インスリンアナログ製剤とは 通常、体には上昇した血糖値を適正な値まで下げるインスリンというホルモンがあり、食後に膵臓から放出される仕組みになっています。 しかし糖尿病を発症して膵臓やインスリンそのものの働きが悪くなってしまうと、血糖値が適切な値まで下がらなくなります。 インスリンアナログ製剤は、 インスリンとほぼ同じ生理作用がありながら、人工的に作用時間を調整した薬剤です。 このため、血糖値を下げる作用が現れるまでの時間が極端に短かったり、作用の持続時間が非常に長いものなど、作用の発現・持続時間によっていくつかの種類が存在しています。 インスリンアナログ製剤の種類は? ここでは、4種類のインスリンアナログ製剤とその特徴についてご紹介します。 超即効型インスリンアナログ 注射から発現までにかかる時間が非常に短く、1日3回の食事の直前に注射をすれば、人が本来持つリズムに近いかたちで食後の血糖値を下げてくる薬剤です。 持効型インスリンアナログ 食事にあわせてではなく、1日1回決められた時間に注射することで、基本的なインスリン分泌量の不足を補い1日の血糖値を全体的に下げる作用があります。 二相性インスリンアナログ 決められた食事の前に注射することで、食事による血糖値の上昇を抑え、さらに1日当たりの基本的なインスリン分泌量の不足も補う効果が期待できます。 使用直前によく混ぜる必要があります。 配合溶解インスリンアナログ 決められた食事の前に使用し、食後の血糖値上昇をコントロールするとともに、1日の基本的なインスリン分泌量の不足も補ってくれます。 上記のうち、 超即効型と持効型の特徴の両方を持つ二相性インスリンアナログや配合溶解インスリンアナログは、混合型と呼ばれています。 主なインスリンアナログ製剤は? 続いて、主なインスリンアナログ製剤の名前をご紹介します。 超即効型インスリンアナログ• 以下に、インスリンアナログ製剤の投与中に現れる可能性のある低血糖の症状と適切な対処法・予防法をご紹介します。 低血糖が起きているときの症状 初期 冷や汗、脈の早まり、手指の震え、顔面蒼白、理由もなく不安になる など 中期 頭痛、集中力の低下、生あくび、目のかすみ 最終段階 けいれん、意識消失からの昏睡、異常な行動 など 低血糖症状がみられたときの対処法 初期症状を感じたとき 可能なら血糖値を測り、ブドウ糖なら10g、砂糖なら20g相当量の飲料水を飲む その後15分安静にし、症状が回復するのを待ってから食事を摂る 1度の処置で症状が改善しなかった場合 もう一度、ブドウ糖なら10g砂糖なら20g分の飲料水を摂取し、様子をみる それでも改善しなければ、医療機関への受診や救急車を呼ぶことを検討する インスリンアナログ製剤の投与中、低血糖予防のためにできること• 低血糖になりやすいことを自覚し、食事などは医師の指示に従って摂る• 低血糖症状に襲われたときに備えて、ブドウ糖のタブレットや飲料水を持ち歩く• 意識を失ったときのために、糖尿病患者用IDカードを財布などに入れて携帯する おわりに:インスリンアナログ製剤は、効き方によって4つに分類できます インスリンアナログ製剤は、人の体内で分泌され血糖値をコントロールするホルモン・インスリンの代わりに、血糖値を下げてくれる薬剤です。 薬の効果が現れるまでの時間、そして薬効の持続時間により超即効型、持効型、二相性と配合溶解を含む混合型の4つに分けられています。 注射すべきタイミングも種類によって異なるため、薬の作用による低血糖の発症とあわせて、使用には注意が必要です。 医師の指示を守って適切に使いましょう。
次の主な商品名:トレシーバ 注射のタイミングは? どの種類のインスリンをどのタイミングでどのくらい注射するかは、患者さんの状態によって異なります。 例えば、すい臓からのインスリン分泌がほとんどない場合、中間型や持効型で「基礎インスリン」を1日1回補い、食前に超速攻型または速攻型で「追加インスリン」を補う1日4回の強化療法が基本です。 2型糖尿病でインスリン分泌機能が残っている場合は、それまでの飲み薬に持効型を1日1回加え、血糖値を全体的にバランスよく下げる方法もあります。 使う種類のタイプや糖尿病の状態によって注射回数やタイミングは変わりますが、できるだけ自然なインスリン分泌に近づける方法がとられます。 注意点 インスリン療法を行う際に注意しなければならないのが 低血糖です。 インスリンの量が多すぎると低血糖を起こし、場合によっては意識不明で倒れてしまうことがあります。 そのため、血糖自己測定(SMBG)や持続型血糖モニター(CGM)を使って、1日の血糖値の日内変動を測定し、量を調整する必要があります。 通常、インスリン療法を始めるに当たっては、1週間から2週間教育入院し、インスリン療法について学びながら血糖値を測定し、使用するインスリン量を調整するのが一般的です。 しかし、仕事などによりなかなか休みが取れない方もいらっしゃるでしょう。 そのような場合は、外来診療でインスリン注射を覚えるという形で治療を始めることが可能です。 ただし、始めのうちは通院回数が多くなります。 糖尿病との付き合いは長いので、できるのであれば教育入院をしてしっかり学ぶことをおすすめします。 まとめ インスリン製剤には効きはじめるまでの時間と作用の継続時間によって、「超速攻型」「速攻型」「混合型」「中間型」「持効型」の5種類があります。 インスリン療法では、中間型や持効型で基礎分泌を補い、超速攻型や速攻型で追加分泌を補います。 健康な人のインスリン分泌パターンにできるだけ近づけ、血糖コントロールすることが期待できるので、合併症の進行を防ぐ効果も高いです。 注射のタイミングや量に気をつけましょう。
次のインスリンを体内に投与することで、 血糖値を下げによる 合併症を防ぐ薬• は血糖値が高い状態で、この状態が続くと様々な合併症を引き起こす• インスリンは血糖を下げる ホルモン• インスリン製剤はインスリンアナログ製剤とヒトインスリン製剤に分かれる• インスリン製剤は作用発現時間や作用持続時間などにより以下の種類に分かれる• 超速効型:作用発現時間が10〜20分、作用持続時間は3〜5時間で「食直前に投与」 ・フィアスプ注は通常、食事開始時(食事開始前の2分以内)に投与• 速効型:作用発現時間は30分〜1時間、作用持続時間は5〜8時間で「食前30分に投与」• 持効型:作用持続時間は約24時間又はそれ以上で、継続使用時に明らかなピークが見られないため、中間型に比べてよりスムーズに基礎分泌を補いやすいメリットが考えられる• 中間型:作用発現時間は30分〜3時間、作用持続時間は18〜24時間(同じ中間型でも製剤によっては作用持続時間に開きがある場合もある)• 混合型:超速効型又は速効型に、一定量の添加物を加えたり中間型を組み合わせた製剤(超速効型又は速効型の配合割合により規格が複数存在することがある)• 一部のインスリン製剤はの治療に使われる場合もある 糖尿病は血液中の糖(ブドウ糖)が適正な量を超えて増えてしまった状態で、血糖値が高い状態が続くと様々な合併症がおこる。 インスリンは血糖値を下げるホルモンであり、通常は膵臓から放出される。 しかし、膵臓の障害などでインスリンが十分に作れなくなったり(インスリン分泌低下)、インスリンの効きが悪くなること(インスリン抵抗性)によってインスリンが十分に働かない状態になると血糖値が下がらなくなってしまう。 本剤はインスリンを含有した注射製剤であり、体内で不足しているインスリンを主に皮下注射(バイアル製剤の中には場合によっては筋肉内や静注内投与で使用するものもある)により投与することで、血糖値を下げ合併症の発症を防ぐ効果をあらわす。 インスリン製剤は大きく分けて、インスリンアナログ製剤とヒトインスリン製剤に分かれる。 インスリンアナログ(「インスリンに似たもの」の意味をもつ)製剤はインスリンと同じ生理作用を持ちながら、体内におけるインスリンの作用持続時間などを調節したもので、超速効型(作用発現時間が10〜20分で作用持続時間が3〜5時間)や持効型(作用持続時間が約24時間又はそれ以上)などがある。 ヒトインスリン製剤は微生物によってヒト型のインスリンを産生させ精製などを行い製剤化したもので、速効型(作用発現時間が30〜1時間で作用持続時間が5〜8時間)、中間型(作用持続時間は18〜24時間〔同じ中間型でも製剤によって作用時間に開きがある〕)などがある。 また超速効型あるいは速効型製剤に一定量の添加物(プロタミンという物質の添加により成分の解離が遅延し、血中への移行が緩徐となる)を加えたものや中間型を組み合わせたものである、混合型インスリン製剤(ノボラピッド30ミックス注、ヒューマログミックス25注など)があり、血糖の状態や患者のライフスタイルなどに合わせた使用量の調節や製剤選択が行われている。 剤形に関してもプレフィルド製剤及びキット製剤(インスリン製剤と注入器が一体となったディスポーザブル〔使い捨て〕タイプ)、カートリッジ製剤(専用のペン型注入器と組み合わせて使用するタイプ)、バイアル製剤(注射器で吸引して使用するタイプ)があり用途などによって選択される。 インスリン製剤は通常、専用の注射針などを用いて投与するが、近年では針の太さが細く長さも短い針が開発され、注射時の痛みなどが改善されてきている。 (超)速効型のバイアル製剤は、ポータブルインスリン用輸液ポンプ(インスリンポンプ)を用いた持続皮下インスリン注入療法に使われる場合もある。 なお、インスリンには血液中のカリウムイオンを細胞内に取り込む作用があるため、本剤の中には高カリウム血症の治療(グルコース・インスリン療法:GI療法)に使われるものもある。 インスリン製剤の主な副作用や注意点• 冷や汗がでる、気持ちが悪くなる、手足がふるえる、ふらつく、力が抜けた感じがするなどの症状が急に出現したり持続したりする• 上記のような症状がみられる場合は、吸収の速い糖分などを摂取する• 糖分を摂取しても症状の改善がみられない場合は、医師や薬剤師に連絡する• 高所作業、自動車の運転などに従事している場合は注意する• 注射部位の症状• 発赤、痒み、 疼痛、 腫脹などがあらわれる場合がある• 、血管神経性 浮腫• 頻度は非常に稀である• 呼吸困難、血圧低下、 頻脈、発汗、 発疹、急に唇・ まぶたなどが大きく腫れる、話しづらいなどの症状がみられた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡するなど適切に対応する• インスリン製剤の一般的な保管方法に関して• ノボラピッド注:超速効型 インスリンアナログ製剤• 剤形の種類:フレックスペン、フレックスタッチ、イノレット、ペンフィル、バイアル• ノボラピッドミックス注(30ミックス、50ミックス、70ミックス):混合型インスリンアナログ製剤• 剤形の種類:フレックスペン、ペンフィル(30ミックスのみ)• 30ミックス注:超速効型と中間型を「3:7」の割合で含有する• 50ミックス注:超速効型と中間型を「5:5」の割合で含有する• 70ミックス注:超速効型と中間型を「7:3」の割合で含有する• 剤形に関して(種類や規格によって選択できる剤形は異なる)• フレックスペン、フレックスタッチ:インスリン製剤と注入器が一体となったディスポーザブル(使い捨て)タイプ• イノレット:注入器一体型製剤で特徴(「握りやすい」「注入しやすい」「単位目盛が見やすい」)により、握力や視力の低下した患者などへのメリットが考えられる• ペンフィル:専用のペン型注入器(ノボペン)と組み合わせて使用するカートリッジ製剤• バイアル:注射器で吸引して使用するバイアル製剤(必要に応じ 静脈内注射、持続静脈内注入又は筋肉内注射で投与される場合もある)• フレックスタッチに関して(フレックスペンから次の点を改良)• 注入ボタンが伸びず、押しやすい• 注入ボタンが軽く、より小さい力で注入できる• 注入単位設定時のクリック感やクリック音を強くし、視力が弱い患者にとってより確実な単位設定をサポート• 注入完了時に「カチッ」と音がするので、注入完了を確認できる• 他のインスリンと識別しやすくするために、カートリッジホルダーに色づけがされている ヒューマログ注、ヒューマログミックス25注、ヒューマログミックス50注• ヒューマログ注:超速効型 インスリンアナログ製剤• ヒューマログミックス注(ミックス25、ミックス50):混合型インスリンアナログ製剤• 剤形の種類:ミリオペン、カート• ミックス25注:超速効型と中間型を「25:75」の割合で含有する• ミックス50注:超速効型と中間型を「50:50」の割合で含有する• 剤形に関して(種類によって選択できる剤形は異なる)• ミリオペン:インスリン製剤と注入器が一体となったディスポーザブル(使い捨て)タイプで、手の力が弱い患者でも無理なく注入できるなどのメリットが考えられる ・ミリオペンHD:0. 5単位刻みの投与量調節が可能なミリオペン• カート:専用のペン型注入器(ヒューマペンラグジュラ、ヒューマペンサビオ)と組み合わせて使用するカートリッジ製剤• バイアル:注射器で吸引して使用するバイアル製剤(必要に応じインスリンポンプを用いて投与する場合もある) ノボリンR注、ノボリンN注、ノボリン30R注、イノレット30R注• ヒト インスリン製剤• ノボリンR注:速効型ヒトインスリン製剤• ノボリンN注:中間型ヒトインスリン製剤• ノボリン30R注、イノレット30R注:速効型インスリンと中間型インスリンを「3:7」の割合で含有する混合型ヒトインスリン製剤• 剤形に関して• フレックスペン:インスリン製剤と注入器が一体となったディスポーザブル(使い捨て)タイプ• イノレット30R注:注入器一体型製剤で特徴(「握りやすい」「注入しやすい」「単位目盛が見やすい」)により、握力や視力の低下した患者などへのメリットが考えられる• ヒト インスリン製剤• ヒューマリンR注:速効型ヒトインスリン製剤• ヒューマリンN注:中間型ヒトインスリン製剤• 剤形に関して• ミリオペン:インスリン製剤と注入器が一体になったディスポーザブル(使い捨て)タイプで、手の力が弱い患者でも無理なく注入できるなどのメリットが考えられる• カート:専用のペン型注入器(ヒューマペンラグジュラ、ヒューマペンサビオ)と組み合わせて使用するカートリッジ製剤• ランタス注:持効型の インスリンアナログ製剤• ランタスXR注:持効型のインスリンアナログ製剤• 剤形に関して:ソロスター• XRの特徴:濃度を高くして注射量を少なくすることで通常の「ランタス」に比べて夜間及び24時間の発現が少ないなどのメリットが考えられる• 剤形に関して(XR注の剤形はソロスターのみ)• ソロスター:インスリン製剤と注入器が一体になったディスポーザブル(使い捨て)タイプ• カート:専用のペン型注入器(イタンゴ)と組み合わせて使用するカートリッジ製剤• バイアル:注射器で吸引して使用するバイアル製剤 トレシーバ注• 超速効型 インスリンアナログ製剤• インスリンアスパルト(ノボラピッドの成分)にニコチン酸アミド(添加剤)を配合し、成分の初期吸収を速めた製剤(皮下投与後速やかに吸収されることで作用発現時間がノボラピッド注よりはやい特徴をもつ)• 通常、食事開始時(食事開始前の2分以内)に投与する ・食事開始後(食事開始から20分以内)の投与も可能• 剤形に関して ・フレックスタッチ:インスリン製剤と注入器が一体になったディスポーザブル(使い捨て)タイプ ・ペンフィル:専用の注入器(ノボペン)と組み合わせて使用するカートリッジ製剤 ・バイアル:注射器で吸引して使用するバイアル製剤(必要に応じ 静脈内注射による投与やインスリンポンプを用いて投与する場合もある) インスリン製剤を使う主な病気.
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