ロキソプロフェンは解熱鎮痛剤としてよく使われる成分のひとつであり、頭痛や生理痛など幅広い痛みや、解熱を目的として使用されています。 ロキソプロフェンは、NSAID's(非ステロイド性消炎鎮痛剤)という種類の成分で、シクロオキシゲナーゼの働きを阻害することで、痛みや炎症の原因物質「プロスタグランジン」が体内で産生されるのをおさえ、痛みや炎症をおさえます。 また、ロキソプロフェンは胃や腸の中を通る時は、胃粘膜刺激作用や小腸での潰瘍形成作用が弱い状態で通過し、体内に吸収された後に痛みや発熱に効果を示す形に代謝される「プロドラッグ」というタイプの成分です。 そのためロキソプロフェンは、ケトプロフェン・ナプロキセン・インドメタシンなど、ほかのNSAID'sと比較して、消化管障害が少ないといわれる成分です。 ロキソプロフェンとロキソニンの関係 ロキソプロフェンはロキソニンという製品の成分になります。 ロキソプロフェンは処方薬ではロキソニン錠60mg、市販薬ではロキソニンSなどの成分としても含まれています。 つまり、ロキソプロフェンとロキソニンの違いは先発医薬品とジェネリック医薬品(後発医薬品)の違いということもできます。 ロキソプロフェンという名前でも、ロキソニンという名前でも有効成分は同じなので、基本的には効能・効果も同じと考えて問題ありません。 効能・効果 まず、ロキソプロフェンを有効成分とする処方薬の「ロキソニン錠60mg」と、ロキソニン錠60mgと同じ有効成分を同用量配合した市販薬の「ロキソニンS」の効能・効果を比較します。 【医療用医薬品のロキソニン錠60mgの効能・効果】 効能・効果 1. 下記疾患並びに症状の消炎・鎮痛 関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、肩関節周囲炎、頸肩腕症候群、歯痛 2. 手術後、外傷後並びに抜歯後の鎮痛・消炎 3. 関節リウマチ・変形性関節症などの疾患に消炎・鎮痛目的で使用する場合は、医師の適切な診断のもと使用する必要があります。 市販薬のロキソニンSは効能・効果に記載された症状にのみ使用し、それ以外の症状の場合は自己判断での市販薬の使用はせず、医療機関を受診しましょう。 また、ロキソプロフェンは胃や腸を荒らすことがあり、胃や腸の痛みに使うことはできないため注意が必要です。 頭痛には効く? 市販薬のロキソニンSの添付文書には「頭痛」と記載がありますが、処方薬のロキソニン錠60mgには「頭痛」の記載はありません。 しかし、頭痛の種類にもよりますが、ロキソプロフェンを有効成分とする処方薬の飲み薬も、ロキソニンSと同様に頭痛をやわらげることができます。 「片頭痛」「緊張型頭痛」などによく処方され、「片頭痛」「緊張型頭痛」に処方された場合は保険も適用されます。 市販薬のロキソニンS・処方薬のロキソニン錠60mg、どちらでも頭痛に使用できますが、頭痛薬を月に10日以上使用している方は、頭痛薬が原因の頭痛を引き起こしている可能性もあります。 頻繁に頭痛がある方は医療機関を受診し、医師に相談しましょう。 生理痛には効く? 生理痛がひどくて生活に支障が出るような症状を「月経困難症」と呼びます。 市販薬のロキソニンSでは生理痛が効能・効果として明記されていますが、処方薬のロキソニン錠60mgの効能・効果には生理痛も月経困難症も記載されていません。 しかし、ロキソプロフェンを有効成分とする処方薬の飲み薬も、ロキソニンSと同様に生理痛をおさえることができ、医療機関でも処方される薬のひとつです。 ロキソプロフェンが効くまでの時間 ロキソプロフェンの薬を飲んでから、作用が現れるまでには個人差はありますが、15分〜30分程度かかります。 まずは余裕を持って30分〜45分ほど効果が出るのを待つことが大切です。 痛みが続く場合 1錠使用して時間が経っても痛みがおさまらないとき、もう1錠追加したいと思うことがあるかもしれませんが、使用間隔は最低でも4時間以上あける必要があります。 基本的にロキソプロフェンは頭痛・生理痛ともに1回あたり1錠での使用となります。 医師から処方された場合1回2錠まで使用するケースもありますが、自己判断で2錠に増やすのはやめましょう。 そもそも決められた1錠を使用しても頭痛・生理痛がおさまらない場合は、ロキソプロフェンでは対処しきれない痛みの可能性があります。 神経痛や片頭痛などでは、ロキソプロフェンの効果があまりよくないケースもあります。 また、片頭痛や生理痛だと思っていた症状が、実は別の病気であるおそれもあります。 処方薬・市販薬のどちらの場合でも、一定期間使用しても効かないときは、医療機関を受診しましょう。 主な副作用として、胃部不快感、腹痛、悪心・嘔吐、食欲不振等、浮腫・むくみ、発疹・蕁麻疹、眠気などが報告されています。 腹痛・胃部不快感などの消化器症状を軽減するためにも、空腹時の使用を避けることが望ましいでしょう。 ロキソプロフェン(ロキソニン錠)の副作用について詳しい情報は、関連記事をごらんください。
次のもくじ• 1.ロキソプロフェンはどんな薬? ロキソプロフェンが痛み止めだということは、ご存知の方が多いでしょう。 そこで、ロキソプロフェンがどのように効くのか、また、どのような人に使うことができるのかなどについて解説します。 1-1. ロキソプロフェンの効果 ロキソプロフェンは、炎症に関わる体内物質「 プロスタグランジン」の生成をおさえ、痛みやはれ、発熱などをやわらげる効果を持ちます。 解熱・鎮痛・消炎作用のバランスが良く、頭痛・生理痛・関節痛などのほか、発熱や喉の痛みを伴う風邪などにも使われます。 ただし、神経障害性疼痛(手術後に長く続く痛み・帯状疱疹後の長引く痛み・糖尿病による神経障害による痛みなど)には有効性が十分に証明されておらず、線維筋痛症(全身に痛みが生じる原因不明の病気)に対しても効果があまり期待できません。 1-2. どんな人に使われる? ロキソプロフェンが使えるのは、15歳以上の方です。 適応となるのは、すでに紹介した頭痛・生理痛・関節痛・発熱や喉の痛みを伴う風邪のほか、歯痛・抜歯後の痛み・外傷による痛み・打撲痛・ねんざ痛・筋肉痛などです。 また、医療機関では手術直後の痛みや関節リウマチなどに対して使われることもあります。 一方で ・胃潰瘍や十二指腸潰瘍がある人 ・重い血液の異常(赤血球数・血小板数・白血球数が少ない、など)がある人 ・重い肝臓・腎臓・心臓の病気がある人 ・ロキソプロフェンにアレルギーがある人 ・アスピリン喘息(痛み止めなどで誘発される喘息)を経験したことがある人 ・出産予定日12週以内(妊娠8~10ヶ月)の人 などに対しては、副作用や病気の悪化、体への悪影響などが生じる可能性があるので、使用が禁止されています。 2.ロキソプロフェンの副作用 ロキソプロフェンの副作用としては胃腸障害が有名ですが、他にも注意が必要な副作用がいくつかあります。 ここでは報告の多い副作用を中心に、気をつけるべき副作用や初期症状などについて紹介します。 2-1. 報告のある主な副作用 2018年1月改訂のロキソプロフェン錠の添付文書(医療用)によると、調査を行った13,486例中副作用報告は409例(約3%)だったそうです。 その内訳は ・胃の不快感・腹痛・悪心や嘔吐・食欲不振など消化器関連症状:2. 25% ・むくみ:0. 59% ・発疹や蕁麻疹など:0. 21% となっています。 なお、消化器関連症状やむくみが生じるのは、ロキソプロフェンによるプロスタグランジン産生抑制が影響していると考えられます。 プロスタグランジンは、炎症だけではなく胃粘膜保護作用や腎臓の機能維持にも関与する物質です。 そのため、産生がおさえられると消化器関連症状が生じやすくなり、また水分やナトリウム(塩分)が体内に留まりむくみが生じやすくなるのです。 2-2. こんな副作用もあるので注意 まず、ロキソプロフェンの使用が禁止されている病気などと関連する副作用についてです。 ・貧血や白血球数・血小板の減少 ・肝機能に関わる検査値の異常、劇症肝炎 ・腎機能の悪化(急性腎障害など) ・うっ血性心不全(血液を十分に循環させられない状態) いずれも発生頻度は低いですが、放置すると危険な副作用です。 また、動物症例ですが、妊娠末期の投与で分娩遅延・胎児の血管への悪影響などが報告されています。 その他、喘息症状、体温の下がりすぎや手足の冷え、便秘や下痢、動悸、尿量の減少や排尿困難などが生じることもあります。 眠気は出る? ロキソプロフェンの副作用として報告されている眠気の発生頻度は0. 1~1%未満です。 アレルギー薬の中でも特に眠気が起こりにくいとされているフェキソフェナジン錠(アレグラなど)でさえも、眠気の発生頻度は0. 1~5%未満なので、それと比較するとロキソプロフェンの眠気発生頻度はさほど高くないといえます。 とはいえ、服用時に眠気が発生する可能性は否定できません。 眠気を感じた場合には無理をせず、可能ならば体を休めるようにしましょう。 3.ロキソプロフェンの副作用かな?と思ったら では、ロキソプロフェンの副作用と思われる症状があらわれた場合はどうすればよいのでしょうか?次は、副作用が発生した時の対処法や注意点についてです。 3-1. 副作用が出た時の対処・注意点 多くの副作用は一時的で、ロキソプロフェンの服用を中止すれば症状がやわらいできます。 しかし、以下の症状があらわれた場合は、重大な副作用の初期症状の可能性があります。 直ちに服用を中止して、医療機関で診察を受けましょう。 気になる症状がある場合は、医師・薬剤師に相談しましょう。 3-2. 代替薬はある? ロキソプロフェンで副作用が生じた場合、成分の違う痛み止めを使うのも一つの方法です。 医療機関で処方される医療用医薬品の場合、ロキソプロフェンの代替薬はたくさんありますが、患者さんのリクエスト通りのものを医師が処方してくれるとは限りません。 医療機関での処方を希望する場合は、ロキソプロフェンを希望しないことを理由とともにしっかり伝え、他の薬剤の処方や副作用を軽減する併用薬の処方をお願いしましょう。 市販薬の場合、ロキソプロフェンの代わりにつかえる商品は限られていますが、眠気などは痛み止めの成分を他のもの(イブプロフェン・アスピリン・イソプロピルアンチピリン・アセトアミノフェンなど)に変えるだけで落ち着くことがあります。 また、胃痛などがある場合は、胃粘膜保護成分を配合しているものや、ロキソプロフェンよりも胃障害を起こしにくいとされる「アセトアミノフェン」を主成分とする痛み止めを選ぶとよいでしょう。 医療用のロキソニン錠と同じように有効成分がロキソプロフェンのみのものもありますが、胃粘膜保護成分や鎮痛効果を助ける成分を配合しているものもあります。 薬局によってはプライベートブランド品を取り扱っていることもあるので、興味のある方は薬剤師に確認してみましょう。 5.おわりに ロキソプロフェンを服用すると、胃腸障害やむくみ、眠気などが副作用として生じることがあります。 いずれの副作用も発生頻度はそれほど高くありませんが、中には治療が必要となるケースもあります。 重篤な副作用の初期症状と思われる症状があらわれた場合には、早急に医療機関を受診しましょう。 一方で、副作用のほとんどはロキソプロフェンの服用を中止すれば消失しますし、副作用の症状をやわらげる薬を併用することでロキソプロフェンの服用を継続することも可能です。 ロキソプロフェンは市販で購入することもできますが、症状や体質にあう商品を選ぶようにしましょう。
次の効果が出るまでの時間(Tmax) ロキソニンの有効成分であるロキソプロフェンナトリウムは小腸で消化された後、活性体であるtrans-OH体に変化して効果を発揮します。 服用してから血中の濃度が最大になるまでの時間を Tmax(ティーマックス)というのですが、活性体であるtrans-OH体のTmaxは0. 79時間(50分)となっており、ロキソニンを服用して50分で効果が最大となります。 服用後15分〜30分で効き始め、50分後に最大となり 即効性がある解熱鎮痛剤がロキソニンです。 服用間隔はどれくらいあけたらいい?半減期について 薬の濃度が半分に分解される時間を 半減期というのですが、ロキソニンの活性体の半減期は1. 31時間(約80分)となっています。 つまり、ロキソニンを服用して約50分後に効果が最大となり、その後80分ごとに体の中のロキソニン(活性体)の濃度が半分ずつ代謝されていくのです。 服用して4時間ほど経つとほとんど代謝されてしまいますので、頓服で服用する場合は 4時間間隔くらいがよいでしょう。 お酒を飲む場合は間隔あけたらいい? 「ロキソニンを服用中はお酒飲んだらダメ?」 これもよく患者さんから聞かれる質問ですが、 実はアルコールとロキソニンは併用注意にはなっておらず飲み合わせは問題ありません。 お酒を飲むと血管が拡張し血流がよくなることから痛みを強く感じたり、咳止めや鼻水を抑える薬を併用している場合は眠気やふらつきが増強することがあります。 抜歯後など痛みがひどい時や、風邪気味の時はアルコール自体を避けたほうがいいですが、ロキソニンとお酒の飲み合わせは大きな問題はありません。 効能・効果・飲み方 ロキソニンの効能・効果は下記の通りです。 頓用の場合は、1回60~120mgを経口投与する。 なお、年齢、症状により適宜増減する。 また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。 なお、年齢、症状により適宜増減する。 ただし、原則として 1日2回までとし、 1日最大180mgを限度とする。 また、空腹時の投与は避けさせることが望ましい。 1日最大何錠まで飲んでいい? 解熱・鎮痛を目的で服用する場合は1日180mg、つまりロキソニンは1日3錠までが最大となります。 1回に2錠飲める? 「1回2錠で服用」と指示があった時、時々患者さんが不安そうに「2錠も飲めるの?」と聞かれることがあります。 上の用法・用量にもあるように関節リウマチや腰痛、歯痛で頓服で服用する場合は1回60mg~120mgとなっており、腎機能や肝機能に問題がなければ1回2錠で服用しても体に大きな負担はないとされています。 眠気の副作用はでる? 「ロキソニンは眠くなりますか?」 患者さんからよく聞かれる質問ですが、0. 実際にロキソニンで眠気が出る可能性は極めて低いです。 スポンサーリンク• カテゴリー• 4 こんにちは。 現役薬剤師Yu(ユー)です。 2006年に京都薬科大学薬学部を卒業し、薬剤師免許を取得後、調剤併設ドラッグストアと調剤薬局にて勤務する現役薬剤師です。 健康食品や市販薬、内科、整形外科、皮膚科、小児科、在宅医療まで幅広く患者さんと関わってきました。 「一人の患者さんが抱える薬の疑問は、みんなが抱える疑問かもしれない」 私が薬剤師として活動する中で、患者さんに聞かれたことや、患者さんが知っておく必要があると思った情報をまとめるためにサイトを立ち上げました。 最近は患者さんだけでなく、ヘルパーさんや看護師さんなど医療従事者の方も薬の勉強のために閲覧をいただいております。 「薬に関わる疑問を少しでも解消したい。 」 そのような思いで日々サイトを磨いてまいります。 まだまだ成長過程の薬剤師ですが、一人でも多くの方がこのサイトがあってよかったと思っていただるように自分の抱える知識を発信してまいります。 スポンサーリンク.
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