陸秋槎、王晋康、他収録。 中国語文化圏の多彩なSF短篇から傑作を厳選したアンソロジー。 (新紀元社 予価2420円) 6月26日刊 アガサ・クリスティー 『 名探偵ポアロ ABC殺人事件』 〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉 ABCと名乗る正体不明の殺人者から届いた殺人予告状。 それは、名探偵エルキュール・ポアロをも翻弄する連続殺人事件の皮切りだった。 アルファベット順に殺人が起き、現場には必ず鉄道時刻表が……すべての読者の予想を覆す大胆不敵なトリックを駆使した名作。 田口俊樹訳 早川書房 予価1430円) 6月26日刊 アガサ・クリスティー 『 ミス・マープルの名推理 予告殺人』 〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉 殺人発生の日付、時刻までを予告する途方もない新聞広告が掲載され、小さな村は大騒ぎになった。 誰もがいたずらだと思ったが、時計が予告時間を指したとき、銃声が響き、殺人は現実に! 驚くべき事件の意外な真相を暴くのは、上品な老婦人探偵ミス・マープル。 (毎日新聞出版 予価1760円) 6月27日刊 『武部本一郎 画集 I 〈美女〉』 大橋博之編 多くのSFファンを魅了し続ける武部本一郎の世界を、原寸サイズ、高繊細スキャンで再現。 限定生産部数で贈る、豪華A3判画集企画がついに実現。 初恋の人 デジャー・ソリスよ、永遠なれ。 (スイッチパブリッシング 予価1650円) 6月30日刊 C・J・ボックス 『発火点』 猟区管理官ジョー・ピケットの知人ブッチが失踪。 彼の所有地からは二人の男の射殺体が発見されていた。 殺害されたのは連邦政府環境保護局の特別捜査官で、ブッチは同局から不可解かつ冷酷な仕打ちを受けていた。 ジョーは山を知り尽くしているブッチを追うが……。 一気読み間違いなしの冒険サスペンス。 〈猟区管理官ジョー・ピケット・シリーズ〉新作。 野口百合子訳 (創元推理文庫 予価1430円) 6月30日刊 ガストン・ルルー 『黄色い部屋の謎 新訳版 』 高名な科学者スタンガルソン教授父娘が暮らす城の離れ、内部から完全に密閉された 〈黄色い部屋〉 から響いた女性の悲鳴。 ドアを壊して室内に足を踏み入れた者たちが見出したのは、血の海に倒れる令嬢マティルドだった。 この怪事件に挑むのは18歳の新聞記者ルルタビーユ。 密室ミステリの古典を、ジャン・コクトーによる序文を収録した新訳で。 平岡敦訳 (創元推理文庫 予価1012円)] 6月予定 フェルナンド・デ・ロハス 『セレスティーナ カリストとメリベーアの悲喜劇 』 売春の取り持ち、離婚調停、怪しい薬の調合、産婆から悪魔使いまで、裏社会のあらゆる仕事を請け負う老婆セレスティーナ。 報酬欲しさに、恋に取り憑かれた貴族の若者の願いを叶えるべく、強欲な従僕らと結託し奔走するが…….。 中世スペイン文学の傑作。 浜田和範訳 (水声社 予価2420円) 6月予定 フアン・パブロ・ビジャロボス 『犬売ります』 画家になりたかった老タコス屋のテオは、アドルノ『美の理論』を引用し人生問題を解決している。 彼とマンションのロビーで読書会を主催するフランチェスカ、革命家で八百屋の女将ジュリエットの三角関係を軸にモルモン教の青年、毛沢東主義者、テオの家族や愛犬、動物愛護協会の役人、ゴキブリ集団らがメキシコ・シティーで繰り広げる虚々実々のメタフィクション。 偶然その写真を見たアサドは慟哭する。 失った家族とのつながりを持つ人物だったからだ。 彼の壮絶な過去を知った特捜部Qは、アサドの宿敵を捕らえ、また恐るべきテロ計画を阻止するために動き出す。 小尾芙佐訳 ハヤカワ文庫SF 予価1100円 7月2日刊 ティム・ベイカー 『神と罌粟』 十年で八百人を超す謎の連続強姦殺人事件。 真相を追う刑事が見た、メキシコの深い闇とは。 五人の視点で描かれる本格派スリラー。 鈴木恵訳 ハヤカワ文庫NV 予価1386円 7月3日刊 横溝正史 『完本 人形佐七捕物帳 四』 人形を思わせる色男の岡っ引き、 佐七が次々と江戸の事件を解決していく推理劇。 吉田朋正編 (小鳥遊書房 予価9680円) 7月3日刊 トニ・モリスン&スレイド・モリスン/ パスカル・ルメートル(絵) 『どっちの勝ち?』 イソップ物語の 「アリとキリギリス」 「ライオンとネズミ」 「おじいちゃんとヘビ」 が現代社会に飛び出します。 矛盾だらけの世界で生きぬくために、必要な知恵はなに? 米国初のノーベル賞受賞黒人女性作家が学校や教科書が教えない大切なことを伝えます。 鵜殿えりか・小泉泉訳 (みすず書房 予価3300円) 7月4日刊 天城一 『天城一の密室犯罪学教程』 数学者にして幻の探偵小説作家・天城一の作品集。 日下三蔵編 宝島社文庫 予価1298円) 7月7日予定 ベルトン・コッブ 『悲しい毒』 〈論創海外ミステリ〉 陽気な年越しの晩餐を一転させた惨劇。 悲しい毒が暴く残酷な真実とは? 解決篇に手掛かり索引を付したベルトン・コッブの意欲作。 菱山美穂訳 (論創社 予価2530円) 7月7日刊 アルネ・ダール 『時計仕掛けの歪んだ罠』 15歳の少女三人の連続失踪事件を追うベリエル。 目撃の通報を受けて急行するも、三度とも現場はもぬけの殻。 殺人事件だと確信するベリエルはやがて、それぞれの現場写真に映る不審な女に目をつける。 スウェーデンでベストセラーの犯罪サスペンス。 田口俊樹訳 (小学館文庫 予価1210円) 7月7日刊 山田風太郎 『笊ノ目万兵衛門外へ』 「十年に一度の傑作」と縄田一男氏が絶賛する壮絶な表題作をはじめ、「明智太閤」、「姫君どこにおらすか」、「南無殺生三万人」など全く古びることがない、名作だけを選んだ驚嘆の大傑作選。 山風復刊シリーズ第一弾。 河出文庫 予価990円 7月7日刊 西村京太郎 『華麗なる誘拐』 「日本国民全員を誘拐した。 五千億円用意しろ」。 壮大なスケールで描き出す社会派ミステリーの大傑作が遂に復刊。 河出文庫 予価935円 7月8日刊 チャールズ・ダーウィン 『ミミズによる腐植土の形成』 家族の協力を得、自宅の裏庭につづく牧草地の一角に石灰をまき、土を掘り返しての観察と実験を重ねること40年。 土のなかに住む小さな生き物ミミズの働きと習性について生涯をかけて研究したダーウィン最後の著作。 渡辺政隆訳 (光文社古典新訳文庫 予価990円) 7月8日刊 ジョージ・エリオット 『ミドルマーチ 3』 カソーボン夫妻とウィルの三角関係が思わぬ形で終局を迎える一方、リドゲイトとロザモンドの夫婦間にも経済問題から亀裂が入る。 また、バルストロードの暗い過去が明らかになり……。 人間模様にさらなる陰影が刻まれる第3巻。 全4巻 廣野由美子訳 (光文社古典新訳文庫 予価1496円) 7月8日刊 新保博久 『シンポ教授の生活とミステリー』 (光文社文庫)[amazon] 7月9日刊 J・M・バリー/マリア・タタール編 『 ヴィジュアル注釈版 ピーター・パン 上・下 』 不朽の名作 『ピーター・パン』 に児童文学研究の権威が詳細な注をほどこし、作品背景やバリーについて、関連作品などをわかりやすくまとめた決定版。 さまざまな読みや象徴性、その現代性などにも言及。 伊藤はるみ訳 (原書房 予価各2640円)[amazon・] 7月10日刊 スティーヴン・ミルハウザー 『ホーム・ラン』 精緻な筆致、圧倒的想像力で名匠が紡ぐ深遠な宇宙。 表題作や 「ミラクル・ポリッシュ」 など奇想と魔法に満ちた8篇と独特の短篇小説論。 柴田元幸訳 (白水社 予価2640円) 7月10日刊 W・G・ゼーバルト 『土星の環 イギリス行脚 新装版 』 〈私〉という旅人は、破壊の爪痕を徒歩でめぐり、荒涼とした風景に思索をよびさまされ、つぎつぎに連想の糸をたぐる。 鈴木仁子訳 (白水社 予価3300円) 7月10日刊 ロバート・アッカーマン 『評伝J・G・フレイザー 上・下 』 大著 『金枝篇』 で世界に衝撃を与えた人類学者の壮絶な学者人生と秘められた私生活。 人類学的には過去の古典的名著にすぎないとされてきた 『金枝篇』 は、いま、文学として読み直され、なお色褪せぬ魅力を放ち続けている。 当時の出版事情や人間模様、悪妻とも評された妻との結婚生活まで。 未公開書簡や日記も満載した画期的評伝。 玉井暲訳 (法蔵館文庫 予価各1870円)[amazon・] 7月10日刊 中島俊郎 『英国流 旅の作法 グランド・ツアーから庭園文化まで 』 18世紀、古典教養を学ぶため貴族の子弟がイタリアへと旅した 「グランド・ツアー」。 フランス革命で海外渡航が難しくなると湖水地方の国内旅行で風景鑑賞 ピクチャレスク美。 はたまた 「自らの歩き、詩想を深めるべし」 と徒歩旅行が大ブームに。 「旅で学ぶ」 という信念を守り続けた英国人の飽くなき情熱と、彼らの理想郷「田園」の精神的意味を考察する。 『イギリス的風景 教養の旅から感性の旅へ』 NTT出版 2007年 を加筆改題。 講談社学術文庫 予価1298円 7月10日予定 リチャード・M・ケイン 『イェイツとジョイスの時代のダブリン』 20 世紀ダブリンでなければ生まれなかった、作家・政治家たちの人物交流と名作。 イェイツ、ジェイムズ・ジョイス、G. 小田井勝彦訳 (小鳥遊書房 予価3960円) 7月13日刊 フレドリック・ブラウン 『フレドリック・ブラウンSF短編全集3 最後の火星人 』 奇抜な着想、軽妙なプロットで、短編を書かせては随一の名手フレドリック・ブラウン。 その多岐にわたる活躍の中から、SF全短編を年代順に収めた全4巻の決定版全集。 第3巻には 「スポンサーからひとこと」 など著者を代表する傑作16編を収録。 これまでに刊行されていた3冊を合本した決定版。 限定生産部数で贈る、豪華A3判画集企画がついに実現。 ジョン・カーター、コナン、ゾンガー、ブラク、ターザン他、ヒーローたちの競演。 ( [直販・先着特典有] 予価27,500円) 7月16日刊 ジョン・ル・カレ 『スパイに余生はない』 英国秘密情報部 MI6 の現役部員ナットは、中年をすぎて引退が囁かれはじめ、ロシア関連のお荷物部署に左遷される。 だが、そこで待ち受けていたのは面目躍如たる大きな案件だった。 進退をかけた勝負を挑むナットの情を絡めとるような思いがけない罠とは? 加賀山卓朗訳 (早川書房 予価2530円) 7月16日刊 シオドラ・ゴス 『メアリ・ジキルとマッド・サイエンティストの娘たち』 両親の死を契機に、父親の謎めいた過去を調べ始めたメアリ・ジキル嬢。 父の旧友ハイド氏とは何者なのか? ホームズとワトソンの助けを借りて調査するうち、彼女は科学者が狂気の研究の末に生み出した娘たちと出会い……。 19世紀のロンドンで展開するSFミステリ。 』 別れを切り出せないまま、彼の両親に会いに行く「わたし」。 関係の冷えた二人が出した答えとは。 孤独がもたらす闇に迫るスリラー。 坂本あおい訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価880円) 7月16日刊 アガサ・クリスティー 『メソポタミヤの殺人 新訳版 』 考古学者と再婚したルイーズの元に死んだ先夫から脅迫状が。 それは不可思議な殺人事件の序曲だった……過去の悪夢をポアロは暴く。 求める未来のため、時間旅行者テスはタイムライン編集を試みる。 だがその未来を消去しようとする敵が現われた! 幹遙子訳 (ハヤカワ文庫SF 予価1100円) 7月16日刊 川島昭夫 『植物園の世紀 イギリス帝国の植物政策 』 映画や文学作品でも知られる 「バウンティ号の反乱」 1789年。 なぜこの英国艦は、はるばるカリブ海までパンノキを運んでいたのか。 イギリスの植民地戦略を担った植物学者やプラント・ハンターたちの姿を通して、現在では憩いの場として利用される 「植物園」 の起源を描き出す。 イギリス帝国史研究の原点にして、2020年2月に没した著者の遺著。 (共和国 予価3080円) 7月16日刊 『文学こそ最高の教養である』 駒井稔+「光文社古典新訳文庫」編集部編 (光文社新書 予価1650円)[amazon] 7月16日刊 ジャン・コクトー 『恐るべき子供たち』 14歳のポールは、学校で、憧れの男子生徒が投げつけた雪玉で大けがを負ってしまう。 友人のジェラールが、ポールを家まで送っていくと、そこには、奔放で美しい姉エリザベートがいた……。 近代フランス文学におけるもっとも美しく、危険な小説。 東郷青児訳 (復刊) 角川文庫 660円 7月16日刊 サム・ロイド 『チェス盤の少女』 チェスの少年少女全英大会に出場しにやってきたイリサは、突然何者かに拉致される。 真っ暗な地下室で目を覚ましたイリサは、部屋の床をチェス盤に見立て、現状を把握しようとする。 なぜ自分が誘拐されたのか? 犯人の目的とは? 一方、イリサを拉致したのが連続少女誘拐犯とわかり、外では必死の捜査が始まっていた。 大友香奈子訳 (角川文庫 予価1320円) 7月16日刊 ニール・ゲイマン 『アメリカン・ゴッズ 上・下 』 暴行罪で服役中のシャドウは、妻ローラの死で予定より早く出所し、葬儀に向かう途中、老紳士ウェンズデイに出会う。 妻の死が不倫中の事故と知り自暴自棄になるシャドウのもとに、死んだはずのローラが現れ、一方、詐欺師のウェンズデイは、アメリカを旅し「仲間」を集めていた。 約束の地に辿り着いた二人が対面したのは、社会の隅で生きる古の神々だった! 金原瑞人・野沢佳織訳 (角川文庫)[amazon上・下] 7月16日刊 今井秀和 『世にもふしぎな化け猫騒動』 「寺の猫がしゃべった話」「猫に生まれ変わった父親の話」「『源氏物語』の猫の夢」「招き猫の起源の話」ほか、古代から江戸期まで、様々な作品に描かれてきた化け猫のお話を現代語訳で読む。 (角川ソフィア文庫 予価836円) 7月16日刊 寺田寅彦 『科学と文学』 科学者としての生活のなかに文学の世界があるとし、伝統世界への強い愛情を持っていた寺田寅彦。 芭蕉連句を映画のモンタージュ構成と捉えたり、音楽の楽章と表現するなど、すぐれた文学者の眼もあわせ持っていた。 「映画芸術」「連句雑俎」「科学と文学1」「科学と文学2」の4部構成。 異形の輝きを放つ奇妙な味の作品を集めた〈異色短篇傑作シリーズ〉刊行開始。 第一弾は、傑作短編集 『断頭台』 に 「獅子」 「暴君ネロ」 「疫病」 を加えた、山村正夫の怪奇幻想短篇の精華。 日下三蔵編 竹書房文庫 予価1320円 7月16日刊 『秘文字』 泡坂妻夫・中井英夫・日影丈吉/長田順行 監修 世界初、書き下ろし暗号小説を暗号化した幻の奇書 (社会思想社、1979) を、激レアな 「解答編」 小冊子付きで復刻。 ( 予価18,700円) 7月16日刊 アルチュール・ランボー 『対訳 ランボー詩集』 「季節よ、城よ、無疵な魂がどこにある? 放浪と切り離せない彼の詩は、5 年間にどんな変容を遂げたか。 伝説と謎に包まれた少年詩人が天才と呼ばれるゆえんは何か。 『地獄の一季節』全文を含む主要作品をフランス語と訳文で正確に対照し、注解では難解な作品の核心に迫る。 中地義和編 (岩波文庫 1122円) 7月16日刊 クラウス・コルドン 『ベルリン1945 はじめての春 上・下 』 繰り返される空襲とその後の市街戦により、街は容赦なく破壊された。 生き残った人びとは新しい生き方を模索するが、長く続いたナチの支配と戦争は、街にも人の心にも深い傷を残しており……。 ドイツの敗戦とその後の混乱を、ナチ体制下で育った少女エンネの目線でつづり、それぞれの人生の変転を描く。 大河群像劇完結編。 酒寄進一訳 (岩波少年文庫 各1320円)[amazon・] 7月17日刊 デイヴィッド・マークソン 『ウィトゲンシュタインの愛人』 地上から人が消え、最後の一人として生き残ったケイト。 彼女はアメリカのとある海辺の家で暮らしながら、終末世界での日常生活のこと、日々考えたとりとめのないこと、家族と暮らした過去のこと、生存者を探しながら放置自動車を乗り継いで世界中の美術館を訪ねたことなどを、タイプライターで書き続ける。 ジョイスやベケットの系譜に連なる革新的作家の代表作。 木原善彦訳 (国書刊行会 予価2640円) 7月17日刊 ヤン ストックラーサ 『スティーグ・ラーソン最後の事件』 品川亮・下倉亮一訳 ハーパーBOOKS 予価1650円 7月17日刊 レイラ・スリマニ 『アデル 人喰い鬼の庭で』 松本百合子訳 集英社文庫 予価902円 7月18日刊 J・D・バナール 『宇宙・肉体・悪魔 理性的精神の敵について 新版 』 英国の生物・物理学者バナールが1929年に発表した先駆的な人類未来論。 宇宙へと進出する過程で自らの肉体を工学的に改造し、生命を超越した存在に進化していく人類の姿を予言する。 本書が説くスペースコロニーやサイボーグ、群体頭脳などのアイディアはクラークを始めとするSF作家に多大な影響を与えた。 科学史に残る名著の新装復刊。 鎮目恭夫訳 (みすず書房 予価2970円) 7月20日刊 川端康雄 『ジョージ・オーウェル 「人間らしさ」 への賛歌 』 「反ソ・反共」 作家のイメージから 「監視社会化」 に警鐘を鳴らした人物へと、時代とともに受容のされ方も変化してきたオーウェル。 ポスト真実の時代に再評価が進む 『一九八四』 などの代表作をはじめ、少年時代から晩年までの生涯と作品をたどり、その思想の根源をさぐる。 危機の時代に、彼が信じ続けた希望とは何か。 北海道を舞台にした中編 「恐怖城」、その原型作品 「熊の出る開墾地」 を併録。 宮城県出身の農村文学作家にして新潮社編集者、佐佐木俊郎の探偵小説集。 中村有希訳 (創元推理文庫 予価1056円) 7月22日刊 アガサ・クリスティー 『 名探偵ポアロ ナイルに死す』 〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉 大金持ちの女性とその夫のハネムーンは、ナイル河をさかのぼる豪華客船上で一変した。 鳴り響く銃声。 夫のかつての婚約者が、銃をもって二人をつけまわしていたのだ。 嫉妬による凶行か? だが、事件は意外な展開を見せる。 名探偵ポアロが見抜いた真相とは? 佐藤耕士訳 早川書房 予価1540円) 7月22日刊 アガサ・クリスティー 『茶色の服の男』 〈ハヤカワ・ジュニア・ミステリ〉 アンはある日、ロンドンの地下鉄でおかしな事故に出くわした。 男が何者かに驚いて転落死し、現場にいたあやしげな医者が暗号めいたメモを残して立ち去ったのだ。 これは事件!? 好奇心をかられたアンは、謎を追いかけて南アフリカ行きの船で大冒険に出発する。 深町眞理子訳 早川書房 予価1540円) 7月22日刊 M・J・アーリッジ 『どっちが殺す?』 密室に囚われたふたり。 銃がひとつ。 弾もひとつ。 女性警部補ヘレンは、イギリスのサウサンプトンで起きた、この奇妙な連続殺人事件の捜査をはじめるが……。 佐田千織訳 竹書房文庫 予価1100円 7月22日刊 結城昌治 『軍旗はためく下に 増補新版 』 敵前逃亡・奔敵、従軍免脱、司令官逃避、敵前党与逃亡、上官殺害。 陸軍刑法上、死刑と定められた罪で戦地で裁かれ処刑された兵士たち。 戦争の理不尽を描いた直木賞受賞作に、著者の自作再読エッセイを収録した増補版。 野中邦子訳 (中公文庫 予価1540円) 7月22日刊 ジャック・ルーマン 『朝霧の主たち』 15年間キューバに出稼ぎに行っていたマニュエルが、ハイチの故郷に戻ってきた。 しかしその間に村は水不足で窮乏し、ある殺人事件が原因で人々は二派に別れていがみ合っている。 マニュエルは遠く離れた水源から水を引くことを発案し、水不足と村人の対立を解決しようと画策する。 マニュエルの計画の行方は……。 ハイチ文学の父ルーマン、晩年の主著。 松井裕史訳 (作品社 予価2860円) 7月27日刊 ナタリー・サロート 『子供時代』 〈ルリユール叢書〉 ヌーヴォー・ロマン作家サロートが到達した、伝記でも回想でもない、まったく新しい「反-自伝小説」。 「私」と「あなた」の対話ではじまる、ことばとイマージュと記憶の物語。 円熟期の実験作。 湯原かの子訳 (幻戯書房 予価4180円) 7月27日刊 レンジェル・メニヘールト 『颶風 (タイフーン) 』 〈ルリユール叢書〉 パリの日本人コロニーを舞台にした〈ジャポニズム・フィクション〉として、20世紀初頭、欧米各地の劇場を席捲、「黄禍論」の議論を呼んだドラマ。 「台風」現象としてセンセーションを巻き起こした、ハンガリーの劇作家レンジェルの代表作。 小谷野敦訳 (幻戯書房 予価3080円) 7月28日刊 『中国・SF・革命』 完売となった「文藝」2020年春季号特集を単行本化。 ケン・リュウ、郝景芳の初邦訳作品、柞刈湯葉の書き下ろしを新たに追加。 (河出書房新社 予価2200円) 7月29日刊 山下昇平 『山下昇平作品集 贄宴 -ShiEn- 』 造形、イラスト、舞台美術など多くの分野にわたって活躍、ホラー・怪談本のカバーアートも数多く手掛ける現代美術作家、山下昇平の作品集。 グロテスクでありながらも妖しく美しい世界を、過去から現在にいたるまで網羅。 京極夏彦、川奈まり子、黒史郎、最東対地による作品をモチーフにした掌編小説を収録。 そこでは26年前に少女失踪事件が起きていた。 事件から6週間後、隣家のゾイル家の土地から彼女の骨の一部が発見された……。 ナイオ・マーシュ賞受賞。 安達眞弓訳 (創元推理文庫 予価1320円) 7月30日刊 アーサー・コナン・ドイル 『失われた世界 新訳版 』 その昔、地上を支配した古代の生物は絶滅したのだろうか。 コナン・ドイルの不朽の名作。 中原尚哉訳 (創元SF文庫 予価968円) 7月30日刊 ロイス・マクマスター・ビジョルド 『女総督コーデリア』 惑星セルギアールに女総督コーデリアが帰ってきた。 年一回のグレゴール帝への報告のため、六週間前にバラヤーへ出かけていたのだ。 留守を預かっていたオリヴァー・ジョール提督の心中は複雑だった……。 人気シリーズのその後を描いたスピンオフ。 伊藤直子訳 竹書房文庫 予価各935円)[amazon・] 7月30日刊 ミン・ジン・リー 『パチンコ 上・下 』 日本の統治下となった朝鮮から大阪へ、横浜へ。 在日コリアン四世代の苦難にみちた80年を描く世界的ベストセラー大作。 池田真紀子訳 (文藝春秋 予価各2640円)[amazon・] 7月30日刊 ミシェル・フーコー 『狂気の歴史 古典主義時代における 新装版 』 長きにわたって社会から排除されてきた狂気の探求を通して、ヨーロッパ文明の隠された闇に新たな光をあてるフーコー思想根幹の書。 戦争というメカニズムに巻き込まれた人々の滑稽な生態を、喜劇的に、時に真正面から描き、「第二次大戦が生んだ最も優れたイギリス小説」と評されるウォー後期の傑作 《誉れの剣》 三部作開幕。 本邦初訳。 小山太一訳 (白水社 予価3740円) 7月31日刊 ニコラス・シェイクスピア 『ブルース・チャトウィン』 好奇心旺盛、美意識が高く、関心の赴くまま旅と執筆を続けたチャトウィン。 今なお世界の旅人に愛され続けるチャトウィンの傑作伝記。 (紀伊國屋書店 予価1870円) 7月31日刊 『暗い世界 ウェールズ短編集 』 河野真太郎編 日本初のウェールズ小説集。 炭鉱/戦争/女性/日常、 ウェールズに根ざした、でも私たちにとても近い5編の物語たち。 「まわりの全てが新しい王国」。 【収録作品】 リース・デイヴィス 「暗い世界」/グウィン・トーマス 「あんたの入用」/マージアッド・エヴァンズ 「失われた釣り人」/ロン・ベリー 「徒費された時間」/レイチェル・トレザイス「ハード・アズ・ネイルズ」 (堀之内出版 予価1980円) 7月下旬予定 ヴィンセント・スターレット 『笑う仏』 (仮) 〈論創海外ミステリ〉 軍靴の足音が迫る日中戦争勃発直前の北京。 郊外の古寺で狂乱の宴に酔いしれる若者達が殺人事件に巻き込まれ、そのメンバーが次々と惨く静かに死んでいく。 挑戦状を受け取った刑事・羅飛は事件を食い止めようと奔走するが……果たして命を懸けたゲームの行方は? 本国でシリーズ累計120万部突破の華文ミステリ最高峰。 山中朝晶訳 (ハヤカワ文庫NV 予価各990円)[amazon・] 8月5日刊 奈落一騎 『江戸川乱歩語辞典 乱歩にまつわる言葉をイラストと豆知識で妖しく読み解く 』 江戸川乱歩にまつわるさまざまな用語を辞典形式で紹介する解説本。 長編、短編、評論、主役、脇役、名セリフから、映画、テレビ、ドラマ、マンガ、ゲーム、アニメまで、キーワード、作家自身のことなど500語以上を収録。 荒俣宏監修 (誠文堂新光社 予価1760円) 8月5日刊 ラグナル ヨナソン 『喪われた少女』 1978年10月、アイスランド西部フィヨルドへ秘密の週末旅行に向かう若い男女がいた。 数日後、別荘で死亡している女性が発見され、残されたセーターから父親が逮捕される。 10年後、殺された女性を偲んで4人の仲間が集まった。 そして再び事件が……。 女性警部フルダ・シリーズ第2作。 吉田薫訳 (小学館文庫 予価880円) 8月8日刊 押井守 『押井守の映画50年50本』 仮 押井守が高校生だった1968年から始まる、極私的映画史50年。 「1年に1本のみ」という縛りで選ばれたのは、いったいどんな作品なのか? 押井監督が映画の半世紀を語りつくす。 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ザ・ウェスト』 『わらの犬』 『ブレードランナー』 『レスボア・ドッグス』…… 半世紀分の視差が編み出すその語りから、映画と、押井守の本質が浮かび上がる。 (立東舎 予価2420円) 8月刊 エドマンド・バーク 『フランス革命についての省察』 「保守主義のバイブル」 とも言われる政治家・思想家バークの代表的著作。 革命が進行するさなかに書かれ、理性を絶対視した革命政府の社会改革を、宗教、行政、軍事から経済政策に至るまで批判し、その後の恐怖政治の到来をも予期した。 二木麻里訳 (光文社古典新訳文庫)[amazon] 8月12日刊 マイクル・コナリー 『汚名 上・下 』 ハリー・ボッシュ・シリーズの邦訳最新刊は、前作 『訣別』 同様、ボッシュに関わるふたつの事件を平行して描く。 青木創訳 (講談社文庫 予価各1100円)[amazon・] 8月12日刊 喜国雅彦・国樹由香 『本格力 本棚探偵のミステリ・ブックガイド 』 日本推理作家賞受賞作家が放つ今まで見たことないブックガイド!! 日下三蔵編 (竹書房文庫 予価1100円) 8月発売 《ミステリーズ!》 Vol. 102 特集「2020夏の怪談」。 芦辺拓、大阪・船場の商家を舞台にした渾身の本格長編スタート。 好評連載、大崎梢、櫛木理宇、古内一絵。 本誌初登場、川野芽生が贈る力作中編ほか。 (東京創元社)[amazon] 8月20日刊 アンデシュ・ルースルンド、ベリエ・ヘルストレム 『三分間の空隙 上・下 』 中南米の麻薬組織で窮地に立たされた潜入捜査官。 ヘレンハルメ美穂訳 (ハヤカワ・ミステリ文庫 予価各1100円)[amazon・] 8月20日刊 アガサ・クリスティー 『ポケットにライ麦を 新訳版 』 会社社長の毒殺事件を皮切りに名家で起きた三つの殺人事件。 かつて仕込んだメイドを殺されたミス・マープルの正義の鉄槌が下る。 サイキックな能力を持つことを除けばーー。 舞台は、15歳の家出少女だった1984年のイングランドからイラク、アメリカ、ディストピアと化した2043年のアイルランドまで。 ホリーを中心に展開する6つの物語をつなぎ合わせた大作。 北川依子訳 (早川書房 予価4950円) 8月20日刊 メアリ・ロビネット・コワル 『星ぼしを計算する 上・下 』 (未) 巨大隕石落下により人類は生き残りをかけて宇宙開発に乗り出すことに。 星々を目指す女性パイロットを描く改変歴史/宇宙開発SF。 酒井昭伸訳 (ハヤカワ文庫SF 各880円)[amazon・] 8月20日刊 ニック・ウェブ 『伝説の艦隊1 〈コンスティテューション〉』 75年の時を経て再度襲来した異星人艦隊に敢 然と立ち向かったのは、〈伝説の艦隊〉最後 の一隻〈コンスティテューション〉だった。 置田房子訳 (ハヤカワ文庫SF 予価1100円) 8月24日予定 モーリス・サックス 『魔宴』(仮) 大野露井訳 (彩流社 予価3960円) 8月25日刊 久我真樹 『『名探偵ポワロ』 完全ガイド』 (星海社新書)[amazon] 8月26日刊 アガサ・クリスティー 『名探偵ポアロ ナイルに死す』 〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉 大金持ちの女性とその夫のハネムーンは、ナイル河をさかのぼる豪華客船上で一変した。 鳴り響く銃声。 夫のかつての婚約者が、銃をもって二人をつけまわしていたのだ。 嫉妬による凶行か? だが、事件は意外な展開を見せる。 名探偵ポアロが見抜いた真相とは? 佐藤耕士訳 (早川書房 予価1540円) 8月26日刊 アガサ・クリスティー 『茶色の服の男』 〈ハヤカワ・ジュニア・ブックス〉 アンはある日、ロンドンの地下鉄でおかしな事故に出くわした。 男が何者かに驚いて転落死し、現場にいたあやしげな医者が暗号めいたメモを残して立ち去ったのだ。 これは事件!? 好奇心をかられたアンは、謎を追いかけて南アフリカ行きの船で大冒険に出発する! 深町眞理子訳 (早川書房 予価1540円) 8月26日刊 シモーヌ・ヴェイユ 『神を待ちのぞむ』 〈須賀敦子の本棚〉自分にとって 「灯台のような存在」 と言い、「息もできないほど感動」 した須賀。 思想の核心を徹底的につきつめ不滅の輝きを放つ名作。 今村純子訳 (河出書房新社 予価3080円) 8月27日刊 横山茂雄 『増補 聖別された肉体 オカルト人種論とナチズム 』 現在においても、公認文化から排斥され、深層に抑圧された無意識的な概念の表出する舞台であるオカルティズム。 ヨーロッパの底流に流れるそのオカルティズムの全体と本質を初めて明らかにした名著(初刊1990)を増補再刊。 (創元社 予価4620円) 8月27日刊 『本のリストの本』 南陀楼綾繁・書物蔵・鈴木潤・林哲夫・正木香子 本好きの人は、誰でもみんな「本のリスト」が好きである。 本書では、本を愛してやまない5人の著者が、さまざまな時代、さまざま場所に存在した「本のリスト」を見つけて、歴史や雑学や個人的な体験と共に紹介する。 禁じられた本のリスト/理想の本のリスト/ある編集者の企画リスト/古本屋の架空買い入れ図書目録/刑務所で読む本のリスト/漱石が英語を学び、教えた本のリスト/ランボーがアフリカでほしがった本のリスト/戦没学生の読書リスト/名曲喫茶ライオンに積まれていた本のリスト/画家の本棚/父の蔵書リスト/漫画の中の本棚/戦前のベストセラーリスト/逆輸入の絵本リスト……など。 (創元社 予価2530円) 8月刊 小森収編 『短編ミステリの二百年 3』 第二次大戦後、クイーンが創刊した雑誌EQMMとその年次コンテストは、ミステリの進化に多大なる影響を与えた。 短編ミステリの歴史をたどる巨大アンソロジー第3巻は、スタンリイ・エリンに代表されるコンテスト応募作家とその作品を中心に、ポースト、マクロイ、アームストロング、A・H・Z・カー、ブラウンなどの傑作11編を収録。 小森収の評論には、資料価値抜群のEQMM年次コンテスト受賞作リストも掲載。 全15篇とエッセーを収録。 (創元推理文庫)[amazon] 8月刊 イーアン・ペアーズ 『指差す標識の事例 上・下 』 1663年、チャールズ二世の統べる王政復古のイングランド。 医学を学ぶヴェネツィア人のコーラは、訪れたオックスフォードで大学教師の毒殺事件に遭遇する。 衝撃的な結末の第一部に続き、その事件を別の人物が語る第二部の幕が開き、物語はまったく異なる様相を呈していく。 四部構成の稀代の歴史ミステリを、四人の最高の翻訳家が手掛ける。 池央耿・東江一紀・宮脇孝雄・日暮雅通訳 (創元推理文庫)[amazon上・下] 8月刊 ヘニング・マンケル 『苦悩する男 上・下 』 刑事クルト・ヴァランダー59歳、娘のリンダも、同じ刑事の道を歩んでいる。 そのリンダに子供が生まれたところが、リンダのパートナーであるハンスの父親ホーカンが自分の誕生パーティの三ヶ月後に姿を消してしまう。 ルイースもハンスも原因に心当たりはない。 だがヴァランダーは、ホーカンの様子に違和感を覚えていた。 北欧ミステリの金字塔シリーズ最終巻。 柳沢由実子訳 (創元推理文庫)[amazon上・下] 8月刊 『密室と奇蹟 ジョン・ディクスン・カー生誕百周年記念アンソロジー 』 1906年11月30日、アメリカ合衆国ペンシルヴァニア州に生まれた不可能犯罪の巨匠J・D・カー(カーター・ディクスン)の生誕100年を祝して刊行された日本作家競作、書き下ろしアンソロジーが、デビュー作『夜歩く』刊行90周年の2020年に文庫で復活。 (創元推理文庫)[amazon] 8月刊 ガレス・L・パウエル 『ウォーシップ・ガール』(仮) 星間紛争中のある事件で心に傷を負った重巡洋艦〈トラブル・ドッグ〉は、休戦後に軍を辞して人命救助団体に加わった。 彼女はあるとき、民間船の遭難信号を受信する。 すべての惑星が奇妙に加工された謎の星系・ギャラリーに駆けつけた彼女は、銀河の命運を賭けた戦いに巻き込まれる。 英国SF協会賞長編部門受賞作。 国際的に活躍する文学研究の第一人者が古今東西縦横に、世界のあらゆる文学作品との比較の中で、日本文学の魅力を語る。 今まで比較されることのなかった作家をあえて関連づけることによって文学の新たな可能性を見出し、刺激的な読書の世界へ誘う。 沼野充義監訳/片山耕二郎・高橋知之・福間恵 訳 (東京大学出版会 予価3520円) 9月12日刊 ヤロスラフ・ハシェク 『ハシェク短編小説集 不埒な人たち 』 なんたるでたらめ! 『兵士シュヴェイクの冒険』 で知られ、カフカ、チャペックと並ぶチェコの人気作家の実体験に基づ く(!? ) 面白すぎる短編27編。 ヨゼフ・ラダの挿絵入り。 飯島周編訳 (平凡社ライブラリー 予価1650円) 9月17日刊 戸川昌子 『くらげ色の蜜月』 入手困難な 『悪魔のような女』 『聖女』 に未収録3篇を加えた、著者円熟期の異色短篇集。 日下三蔵編 竹書房文庫 予価1210円) 9月30日刊 シェルドン・テイテルバウム&エマヌエル・ロッテム編 『シオンズ・フィクション イスラエルSF傑作選 』 仮 ロバート・シルヴァーバーグによる序文、編者によるイスラエルSFの歴史など、知られざるイスラエルSFの世界を一望の中に収める傑作集。 竹書房文庫 予価1320円) 10月1日刊 ガード・スヴェン 『最後の巡礼者 上・下 』 仮 ノルウェーの森で発見された白骨死体が封印されしナチス・ドイツの隠避を呼び覚ます。 現代と第二次大戦期が交錯する歴史ミステリ大作。 史跡を訪ね、人物に聞き取りをし、古い文献を紐解きながら、現代日本人も知らない東京の姿を〈再発見〉していく。 イギリスの女性作家による、都市の記録と記憶をめぐるエッセイ。 吉井智津訳 (早川書房 予価2200円)[amazon] ジョージ・オーウェル 『一杯のおいしい紅茶 ジョージ・オーウェル随筆集 』 (仮) (中公文庫)[amazon] 小栗虫太郎 『小栗虫太郎雑文集成』 衒学趣味の探偵作家・小栗虫太郎のエッセイ、読物、自作解説など、「小説以外」 の作品を集大成。 戦時中の単行本未収録掌編や未完の絶筆 「悪霊」 の笹沢左保による完結編もあわせて収録。 日下三蔵編 (河出書房新社 予価2420円)[amazon].

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【北欧ミステリー小説20冊】ガラスの鍵賞のおすすめ傑作や新刊!?

ミステリー 小説 新刊

デンマークの大人気警察小説「特捜部Q」シリーズ。 第7作目「自撮りする女たち」を読んだ。 今までの作品は、未解決事件を中心に物語は 進んでいったが、今作品は現事件と未解決の 事件の捜査が同時に進んでゆく。 コペンハーゲン警察のカール・マーク率いる 「特捜部Q」は、未解決事件を専門に扱う部署。 これまでにかなりの数を解決してきた。 ところが、上層部のミスで特捜部Qの成果報告 が正確に伝わっておらず、部の解体が ささやかれていた。 さらに頼みのローセの調子が良くなく、 特捜部Qチームの士気はダダ下がり。 そんな時、元殺人課課長から連絡が入った。 最近起きた老女撲殺事件が、未解決の女性教師 殺人事件と酷似しているので、再捜査をして 欲しいとの依頼だった。 カールらは渋々捜査を始める。 一方殺人課では、失業中の若い女性を狙った 連続ひき逃げ事件の捜査で忙殺されていた。 カールたちは、その隙に未解決の女性教師 殺人事件と老女撲殺事件の捜査を始めてしまう。 そんな中、新たな事件が発生する! クラブに女性2人組の強盗が押し入り、さらに 殺人事件まで起こってしまったのだ。 次々と起こる事件は、カールたちをも巻き込み かっていない様相を見せ始める!!! 今作品は、デンマークの社会福祉政策に焦点を 充てている。 デンマークは世界有数の福祉国家だ。 社会福祉政策の充実は大方の国民が満足している。 特に失業対策と生活保護は手厚い。 失業者に対してソーシャルワーカーが熱心に カウンセリングを行い就労の手助けをする。 しかし、そのあまりの手厚さゆえに、就職 活動を回避し、補助金や生活保護を不正に 受給しようとするものが後を絶たないという現状。 そういう背景で起こった事件がクローズアップされている。 傲慢でわがままで自分のことしか考えない若者たち。 そんな彼らに対して職務を忠実に果たそうとする ソーシャルワーカーのストレスはどれほどのものだろうか? 作品中に登場するソーシャルワーカーのように 間違った正義へと向かってしまうこともあるかも知れない。 さらに、今作品の注目すべき点は、 カールたちの大切な同僚・ローセの危機だ。 今作品でカールたちはどれほどローセに助けられて いたのか?どれほど大切な友だったのか? 改めて気づかされる。 様々な事件が交差し、怒涛のような展開に翻弄されながら カールとアサド、そしてゴードンといった仲間たちの 何気ないやり取りにホッとする。 今までないスリリングな展開にハラハラさせられる。 スウェーデン作家、レイフ・GW・ペーション著 『許されざる者』(創元推理文庫)です。 海外ミステリーの主要な賞(CWA賞、ガラスの鍵賞など) 5冠を達成したミステリー小説です。 国家犯罪捜査局の元敏腕捜査官・ヨハンソンは 定年後年金暮らし。 元職場の近くにあるスウェーデン一と評される ホットドッグの屋台で後輩たちをねぎらう日々を 送っていた。 その日もいつもと変わらず屋台に寄り、 最高級のホットドッグを食べるつもりだったが、 突如脳に異変を感じその場に昏倒した。 脳梗塞だった。 一命はとりとめたが半身麻痺が残った。 そんなヨハンソンは彼の主治医から ある驚くべき相談を受ける。 牧師だった父が25年前に起きた9歳の 少女が暴行の上殺害された事件の 犯人について懺悔で聞いたというのだ。 だが、事件はすでに時効になっていた。 ヨハンソンは相棒だった元捜査官や介護士を 遣い、事件を調べなおすことに。 当時、事件の初動捜査が遅れ、さらに無能な 担当責任者が災いして、迷宮入りしていた。 どこの国にも無能な警察官はいるが、 そういう警察官が捜査責任者になったりする。 迷宮入り、冤罪が生まれる原因だ。 ヨハンソンはこの事件の当時の責任者の 名前を聞いて無理もないと思った。 しかし、可哀そうな9歳の少女のために 何としても犯人を見つけ出し報いを受けさせる! ヨハンソンが探偵役となり、集めた報告書や 当時の調書を読み込み、そこから真犯人に迫ってゆく。 病と闘いながら、事件の真相に迫る姿は 鬼気迫るものがある。 しかし、彼を心から気遣い、そして敬愛の念を示す妻や 刺青とピアスだらけだが仕事のできる女性介護士、 そして、ヨハンソンの兄から紹介を受けたロシア人の 助っ人などがヨハンソンの心を癒してゆく。 重いテーマだが、ユーモアあふれる会話と 魅力的なキャラクターが物語を盛り上げている。 この作品がとても面白かったので、次は 「見習い警官殺し上下」に挑戦! 『許されざる者』 著者:レイフ・GW・ペーション 出版社:東京創元社 価格:¥1,300(税別) カテゴリー: アイスランドのベストセラー、 レイキャヴィク警察が舞台の 犯罪捜査官・エーレンデュルシリーズ第5弾 「厳寒の町」を読みました。 「湿地」「緑衣の女」「声」「湖の男」 既刊の4作品、どの作品も心に残る作品ばかり。 悲惨な犯罪小説でありながら心が震える感覚。 アーナルデュル・インドリダソンの作品は ただ事件が起きた、捜査した、犯人が判明した、 というシンプルなストーリーだけではない、 物語の底辺にある「テーマ」に心を動かされる。 レイキャヴィクの古い住宅街で少年の 死体が発見された。 年齢は十歳前後と 思われる。 地面にうつ伏せになり、 体の下の血溜まりは凍り始めていた。 少年はアイスランド人の父とタイ人の 母の間に生まれた。 両親は離婚し、 母親と兄と一緒にレイキャヴィクの 住宅街に越してきたのだ。 アイスランドでは移民政策に綻びが出始め 移民に対する差別が生まれていた。 少年はそんな状況の中で殺された。 少年の死という事で、教師、子どもたちにも 厳しい聴取する刑事たち。 少年はなぜ殺されてしまったのか? エーレンデュルは、また「女性失踪事件」 という別の捜査も抱えていたが・・・。 少年の事件を捜査する物語と並行して、 今作品は、エーレンデュルの少年時代に 触れる。 彼は、子どもの頃弟を喪うという 過去を持っていた。 遺体も何も発見されず、 心に深い傷として残っていた。 しかし、彼の二人の子どもたちによって 改めて向き合うのだ。 また、同僚二人の苦悩するプライベート も丹念に描かれる。 少年殺害事件で慟哭する家族、 こんな悲劇が起こってしまった社会に対する 怒り、そして戸惑い。 哀しみ、むなしさ、やるせなさが 物語を支配している…。 しかし、読まずにはいられない魅力がある。 乳ガン再発を恐れながら、ティーンエイジャーの 一人娘を育てる、シングルマザーのレイチェル。 その日も半年ごとの定期検診だった。 不安を抱えつつ病院へと向かうレイチェルの もとへ何者かから電話がかかってきた。 娘を誘拐した。 返して欲しければ身代金を ビットコインで送金し、他人のこどもを誘拐 しろと指示された。 いたずらに違いないと思ったが、謎の声はさらに続ける。 レイチェルが誘拐した子供の家族が同じように 身代金を払い、その家族がさらに別の子供を誘拐すれば、 娘は生きて解放される。 失敗すれば殺されてしまうというのだ。 そして、この誘拐の連鎖から決して逃れることはできないと…。 警察へは絶対に連絡できない、したら娘の命はない。 恐ろしいほどに頭の切れる犯人が仕組んだ、 誘拐システム。 この連鎖誘拐のシステムに組み込まれて しまったレイチェルは、まったく無関係の子ども の誘拐計画を練ることに….。 被害者の悲劇と加害者の苦悩、それでも娘の命には 変えられない。 加害者にならざるを得ない、レイチェルの苦渋の決断! その緊迫感はいやがおうにも増してゆく! 著者は、「刑事ジョン・ダフィ」シリーズの エイドリアン・マッキンティ。 エドガー賞など ミステリー界では権威ある賞を受賞した実力派。 ドン・ウインズロウも絶賛の傑作。 連鎖誘拐という過去に前例を見ない恐ろしい けれど斬新な設定にまず驚愕。 いったいどんなことになるのか?レイチェルは 加害者になってしまうのか?その怒涛の展開に 魅了され、先へ先へと促されるように読み進めた。 翻訳もの、さらに上下巻という長さ。 しかし、それを感じさせないストーリー展開の 面白さに絶句する! 前代未聞のサスペンススリラー!!! 『ザ・チェーン 連鎖誘拐 上下』 著者:エイドリアン・マッキンティ著/鈴木恵 訳 出版社:早川書房(文庫) 価格:上下各¥780(税別) カテゴリー: , 海外ミステリコーナーを物色中に妙に気なる 作品がこの「ブルックリンの少女」だった。 棚の前を通るたびに目に入るので購入。 しばらく積読していましたが、先日読了。 いやいや、どうしてもっと早く読まなかったのか と後悔したくらいに面白かった~。 運命的な出逢いをした、人気小説家のラファエルと 医師のアンナ。 結婚を間近に控え、二人は 南フランスで休暇を楽しんでいた。 幸せな中でもラファエルは気になることがあった。 なぜかアンナは過去をひた隠しにしていた。 結婚するならば、パートナーの過去を知りたいと 強く願うラファエルは、アンナに詰め寄る。 アンナは抵抗したが、ラファエルの強硬な 態度に観念し、一枚の写真を差し出す。 そこには、目をそむけたくなるほど衝撃的な 光景が写されていた。 その写真を見てショックを受けた ラファエルは、アンナの元から去ってしまう。 しかし、激情にかられアンナを突き放したことを 後悔したラファエルは、アンナに謝ろうと戻るが、 アンナは出て行った後だった。 そして、アンナはそのまま失踪してしまう。 アンナにもう一度会って話をしなければ! 失ってはならない大切な人だということを 改めて思い知らされたラファエル。 友人の元警部・マルクとともにアンナの行方を 調査すると、不審な事件や事故が浮かび上がってきた。 アンナが隠し続けた過去、その過去を 調査してゆく過程で、アンナの正体 は明らかになってゆく。 しかし 明らかになったことで、さらに新たな謎が生まれる。 アンナの正体は? 事件や事故の裏にあるカラクリとは一体? ミステリーの王道をである謎が謎を呼ぶ展開。 最後の最後まで気を抜けない! そして、超!どんでん返しに言葉もない。 もう、凄すぎる。 面白すぎる! 老婦人が自分の葬儀の手配をした日に殺害される という劇的な事件の始まり! 彼女は、自分が殺されると知っていたのか? 作家のホロヴィッツは、刑事ドラマの 脚本執筆で知り合った、元刑事ホーソーン からこの奇妙な事件を捜査する自分を 本にしないかと誘われた。 困惑するホロヴィッツ。 断るつもりだったが すでに事態は動きはじめていた。 元刑事ホーソーンは、空気は読めないが 怜悧な推理力を持つ元刑事だ。 ホロヴィッツから見たら、彼の勝手気ままな 捜査に駆り出される・・・。 という思いが強い。 ホロヴィッツが元刑事ホーソーンに 翻弄される姿は、まるでホームズとワトソンだ。 そして、時に挿入されるホロヴィッツ 自虐ネタとも言えるエピソードがちょっと笑える。 しかし、謎解きと犯人当ての醍醐味は 「カササギ殺人事件」に勝るとも劣らない! シャーロキアンをも唸らす大胆不敵な展開に圧倒される! 仰天展開の「メインテーマは殺人」を堪能してほしい。 『メインテーマは殺人』 著者:アンソニー・ホロヴィッツ 出版社:東京創元社(文庫) 価格:¥1,100(税別) カテゴリー: , 昨年の海外ミステリーランキングで 「カササギ殺人事件」と同じように話題を さらった、ピーター・スワンソンの 「そしてミランダを殺す」。 予測不能で読者はいったいどこへ連れて いかれるやら…。 とドキドキしながら読み、 驚愕のラストでがつん!とやられてしまったのです。 そして、第2弾「ケイトが恐れるすべて」を読みました。 ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと 住居を交換することにした。 過去の忌まわしい記憶からなかなか脱却できずに 悩むケイトだったが、ボストンで新しい 生活を送れば少しは前向きになれると思ったからだ。 コービンとは半年の約束で、ボストンの 豪奢なアパートメントで新生活を 始めようと引っ越した翌日、隣室の女性の 死体が発見された。 殺害された女性の友人と名乗る男、さらに 向かいの棟の住人から、コービンがその女性 と恋人同士であること、そしてその事実を 周囲に秘密にしていたことを明かされた。 不安になったケイトはコービンに真相を 問いただすが、コービンは彼女との関係を否定する。 では、一体誰が嘘を言っているのか? 見知らぬ他人に囲まれたケイト。 隣人は誰に殺されたのか? ケイトに迫る危険と恐怖! ストーリー展開と構想の巧さに圧倒され、 それぞれのキャラクターの心理描写に 背筋が凍る! 狂気を孕んだ、圧巻のクライマックスに またしてもやられた! 凄いとしか言いようがない傑作ミステリー! 『ケイトが恐れるすべて』 著者:ピーター・スワンソン 出版社:東京創元社(文庫) 価格:¥1,100(税別) カテゴリー: , 高校の時にダフネ・デュ・モーリアの 「レベッカ」を読んだ。 その時の衝撃は今でも忘れられない。 ダフネ・デュ・モーリアの作品はレベッカ」 しか読んでいなかったので、たまたま平積 してあったこの「レイチェル」を衝動買いして しまった。 表紙のイラストにも惹かれた。 高校の時に受けた衝撃をまた感じたい! そして読み始めた・・・。 「レイチェル」をひと言でいえば、一人の 女性「レイチェル」に恋をした二人の男が 破滅へと導かれるサスペンスストーリーだ。 イングランドの貴族の青年・フィリップが主人公。 父親代わりに育ててもらった従兄がイタリアで 「レイチェル」と言う女性に出会う。 従兄はレイチェルと恋に落ち結婚するが、 病に倒れ、その地で亡くなってしまう。 従兄を死に追いやったと思い込み、 レイチェル憎むフィリップ。 しかし、従兄の形見を持参したレイチェルは とても穏やかで、従兄を亡くした悲しみを 包み込んでくれた。 そんなレイチェルに フィリップは次第に心を開いてゆく・・。 憎しみで凝り固まっていたフィリップ。 レイチェルの美しさと優しさと聡明さに いつしか恋心を抱くようになる。 しかし、従兄が死の直前に書いた手紙には レイチェルを「悪女」と評していた。 従兄はレイチェルに遺産を残す遺言を書いていなかった。 そのため、フィリップが遺産を相続することになる。 25歳の誕生日が近づいた頃、フィリップはある計画を立てる。 遺産を相続したら、レイチェルを妻に迎えようと・・・。 従兄に育てられたフィリップは、純粋培養された 素直な青年だ。 そんな青年をを見事に手玉に取り、 財産をかすめ取る。 冷酷な女性のように思えるが、読んでいると 思いやりに満ちた女性に感じる・・・。 女性でも共感するのだ。 ここで女性読者も完全にレイチェルの虜に なっていると思う。 この作品の素晴らしさは、心が純粋で、 疑うことを知らない青年が、一人の女性に 激しい恋心を抱いてゆく過程の心理描写が 実に見事なことだ。 さらにレイチェルというキャラクターの 描き方も素晴らしい。 彼女の言葉、たたずまいなど、人間を虜にする すべての要素を満たしている。 フィリップはレイチェルについて様々な雑音を 入れられるが、レイチェルを正当化するため そのすべてを否定してしまう。 それほどまでに心を奪われてしまっているのだ。 いったい、レイチェルは淑女なのか?悪女なのか? 男女の恋の駆け引きと危険な疑惑が交差する、 サスペンスタッチの純愛物語。 1位の「カササギ殺人事件」も想像を絶する 展開で、泣けるくらい面白かったですが、 こちらの作品も2位になったのは惜しいくらい、 面白く衝撃的ミステリ作品でした! IT関連起業の若き社長、テッドは、 ヒースロー空港のバーで、一人時間を つぶしていた。 その時、一人の美しい女性に声をかけられる。 彼女の名前はリリーと言った。 テッドはリリーに全く記憶がない。 しかし、リリーは気安くテッドに話しかけてきた。 テッドは酔った勢いで、1週間前に妻のミランダの 浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」 と言ってしまう。 しまったと思ったが、リリーは「ミランダは 殺されて当然だ」と断言し、妻を殺害することの 正統性を力説。 そして妻殺害の協力を申し出る。 リリーの話を聞いたテッドは、妻ミランダに対し 殺意を抱くようになり、二人は殺人計画を練った。 そして、決行の日が近づいた時、想像を絶する事件が起こる。 男女4人の語りで進行する殺人計画。 追うものと追われるものが、激しく入れ替わる展開。 そこにはサイコパスの影もちらつく! 驚愕と戦慄が交互に襲う! 超絶技巧で仕組まれた著者の罠に完全にはまる。 最後の最後まで気を抜けない、完全無欠のミステリー。 べリンダ・バウアー『視える女』小学館。 4歳の息子ダニエルが行方不明になり、 心が病んでしまったアナは、奇妙な行動を 繰り返す日々を送っていた。 そんな妻の行動をなす術もなく見つめる夫。 目撃者も身代金要求もなく4か月が過ぎた。 その町の警察署に勤めるマーヴェル刑事は、 行方不明になった少女をずっと探し続けていた。 一時は、霊能者を頼ったこともある。 しかし、結局見つけだすことは出来なかった。 そんな時、上司の警視から妻が飼っている 行方不明の犬の捜索を命じられる。 ある日、アナは教会で交霊会があることを 知る。 そこで出会った霊能者にダニエルの 事を相談しようと考える そして、アナは交霊会に参加した夜を境に 不思議な声や光景を視るようになる。 アナに起きた不思議な兆候は、異常なこと なのか、それとも何らかのメッセージなのか? 3件の行方不明の事件が、奇妙な接点で結ばれてゆく。 行方不明事件を捜査する警察小説、 事件の謎が深まってゆくミステリー、 この二つの要素だけでも十分に面白いが さらに「霊視」という神秘的で 超自然的な要素がからんで独特の世界観を 創りあげている。 非常に面白かった。 マーヴェル刑事はシリーズになっている ようなので、他の作品も読んでみたい。

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【北欧ミステリー小説20冊】ガラスの鍵賞のおすすめ傑作や新刊!?

ミステリー 小説 新刊

デンマークの大人気警察小説「特捜部Q」シリーズ。 第7作目「自撮りする女たち」を読んだ。 今までの作品は、未解決事件を中心に物語は 進んでいったが、今作品は現事件と未解決の 事件の捜査が同時に進んでゆく。 コペンハーゲン警察のカール・マーク率いる 「特捜部Q」は、未解決事件を専門に扱う部署。 これまでにかなりの数を解決してきた。 ところが、上層部のミスで特捜部Qの成果報告 が正確に伝わっておらず、部の解体が ささやかれていた。 さらに頼みのローセの調子が良くなく、 特捜部Qチームの士気はダダ下がり。 そんな時、元殺人課課長から連絡が入った。 最近起きた老女撲殺事件が、未解決の女性教師 殺人事件と酷似しているので、再捜査をして 欲しいとの依頼だった。 カールらは渋々捜査を始める。 一方殺人課では、失業中の若い女性を狙った 連続ひき逃げ事件の捜査で忙殺されていた。 カールたちは、その隙に未解決の女性教師 殺人事件と老女撲殺事件の捜査を始めてしまう。 そんな中、新たな事件が発生する! クラブに女性2人組の強盗が押し入り、さらに 殺人事件まで起こってしまったのだ。 次々と起こる事件は、カールたちをも巻き込み かっていない様相を見せ始める!!! 今作品は、デンマークの社会福祉政策に焦点を 充てている。 デンマークは世界有数の福祉国家だ。 社会福祉政策の充実は大方の国民が満足している。 特に失業対策と生活保護は手厚い。 失業者に対してソーシャルワーカーが熱心に カウンセリングを行い就労の手助けをする。 しかし、そのあまりの手厚さゆえに、就職 活動を回避し、補助金や生活保護を不正に 受給しようとするものが後を絶たないという現状。 そういう背景で起こった事件がクローズアップされている。 傲慢でわがままで自分のことしか考えない若者たち。 そんな彼らに対して職務を忠実に果たそうとする ソーシャルワーカーのストレスはどれほどのものだろうか? 作品中に登場するソーシャルワーカーのように 間違った正義へと向かってしまうこともあるかも知れない。 さらに、今作品の注目すべき点は、 カールたちの大切な同僚・ローセの危機だ。 今作品でカールたちはどれほどローセに助けられて いたのか?どれほど大切な友だったのか? 改めて気づかされる。 様々な事件が交差し、怒涛のような展開に翻弄されながら カールとアサド、そしてゴードンといった仲間たちの 何気ないやり取りにホッとする。 今までないスリリングな展開にハラハラさせられる。 スウェーデン作家、レイフ・GW・ペーション著 『許されざる者』(創元推理文庫)です。 海外ミステリーの主要な賞(CWA賞、ガラスの鍵賞など) 5冠を達成したミステリー小説です。 国家犯罪捜査局の元敏腕捜査官・ヨハンソンは 定年後年金暮らし。 元職場の近くにあるスウェーデン一と評される ホットドッグの屋台で後輩たちをねぎらう日々を 送っていた。 その日もいつもと変わらず屋台に寄り、 最高級のホットドッグを食べるつもりだったが、 突如脳に異変を感じその場に昏倒した。 脳梗塞だった。 一命はとりとめたが半身麻痺が残った。 そんなヨハンソンは彼の主治医から ある驚くべき相談を受ける。 牧師だった父が25年前に起きた9歳の 少女が暴行の上殺害された事件の 犯人について懺悔で聞いたというのだ。 だが、事件はすでに時効になっていた。 ヨハンソンは相棒だった元捜査官や介護士を 遣い、事件を調べなおすことに。 当時、事件の初動捜査が遅れ、さらに無能な 担当責任者が災いして、迷宮入りしていた。 どこの国にも無能な警察官はいるが、 そういう警察官が捜査責任者になったりする。 迷宮入り、冤罪が生まれる原因だ。 ヨハンソンはこの事件の当時の責任者の 名前を聞いて無理もないと思った。 しかし、可哀そうな9歳の少女のために 何としても犯人を見つけ出し報いを受けさせる! ヨハンソンが探偵役となり、集めた報告書や 当時の調書を読み込み、そこから真犯人に迫ってゆく。 病と闘いながら、事件の真相に迫る姿は 鬼気迫るものがある。 しかし、彼を心から気遣い、そして敬愛の念を示す妻や 刺青とピアスだらけだが仕事のできる女性介護士、 そして、ヨハンソンの兄から紹介を受けたロシア人の 助っ人などがヨハンソンの心を癒してゆく。 重いテーマだが、ユーモアあふれる会話と 魅力的なキャラクターが物語を盛り上げている。 この作品がとても面白かったので、次は 「見習い警官殺し上下」に挑戦! 『許されざる者』 著者:レイフ・GW・ペーション 出版社:東京創元社 価格:¥1,300(税別) カテゴリー: アイスランドのベストセラー、 レイキャヴィク警察が舞台の 犯罪捜査官・エーレンデュルシリーズ第5弾 「厳寒の町」を読みました。 「湿地」「緑衣の女」「声」「湖の男」 既刊の4作品、どの作品も心に残る作品ばかり。 悲惨な犯罪小説でありながら心が震える感覚。 アーナルデュル・インドリダソンの作品は ただ事件が起きた、捜査した、犯人が判明した、 というシンプルなストーリーだけではない、 物語の底辺にある「テーマ」に心を動かされる。 レイキャヴィクの古い住宅街で少年の 死体が発見された。 年齢は十歳前後と 思われる。 地面にうつ伏せになり、 体の下の血溜まりは凍り始めていた。 少年はアイスランド人の父とタイ人の 母の間に生まれた。 両親は離婚し、 母親と兄と一緒にレイキャヴィクの 住宅街に越してきたのだ。 アイスランドでは移民政策に綻びが出始め 移民に対する差別が生まれていた。 少年はそんな状況の中で殺された。 少年の死という事で、教師、子どもたちにも 厳しい聴取する刑事たち。 少年はなぜ殺されてしまったのか? エーレンデュルは、また「女性失踪事件」 という別の捜査も抱えていたが・・・。 少年の事件を捜査する物語と並行して、 今作品は、エーレンデュルの少年時代に 触れる。 彼は、子どもの頃弟を喪うという 過去を持っていた。 遺体も何も発見されず、 心に深い傷として残っていた。 しかし、彼の二人の子どもたちによって 改めて向き合うのだ。 また、同僚二人の苦悩するプライベート も丹念に描かれる。 少年殺害事件で慟哭する家族、 こんな悲劇が起こってしまった社会に対する 怒り、そして戸惑い。 哀しみ、むなしさ、やるせなさが 物語を支配している…。 しかし、読まずにはいられない魅力がある。 乳ガン再発を恐れながら、ティーンエイジャーの 一人娘を育てる、シングルマザーのレイチェル。 その日も半年ごとの定期検診だった。 不安を抱えつつ病院へと向かうレイチェルの もとへ何者かから電話がかかってきた。 娘を誘拐した。 返して欲しければ身代金を ビットコインで送金し、他人のこどもを誘拐 しろと指示された。 いたずらに違いないと思ったが、謎の声はさらに続ける。 レイチェルが誘拐した子供の家族が同じように 身代金を払い、その家族がさらに別の子供を誘拐すれば、 娘は生きて解放される。 失敗すれば殺されてしまうというのだ。 そして、この誘拐の連鎖から決して逃れることはできないと…。 警察へは絶対に連絡できない、したら娘の命はない。 恐ろしいほどに頭の切れる犯人が仕組んだ、 誘拐システム。 この連鎖誘拐のシステムに組み込まれて しまったレイチェルは、まったく無関係の子ども の誘拐計画を練ることに….。 被害者の悲劇と加害者の苦悩、それでも娘の命には 変えられない。 加害者にならざるを得ない、レイチェルの苦渋の決断! その緊迫感はいやがおうにも増してゆく! 著者は、「刑事ジョン・ダフィ」シリーズの エイドリアン・マッキンティ。 エドガー賞など ミステリー界では権威ある賞を受賞した実力派。 ドン・ウインズロウも絶賛の傑作。 連鎖誘拐という過去に前例を見ない恐ろしい けれど斬新な設定にまず驚愕。 いったいどんなことになるのか?レイチェルは 加害者になってしまうのか?その怒涛の展開に 魅了され、先へ先へと促されるように読み進めた。 翻訳もの、さらに上下巻という長さ。 しかし、それを感じさせないストーリー展開の 面白さに絶句する! 前代未聞のサスペンススリラー!!! 『ザ・チェーン 連鎖誘拐 上下』 著者:エイドリアン・マッキンティ著/鈴木恵 訳 出版社:早川書房(文庫) 価格:上下各¥780(税別) カテゴリー: , 海外ミステリコーナーを物色中に妙に気なる 作品がこの「ブルックリンの少女」だった。 棚の前を通るたびに目に入るので購入。 しばらく積読していましたが、先日読了。 いやいや、どうしてもっと早く読まなかったのか と後悔したくらいに面白かった~。 運命的な出逢いをした、人気小説家のラファエルと 医師のアンナ。 結婚を間近に控え、二人は 南フランスで休暇を楽しんでいた。 幸せな中でもラファエルは気になることがあった。 なぜかアンナは過去をひた隠しにしていた。 結婚するならば、パートナーの過去を知りたいと 強く願うラファエルは、アンナに詰め寄る。 アンナは抵抗したが、ラファエルの強硬な 態度に観念し、一枚の写真を差し出す。 そこには、目をそむけたくなるほど衝撃的な 光景が写されていた。 その写真を見てショックを受けた ラファエルは、アンナの元から去ってしまう。 しかし、激情にかられアンナを突き放したことを 後悔したラファエルは、アンナに謝ろうと戻るが、 アンナは出て行った後だった。 そして、アンナはそのまま失踪してしまう。 アンナにもう一度会って話をしなければ! 失ってはならない大切な人だということを 改めて思い知らされたラファエル。 友人の元警部・マルクとともにアンナの行方を 調査すると、不審な事件や事故が浮かび上がってきた。 アンナが隠し続けた過去、その過去を 調査してゆく過程で、アンナの正体 は明らかになってゆく。 しかし 明らかになったことで、さらに新たな謎が生まれる。 アンナの正体は? 事件や事故の裏にあるカラクリとは一体? ミステリーの王道をである謎が謎を呼ぶ展開。 最後の最後まで気を抜けない! そして、超!どんでん返しに言葉もない。 もう、凄すぎる。 面白すぎる! 老婦人が自分の葬儀の手配をした日に殺害される という劇的な事件の始まり! 彼女は、自分が殺されると知っていたのか? 作家のホロヴィッツは、刑事ドラマの 脚本執筆で知り合った、元刑事ホーソーン からこの奇妙な事件を捜査する自分を 本にしないかと誘われた。 困惑するホロヴィッツ。 断るつもりだったが すでに事態は動きはじめていた。 元刑事ホーソーンは、空気は読めないが 怜悧な推理力を持つ元刑事だ。 ホロヴィッツから見たら、彼の勝手気ままな 捜査に駆り出される・・・。 という思いが強い。 ホロヴィッツが元刑事ホーソーンに 翻弄される姿は、まるでホームズとワトソンだ。 そして、時に挿入されるホロヴィッツ 自虐ネタとも言えるエピソードがちょっと笑える。 しかし、謎解きと犯人当ての醍醐味は 「カササギ殺人事件」に勝るとも劣らない! シャーロキアンをも唸らす大胆不敵な展開に圧倒される! 仰天展開の「メインテーマは殺人」を堪能してほしい。 『メインテーマは殺人』 著者:アンソニー・ホロヴィッツ 出版社:東京創元社(文庫) 価格:¥1,100(税別) カテゴリー: , 昨年の海外ミステリーランキングで 「カササギ殺人事件」と同じように話題を さらった、ピーター・スワンソンの 「そしてミランダを殺す」。 予測不能で読者はいったいどこへ連れて いかれるやら…。 とドキドキしながら読み、 驚愕のラストでがつん!とやられてしまったのです。 そして、第2弾「ケイトが恐れるすべて」を読みました。 ロンドンに住むケイトは、又従兄のコービンと 住居を交換することにした。 過去の忌まわしい記憶からなかなか脱却できずに 悩むケイトだったが、ボストンで新しい 生活を送れば少しは前向きになれると思ったからだ。 コービンとは半年の約束で、ボストンの 豪奢なアパートメントで新生活を 始めようと引っ越した翌日、隣室の女性の 死体が発見された。 殺害された女性の友人と名乗る男、さらに 向かいの棟の住人から、コービンがその女性 と恋人同士であること、そしてその事実を 周囲に秘密にしていたことを明かされた。 不安になったケイトはコービンに真相を 問いただすが、コービンは彼女との関係を否定する。 では、一体誰が嘘を言っているのか? 見知らぬ他人に囲まれたケイト。 隣人は誰に殺されたのか? ケイトに迫る危険と恐怖! ストーリー展開と構想の巧さに圧倒され、 それぞれのキャラクターの心理描写に 背筋が凍る! 狂気を孕んだ、圧巻のクライマックスに またしてもやられた! 凄いとしか言いようがない傑作ミステリー! 『ケイトが恐れるすべて』 著者:ピーター・スワンソン 出版社:東京創元社(文庫) 価格:¥1,100(税別) カテゴリー: , 高校の時にダフネ・デュ・モーリアの 「レベッカ」を読んだ。 その時の衝撃は今でも忘れられない。 ダフネ・デュ・モーリアの作品はレベッカ」 しか読んでいなかったので、たまたま平積 してあったこの「レイチェル」を衝動買いして しまった。 表紙のイラストにも惹かれた。 高校の時に受けた衝撃をまた感じたい! そして読み始めた・・・。 「レイチェル」をひと言でいえば、一人の 女性「レイチェル」に恋をした二人の男が 破滅へと導かれるサスペンスストーリーだ。 イングランドの貴族の青年・フィリップが主人公。 父親代わりに育ててもらった従兄がイタリアで 「レイチェル」と言う女性に出会う。 従兄はレイチェルと恋に落ち結婚するが、 病に倒れ、その地で亡くなってしまう。 従兄を死に追いやったと思い込み、 レイチェル憎むフィリップ。 しかし、従兄の形見を持参したレイチェルは とても穏やかで、従兄を亡くした悲しみを 包み込んでくれた。 そんなレイチェルに フィリップは次第に心を開いてゆく・・。 憎しみで凝り固まっていたフィリップ。 レイチェルの美しさと優しさと聡明さに いつしか恋心を抱くようになる。 しかし、従兄が死の直前に書いた手紙には レイチェルを「悪女」と評していた。 従兄はレイチェルに遺産を残す遺言を書いていなかった。 そのため、フィリップが遺産を相続することになる。 25歳の誕生日が近づいた頃、フィリップはある計画を立てる。 遺産を相続したら、レイチェルを妻に迎えようと・・・。 従兄に育てられたフィリップは、純粋培養された 素直な青年だ。 そんな青年をを見事に手玉に取り、 財産をかすめ取る。 冷酷な女性のように思えるが、読んでいると 思いやりに満ちた女性に感じる・・・。 女性でも共感するのだ。 ここで女性読者も完全にレイチェルの虜に なっていると思う。 この作品の素晴らしさは、心が純粋で、 疑うことを知らない青年が、一人の女性に 激しい恋心を抱いてゆく過程の心理描写が 実に見事なことだ。 さらにレイチェルというキャラクターの 描き方も素晴らしい。 彼女の言葉、たたずまいなど、人間を虜にする すべての要素を満たしている。 フィリップはレイチェルについて様々な雑音を 入れられるが、レイチェルを正当化するため そのすべてを否定してしまう。 それほどまでに心を奪われてしまっているのだ。 いったい、レイチェルは淑女なのか?悪女なのか? 男女の恋の駆け引きと危険な疑惑が交差する、 サスペンスタッチの純愛物語。 1位の「カササギ殺人事件」も想像を絶する 展開で、泣けるくらい面白かったですが、 こちらの作品も2位になったのは惜しいくらい、 面白く衝撃的ミステリ作品でした! IT関連起業の若き社長、テッドは、 ヒースロー空港のバーで、一人時間を つぶしていた。 その時、一人の美しい女性に声をかけられる。 彼女の名前はリリーと言った。 テッドはリリーに全く記憶がない。 しかし、リリーは気安くテッドに話しかけてきた。 テッドは酔った勢いで、1週間前に妻のミランダの 浮気を知ったことを話し、冗談半分で「妻を殺したい」 と言ってしまう。 しまったと思ったが、リリーは「ミランダは 殺されて当然だ」と断言し、妻を殺害することの 正統性を力説。 そして妻殺害の協力を申し出る。 リリーの話を聞いたテッドは、妻ミランダに対し 殺意を抱くようになり、二人は殺人計画を練った。 そして、決行の日が近づいた時、想像を絶する事件が起こる。 男女4人の語りで進行する殺人計画。 追うものと追われるものが、激しく入れ替わる展開。 そこにはサイコパスの影もちらつく! 驚愕と戦慄が交互に襲う! 超絶技巧で仕組まれた著者の罠に完全にはまる。 最後の最後まで気を抜けない、完全無欠のミステリー。 べリンダ・バウアー『視える女』小学館。 4歳の息子ダニエルが行方不明になり、 心が病んでしまったアナは、奇妙な行動を 繰り返す日々を送っていた。 そんな妻の行動をなす術もなく見つめる夫。 目撃者も身代金要求もなく4か月が過ぎた。 その町の警察署に勤めるマーヴェル刑事は、 行方不明になった少女をずっと探し続けていた。 一時は、霊能者を頼ったこともある。 しかし、結局見つけだすことは出来なかった。 そんな時、上司の警視から妻が飼っている 行方不明の犬の捜索を命じられる。 ある日、アナは教会で交霊会があることを 知る。 そこで出会った霊能者にダニエルの 事を相談しようと考える そして、アナは交霊会に参加した夜を境に 不思議な声や光景を視るようになる。 アナに起きた不思議な兆候は、異常なこと なのか、それとも何らかのメッセージなのか? 3件の行方不明の事件が、奇妙な接点で結ばれてゆく。 行方不明事件を捜査する警察小説、 事件の謎が深まってゆくミステリー、 この二つの要素だけでも十分に面白いが さらに「霊視」という神秘的で 超自然的な要素がからんで独特の世界観を 創りあげている。 非常に面白かった。 マーヴェル刑事はシリーズになっている ようなので、他の作品も読んでみたい。

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