セシリア シルビィ。 悪役令嬢、セシリア・シルビィは死にたくないので男装することにした。【電子特典付き】

『悪役令嬢、セシリア・シルビィは死にたくないので男装することにした。』のコミカライズが決定

セシリア シルビィ

・゜・。 ・゜・。 ・゜・。 ・゜・。 ・゜・。 ・゜・。 親不孝な私をどうか許してください。 私、セシリア・シルビィは、これからも平和にのほほんと生きていくため…… 思い切って、男になることにいたしました! 乙女ゲーム『ヴルーヘル学院の神子姫3』の悪役令嬢、セシリア・シルビィに転生してしまった神崎ひよの。 彼女は悲惨な未来を回避するべく、ゲームの舞台であるヴルーヘル学院で男として過ごすことにした。 果たして、彼女は誰にも女だとバレることなく、無事学園生活を終えることができるのだろうか!?

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『悪役令嬢、セシリア・シルビィは死にたくないので男装することにした。』のコミカライズ連載が開始

セシリア シルビィ

シルビィ公爵家の遠縁、コールソン公爵家には男児が三人いた。 上の二人は大変優秀で、どちらが跡をとっても良いと言われるほどの秀才ぶりを見せていた。 両親はそんな彼らを溺愛し、考え得る限りの愛情を示していた。 一方、末子のギルバートは上二人の兄弟の出がらしと言われ、ぞんざいに育てられてきた。 彼の部屋は兄達や両親達とは別の離れにもうけられており、一ヶ月に一度ほどしか両親は会いに来てくれなかった。 甘えたい盛りなので何度か甘えてはみたものの、母親は一度として相手をしてくれたことはなく、ギルバートの世話や遊び相手はいつも使用人に任せっきりだった。 家族だけれど、家族ではない。 それが、コールソン家でのギルバートの立ち位置だった。 そんな生活に絶望さえ感じ始めていた頃、遠縁のシルビィ家の養子話が持ち上がる。 シルビィ家には現在、五歳になる女の子がいるが、男児が生まれなくて困っていたらしい。 古い慣習だが、基本的に爵位を世襲するのは男と決まっていた。 どうしてもの場合には例外が適応されるが、あまり一般的ではないのが現実だった。 貴族の責務として跡取りは残さなくてはならない。 そこで、男児が三人いるコールソン家に白羽の矢が立ったのだった。 最初は二番目の兄が行くという話になっていた。 うまくいけば、シルビィ家の跡が取れるのだ。 しかし、もしもシルビィ家に男児が生まれた場合、二番目の兄はシルビィ家で冷遇されるかもしれない。 かの家の奥方はまだ若く、妊娠の可能性は十分にあった。 こういった懸念から、『冷遇されてもいい子』としてギルバートが選ばれたのだ。 出発の日、ギルバートの見送りに家族は誰も来なかった。 「僕は捨てられたのかな?」 そう言ったギルバートに使用人は「行ってらっしゃいませ」と深々と頭を下げただけだった。 養子先であるシルビィ家は、ギルバートを快く迎え入れてくれた。 むしろ大歓迎だった。 特に、義姉になるセシリアは「やっと姉弟が出来たのね!」といって、ギルバートを抱きしめて喜んでくれた。 そんな風に歓迎されたギルバートだったが。 最初、彼はセシリアの事が好きじゃなかった。 むしろ嫌いだった。 大嫌いだった。 自分と同じように跡を取れない身でありながら、彼女は両親に溺愛されていた。 愛されて、愛されて、愛情で溺死しそうなぐらいに愛されていた。 「どうして、同じ境遇なのにこんなに違うのだろう」 シルビィ家に来てから、彼はそんなことばかり考えていた。 そんな生活が半年ほど続いたある日、ギルバートは体調を崩した。 熱も高く、しばらく自力で起き上がれないほど体力は消耗していた。 元々、ギルバートは身体が強い方じゃない。 コールソン家に居たときもしょっちゅう身体を壊していた。 両親はギルバートのそんなところも気に入らなかったようで、体調を崩しては、陰で『面倒』だの『情けない』だの使用人に漏らしていた。 心配してもらった記憶は一切ない。 「ギルー、大丈夫?」 体調を崩してから、セシリアは何度もギルバートのお見舞いに来ていた。 時には額のタオルを替え、看病を買って出たこともあった。 正直、ギルバートは看病に来るセシリアがうざったくてたまらなかった。 手先が不器用なのか看病もたどたどしかったし、ままごとの延長を自分でやっているとしか思えなかったからだ。 人形と同じように扱われている。 そう思ったら、腹だって立った。 しかし、ここで彼女を部屋から追い出そうものなら、自分の居場所はシルビィ家にもなくなってしまうかもしれない。 だからなにも言えず、ギルバートは彼女の人形役を甘んじて受け入れるしかなかったのだ。 彼女は毎日、毎日、飽きることなくギルバートの元へ通う。 そして、自分の気が済むまで子守歌を歌ったり、本の読みきかせをしたりするのだ。 そして最後にはいつも「何か欲しいものある?」と聞いてくる。 ギルバートはそれにいつも首を横に振っていた。 その日もそうだった。 彼女は彼の汗を拭き、喉が嗄れるまで本の読み聞かせをしてくれたあと、掠れる声で「何か欲しいものある?」と聞いてきた。 普段ならそこで首を振るのだが、その日のギルバートは少し違った。 この偽善的な義姉に、ちょっと意地悪をしたくなったのだ。 ギルバートは先ほどまでセシリアが読み聞かせをしていた本の挿絵を指さした。 そこには何でも願いを叶えてくれるという青いバラが描かれている。 「これがほしい」 そう願った。 青いバラなんてこの世には存在しない。 それがわかっていたから、ギルバートはわざとそう言ったのだ。 義姉の困った顔が見たかった。 しかし、セシリアはその挿絵を見て「うーん」と小さく唸ったあと「わかったわ! 明日までに探しておくわね!」と宣ったのだ。 これには驚いたが、どうせ青いバラがこの世に存在しないことを知らないのだろうと思い、放っておいた。 案の定、翌日のいつもの時間になっても彼女は姿を現さなかった。 きっと義姉は今頃困っているだろう。 そう思ったら、すごく清々した気分になった。 自分を人形のように扱った報いだと、本気でそう思った。 けれど、いつもより静かな室内に寂しさを感じたのも事実だった。 その日の夕方、眠っていたギルバートは何かを叩く音で目をさました。 起き上がって見渡してみれば、窓の外に義姉が居た。 彼女の頬は泥で汚れており、手には何かを握っていた。 ギルバートは慌てて窓を開ける。 すると鼻先に一本の花が差し出された。 「ごめん。 青い花、これしかなかった!」 彼女が持っていたのは青色の竜胆だった。 「お薬にもなるんだって! 崖の真ん中に生えてるからとってくるの大変だったよー」 「崖!? 」 ひっくり返った声が出た。 確かに屋敷の裏には崖があるけれど、まさか彼女は一人でそこを登ったというのだろうか。 よく見ると彼女のドレスは土でドロドロに汚れており、どこかに引っかけたのか裾は破れてしまっていた。 頬には擦り傷、額はどこかにぶつけたのだろう、赤くなっている。 「今日のお勉強サボっちゃったから、お母様に怒られちゃう」 そう言いながらも、彼女は笑みを崩さなかった。 ギルバートは震える手で差し出された竜胆を受け取った。 「なんで……」 気がつけば声まで震えてしまっていた。 何でここまでしようとしてくれるのか、意味がわからなかった。 「だって、私、ギルのことが大好きだからさ! ギルが元気なかったら悲しいもん!」 無邪気な笑顔を浮かべながら、彼女はそう言い放った。 そして、土だらけの手でギルの頭を撫でてくる。 「ね? だから、早く一緒に遊ぼう!」 「ん……」 瞳が潤んだ。 涙が玉になり、ほほを転がる。 自分を好きだなんて、生まれてこの方聞いたことがなかった。 それがこんなに温かい響きだと言うことも、初めて知った。 「どうしたの? ギル。 身体痛い?」 窓の外から彼女は顔をのぞき込んできた。 よく見れば、いつも綺麗にまとめているハニーブロンドの髪の毛はぐちゃぐちゃになっていた。 きっと何度か転けたのだろう。 ギルバートは涙を拭う。 「うんん。 僕も姉さんのことが大好きだなぁって」 「そっか!」 彼女は出会ってから一番の笑顔を浮かべた。 それから、ギルバートは義姉のことを慕うようになった。 その気持ちが恋愛感情だと気づくのに時間はかからなくて、気がついたときにはもう戻れないところまできてしまっていた。 セシリアは未だに自分を義弟として見ている。 それはわかっていたから、決して手は出さなかった。 けれど諦める事もできなかったから、外堀を埋める準備も着々と進めていた。 もし、セシリアと王太子の婚約が破棄になった場合、プロポーズをしてもいいとシルビィ家の両親に許可だって取っている。 戸籍上は姉弟だが、結婚する方法がないわけではない。 方法だって調べた。 根回しも済ませてある。 「なのに、なんであんなぽっと出のやつに……」 オスカーのことは嫌いではない。 けれど、セシリアのことになると話は別だった。 胸の中が嫌な気持ちで満たされる。 握った手のひらから、黒い靄が立ち上ったような気がした。

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悪役令嬢、セシリア・シルビィは死にたくないので男装することにした。

セシリア シルビィ

どのルートでも死ぬ悪役令嬢に転生したセシリア。 ヒロインは女性だけが選ばれる神子候補になり、自分はライバルとして死ぬ。 それなら男になってフラグ回避しようと男装したのに、なぜか攻略キャラが次々集まってきて!?【「TRC MARC」の商品解説】 どのルートでも死ぬ悪役令嬢に転生したセシリア。 ヒロインは女性だけが選ばれる神子候補となり、自分はライバルとして死ぬ。 とにかく死ぬ。 それなら【男】になってフラグ回避しようと、セシリアは男装することに。 ところがイベントを間違えて、義弟・ギルバートの代わりに神子を守る騎士になっちゃった!! しかも将来自分を断罪する王太子・オスカーにやたらと絡まれて……!? 女バレ=即死亡!? タイトルでそのすべてを物語っている系の作品ではあります。 「悪役令嬢」をジャンルとしてご存じの方なら「死にたくない」という動機はおなじみでしょう。 しかし、結びの言葉が「男装」というのはおそらく万人が謎に思われるかもしれません。 目的自体は命を狙ってくる正体不明の暗殺者の目を欺く「自衛」のためというもので至極まっとうなんですが……。 それでも終始ツッコミを入れたくなることを読者に保証したくなる、そんなラブコメなのですよ。 主人公の視点がどっかズレてて行動力が空回りする様が愛おしく、あちらこちらで振り回したかと思えば、振り回されたりもしたりで最後まで引っ張ってくれます。 ここからの注釈が必要かどうかはさておいて。 「悪役令嬢」とは女性向け恋愛ゲームなどによく登場する主人公の「ライバル」の一種です。 恋愛ゲームにおける実際の登場頻度はさておいて、WEB系のライトノベルレーベルでは引っ張りだこの概念だったりします。 少女漫画によく登場する、「ライバル」というほどには格の高くない、主人公の足を引っ張る敵役の一種と言い換えてもよいかもしれません。 この辺は色々あるので、一概に語るのは難しいですが「悪役令嬢」は「文字通り」敵対的な上層階級の脅威と言ってもよいかと。 そんなわけで彼女たちは基礎スペック自体は容姿と家柄を中心に高いものの、性格の悪さから取り巻きを囲っても孤立しがちです。 やがて目立たない立場から頭角を現した主人公にいびりやいじめを繰り返して攻略対象となるイケメンたちからの好感度を叩き落し、自滅パターンを辿ることに。 最終的には国政に私利私欲からタッチしようとしたり、もしくは主人公への危害が度を越した結果として権力を持つヒーローから「断罪」されて、表舞台ないし現世からサヨナラするというのが大方の筋書きになります。 一方で「お約束(テンプレ)」や様式美の一例として確立したなら、それを崩したくなるのも人情というもの。 ところで個人的に思う範疇ですので具体例は挙げませんが、私にとって印象深い「悪役令嬢」に類するキャラクターを挙げるとすれば女児向けアニメの敵役だったりします。 そちらだと高みから見下すよりもむしろ、降ってわいた幸運に助けられて努力していないのに(偏見)幸運を掴む主人公へのやっかみやねたみの気持ちを(視聴者からの)代弁込みで足を引っ張ってくれる感もありますから。 方法は全く褒められなくても、意志は尊重しなければいけないところもあるのでここが難しいのですけどね。 「性格の悪さ」は自分の力で幸せをつかもうとする「我」の確立した一人の女性に通じる部分もあります。 「ガラスの靴」を履くシンデレラの物語と「ガラスの天井」を破ろうとする女性のサクセスストーリーは、似ているけどなかなか歩み寄れない二律背反なのです。 とはいえ戦わない、守られるだけのヒロインは足手���といと揶揄されて久しいわけですし。 また、日本人の判官びいきの表れというべきか。 「悪役令嬢」は定められた「滅びの運命」に抗うもう一人の主人公であり、男にちやほやされるだけ(偏見)な本来の主人公に対する対抗軸(カウンター)として最近一定の地位を確保している感があります。 講釈はさておいて、本作の解説に話を戻しますと。 前世の記憶が突如として蘇り、自分が前世で遊んだ乙女ゲームまんまの人物配置と設定がされた異世界に転生したことを自覚した主人公「セシリア・シルビィ」は、前述の理由も兼ねて、男爵家の子息「セシル・アドミナ」と名と姿を変えることを決意します。 しかもなぜか、王侯貴族の通う学院で、妙に理解のある義弟「ギルバート」協力のもと、歯が浮くような甘いセリフを吐く貴公子として名を馳せ、淑女たちに黄色い声を上げさせながら。 もちろん実家にはひた隠しにして。 ちなみに本作のご都合要素としては現地生まれでありながら、ゲーム用語も理解してくれて、公爵家の子息としての身分を保ったままサポートしてくれる義弟周りにだいたい集中している気がします。 一方で、(二重の意味で)主人公のキャラクターをもってマジメに突っ込んだら負けだなという雰囲気を作れている気がするので、人にもよりますが大丈夫でしょう。 そもそもがファンタジック要素も入った貴族社会なのに「林間学校」も「電話」も「カレー」もあるくらいの軽いノリで文明度な世界観なので大真面目から半歩ズレたくらいの受け取り方が一番楽しめるかもしれません。 この世界がなんなのかという疑問に関しましては、おそらくは主題ではないのでしょう。 「異世界転生」より「乙女ゲーム」部分に比重を置きつつも、あくまで「現実」だというのに変わりはないのですけどね。 主人公は好感度やフラグなどのゲーム的な考えに固執して盛大に空回りしちゃいます。 未来を知っているといっても、核心部分を知らないというのは作劇上の都合としても。 幼少の自分が起こしたバタフライ・エフェクトなどがもたらす(主人公目線の本来の歴史からの)好感度のズレが「鈍感系」を演出したりします。 ここで効いているのが「男装」要素で、主人公は勝手に勘違いする一方で、同性の友人としてできる範囲で行動し、ピンチにもなるので妙に距離の近い触れ合いが頻出します。 「同衾」などの同性としてみても際どいシチュエーション(異性だったら終盤のイベント)がなぜか発生します。 本来の姿の自分は嫌われていると勘違いしてるのに、男装していると妙にアグレッシブになるのは不思議ですね。 結果、第三者視点から見ると絵面が完全に男性同士の同性愛 BL にしか見えない空間が誕生するという。 ここでキーになるのが本来の乙女ゲームの方の主人公「リーン・ラザロワ」です。 なぜか、この世界に存在しないBL小説を発想して布教し、同好の士とともに楽しむことに固執する彼女の巻き起こす嵐に主人公を巻き込まれる羽目になるのがなんとも面白いのですよ。 男姿だからか、逆に無防備で天然で男をたらしこむ主人公「セシリア」とは逆に、あまり恋愛という軸にはタッチせずに��分の趣味に没頭して、異性の友人まで本づくりに巻き込んでいく「リーン」がまたなんか困った意味で「自立した女性」としての主人公を実現するのが実に面白い。 このふたりの「主人公」、特にリーンの謎は早々に示唆されて、読者にシナリオの導線を提供してくれるのがなんとも読みやすいと思います。 それに加えてクライマックスに向けて段々情報を提示してからの種明かしは、王道ですが話をいったん畳むに申し分なしと思いましたね。 ちなみに主人公「セシリア」は行動力はあるけど、方向性がズレてる。 けど、全き善意の人であり、信頼はできる人物であると読者には伝わってくるのは大きいですね。 地頭はいいだろうし、活劇をこなせる身体スペックもある。 ただし、最大の障害である暗殺者「キラー」の正体は謎なので緊迫感はなんだかんだで持続しています。 それと「乙女ゲーム」と言えば、別に攻略対象のイケメンによってたかって主人公がちやほやされるという側面だけでありません。 過去に由来するトラウマなどを抱えた攻略対象の心を開いて、共に寄り添って二人で問題を解決していこうという、言うなれば「カウンセリング・バトル」の側面もあったりします。 心に闇を抱えた攻略対象は危ないんですよ。 本来あるべきだろう未来から、主人公の性格なんかゆるい方向に変わったことで変化した「ギルバート」然り。 身内相手だからこそ無防備すぎるセシリアと最も近い位置にいながら噛み合わない双方の思いは必見です。 なんにせよ戦闘力がないヒロインだって戦ってるんです。 ゲームによっては時に死亡エンドがあったりしますし、安穏としてはいられないんです。 本作の主題がとにかく死にまくるゲームで輪にかけて死ぬ「悪役令嬢」が死の運命から逃れるためとあっては、特に。 そうして考えると、全般的に古良い感じのノリで進行しつつも、主人公の役割を割り振って二人に分けたのは面白い試みだと思いましたね。 活劇を演出する男装のヒロインがその実後手後手な対応に回らざるを得ず、一方で守られる側にしか見えないヒロインが、わが道を行き、最後にふたりが同じ秘密を共有したその事実に燃えました。 初見のズッコケ要素はそのままに主人公ふたりにコメディ要素を集約し、意外と世界観で外してはいけない屋台骨はしっかり押さえているなど、演出面でも上手いかもしれません。 たとえば、この巻の舞台は主として学園であり「学生」という建前上対等な身分に全員が立ってるという前提こそあります。 とはいえ貴族の「家格」などのまじめな要素もしっかり拾っているので茶番感はあまりありません。 王に連なる家格の「公爵」と、貴族の端である「男爵」と言っても距離感は気やすいんですが、ちゃんと公的な場では弁えてくれるだろうという納得もありますから。 その辺でちょっと触れておくと、攻略対象の一人であり、将来は国政を回す王太子「オスカー」が妙に理解のある人で、BLの演出に協力してくれたりする辺り、妙な器の大きさに感服した気もします。 コメディ要素であっても、BLが男子にも理解されつつあることにちょっとした時代の流れを感じたりもしました。 余談はさりと��、まとめますと。 総じて「男装」としなければいけない裏事情を当事者視点で切迫して語りつつ、なんかとぼけた読み心地を提供していただけた小説かと思います。 タイトルの印象を裏切らないという意味では随一の文体かもしれませんね。

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