日本でベンチャー支援の活動をしていると「日本人は失敗に慣れていない」と実感するときがあります。 目の前に問題があると、すぐに諦め、身を引いてしまうのです。 自社で開発したビジネスに大手企業が参入してくると「資本力が違うし…」などと言って逃げ腰になる人がいます。 私に言わせれば、腰の重い大手さえ参入したくなるくらいに魅力的なビジネスであれば、ベンチャーの目の付けどころとしては大成功です。 大手が宣伝力を発揮して市場全体が拡大すれば、その道の第一人者としてビジネスチャンスを大きく広げることができるのに、と非常にもったいなく感じます。 あるいは、日本国内である程度の顧客がついてくると、すぐ海外展開に乗り出そうとする人がいます。 シリコンバレーの空気さえ吸えば、個人も企業も自然と成長できるのだと勘違いしているのです。 しかし、それは「隣の芝は青い」と感じているだけのこと。 「海外に行こうと思うのですが…」と相談を受ける場合、多くが目の前の顧客からの厳しい要望に向き合えず、自分の失敗や至らないところを見つめ直す過程を丸ごと避けようとしているように感じられます。 こんな姿勢では、どこに行ってもサービスの質は向上せず、それこそ競合においしいところを取られてしまうだけです。 ビジネスの成長には時間がかかることを忘れてはいけません。 日本人のベンチャー起業家によく見られる傾向は「せっかち」です。 行動すれば直ちに成果がついてくると考えているか、さもなければすぐに落ち込み、諦め、ゼロベースで別のことを始めようとします。 よく言えば「潔い」のかもしれませんが、悪く言うと継続性がありません。 そういえば、ジョブローテーションの名の下に担当者がすぐに入れ替わったり、不祥事が起きると担当者が謝罪会見の後に辞任したりする習慣も「誰が責任者なのかわからない」「誰が最後まで責任を果たしてくれるのかわからない」という理由で、海外では多くの場合、批判的に語られます。 フェイルファストのフェイルとは、問題を特定して改善を導く手段のことです。 思った通りに行かないからといって、諦め、逃げ出し、最初から別のことをやり直すのはフェイルではありません。 大切なのはフェイルは積み重ねであること。 手痛い失敗をしたときほど、その後の対応にベンチャー起業家としての資質が現れます。 なかなか日本に既存の大企業にも肩を並べるような、米アップルやグーグルクラスのベンチャー企業が育ってこない理由は「フェイルファスト」というシンプルな原則が、決まり言葉として認知されていないからかもしれません。 (インテカー社長 斉藤ウィリアム浩幸〈ツイッターアカウント whsaito〉) 〔日経産業新聞2015年2月6日付〕.
次のフレイルとは 公開日:2016年7月25日 15時00分 更新日:2019年10月 4日 13時15分 フレイルとは、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。 しかしフレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。 高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症も引き起こす危険があります。 フレイルの基準やフレイル状態になるとどのようなことが起きるかについてわかりやすくまとめます。 フレイルとは フレイルは、海外の老年医学の分野で使用されている英語の「 Frailty(フレイルティ)」が語源となっています。 「 Frailty」を日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などを意味します。 日本老年医学会は高齢者において起こりやすい「 Frailty」に対し、正しく介入すれば戻るという意味があることを強調したかったため、多くの議論の末、「フレイル」と共通した日本語訳にすることを2014年5月に提唱しました 1。 フレイルは、厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」 2 とされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。 多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。 高齢者が増えている現代社会において、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。 フレイルの基準 フレイルの基準には、さまざまなものがありますがFriedが提唱したものが採用されていることが多いです。 Friedの基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。 体重減少:意図しない年間4. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる• 歩行速度の低下• 握力の低下• 身体活動量の低下 フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。 次に、フレイル状態に至るとどのようなことが起きるか説明します。 フレイル状態に至るとどうなるか フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。 また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になっています。 例えば健常な人が風邪をひいても、体の怠さや発熱を自覚するものの数日すれば治ります。 しかし、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。 また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。 転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。 フレイルの状態に、家族や医療者が早く気付き対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らせる可能性があります。 具体的なフレイルへの介入方法に関しては、「フレイルの予防」の項目で説明します。 参考文献• 厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 総括研究報告書 後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究 研究代表者 鈴木隆雄.
次のフレイルとは 公開日:2016年7月25日 15時00分 更新日:2019年10月 4日 13時15分 フレイルとは、わかりやすく言えば「加齢により心身が老い衰えた状態」のことです。 しかしフレイルは、早く介入して対策を行えば元の健常な状態に戻る可能性があります。 高齢者のフレイルは、生活の質を落とすだけでなく、さまざまな合併症も引き起こす危険があります。 フレイルの基準やフレイル状態になるとどのようなことが起きるかについてわかりやすくまとめます。 フレイルとは フレイルは、海外の老年医学の分野で使用されている英語の「 Frailty(フレイルティ)」が語源となっています。 「 Frailty」を日本語に訳すと「虚弱」や「老衰」、「脆弱」などを意味します。 日本老年医学会は高齢者において起こりやすい「 Frailty」に対し、正しく介入すれば戻るという意味があることを強調したかったため、多くの議論の末、「フレイル」と共通した日本語訳にすることを2014年5月に提唱しました 1。 フレイルは、厚生労働省研究班の報告書では「加齢とともに心身の活力(運動機能や認知機能等)が低下し、複数の慢性疾患の併存などの影響もあり、生活機能が障害され、心身の脆弱性が出現した状態であるが、一方で適切な介入・支援により、生活機能の維持向上が可能な状態像」 2 とされており、健康な状態と日常生活でサポートが必要な介護状態の中間を意味します。 多くの方は、フレイルを経て要介護状態へ進むと考えられていますが、高齢者においては特にフレイルが発症しやすいことがわかっています。 高齢者が増えている現代社会において、フレイルに早く気付き、正しく介入(治療や予防)することが大切です。 フレイルの基準 フレイルの基準には、さまざまなものがありますがFriedが提唱したものが採用されていることが多いです。 Friedの基準には5項目あり、3項目以上該当するとフレイル、1または2項目だけの場合にはフレイルの前段階であるプレフレイルと判断します。 体重減少:意図しない年間4. 疲れやすい:何をするのも面倒だと週に3-4日以上感じる• 歩行速度の低下• 握力の低下• 身体活動量の低下 フレイルには、体重減少や筋力低下などの身体的な変化だけでなく、気力の低下などの精神的な変化や社会的なものも含まれます。 次に、フレイル状態に至るとどのようなことが起きるか説明します。 フレイル状態に至るとどうなるか フレイルの状態になると、死亡率の上昇や身体能力の低下が起きます。 また、何らかの病気にかかりやすくなったり、入院するなど、ストレスに弱い状態になっています。 例えば健常な人が風邪をひいても、体の怠さや発熱を自覚するものの数日すれば治ります。 しかし、フレイルの状態になっていると風邪をこじらせて肺炎を発症したり、怠さのために転倒して打撲や骨折をする可能性があります。 また、入院すると環境の変化に対応できずに、一時的に自分がどこにいるのかわからなくなったり、自分の感情をコントロールできなくなることもあります。 転倒による打撲や骨折、病気による入院をきっかけにフレイルから寝たきりになってしまうことがあります。 フレイルの状態に、家族や医療者が早く気付き対応することができれば、フレイルの状態から健常に近い状態へ改善したり、要介護状態に至る可能性を減らせる可能性があります。 具体的なフレイルへの介入方法に関しては、「フレイルの予防」の項目で説明します。 参考文献• 厚生労働科学研究費補助金(長寿科学総合研究事業) 総括研究報告書 後期高齢者の保健事業のあり方に関する研究 研究代表者 鈴木隆雄.
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