パーカーハニフィン(PH は車両、船舶、航空宇宙の制御装置製造に強みを持つ パーカーハニフィン(PH は日本にも進出している多国籍企業です。 その事業内容はモーションコントロールが名高いです。 モーションコントロールとは、その名のとおり、動くものを制御することです。 具体的な工業製品は下図のようになります。 産業機械・建設機械・自動車・エネルギー・製紙などで使われる油圧機器・フィルター・配管継手・ホースなどでパーカーハネフィンの製品を見ることができます。 また、フィルトレーション、フィルター事業も強みのある事業分野です。 空気やガスに含まれる水や油などの不純物を取り除くフィルターを作っています。 それは、各種工場だけでなく、大学の研究室まで幅広く使われています。 大きなくくりでいえば、パーカーハニフィン(PH は部品産業に携わる企業ということになります。 パーカーハニフィン(PH の配当とチャート 2006年5月 株価52ドル 配当0.1533ドル 2016年5月 株価121ドル 配当0.63ドル この10年で配当が4倍になっています。 2014年の11月に0.48ドルから0.63ドルへ値上げし、2015年は微増の配当で辛うじて連続増配記録を更新しました。 米国市場でもトップの連続増配記録ですから、経営陣も配当を大切にしていることが伝わってきます。 株価は10年でおよそ2.5倍です。 扱っている事業分野は地味ですが専門性が高いために順調な企業成長をしており、株価に反映されています。 2016年に入り90ドル近辺までチャイナショックで落ち込んでいましたが、その後急激に値を回復し120ドル近辺になっています。 パーカーハニフィン(PH の基礎データ ティッカー:PH 本社:アメリカ 来期予想PER:18.8倍 PBR:3.6倍 ROE:16.7% ROA:6.6% EPS:6.03ドル 配当:2.52ドル 上場:ニューヨーク証券取引所(NYSE 連続増配60年ながら、無理な配当政策を採用していないことがわかります。 配当余力は十分と言って良く、今後も連続増配記録の更新が期待されます。 ただ、長期投資で持つならば、連続増配銘柄の配当は将来的に高配当になっていることが予想されます。 PER、PBRともに無理のない範囲に納まっています。 tapazou.
次の2020年4月8日 パーカー・ハネフィン日本株式会社 代表取締役社長 日本地域代表 竹山 龍伸 拝啓 貴社ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。 平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、この度のCOVID-19の世界的拡散は、人類がこれまでに経験したことのない脅威となっておりますが、当社は、このような時こそ、お客様の皆さまと、しっかりとコミュニケーションを取らせていただくことが、これまで以上に重要であると考えております。 当社の各国グループ会社は、それぞれ、政府ガイドラインを遵守しながら、お客様と当社社員に対する感染回避のための安全措置について最大限の努力を続けております。 その取り組みにより、お客様にサービスを提供し続けることと、社員とその家族の健康と安全を守ることのバランスを取ることに注力しております。 当社グループの工場では、COVID-19の重症患者の治療に不可欠な人工呼吸器や酸素濃縮器等で使用される製品を提供しており、厳しい環境下ではありますが、フル稼働にて対応しております。 他にも、食料、水、物資を輸送するための大型トラック用のエンジンフィルター、病院/医療設備用フィルターおよびトランスミッションコンポーネント、患者の緊急輸送をサポートする航空宇宙回転翼機製品、食品や医薬品の鮮度維持に必要な冷凍技術等、日常生活に不可欠な技術を使った製品が数多くあり、ご提供し続けております。 パーカーのテクノロジーを駆使した、製品とシステムは、COVID-19の感染拡大に対抗し、世界中で、治療最前線の取り組みを強力に支援しています。 また、米国工場においては、政府の要請により、Federal Infrastructure Industry 米国の重要インフラ産業 指定企業として、COVID-19の影響で一旦操業停止した工場も順次稼働を再開し、お客様のニーズに対して可能なかぎり対応できるよう体制を整えております。 当社は、この世界的パンデミックに直面する中、事業を継続しお客様にサービスを提供し続ける事が、我々の社会的責務を果たすものと認識しております。 そのため、当社は、早くから職場での感染を防ぐためにテレワークを導入するなど積極的な行動を取ってまいりました。 また、ITインフラを整備し、デジタルを活用した製品トレーニングをさらに強化するなど、テレワークを主体とした働き方へ移行を推し進めて参りました。 それらの取り組みにより、お客様にこれまで以上のコミュニケーションを取らせていただきながら、サービス/サポートの充実をはかっております。 非常に厳しい状況下ではございますが、少しでも皆さまのお役に立ちたいという思いでおります。 ジャパン・パーカーおよびパーカー・ハネフィングループとして何かご支援できることがございましたら、是非、お申し付けください。 末筆ながら、皆さまのご隆盛とご健勝を心より祈念申し上げます。
次の駆動をコントロールする工業製品を製造している世界のトップ企業、パーカー・ハネフィン【PH】について、徹底分析していきます。 パーカー・ハネフィン【PH】とは パーカー・ハネフィン【PH】とは、約100年前、1917年3月13日、アーサー・L・パーカーが、カールとともに、オハイオ州クリーブランドの小さなロフトに、パーカー・アプライアンス・カンパニーを設立したのが、始まりです。 当時、トラック、列車、バス向けの空気圧ブレーキシステムや、航空機向けの工業製品を製造していました。 その後、8,000件を超える特許を取得するなど、100年をかけて成長を続けていき、現在では、航空宇宙、気体制御、電気機械、ろ過、流体制御、油圧、そしてシーリングなどの分野(6つの製品グループで構成)において、主にモーションにおいて、制御技術に関する製品を製造しています。 また、事業範囲は世界中に広がっており、50ヶ国において、336個の製造拠点を持ち、流通ネットワークは13,000拠点にも及びます。 そして、62年間の間増配を続けている企業、そう、配当王でもあります。 パーカー・ハネフィン【PH】の事業は、6つのグループで構成されています。 航空宇宙グループ その1、航空宇宙グループ。 航空や宇宙に関連するパーカー・エアースペースは、商業輸送、ヘリコプター、一般航空、そして軍用航空、宇宙関連向けに、制御作動機器、油圧・燃料制御機器、潤滑システム、エアー制御機器などを開発、製造しています。 工業材料グループ その2、工業材料グループ。 工業材料グループは、高度なシーリングデバイスと、その材料を開発、製造しています。 より厳しい公差、より高い温度、そしてさまざまな化学薬品にも対応可能な、高い技術を持っています。 ろ過グループ その3、ろ過グループ。 ろ過グループは、燃料、作動油、圧縮空気、流体、そして水をろ過、分離するための浄化システムを開発、製造しています。 流体コネクタグループ その4、流体コネクタグループ。 流体コネクタグループは、チューブ継手、ホース、ホース継手、バルブ、カップリングなど、流体を制御する製品の開発と製造をしています。 計装グループ その5、計装グループ。 計装グループは、分析機器を開発、製造しているグループです。 石油、ガス、発電、水分析、バイオ医療薬品、半導体関連の高品質で高純度な部品を設計しています。 モーションシステムグループ 最後に、その6、モーションシステムグループ。 モーションシステムグループは、油圧式、空圧式、そして電気式の動きを制御するシステム(アキュムレータやシリンダーなど)の開発と製造をしています。 パーカー・ハネフィン【PH】の企業情報 事業内容 : モーションコントロール製品の製造 冷却、空調システム、流体機器の製造 セクター : 資本財 社名 : Parker Hannifin Corp 市場 : NYSE「ニューヨーク証券取引所」 従業員 : 57,170人 決算 : 6月 配当月 : 2,5,8,11月 30年間の株価推移 パーカー・ハネフィン【PH】の株価推移です。 30年間の株価チャートがこちら。 ここ30年間で、最も株価を下げたのが、なんと、今年、2018年。 211ドルまで上がった株価が、141ドルにまで下がっています。 (その後、少し戻してますが)その額は、70ドル。 時価総額いうと、95億ドルも減っている状況です。 FAANG銘柄の時価総額の減り方に比べれば、少ないのかもしれませんが、半端でない額。 続いて、大きく下げたのは、リーマンショックの2008年。 この時は、50ドル程の下げになっており、工業関連が、大きな打撃を受けた時期になります。 日本でも、ものすごく仕事がなくなった時期ですね。 ただ、こうした大きな下落がある中でも、トータルでは、株価は30年で17倍になっており、確実に成長を続けている企業といえます。 売上高と利益の推移 続いて、売上高と利益について、過去10年間の推移です。 波はあるものの、売上は上がっていっている状況です。 営業利益率も、さして悪くなく、2018年には最も高い13%にまで上げてきています。 工業製品で利益を得る為には、ブランド力と、競合先に対する付加価値(例えば、仕様的に勝っているなど)が必要であり、価格対応だけで売上げを上げるのではなく、商品価値を十分に持っているメーカだといえます。 資本の推移 続いて、資本についてみていきます。 過去10年間の推移がこちら。 2015年、2016年と減少しましたが、総資産は右肩上がりの状況です。 ピークの2017年には155億ドルまで上昇しています。 対し、自己資本はほぼ同水準で推移しており、自己資本比率は減少傾向にあります。 EPSとPERの推移 次は、1株あたり利益「EPS」と株価収益率「PER」の過去10年間の推移です。 1株あたり利益「EPS」は、リーマンショック後の2009年と2010年が3ドル超え位でしたが、その後は上昇し、2018年には8ドル近くにまできています。 また、株価収益率「PER」については、ゆるやかに上げてきており、20倍を超えてきました。 純利益が2011年からほぼ同水準で推移している中での株価上昇であり、割高感は増してきている様子はあります。 BPSとBPRの推移 続いて、1株あたり純資産「BPS」と株価純資産倍率「BPR」についてです。 過去10年間のデータがこちら。 自己資本が大きく増加していない中、発行株式数を減少させている(2009年1.63億株から2018年1.35億株)為、1株あたり純資産「BPS」は、上昇しており、2018年には、40ドルを超えてきました。 また、株価純資産倍率「BPR」は、株価の上昇に伴い上がってきており、1.6倍から4倍を超えるところまで上昇してきています、割高感が増しています。 ROEとROAの推移 株主資本利益率「ROE」と総資本利益率「ROA」の過去10年間の推移です。 株主資本利益率「ROE」、総資本利益率「ROA」ともに、かなり良い数値を毎年継続しています。 株主資本利益率「ROE」については、各年10%を超えており、リーマンショック後の2011年からは、15%超えを継続しています。 総資本利益率「ROA」についても、ある程度の波はあるものの、安定しています。 配当金の推移 気になる配当金と配当利回り、過去10年間の推移がこちら。 ここ10年で見ると、なかなかの増配率です。 2009年の1株あたり1ドルから、10年後には、2.7倍にまでなっています。 それでも、株価の上昇により、配当利回りは、1.5~2.0%の間で推移といったところです。 もしも10年前に株を購入していたとすると想定した場合、現在の配当利回りは、6.48%と、かなりの高配当となっていました。 リーマンショック後、購入していた投資家は、かなりのやり手投資家といえるでしょう。 続いて、配当性向を見てみましょう これだけの増配を続けていながら、配当性向はかなり低い値をキープ。 最も高かった2016年で約43%であり、今後の増配にも余裕を感じます。 キャッシュフローの推移 最後に、キャッシュフローの推移になります。 過去10年間のデータがこちら。 キャッシュフローは、ものすごく安定しています。 フリーキャッシュフローも、ここ10年間は10億ドルをキープしていますし、投資キャッシュフローについても、全然まかなえている範囲です。 まとめ さまざまな指数により、パーカー・ハネフィン【PH】を分析しました。 工業関連の企業は、景気のあおりを非常に受けやすく、リーマンショック時、そしてチャイナショック時と、不況時には、株価、売上、そして資本のすべてがマイナス側に振れてしまう傾向があります。 そうした中、十分な余裕を持った配当性向の中での大幅な増配と、安定したフリーキャッシュフローには、とても魅力を感じる企業です。
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