腎炎 治療。 急性腎不全の症状、治療について|病気の症状を知ってセルフチェック

腎臓病の治療:慢性糸球体腎炎:大阪府立急性期総合医療センター腎臓高血圧内科

腎炎 治療

慢性腎炎 腎臓病の中で、もっとも多い病気がこの 慢性腎炎(慢性糸球体腎炎)です。 糸球体を中心にした慢性の炎症がみられるもので、さまざまな原因で起こる腎炎が含まれているために、疾患群としてまとめられています。 いずれにしても、たんぱく尿や血尿とそれに伴う症状が、1年以上にわたって持続する状態を 慢性腎炎と呼びます。 ただし、糸球体腎炎以外で、異常尿所見や高血圧を呈する病気は除きます。 症状と早期発見法 慢性腎炎では、なんら前兆や誘因もなく発症してくることが多く、また進行して腎不全となるまでは、自覚症状のないことが多いのです。 そのため、定期健診のときなどに検尿で見つかることがほとんどです。 しかし、時には発病初期に肉眼的血尿に気づいて来院する例もあります。 IgA腎症[アイジーエーじんしよう]ではこれが特徴的です。 IgA腎症[アイジーエーじんしよう]とは 発症頻度はわが国では高く、 慢性腎炎の半数近くを占めています。 発症は10代後半から30代前半に多く、やや男性優位です。 糸球体(腎生検による)にIgAという免疫グロブリンが沈着している特徴から、IgA腎症と呼ばれています。 原因となる抗原は明らかではありませんが、これにIgA抗体が沈着して発症すると考えられています。 約半数の患者さんの血液中のIgAが上昇していますが、血尿がほぼ必発の所見です。 さらに30%では肉眼的血尿まで認められ、多くは上気道感染や腸炎の2~3日後に出現します。 たんぱく尿はあっても軽度で、ネフローゼ症候群や高血圧を合併する頻度はわずかです。 一般的に予後はよく、腎機能低下もみられないといわれてきましたが、実際には20~30%が5~20年で腎不全となり、透析療法が必要となることが示されてきました。 この予後の悪い例は、たんぱく尿0. したがって、この場合は継続的に通院し、次のような治療を受けるべきです。 慢性腎炎の治療 慢性腎炎で最大の問題となるのは、病気が進行し、しだいに腎機能が低下して腎不全となる例があることです。 そのため、この進行を阻止することが治療の最大の目標になります。 現在のところ、進行を確実に止めるという方法は確立しておりませんが、病態に合わせて、次のような薬物が用いられています。 進行を抑えるための薬物療法 ネフローゼ症候群の場合と同様、尿たんぱく量の多い場合、副腎皮質ホルモン薬が用いられることがありますが、効果についてはまだ確立されておりません。 腎炎の始まりが、免疫反応によると考えられているので、免疫抑制薬には効果が期待できそうですが、実際には、急に悪化した場合やネフローゼ症候群を呈する場合を除いて、ほとんど効果がありません。 糸球体内で血液が凝固することが腎炎の進行を速めると考えられています。 そこで、血液凝固を抑制するために、血液凝固の主役である血小板のはたらきを弱める薬がよく用いられています。 高血圧も、腎炎の進行を速めることが知られています。 そこで高血圧を合併している場合には、降圧薬による治療をしなければなりません。 最近、降圧薬の中には、たんぱく尿を減少させ、さらに腎機能の低下を抑制するものの存在が確認され、そのために高血圧がなくても治療に用いられるようになってきました。 また、むくみのあるような場合には利尿薬も用いられます。 療養上の注意と食事療法 慢性に経過しますし、一部のものは進行性に悪化しますので、生活上の注意は重要です。 安定している場合(固定期)には、ほぼ健常人と同じ生活ができます。 食事療法も、腎機能の程度、症状の有無によってまちまちです。 基本的には、食塩とたんぱく摂取量に注意することで、あとは水分量とエネルギー摂取量が、過不足にならないようにすることです。 しかし、腎機能が60~70%以下となったなら、慢性腎不全の項で述べるような厳しい食事療法がすすめられます。

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子どもの急性糸球体腎炎と慢性糸球体腎炎の原因や症状・治療

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症状 急性と慢性で症状は大きく異なります。 急性腎盂腎炎 非常に強い炎症反応が生じ、高熱や悪寒、強い腰痛などが生じます。 早期に適切な治療を行わなければ、に至ることもまれではありません。 また、結石や腫瘍が誘因となっている場合には、尿の量が少なくなったり、血尿がみられたりすることもあります。 多くは適切な治療で治り、急性にならないことも特徴のひとつです。 慢性腎盂腎炎 一般的に自覚症状が少ないのが特徴です。 長引くや倦怠感があり、徐々に腎臓の機能が低下することで、尿を濃縮する能力が低下し、夜間の多尿や尿の色が薄くなるなどの症状が現れます。 自覚症状が少ないため気づかれないことも多く、治療せずにいると慢性腎不全に移行することがあります。 検査・診断 腎盂腎炎では、さまざまな検査により診断や治療方針の決定が行われます。 血液検査 炎症反応の程度と腎機能を評価します。 また、が疑われる場合には、血小板や凝固因子などが治療方針を決定するうえで重要な項目となります。 尿検査 尿への細菌や血液の混入、尿中の白血球数などを確認します。 また、尿培養検査にて腎盂腎炎の原因菌を特定することが可能であり、抗菌薬の選択に必須の検査となります。 異形細胞がみつかった場合、などを疑うきっかけとなります。 超音波検査 腎臓は、超音波で観察しやすい臓器です。 超音波検査は簡便に行える画像検査であり、腎盂腎炎のほとんどで行われます。 急性の場合には、腎盂の拡張や尿管の閉塞などを確認することができます。 慢性の場合では、腎臓の萎縮や腎杯の拡張などがみられます。 CT検査 腎機能が正常であれば造影剤を用いたCT検査が行われます。 腎盂拡張の程度やの位置・大きさ、解剖学的異常などを詳しく評価することが可能です。 治療 腎盂腎炎の治療の主体は、抗菌薬の投与です。 原因菌に適した抗菌薬の使用が必要ですが、腎臓に効きやすいペニシリン系やセフェム系、ニューキノロン系などが多く使用されます。 通常は、発症時のみに使用されますが、乳幼児の繰り返す腎盂腎炎には予防的に抗菌薬を長く服用することもあります。 その他、結石の排出を促すために点滴が行われたり、痛みに対して鎮痛剤が使用されたりします。 また、などの重篤な合併症が生じた場合には、全身管理を含めた集中治療が行われます。 慢性腎盂腎炎の場合には、長期の抗菌薬療法が基本となります。 また、解剖学的異常に対しては手術が行われることが多く、慢性に移行した場合には人工透析やが必要となります。

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糸球体腎炎

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IgA腎症 IgA腎症は、世界で最も多い腎炎で、特に日本を含む東アジアに多いとされます。 尿に血が混じったり、蛋白尿がでたりします。 未治療の場合、約4割の方が腎臓の機能が悪化し、透析に至ってしまう予後不良の疾患で、本邦では「指定難病」の一つになっています。 しかし、その発症原因は未だ不明です。 現在、診断には腎臓に針を刺す「腎生検」という検査が必須で、腎臓の「糸球体」という場所に、抗体の一種であるIgA(免疫グロブリンA)の沈着を確認することが必要です。 最近の研究で、この沈着するIgAの一部に糖鎖修飾異常があり(糖鎖異常IgAといいます)、これが糸球体に沈着することで炎症が起こると考えられています。 患者さんの血液の中に、この糖鎖異常IgAが増えていることがわかっています。 治療には、ACE阻害薬やアンギオテンシンII受容体拮抗薬といった降圧薬や、ステロイドを含む免疫抑制薬などが用いられています。 本邦では、扁桃摘出術+ステロイドパルスとの併用療法(扁摘パルス療法)が良好な治療効果を示しています。 急性糸球体腎炎 扁桃炎などが治ってから10日前後経って発症する一過性の腎炎(糸球体の炎症)です。 顔面・まぶた・足の浮腫(むくみ)、肉眼的血尿(褐色・コーラ色)、尿量低下、高血圧などが主な症状です。 高度な血尿と蛋白尿をきたし、時に急激な腎機能低下を認めます。 免疫物質である補体の低下や溶連菌感染を示すASO・ASK抗体価の上昇を認めます。 症状と検査所見で診断しますが、他の腎炎との鑑別のために腎生検を施行することもあります。 尿量減少、浮腫、高血圧に対しては安静と塩分・水分制限とし、一時的に利尿薬・降圧薬の投与を入院で行こともあります。 感染の進行中に発症した場合は、感染の治療も行います。 発症後、時間の経過にともない血尿、蛋白尿、腎機能は自然に改善する予後良好な疾患ですが、時に尿所見異常が持続し腎機能障害が残ることもあります。 急速進行性腎炎 腎臓の働きが週から月の単位で悪くなっていく場合に急速進行性と呼びます。 多くは全身倦怠感、持続する発熱や体重減少などの症状があるために医療機関を受診して、血尿や蛋白尿を認め、採血検査で腎機能低下の指標であるクレアチニンの進行性の上昇により診断されます。 腎生検という検査をして、腎臓の組織を観察すると、多くの場合は強い炎症のために糸球体の毛細血管が破れ、半月体と呼ばれる細胞の増殖像や、壊死などが認められます。 これを病理の診断名では壊死性半月体形成性腎炎と呼びます。 原因となる病気は腎臓のみに炎症を起こす疾患群と全身の炎症の一部として腎臓を侵すものありますが、最も頻度が高いのは、全身の微細な血管の炎症をきたす「顕微鏡的多発血管炎」といわれる病気です。 どのような原因疾患であっても、放置すると透析を必要とする腎不全に早くに陥るため、上記の症状などがあれば医療機関をすぐに受診していただき、診断がつけば、専門医のもとでステロイド薬などの免疫抑制療法を早急に始めることが必要です。 微小変化型ネフローゼ症候群 大量の蛋白が尿に漏れ出て、血液の蛋白濃度が低下し、むくみを伴う病気をネフローゼ症候群といいます。 腎生検という検査を行うと糸球体にほとんど変化がないことから微小変化型といわれています。 微小変化型ネフローゼ症候群の特徴として、若年者に多く、発症が急激ですが、ステロイド薬治療に反応が良好です。 発症の詳しいメカニズムはわかっていませんが、花粉症、喘息、アトピー性皮膚炎などアレルギーのある方に比較的多くみられることがあります。 急にたくさんの蛋白が漏れ出るため、血管内は脱水になりやすく、腎臓の働きが急激に悪くなって、一時的に尿が出にくくなることがあります。 高用量のステロイド薬治療により約2週間程度で蛋白尿は消失しますが、ステロイド薬を減量すると約半数近くに再発がみられます。 再発を防止するために免疫抑制薬(シクロスポリン、ミゾリビン、シクロホスファミド)やリツキシマブ治療の併用が行われることもあります。 膜性増殖性糸球体腎炎 腎臓の糸球体の基底膜が厚くなるとともに、メサンギウム細胞の数が増えるために、糸球体が分かれた葉っぱのように見える(糸球体の分葉化と言われています)比較的稀な糸球体腎炎です。 診断には腎臓に針を刺す「腎生検」という検査が必要となります。 小児から若年者におこることが多い膜性増殖性糸球体腎炎は、補体活性の調節異常が原因のことが多く、補体の異常によるものはC3腎症と呼ばれています。 成人におこる膜性増殖性糸球体腎炎の半数以上は、C型肝炎患者などに見られる二次的なものです。 リンパ腫や膠原病など様々な病気に合併しておこることも知られています。 特発性膜性増殖性糸球体腎炎では、副腎皮質ステロイド、メチルプレドニゾロンパルス療法、ステロイドと免疫抑制薬の併用療法などが試みられています。 巣状分節性糸球体硬化症 尿へ大量の蛋白が漏れ、血液中の蛋白が減って全身がむくむ「ネフローゼ症候群」の原因となる病気の一つで、腎生検という検査で腎臓の組織を観察することで診断されます。 発症からの経過・症状は微小変化型ネフローゼ症候群によく似ていますが、ステロイド薬による治療の効きが悪い場合がしばしばあり、腎機能が進行性に悪化する場合もあります。 典型的なネフローゼ症候群を発症する原発性(一次性)の巣状分節性糸球体硬化症の他、肥満関連腎症、膀胱から尿が逆流することによって起こる逆流性腎症など、形態としては同じような変化が観察される続発性(二次性)巣状分節性糸球体硬化症もあり、治療法がそれぞれ異なります。 原発性の場合は、ステロイド薬や免疫抑制薬による治療が主軸となりますが、降圧薬(レニン・アンジオテンシン系阻害薬)・抗血小板薬・脂質異常症改善薬などの薬剤も治療に用いられます。

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