「かゆい!と思ったら、いつの間にか蚊に刺されていた」という経験はありませんか? かゆくてたまらない上に、顔や腕、脚のような目立つ部分に跡がつくと気になりますよね。 ふつう、蚊に刺されるとまずプチッと小さな赤い跡ができてかゆくなり、その後徐々に引いていきます。 多くの場合は元に戻るのですが、 刺された跡が茶色っぽく残ってなかなか消えないこともあるんです。 どうすればいいのでしょう? 蚊に刺されるとなぜ腫れる? そもそもなぜ蚊は人間を狙っていて、なぜ刺されるとかゆくなるのでしょうか。 実は人間の血を吸う蚊は、すべてメス! 身近な蚊にはヒトスジシマカやアカイエカがおり、普段は花の蜜を吸って暮らしています。 ずっと花の蜜だけを吸っていてほしいところですが、産卵時期になると卵を育てるのに栄養が必要なため、メスの蚊だけが血を吸うのです。 蚊は吸血する時に唾液を注入します。 この唾液には麻酔のような物質や、血が固まるのを防ぐ物質が含まれており、数分するとかゆみを引き起こします。 これが刺された直後にかゆく感じ、プチッと赤くなる仕組みです。 ちなみに ヒトスジシマカは朝と夕方ごろに屋外で活動し、アカイエカは夕方から夜にかけて屋内で活動することが多いと言われています。 お出かけ先や時間帯に合わせて、虫よけスプレーで対策するのがオススメです。 2つの虫刺され跡に注意 刺された直後の赤い虫刺され 赤い虫刺され跡は数日もすれば腫れが引いて、まわりの肌とほとんど見分けがつかなくなります。 しかし、場合によっては茶色っぽく変化し、 数ヶ月から時には1年以上も残ってしまうことも。 実はこれには、虫刺されの赤い跡とは別の理由があるんです。 蚊に刺されると体はそれに反応して治そうと働きます。 この時、メラノサイトという細胞が活発になり、メラニンという色素を作るのですが、この色素がたくさん作られると肌に蓄積されて茶色っぽく見えてしまうのです。 茶色っぽい跡ができたとしても、多くは少しずつ肌の細胞が入れ替わることで時とともに消えていくので、心配しすぎる必要はありません。 とはいえ、年齢を重ねるにつれて新陳代謝がゆっくりになり、消えるまでに時間がかかるのも事実です。 長引きやすい茶色の虫刺され 続いて、茶色っぽく残る跡について。 虫刺され跡を長引かせないためには、何よりも「肌を刺激しないこと」が大切です。 かきむしる、ひっかく• 紫外線 以上2つの刺激は特に大きな要因となります。 特にひっかいて肌を傷つけてしまうと、腫れがさらにひどくなるばかりか指の爪から雑菌が入り込むことにもなりかねません。 「爪でバッテンをつける」、「唾をつける」という方法も、子どもの頃からの習慣でついやってしまう人が多いですが、避けた方がよいでしょう。 やさしく水で洗って清潔に保つ• 市販の虫刺され薬を塗る• 日焼け止めでカバーする などの方法で肌への刺激を減らしてくださいね。 かゆみが我慢できない時は そうは言っても虫刺されは時と場所を選ばないので、「どうしてもかゆい。 手元に虫刺され薬もない!」という場合もあるかもしれません。 虫刺されのかゆみを我慢するのは大人にとってもとてもむずかしいことです。 そんな時は 氷や保冷剤をタオルなどで包んであてて冷やしてみてください。 冷たい流水にあてるのも、かゆみを軽くしてくれる方法のひとつです。 寝ている時やボーッとしている時、ついつい無意識に手が伸びてしまうなら、絆創膏を貼ってかけないようにするのもよいでしょう。 メイクでカバーしてもOK 顔や首元、腕、脚などに虫刺されができるとどうしても気になります。 夏はいつもより露出が増える季節なのでなおさらです。 虫刺されのせいでお気に入りの服を着る気がなくなってしまうのはもったいないですよね。 赤みがある程度引いた後であれば、コンシーラーやファンデーションでカバーすることができます! まわりの肌の色に合ったものを選び、トントンとやさしくはたいてなじませましょう。 夏ならではのファッションを思いっきり楽しんでくださいね。 やってはいけないこと 反対に、蚊に刺された直後にやってはいけないことは何でしょうか? 赤い虫刺され跡は血行が促進されるとかゆみがひどくなるため、刺された直後は以下のような行動を避けるのがオススメです。 熱いお風呂やシャワー• 激しい運動 万が一、虫刺されをかきこわすなどして傷を広げたり、化膿してしまったりした場合は、皮膚科を受診してください。 蚊に比べてダメージが大きいブヨや蜂などによる虫刺されも同様です。 大切なのは、やっぱり予防 完璧に防ぐのはなかなか難しい虫刺されですが、蚊の習性を知って上手に避けるのがポイントです。 蚊がどのようにして吸血するターゲットを選ぶのか完全には解明されていないものの、人の体から排出される二酸化炭素の量に反応することが知られています。 二酸化炭素排出量が多ければ多いほど、蚊に刺されやすくなるのです。 体温が上がると二酸化炭素を多く排出するため、蚊に刺されやすいのは以下のような人です。 運動の直後で息が上がっている• 汗をよくかく• アルコールを飲んでいる• 赤ちゃんや小さな子ども• 妊娠中の女性 このような人は特に気をつけて、虫よけスプレーや蚊取り線香などで蚊を寄せつけないようにしましょう。 山の中や草の多いところには蚊がよくひそんでいるので、これらの場所に行く時には長袖の服を選び、首元にタオルを巻くなどすることも大切です。 通気性のいい素材を選び、こまめに水分補給をして熱中症にも気をつけてください。 また、小さな蚊は風に逆らって飛ぶことができないので、 室内であれば扇風機をかけるのも効果があります。 楽しいこともたくさんある夏、わずらわしい蚊を避けて過ごしてくださいね。
次の(兵庫医科大学・夏秋優さん提供) ヌカカは、高原や海辺に多く、刺されるとチクチクとした軽い痛みを伴うのが特徴だ。 こちらも、刺された次の日くらいから、かゆみや赤いブツブツが現れることが多い。 症状が強ければ皮膚科へ 治療法は、蚊もブユもヌカカも同じ。 症状が軽ければ、自然に治るのを待つか、市販の虫さされ薬で対応する。 市販の薬は、清涼成分のl(エル)メントールと、かゆみを抑えるジフェンヒドラミンという成分(抗ヒスタミン薬)が入っているものが一般的だ。 他に、炎症を抑えるステロイド成分を含むものもある。 刺されてすぐのかゆみ(即時型反応)なら前者、翌日以降のかゆみなど(遅延型反応)にはステロイドを含むものを選ぶとよい。 ただ、市販薬は含まれているステロイドのランクが弱い。 このため、「大きく強く腫れている」「刺された数が多い」「かゆみが強い」など症状が強い場合は皮膚科を受診し、強いランクのステロイドの塗り薬や、抗ヒスタミン薬の飲み薬を処方してもらうと良い。 場合によっては、ステロイドの飲み薬を数日間、服用する場合もあるという。 子どもは「かき壊し」に要注意 子どもの場合、特に夏場は「かき壊し」に注意が必要だ。 かきむしって皮膚を傷つけると、傷口から黄色ブドウ球菌などに感染して、じくじくしたり、ただれたりして広がっていく「伝染性膿痂疹(でんせんせいのうかしん)」(通称とびひ)に発展することがある。 傷口から出る体液や膿(うみ)が周囲に付くと、感染が他の場所に広がってしまう。 とびひは、他の人にも感染するため、保育所などに通っている、きょうだいがいる、などの場合は注意が必要だ。 (兵庫医科大学・夏秋優さん提供) とびひは、抗菌薬の塗り薬や飲み薬で治療をする。 「早ければ3日目くらいで乾いてきて、5日目くらいで治ります」と夏秋さん。 ただ、一般的な抗菌薬では効かないタイプが原因になっている場合があり、別の薬を試すなどして治療が長引くこともある。 まれに、かきむしることを続けているうちに、かゆいかさぶたなどがいつまでも残ってしまう場合がある。 「とびひは、何カ月も続くような病気ではありません」と夏秋さんは話す。 こうなると、抗菌薬では効果が無い。 かきグセから慢性湿疹のようになってしまった場合は、炎症を抑えるステロイドの塗り薬などで治療すると治るという。 網戸などを設置するほか、蚊取り線香やエアゾールなどの殺虫剤を上手に使うとよい。 殺虫剤は、除虫菊に由来する殺虫成分を含む「ピレスロイド系」と呼ばれるものが主流だ。 虫の神経に作用して退治する。 屋外では、露出を避けるほか、屋外用の殺虫剤と肌などにつける虫除け剤(忌避剤)の併用が有効だ。 殺虫剤メーカー、フマキラーの佐々木智基・応用開発研究室長は「バーベキューなどをする時は、虫を寄せ付けたくないエリアを囲むように屋外用の蚊取りエアゾールをまくと、その場に居る蚊がまず退治でき、その後も蚊が寄ってこない空間を維持することができます」と助言する。 天候にもよるが、8時間ほど効果を持続できる製品もあるといいう。 虫除け剤は、ディートやイカリジンという成分を含むものが多い。 厚労省は昨年、これらの成分をより高濃度に含み、効果が長持ちする虫除け剤の審査手続きを、迅速化する通知を出した。 すでに高濃度の製品が市販されている。 ただし、ディートは、12歳未満の子どもに使う時は要注意。 高濃度(30%)のものは使わない、低濃度(12%以下)のものも6カ月未満の赤ちゃんには使わない、2歳未満には1日1回、2歳~12歳には1日1~3回までなど、安全に使うための基準を守って使うことが大切だ。 <アピタル:マンスリー特集・夏の健康> (鈴木彩子).
次の「かゆい!と思ったら、いつの間にか蚊に刺されていた」という経験はありませんか? かゆくてたまらない上に、顔や腕、脚のような目立つ部分に跡がつくと気になりますよね。 ふつう、蚊に刺されるとまずプチッと小さな赤い跡ができてかゆくなり、その後徐々に引いていきます。 多くの場合は元に戻るのですが、 刺された跡が茶色っぽく残ってなかなか消えないこともあるんです。 どうすればいいのでしょう? 蚊に刺されるとなぜ腫れる? そもそもなぜ蚊は人間を狙っていて、なぜ刺されるとかゆくなるのでしょうか。 実は人間の血を吸う蚊は、すべてメス! 身近な蚊にはヒトスジシマカやアカイエカがおり、普段は花の蜜を吸って暮らしています。 ずっと花の蜜だけを吸っていてほしいところですが、産卵時期になると卵を育てるのに栄養が必要なため、メスの蚊だけが血を吸うのです。 蚊は吸血する時に唾液を注入します。 この唾液には麻酔のような物質や、血が固まるのを防ぐ物質が含まれており、数分するとかゆみを引き起こします。 これが刺された直後にかゆく感じ、プチッと赤くなる仕組みです。 ちなみに ヒトスジシマカは朝と夕方ごろに屋外で活動し、アカイエカは夕方から夜にかけて屋内で活動することが多いと言われています。 お出かけ先や時間帯に合わせて、虫よけスプレーで対策するのがオススメです。 2つの虫刺され跡に注意 刺された直後の赤い虫刺され 赤い虫刺され跡は数日もすれば腫れが引いて、まわりの肌とほとんど見分けがつかなくなります。 しかし、場合によっては茶色っぽく変化し、 数ヶ月から時には1年以上も残ってしまうことも。 実はこれには、虫刺されの赤い跡とは別の理由があるんです。 蚊に刺されると体はそれに反応して治そうと働きます。 この時、メラノサイトという細胞が活発になり、メラニンという色素を作るのですが、この色素がたくさん作られると肌に蓄積されて茶色っぽく見えてしまうのです。 茶色っぽい跡ができたとしても、多くは少しずつ肌の細胞が入れ替わることで時とともに消えていくので、心配しすぎる必要はありません。 とはいえ、年齢を重ねるにつれて新陳代謝がゆっくりになり、消えるまでに時間がかかるのも事実です。 長引きやすい茶色の虫刺され 続いて、茶色っぽく残る跡について。 虫刺され跡を長引かせないためには、何よりも「肌を刺激しないこと」が大切です。 かきむしる、ひっかく• 紫外線 以上2つの刺激は特に大きな要因となります。 特にひっかいて肌を傷つけてしまうと、腫れがさらにひどくなるばかりか指の爪から雑菌が入り込むことにもなりかねません。 「爪でバッテンをつける」、「唾をつける」という方法も、子どもの頃からの習慣でついやってしまう人が多いですが、避けた方がよいでしょう。 やさしく水で洗って清潔に保つ• 市販の虫刺され薬を塗る• 日焼け止めでカバーする などの方法で肌への刺激を減らしてくださいね。 かゆみが我慢できない時は そうは言っても虫刺されは時と場所を選ばないので、「どうしてもかゆい。 手元に虫刺され薬もない!」という場合もあるかもしれません。 虫刺されのかゆみを我慢するのは大人にとってもとてもむずかしいことです。 そんな時は 氷や保冷剤をタオルなどで包んであてて冷やしてみてください。 冷たい流水にあてるのも、かゆみを軽くしてくれる方法のひとつです。 寝ている時やボーッとしている時、ついつい無意識に手が伸びてしまうなら、絆創膏を貼ってかけないようにするのもよいでしょう。 メイクでカバーしてもOK 顔や首元、腕、脚などに虫刺されができるとどうしても気になります。 夏はいつもより露出が増える季節なのでなおさらです。 虫刺されのせいでお気に入りの服を着る気がなくなってしまうのはもったいないですよね。 赤みがある程度引いた後であれば、コンシーラーやファンデーションでカバーすることができます! まわりの肌の色に合ったものを選び、トントンとやさしくはたいてなじませましょう。 夏ならではのファッションを思いっきり楽しんでくださいね。 やってはいけないこと 反対に、蚊に刺された直後にやってはいけないことは何でしょうか? 赤い虫刺され跡は血行が促進されるとかゆみがひどくなるため、刺された直後は以下のような行動を避けるのがオススメです。 熱いお風呂やシャワー• 激しい運動 万が一、虫刺されをかきこわすなどして傷を広げたり、化膿してしまったりした場合は、皮膚科を受診してください。 蚊に比べてダメージが大きいブヨや蜂などによる虫刺されも同様です。 大切なのは、やっぱり予防 完璧に防ぐのはなかなか難しい虫刺されですが、蚊の習性を知って上手に避けるのがポイントです。 蚊がどのようにして吸血するターゲットを選ぶのか完全には解明されていないものの、人の体から排出される二酸化炭素の量に反応することが知られています。 二酸化炭素排出量が多ければ多いほど、蚊に刺されやすくなるのです。 体温が上がると二酸化炭素を多く排出するため、蚊に刺されやすいのは以下のような人です。 運動の直後で息が上がっている• 汗をよくかく• アルコールを飲んでいる• 赤ちゃんや小さな子ども• 妊娠中の女性 このような人は特に気をつけて、虫よけスプレーや蚊取り線香などで蚊を寄せつけないようにしましょう。 山の中や草の多いところには蚊がよくひそんでいるので、これらの場所に行く時には長袖の服を選び、首元にタオルを巻くなどすることも大切です。 通気性のいい素材を選び、こまめに水分補給をして熱中症にも気をつけてください。 また、小さな蚊は風に逆らって飛ぶことができないので、 室内であれば扇風機をかけるのも効果があります。 楽しいこともたくさんある夏、わずらわしい蚊を避けて過ごしてくださいね。
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