一方で、川崎病という言葉が独り歩きし、心配を増幅させているようにも見えます。 この 『川崎病似の症状』を、どのように考えていけばいいのでしょうか? 現時点で、小児科医の目線で情報を整理し、内容を共有したいと思います。 川崎病とはなにか、前回の記事からおさらいしましょう イラストAC でお話しした内容を再度まとめます。 川崎病は、1967年に日本人の川崎富作先生により初めて報告された、乳幼児によく診られ発熱を伴って全身の血管炎が起こる『原因不明の』病気です。 診断は確立しており、症状から確認していきます 症状がはっきりせず、診断が難しい場合もあります。 決して珍しくはありませんし、奇病でもありません。 そして確立した治療法はあります。 『原因不明の』病気ではあるものの、ウイルス感染が『きっかけ』で川崎病を発症することがあります。 つまり、新型コロナではない、『従来の』コロナウイルスも川崎病を発症する『きっかけ』になるということは、新型コロナも川崎病を発症するきっかけになりうるということです。 ここまでが、前回お話しした内容でした。 新型コロナが川崎病発症のきっかけになったかもという報告はあるでしょうか? 写真AC 新型コロナと『 典型的な 川崎病』に関しては、すでに4月7日に生後6ヶ月のお子さんの報告があります。 新型コロナに限らず、感染症が大規模に流行すると川崎病が増えることがありますし、従来のコロナウイルスも、『きっかけになる人がいる』ことはわかっていましたから。 新型コロナと川崎病に関連した記事を読む際に、どのあたりに気をつけて読む必要があるのでしょうか? 写真AC 今回の報道でみられる症状をみていると、 『新型コロナが関係(しているかもしれない)重症の川崎病(のような)』病気は、『川崎病ショック症候群(に似た状態)』を指しているようです。 『川崎病ショック症候群』とは、川崎病のなかでの重症型です。 そして、7人は4~6日で集中治療を終え退院されましたが、ひとりは血圧が大きく下がりショック症状から不整脈を発症し、脳血管梗塞で亡くなったそうです。 現在海外で報道され伝え聞かれる『川崎病に似た重症の子ども達』に一致する内容です。 その子ども達8人中4人は、家族の中に新型コロナウイルス(SARS-Cov2)に感染している方がおり、濃厚接触していたことがわかっています。 注意点は、最終的に5人はSARS-Cov2のPCR検査陰性であったにもかかわらず、濃厚接触者であることから新型コロナ感染を疑われているという点です 確定診断といえるかどうか議論が残る。 現状では、 『このランセットに報告された川崎病ショック症候群』と、『これまでの川崎病の重症型である川崎病ショック症候群』が(少なくとも私には)同じ病態かよくわかりません。 たとえば、川崎病はよく起こる年齢は1歳をピークになだらかに下がっていくのですが、この報告は6歳から14歳とあきらかに年齢が高いことがひとつ挙げられます 川崎病ショック症候群が、一般的な川崎病よりも年齢がやや高めという報告はありますがはっきりしていないのです。 新型コロナは、川崎病の症状を強く出しやすいのでしょうか? pixabay 川崎病は、大元に『血管の炎症』がある病気です。 しかし、 まだまだ状況証拠のみともいえます。 現状では、以下のように私は理解しています。 1 新型コロナウイルス感染症でも川崎病は起こりうる(従来のコロナウイルスより起こしやすいかどうかわからない) 2 川崎病は、一部が川崎病ショック症候群になりうる(従来のコロナウイルスより新型コロナが川崎病ショック症候群を起こしやすいかはまだわからない) そう、現在のところの情報では、まだまだ確定しがたい点が多いということです。 5月7日に、日本川崎病学会から声明がでています 写真AC このような報道を受け、日本川崎病学会から『川崎病とCOVID-19に関する報道について』という声明が出されました。 一部を抜粋させていただきます。 川崎病患者数、重症患者数共に平年並みか減少したと回答する委員が多く、増加しているとの回答はありませんでした。 一方、報告された小児の COVID-19 患者はいずれも軽症で、欧米で報告されているような川崎病類似の重症例、川崎病と COVID-19 との合併例共に確認されませんでした。 出典: すなわち、 すくなくとも日本の医療の前線では、 新型コロナ関係なく 川崎病が大幅に増えているとは感じていませんし、海外で報道されているような、『川崎病ショック症候群に似た重症な子ども』は多くなっているとはいえないと思われます。 冷静な対応が必要だろうと思います。
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次の医療機関の皆様へ ~川崎市感染症情報令和2年第23週更新のお知らせ~ 令和2年6月10日 川崎市感染症情報を令和2年第23週分に更新しました。 川崎市では、令和2年第23週(6月1日~6月7日)までに新型コロナウイルス感染症の報告が291件(疑似症患者は除く。 )ありました。 年齢階級別では、0~9歳が1.0%、10~19歳が2.1%と小児の割合が非常に低く、家族など大人との濃厚接触による感染がほとんどでした。 市内の市立学校では、令和2年6月1日から分散登校が開始され、6月15日からは通常登校になります。 学校における感染リスクを下げるためには、教室等での十分な換気と咳エチケットが重要です。 適切な距離を保つことが難しい場合にはマスクを着用しましょう。 また、給食の提供も開始されますので、食前食後の手洗いも忘れないようにしましょう。 市民の皆様へ ~川崎市感染症情報令和2年第23週更新のお知らせ~ 令和2年6月10日 川崎市健康安全研究所では、市民の皆様向けに感染症の発生状況をまとめた「今、何の病気が流行しているか!」を毎週作成しています。 ぜひご覧いただき、感染症予防にお役立てください。 市民の皆様へ~新型コロナウイルス感染症についての解説動画~ 令和2年2月7日 新型コロナウイルス感染症について、分かりやすい解説動画をYouTubeに公開しましたので、お知らせいたします。 新型コロナウイルス感染症情報のLINE公式アカウントも開設されています。
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