Vol. 4 看護の学びなおし 急変対応 いらっしゃいませ。 ご自由にご覧ください。 (せっせとペンを動かしながら) カウンターで熱心に何をやっているのかって? ポップを書いてるんです。 この本、売りたいんですよ。 『看護の学びなおし 急変対応』(照林社) いい本です。 最近出たばっかりの本で、応援したいんですよね。 新人もベテランも「学び直す」のコンセプト 看護師を続けていく限り、目の前で急に状態が悪くなった患者さんに、その場ですぐに対応しなければいけない場面が必ずあります。 患者の急変に備えて何を覚え、 何を身につけておかなければいけないか。 看護師なら誰もが看護学校や現場で必ず教わっているのですけれど、いざ実際の場面に遭遇すると、なかなか具体的に動けるものではなく、 知識や技術の足りなさを痛感することもあります。 だから「学びなおす」。 新人も、そしてベテランもね。 このコンセプト好きです。 看護師のニーズに合ってる。 というか、「ニーズがあることに気づかせられる」タイトルです。 何度か読みました。 いい本だなあという気持ちが、しみじみと湧き出てきます。 「急変予測」、つまりや診断に関する部分からスタートして、 肝心の 「初期対応」の技術は、イラストや写真が豊富で要点がわかりやすいです。 患者急変時の 「記録」の方法について、 さらには 「患者の家族に対する援助」(家族は不安ですよね)について……。 とても具体的で、何より、「現場感」がすばらしい。 ぜひ、お客様にもこの気持ちをおすそわけしたいなあと思いました。 目に留めて、本を手に取っていただきたい。 そこでポップを書くことにしたというわけです。 「急変が不安ならまかせて!」 「ポップって何?」……あ、失礼しました。 これのことです。 ご存じでしょう。 そうです、要は本の「宣伝」ですよ。 宣伝ですから、出版社の営業の人が、見栄えよく印刷したやつを書店に届けてくれることもありますが、近頃はかなりの量のポップが、書店員によって書かれています。 手書きのポップ、見たことありませんか。 私、ほかの本屋に行ってポップを見るのが好きなんです。 本を売る側が、本をきちんと読んで、 「この内容だったらこういう人に読んでほしい」っていうメッセージを読者目線で書き留めているのを見ると、なんだかぐっと来ます。 手書きのポップには、売る側の都合じゃなくて、買う側の気持ちが書いてあるからかなあ。 じゃあ売る側の気持ちはどこに書いてあるかというと、それは「帯」ですね。 この『学びなおし』の帯はすごくいいんです。 「作り手が推したいポイント」がとてもよくわかる。 『「なんとなく…わかっている」「できているつもり…」で乗り切れますか?』 『ICU経験25年の先輩ナースが書いた』 的確な売り文句です。 「急変対応に不安がある? だったら、安心してまかせてよ!」っていうメッセージ。 本を書いた側や、本を売る側からの、まっすぐな自己紹介。 これこそ帯です。 これだけ立派な帯があるのだったら、もう「売る側の自己紹介」は十分かなーとも思うのです。 だから、例えば私のような書店員は、代わりに、読む側に回る。 読んで実際に思ったことを素直にポップにする。 それを本の横に置いておけば……。 本屋に来た看護師にとっては、 帯とポップがそれぞれ、売る側と読む側の気持ちを語ってくれる、みたいなことになると思うんですよね。 よおし、ポップを書くぞお さあ、何を書こう。 まず、 「読んでいて嫌な気持ちにならない」。 教科書ってどこか上から目線で、「これくらい知っとけよ」「これ知らないとやばいぞ」みたいな雰囲気を感じるものだけれど、この本は執筆者の性格なのか、 「ここは忘れがちですよね」 「ここをまとめておくと、いざというときに便利ですよ」 みたいな、現場で働く人にとっての優しさがちりばめられています。 読んでいて優しい気持ちになる。 次に、 「読んでいて眠くならない」(笑)。 デザインの勝利ですかねえ。 読んで得られる知識のボリュームは多いんですけれど、文章量がそれぞれ短くて、図版が的確で、まとめの仕方がうまい。 専門書の長文って疲れているときに読むと腹立ちますけれど、そういうイライラを感じない。 さらに、 「現場の事情をよくわかった人が書いている」。 「ハイムリック法」は、知識としては持っておくけれど、現場で使う場面はあまりない、みたいなこともスッと書いてあってフフッってなります。 あと、「学びなおし」っていうくらいだから、 若手があらためて学ぶのに役に立つ本なんですけれど、実はエース級の看護師の大事な課題である「チームで医療をやること」について、かなり真剣に書いてあって……。 だめだ、ポップに入りきらない、どうしよう、私は絵があまり得意じゃないんですよ、困ったな、こんな細かい字でギッチリ詰めこんだポップ、お客さん、引くかなあ……。 あ、楽しそうに見えますか? よく言われます。
次の〜目次〜 1章 救急看護って何? どうする? 、3章 まるっとわかる! 救急ナースのキホン技術、4章 これだけはゼッタイおさえる! くすりの知識 救急看護は急変対応や様々な症状の患者さんの看護を行いますが、看護を行うためには 疾患の知識などの基本知識が必要になります。 こん本では救急看護の基本から症状別の観察項目のポイント、救急看護で必要な看護スキルなど、 救急看護に必要な内容が紹介されています。 新人看護師のひとり立ちレベルの内容が中心になっているので、 チェックリストで自分がどのレベルにいるのかが確認できます。 救急看護の必要な看護スキルや基本的な知識を1から勉強したいと考えている新人看護師にオススメです。 救急看護の急変時の対応の流れを勉強したい看護師にオススメ 〜目次〜 1. 救急・急変看護のキホン、2. 一目でわかる! 症状別対応フロー、3. 一目でわかる! 外傷別対応フロー 救命救急の現場では、患者さんの急変時の対応なども行いますが、実際に急変の場面に遭遇した時に何をすれば良いか分からないという人もいると思います。 急変時の対応は経験によって慣れが必要な部分もありますが、 行動の前に正しい知識も必要になります。 この本では 急変時の対応がチャート式で紹介されているので、どのような流れで対応することが良いのかなどの看護のポイントが一目で分かる内容になっています。 症状別に紹介されているので、 急変時の対応をイメージしやすく臨床で活かせる知識を身につけることができます。 これから救急看護で働くという新人看護師の入門書としてもオススメです。 急変時の心肺蘇生などの対応を勉強したい看護師にオススメ 〜目次〜 1. 心肺蘇生法:一次救命処置(成人編)、3. 心肺蘇生法:一次救命処置(小児編)、 4. 心肺停止患者への対応に必要な知識と看護 救急救命では重症の患者さんや急変時などに心肺蘇生などの処置を行うことがあります。 頭では分かっていても、 いざその場面に遭遇してしまうとパニックになってしまい動けないという人も多いと思います。 この本では 心肺蘇生の処置の動きなどが写真でコマ送りで紹介されているので、細かいポイントまで分かりやすいので、自己学習や復習などにピッタリです。 また、写真だけでなく付属のDVDに一連の流れが収録されているので、 動画で確認しながら覚えることができます。 救急救命に必要なスキルを身につけるために 救急救命は様々な症状や病状の患者さんと関わることが多いので、幅広い知識を持って対応することが求められます。 また急変時には心肺蘇生などの処置も行わなければならないため、すぐに対応できるよう勉強しておく必要があるのです。 救急救命に必要なスキルを身に付けたいと考えている人は、今回紹介した救命救急の必要なスキルが身につく参考書の3冊を参考にしてみてください。 関連記事(PR含む).
次のが苦手なナースのための解説書『アクティブ心電図』より。 今回は、 急変時の対応~心肺停止の心電図について解説します。 田中循環器内科クリニック院長 [前回] 〈目次〉• 原則的には予想外の病状変化であり、緊急の対応が必要です。 悪性腫瘍の末期状態などで、蘇生不要の指示があれば、特別な対応はしません。 「急変だ」と思ったら、まず意識の確認。 意識がある場合は、循環機能は保たれているはずです。 次にサインの確認。 症状の聴取、状態、、、、の有無などを素早く確認して、報告します。 指示をもらって、、投与、静脈確保を行います。 標準、ガス、採血、レントゲンなど、急変の原因をつきとめて対処します。 意識がない場合は、循環機能が停止しているかもしれません。 心肺停止の項で解説します。 突然の徐脈 モニター心電図、あるいは脈拍触知で、徐脈であった場合は、急変の原因が徐脈によるものかどうかを判断しましょう。 全身状態の悪化や、急性の呼吸不全でも徐脈になるので、まず患者さんの状態を把握してください。 もし、徐脈が原因で急変している場合は、ペースメーカーが必要になる可能性が高いので、すぐに報告しましょう。 突然の頻脈 突然のを認めた場合、まず状態を確認します。 意識がない場合は、次項の心肺停止の手順で対応します。 意識があれば標準12誘導心電図をとりましょう。 ・ 幅広QRS頻拍の場合:心電図モニター、報告とともに除細動の準備をしましょう。 ・ 正常幅QRS頻拍の場合:循環状態が悪い場合は除細動を行うこともありますが、原則的には、医師に報告のうえ処置を仰ぎます。 心電図モニターと状態の継続観察は必要です。 心肺停止 急変と判断して、意識がない場合は、心肺停止状態と考えて対応します。 対応や処置について、AHAガイドライン2010に沿って説明します。 他のスタッフは検温や処置で不在、1人で病棟にいるところに、ナースコールが鳴ります。 洋子「どうしましたか?」 患者さん「となりのベッドの田中さんの様子がおかしいんだけど」 洋子「わかりました。 いま行きますね」 田中さんのもとに駆けつけると、様子がヘンです…… 洋子「田中さ~ん」と肩を叩きますが、 反応がありません。 緊急事態です。 震える手でベッドサイドのナースコールを押します。 洋子「田中さんが急変です。 救急カートと除細動器をお願いします」 洋子は、意識のない田中さんの左側に立ち、右手を額に当て、左手で顎を上げて 気道を確保しました…… 右を顔に近づけて 呼吸の有無を確認します。 胸の上下動がありません。 呼吸音は聞こえません。 空気の流れは感じられません。 ……:見て・聞いて・感じて 心肺停止と判断しました。 スタッフが到着してで 2回換気しましたが、変化ありません。 洋子は間髪を入れずに、 マッサージを始めました…… 別のスタッフがモニター心電図を装着しました。 マッサージを一時中断して、確認すると波形は波打っているだけで、はっきりしたQRS波がありません。 「VFです。 除細動しましょう」駆けつけた青嶋医師は、素早く除細動を行います。 青嶋医師「下がって、除細動」…… バチッという音とともに、身体が弾みます。 モニター心電図は……息をのみます。 青嶋医師が頸を触れます。 「拍動あり、呼吸を確認して呼吸補助を続けて」 胸郭の上下動があります。 洋子が顔を近づけると、呼吸音を感じます。 心の中でほっとする洋子でした。 触れて話しかけるのでtouch&talkといいます。 反応がなければ、とにかく人をよびます。 病棟なら救急カートと除細動器を準備します。 応援・救急カート・除細動器は救命の3点セットです。 2.A(Airway):気道確保 意識がなくなると舌根が気道を塞ぎ、空気の通り道がなくなるので、気道を開いてあげる必要があります。 手のひらをおでこに押し当てて、頭を反らせるようにし、反対の手の指であご先を引っ掛けて持ち上げます。 3.B(Breathing):呼吸の確認と人工呼吸 気道確保をしたまま、口・に触れるほど近づけて、同時に胸の上下を「見て」、耳で呼吸音を「聞いて」、頬のあたりで空気の流れを「感じて」、呼吸の有無を確認します。 もし舌根が落ちて呼吸していないだけなら、呼吸が再開するかもしれません。 もし呼吸がなければ、人工的に酸素を送ってあげなければ回復しません。 なぜならも心臓も酸素不足で刻々とダメージを受けているからです。 病棟など病院内なら、バッグバルブマスクを使い、2回酸素化した空気を送り込みます。 4.C(Circulation):心臓マッサージ AHAガイドライン2010では、呼吸なし=循環停止とみなして、循環確認なしで心臓マッサージを行います。 あわてているでしょうから、両方の乳首を結んだ線でも構いません()。 図1心臓マッサージ(胸骨圧迫)の位置(緊急時の対応) 5.D(Defibrillation):除細動 心肺停止には4種類あり、そのなかで心室細動(VF:ventricular fibrillation)と無脈性心室頻拍(pulseless VT:pulseless ventricular tachycardia)の2つには、電気的除細動が必須です。 速やかに除細動を行うことが、救命のキモです。 ここまでを一次ABCDサーベイ(プライマリーABCDサーベイ)といいます。 次の段階、気管内挿管、薬剤投与などが二次ABCDサーベイ(セカンダリーABCDサーベイ)です()。 図2心停止の二次救命処置アルゴリズム 心肺停止(CPA)の心電図波形 まず、いちばん大切なことを心に刻みましょう。 「モニターを見るな、人を見よ」たとえ心電図モニターがどんな波形を示そうと、患者さんの意識・呼吸がなければ、それは心肺停止ですから、前述の方法でを行います。 だから、まず患者さんの状態を把握することが必要です。 そのうえで、心電図の解析が必要な理由は、唯一除細動が必要かどうかを判定するためです。 その点をよーくキモに銘じておきましょう。 心肺停止の心電図には、4つあります。 4つの波形を2種類に分けます。 一方は除細動が必須な波形、もう一方は除細動が必要ない波形です。 ・ 除細動が必須: 心室細動と 無脈性心室頻拍 ・ 除細動が不要(逆に有害ともいわれています): 心静止と 無脈性電気活動 1.心室細動 図3心室細動の心電図所見 P波もQRS波もなくて、基線が波打っているだけですね()。 これが心室細動(VF)です。 特徴は不規則な基線のユレが見られるだけという点です。 心室はピクピクと痙攣しているだけで、有効な血液の拍出は行われていません。 当然のことながら血圧もなく、脈が触れるわけもありませんよね。 2.無脈性心室頻拍 図4無脈性心室頻拍の心電図所見 幅の広いQRS波が、短い間隔で連続していますね()。 とりあえずは幅広=心室性、短い間隔で連続=頻拍ですから、無脈性心室頻拍(pulseless VT)と考えましょう。 無脈性かどうかは、とにかく患者さんのところに行ってみないとわかりません。 心室頻拍でも、血圧も下がらずほとんど無症状の人もいますから。 3.心静止 図5心静止の心電図所見 心静止(asystole)の心電図はご覧のとおり、ただただ1本の横線です()。 解説も何もありませんが、ここにも落とし穴があります。 1つは電極はずれ。 これはベッドサイド・ダッシュで簡単に判明しますね。 もう1つは、波高の低い心室細動の場合です。 モニターの感度を下げていると、心室細動が心静止と誤認されることがあります。 誤認してはいけない理由は、心室細動なら除細動が必要、心静止なら不要だからです。 これを防ぐためにフラットライン・(a〜c)を行います。 本当に心静止かどうかを確認する手順です。 a. リードを確認:電極ははがれていないか。 リードが心電計につながっているか b. 感度を上げる:感度の下がりすぎで心室細動を見逃していないか c. 誘導を替える:誘導を切り替えてみて、心室細動でないことを確認する すべて、ホントに心静止か、VFは隠れてないかという疑惑を確認しているわけです。 これで本当に心静止と確認できれば、除細動せずに心臓マッサージを続けて、次の蘇生処置に移るわけです。 4.無脈性電気活動 この心電図の説明は難しい。 なぜなら、「この心電図がPEAです」という波形はないのです。 のように、心電図としては全く正常な波形でも、患者さんが心肺停止状態ならば、それは、 無脈性電気活動(pulseless electrical activity:PEA)です。 図6無脈性電気活動の心電図所見 急変患者があったときに、心肺停止を確認してモニターを付けた。 そこで出た波形が、心室細動でも心室頻拍でもない。 でも何か出ているから心静止でもない。 そうです、心肺停止患者でVF・VT以外の何かの波形が出ていれば、たとえ正常波形でもすべてPEAです。 どんな波形であろうとも、除細動の必要がなければ、人工呼吸と心臓マッサージを続けて、薬剤投与など次の蘇生処置に移るのです。 日頃の習性で、とくに医師はモニター心電図の波形が正常だと、心臓が正常に活動しているように錯覚し、一息ついてしまいます。 でも、目の前の患者さんをみましょう。 呼吸していません、脈も触れません、心肺停止です。 心肺蘇生は続けなければなりませんよ。 ここです、最初にキモに銘じてもらったのは。 もう一度しつこく言います「 モニターを見るな、人を見よ」。 心肺停止の判断はモニター心電図ではなく、患者さんの状態なのです。 5.歯磨き不整脈 番外編ですが、病棟のモニター心電図では「磨き」が存在します。 これは、その歯磨き不整脈ですが、まるで心室細動のようです()。 図7歯磨き不整脈の心電図 看護師があわてて駆けつけると「なんかあったの?」という顔でモクモクと歯磨きをしている患者さんがいました。 体動などに伴うアーチファクトの混入です。 まとめ• 急変時は意識を確認。 意識があればバイタルサインチェック、心電図他。 意識がなければ応援と除細動器を要請してABC• ABCを続けながら、モニター心電図を確認。 心室頻拍・心室細動では除細動を行う• 心静止・無脈性電気活動では救命処置を継続するが、心静止は、リード・感度・誘導をチェックし心室細動ではないことを確認 最後に心肺蘇生について付け加えておきます。 本人、ご家族、医療チームの間で、蘇生をしないことが決定され、文書などで示されている場合はDNAR(Do Not Attempt Resuscitate:蘇生を行うな)ですから、事前にわかっていれば、心肺蘇生は行いません。 [出典] (著者)田中喜美夫/2014年3月刊行/.
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