「 もうレオナさんに近付くのやめてもらいてーんスよ 」 「え?」 それは突然のことだった 普通に起きて普通に授業を受けてエース達といつも通りお昼を食べた午後は眠さと戦いながら授業を受けて、そして、植物園によった、帰りの事だった 「監督生」 植物園から自身の寮へ帰る。 もうすぐ寮だというところで聞き覚えのある声に呼び止められた 「ラギー先輩!どうしたんですかこんな時間に?」 声のする方を振り返れば愛しいラギー先輩の姿があった でも、そこにいるラギー先輩はなんだかいつもと雰囲気が違っていて、全員笑ってなくてすごく真剣な、険しい顔をこちら見ていた 「ちょっと話したいことがあったんスけど、その前にどこに行ってきたか聞いてもいいっスか?」 「え?!」 別に何かした訳じゃない やましい事もない でも、ラギー先輩のことを話していた訳だから少しびっくりした 「 言えない場所っスか?」 私の沈黙を言わないと捉えたのかラギー先輩は少しづつ私に近づきながら詰め寄ってくる 「えっと…そんなことないです 植物園に行ってました」 「へぇ~~、レオナさんに会いに?」 「え!?ちちちちがいます!いや、違くないけど違います!」 もしかして話してた事バレてる? でも誰もいなかったはず…いやでも明らかにラギー先輩おかしいし!!なんて考えてる間にも私たちの距離は声をかけられた時よりも大分近いものになっていた 「わざわざクッキーまで作ってっスか?健気っスね~~」 「なっ!!?なんでそんなこと知ってるんですか!?」 「 見てればわかるっスよ、いつだって俺が1番見てた、アンタにはわからないでしょうけどね」 「え、?」 少しトゲのある言い方に違和感を覚える クッキーのこともなんで知ってるのかは気になるけど、そんなことより今はいつもと全然違うラギー先輩の態度が気になった 「 要件を伝えてなかったっスね、実はアンタにお願いがあるんスよ お願いってゆうよりかは命令っスけどね」 「命令……?」 「 もうレオナさんに近付くのやめてもらいてーんスよ」 「 え? 」 「どっ、どうゆうこと、ですか…?」 ラギー先輩から出た言葉とは思えないくらい冷たい声だった。 でもしっかり聞き取れたその言葉はまったく想像していない言葉だった 「言葉通りの意味っスよ、レオナさんは俺らサバナクローの寮長でボスなんスよ?それなのにアンタなんかと付き合われでもしたら困るんスよ。 」 「 え?えっ、待ってください!なんの事を言ってるのか全然わからないです」 「へぇ~この期に及んでその態度… さっすが草食動物のくせに俺らに挑んできただけはあるっスね… 今週アンタは3回レオナさんのもとを訪ねてる。 3度目の今日はクッキーを渡した」 「 そっ!それはそうです!けどだからってなんでそんな話になるんですか!!」 私は今起きてることが、言われてることが全然わからなくて自分でもびっくりするくらい大きな声を出してしまった 言ったあと自分でもなんでこんな怒ってるのかわからなかったけど悲しいやら腹立たしいやらで私の態度は収まることがない でもそれは相手も同じようで私が気持ちに任せて大きな声を張り上げるとおおらかなラギー先輩とは思えない、いつもの笑顔からは想像出来ないような怒ってるのが誰が見てもわかるような顔をして私を睨んでいた 「だから!アンタがレオナさんと付き合われでもしたら困るからって言ってんでしょーが!!それとももう付き合ってるとでも言いたいんスか!?」 「付き合ってないし、そんな予定もありません!それにレオナさんとは少し話してただけでクッキーだって事情があって…」 ラギー先輩まで大きな声を出してくるものだから私も張り合ってしまう それになんでこんなこと話さなきゃいけないんだろう 私は、ただ、ラギー先輩の事が好きで、話を聞いてもらってただけ クッキーがあげたくて、ラギー先輩のことを一番よく知ってるレオナさんに味見してもらっただけだ レオナさんは(まぁ、あいつの好きな味なんじゃねーの)って興味無さそうにだけど言ってくれて最後には(あいつをよろしくな)って、言ってくれた だから、勝手に喜んでもらえる未来を想像してたし、いつもの笑った顔のラギー先輩に会いたかった なのにどうして?こんなことになってるの? 「どんな事情があれ、そんなこと関係ねぇーんスよ。 とにかく俺は伝えたっスから これ以上レオナさんに近づかないで下さい」 そう言ってラギー先輩は私に背を向けて歩き出してしまった 「待っ、待ってください!待って!!」 なんだかこのまま別れたらもう一生会えない気がして思わず後を追いかけてラギー先輩の腕を必死に掴んでいた 「離せ」 ラギー先輩は私を見ることなく前を向いたまま。 それが凄く寂しくて辛くて引き止める私の目には涙がたまっていた 「本当になんでこんな事になったのかわからないんです。 私はただ相談したい事があってレオナさんとお話してただけで皆さんのボスに取り入ろうとかどうにかなりたいとか、そんな気持ち本当になくて、ただ私はラギー先輩と、もっと、仲良くなりたくて、ただ、本当に、それだけで、だから…」 ビクリっとラギー先輩の腕が動いた気がしたけど私の涙は止まらなくて話し始めたらもっと止まらなくてなんて伝えていいかわからなくて悲しくて寂しくて辛くて、上手く話せない自分が嫌いになりそうで、それでも手を離すのも、沈黙も怖くて必死に話そうとする私はなんて惨めなんだろう 「いっ…いか、いかな、いで 」 もう一度ラギー先輩の腕がビクリと跳ねた気がするけどもう私はラギー先輩を見れなくて、気持ちを伝えようと頑張って言葉を探したけど私の言葉は止まらない涙のせいでついに何も出てこなくなってしまった その時、私の掴んでいるラギー先輩の腕が私の手から抜けていくのがわかった 行かないで!! そう伝えたくてもう一度ラギー先輩を捕まえようと顔をあげようとした時、私の顔はすごく暖かな胸に包まれていた 「 ごめん 」 「 ごめん 」 「 泣かないで、ごめん、ごめん 」 ラギー先輩の声がする 私の好きな、大好きなラギー先輩が 私を抱きしめてくれてる 優しい声だ 大好きな声だ 何が何だか状況がつかめないのは変わらないのに優しくしてくれたラギー先輩の胸の温かさに甘えて私はまた少し泣き続けた [newpage] どのくらいたったのかわからないけれど何度もごめん、っと私に謝りながら髪の毛を撫でてくれるラギー先輩に安心して私の涙は止まっていた 「落ち着いたっスか?」 私はなんだか恥ずかしくて下を向いたまま首だけ縦に動かした 「よかった。 とりあえず、もし監督生が嫌じゃなかったら顔見せてほしいっス」 「笑いませんか?」 「笑わないっスよ」 「本当に?」 「本当っスよ」 頭上でラギー先輩が少し笑ったのがわかった かっこいいのに可愛くて意地悪なのに優しくて大好きなラギー先輩の笑顔を思い出す (顔見たいな…) でも絶対目は腫れてるし酷い顔だし何だか悔しくて 「ちゃんと今日のこと、説明して下さい」 「ええ!この状況でっスか!!?」 「この状況だからです」 「 そうっスね、話してちゃんと謝らなきゃいけねーっスよね 」 「それは話を聞いてから決めます」 「シシシッ 監督生らしいっスね」 笑い声が心地よいと感じた 外は肌寒くなってきていたしあまり帰りが遅いとグリムだって心配するだろう なんだかんだ言ってもグリムは優しいんだ でも、それでもあと少し、彼の声を聞いていたかったしこうしていたいと思った 「 監督生は、レオナさんのことが好きっスか?」 「へ!!?」 まさかの質問に驚いた私は思わず顔を上げてしまっていた 私の顔を見たラギー先輩は凄く驚いた顔をしていたけどすぐにぎこちない笑顔になって 「こんなに目が腫れて、真っ赤っスよ、 本当に俺はダメなやつっスね、ごめん本当にごめん」 そう言いながらラギー先輩は私のことを抱きしめる腕に力を込めた 「だっ大丈夫です!そそそそそんなことよりなんでそんなこと聞くんですか!」 抱きしめられてることも、質問のことも色々キャパオーバーな私に対してラギー先輩はすごく落ち着いてるように見えた 「俺はずっと監督生を見てたから、すぐに気づいたんスよ。 レオナさんがいる植物園に初めて行った時も2回目も、今日も」 「え?それって、どうゆう、、」 え?どうゆうことだろう。 私を見てた?レオナさんを取られないように?悪い虫がつかないように? たくさん聞きたいことがあったけど言い出せないでいるうちにもラギー先輩は私の質問には答えず言葉を続ける 「 何話してるのか気になってレオナさんにもそれとなーく聞いてみたんスけど何も教えてくれないし監督生はコソコソ会いに行ってるみたいだし、しまいには手作りクッキーっスよ?好きなんじゃないかって思うじゃないっスか…」 「ごめ、ん、なさい、そんなに目障りだってわかってなくて、こんなにラギー先輩を悩ましてるって知らなくて、本当にごめんなさい」 ラギー先輩がすごく悲しそうで、私の口から出た言葉は謝罪だった 私がごめんなさいと再度小さく告げるとラギー先輩の体がまた揺れた気がした 「なんで、謝るんスか?やっぱりレオナさんのこと好き?」 すごく寂しそうで、怯えているようで、守ってあげたくなった 大丈夫、ラギー先輩のものは取らないよ 大丈夫、大丈夫、だって 「私はあなたが好きだから」 「「え?」」 2人の声が重なって私たちは同時に体を離してお互いを見つめている 少しの沈黙があって………私は自分の言葉を思い出す 「 おおお思わず思っていたことが口に出てしまったああああ!!!!!!」 「え?え?え?おおおおちついてくださいっス監督生!!深呼吸っス!ほら、スー、ハー」 突然大きな声を出し恥ずかしさのあまり顔を両手で覆う私に驚いたようでラギー先輩も状況が飲み込めないのか私を落ち着かせようと深呼吸を一緒にしてくれた 「ぉぉおおお、落ち着きました、、えっと…さっきなんか聞こえました?」 ぎこちなく聞いてみればラギー先輩も気まづいようで私からは目線を逸らしてきた 「え~~~~っと、あれ、っスよね!監督生の、好きな人が、俺、、みたいな?」 当たり前だけどバッチリ聞かれてた~~~~~~!!!!!!!!!! こんなはずじゃなかったのに!クッキーを渡して仲良くなってそれで良かったのになんでなんでなんでえええええ なんて頭を抱えている私の肩にラギー先輩の手が添えられるのがわかって顔を上げる そこにはすごく真剣なラギー先輩の顔があって、 「それ、本当っスか?」 ドキンッ 私の知ってるどんなラギー先輩よりもかっこいい。 綺麗な目が私を見てる。 真剣な眼差しに見つめられて私は今更ごまかせなくて植物園に通っていた真相を話し始めた 「は、い…ラギー先輩のことが好きです だから、今よりもっと仲良くなりたくて、そばに居たくて、それで、レオナさんにアドバイスをもらっていて……今日のクッキーはラギー先輩にあげる前にラギー先輩の好きな味か味見してもらってたんです…私が余計なことしないでちゃんとラギー先輩と話したり他の人に頼らないで自分の力で頑張ってればこんな嫌な思いさせなくてすんだのに、本当に、ごめんなさい」 [newpage] なんか泣きそう、私振られるよね だってラギー先輩はレオナさんに近づくなって忠告しにきたんだもん 私なんかが近寄っちゃいけないって言って そんな私の事好きになってくれるはずない またもや続く沈黙に耐えられなくて「それじゃあ」っと今度は私が背を向けようとしたけれどそれはラギー先輩にまたもや抱きしめられたことで出来なくなってしまった 「へっ?ラララララギー先輩!!?」 さっきまで抱き合っていたくせに不意に抱きしめられて動揺してしまう ラギー先輩は少し震えてた 私が突き放せばきっと離れることが出来るくらいの弱々しい力、でもしっかりと私を抱きしめてくれている彼がどうしようもなく愛しくて、離れられない 「どうしたんですか…?」 「………………っス」 「ん?」 小さくて聞き取れなかった声をもう一度拾おうと聞き返す 「俺も監督生のことが好きっス」 「え…?」 今日は驚いてばっかりだ 怒られて冷たくされて突き放されて抱きしめられて、今は好きな人に好きだと言われている、はずだ 私の聞き間違いじゃなければだけど 「 レオナさんにクッキーを持ってく監督生を見たら苦しくて消えたくなって腹が立ってどうしていいかわからなくて、でもその場に入っていく勇気がなくて、レオナさんにあんたには渡す気ないって啖呵切る度胸もなくて、だって俺が負けるに決まってる ハイエナは所詮ライオンのパシリっスよ?そんな俺があんたを取らないでくれって言ったって勝ち目ねぇって、思って、それでレオナさんに近づくなって監督生に八つ当たりして、こんなになるまで泣かせて、レオナさんじゃなきゃいいって、他のやつなら奪える。 でもレオナさんには、勝てねぇって、勝手に自己嫌悪になって、好きな女こんなにして、俺やっぱりダメっスね…それでも」 そこまでラギー先輩は止まることなく話し続けてくれて泣いてるのかたまに鼻をすする音がして嬉しいのに切なくて私はどうしたらいいかわからなくてずっとラギー先輩の事を抱きしめながら背中をさすってた 「それでも、嫌いにならないで どうかまだ俺を好きでいて 酷いこと言ってごめん 本当はそんなこと、思ってない 本当にごめん、離れないで… こんなに、弱くて、卑怯で、だめな俺だけど、嫌いにならないで……」 ラギー先輩は、泣いていたと思う 私も泣いていた 嬉しくて、愛しくて、大好き 「大丈夫ですよ、どんなラギー先輩も大好きです。 大好き、本当に大好きです だから、ずっと一緒です」 弱々しく肩を震わせて泣く先輩を初めて見た 先輩は、泣いてるのに私は嬉しくて 寒いはずなのに暖かくて、 私達は泣いてるはずなのに笑っていた 「「ごめん」」 2人の声が重なった END.
次の「 もうレオナさんに近付くのやめてもらいてーんスよ 」 「え?」 それは突然のことだった 普通に起きて普通に授業を受けてエース達といつも通りお昼を食べた午後は眠さと戦いながら授業を受けて、そして、植物園によった、帰りの事だった 「監督生」 植物園から自身の寮へ帰る。 もうすぐ寮だというところで聞き覚えのある声に呼び止められた 「ラギー先輩!どうしたんですかこんな時間に?」 声のする方を振り返れば愛しいラギー先輩の姿があった でも、そこにいるラギー先輩はなんだかいつもと雰囲気が違っていて、全員笑ってなくてすごく真剣な、険しい顔をこちら見ていた 「ちょっと話したいことがあったんスけど、その前にどこに行ってきたか聞いてもいいっスか?」 「え?!」 別に何かした訳じゃない やましい事もない でも、ラギー先輩のことを話していた訳だから少しびっくりした 「 言えない場所っスか?」 私の沈黙を言わないと捉えたのかラギー先輩は少しづつ私に近づきながら詰め寄ってくる 「えっと…そんなことないです 植物園に行ってました」 「へぇ~~、レオナさんに会いに?」 「え!?ちちちちがいます!いや、違くないけど違います!」 もしかして話してた事バレてる? でも誰もいなかったはず…いやでも明らかにラギー先輩おかしいし!!なんて考えてる間にも私たちの距離は声をかけられた時よりも大分近いものになっていた 「わざわざクッキーまで作ってっスか?健気っスね~~」 「なっ!!?なんでそんなこと知ってるんですか!?」 「 見てればわかるっスよ、いつだって俺が1番見てた、アンタにはわからないでしょうけどね」 「え、?」 少しトゲのある言い方に違和感を覚える クッキーのこともなんで知ってるのかは気になるけど、そんなことより今はいつもと全然違うラギー先輩の態度が気になった 「 要件を伝えてなかったっスね、実はアンタにお願いがあるんスよ お願いってゆうよりかは命令っスけどね」 「命令……?」 「 もうレオナさんに近付くのやめてもらいてーんスよ」 「 え? 」 「どっ、どうゆうこと、ですか…?」 ラギー先輩から出た言葉とは思えないくらい冷たい声だった。 でもしっかり聞き取れたその言葉はまったく想像していない言葉だった 「言葉通りの意味っスよ、レオナさんは俺らサバナクローの寮長でボスなんスよ?それなのにアンタなんかと付き合われでもしたら困るんスよ。 」 「 え?えっ、待ってください!なんの事を言ってるのか全然わからないです」 「へぇ~この期に及んでその態度… さっすが草食動物のくせに俺らに挑んできただけはあるっスね… 今週アンタは3回レオナさんのもとを訪ねてる。 3度目の今日はクッキーを渡した」 「 そっ!それはそうです!けどだからってなんでそんな話になるんですか!!」 私は今起きてることが、言われてることが全然わからなくて自分でもびっくりするくらい大きな声を出してしまった 言ったあと自分でもなんでこんな怒ってるのかわからなかったけど悲しいやら腹立たしいやらで私の態度は収まることがない でもそれは相手も同じようで私が気持ちに任せて大きな声を張り上げるとおおらかなラギー先輩とは思えない、いつもの笑顔からは想像出来ないような怒ってるのが誰が見てもわかるような顔をして私を睨んでいた 「だから!アンタがレオナさんと付き合われでもしたら困るからって言ってんでしょーが!!それとももう付き合ってるとでも言いたいんスか!?」 「付き合ってないし、そんな予定もありません!それにレオナさんとは少し話してただけでクッキーだって事情があって…」 ラギー先輩まで大きな声を出してくるものだから私も張り合ってしまう それになんでこんなこと話さなきゃいけないんだろう 私は、ただ、ラギー先輩の事が好きで、話を聞いてもらってただけ クッキーがあげたくて、ラギー先輩のことを一番よく知ってるレオナさんに味見してもらっただけだ レオナさんは(まぁ、あいつの好きな味なんじゃねーの)って興味無さそうにだけど言ってくれて最後には(あいつをよろしくな)って、言ってくれた だから、勝手に喜んでもらえる未来を想像してたし、いつもの笑った顔のラギー先輩に会いたかった なのにどうして?こんなことになってるの? 「どんな事情があれ、そんなこと関係ねぇーんスよ。 とにかく俺は伝えたっスから これ以上レオナさんに近づかないで下さい」 そう言ってラギー先輩は私に背を向けて歩き出してしまった 「待っ、待ってください!待って!!」 なんだかこのまま別れたらもう一生会えない気がして思わず後を追いかけてラギー先輩の腕を必死に掴んでいた 「離せ」 ラギー先輩は私を見ることなく前を向いたまま。 それが凄く寂しくて辛くて引き止める私の目には涙がたまっていた 「本当になんでこんな事になったのかわからないんです。 私はただ相談したい事があってレオナさんとお話してただけで皆さんのボスに取り入ろうとかどうにかなりたいとか、そんな気持ち本当になくて、ただ私はラギー先輩と、もっと、仲良くなりたくて、ただ、本当に、それだけで、だから…」 ビクリっとラギー先輩の腕が動いた気がしたけど私の涙は止まらなくて話し始めたらもっと止まらなくてなんて伝えていいかわからなくて悲しくて寂しくて辛くて、上手く話せない自分が嫌いになりそうで、それでも手を離すのも、沈黙も怖くて必死に話そうとする私はなんて惨めなんだろう 「いっ…いか、いかな、いで 」 もう一度ラギー先輩の腕がビクリと跳ねた気がするけどもう私はラギー先輩を見れなくて、気持ちを伝えようと頑張って言葉を探したけど私の言葉は止まらない涙のせいでついに何も出てこなくなってしまった その時、私の掴んでいるラギー先輩の腕が私の手から抜けていくのがわかった 行かないで!! そう伝えたくてもう一度ラギー先輩を捕まえようと顔をあげようとした時、私の顔はすごく暖かな胸に包まれていた 「 ごめん 」 「 ごめん 」 「 泣かないで、ごめん、ごめん 」 ラギー先輩の声がする 私の好きな、大好きなラギー先輩が 私を抱きしめてくれてる 優しい声だ 大好きな声だ 何が何だか状況がつかめないのは変わらないのに優しくしてくれたラギー先輩の胸の温かさに甘えて私はまた少し泣き続けた [newpage] どのくらいたったのかわからないけれど何度もごめん、っと私に謝りながら髪の毛を撫でてくれるラギー先輩に安心して私の涙は止まっていた 「落ち着いたっスか?」 私はなんだか恥ずかしくて下を向いたまま首だけ縦に動かした 「よかった。 とりあえず、もし監督生が嫌じゃなかったら顔見せてほしいっス」 「笑いませんか?」 「笑わないっスよ」 「本当に?」 「本当っスよ」 頭上でラギー先輩が少し笑ったのがわかった かっこいいのに可愛くて意地悪なのに優しくて大好きなラギー先輩の笑顔を思い出す (顔見たいな…) でも絶対目は腫れてるし酷い顔だし何だか悔しくて 「ちゃんと今日のこと、説明して下さい」 「ええ!この状況でっスか!!?」 「この状況だからです」 「 そうっスね、話してちゃんと謝らなきゃいけねーっスよね 」 「それは話を聞いてから決めます」 「シシシッ 監督生らしいっスね」 笑い声が心地よいと感じた 外は肌寒くなってきていたしあまり帰りが遅いとグリムだって心配するだろう なんだかんだ言ってもグリムは優しいんだ でも、それでもあと少し、彼の声を聞いていたかったしこうしていたいと思った 「 監督生は、レオナさんのことが好きっスか?」 「へ!!?」 まさかの質問に驚いた私は思わず顔を上げてしまっていた 私の顔を見たラギー先輩は凄く驚いた顔をしていたけどすぐにぎこちない笑顔になって 「こんなに目が腫れて、真っ赤っスよ、 本当に俺はダメなやつっスね、ごめん本当にごめん」 そう言いながらラギー先輩は私のことを抱きしめる腕に力を込めた 「だっ大丈夫です!そそそそそんなことよりなんでそんなこと聞くんですか!」 抱きしめられてることも、質問のことも色々キャパオーバーな私に対してラギー先輩はすごく落ち着いてるように見えた 「俺はずっと監督生を見てたから、すぐに気づいたんスよ。 レオナさんがいる植物園に初めて行った時も2回目も、今日も」 「え?それって、どうゆう、、」 え?どうゆうことだろう。 私を見てた?レオナさんを取られないように?悪い虫がつかないように? たくさん聞きたいことがあったけど言い出せないでいるうちにもラギー先輩は私の質問には答えず言葉を続ける 「 何話してるのか気になってレオナさんにもそれとなーく聞いてみたんスけど何も教えてくれないし監督生はコソコソ会いに行ってるみたいだし、しまいには手作りクッキーっスよ?好きなんじゃないかって思うじゃないっスか…」 「ごめ、ん、なさい、そんなに目障りだってわかってなくて、こんなにラギー先輩を悩ましてるって知らなくて、本当にごめんなさい」 ラギー先輩がすごく悲しそうで、私の口から出た言葉は謝罪だった 私がごめんなさいと再度小さく告げるとラギー先輩の体がまた揺れた気がした 「なんで、謝るんスか?やっぱりレオナさんのこと好き?」 すごく寂しそうで、怯えているようで、守ってあげたくなった 大丈夫、ラギー先輩のものは取らないよ 大丈夫、大丈夫、だって 「私はあなたが好きだから」 「「え?」」 2人の声が重なって私たちは同時に体を離してお互いを見つめている 少しの沈黙があって………私は自分の言葉を思い出す 「 おおお思わず思っていたことが口に出てしまったああああ!!!!!!」 「え?え?え?おおおおちついてくださいっス監督生!!深呼吸っス!ほら、スー、ハー」 突然大きな声を出し恥ずかしさのあまり顔を両手で覆う私に驚いたようでラギー先輩も状況が飲み込めないのか私を落ち着かせようと深呼吸を一緒にしてくれた 「ぉぉおおお、落ち着きました、、えっと…さっきなんか聞こえました?」 ぎこちなく聞いてみればラギー先輩も気まづいようで私からは目線を逸らしてきた 「え~~~~っと、あれ、っスよね!監督生の、好きな人が、俺、、みたいな?」 当たり前だけどバッチリ聞かれてた~~~~~~!!!!!!!!!! こんなはずじゃなかったのに!クッキーを渡して仲良くなってそれで良かったのになんでなんでなんでえええええ なんて頭を抱えている私の肩にラギー先輩の手が添えられるのがわかって顔を上げる そこにはすごく真剣なラギー先輩の顔があって、 「それ、本当っスか?」 ドキンッ 私の知ってるどんなラギー先輩よりもかっこいい。 綺麗な目が私を見てる。 真剣な眼差しに見つめられて私は今更ごまかせなくて植物園に通っていた真相を話し始めた 「は、い…ラギー先輩のことが好きです だから、今よりもっと仲良くなりたくて、そばに居たくて、それで、レオナさんにアドバイスをもらっていて……今日のクッキーはラギー先輩にあげる前にラギー先輩の好きな味か味見してもらってたんです…私が余計なことしないでちゃんとラギー先輩と話したり他の人に頼らないで自分の力で頑張ってればこんな嫌な思いさせなくてすんだのに、本当に、ごめんなさい」 [newpage] なんか泣きそう、私振られるよね だってラギー先輩はレオナさんに近づくなって忠告しにきたんだもん 私なんかが近寄っちゃいけないって言って そんな私の事好きになってくれるはずない またもや続く沈黙に耐えられなくて「それじゃあ」っと今度は私が背を向けようとしたけれどそれはラギー先輩にまたもや抱きしめられたことで出来なくなってしまった 「へっ?ラララララギー先輩!!?」 さっきまで抱き合っていたくせに不意に抱きしめられて動揺してしまう ラギー先輩は少し震えてた 私が突き放せばきっと離れることが出来るくらいの弱々しい力、でもしっかりと私を抱きしめてくれている彼がどうしようもなく愛しくて、離れられない 「どうしたんですか…?」 「………………っス」 「ん?」 小さくて聞き取れなかった声をもう一度拾おうと聞き返す 「俺も監督生のことが好きっス」 「え…?」 今日は驚いてばっかりだ 怒られて冷たくされて突き放されて抱きしめられて、今は好きな人に好きだと言われている、はずだ 私の聞き間違いじゃなければだけど 「 レオナさんにクッキーを持ってく監督生を見たら苦しくて消えたくなって腹が立ってどうしていいかわからなくて、でもその場に入っていく勇気がなくて、レオナさんにあんたには渡す気ないって啖呵切る度胸もなくて、だって俺が負けるに決まってる ハイエナは所詮ライオンのパシリっスよ?そんな俺があんたを取らないでくれって言ったって勝ち目ねぇって、思って、それでレオナさんに近づくなって監督生に八つ当たりして、こんなになるまで泣かせて、レオナさんじゃなきゃいいって、他のやつなら奪える。 でもレオナさんには、勝てねぇって、勝手に自己嫌悪になって、好きな女こんなにして、俺やっぱりダメっスね…それでも」 そこまでラギー先輩は止まることなく話し続けてくれて泣いてるのかたまに鼻をすする音がして嬉しいのに切なくて私はどうしたらいいかわからなくてずっとラギー先輩の事を抱きしめながら背中をさすってた 「それでも、嫌いにならないで どうかまだ俺を好きでいて 酷いこと言ってごめん 本当はそんなこと、思ってない 本当にごめん、離れないで… こんなに、弱くて、卑怯で、だめな俺だけど、嫌いにならないで……」 ラギー先輩は、泣いていたと思う 私も泣いていた 嬉しくて、愛しくて、大好き 「大丈夫ですよ、どんなラギー先輩も大好きです。 大好き、本当に大好きです だから、ずっと一緒です」 弱々しく肩を震わせて泣く先輩を初めて見た 先輩は、泣いてるのに私は嬉しくて 寒いはずなのに暖かくて、 私達は泣いてるはずなのに笑っていた 「「ごめん」」 2人の声が重なった END.
次の「 もうレオナさんに近付くのやめてもらいてーんスよ 」 「え?」 それは突然のことだった 普通に起きて普通に授業を受けてエース達といつも通りお昼を食べた午後は眠さと戦いながら授業を受けて、そして、植物園によった、帰りの事だった 「監督生」 植物園から自身の寮へ帰る。 もうすぐ寮だというところで聞き覚えのある声に呼び止められた 「ラギー先輩!どうしたんですかこんな時間に?」 声のする方を振り返れば愛しいラギー先輩の姿があった でも、そこにいるラギー先輩はなんだかいつもと雰囲気が違っていて、全員笑ってなくてすごく真剣な、険しい顔をこちら見ていた 「ちょっと話したいことがあったんスけど、その前にどこに行ってきたか聞いてもいいっスか?」 「え?!」 別に何かした訳じゃない やましい事もない でも、ラギー先輩のことを話していた訳だから少しびっくりした 「 言えない場所っスか?」 私の沈黙を言わないと捉えたのかラギー先輩は少しづつ私に近づきながら詰め寄ってくる 「えっと…そんなことないです 植物園に行ってました」 「へぇ~~、レオナさんに会いに?」 「え!?ちちちちがいます!いや、違くないけど違います!」 もしかして話してた事バレてる? でも誰もいなかったはず…いやでも明らかにラギー先輩おかしいし!!なんて考えてる間にも私たちの距離は声をかけられた時よりも大分近いものになっていた 「わざわざクッキーまで作ってっスか?健気っスね~~」 「なっ!!?なんでそんなこと知ってるんですか!?」 「 見てればわかるっスよ、いつだって俺が1番見てた、アンタにはわからないでしょうけどね」 「え、?」 少しトゲのある言い方に違和感を覚える クッキーのこともなんで知ってるのかは気になるけど、そんなことより今はいつもと全然違うラギー先輩の態度が気になった 「 要件を伝えてなかったっスね、実はアンタにお願いがあるんスよ お願いってゆうよりかは命令っスけどね」 「命令……?」 「 もうレオナさんに近付くのやめてもらいてーんスよ」 「 え? 」 「どっ、どうゆうこと、ですか…?」 ラギー先輩から出た言葉とは思えないくらい冷たい声だった。 でもしっかり聞き取れたその言葉はまったく想像していない言葉だった 「言葉通りの意味っスよ、レオナさんは俺らサバナクローの寮長でボスなんスよ?それなのにアンタなんかと付き合われでもしたら困るんスよ。 」 「 え?えっ、待ってください!なんの事を言ってるのか全然わからないです」 「へぇ~この期に及んでその態度… さっすが草食動物のくせに俺らに挑んできただけはあるっスね… 今週アンタは3回レオナさんのもとを訪ねてる。 3度目の今日はクッキーを渡した」 「 そっ!それはそうです!けどだからってなんでそんな話になるんですか!!」 私は今起きてることが、言われてることが全然わからなくて自分でもびっくりするくらい大きな声を出してしまった 言ったあと自分でもなんでこんな怒ってるのかわからなかったけど悲しいやら腹立たしいやらで私の態度は収まることがない でもそれは相手も同じようで私が気持ちに任せて大きな声を張り上げるとおおらかなラギー先輩とは思えない、いつもの笑顔からは想像出来ないような怒ってるのが誰が見てもわかるような顔をして私を睨んでいた 「だから!アンタがレオナさんと付き合われでもしたら困るからって言ってんでしょーが!!それとももう付き合ってるとでも言いたいんスか!?」 「付き合ってないし、そんな予定もありません!それにレオナさんとは少し話してただけでクッキーだって事情があって…」 ラギー先輩まで大きな声を出してくるものだから私も張り合ってしまう それになんでこんなこと話さなきゃいけないんだろう 私は、ただ、ラギー先輩の事が好きで、話を聞いてもらってただけ クッキーがあげたくて、ラギー先輩のことを一番よく知ってるレオナさんに味見してもらっただけだ レオナさんは(まぁ、あいつの好きな味なんじゃねーの)って興味無さそうにだけど言ってくれて最後には(あいつをよろしくな)って、言ってくれた だから、勝手に喜んでもらえる未来を想像してたし、いつもの笑った顔のラギー先輩に会いたかった なのにどうして?こんなことになってるの? 「どんな事情があれ、そんなこと関係ねぇーんスよ。 とにかく俺は伝えたっスから これ以上レオナさんに近づかないで下さい」 そう言ってラギー先輩は私に背を向けて歩き出してしまった 「待っ、待ってください!待って!!」 なんだかこのまま別れたらもう一生会えない気がして思わず後を追いかけてラギー先輩の腕を必死に掴んでいた 「離せ」 ラギー先輩は私を見ることなく前を向いたまま。 それが凄く寂しくて辛くて引き止める私の目には涙がたまっていた 「本当になんでこんな事になったのかわからないんです。 私はただ相談したい事があってレオナさんとお話してただけで皆さんのボスに取り入ろうとかどうにかなりたいとか、そんな気持ち本当になくて、ただ私はラギー先輩と、もっと、仲良くなりたくて、ただ、本当に、それだけで、だから…」 ビクリっとラギー先輩の腕が動いた気がしたけど私の涙は止まらなくて話し始めたらもっと止まらなくてなんて伝えていいかわからなくて悲しくて寂しくて辛くて、上手く話せない自分が嫌いになりそうで、それでも手を離すのも、沈黙も怖くて必死に話そうとする私はなんて惨めなんだろう 「いっ…いか、いかな、いで 」 もう一度ラギー先輩の腕がビクリと跳ねた気がするけどもう私はラギー先輩を見れなくて、気持ちを伝えようと頑張って言葉を探したけど私の言葉は止まらない涙のせいでついに何も出てこなくなってしまった その時、私の掴んでいるラギー先輩の腕が私の手から抜けていくのがわかった 行かないで!! そう伝えたくてもう一度ラギー先輩を捕まえようと顔をあげようとした時、私の顔はすごく暖かな胸に包まれていた 「 ごめん 」 「 ごめん 」 「 泣かないで、ごめん、ごめん 」 ラギー先輩の声がする 私の好きな、大好きなラギー先輩が 私を抱きしめてくれてる 優しい声だ 大好きな声だ 何が何だか状況がつかめないのは変わらないのに優しくしてくれたラギー先輩の胸の温かさに甘えて私はまた少し泣き続けた [newpage] どのくらいたったのかわからないけれど何度もごめん、っと私に謝りながら髪の毛を撫でてくれるラギー先輩に安心して私の涙は止まっていた 「落ち着いたっスか?」 私はなんだか恥ずかしくて下を向いたまま首だけ縦に動かした 「よかった。 とりあえず、もし監督生が嫌じゃなかったら顔見せてほしいっス」 「笑いませんか?」 「笑わないっスよ」 「本当に?」 「本当っスよ」 頭上でラギー先輩が少し笑ったのがわかった かっこいいのに可愛くて意地悪なのに優しくて大好きなラギー先輩の笑顔を思い出す (顔見たいな…) でも絶対目は腫れてるし酷い顔だし何だか悔しくて 「ちゃんと今日のこと、説明して下さい」 「ええ!この状況でっスか!!?」 「この状況だからです」 「 そうっスね、話してちゃんと謝らなきゃいけねーっスよね 」 「それは話を聞いてから決めます」 「シシシッ 監督生らしいっスね」 笑い声が心地よいと感じた 外は肌寒くなってきていたしあまり帰りが遅いとグリムだって心配するだろう なんだかんだ言ってもグリムは優しいんだ でも、それでもあと少し、彼の声を聞いていたかったしこうしていたいと思った 「 監督生は、レオナさんのことが好きっスか?」 「へ!!?」 まさかの質問に驚いた私は思わず顔を上げてしまっていた 私の顔を見たラギー先輩は凄く驚いた顔をしていたけどすぐにぎこちない笑顔になって 「こんなに目が腫れて、真っ赤っスよ、 本当に俺はダメなやつっスね、ごめん本当にごめん」 そう言いながらラギー先輩は私のことを抱きしめる腕に力を込めた 「だっ大丈夫です!そそそそそんなことよりなんでそんなこと聞くんですか!」 抱きしめられてることも、質問のことも色々キャパオーバーな私に対してラギー先輩はすごく落ち着いてるように見えた 「俺はずっと監督生を見てたから、すぐに気づいたんスよ。 レオナさんがいる植物園に初めて行った時も2回目も、今日も」 「え?それって、どうゆう、、」 え?どうゆうことだろう。 私を見てた?レオナさんを取られないように?悪い虫がつかないように? たくさん聞きたいことがあったけど言い出せないでいるうちにもラギー先輩は私の質問には答えず言葉を続ける 「 何話してるのか気になってレオナさんにもそれとなーく聞いてみたんスけど何も教えてくれないし監督生はコソコソ会いに行ってるみたいだし、しまいには手作りクッキーっスよ?好きなんじゃないかって思うじゃないっスか…」 「ごめ、ん、なさい、そんなに目障りだってわかってなくて、こんなにラギー先輩を悩ましてるって知らなくて、本当にごめんなさい」 ラギー先輩がすごく悲しそうで、私の口から出た言葉は謝罪だった 私がごめんなさいと再度小さく告げるとラギー先輩の体がまた揺れた気がした 「なんで、謝るんスか?やっぱりレオナさんのこと好き?」 すごく寂しそうで、怯えているようで、守ってあげたくなった 大丈夫、ラギー先輩のものは取らないよ 大丈夫、大丈夫、だって 「私はあなたが好きだから」 「「え?」」 2人の声が重なって私たちは同時に体を離してお互いを見つめている 少しの沈黙があって………私は自分の言葉を思い出す 「 おおお思わず思っていたことが口に出てしまったああああ!!!!!!」 「え?え?え?おおおおちついてくださいっス監督生!!深呼吸っス!ほら、スー、ハー」 突然大きな声を出し恥ずかしさのあまり顔を両手で覆う私に驚いたようでラギー先輩も状況が飲み込めないのか私を落ち着かせようと深呼吸を一緒にしてくれた 「ぉぉおおお、落ち着きました、、えっと…さっきなんか聞こえました?」 ぎこちなく聞いてみればラギー先輩も気まづいようで私からは目線を逸らしてきた 「え~~~~っと、あれ、っスよね!監督生の、好きな人が、俺、、みたいな?」 当たり前だけどバッチリ聞かれてた~~~~~~!!!!!!!!!! こんなはずじゃなかったのに!クッキーを渡して仲良くなってそれで良かったのになんでなんでなんでえええええ なんて頭を抱えている私の肩にラギー先輩の手が添えられるのがわかって顔を上げる そこにはすごく真剣なラギー先輩の顔があって、 「それ、本当っスか?」 ドキンッ 私の知ってるどんなラギー先輩よりもかっこいい。 綺麗な目が私を見てる。 真剣な眼差しに見つめられて私は今更ごまかせなくて植物園に通っていた真相を話し始めた 「は、い…ラギー先輩のことが好きです だから、今よりもっと仲良くなりたくて、そばに居たくて、それで、レオナさんにアドバイスをもらっていて……今日のクッキーはラギー先輩にあげる前にラギー先輩の好きな味か味見してもらってたんです…私が余計なことしないでちゃんとラギー先輩と話したり他の人に頼らないで自分の力で頑張ってればこんな嫌な思いさせなくてすんだのに、本当に、ごめんなさい」 [newpage] なんか泣きそう、私振られるよね だってラギー先輩はレオナさんに近づくなって忠告しにきたんだもん 私なんかが近寄っちゃいけないって言って そんな私の事好きになってくれるはずない またもや続く沈黙に耐えられなくて「それじゃあ」っと今度は私が背を向けようとしたけれどそれはラギー先輩にまたもや抱きしめられたことで出来なくなってしまった 「へっ?ラララララギー先輩!!?」 さっきまで抱き合っていたくせに不意に抱きしめられて動揺してしまう ラギー先輩は少し震えてた 私が突き放せばきっと離れることが出来るくらいの弱々しい力、でもしっかりと私を抱きしめてくれている彼がどうしようもなく愛しくて、離れられない 「どうしたんですか…?」 「………………っス」 「ん?」 小さくて聞き取れなかった声をもう一度拾おうと聞き返す 「俺も監督生のことが好きっス」 「え…?」 今日は驚いてばっかりだ 怒られて冷たくされて突き放されて抱きしめられて、今は好きな人に好きだと言われている、はずだ 私の聞き間違いじゃなければだけど 「 レオナさんにクッキーを持ってく監督生を見たら苦しくて消えたくなって腹が立ってどうしていいかわからなくて、でもその場に入っていく勇気がなくて、レオナさんにあんたには渡す気ないって啖呵切る度胸もなくて、だって俺が負けるに決まってる ハイエナは所詮ライオンのパシリっスよ?そんな俺があんたを取らないでくれって言ったって勝ち目ねぇって、思って、それでレオナさんに近づくなって監督生に八つ当たりして、こんなになるまで泣かせて、レオナさんじゃなきゃいいって、他のやつなら奪える。 でもレオナさんには、勝てねぇって、勝手に自己嫌悪になって、好きな女こんなにして、俺やっぱりダメっスね…それでも」 そこまでラギー先輩は止まることなく話し続けてくれて泣いてるのかたまに鼻をすする音がして嬉しいのに切なくて私はどうしたらいいかわからなくてずっとラギー先輩の事を抱きしめながら背中をさすってた 「それでも、嫌いにならないで どうかまだ俺を好きでいて 酷いこと言ってごめん 本当はそんなこと、思ってない 本当にごめん、離れないで… こんなに、弱くて、卑怯で、だめな俺だけど、嫌いにならないで……」 ラギー先輩は、泣いていたと思う 私も泣いていた 嬉しくて、愛しくて、大好き 「大丈夫ですよ、どんなラギー先輩も大好きです。 大好き、本当に大好きです だから、ずっと一緒です」 弱々しく肩を震わせて泣く先輩を初めて見た 先輩は、泣いてるのに私は嬉しくて 寒いはずなのに暖かくて、 私達は泣いてるはずなのに笑っていた 「「ごめん」」 2人の声が重なった END.
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