最 軽量 の マネジメント。 リモートワークには報連相より“ザッソウ”が必要 コロナ下のマネジメントの極意

ビジネス本紹介 「最軽量のマネジメント」

最 軽量 の マネジメント

グループウェア「Garoon」や、クラウドサービス「kintone」といった業務改善ツールを提供する サイボウズ。 「 100人100通りの働き方」を提唱し、社員のライフスタイルに合わせた「 週4勤務」「 リモートワーク」など、新しい勤務体系を確立しています。 しかし、今より14年前のサイボウズの離職率は28%。 2週間に1度は送別会がおこなわれるような「 超ブラック企業」だったといいます。 そんな状態から脱却すべく始まった、社内の「100人100通りの働き方」改革。 その道のりとサイボウズがたどり着いたマネジメント手法をまとめたのが、同社副社長である 山田理さんの『』です。 今回は本書から、サイボウズがたどり着いた、 マネジャーに過度な責任を押し付けない組織づくりの方法を、2記事にわたってご紹介します。 マネジャーの仕事は、情報の徹底公開。 徹底的に公開した情報を機能させることで、マネジャーの仕事はもっともっと軽量化していきます。 そのための強力なキーワードが、サイボウズ内で「おはよう」の挨拶の次くらいに飛び交う「 説明責任」「 質問責任」という言葉です。 「会社が説明責任を果たす」という言い方は一般的にも聞きますが、「 質問責任」というのはあまり馴染みがないかもしれません。 質問責任とは、単純にいうと「 わからないことがあったら聞いて」ということです。 あるとき、ふと思ったのです。 「説明する責任を果たそうと思っても、メンバーが『何がわからないのか』を言ってくれなかったら、こっちも何を説明していいかわからない」 そもそもメンバーが何を聞きたいのか、つまり、何を知りたくて何はどうでもいいのか、は一人ひとり違う。 その人にとって必要か必要でないか、すらわからないのに、何から何までマネジャーが「全体に向けて」説明するのは、あまりに効率が悪い。 的外れになります。 たとえば、会社で新規事業が立ち上がった際、他部門の社員からこんな声が聞こえてきます。 「 これまでのうちの事業とあまり関連もないし、うまくいかないんじゃない?」 「 あれは社長の肝入りらしいけど…正直、意味がわからないよね」 新橋の焼き鳥屋あたりで、先輩と後輩が飲みながら陰口を叩く。 こういうことって、本当によく起こりますよね。 悪い噂や陰口というのは、得てして「みんな」が反対している、「みんな」うまくいくと思っていない、などと、ざっくりとした「まとまり」で流れてきます。 曖昧な「みんな」という言葉に支配されながら、ネガティブな雰囲気は広がっていきます。 そして、それに惑わされて、「もしかしたら社員はこう考えているかもしれない。 なら、こう答えておこう」と憶測のもと説明する。 結果、プロジェクトが尻すぼみになったり、焦点の定まらない施策を打ってしまい、効果があったのかどうかわからないまま、なんとなく収束してしまったりするのです。 すごく、無駄ですよね。 そもそも噂や陰口が生まれる原因は、情報の不足です。 それなら、「前提として、はじめから情報はすべて公開しておきます。 わからないことがあったら、裏でコソコソ言うんじゃなくて、各メンバーの質問責任としてぶつけてください。 質問してくれたら、わたしはマネジャーの説明責任として答えます」 の方が、お互い楽ですよね。 これこそ「公明正大」な関係です。 メンバーからしても、聞く意味がないことは聞かなくてもいいわけですから。 それにしても、サイボウズの社員の質問責任には、驚かされることがあります。 この本を書いている最中のことですが、わたしのツイッターに対して新人からいきなりダメ出しがありました。 「 写真が昭和くさい」「 プロフィールに意味のない情報が多すぎる」と。 おっしゃるとおり、わたしは昭和のおじさんですし、センスもありませんから、彼にプロデュースをおまかせすることにしました。 「 アイコンはこの写真にしてください」「 背景はせっかくアメリカにいるんですからサンフランシスコの写真にしましょう」…。 もう、言われるがまま、です。 すると、ツイッター上で話題となり、わずか数日で、フォロワーが3倍にもなった上、偶然だとは思いますが…サイボウズの株価まで上がりましたから、驚きです。 新入社員や中途で入社したばかりの頃って、まずは「 目をつけられないようにしよう」「 業務をちゃんとできるようになってから改善案は伝えよう」と思ってしまいがちですよね。 にもかかわらず、サイボウズのメンバーは社内で課題を感じたら、何かしら自分で行動したり、人事や上司に伝えたりしています。 それは、つね日頃から徹底した情報公開によって、「だれが発言してもいい」という心理的安全性を感じてくれているからでしょう。 サイボウズのグループウェア上には、直接的な業務の進捗以外のこと、普段ならいわゆる個人のツイッターでつぶやくようなモヤモヤも投稿していい、という文化があります。 ある日、新人社員が「タスク管理がうまくできない」とつぶやくと、それを見た先輩社員がそれぞれのタスク管理方法を共有しはじめ、最終的には「タスク管理についての勉強会を開こう」という話になっていたこともありました。 反対に、「質問責任」がない会社のことを想像してみてください。 メンバーが不安に感じていそうなことを、すべてマネジャー側が察知しなければいけません。 察知できなければ、なぜかメンバーから文句を言われてしまう。 「 あの人は何もわかってくれない」と。 しかし、「質問責任」があるチームであれば、「 不安を感じているなら、教えて」と言えるわけです。 結果、マネジャーが過保護に世話をするのではなく、メンバー自らが「自分は何に対してモヤモヤしているのか」「困っていることは何か」を考え、行動するようになります。 そのあとなら、存分に周囲のチームメンバーに頼っていい。 このような状態を、サイボウズでは一人ひとりが「自立する」と表現しています。 以前、サイボウズ式で、精神科医の熊代亨先生が「 自立の正体は上手な依存だ」とおっしゃっていました。 まさに「質問責任」は、メンバー一人ひとりが、チームに上手に依存できる「自立」状態をつくり出してくれるのです。 めちゃくちゃいい質問、というか厳しい質問ですよね。 この質問にわたしはこう答えました。 「 『密室』がダメなんですよ。 たとえば個人面談とか、自分と上司以外だけの空間、つまり『だれも見えないところ』で質問するから握りつぶされるんです。 でも、みんなが見ているところで質問すると、簡単に逃げられなくなると思うんですよね」 これは、オフラインでの「密室での会話」という意味だけではなく、オンラインでも同じことが言えます。 ダイレクトメールも、1対1という観点から見ると密室です。 しかし、グループウェア、つまり「パソコン上にある、会社公式にみんなが見ているところ」だったらどうでしょうか。 上司がそこでいい加減な受け答えをしたら、いい加減なことを言っている、とみんなが知ることになります。 「これおかしいよね」と思っても言わずにいる。 上司に伝えたらどう思われるかわからないから不安。 もしくは一人の上司に言っても相手にされなかった。 それはきっと、 情報(疑問や提案)の出し方が中途半端だったのです。 おかしいと思うなら、もっと「広く」公開すればいい。 上司だけに公開するから、密室になって、握りつぶされたりするのかもしれない。 それなら、多くの人にも公開して、その上で上司に答えてもらう場をつくっていく。 会社が説明責任から逃げられない状況をつくっていくのは、すごく大事なことです。 わたし自身も過去に痛い目をした経験がありました。 本当に、全社員がツッコんでこられるわけですから、「 この回答、どう言う意味ですか?」と言われれば、説明責任を果たさないわけにはいかないのです。 マネジャーの視野をひろげ、メンバーの働きやすさを実現する.

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最軽量のマネジメント(サイボウズ式ブックス)

最 軽量 の マネジメント

調子に乗って本日2冊目。 もうね。 最高に分かりやすいです。 そもそもの発端が「マネージャーってしんどいよね?」と言うところ。 そしてそのひずみは勿論会社全体に蔓延し、結果離職も止まらないし成果も出ない会社になってしまう。 そんな底を見てきたサイボウズ。 その変化が良く伝わってきます。 サイボウズが変えたポイントは3つ。 「ザツダン」 「情報の徹底公開」 「説明責任と質問責任」 この3つを中心に公明正大な会社作りをされてきました。 でも、読んでいるとカギになったのは「情報の徹底公開」だと感じます。 勿論その情報を咀嚼して伝える必要もあるとは思いますが、取締役会の内容まですべてオープン。 社員の不満もオープン。 質問もオープン。 すべてオープン。 そういえば、サイボウズと言うグループウエアを使っていたこともありましたが、基本オープンコミュニケーションを促進する。 そんなツールだったことも思いだしました。 それがあるから質問責任も社員が納得できる。 板はさみのマネージャーの仕事を減らすには隠し事をなしにする。 全員が見ていれば嘘はつけない。 そんな性善説の上に成り立っています。 会社から情報をさらけ出しちゃう。 出したもん勝ち。 うーーん。 なるほど。 言われてみればそうだと思う。 つまり、社員のもやもやは「知らない事」で生まれてくる。 だから知らないことをなくしちゃえばいい。 それが結果最短で最適なコミュニケーションにもつながっていく。 そしてその前提にあるのが、マネージャーはあくまで「役割」という認識。 権威、ではない。 つまり、えらい人じゃないよ。 ということ。 昔の日本は一握りの上位者が情報を握り、その優位性で意思決定をし人を従わせてきました。 でも、今はそんな情報簡単にアクセスできるし、もっと言えばその意思決定が正しいかどうかも怪しい。 そんなんだから下はストレスがたまる。 そもそもマネージャーが万能で優秀なんて決めるからしんどい。 意思決定はする。 でも、全てを分かる必要はなくて、大事なことは誰に聴いたら最適な答えが得られるかをしること。 つまり、情報のアクセス先を知っていれば意思決定できてしまう。 これがインターネットがぶち壊した既成概念。 そして働きやすい会社を創るために100人100様の働き方を認めているのも特徴。 先に制度を創るのではなく、社員のリクエストに合わせて制度を創っている。 その方が効率がいいから、という割り切り。 サイボウズの良かったのは離職率が28%にもなった時に、ゼロベースで「1から会社を作り直そう」とトップがコミットしたこと。 社員が幸せに働けない会社が社会に貢献できるわけがない。 そんな原則を大事に。 売上と言う数字は完全に一旦諦めて、そこに投資をしている。 でも、実はそれも原則論。 目先のアウトプットではなく、効果性を高めるためには社員の働きやすさに投資をするのが「原則」。 トップがそこに気が付いているかどうかで組織の継続性は決まると思います。 超おすすめです。

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『最軽量のマネジメント』のレビューです。

最 軽量 の マネジメント

発売即、重版! 反響続々!! 「新R25」「プレジデントオンライン」「PHPオンライン衆知」「週刊ダイヤモンド」などで続々紹介! 【全国でランキング入り続々! 】 ・紀伊國屋書店新宿本店 週間ランキング第1位 リーダーシップ・コーチング 2019年11月第1週 ・梅田 蔦屋書店 週間ランキング第1位 ビジネス書 2019年11月4日〜11日 ・ブックファースト六本木店 週間ランキング第2位 ビジネス書 2019年11月18日週 2014年「ダイバーシティ経営企業100選」 2017年「HRアワード」最優秀賞 2019年「Asia's Best Workplacesベストカンパニー」選出 単なるグループウェア企業にとどまらず、「チームワークあふれる社会を創る」の理念のもと、世の中にさまざまな問いを投げかけ、自社では100人100通りの働き方を実現する「サイボウズ」 働き方改革のリーディングカンパニーと呼ばれる「サイボウズ」の人事制度を築き上げた副社長、山田理の初の著書。 「残業を削減します」 「社員の満足度を上げます」 なのに、会社の業績目標は変わらない。 いったい、どうやって? 形だけの働き方改革でいちばん損しているのは、 「上」と「下」の間で板挟みの中間管理職だった 部下からは「そもそも何のための改革なんですか」 上司からは「それをうまくやるのが君の仕事だろ」 「上」の意図を汲み取り、「下」に対しては納得させる。 しかも個人の成果も出しながら? リーダーに、すべてを背負わせるのは、もうやめよう。 「こういったマネジメントをすべきだ」 「こんなリーダーが理想だ」 「マネジャーはチームでいちばん有能でなければならない」? 本書は、寄せられた過度な期待と責任から、マネジャーを解放するための本です。 〈なぜこの本を書くのか〉 国によって、働き方改革が叫ばれだしたのは2016年。 しかし、サイボウズが自ら働き方を変えようと取り組みはじめたのはそのずっとずっと前、2005年のことです。 今から20年ほど前、わたしは、まだ社員が十数名だったベンチャー時代のサイボウズへ転職しました。 わたしは社長の青野に言いました。 「もう一度、良い会社にしましょう」。 それから、副社長として、管理部門の責任者として、一人のマネジャーとして、「100人100通りの働き方」を実現するまでやってきました。 そして現在、サイボウズは単なるグループウェア会社にとどまらず、働き方改革のリーダー企業と呼ばれるまでになりました。 が、結果として、今わたしが自信をもって言えるのはこれだけです。 「マネジメントって、ホンマに難しい」 つまり、世の中でいう「理想のマネジャー」になるのは無理だった、ということです。 そういうわけで、本書は「サイボウズ流のマネジメント術をふんだんにお伝えします」といった教科書的内容ではありません。 それよりも、わたしが会社を経営し、チーム 本書ではあらゆる組織をチームと表現します をつくっていく中で見つけた ・「こうやったらうまくいかなかった」という事実 ・そして「潔くあきらめることができた」理想のマネジャー像 ・結果的に「残された」マネジャーの本当の仕事 つまり、「最軽量のマネジメント」を伝えたいと思います。 この本を書く本当の理由。 それは、極論サイボウズは「マネジメントなんていらない組織が理想だ」と考えているからです。 「これからのマネジャーはどうすべきか」 という重荷ではなく 「どうすればマネジャーの仕事を減らせるのか」という軽やかさを示したい。 〈目次抜粋〉 【はじめに】どうすれば、マネジャーの仕事を減らせるのか? ・「多様性」の影で生まれたのは「世代間のギャップ」 ・働き方改革でいちばん損しているのはマネジャーです ・サイボウズは人が人を管理することをあきらめた ・マネジャーは完璧じゃなくていい。 「理想のマネジャー像」なんていらないetc.. 【第1章】サイボウズが捨てたマネジメントに関する6つの「理想」 1マネジャーは「地位」ではなく「役割」である 2必要なのは「スキル」ではなく情報を公開する「覚悟」 3「自分が神」になる必要はない。 でも頭打ちになったらどうするのかetc.. 【第3章】みんなの考えていることが見えなくなったときこそ「ザツダン」 ・本当の「事実」と個人の「解釈」を浮かび上がらせるには? ・「みんな」なんて存在しなかった ・たどり着いたのは「100人100通りの自立」 ・チームが「おかしいとき」って情報が「共有されていないとき」etc.. 【第4章】最軽量マネジメントは「情報の徹底公開」たったひとつ ・団体戦に、マネジャーの「地位」や「権威」はじゃま ・「どこに泊ったか」まで公開されていれば経費の不正は起こらない ・アホはええけどウソはあかん。 「性悪説」から「性善説」へ ・「任せる」と「放任」の違いetc.. 【第5章】だいたいの問題は「説明責任」と「質問責任」で解決する ・マネジャーには「説明責任」メンバーには同等の「質問責任」がある ・みんなが見ているところで尋ねる。 みんなが見ているところで答える ・「おかしい」と言える自立は、いつかマネジャーとチームを楽にする ・課題は日の当たるところに置く。 一人で抱え込んでいると腐るetc..

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