タイヒミュラー空間論は、複素解析と代数幾何の基礎的な素養を必要とし、初学者には難解な理論とされてきた。 本書は出来るだけ少ない予備知識でこの理論を解説する優れた入門書であり、この空間への「座標」、「位相」、及び「複素構造」の導入という三つの大きなテーマで構成されている。 第1のテーマは、大域的な座標であるフリッケ座標とフェンチェル・ニールセン座標の導入の議論である。 この議論の根底に、閉リーマン面の被覆面(あるいは、フックス群モデル)の理論があることを読者は容易に認められると思う。 第2のテーマは、擬等角写像を用いた位相(特に、距離)の導入の議論である。 特に、ベルトラミ方程式の可解性、即ち与えられたベルトラミ係数を歪曲係数にもつ擬等角写像の存在、及びそのフレシェ微分の積分表示に関する関数解析的な議論が非常に重要である。 この結果、「タイヒミュラー空間は、フリッケ空間とともに、6g-6 次元ユークリッド空間と同相である」というタイヒミュラーの定理が導かれている。 第3のテーマ(複素構造の導入)は、ベルトラミ微分、擬等角写像、及び正則2次微分の各々の理論が美しく交錯する本書のハイライトである。 複素構造導入に関するベアスの素晴らしいアイディア、ヴェイユとピーターソンによるエルミート計量の導入、またその計量のケーラー性、更にその基本形式をフェンチェル・ニールセン座標で明示的に表現するウォルパートの公式、などが非常に美しい証明とともに解説されている。 ここでは「タイヒミュラー距離が小林双曲距離に一致する」というロイデンによる驚くべき大定理も紹介されている。 この本はタイヒミュラー空間を主題として、その位相的・解析的な基礎理論を語ることにより、現代数学の魅力的な諸分野への案内書にもなっている。 【追記】 レビューを投稿する前に作成した「ドラフト版」をコメントに載せたいと思う。 上記のレビューより少し詳しく記述されているので、あわせてご覧頂けると幸いです。
次の導入 1. 動機 1. 比較 1. 距離空間としてのタイヒミュラー空間 2. タイヒミュラー空間と測度付き葉層構造の空間 2. タイヒミュラー空間 2. タイヒミュラー測地線 2. 測度付き葉層構造 3. 正則二次微分の幾何 3. 有理型二次微分 3. 自然座標 3. 軌道 3. Jenkins-Strebel 微分 3. 垂直葉層構造 8 4. 極値的長さ 4. 極値的長さ 4. 測度付き葉層構造の極値的長さ 4. 擬等角歪曲性と Kerckhoff の公式 5. タイヒミュラーの定理およびその読み替え 5. タイヒミュラーの定理 5. 指数写像 6. タイヒミュラー空間のコンパクト化 6. Gardiner-Masur コンパクト化 6. Thurston コンパクト化 7. Gardiner-Masur コンパクト化 7. Gardiner と Masur の結果 7. Kerckhoff の結果 8. 極値的長さの幾何 8. 拡張定理 8. タイヒミュラー測地線の極限 8. 指数写像の極限点の連続性 8. ホロ関数閉包と GM 閉包 8. タイヒミュラー空間内の概測地線の到達不可能性 8. 交点数関数と Gromov 積の拡張 9. 双曲的長さと極値的長さから定まる幾何の比較 9. Masur と Lenzhen の結果 9. 1 Background. 1 1. 2 Chapter outline. 2 2 General Setting 3 2. 1 The Extended Complex Plane. 3 2. 1 The Riemann Sphere. 3 2. 4 2. 2 Surfaces. 7 2. 1 Riemann Surfaces. 7 2. 2 Automorphisms. 9 2. 3 The Hyperbolic Plane. 10 2. 4 Fuchsian groups. 14 3 Covering Maps 17 3. 1 Fundamental Groups. 17 3. 2 Group Actions on Surfaces. 20 3. 3 Universal Coverings. 22 4 Riemann Surfaces as Orbifolds 25 4. 1 2-Orbifolds. 25 4. 2 Branched Coverings. 26 4. 1 Universal Branched Coverings. 1 Fundamental Domains. 31 5. 32 5. 34 Riemann Surfaces Dr C. Teleman 1 Riemann Surfaces I Preliminaries 7 1 Holomorphic functions 9 1. 1 Simple examples; algebraic functions. 9 1. 2 Analytic continuation; differential equations. 12 2 Surface Topology 17 2. 1 Classification of surfaces. 17 2. 2 Discussion: the mapping class group. 22 II Basic Theory 25 3 Basic definitions 27 3. 1 Riemann surfaces and holomorphic maps. 27 3. 2 Examples. 30 3. 30 3. 2 Algebraic curves. 31 3. 3 Quotients. 35 4 Maps between Riemann surfaces 37 4. 1 General properties. 37 4. 2 Monodromy and the Riemann Existence Theorem. 41 4. 1 Digression in algebraic topology. 41 4. 2 Monodromy of covering maps. 43 4. 3 Compactifying algebraic curves. 46 4. 4 The Riemann surface of a holomorphic function. 48 3 4 CONTENTS 5 Calculus on surfaces 51 5. 1 Smooth surfaces. 51 5. 1 Cotangent spaces and 1-forms. 51 5. 2 2-forms and integration. 55 5. 2 de Rham cohomology. 62 5. 1 Definition and examples. 62 5. 3 Calculus on Riemann surfaces. 69 5. 1 Decomposition of the 1-forms. 69 5. 2 The Laplace operator and harmonic functions. 72 5. 3 The Dirichlet norm. 73 6 Elliptic functions and integrals 77 6. 4 Elliptic integrals. 77 6. 5 The Weierstrasse function. 82 7 Applications of the Euler characteristic 85 7. 1 The Euler characteristic and meromorphic forms. 85 7. 1 Topology. 85 7. 2 Meromorphic forms. 87 7. 2 Applications. 88 7. 1 The Riemann-Hurwitz formula. 88 7. 2 The degree-genus formula. 89 7. 90 7. 4 Modular curves. 93 III Deeper Theory 95 8 Meromorphic functions and the Main Theorem for compact Riemann surfaces 97 8. 1 Consequences of the main theorem. 99 9 Proof of the Main Theorem 103 9. 1 Discussion and motivation. 103 9. 2 The Riesz representation theorem. 106 9. 3 The heart of the proof. 108 9. 112 CONTENTS 5 10 The Uniformisation Theorem 117 10. 1 Statement. 117 10. 2 Proof of the analogue of the Main Theorem. 120 10. 1 Set-up. 120 10. 2 Classification of behaviour at infinity. 122 10. 3 The main argument. 125 From Riemann Surfaces to Complex Spaces Reinhold Remmert 1. Riemann surfaces from 1851 to 1912 1. Georg Friedrich Bernhard Riemann and the covering principle 1. Christian Felix Klein and the atlas principle 1. Karl Theodor Wilhelm Weierstrass and analytic configurations 1. Georg Ferdinand Ludwig Philipp Cantor and countability of the topology 1. Karl Hermann Amandus Schwarz and universal covering surfaces 1. The general uniformization theorem 2. Riemann surfaces from 1913 onwards 2. Claus Hugo Hermann Weyl and the sheaf principle 2. Heinrich Adolph Louis Behnke, Karl Stein and non-compact Riemann surfaces 2. Analytic configurations and domains of meromorphy 3. Towards complex manifolds, 1919-1953 3. Global complex analysis until 1950 3. Non-univalent domains over C n , 1931-1951, Henri Cartan and Peter Thullen 3. The French Revolution, 1950-53: Henri Cartan and Jean-Pierre Serre 3. Stein manifolds 4. Complex spaces, 1951-1960 4. Normal complex spaces, 1951 4. Reduced complex spaces, 1955 4. Complex spaces with nilpotent holomorphic functions, 1960 数理解析研究所講究録 364 擬等角写像とリーマン面 1 . On parabolicity of a Riemann surface.................... On a theoremof Koebe 北大 田中博 4 . Schwarzian derivative and quasieonformal mappings.
次の来歴 [ ] 父の仕事の関係で5歳で日本を離れ、中学生()時代に1年間日本へ戻った 以外は、で育つ。 に2年間在学し、16歳でへ進学。 19歳で学士課程を卒業(次席)。 23歳で博士課程を修了しを取得。 日本へ帰国後は京都大学に採用され、助手(23歳)、同助教授(27歳)を経て、同教授(32歳)に昇格。 人物 [ ] メディアの取材に応じない意向を示しており、ABC予想に関する論文の学術誌掲載決定に際する京都大学の会見にも出席しなかった。 京都大学数理解析研究所の玉川安騎男教授は「とにかく徹底的に何かをする。 ゼロから理論を構築していくのが彼のスタイル」とコメントした。 研究内容・業績 [ ] における(遠アーベル幾何予想)を予想を超えた形で証明。 の構築、のの構築、曲線のの既約性の別証明、数論的・の ()、Hurwitz スキームの、crys-stable bundle の構成、数論的 log Scheme 的表示の構成、宇宙際幾何 うちゅうさいきか、inter-universal geometry の構築。 の では招待講演をしている。 ABC予想への挑戦 [ ] 、望月は を証明したとするをインターネット上で発表した。 の科学誌によると 、望月は新たな数学的手法を開発し、それを駆使して証明を展開している。 ABC予想の証明に先立って構築した宇宙際タイヒミュラー理論の正否の判定には数年掛かると言われる。 望月は43歳でこの論文を発表したため、40歳以下の研究者を対象とするに該当しない(この点に関して、数学者の(京大数理研)による次のようなコメントがある:「望月さんは、賞に対しては全く無欲(というか、むしろやや否定的)で、十分時間をかけて基礎理論を満足のいくような形で完成させることに力を注いでいます」 )。 、証明したとする論文が数学専門誌「」の特別号に掲載されると決定した。 宇宙際タイヒミュラー理論 [ ] 2014年12月の宇宙際タイヒミュラー理論の進歩状況の報告で、望月本人はの数学者 Mohamed Saidi や京都大学数理解析研究所の、との議論を通じて、「宇宙際タイヒミュラー理論の本筋や本質的な正否に関わるような問題は一件も確認されていない」、また、「宇宙際タイヒミュラー理論の実質的な数学的側面についての検証は事実上完了している」との見解を示した。 ただし、「理論の新奇性や重要性に配慮して、念のため理論はまだ検証中であるという看板を下ろす前にもう少し時間をおいても良い」とも述べている。 宇宙際タイヒミュラー理論を理解するために求められる絶対遠アーベル幾何やの剛性性質、の分野に併せて精通している専門家がほとんど居らず 、加えて独自の概念も多数定義して利用しているため、今後も検証には時間がかかると思われている。 2015年にの Ivan Fesenko によって、望月の宇宙際タイヒミュラー理論のサーベイ論文が発表された。 2015年3月の9日から20日にかけて、共同研究 「宇宙際タイヒミュラー理論とそのディオファントス的帰結」 と題して山下剛、星裕一郎を講演者とする研究集会が開催された。 山下剛による、宇宙際タイヒミュラー理論に関するサーベイ論文は、開催の数理研「RIMS共同研究」の集会報告集という形で、から「講究録別冊」として刊行される予定である。 2015年10月のネイチャーによると、他の数学者が論文を理解できず、論文の正否について未だに決着をつけることができていないという。 2015年12月にで理論の国際研究集会 が開催された。 参加者の () Brian Conrad は「準備論文の理解に大きな進展があったが、本論文の検討にはたどり着けなかった。 」と感想を述べている。 2016年7月にで理論の国際研究集会 が開催された。 主催者のイヴァン・フェセンコは「この研究集会で少なくとも10人が詳細に理論を理解した。 私は数論の中で最も重要な未解決問題の少なくとも100は望月の理論とさらなる発展を使用して解決されることを期待している。 」と感想を述べている。 一方、同氏の宇宙際タイヒミュラー理論においてテータ関数が中心的役割を果たすのであるが、テータ関数はMellin変換によってリーマンのゼータ関数と関係する。 さらに、宇宙際タイヒミュラー理論において宇宙際フーリエ変換の現象が起きている。 これらのことから、長期的な計画であるが"宇宙際Mellin変換" の理論ができればリーマンのゼータ関数と関係させることができるのではないかと期待して共同研究を進めている」。 4月25日には、望月新一の友人であるにより執筆された、一般向けの書である『宇宙と宇宙をつなぐ数学 IUT理論の衝撃』 がから発売された。 宇宙際タイヒミュラー理論について大々的に講演を行えない背景や、一般的な数学研究の進め方にも触れるなど、一般人に向けて一般的な数学研究を包括した総合的な概要を提供している。 サーベイ論文 [ ] - によって、望月の宇宙際タイヒミュラー理論に対する初のサーベイ論文が発表された。 - の山下剛から宇宙際タイヒミュラー理論に対するサーベイ論文が発表された。 略歴 [ ]• - を2年で卒業。 同年9月、入学。 - プリンストン大学卒業• 6月 - プリンストン大学で を取得(23歳)、指導教授はを受賞した• 6月 - に就任• 8月 - 京都大学数理解析研究所に就任(27歳)• - 受賞:代数曲線におけるの解決(、との共同受賞)• - ICM 招待講演• 2月- 京都大学数理解析研究所教授に就任(32歳)• - 受賞:的手法によるの予想の解決など双曲的のに関する研究• 2005年 - 受賞:数論幾何の研究• 5月 - の提唱者の正体が望月新一であるとアメリカの社会学者に指摘されたが 、後に紙に望月がこれを否定したという記事が掲載された。 2017年12月 - を証明したとする論文が数学の専門誌に掲載される見通しになったという報道もあった が、実際には掲載されずに望月の論文は2020年4月まで査読中という状況であった。 - を証明したとする論文が、京大数理解析研究所の専門学術誌「」の特別号へ掲載されることが明らかになった。 査読には7年半を要していた。 脚注 [ ] [] 注釈 [ ]• Ivan Fesenko. 2015 ". Nature 526, 178—181 08 October 2015 doi:10. Ivan Fesenko. 2015 ". YouTube TheTedNelson Channel 2013年5月18日. 2014年3月8日閲覧。 JCastニュース. 2014年3月13日閲覧。 Eileen Ormsby 2013年7月10日. Theage. com. 2014年3月8日閲覧。 朝日新聞. 2017年12月16日. 2017年12月16日閲覧。 Peter Woit. 2019年5月3日閲覧。 Erica Klarreich. Quonta Magazine. 2019年5月3日閲覧。 www. sankei. com. 産経新聞 2020年4月3日. 2020年4月3日閲覧。 mainichi. 毎日新聞 2020年4月3日. 2020年4月3日閲覧。 www. asahi. com. 朝日新聞 2020年4月3日. 2020年4月3日閲覧。 www. jiji. com. 時事ドットコムニュース 2020年4月3日. 2020年4月3日閲覧。 www. yomiuri. 読売新聞デジタル 2020年4月3日. 2020年4月3日閲覧。 www. tokyo-np. 東京新聞 2020年4月4日. 2020年4月5日閲覧。 関連項目 [ ]• 外部リンク [ ]• (日本語) - 公式サイト• (英語)• (日本語) - 公式ブログ.
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