画像検査で認知症診断 画像検査の種類によって、わかることや見え方が違います 画像診断には、脳の形を調べる形態画像診断(CT、MRIなど)と、脳の機能を調べる機能画像診(脳血流SPECTなど)の二種類があり、それぞれわかることが違います。 検査 わかること 実際の画像を 見てみよう CT (シーティ) 脳の形(形態)を調べます。 脳の血腫、腫瘍の有無、梗塞・出血の有無を調べ、緊急に治療を必要とする疾患を見つけます。 ・慢性硬膜下血腫 ・脳腫瘍 ・頭部外傷 ・脳出血 ・脳梗塞 など MRIでは脳の萎縮の状態もわかり、認知症の診断に役立ちます。 脳梗塞 CT 髄膜腫 MRI MRI (エムアールアイ) 脳血流SPECT (スペクト) 脳の機能が低下すると、血流が低下します。 つまり、脳の血流低下がみられる部分は機能が低下している部分です。 その部位は認知症の原因によって異なるので、脳の血流低下のパターンを確認することは、 ・アルツハイマー型認知症 ・脳血管性認知症 ・レビー小体型認知症 ・前頭側頭型認知症 など、認知症の原因を診断するために役立ちます。 アルツハイマー型 認知症 画像提供:国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター センター長 松田 博史 (主な認知症については、「これだけは知っておきたい認知症」をご覧ください。 ) 健康な人の画像と、アルツハイマー型認知症の人の画像を比べてみましょう。 MRI検査では、脳の萎縮の状態がわかります。 アルツハイマー型認知症の初期では、脳全体では目立った萎縮はみられませんが、海馬などが萎縮していることがわかります。 SPECT検査では、脳の血流低下の状態がわかります。 症状で診断がつかないくらい初期の認知症や軽度認知障害でも、脳の血流低下がみられます。 血流低下している部位は、認知症の原因によって異なります。 (主な認知症の特徴的な血流低下部位については、「」をご覧ください) 画像提供:国立精神・神経医療研究センター 脳病態統合イメージングセンター センター長 松田 博史 <どんな働きをしているところ?> 海馬 … 主に記憶を作るところです。 特に新しい記憶に関係があります。 後部帯状回 … 空間認知(どこにいるのかわからない)や記憶などに関係があります。 頭頂葉 … 言語による表現、行動、空間認知(どこにいるのかわからない)などに関係があります。 楔前部 けつぜんぶ … 記憶などに関係があります。 前頭葉 … 行動をおこすこと 運動・意思など に関係があります。
次の「記憶」や「学習」は脳の高次機能の代表格としてよく知られています。 生物はこの記憶や学習をどのように行っているのでしょうか。 可塑性とは本来、物が外力を受けるとそれに反応して変形し、その後もその形状が保たれることをいいます。 plasticity(可塑性)はギリシャ語に起源を持つ英語ですが、例えば、人工的に有用な形状に作られた「プラスチック」はこれが語源になっています。 工業分野では可塑性材料はよく使われます。 中枢神経における可塑性とは、外界から入ってきた刺激に対して神経系が構造的、あるいは機能的に変化する性質のことを指します。 松田信爾准教授は、中枢神経系の臓器である脳の「シナプス可塑性」の現象の解明を目指し、これまでに記憶と忘却の脳内メカニズムの鍵をいくつも突き止めてきました。 こうした研究を通じて、松田准教授は「記憶や学習障害などの病態の理解や、その治療法の開発に役立たせたい」と考えています。 人間の脳は、膨大な数の神経細胞がシナプスによって結合し、電気信号を次から次へと伝えています。 シナプスにおける信号の伝達効率が長期間にわたって増強、または抑圧されることが記憶・学習や忘却過程の仕組みであるとされ、それぞれ「長期増強(Long Term Potentiation:LTP)」、「長期抑圧(Long Term Depres-sion:LTD)」と呼ばれています。 シナプスにおける信号の伝達は神経細胞の表面に存在するAMPA型グルタミン酸受容体(AMPA受容体)が担っており、その伝達効率が状況に応じて変化する現象が「シナプス可塑性」です。 LTPやLTDはシナプス可塑性の一種であり、AMPA受容体の数の増減によって起きると考えられています。 しかし、LTPおよび、LTDの分子メカニズムは最近まで未解明のままでした。 こうした背景のもとで、松田准教授らの研究チームは、新しい記憶を獲得する過程で重要な脳部位とされる海馬の神経細胞を使って、LTD時にAMPA受容体がシナプスから取り除かれる機構を世界で初めて明らかにしたのです。 LTD時、細胞表面のAMPA受容体の数が減少する仕組み シナプス可塑性の理解は格段に進みました。 しかし、松田准教授の興味はメカニズムの解明にとどまりません。 というのは、AMPA受容体の数が制御されている機構が明らかになったことで、「シナプス可塑性を人為的に操作する」可能性が現実味を帯びてきたのです。 松田准教授によれば、まだ「脳神経疾患の治療に向けた第一歩」を踏み出したばかりですが、目指しているのは、記憶や学習障害を治療する技術の開発なのです。 現在取り組んでいるのが、光刺激によるシナプス可塑性の制御です。 AMPA受容体がうまく働かないと、記憶や学習に障害が起きることが分かっています。 シナプス可塑性に重要なAMPA受容体の細胞内輸送(エンドサイトーシス)を光刺激によって阻害し、LTDの誘導を一時的に止めたマウスが、その期間だけ記憶や学習の能力が低下していれば、シナプス可塑性と記憶や学習の脳機能が、直接関連していることを示すことができます。 シナプス可塑性の制御法を開発した暁には、他の細胞内小器官の制御にもその技術を適用できるだろうと松田准教授は考えています。 まず想定できるのは細胞小器官の一つであるゴルジ体で、ゴルジネットワークの機能を制御できれば、アンジェルマン症候群などのいくつかの疾患で異常をきたした神経細胞を再生できるのではないかと見通しています。 より長期的には、ミトコンドリアへの展開です。 光でミトコンドリアを制御できるようになれば、人工的に動物細胞に光合成を行わせることができるようになるかもしれません。 ミトコンドリアはパーキンソン病などの神経疾患との関連も深いと言われており、こうした病気の治療にも将来、道が開けることになるのでしょうか。 もっとも、AMPA受容体が関与する疾患も多くあります。 認知症や虚血、神経変性疾患時の神経細胞死などで、このような疾患を治療する新薬の登場も待たれます。 「研究はやればやるほど、分からないことが出てきて面白い」と話す松田准教授。 「細胞内小器官の光制御システムが完成したら、どんな細胞にも使える。 細胞を扱うあらゆる企業や機関に使って欲しい」と考えています。 電気通信大学に2014年に新たに研究室を構えたので、工学分野との融合研究も模索しているということです。 【取材・文=藤木信穂】.
次の早期アルツハイマー型認知症診断支援システム(そうきアルツハイマーがたにんちしょうしんだんしえんシステム、Voxel-based Specific Regional analysis system for Alzheimer's Disease, VSRAD, ブイエスラッド)とは、病院核医学診療科の総監修の下、ならびにが共同開発した、早期診断支援システム。 アルツハイマー病診断の経験値に基づく客観的判断を目指したもの。 早期アルツハイマー病では、がにおいて特に著明であるため、1. 5のにより収集した脳全体の立体データを専用端末に取り込み、専用解析ソフトで脳全体と海馬の萎縮の程度を一定値(ボクセル値)へ変換した後、健常人のデータベースと照合・解析する。 実際には海馬体の周辺にあたる嗅内野を含むいわゆる海馬傍回のあたりを中心に解析される。 必要な画像は基本的にはサジタル(矢状断)画像である。 萎縮の程度は0(萎縮なし)以上の数値で表され、海馬の萎縮が脳全体のそれより強いほど、大きな数値となる(2以上なら早期アルツハイマー病の疑いあり、1以上であれば、前駆を含むMCI(軽度認知機能障害 - Mild Cognitive Impairment)の関連を疑い、経時的にフォローすべきである)。 従来アルツハイマー病の診断にはやなどを用いた検査(検査)が必要であったが、VSRADは一般の医療機関で広く使われるMRI装置があれば良く、手軽にまた短時間で判定できるため、今後の普及が期待されている。 関連項目 [ ]• この項目は、に関連した です。 などしてくださる(/)。
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