概要 [ ] プロペラを推進力として利用するを指し、それ以外のやなどはプロペラを持っていても特にプロペラ機とは呼ばないのが普通である。 内燃式が主力であった末期までの航空機は、を含めてプロペラ推進がほとんど唯一の方法だった。 その後の発達により、プロペラ機はそれほど高速度を要求されない機体に限定されるようになっている。 飛行船、は、現在までの所はプロペラを持たない実用機が皆無だが、プロペラ機と特に呼ぶことはない。 は専用の(推進用の)プロペラを持たない代わりに同じ原理のローター()を持つが、同様にプロペラ機とは呼ばない。 プロペラ機であるがエンジンを傾けて推力を偏向する機種は、偏向方式によりやと呼ばれている。 プロペラはエンジンに比べ安価で簡単に交換できることもあり、低コストで性能を向上する手段として購入後により交換するユーザーもおり、各速度域に合わせた交換用プロペラが販売されている。 現代ではプロペラと関連機器はとが大きなシェアを占めている。 ではや整備士の資格は(か)で区別されており、プロペラの有無は問われない。 プロペラ機はプロペラ後流、プロペラの不均衡荷重、、カウンタートルクなどプロペラに由来する飛行特性があり、特に単発機では出力が上がる離陸時に影響が大きい。 これを解決するため単発機では、多発機では左右のプロペラを逆に回転させるなどの対策が考案されたが、コストがかかるため採用機は少なく、操縦訓練では飛行特性に対応する訓練が行われる。 発動機 [ ] 種類 [ ] 黎明期の飛行船の原動機には、の、続いてが用いられた。 しかしながらに入る頃には、ほぼレシプロエンジンに移行した。 飛行船につづく動力式の航空機であるにおいては、蒸気機関における飛行機の試みはことごとく失敗に終わっており、当初から内燃式レシプロエンジンが採用された。 蒸気機関に比べて小型軽量で高出力の内燃機関の実用化によって、飛行機もまた実用化したと言える。 内燃機関と同時期には、エンジンも実用化しているが、重量などで飛行機に向いているとは言えず、採用例は無い。 にはが実用化され、その1種であるがプロペラ機の発動機として用いられるようになった。 レシプロエンジンよりも出力が大きく、非プロペラのジェット機に比べて低速での効率に優れる。 には非レシプロエンジンの1つであるヴァンケルエンジン(自動車で言うところの)が実用化するも、現在のところやでの採用例が僅かにあるのみで、一般的な飛行機での採用例は無い(航空分野での「ロータリーエンジン」は、エンジン本体がプロペラと一緒に回転するを指すのが一般的である。 参照のこと)。 かつてはやは小型化が難しいため小型機は必然的にレシプロ機であったが、ターボプロップだけでなくターボファンも小型化に成功しており、レシプロは低価格の小型機のみに使われている。 やは動力の性質上、プロペラ機に限定される。 では電動機を用いる例もある。 配置 [ ] の 発動機はプロペラと近接して設置され、プロペラの数と発動機の数は一致する場合がほとんどである。 ただし例外もあり、最初に動力飛行に成功したであるは、1基の発動機で2翔のプロペラを駆動する。 また2基の発動機で12翔のプロペラを駆動する例もあるが、これは適切な発動機が無かった場合の出力向上法であり、既存の発動機を2基連結することで、『2倍の出力をもつ発動機』を確保したものである。 一般に、以下のようにを設けることが多い。 小型機では - 機首に1基(単発機)か、左右の主翼に1基ずつ(双発機)• 三発機では - 機首と左右の主翼に1基ずつ• 他に特殊な配置として以下のようなものもある。 - ドルニエの飛行艇、中の戦闘機、無給油世界1周のなど。 双子型 - 2基のエンジンを並列に配置し、出力軸をギアボックスで連結して1つのプロペラを駆動する。 採用機は、など。 左右非対称 - 、• 3発目の発動機を垂直尾翼に取り付け - 限界速度 [ ] プロペラ機は原理的にジェット機よりも遥かに低い速度で限界に達する。 より大きな推力を得ようとしてエンジンの出力を上げてプロペラの回転速度を上げたところで、プロペラ先端速度が音速に近づくにつれが発生し、その衝撃波をつくりだすのに回転力が奪われてが増し、エネルギー効率が著しく減少するからである。 ただしは低空での記録で、空気抵抗の少ない高空で測定すると速度が向上する余地はある。 現代のプロペラ機の例 [ ] 小型機 [ ] 単発機 [ ].
次の航空機の推進。 プロペラは2~4枚の プロペラ・ブレード を回転軸に取り付け,で回転させると軸方向への力,すなわちを発生する。 回転面に対するプロペラ翼ののを角または翼角といい,中に変えられるものを,変えられないものを固定ピッチ・プロペラという。 可変ピッチ機構に調速機を組み合わせ,飛行速度が変わっても,ピッチ角を自動的に調整することで回転数を一定に保つようにしたものをという。 定速プロペラは,,上昇,最高速度での飛行など,作動状態が広い範囲で変わっても,エンジンとプロペラを組み合わせた推進装置全体の性能を高く保つことができる。 またの着陸滑走距離を減少するために,プロペラのピッチを逆に ピッチ角をに して,エンジンの力によって回転させ,空気をに送ることによって,うしろ向きの推力を出させる装置を逆ピッチという。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について の解説 広義には推進装置一般を指すが,ふつうはそのうち,回転により船,飛行機などを推進するものをいう。 船ではあるいは単にスクリューと称することも多い。 作動や作動状態は異なるが,飛行機のプロペラも船のプロペラもは同じで,プロペラ翼に生じる揚力の軸方向成分を推力として利用する。 〔飛行機のプロペラ〕 飛行機のプロペラは,回転軸のまわりに翼と同様な断面でねじれをもつ2枚以上を取りつけたもので,ねじれの程度(固体中で回転したと考えたとき,1回転で進む距離)をピッチという。 これを回転させると翼の揚力に相当する力が推力として発生する。 実際に推力となって働く馬力とエンジンの軸馬力との比をプロペラ効率といい,よく設計されたプロペラでは80〜85%に達する。 エンジンの馬力向上につれて,これを吸収するためプロペラの直径,羽根面積を大きくし,枚数も増すようになり,8枚羽根で1万5000馬力以上を吸収するものもある。 現在では飛行状態によってピッチを変えることのできるが大半。 プロペラ羽根は回転速度と飛行速度の合成速度をもつため,機体の飛行速度が音速に達するかなり前にすでに空気の圧縮性の影響を受け,効率が急激に低下するので,ふつうのの実用範囲は時速800km台までとされている。 〔船のプロペラ〕 羽根の形は烏帽子 えぼし 形で,回転によって水を後方に押し,その反動で船を進める。 設計には単独の効率のほか,船体の後流なども考慮する。 材料は海水に対する耐食性のよいマンガン青銅,アルミニウム青銅など。 羽根の数は小型船では2枚のものもあるが,ふつう高速回転のものは3枚,貨物船,タンカーなど喫水変化の大きい船では3〜6枚である。 [落合一夫] 飛行機のプロペラ翼状の断面をもった、幅の狭い、ややねじれた羽根を、エンジンの回転軸に放射状に取り付けてある。 羽根の数は飛行機の大きさとエンジンの出力によって異なるが、通常2枚から4枚であり、多いものは5枚から8枚のものがある。 [落合一夫] 推力発生の原理現在二つの理論が並行して使われている。 その一つは運動量理論で、プロペラを回転させることによって飛行機の速度よりも速い空気の流れ(プロペラ後流)をつくりだし、プロペラ回転面の前後の空気の運動量の差による反作用として推力を得るというもの。 もう一つは翼素理論で、プロペラの羽根の各部分の断面が飛行機の翼と同じように働くと考え、回転によって羽根に当たる風と飛行機の前進によって受ける風とを合成した風向きに対し、羽根に適当な角度(翼の迎え角にあたる)をもたせれば、羽根に空気力学的な力を生じ、その揚力成分が推力となるというものである。 [落合一夫] 特徴長所として次の諸点が考えられる。 (1)エンジンを回せば大きな推力を得ることができるので、静止状態からでも加速性がよい。 (2)回転速度を低くしたり、羽根の材質をくふうして固有振動数を大きくすれば騒音を抑制できる。 (3)飛行機の速度制御、ことに低速飛行中の速度制御が容易であり、またエンジンを燃料消費率のよい回転数に保ちながら飛行速度が変えられるので燃料消費量を少なくできる。 反面、次のような欠点(問題点)がある。 (1)プロペラ先端の速度はプロペラの回転速度と飛行機の前進速度が合成され非常に速くなっているため、高速で飛行すると、プロペラ先端は音速を超え、衝撃波が発生してプロペラ効率が急激に低下し、飛行速度に限界ができる。 (2)エンジンの回転運動をプロペラで推力に変える間の機械的損失が多く、エンジンの出力が十分に利用できない。 (3)運転操作にあたってエンジンとプロペラの両方を制御しなければならず、操作がめんどうである。 (4)プロペラの回転が飛行機の安定性や操縦性にいろいろの影響を与え操縦がむずかしくなる。 [落合一夫] 種類と構造プロペラの羽根角(プロペラ回転面と羽根との間の角度)をピッチという。 ピッチの大小はエンジンの回転数や飛行速度に関係があり、飛行状態にあわせてピッチを変えられるようにしておくと、つねにプロペラ効率を高い状態に保つことができる。 たとえば、離陸時はエンジンの回転数が高く速度は低いのでピッチを小さく、巡航中は回転数を低くしているのでピッチを大きくする。 このようにピッチを変更できる仕掛けをもったプロペラを可変ピッチプロペラvariable pitch propellerという。 またピッチを変えることのできないプロペラを固定ピッチプロペラfixed pitch propellerといい、ごく簡単な構造の飛行機に用いられている。 可変ピッチプロペラのうち、あらかじめプロペラ(またはエンジン)の回転数を決めておけば、飛行状態や飛行速度に関係なくつねにその回転数を保つ機構をもたせた定速プロペラconstant speed propellerがあり、現在の可変ピッチプロペラのほとんどはこの形式になっている。 これによって飛行速度に適した回転数を自動的に維持できるので、操縦士の疲労を防ぐのに大きく役だっている。 また、多発機が飛行中にエンジンの一台が停止してしまったとき、ピッチをそのままにしておくと風圧でプロペラが回されて、大きな抵抗になり方向維持がむずかしくなったり、エンジンの故障をさらに悪化させる。 そこで、エンジンが停止すると自動的に羽根を気流とほぼ平行にしてプロペラの回転を防ぐ機構をもたせたものをフェザーリングプロペラfeathering propellerという。 さらに着陸後や離陸を中止するとき、ピッチを逆にして推力を逆転させて車輪ブレーキの働きを助けて滑走距離を短くする可逆ピッチプロペラriversible pitch propellerがある。 また大出力のエンジンでは出力を吸収するためプロペラの回転による反作用で機体が逆に回されるという反トルクを受けるが、これを防ぐために、2個のプロペラを前後に重ね、互いに反対方向に回転させる二重反転プロペラcontra rotating propellerが使用されることもある。 プロペラは現在ではほとんどが軽合金またはスチールでつくられているが、木製も少数使われている。 しかし最近では複合材料を用いて騒音の低下と効率の向上を図ったものも多くなってきた。 以上のように、プロペラは多くの特長や欠点をもっている。 ことに騒音や燃料の経済性の面でジェットエンジンより優れた点があり、小型機では当然将来も使われていくであろう。 さらに最近では高バイパス比ターボファンエンジンの発展の一方向として、ファンをケースの外に出して回転させるプロップファンprop fanや、ダクトなしターボファンunducted fanとしての利用が注目され、実用化への実験が続けられている。 ターボファンやジェットエンジンの時代になっても、プロペラは有効な推進手段として、今後も長く使い続けられていく装置といえる。 [落合一夫] 船舶のプロペラ船舶関係用語としてはスクリュープロペラ、略してプロペラとよばれているが、一般にはスクリューということが多い。 羽根の形は飛行機と違って幅が広く、楕円 だえん 形または烏帽子 えぼし 形で、直径は大型船では10メートル以上にもなる。 羽根の枚数は、船体に及ぼす振動を最小限にし、しかも効率をもっともよくするように決められる。 レジャーボートのような小さな船では2~3枚、軍艦など高速船では3枚、商船では4~6枚になる。 プロペラが回転してねじのように進んだとき、1回転の間に進む距離をピッチといい、その大きさは羽根を軸に取り付ける羽根角によって決まる。 普通、船の速力を変えるにはプロペラの回転数を変え、後進するにはエンジンを逆転する必要がある。 この不便を解消するため、第二次世界大戦前に、エンジンの回転数と回転方向を一定にしたまま、船橋から遠隔操作でピッチを自由に変える可変ピッチプロペラが開発された。 エンジンを操作せずに前進、変速、停止、後進ができるので操船が非常に楽になる。 初めは小馬力用から実用化し、引き船やフェリーのように頻繁に前後進を行う小型船に採用された。 1960年ごろからしだいに大馬力用のものがつくられるようになって通常の商船にも普及し、4万馬力級のエンジン、20万重量トン級の船にも使用されるようになっている。 [森田知治] …航空エンジンには,やターボプロップエンジンのように動力を軸動力の形でとり出す軸出力型エンジンと,ターボジェットエンジンやターボファンエンジンのように前方から吸い込んだ空気を後方へ高速の噴流として噴出し,その際の運動エネルギーの増加の形で動力をとり出すジェット出力型エンジン いわゆるジェットエンジン がある。 後者は前方より吸い込んだ空気を航空機の速度より速い速度で後方に噴出し,その際の加速力の反力としてエンジン自身で直接推力を発生するが,前者では軸動力でプロペラを回し,プロペラを通る空気流を後方に加速して推力を得ている。 プロペラの羽根に対する空気の相対速度は周速と機体の速度の合成速度となるので,羽根の先端部では機体の速度が音速になるはるか以前の段階で音速に近づき,衝撃波が発生してプロペラ効率が低下する。
次の概要 [ ] プロペラを推進力として利用するを指し、それ以外のやなどはプロペラを持っていても特にプロペラ機とは呼ばないのが普通である。 内燃式が主力であった末期までの航空機は、を含めてプロペラ推進がほとんど唯一の方法だった。 その後の発達により、プロペラ機はそれほど高速度を要求されない機体に限定されるようになっている。 飛行船、は、現在までの所はプロペラを持たない実用機が皆無だが、プロペラ機と特に呼ぶことはない。 は専用の(推進用の)プロペラを持たない代わりに同じ原理のローター()を持つが、同様にプロペラ機とは呼ばない。 プロペラ機であるがエンジンを傾けて推力を偏向する機種は、偏向方式によりやと呼ばれている。 プロペラはエンジンに比べ安価で簡単に交換できることもあり、低コストで性能を向上する手段として購入後により交換するユーザーもおり、各速度域に合わせた交換用プロペラが販売されている。 現代ではプロペラと関連機器はとが大きなシェアを占めている。 ではや整備士の資格は(か)で区別されており、プロペラの有無は問われない。 プロペラ機はプロペラ後流、プロペラの不均衡荷重、、カウンタートルクなどプロペラに由来する飛行特性があり、特に単発機では出力が上がる離陸時に影響が大きい。 これを解決するため単発機では、多発機では左右のプロペラを逆に回転させるなどの対策が考案されたが、コストがかかるため採用機は少なく、操縦訓練では飛行特性に対応する訓練が行われる。 発動機 [ ] 種類 [ ] 黎明期の飛行船の原動機には、の、続いてが用いられた。 しかしながらに入る頃には、ほぼレシプロエンジンに移行した。 飛行船につづく動力式の航空機であるにおいては、蒸気機関における飛行機の試みはことごとく失敗に終わっており、当初から内燃式レシプロエンジンが採用された。 蒸気機関に比べて小型軽量で高出力の内燃機関の実用化によって、飛行機もまた実用化したと言える。 内燃機関と同時期には、エンジンも実用化しているが、重量などで飛行機に向いているとは言えず、採用例は無い。 にはが実用化され、その1種であるがプロペラ機の発動機として用いられるようになった。 レシプロエンジンよりも出力が大きく、非プロペラのジェット機に比べて低速での効率に優れる。 には非レシプロエンジンの1つであるヴァンケルエンジン(自動車で言うところの)が実用化するも、現在のところやでの採用例が僅かにあるのみで、一般的な飛行機での採用例は無い(航空分野での「ロータリーエンジン」は、エンジン本体がプロペラと一緒に回転するを指すのが一般的である。 参照のこと)。 かつてはやは小型化が難しいため小型機は必然的にレシプロ機であったが、ターボプロップだけでなくターボファンも小型化に成功しており、レシプロは低価格の小型機のみに使われている。 やは動力の性質上、プロペラ機に限定される。 では電動機を用いる例もある。 配置 [ ] の 発動機はプロペラと近接して設置され、プロペラの数と発動機の数は一致する場合がほとんどである。 ただし例外もあり、最初に動力飛行に成功したであるは、1基の発動機で2翔のプロペラを駆動する。 また2基の発動機で12翔のプロペラを駆動する例もあるが、これは適切な発動機が無かった場合の出力向上法であり、既存の発動機を2基連結することで、『2倍の出力をもつ発動機』を確保したものである。 一般に、以下のようにを設けることが多い。 小型機では - 機首に1基(単発機)か、左右の主翼に1基ずつ(双発機)• 三発機では - 機首と左右の主翼に1基ずつ• 他に特殊な配置として以下のようなものもある。 - ドルニエの飛行艇、中の戦闘機、無給油世界1周のなど。 双子型 - 2基のエンジンを並列に配置し、出力軸をギアボックスで連結して1つのプロペラを駆動する。 採用機は、など。 左右非対称 - 、• 3発目の発動機を垂直尾翼に取り付け - 限界速度 [ ] プロペラ機は原理的にジェット機よりも遥かに低い速度で限界に達する。 より大きな推力を得ようとしてエンジンの出力を上げてプロペラの回転速度を上げたところで、プロペラ先端速度が音速に近づくにつれが発生し、その衝撃波をつくりだすのに回転力が奪われてが増し、エネルギー効率が著しく減少するからである。 ただしは低空での記録で、空気抵抗の少ない高空で測定すると速度が向上する余地はある。 現代のプロペラ機の例 [ ] 小型機 [ ] 単発機 [ ].
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