酸化マグネシウムの飲み方のコツ この薬を飲むときのコツは、4つあります。 いつも以上に水分補給を心掛ける。 効果が出るまで時間がかかる場合がある。 1日3回飲んでみる。 大腸刺激性下剤と飲むときは、時間を空ける 水分補給が必要な理由 酸化マグネシウムは、非刺激性の塩類下剤で 便を柔らかくする効果があります。 便を柔らかくする効果は、浸透圧の差によって周りから水を集めてきます。 このとき、大切なのは 腸の中に集めるだけの水があるようにすることです。 便の周りに十分な水がなければ水を集めることができません。 そうなると、せっかく薬を飲んでいるのにも関わらず、便が柔らかくなりません。 従って、腸の中に水分があるようにするために、水分補給が大切なのです。 1日に必要な水分量は1. 5〜2リットルです。 【関連記事】 効果が出るまでの少し時間がかかる 酸化マグネシウムは、非刺激性の薬なので服用してすぐに効果が現れない人がいます。 通常の人が酸化マグネシウムを飲むと、4~6時間で効果が期待できます。 しかし、あまりに便が硬い人は、便がやわらかくなるまで、それよりもちょっと時間がかかります。 しかし、飲む前と飲んだ後で比べると便の柔らかさは確実に変わってきています。 酸化マグネシウム服用時のイメージ• 薬を飲む前 すごく硬い便• 服用1日目 硬い便• 服用2日目 ちょっと硬い便• 服用3日目 普通の便 人によっては、1回目の服用から効果が実感できる人もいるし、何日か経過してから効果を実感する人もいます。 効かないからとすぐに止めずに、継続して飲んでみましょう。 スポンサーリンク 1日3回飲んでみる。 酸化マグネシウムの飲み方は、1日3回飲むかもしくは1日1回寝る前に飲むかの2通りがあります。 どちらの飲み方でも良いのですが、効果不十分な方は1日3回飲んだ方が良いです。 その理由は、酸化マグネシウムの効き方にあります。 酸化マグネシウムは、食べ物のカスと混ざって周りから水を集めるようにして便をやわらかくします。 なので、 薬の有効成分が食べ物のカスと混ざっている状態の方が、より効果を発揮しやすいのかなと思います。 無論、1日1回寝る前で効果が出ている場合には、特に気にする必要はなく、そのまま続けて頂ければと思います。 大腸刺激性下剤と飲む時は時間を空ける 便秘がなかなか解消しない人は、酸化マグネシウムとコーラックなどの大腸刺激性下剤などを一緒に飲む方もいます。 このときに注意すべきなのが、酸化マグネシウムと 大腸刺激性下剤を同時に服用することです。 腹痛などの副作用が起きやすくなります。 その理由は、酸化マグネシウムは 胃酸を中和する胃薬としての作用もあるからです。 胃酸が中性や弱アルカリ性に傾くと、大腸刺激性下剤のコーティングがはがれて有効成分が溶け出して、刺激成分が胃を刺激して痛みが生じます。 どちらのお薬も1日1回で寝る前で飲むことがあります。 同時に服用して、毎回腹痛が起きるなどの症状があるときは、 服用する間隔を2〜3時間空けると良いです。 【関連記事】 まとめ• 酸化マグネシウムを飲むときは、水分補給を心がける。 1日1回で効かないときは1日3回に分けてみる。 大腸刺激性下剤と飲むときは、2〜3時間空けて飲むのがおすすめ。 スポンサーリンク 他の記事へのリンク.
次のmagnesium-oxide-risk1 酸化マグネシウムを飲んだ場合の薬物動態について 酸化マグネシウム錠の添付文書やインタビューフォームには薬物動態(どのように吸収されて血液中をどの程度ながれてどのように排泄されるか)が記されておりません。 ラットに大量の酸化マグネシウム(200mg)を投与した際の薬物動態を報告したデータによると、85%は吸収されずに糞便中に排泄され、残りの15%は小腸・結腸で吸収されて血液中を流れて尿中に排泄されたという報告があります。 ヒトでの薬物動態のデータがありませんので、ラットのデータをヒトに置き換えて以下の薬物動態を検討します。 例えば緩下剤として1日酸化マグネシウムを2gのんでいる患者様を想定します。 酸化マグネシウム2g中に含まれるマグネシウム量は1. 206gです。 そのうち15%が小腸を経由して体内に吸収されると仮定すると、吸収されたマグネシウムの量は0. 1809g 180. 9mg です。 体内に吸収されたマグネシウムのうち73%は骨に吸着されます。 それ以外の部位では腎臓に7. 6%、脳に10. 5%、筋肉に4. 6%、心臓に4. 4%へ分布し、血液中には0. 5%しか移行しません。 加えて、多すぎるマグネシウムは腎臓を経由して尿中に排泄されます。 排泄量は体内にあるマグネシウムの量に依存するのですが、マグネシウム量として1日10~150mg程度(概算値)の幅をもって排泄量が調節されております。 上記の薬物動態を踏まえますと、1日に酸化マグネシウムを2g飲んでいた場合、その15%ほどが体内に吸収されるものの、そのほとんどが骨に吸着され、多いマグネシウムは腎臓経由で尿中に排泄されるので血液中のマグネシウム濃度には、ほとんど影響しない(高マグネシウム血症にはならない)ことがわかります。 0~8. 56倍リスクがUPする ・BUN値(血清尿素窒素)が22. 79倍リスクがUPする ・1日の酸化マグネシウムの服用量1. 1倍リスクがUPする 上記の条件が、高マグネシウム血症を引き起こすリスク因子となります。 酸化マグネシウムを飲み続けている方の中で上記の条件をいくつか満たす方に関しては、倦怠感・吐き気・徐脈・低血圧といった高マグネシウム血症の前兆となる症状が出ていないか注意喚起を行うことが大切だなぁと感じました。 酸化マグネシウムを飲み続けるといいことはあるのかどうか 酸化マグネシウムを飲み続けた場合、上記の条件を満たすと「高マグネシウム血症のリスク」がUPすることはわかりましたが、逆に飲み続けることで体にとって良いことはないのかどうか報告をしらべてみました。 酸化マグネシウムと認知症 台湾での小規模臨床報告のデータによると、酸化マグネシウムの服用歴がある方は、飲んでいない人と比較して認知症を発症するリスクが半分に減少したという報告が2017年4月にありました。 酸化マグネシウムの服用を開始してから10年間の追跡調査期間中に認知症を発症したリスクを調査したところ、酸化マグネシウムを服用した群は飲まなかった群と比較してハザード比が0. 517(リスクが半分に減った)まで減少したという報告です。 低用量酸化マグネシウムと糖尿病 低マグネシウム血症は傷の治りが遅くなることが報告されており、糖尿病性足潰瘍患者さんにおいては症状の悪化をもたらすケースがあります。 1日1回酸化マグネシウム250mgを12週間服用した群とプラセボ群とで足潰瘍の治療がどのように変化するか調査しておりいます。 12週間後のデータ(酸化マグネシウム服用群VSプラセボ群) 酸化マグネシウム服用群 血清マグネシウム濃度:+0. 0cm 足潰瘍部分の幅:-1. 0cm 足潰瘍部分の深さ:-0. 8cm 空腹時血糖:-45. 5% プラセボ服用群 血清マグネシウム濃度:-0. 9cm 足潰瘍部分の深さ:-0. 5cm 空腹時血糖:-10. 4% 糖尿病性足潰瘍患者さんの場合、酸化マグネシウム250mgを12週間飲み続けると、潰瘍サイズの減少、血糖値低下という有益な効果を及ぼす可能性が示唆された報告があります。
次の今回は、薬の相互作用の話。 こんなことを聞いたことはありませんか? やなどの胃酸を抑える薬は、酸化と相互作用があるので併用しない方がよい! 「もちろん知ってる」と言う方もいると思いますが、知らない薬剤師も多いはず。 なぜ知らない薬剤師も多いのか? それは、 添付文書に載っていないから! しかし我々薬剤師は、薬の専門家。 「説明文書に載ってないから問題ないです!」なんて言うのは専門家としてあまりにも。 薬剤師は、常に薬学的に考えていく必要があるのです! 今回は、 胃酸分泌抑制薬と酸化の相互作用について詳しく解説していきますよ!• 胃酸分泌抑制薬と酸化併用でどうなる? 酸化と胃酸分泌抑制剤薬(や)を併用することにより、 酸化の緩下作用(便秘改善作用)が減弱します! つまり、 酸化の効果が下がってしまうのです! なぜ酸化の効果が下がってしまうの? ずばり、 酸化の作用機序に問題があります。 のメーカー(製薬会社)に確認 電話確認したところ、 「添付文書に記載されているように、今のところ酸化との相互作用はないと思われます。 そもそも酸化の作用機序がわからないので、酸化のメーカーに聞かれては?」とのこと。 う〜ん。 どこのメーカーとは敢えて言わないけど本当に頼りにならない。。 酸化のメーカー(製薬会社)に確認 電話確認したところ、 「酸化の作用機序を考えると、理論上あり得ます。 酸化の効果は下がるでしょう。 しかし、 相互作用試験を実施していないので、社内データはありません。 」とのこと。 う〜ん。 「どういうこと?」て感じです。 そもそもなぜ添付文書に載っていないの? 結構重要な事のはずなのに添付文書には記載されていない。 一体なぜなのか? ずばり、 添付文書にすべての相互作用が載っているわけではない! 実は、当たり前の事ほど添付文書には記載されていないことがあります。 (実は治療の際など、逆に併用が有効という文献もあったりしますが) その他にも血圧降下薬と昇圧薬を併用すれば拮抗は明らかですが、添付文書には記載されていません。 (これは当たり前過ぎるか) つまり、 添付文書に全てが載っているわけではない。 添付文書だけを頼りにしては駄目!ということ。 薬の専門家である薬剤師は、常に薬学的思考が求められるのです。 胃薬と酸化の相互作用データが記載されている文献はあるのか? 理論上、相互作用があるのは間違えないけど、やっぱりデータも確認したい。 相互作用データが記載されている文献はあるのでしょうか? 色々と探した結果、 文献を1つ見つけました! 「Interaction of magnesium oxide with gastric acid secretion inhibitors in clinical pharmacotherapy」 J Clin Pharmacol 2014 70:921-924 この論文によると、「酸化を単独服用した患者群」と「酸化と胃酸分泌抑制薬を併用した患者群」で、比較試験をおこなったそうです。 これによると、 「胃酸分泌抑制薬を併用している患者群」は、「酸化を単独服用している患者群」よりも、明らかに排便コンできている割合が低いという結果がでています。 (酸化単独群は72. 今の患者さんの症状から本当に必要なのかを再検討する必要があるでしょう。 特に の慢性的な長期投与は、腎臓に負担がかかることもわかっています。 センノシドなど刺激性下剤は、耐性もあるためもちろん却下ですが、 塩類性下剤である酸化も耐性こそないものの、油断してると高血症という恐ろしい副作用があることを忘れてはいけません。 可能なかぎり 食事や運動により便秘改善を目指ことが重要でしょう。 ちなみに私の薬局では、 「もっちり麦を使うようになってから便秘が改善した!」という方が結構います。 食物繊維は白米の 22倍! ちなみに私はもっちり麦の会社のまわしものではありません(笑) 最後に 過去に患者さんから、 「今まで調子良かったのに最近、急に便秘になった気がする」 「最近、通じの薬が効かなくなってきたような」 なんて言われたことありませんでしたか? 実は、今回解説した胃酸分泌抑制薬と酸化の相互作用が関係していた可能性もあります! 今後、このケースに遭遇した場合は薬学的に対処していきましょう! ではまた。 huji7.
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