ライブハウスを買い取り、歌手として有名になっていく彼女だったが……。 もう、何回みたか数えられません。 これをみて、岩井俊二監督は本当に天才なんだなと思いました。 日本でありながら、まったくの異次元にいるような、どこの国なのかわからない雑多な雰囲気の中、CHARA演じるグリコや三上博史演じるフェイホンが、底辺から夢を追いかけます。 伊藤歩さんが胸元にタトゥーを入れる、10代の少女ながらに体をはったシーンや、その全編に響きわたるCHARAの歌声の甘さに、完璧に酔いしれてしまいます。 出てくるすべての人が個性的でいとおしく、フェイホンがグリコに希望を託し、無償の愛を捧げているところが、大好きです。 もともと底辺に生まれついた人々が、そんな中でも少しでも這い上がろうともがいたり、危ない橋を渡ったりと、あがくのですが、少し古い映画なのに今の現実世界の若者たちともリンクする部分があります。 フェイホンのCHARAを見つめる眼差しがピュアで真っ直ぐで、観ているだけで胸が苦しくなります。 残酷なシーンもあるのですが、CHARAの優しく甘い歌声が、映画全体に響き渡り包んでいるので、私には問題ありませんでした。 フェイホンが、最後死んでしまうのですが、そんな中でグリコのイェンタウンバンドの蝶の写真の看板が、青空に高く掲げられてひらひらと揺れながらのぼっていくところを、フェイホンがぼんやりと見上げている、回想シーンで何度みても、涙腺が完全に崩壊してしまいます。 まったく現実味がない世界観なのに、リアル。 冷めている若い人達の胸にも、響くものが必ずあると思うので、若いうちに一度はみて欲しいなと思っています。 私も、若い時にこの映画に出会えたことに、喜びを感じた一人です。 今でも、雲ひとつない抜けるような真っ青な青空をみると、スワロウテイルの映像が頭に浮かぶくらい、自分の胸に深く刻まれた一部となっている映画です。 すべてのキャストが、このタイミングでパズルのピースが埋まるよう集結したことが、奇跡だなと思います。 特に、このグリコの役はCHARAにしか出来なかったし、逆にCHARAがいなければ、成立しなかった映画だと思います。 個人的に痺れたシーンは、渡部篤郎さん演じるランと、山口智子さん演じるシェンメイが、銃やバズーカをぶっぱなし、悪者からグリコ達を一瞬で救うシーンです。 その、クールな二人のかっこ良さは、ある意味衝撃的でした。 日々の生活に疲れているときに、完全に現実を忘れさせてくれる、自分の心を一瞬で映画の中に逃避させてくれる、映画です。 3です! 思わず涙が出てきます・・ 泣ける映画「スワロウテイル」の動画を無料視聴する方法! いかがでしたでしょうか? 泣ける映画「スワロウテイル」を観た読者の方の、ネタバレを含む感想をご紹介しました。 今回ご紹介した「スワロウテイル」は動画配信サービスの Huluを利用して観ることができます。 もちろん2週間の無料トライアル期間内であれば、追加費用はかかりませんし、いつでも途中退会可能です。 お目当ての作品を「あとで観よう」と思っていたら、 「すでに配信終了・・・」なんてことも・・・。 ですから早めに「無料トライアル」の利用をオススメいたします!.
次のカルト映画になれたのに、なりきれなかった作品 『スワロウテイル』は観始めてすぐ、その世界観に惚れました。 「イェンタウン」という日本語、中国語、英語の混ざり合う空間は僕好みのにおいっぷりで、「これは下手なことをしない限り面白くなるだろう」と思いました。 が、結果的にいうと下手なことをしてくれたところも多く、その分だけどうにも心に残りにくい映画になりました。 カルト映画になれたのに、なりきれなかったという印象ですね。 まあ、別にカルト映画をつくってやろうとは思っていなかったでしょうけど、この世界観を活かして形作られているかといえば、どうにも足りなかったように思います。 役者自体はおそらく90年代以降の邦画で最も充実したラインナップなのではないかと思っています。 少なくとも個人的にはそうです。 三上博史、渡部篤郎、山口智子という大好きな俳優のほか、桃井かおりもさすがの名演であり、CHARAという特殊な存在を中央に配したことで物語世界に拍車が掛かっていました。 が、主人公の伊藤歩は微妙です。 伊藤歩といえば僕にはどうしてもテレビドラマ『リップスティック』の不良キャラの印象が強くて、ああした役柄に違和感を覚えました。 まあ、彼女がそのドラマに出たのはこの映画から数年後のことなので、それは僕の側の問題なのですが。 伊藤歩自体、というよりもそのキャラクター設定が世界の拡大を留めてしまったという感じを受けてしまうんです。 あのいわば訳のわからない世界、どんな規則があるのかも明瞭でない場所では、確かにああいう、観客にとってのひとつの移入装置が必要なのもわかるんです。 まともな人がいたほうがまともじゃないものが対比されますからね。 ただ結果的に言えば、それは別に必要ではなかった。 そこまで他の登場人物がぶっ飛んでいるわけでもないですから。 だから要するに、伊藤歩が歩んだイェンタウン世界への融和と、三上博史やCHARAなどのようにイェンタウン世界で上昇しようとする動きが、どうにもかみ合っていなかったんです。 どちらかにしてしまえばよかった気がするんです。 融和物語か上昇物語か。 どちらかに決めた後で、あらためて世界の多様性を示すことも可能だったのではないかと僕は思うのです。 こうした世界観の場合、当然多元体描写のほうが面白くなるわけですが、融和物語を組み込むならもっと絡ませていかなければ世界観が活きてこない。 それを蝶の刺青でどうこうしてみたり、刑務所に弁当を届けてみたり、どうでもいいことばかりに時間をかけています。 野島伸司ドラマみたいでした。 岩井俊二と野島伸司は親和性が高そうで、野島伸司のドラマも大好きですが、この世界では要らなかったんじゃないかなあ。 あれをすることで、せっかく濃度の高いものになりそうなイェンタウン的特殊性が薄まってしまったように思えてなりません。 あれではイェンタウンならではの出来事として成立しないんです。 ストーリーがなんちゃらということも公開当時言われたみたいですが、僕は上記のように言いつつ、本当はそんなものはどうでもいいんです。 確かに最低限ストーリーを理解させてもらわないとデヴィット・リンチ監督『インランド・エンパイア』のような地獄を見るわけですが、この『スワロウテイル』の場合、ストーリー云々よりも、世界観の提示さえ全うなら僕は問題なく観られたんです。 ただその世界観が十分じゃなかったんですね。 いや、たとえばあのイェンタウン的猥雑、渡部のいる『あおぞら』的荒涼、そして時折見られる現代日本的整頓がごちゃごちゃになっているところとかはすごくいい。 言語にしてもそうで、あれを聞いて僕は、きわめて日本的な映画だという印象を持ちました。 しかし、その外見を支えるものがあまりなかった。 変な世界は変な世界できちんとしておいてほしいんです。 その意味でいえば山口智子の役柄が引っかかります。 江口洋介のリャンキの組織に追われて、CHARAと桃井が渡部の「あおぞら」に逃げてくる。 渡部は多勢に無勢の絶体絶命の状況において、挑発的に銃をぶっ放す。 どうなんねん、あかんやんけ、と観客が思う中、びっくりしました。 ああいうのをデウス・エクス・マキナとでもいうのでしょうか。 山口智子がバズーカで敵をすべてぶっ飛ばしてしまうんです。 あれはいただけない。 あれでいいなら何でもありになってしまう。 イェンタウンのような変な世界を提示したなら、つまり秩序のわからない「なんでもあり」のような世界を提示するなら、一方できちんとその秩序を保たねばならない。 それが「外見を支えるもの」です。 「なんでもあり」の世界ほど秩序を保たないとならないはずなんです。 そろそろやめにしましょう。 そういえば公開当時、子供が偽札を使う描写があったせいでR指定になったというのを何かで読みました。 あんなもんはどうでもいいんです。 ほな何かい、子供が真似するんかい。 真似してあんな風に偽札の機能をはたせるんかい。 どうせ千円損して終わりになるだけなんですから、あほな子供に見せてやってもいいんです。 二時間半というたっぷりした時間をとって、世界観を提示しつつ、結局それが岩井俊二的な穏やかさに悪い形で中和されてしまったという印象を受けました。
次のスワロウテイルのネタバレあらすじ:起 「円街」その呼び方は「イェンタウン」 昔昔、円がまだ強かった時代。 円を求めて人々が集まった街の名前です。 そして、日本人はその群がった人々のことを蔑み、彼らのことを「円盗(イェンタウン)」と呼びました。 イェンタウンには夢を叶えようと不法入国してきた外国人が集まり、円盗 イェンタウン となってその日を生きています。 日本語や英語、たくさんの国の言葉が飛び交ういわば無法地帯と化していました。 そんなイェンタウンで娼婦をしているグリコ(CHARA)。 ある日、彼女の働いているクラブにとある少女(伊藤歩)が連れてこられます。 彼女は、グリコの仕事仲間の娘だったのですが、母が亡くなったことによって行き場をなくし、クラブの支配人に売られそうになっていたのでした。 かつて夢を追い二人の兄とイェンタウンにやってきたグリコの一人の兄は事故で死亡、もう一人の兄は行方不明となり離れ離れになっていました。 そんなこともあり、どうしても彼女を放っておくことのできなかったグリコは、行き場のなかった彼女を助けます。 そして名前すらなかった彼女に「アゲハ」という名を与え、面倒を見ることにしたのです。 アゲハの名前の由来はグリコが胸に入れているタトゥーからきたものでした。 アゲハは、グリコと一緒に暮らし始めます。 そして、だんだんとイェンタウンでの生活にも馴染んでいきます。 イェンタウンで一番大事なことは、命でも正義でもありません。 円を稼ぐこと。 アゲハはグリコに連れられて彼女の仲間であるフェイフォンとランの働く飲み屋で働く事になりました。 昼間は鉄屑を拾ったり、車を修理したり、夜になると飲み屋を手伝う。 アゲハは生きるために懸命になって働きます。 スワロウテイルのネタバレあらすじ:承 ある夜、グリコを買った須藤という男がアゲハに襲いかかろうとしたので、グリコが助けに入ると、逆上した須藤がグリコに暴力をふるってきます。 助けるためにアゲハが呼んだアーローが須藤を撃退しますが、その拍子で須藤が死んでしまいます。 グリコの家で死者が出ました。 警察に見つかれば確実に罪に問われます。 それを恐れてイェンタウンの住人たちは、その死者を墓場に捨てに行きます。 須藤のお腹には、死んだときにできた大きな傷があったのですが、その中からテープが飛び出してきました。 それは「マイウェイ」のテープでした。 一見なんの変哲もないカセットテープでしたが、解析してみた結果、それには1万円札の偽札データが書き込まれていたのです。 このデータは上海マフィアであるリョウ・リャンキが偽造したもので、それを須藤が盗んでいたのです。 リョウは須藤を追っていました。 一方、カセットテープの解析に携わっていたランにより、テープに隠された一万円の磁気データを千円に転写、千円を一万円に変えて見せました。 この結果に大騒ぎする一同でしたが、ランは「ただのデータだ。 捕まりたいのか」と意にも介していない様子でした。 しかし、ラン以外の皆はこの磁気データで金儲けすることに成功し、それぞれ好きな場所へと移っていきました。 フェイフォンとグリコ、アゲハはダウンタウンへと移り住んでいきます。 スワロウテイルのネタバレあらすじ:転 今は娼婦をやっているグリコでしたが、密かに大きな夢がありました。 歌手になる夢。 その夢を叶えるためにフェイフォンはお金を偽造してライブハウスを作ります。 その名はイェンタウンクラブ。 グリコをそこで歌わせることにしたのです。 最初は嫌がるグリコでしたが歌い始めると彼女の歌はすばらしく、人の心を引き付けました。 グリコの歌を世に出したい、そう思っていたフェイフォンはとても満足そうです。 そしてすぐに芸能界からスカウトがきました。 しかし、芸能事務所の人々はグリコが元娼婦なこと、イェンタウンであることを隠したがりました。 そのためにフェイホン(三上博史)と縁と切らせようとします。 そして入国管理局に、彼が密入国者であり不法滞在者であることを密告するのです。 拘留されるフェイホン。 なんとか街に戻ってくることができましたが、今度は事務所から手切れ金を用意されました。 グリコのことを思って手切れ金を受け取るフェイホン。 それに対して、それを見たイェンタウンのメンバーたちはグリコを売ったのだと勘違いし激怒します。 メンバーたちはフェイフォンをボコボコにして去っていきました。 そしてイェンタウンクラブは廃業となり、フェイフォンとアゲハはまたイェンタウンに戻ってきます。 スワロウテイルの結末 以前は一つだったみんなの心が離れていく。 なんとかしようとアゲハは、お金の力を使い、昔の良かった頃のイェンタウンを取り戻そうと考えたのです。 町の不良たちに一目置かれていたアゲハは手下の不良たちを使って、あの一万円札のデータでお金を作らせ、それをまとめあげたのです。 そして、ライブハウスとグリコ自身を買い戻そうとしたのです。 一方で、須藤の死を実は目撃していた娼婦のレイコが、今や超売れっ子となっていたグリコの情報を、どうにかしてグリコのスキャンダルを手にいれたい記者の鈴木野と、テープを血眼になって探しているマフィアのマオフウに売り付けてしまうのです。 テープのありかを知るとされたグリコは、マオフウたちに付け狙われます。 そんなときフェイホンは、警察に逮捕されていました。 街の自動販売機で偽札を使ってしまい、そこを警察官に目撃されたのです。 テープのデータの元締めはリョウ・リャンキだと自白させたい警察は、激しい暴行としか言えない取り調べをフェイフォンに向けます。 しかしフェイフォンは口を割ろうとしません。 激しい暴行が続いたその結果、フェイフォンはその傷が元になり留置場で死亡しました。 その頃、マオフウに追われたグリコと鈴木野がテープを持つランの元にやってきます。 アゲハに渡したとランは話します。 そこに飛び込んできたマオフウたち。 落ち着いた様子のランはマオフウたちを一掃します。 ランの正体は謎の暗殺集団の一員だったのです。 亡くなったフェイフォンの葬式は盛大に行われました。 ランも参加しフェイフォンの遺体の入った車に火をつけました。 密かにフェイフォンに恋心を寄せていたアゲハは特に悲しみ、偽造したたくさんのお金をフェイホンのために火にくべて、あの世へと送りました。 やがて時は流れ、全てが元に戻りました。 グリコは芸能界を辞め、アゲハはグリコと共に暮らし、偽札のデータは破棄されました。 そして、アゲハは闇医者にグリコと同じアゲハ蝶のタトゥーを胸に入れてもらいます。 それは自分の名と同じ名前のタトゥーでした。 以上、映画「スワロウテイル」のあらすじと結末でした。
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