著者近影 そりゃあ, 人間生きてりゃ不満は出てくるわよね。 多くのことは思いどおりになんていかないんだから。 一方で,今は一人一人が声を上げやすい世の中になってきた。 SNSがあるから。 思ったことを文字や画像や動画で可視化させやすいのよね。 人生で思いどおりにいかなかった場合もまた,その思いを可視化させやすいのですよ。 ただね。 思いどおりにいかないこと,思ったことを気軽に可視化させられること。 この二点の落としどころってどこなんだろうなって,最近よく考えるの。 例えば,どこかの会社に商品についての問い合わせをしたとしましょう。 そこで会社側が「顧客の要望に添えない場合がある旨」を伝えたとします。 問い合わせした側からすれば,自分の意にそぐわない回答だった場合に「あの会社の対応が悪かった」という思いを,気軽に可視化できるわけですよ。 そして,その可視化された思いを見た人は,「なるほど。 あの会社の対応は悪いんだな」と思ってしまう。 でも会社側からすれば,できないものはできないと言ったに過ぎなかったりする。 このケース,単に会社のイメージが落ちただけなのよね。 ただ,問い合わせた側にとっては,思いどおりにいかなかったことを可視化させることで,ストレスを発散できるという側面がある。 そこに共感してくれる人だっているかもしれないしね。 こう書くと,問い合わせた側が悪いように見えるかもしれないけれど,実際に回答する側の言い回しだったり態度だったりが悪く感じられることだって,もちろんあるわよね。 そんな対応をされた日には,そのときの気持ちを可視化したくなる気持ちも分かる。 もうね, 何が正解なのかが分からない。 比較的ライトに思いをぶつけられる世の中である以上, 我慢しろとも言えない。 ただ, どこかで誰かが我慢しなければ収まらない。 他人と違うってそういうことだから。 ぶつかり合いの多い世の中だけど,我慢ばかりしていても良くないし,意見を押しつけ過ぎてもよくない。 落としどころってどこなんだろうか。 矛を出せる世の中だけど,みんなが矛を出し続けたら傷つく人が増えるのは分かる。 振り上げた矛の収めどころ。 それが本当に分からない。 ただ,私はなるべく物事を前向きに考えようと思う。 思いどおりにいかないことは多々あるし,他人と違う部分もいっぱいある。 酒は飲めないし,つらい経験はしたくないし,人付き合いは悪いし,連絡もあまりしない。 結果,友達もいないし後輩からも慕われないし恋人もいやしない。 それを武器にできないか,と考えてみる。 そして考えた末に,今まさにこの連載のネタに使っている。 ほーら! これで差し引きゼロ。 ……ゼロ? まあ,私は思いどおりにいかなくても,そこからどうするかを考えるようにしたいなって話です。 で,今週は「」について。 これがね, 見事にクセのある作品なのですよ。 最近Nintendo Switch向けに発売されたんだけど,これって2004年にPlayStation 2向けに発売された 「九龍妖魔學園紀」のHDリマスターなのね。 最初に言っておくけど,プレイしてみて決してストレスのない作品ではないの。 ストーリーが展開されるアドベンチャー要素と,ダンジョンを探索しながら敵と戦っていくRPG要素が交互に展開していく流れなんだけど,どちらもクセが強い。 キャラクターの質問に対して主人公は八つの感情を入力していくことで相手のリアクションが変わるという要素もあるんだけど,正直分かりづらいのよね。 一方でダンジョンのほうも移動できる方向が限られていたり,思ったように動けなかったりといった部分で,モヤモヤが残るの。 だけど誤解してほしくないのは, そういう部分があるから面白くないのかと聞かれると「でも面白い」と答えるしかない。 いや,「面白い」ではないな。 「ワクワクする」って表現のほうが近いかもしれない。 主人公はトレジャーハンターで,学園ドラマを楽しみながらいろんな仲間と冒険に出かける。 シンプルな設定だけど,そこに対するワクワク感が半端じゃない。 クセは強いけど,そのクセがあるだけでほかのゲイムと違う匂いを醸し出しているのよね。 そしてね。 よくよく考えたらゲイムはこう言っているのよね。 「人間って,質問に対して『はい』か『いいえ』って答えだけじゃないでしょう? 『はい』にもいろんな感情があるし,『いいえ』にもいろんな感情がある」と。 それをゲイムに落とし込んだ結果,少々分かりづらくなったけれども,プレイヤーが想像するための余白にもなっている。 たぶん,作り手はある程度,プレイヤーにとって分かりづらいことは把握していると思うの。 でもきっと,人間を描くにあたって必要だからこうしたんじゃないかと思うの。 そして間違いなく,このケツ断がゲイムのクセとなって,ほかのゲイムとの違いを生み出しているの。 逆に,それを生み出すためにこういうゲイムデザインにしたのかもしれない。 直接聞いたわけじゃないから,見当違いかもしれないけど。 ただ,ストレスを極限まで減らそうとするゲイムが多い昨今,ストレスと付き合っていくタイプのゲイムに新鮮さを感じたのも事実。 ひょっとしたら,今この時代にHDリマスターされた意味というのも,そのあたりにあるのかもしれない。 ただのゲイマーの私からすると,正解は分からないわ。 ホント難しいわ。 結局は「体験してほしい」というひと言に尽きるわけだけれど。 繰り返しになるけれど確実にクセはある。 ストレスなく,するっと遊べるゲイムが好きな人に,無理にオススメしようとは思わない。 ただ, ストレスになりかねない要素もまた,このゲイムの個性として楽しむ姿勢があるならば,ぜひとも体験してみてほしいゲイムよね。 食べ物でもあるわよね。 すごくクセは強いから苦手な人もいるけれど,好きな人はこよなく愛するような食材。 そういうゲイムだと思うわ。 果たして,クセがあるほうがいいのか,ないほうがいいのか。 クセを受け入れられない人が否定的な意見を言い,それが可視化される世の中ではあるわ。 でも,そのクセがあるからこそ,ほかとの違いが際立つこともある。 一方,クセが強すぎて,誰からも受け入れられなくなってしまっては,それはそれで残念な話。 クセがあることに甘えてしまうのは妥協と言い,妥協には底がない。 ただし,どこかで妥協しなければ現実的でもない。 そこの見極めも大切なのよね。 そうしたことを含めて,世の中のいろんな部分で落としどころを定めるっていうのは大事なことだよなぁ……と,このゲイムをプレイして思った今週でした。 そんな感じでまた来週。 ディーノ選手はアイアンマンヘビーメタル級選手権時間差入場バトルロイヤルに出場します。 また,翌21日には神奈川・鶴見青果市場「」を開催。 こちらでディーノ選手は,大鷲 透選手とのタッグでアントーニオ本多選手&納谷幸男選手と対戦します。 先日,人数を限定しての有観客興行を再開したDDTプロレスですが,ディーノ選手に「観客がいるといないとで何が違いますか?」と聞いてみたところ,「お客さんがいるほうが気を遣うわね。 大声出さないようにしなきゃ,とか」とのことでした。
次の本作はプレイステーション2にて、2004年にアトラスより発売された『』(略称は『』)のHDリマスター版。 2006年にはパワーアップ版の『』も発売され、いまだに根強い人気を誇る作品だ。 本記事では、今井氏と本作のプロデューサーを務めるトイボックスの金沢十三男氏に、『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』についてお聞きした。 なお、本記事はインタビュー前編で、『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』についての話となっており、おもに『九龍』未プレイの人へ向けたものとなる。 後編では、当時の開発エピソードや、『東京魔人學園』シリーズについてなど、今井監督ファンへ向けたディープな内容をお届けするので、そちらもぜひチェックを。 トイボックス所属。 HDリマスター版である『九龍妖魔學園紀 ORIGIN OF ADVENTURE』のプロデューサー。 作品によっては自身もディレクションをこなし、2018年に発表したミステリーアドベンチャー『ワールドエンド・シンドローム』ではシナリオも手掛けている。 今井これはアークシステムワークスの代表取締役である木戸岡さん(木戸岡 稔氏)からいただいたお話なんです。 木戸岡さんが「ぜひやりたい」と言ってくださり、それを金沢さんが取り持ってくれて。 今回のリマスター版は、本当に木戸岡さんと金沢さんのおかげです。 ということは、じつは最低でも9つの物語があるわけです。 話の構成としては、主人公がいろいろな学校を転校しながら、転々としていって秘宝を集めていきます。 主人公は、秘宝を得て転校するわけですが、最後にいろいろと壊していくという。 主人公が現れるところは、必ず破壊と混乱があったほうがおもしろいと思っているんです。 破壊と混乱はあるけど、友情や恋愛や出会いや別離もある、そういうシリーズ作品にしたいと思っていました。 今井そうですね。 残念ながら『九龍』の1作目は、最初の売れ行きが悪かったんです。 そこから口コミなどで徐々にファンが増えていき、ロングセラーとはなりましたが、初速が遅かったこともあり、続編を出すという話にはなりませんでした。 今回のニンテンドーダイレクトでの発表や予約の反響を見ると、多くのファンが待っていてくれたようで、とてもうれしく思うのと同時に、続編を作ればもっとファンは喜んでくれるだろうとも思っています。 リマスター版は、続編を出したいという思いを込めた、再スタートのきっかけ作りでもあります。 金沢じつはかなり前から動いていたプロジェクトでして、当初は家庭用携帯ゲーム機を意識して考えていました。 そんな中、Nintendo Switchが発売になり、携帯機も据え置き機でもあるこのハードがベストだろうと、迷いなくNintendo Switchで行こうと決めました。 ただ、ゲームエンジンはUnityですから、将来的に作ろうと思えば可能です。 今井作品はあまり欧米に出ていないので、英語版も出したいですね。 ところで、『九龍』には、『』版というパワーアップ版が存在しますよね。 なぜ無印である『九龍妖魔學園紀』のHDリマスター版なのでしょうか? 金沢10年以上前の作品を現行機で再現するには、元素材から構築しないとリマスターにならないと考え、最初からプログラムは捨てるつもりでプロジェクトを始動させました。 アドベンチャーパートはアトラスさんから大量の素材をお借りして、それでも足りないものは足を使ってかき集めました。 それでも揃わない元素材は、元データから作り直すか、または最初から描き直しています。 とくにダンジョンはフルスクリーンにこだわったこともあり、すべてゼロから作っているので、やってることは新作を1本作っているのと同じ作業なんです。 『re:charge』の要素まで作り込むとなると、さらにもう1本、新作を作るのと同じ労力が掛かります。 ですので、今回はとにかく『九龍』を現行機で復活させることに注力し、無印版に特化しました。 発売後、『re:charge』の要素が追加されるのか気になると思いますが、いまのところは考えていません。 そういう意味でも移植ではないので心配されるかもしれませんが、プレイフィールはまったく変えずに、オリジナル版を完全再現しています。 オープニングムービーもまったく同じ演出のものを16:9の画面比率で作り直しました。 ぱっと見の印象はオリジナル版とほとんど変わっていないので、ファンが見ても何も変わってないと思ってしまうほど、オリジナル版そのままなのですが、3Dの弾丸まですべて作り直してます(笑)。 今井トレジャーハンター的に言えば、14年前の遺跡から素材の断片を発掘し、コツコツと復元していったわけです(笑)。 そういえば敵といえば、今井さんが急に「敵のアニメーションなめらかにできない?」とか言い出して(笑)。 今井いまの技術なら、アニメーションのあいだをAIで埋めて、なめらかにできるので、やりたくなっちゃったんですよね。 まあ残念ながら断られましたが(笑)。 金沢最初に何か変える要素はあるのか、今井さんに聞いたんですよ。 そのときは「『九龍妖魔學園紀』は完成されたゲームだから変えなくていい」と言っていたのに……。 今井システムとか物語はそうなんだけど、グラフィックだけはやはり当時のままじゃないですか。 さすがに当時できなかったことをやりたいなと思ってしまって。 たとえば、これまで狙えなかった部分にまで銃の照準が届いてしまうと、バトルバランスが崩れてしまいます。 そこを16:9の見た目はそのままに、うまく調整しています。 『ロックフォード・アドベンチャー』も、ドットにスムースを掛けてキレイに……なんてことはしてません(笑)。 ドットそのままのグラフィックで遊べます。 なぜフルボイス対応を決めたのでしょうか? 今井これは金沢さんがぜひやりたい、と言うので決まったことです。 これまでもよく話しているのですが、私は自分の作る作品をフルボイスにしたいとはそんなに思っていなくて。 フルボイスになると、セリフのニュアンスがそれだけになってしまうので、ユーザーの想像力を削いでしまうので好きじゃないんです。 小説を読んでいるときに、登場人物のセリフを自分の中で脳内再生するのと同じです。 このプレイヤーの想像力と脳内補完に委ねるという考えかたは、私が『』のときに考え出し、『九龍』でも導入している感情入力システムの考えかたと同じですね。 ですので、フルボイス対応も正直反対していました。 じつはこの感覚は、最初にドラマCDを手掛けたときにも感じたことで、自分が書いたシナリオすべてを声優が読んで演技をする……。 それにより、文字だけのときにはなかった空気感というか臨場感が出るんです。 スタジオで録りながら「ああ、声優ってすごいな」と思いました。 今回のリマスター版でのフルボイスもプロの声優陣たちの力によって、フルボイスだからこそパートボイスとは違う雰囲気になっていると思っています。 オリジナルモードとフルボイスモードは切り替えられますので、よりドラマ性が強くなった『九龍』が楽しみたい人はフルボイスモードで、従来通りの想像力で楽しみたい人はオリジナルモードで遊ぶといいと思います。 今井フルボイスならではのよさはほかにもあって、たとえば朱堂茂美もフルボイスですから、もうテキストだけでは感じ取れなかったおもしろさが満載です(笑)。 本作は感情入力システムが特徴のひとつですので、セリフの量は膨大だったのでは……? 今井感情入力システムの、9つの感情に合わせて声を新録しています。 しかも、たとえば「そうだな」という言葉だけでも怒っていたり喜んでいたりと、感情によるニュアンスの違いも収録しました。 今井もちろん、元々の『九龍』から私がキャスティングもしていたので、今回も全員同じ人に演じてもらいたいと思っていました。 引退された人にも声を掛けて、その中で「どうしても出られない」という人以外は、出演してもらっています。 亡くなられた椎名リカ役の松来未祐さんについては、所属事務所に「松来さんの椎名リカをちゃんと引き継いで演技出来る人を」というオーダーをして、サンプルボイスを聴いて新しい人を選びました。 私がどういう人を選んだのかぜひ聴いてもらえたらと思います。 なお、フルボイスモードはすべて新録ですが、オリジナルモードの場合は、当時の松来さんの声がすべて入っています。 そのほか、ゲームの内容変更などはありますか? 金沢基本的には忠実にオリジナルを再現させているのですが、今回は難易度の選択を新たに加えています。 バトルの難易度を、イージー、ノーマル、ハードの3種類から選べるようになりました。 今井ボイスと同じく、難易度選択もプロデューサーの熱い要望でした。 僕は難易度選択も好きではないのですが、当時、難しくてクリアーを諦めたという人がいたという話も聞いています。 細かく言うと、とあるキャラクターと主人公の身体が入れ替わってしまい、そこで詰まってしまうことがあるようで。 探索中はいつでも難易度の選択ができるので、もし詰まったら活用してください。 ちなみにハードにしてもなにも恩恵はないですが、もっとやり応えが欲しいという人は選ぶといいと思います。 金沢難易度選択は開発現場から出たアイデアです。 あとは、単純にロードががものすごく速くなっていますから、ダンジョン探索などはかなり遊びやすくなったと思いますよ。 じつは当初、金沢は削りたがってましたが、猛烈に反対しました(笑)。 金沢いや、本編を構築するだけでも相当苦労していたので……。 それでも開発現場は「ボイスを用意してくれればやります」と言ってくれて、それじゃやろうか、と。 さらに『東京魔人學園剣風帖』の版権を持つマーベラスさんとアスミック・エースさんに相談しないといけなかったのですが、どちらからも本当に快く許可をいただいて、無事に収録されることになりました。 なぜフィギュアを作ろうと思ったのでしょうか? 今井じつは私の作品って、これまで1度もフィギュア化したことがないんですよ。 ですので、念願のフィギュア化を皆守でしてしまおうと思ったわけです。 ちゃんと原型師の方に原型を作っていただき、原型監修も私のほうでやりました。 ただのフィギュアではなく、皆守の後ろにスマホが差せるようになっていて、スマホスタンドになっています。 じつは特典のドラマCDのワンシーンをモチーフにしたフィギュアなんです。 今井本作は『九龍妖魔學園紀 re:charge』のHDリマスター版ではないので、エピローグがゲームに入っていません。 そこで、ドラマCDにエピローグを入れることにしました。 すべてを入れることはできませんでしたが、皆守と八千穂のフルボイスエピローグが収録されています。 また、本編のその後のエピソードと『九龍妖魔學園紀 re:charge』のエピローグも入っています。 今井昔発売されたアートブックは、ゲーム中に使用されたアートのみが掲載されました。 今回の特典は、店舗特典や雑誌用の描き下ろしなど、販促物イラストを含むアートブックとなっています。 主人公は、プレイヤーであるあなたです。 HDリマスター版で蘇った學園ジュヴナイル伝奇『九龍妖魔學園紀』の世界をぜひ体感してください。 というわけで、今回のインタビューはここまで。 後編では、よりディープな話や続編に関する話もあるので、ぜひチェックを!.
次の10 NEW 08. 16 ここでは《九龍妖魔學園紀》及び 《黄龍妖魔學園紀》の 主人公受 創作文を思う様UPして行こうと思います。 つまりは俗に言う腐女子向けサイトというやつです。 うえーそんなページを覗くつもりじゃなかったよ〜と切なくなっちゃった方は別の素敵サイトへと旅立って下さい。 むしろそれを所望だ!という素敵な心意気の方はどうぞごゆるりと。 感想等ありましたら、どうぞ聞かせてやって下さい。 励みになります〜v 当サイトはIE6、スタイルシート使用で制作しております。 素敵に崩れていても創作さえ読めりゃいーや別に、という方はお好きな環境で覗いて下さいませ(笑)。 真似っこコピペお断り。 DESIGNWORKS.
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