参院選公約では、今年10月の消費税率10%への引き上げに関して、与野党で主張が完全に割れた。 与党は、景気対策をアピールした上で予定通りの増税を掲げた。 これまで国政選挙の「鬼門」とされてきた消費税増税に挑むことになる。 野党は軒並み凍結、中止を訴えており、全面対決の構図となった。 高齢者から子どもまでを対象とした「全世代型社会保障」の構築や、借金に頼らず政策経費を賄えているかを示す基礎的財政収支(PB)を2025年度に黒字化させる財政健全化目標達成のためと訴える。 消費増税の増収分は幼児教育・保育の無償化にも充当。 増税後の消費の冷え込みを防ぐ狙いで、キャッシュレス決済のポイント還元など景気対策を強調した。 公明党は、食料品など生活必需品の税率を8%に据え置く軽減税率の導入で「日常の買い物の痛税感を和らげる」と記載。 低所得者向け「プレミアム付き商品券」の発行も掲げた。 与党は消費増税に関して万全の対策をアピールするとともに、景気悪化のリスクがはっきりした場合も「ちゅうちょなく機動的かつ万全の対策を講じる」(安倍晋三首相)と力説。 増税への反発を抑えるのに必死だ。 立憲民主党は消費増税の凍結を訴え、株式売却益などにかかる金融所得課税の引き上げや法人税率の累進性強化を主張。 低所得者への配慮を前面に押し出す。 「家計第一」を掲げる国民民主党は「景気回復を果たさなければ引き上げるべきでない」と消費増税に反対する 日本維新の会は、国会議員や国家公務員の人員削減により財源を生み出すことで、消費増税の凍結を主張する。 共産、社民両党は増税を中止した上で大企業への法人課税強化などを強調。 れいわ新選組は消費税そのものの廃止を訴える。 3%で導入した直後の1989年夏の参院選、5%への引き上げ(97年4月)の翌98年夏の参院選は、ともに与党の自民が大敗した。 安倍首相も、8%へ増税後だった14年12月の衆院選では、10%への増税を延期。 16年夏の参院選前にも再延期を表明した。 ある自民ベテラン議員は「消費税の悪夢はいまだに根強い」と漏らす。 一方、立憲民主と国民民主にとっても、前身の民主党が与党だった12年に、自民、公明との3党合意で10%への増税の道筋を付けた経緯がある。 立憲民主の枝野幸男代表は「当時と経済のベースが変化している」と説明するが、「中止」ではなく「凍結」と表現。 「真っ向から反対できる争点でもない」(同党関係者)との声も上がっている。
次の開票速報一覧・記事の見方• は当選。 候補者名の右に「特定枠」とあるのは、特定枠での当選。 開票途中での当選者は、朝日新聞社の判定による。 得票の少ない候補を当選とする場合がある。 政党の獲得議席数が先に決まるため、 がついた候補者の数と一致しない場合がある。 集計途中では、比例区の政党と候補の得票の合計が政党得票総数と一致しない場合がある。 選挙区の数値は、上段が得票数、下段が得票率。 選挙区での政党の略称は、自民(自由民主党)、公明(公明党)、立憲(立憲民主党)、国民(国民民主党)、共産(日本共産党)、維新(日本維新の会)、社民(社会民主党)、れいわ(れいわ新選組)とし、その他は諸派とした。 ブラウザーや端末によって正しく表示されない場合があります。
次の安倍晋三首相が夏の参院選に合わせた衆参同日選を見送る方針を固めた。 首相は2021年9月の自らの自民党総裁任期満了までに、なお衆院解散・総選挙を仕掛ける構えだが、今後は消費税率10%への引き上げや東京五輪・パラリンピック開催などの重要日程が控える。 首相の解散の選択肢は限られてくる。 首相が同日選を検討した大きな理由は、65議席を獲得して大勝した13年参院選の当選組が改選を迎え、議席減が予想されたためだ。 同日選で組織をフル稼働させれば減少幅を圧縮できると見ていた。 こうした中、自民党が極秘に実施した参院選の情勢調査では、勝敗を左右する改選数1の1人区32のうち、厳しいのは数選挙区にとどまったという。 内閣支持率は堅調で「参院選単独でも政権運営の求心力を確保できる」(首相周辺)と判断したようだ。 とはいえ、首相の残りの党総裁任期を考えると今後の解散のタイミングは多くない。 大きく見ると、 1 年内 2 20年 3 21年の三つに分けられるが、いずれもリスクが付きまとう。 年内を眺めると、10月1日に消費税増税、同22日に天皇陛下の即位を内外に示す国事行為「即位礼正殿の儀」と続く。 消費税増税の際には、公明党が強く推した軽減税率も併せて導入される。 複雑な制度による混乱から消費者の不満が高まることも予想され、公明党内では「批判がうちに向く恐れがある。 しばらく解散は勘弁してほしい」(関係者)との声も漏れる。 年が明けても増税の反動減で景気が落ち込むなどの状況に至れば、20年1月の通常国会の冒頭解散も難しい判断となる。 同年7~9月は東京五輪・パラリンピックが開催されており、解散をぶつけにくい。 21年になると、首相の党総裁任期(9月)、衆院議員の任期満了(10月)まで既に1年を切っている状態。 選択肢が狭まり、「追い込まれ解散」の色彩が濃くなる。 不確定要素が多くなり、内閣支持率が落ち込めば自民党内から首相交代論が出てくる可能性もある。 衆院選準備が遅れていた野党内では安堵(あんど)の声が上がる。 立憲民主党関係者は「ラッキーだ」と話した。 ただ、立憲の枝野幸男代表はツイッターに「86年の同日選は『死んだふり解散』でした」と投稿。 なお警戒を解いていない。
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