を行ってから数カ月の後に、税務署から「お尋ね」なる文書が届くことがあります。 きちんと納税していても、ある日突然税務署から通知がきたら動揺してしまいます。 そのうえ内容も理解しにくいことがしばしばです。 そこで今回は、税務署からの「お尋ね」があったら、どう対応するべきかについて確認しましょう。 <目次>• 税務署からくる「お尋ね」とは お尋ねは確定申告に関するものだけではなく、相続について、住宅購入についてなど、さまざまな種類があります。 お尋ねは税務署が行政指導として納税者に送る文書です。 法的な義務ではなく回答も任意ですが、お尋ねを無視していると税務署から確認の電話が入ったり、税務署への呼び出しがあったりします。 これらはあくまで行政指導の一環であって ではありません。 お尋ねが来る理由 確定申告についてのお尋ねがあった場合、提出書類に何かしらの疑問点があったということです。 申告時に提出した決算書や収支報告書について不備や漏れ、疑問点があったとき、場合によっては一定の条件に該当したとき、一律に税務署はお尋ねを送付します。 お尋ねに回答しないとどうなる? お尋ねには必ず回答期限が記載されています。 回答期限に法的な拘束力はありませんが、期限を過ぎると、「公式文書での調査」「税務署へ呼び出して調査」「自宅などへ出向いて実地調査」が行われる場合があります。 決算書の内容に不備、疑問があることでお尋ねされているので、放置していると加算税や などが賦課される可能性もあり得ます。 お尋ねをきっかけとして申告内容に漏れなどが見つかった場合、自主的に や を行った場合は、延滞税は賦課されても過少申告加算税は課されないことがあります。 回答は任意であっても、お尋ねされた内容については必ず確認しましょう。 「きちんと受け付けてもらえたのに」と思うかもしれませんが、税務署では受付を行ってから、決算書の計算が合っているか、記載に間違いがないかなどを詳細にチェックします。 そのため、お尋ねが届くのは9月くらいからになることが多いようです。 税務調査って? 税務調査は法人のうち、約6%が受けるといわれていて、そのうちの約70%は誤りを指摘されます。 しかし、脱税を行っていなければ特に恐れる必要はありません。 基本的には事前通知のうえで行われ、突然調査が入った場合は断ることもできます。 対象期間は過去5年分が基本ですが、調査官に悪質と判断された場合は7年が調査対象になります。 チェックされやすいポイントは「売上計上時期」「 」「人件費」など、多種多様です。 とはいえ、普段から正しく税務申告を行い、領収書や請求書などを保存しておけば特に問題はありません。 ただ、申告が本当に正しいのかは専門的判断なので、社長に脱税の意思がなくても、税務調査で誤りが見つかるケースは少なくないのです。 まとめ 税務署側から見れば、税務調査を行うことなく申告内容の確認ができるのがお尋ね文書です。 税務署の適性申告水準の確保のため、今後もお尋ね文書の送付は増えていくといわれています。 無視して放置しておくと税務調査につながってしまったり、また正直に回答したことでやはり税務調査に入られたりすることもあります。 お尋ねが届いたら慌てて回答することなく、まずは税理士や税務署に相談し、冷静に対処することが重要です。
次の税務署から届く「お尋ね」は、税務調査の前に届くことが多いです。 文書で通知されることが多いですが、税務署から直接電話で問い合わせがくることもあります。 主に、大きな金額の財産が動いたと税務署が判断したときに届きます。 株の売却益や相続の発生、住宅購入時など、様々なケースで税務署から「お尋ね」が届きますが、定められた期日に従って回答しておくことが無難です。 「お尋ね」を無視したままでいると、次のステップとして「相談のご案内」が届きます。 税務署に出向けば相談に乗ります、という趣旨の内容ですが、遠回しに呼び出しを受けていると捉え、期限までに何らかのアクションを起こしておくことが大切です。 いずれの書類も無視したままにしておくと、「税務調査」の案内が届き、呼び出しを受けることになるため注意が必要です。 税務署からのお尋ねとは? 税務署からの「お尋ね」とは、確定申告の内容の確認のための問い合わせのことです。 ほとんどの場合、税務署から電話または「申告内容のお尋ね」という件名の文書が郵送されてきます。 この点、納税者の申告内容を帳簿などで確認し、誤りあれば是正を求める「税務調査」に似ていますが、「税務調査」が国税犯則取締法や国税通則法に則って行われるのに対し、「お尋ね」は、行政手続法に則って行政機関が一定の行政目的を実現するために指導や勧告、助言を行う「行政指導」にあたります。 「税務調査」では納税者の同意の下で行われる任意調査であっても、税務職員の質問に対し正当な理由なく虚偽の陳述や不答弁を行った場合には罰則規定が設けられていますが、「お尋ね」の場合はあくまでも「自主的な協力」という前提があるので、行政指導に従わなくても特に罰則はありません。 また、税務調査の結果を受け修正申告した場合には過少申告加算税などの加算税が課されますが、お尋ねによって修正申告した場合は、加算税が課されないことがほとんどです。 過少申告加算税とは申告期限内に提出された申告書に記載された納税額が過少であった場合に賦課される税金のことですが、税務署などによる税務調査の通知が来る前に自主的に修正申告した場合には課されないことになっています。 したがって行政指導による「お尋ね」により修正申告した場合には、この過少申告加算税は原則として課されることはありません。 ただし「お尋ね」であっても郵送されてきた文書の回答期限を超えて放置していた場合には、税務調査に切り替わり加算税や延滞税などが賦課される可能性もありうるので注意が必要です。 税務署からお尋ねはどんなときに届く? 税務署からの「お尋ね」は税務署側が申告や届出の必要があるのではないかと判断した場合に届きます。 例えば、税務署が申告内容に疑問を持った場合はもちろん、不動産の購入および売却、相続などで財産が大きく動いた場合、売上高が1,000万円を超えて消費税の課税事業者届出書を提出しなければならない場合など、内容は多岐に渡ります。 前述した税務署から郵送される「お尋ね」についての文書には、不動産を購入した場合には仲介手数料などの関連費用や資金の調達方法、相続の場合には被相続人(亡くなられた方)の不動産屋や株式などの財産状況などの項目に対する回答が求められています。 不動産の購入や売却では、贈与税や所得税が発生していないか確認する際によくお尋ねが送られてきます。 また、不動産の購入や売却以外でも、不動産投資により家賃収入などがある場合はこういった「お尋ね」が頻繁に行われます。 不動産所得額は、総収入額(不動産からの家賃収入、保証金、礼金)から必要経費(減価償却費や修繕費、建物への固定資産税など)を差し引いて求められますが、保証金や礼金を総収入額に含めていなかったり、修繕費のなかでも「資本的支出」(資産の使用可能期間を延長させたり、資産の価額を増価させたりする部分の支出。 資産として計上しなければならない)を必要経費として計上していたりなど、申告時の誤りが多発しているからです。 相続では、税務署が金融機関から伝えられた金融資産の保有状況や登記情報に照らして相続税が発生していないかどうか確認する際によくお尋ねが送られてきます。 税務署からお尋ね届いたらどうすればいい? 「お尋ね」は自主的な協力を要請する行政指導なので、期限内に回答しなくても罰則は生じません。 しかし税務署としては、金融資産や不動産についてある程度情報を握った上で「お尋ね」をしているので、素直に回答した方が得策でしょう。 その結果、申告内容に誤りが見つかって修正申告しなければならなくなっても、基本的に加算税は課されることはないので、かえってお得といえます。 「お尋ね」の文書の内容が理解できなかったり、書類をどう記載すればいいのかわからなかったりする場合には、通帳や借用書などの関連書類を持参して税務署に聞きに行くことをおすすめします。 前もって電話で予約しておけば、税務署員が資料の見方や書類の書き方について丁寧に教えてくれる上、相談料は無料です。 その他、書類の作成を税理士に依頼するという方法もあります。 特に相続について被相続人の遺産の内容が把握できていない場合や不動産や有価証券、骨董などの価値がわからないといった場合、個人での調査は限界があるので、相続専門の税理士に助言を受けることをおすすめします。 税理士に相談というとお金がかかりそうなイメージがありますが、各都道府県の税理士会では「税の無料相談所」(予約制、相談時間は1人当たり30分以内)を行っているので、まずはこちらに相談に行き書類の書き方などを教えてもらいましょう。 そのうえで業務を依頼する場合には、その後の資料の作成や税務署との応対は全て税理士に任せることができます。 税理士報酬は取引内容や金額、個々の事情によって変わってくるので一概には言えませんが、税務署と違って最大限依頼人の利益になるように取り図ってもらえます。 また、法人または個人でも顧問税理士がいる場合には、「お尋ね」は確定申告書を作成した税理士に送られることが多いので、「お尋ね」の書類作成をそのまま税理士に委任することも可能です。 税務署は「お尋ね」で何を知りたがっているのか 「お尋ね」で届く書類の多くには、「支払代金の調達方法」という欄があります。 税務署は、購入資金をどのように準備したのかを確認したい時に「お尋ね」書を通知することが多いです。 不動産などの大きな買い物をした際、借入れだけでなく自己資金を捻出している場合に届きやすい傾向があります。 過去の所得に比べて手持ち資金が多すぎていないか、不動産を共同購入している場合では、共用持ち分と資金の割合に大きな差がないかなど、資金の流れに合理性があるかどうかを確かめています。 「お尋ね」を回答しなければならないという趣旨の法律は定められておらず、回答しなくても罰則規定はありませんが、無視を続けたり、虚偽の回答をしていると税務調査に発展することがあります。 「お尋ね」が届いたら、速やかに回答をするのが無難な対応です。 お尋ねに備えて通帳などの証拠書類を保管しよう こういった「お尋ね」に備えるため、日頃から証拠書類を保管しておくことをおすすめします。 不動産の購入の際に親から資金援助を受けた場合には、借用日や金額、借入期間、利息、返済方法などを記載した「借用書」を作成し、定期的に返済していなければ贈与とみなされることもあります。 借用書(私文書)は個人でも比較的簡単に作成できますが、作成方法がわからない場合には行政書士に依頼することも可能です。 また、購入資金の出どころを証明するために通帳や住宅ローンの契約書などもきちんと保管しておきましょう。 不動産投資の場合には、かかった費用の証拠となる請求書などの資料を月別あるいは会社別にファイリングしておきましょう。 「お尋ね」であってもまれに税務署から証拠資料を提出することを求められることもあるので、資料の保管はどのような場合であっても大事です。 相続が発生した場合も、預貯金の通帳や証券会社等の所定の書類(株式名義書換請求書や株主票など)、保険証書といった資料や未払いの税金、光熱費、医療費などの請求書は、きちんと保管しておかなければなりません。 相続に関する「お尋ね」は相続が発生してから6~8カ月で送られることが多いので(相続税の申告期限は10カ月)、大抵の場合は早急な対処が必要です。 お尋ねが届いた時にあわてないよう、資料はしっかりと整理しておきましょう。 ただし、このような特例の適用を受けるためには申告期限までに相続税の申告書を提出しなければならないので、この点からも相続が発生した場合にはまず税務のプロである税理士に相談することをおすすめします。
次の今回は、税務署からお尋ねが来た場合の対処法について解説します。 お尋ねはどんな時に来るのか? 税務調査は誰にとってもあまり嬉しいものではありませんが、税務調査の前段階として、税務署より「お尋ね」が来るケースがあります。 お尋ねは文書や、時には電話で来るケースもあります。 では、お尋ねはどんな時に来るのでしょう? それは 基本的には、大きな金額の財産が動いた時です。 例えば、株を売却して大きな金額が入ってきた時や、相続が発生した時、また最近では海外で資産運用をしているケース、身近なケースであれば住宅を購入した時にも、お尋ねが来ることがあります。 私たち不動産投資家、大家さんに大いに関係のあるケースとしては、 賃貸用の不動産を購入したり、新築したりした時です。 税務署は法務局から通知される登記簿の記載内容の変更などの情報から、土地を購入したり、新築の建物を建てたりした人に「お尋ね」を送っています。 また、消費税還付申告など、税務署から大きな金額を還付してもらう時も、お尋ねはよくあります。 不動産の購入や相続した時のお尋ねは、取得してからおよそ数カ月から1年後ぐらいまでに、次のページのような書類が届きます。 税務署は、この記載内容を見て、「 購入資金をどうやって用意したのか?」ということを確認したいわけです。 借入だけでなく自己資金も出している場合は、 過去の所得に比べて、手持ちの資金が多すぎないか? また、共有で不動産を購入しているなら、 その共有持分と資金を出している割合に相違がないか? などを見ています。 例えば、夫婦で半分ずつの持ち分で、3000万円の不動産を現金で購入したとしましょう。 妻の方は財産もなく無収入なら、持ち分の1500万円はどこから出したのか? もし全額夫から資金が出ている場合は、妻持ち分の1500万円は夫から妻へ贈与という形になってしまい、贈与税が発生することになります。 借入で購入している場合でも、借入の名義が全額夫なら、贈与になってしまいます。 この辺りの 資金の流れに合理性があるのかを税務署は確認しているわけですね。 また、消費税還付申告では、課税売上の内容や建物金額の根拠、管理会社との契約内容などの資料を求められるケースがあります。 どう回答するべきか? では、お尋ねが来たらどのように対処すればよいのでしょう? このようなお尋ねが来ると、ビックリしてしまう方もいるかもしれませんが、税務署から「すぐに税金を納めなさい」と言われているわけではないので、慌てる必要はありません。 またこの「お尋ね」は回答しなければいけないと法律で定められているものではなく、回答しなくても特に罰則はありません。 ただ税務調査の前段階のものなので、無視や虚偽の記載をして 税務署側に少しでも不審に思われると、税務調査になる可能性が高いので、速やかにありのままを回答しておいた方がいいでしょう。 したがって、スムーズに回答するためには、 不動産の売買契約書や明細書、金銭消費貸借契約書などの根拠資料をしっかりと保管しておく必要があります。 不動産賃貸業をしていて、税理士に業務を委託している人であれば、その税理士にお願いすれば、依頼している税理士から税務署に対して回答してもらえるでしょう。 さらに、その税理士が申告書に書面添付を付けていれば、 税務署からのお尋ねは、まずその税理士に連絡が来ます。 これは書面添付制度と呼ばれていて、税理士は申告書の作成について、計算、整理、相談に応じたことを記載した書面を申告書と一緒に付けることができます。 税務署側は、申告書に書面添付がされている場合は、調査をする前に、まず税理士にお尋ねをしないといけないことになっています。 不動産投資家や大家さんにとっては、税の専門家である税理士がすべて窓口となってくれるわけですから、心配することも少なくなりますし、税務調査が省略されれば、無駄な時間も使わなくて済みますよね。 ただし、この書面添付は、 税理士が「この人は正確に申告をしていますよ」と証明するものですから、税理士側にとっても、信頼のできないお客さんであれば、付けることはできません。 だから税理士にお願いする場合でも、まずは人と人との信頼関係を築くことを心掛けてください。 そもそも、ありのままを正直に申告していれば、お尋ねが来ても、税務調査があっても、何の心配もいらないわけですから、これをお読みの皆さんは、そのことをしっかりと心得ておいて下さいね。
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