キッチンデザインに朗報!? 戸建住宅の内装制限が緩和 従来、コンロなどの加熱調理器具が設備された住宅のキッチンは火気使用室と定義され、火災予防の見地から建築基準法(令128-3-2条~129条)で、準不燃材料以上の不燃材料で仕上げることが義務づけられてきました。 トレンドとなっているオープンキッチンの場合、下記の図面のように垂れ壁を設けなければ、キッチンから離れたダイニング空間やリビング空間まで、準不燃材以上で仕上げるように決められていたわけです。 開放的なキッチン空間をデザインするときに、この規制は結構厳しく、建築家やデザイナーはダイニングやリビングの内装材を選定することに腐心してきた訳です。 以前のガイド記事でご紹介しましたが、神奈川県条例ではされている特例がありますが、現在の消防庁の見解では、ガスクッカーでもIHクッカーでも火気使用室という点では同じ扱いとなりますから要注意です。 今回の内装制限緩和の告示は、住宅における火気使用室の内装制限に係る規定の合理化を図るため、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条第1項第二号ロの規定に基づいて、「」として、平成21年2月27日に公布、4月1日に施行されました。 告示本文は、国土交通省の「(平成21年国土交通省告示第225号) PDFファイル)で内容を確認できます。 またこの改正法規は、戸建住宅だけに適用され、集合住宅には適用されません。 また従来の内装制限とは並列法規となり、どちらかをクリアすれば良いということになります。 本告示の適用対象は、加熱の状況が比較的よく把握できており、かつ、ログハウス等の木材を内装に使用している一戸建て住宅において一般的に用いられる火気使用設備として、『こんろ・固定式ストーブ・壁付暖炉・いろり』に関する技術基準を整理したもので、囲炉裏のある和室デザインや、暖炉やストーブを設置したログハウスの内装デザインに自由度が増すことは嬉しい。 平面図で従来の内装制限と、今回の規制緩和を表現すると下図のようになる。 またコンロと周囲の壁に指定された離隔を確保できない場合、コンロ周りは9mm以上の不燃材で仕上げる必要がある。 特定不燃に準じる材料として12. 5mm以上の石膏ボード、5. 6mm厚の珪酸カルシウム板2枚重ね、5. 6mm厚の繊維強化セメント板2枚重ね、厚さ12mm以上のモルタルの使用が認められる。 以下のストーブが対象となる。 パースでみるキッチンの変化 以上の説明をパースで表現すると下図のようになる。 今回の法改正によってキッチンの内装制限は緩和されたように見えるが、上のパースで表現されるように、コンロ周りの規制は結構厳しい。 注意したいのは、ダイニングやリビングに向かったオープンキッチンの場合、コンロバックの立上がり材料や仕上げの規制が従来よりかなり厳しくなり、不燃認定を受けていない木製カウンターや人造大理石のデッキカウンター等が不可となることだ。 もう一点注意したいことは、コンロ近くの吊戸棚の材料だ。 従来はレンジフードに接する吊戸棚は150mm以内の両底面の仕上げを3mm以上の金属以外の不燃材で仕上げる必要があったが、今回の改正では、吊戸棚そのものの材料を準不燃材以上の仕上げにする必要がある。 このあたりは、関係するや、などの公式見解が未発表のため、そちらを確認する必要がある。 5mm以上のもの、厚さが7mm以上のせっこうボードなどがある。 今後もこの規制緩和法規の詳細が判明次第修正させていただきます。 【関連記事】•
次のキッチンデザインに朗報!? 戸建住宅の内装制限が緩和 従来、コンロなどの加熱調理器具が設備された住宅のキッチンは火気使用室と定義され、火災予防の見地から建築基準法(令128-3-2条~129条)で、準不燃材料以上の不燃材料で仕上げることが義務づけられてきました。 トレンドとなっているオープンキッチンの場合、下記の図面のように垂れ壁を設けなければ、キッチンから離れたダイニング空間やリビング空間まで、準不燃材以上で仕上げるように決められていたわけです。 開放的なキッチン空間をデザインするときに、この規制は結構厳しく、建築家やデザイナーはダイニングやリビングの内装材を選定することに腐心してきた訳です。 以前のガイド記事でご紹介しましたが、神奈川県条例ではされている特例がありますが、現在の消防庁の見解では、ガスクッカーでもIHクッカーでも火気使用室という点では同じ扱いとなりますから要注意です。 今回の内装制限緩和の告示は、住宅における火気使用室の内装制限に係る規定の合理化を図るため、建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第129条第1項第二号ロの規定に基づいて、「」として、平成21年2月27日に公布、4月1日に施行されました。 告示本文は、国土交通省の「(平成21年国土交通省告示第225号) PDFファイル)で内容を確認できます。 またこの改正法規は、戸建住宅だけに適用され、集合住宅には適用されません。 また従来の内装制限とは並列法規となり、どちらかをクリアすれば良いということになります。 本告示の適用対象は、加熱の状況が比較的よく把握できており、かつ、ログハウス等の木材を内装に使用している一戸建て住宅において一般的に用いられる火気使用設備として、『こんろ・固定式ストーブ・壁付暖炉・いろり』に関する技術基準を整理したもので、囲炉裏のある和室デザインや、暖炉やストーブを設置したログハウスの内装デザインに自由度が増すことは嬉しい。 平面図で従来の内装制限と、今回の規制緩和を表現すると下図のようになる。 またコンロと周囲の壁に指定された離隔を確保できない場合、コンロ周りは9mm以上の不燃材で仕上げる必要がある。 特定不燃に準じる材料として12. 5mm以上の石膏ボード、5. 6mm厚の珪酸カルシウム板2枚重ね、5. 6mm厚の繊維強化セメント板2枚重ね、厚さ12mm以上のモルタルの使用が認められる。 以下のストーブが対象となる。 パースでみるキッチンの変化 以上の説明をパースで表現すると下図のようになる。 今回の法改正によってキッチンの内装制限は緩和されたように見えるが、上のパースで表現されるように、コンロ周りの規制は結構厳しい。 注意したいのは、ダイニングやリビングに向かったオープンキッチンの場合、コンロバックの立上がり材料や仕上げの規制が従来よりかなり厳しくなり、不燃認定を受けていない木製カウンターや人造大理石のデッキカウンター等が不可となることだ。 もう一点注意したいことは、コンロ近くの吊戸棚の材料だ。 従来はレンジフードに接する吊戸棚は150mm以内の両底面の仕上げを3mm以上の金属以外の不燃材で仕上げる必要があったが、今回の改正では、吊戸棚そのものの材料を準不燃材以上の仕上げにする必要がある。 このあたりは、関係するや、などの公式見解が未発表のため、そちらを確認する必要がある。 5mm以上のもの、厚さが7mm以上のせっこうボードなどがある。 今後もこの規制緩和法規の詳細が判明次第修正させていただきます。 【関連記事】•
次の夏になると新潮文庫にそわつく自分がいる。 読書感想文をどの本で書こうか、と本屋を覗くのは夏休みの風物詩であった。 あれも読みたいこれも読みたい、推薦図書は誰かと被っちゃうかなぁ、など悩むことが多い中で「」の棚にはかなりお世話になった。 そこから更に1冊に絞り込むためウンウン唸って選んだ記憶がある。 今でも「新潮文庫の100冊」のポップを見ると夏が来たなぁ~としみじみして、気付くと数冊抱えて帰る、そんな読書感想文のない夏も幾度となく過ごしている。 私が文庫を買うとき、というのは「好きな単行本が満を持して文庫化されたので持ち運べる喜び」パターン、「タイトルと概要は知ってるけど未読なので読んでみよう文庫なら気軽だし」パターン、「今から旅行なんだけど空港や駅でつい本屋に寄ったら案の定読みたい本がある」パターンに分かれる。 前者2つは厚みを気にせず買うのだが、最後の1つはそうはいかない。 なぜ厚みを気にしているかというと、既に家から積読を数冊持ってきているのだ。 この時点で重い。 なんなら、たんまりダウンロードしてある電子書籍もある。 それに、あまりにも長い作品を読み始めてしまうと途中で閉じられず、車窓から見える景色などそっちのけになってしまい、酷い時は二宮金次郎スタイルでも読みたくなってしまうほど集中してしまうので旅に向かない。 ここで私は自分にルールを課す、旅先で買ってもいいのは「1cmまでの文庫」。 今回は旅に連れて行った、1cm以内にぎゅっと詰まった文庫を紹介しようと思う。 『』、7mm。 短編が7編収録されている。 私は食べ物関連の作品に目がないのだが、小川糸さんの作品に出てくる食べ物は温度まで伝わる。 まさにタイトル通りにあつあつ。 しゅうまいの描写に口の中はホフホフし、ポトフがじんわり沁みる。 私の人生の節々にも象徴的な食べ物があるが、こうしてチャプターごとに食べ物がある人生をおくれるのは幸せだ。 たとえそれがしょっぱい失恋でも、苦い別れでも。 吉本ばなな『キッチン』、7mm。 私が紹介するまでもない、刊行から30年以上が経った今も愛され続ける作品。 旅行というインスタントな孤独とこの作品の主人公が置かれている環境は全くもって比べ物にならないけれど、ここではないどこかへ引き離されて自分が浮き彫りになっている時に似合う。 死と、生に、当たり前にしっかり向き合うこと。 今日も自分でいること。 キッチンは孤城であり、愛を育む舞台だ。 読むたびに心に残る言葉があるけれど、今回読み返して響いたのは「人はみんな、自分の気持ちの面倒は自分でみて生きているものです」。 最後に、私が新潮文庫で何度も繰り返し買った本。 なんで何度も買う必要があるのかと思われるかもしれないが、私にとって星の王子さまこそ旅先で読みたい1冊だ。 はじめて自分の計画で旅に出た時、肩から斜めがけするちょっと大げさなブックカバーに収めたのがそれだった。 そこから私にとって旅に出る時に持って行く本となった。 読みたくなるとその都度買う。 持ち歩くし、プレゼントするし、なくす、となるとまた手元からなくなる。 本当は1冊を丁寧に大事にすべきなのだけれど、なぜか星の王子さまだけは何度も買っている。 今回も、星の王子さまは何mmかなと本棚を探したら見当たらなかった(そんなはずないのに!)。 最寄りの本屋に行き、新潮文庫の棚を見る。 必ずと言っていいほどちゃんとそこにある星の王子さまを購入し、測ってみるとちょうど1cmだった。 小さいカバンに1cmの厚みを忍び込ませて今日も出かける。 この夏はどこへ行こうか。 (ゆめみ・ねむ 書店店主・元でんぱ組. incメンバー) 1964(昭和39)年、東京生れ。 日本大学藝術学部文芸学科卒業。 1987年『キッチン』で海燕新人文学賞を受賞しデビュー。 1988年『ムーンライト・シャドウ』で泉鏡花文学賞、1989(平成元)年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で芸術選奨文部大臣新人賞、『TUGUMI』で山本周五郎賞、1995年『アムリタ』で紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』でドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)を受賞。 著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアでスカンノ賞、フェンディッシメ文学賞〈Under35〉、マスケラダルジェント賞、カプリ賞を受賞。 近著に『吹上奇譚 第一話 ミミとこだち』『切なくそして幸せな、タピオカの夢』がある。 noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた単行本も発売中。 この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。
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