誰もが一度は夢見るライフスタイルを、制限付きながら現実化させたのが、東芝の「タイムシフトマシン」だ。 複数の地上デジタルチャンネルを、HDD容量の許す限り自動録画し続けるという、ある種の力業で実現したこの機能は、2009年発売の超高級テレビ「CELL REGZA X1」で初お目見えして以来、東芝製ハイエンドテレビの看板機能として、着実に進化を遂げている。 遅ればせながら筆者も2011年末にレグザサーバー DBR-M190 を自腹で導入。 実際に丸1年近く「タイムシフトマシンのある生活」を過ごしてみたが、とにかく便利と断言できる。 衣食住のような超必須アイテムではないが、旅先でホテルに泊まる際などに、いざタイムシフトマシンがないと、その偉大さを実感することしきりだ。 そのタイムシフトマシンを搭載する最新テレビが、10月末に発売を開始した「REGZA Z7」だ。 今回、47インチモデルの「47Z7」を約2週間お借りできる機会を得たので、普段使いの私室 兼寝室 用テレビと完全に入れ替え、仕事半分・実用半分でミッチリとその使用感を試してみた。 その模様を2回にわたってレポートする。 筆者宅のレグザサーバー「DBR-M190」。 2011年末購入 そんなわけで「タイムシフトマシン歴1年」となった筆者。 春夏秋冬使ってみて、新たに分かった・気付かされたことも多数あったので、まずはレグザサーバーの後日談をダイジェスト的にご紹介しておきたい。 ・オリンピック観戦で大活躍! 今となってはもう懐かしの出来事だが、2012年はオリンピックイヤーだった。 開催地のロンドンとはかなり時差があるため、人気種目の決勝が日本の深夜にスタートすることもかなり多かった。 すでに記憶があやふやなところもあるが、陸上の男子100m決勝はその最たる例だったように思う 早朝の5時前後? もちろん録画予約しておけばよいのだが、オリンピック放送はとにかく数が多いため、よほど注意して番組表や公式サイトをチェックしておかないと、予約すべきかどうかも迷いがちだ。 筆者の場合も男子100m決勝はリアルタイムで見なかった。 翌朝、結果を知ってから、タイムシフトマシンで遡って鑑賞した。 レースそのものはスポーツ番組で繰り返し放送されるが、その前後の選手紹介やウイニングランは大概カットされる傾向にある。 しかし、100mは競技時間が非常に短いので、その前後にも面白みが詰まっている。 タイムシフトマシンの効果を実感した瞬間だ。 もう1つ印象深かったのがレスリング中継。 日本時間の22時~26時くらいにかけてトーナメント1回戦から決勝までを生中継する機会が多かったように思う。 加えて、試合スケジュールが非常に独特で、1回戦から準決勝までを集中的に行い、その後数時間空けてから1~3位決定戦が始まる。 この空き時間は中継そのものが一時中断したり、それまでのダイジェストを流すことが多かったようだ。 しかし、レスリングはメダルの期待が事前から非常に高く、観戦する筆者の気分も高まっていた。 そこで、タイムシフトマシンに保存されていた事前カードや、1位決定戦で対戦する外国人選手の試合などを、自分の好きなペースで繰り返し見られた。 つまり、生中継観戦の予習に役立ってくれたというわけだ。 ・メダリスト銀座パレードを3局分まるまる視聴! 過去番組表から検索が可能。 ネット経由でおすすめ番組情報を入手することもできる オリンピック終了から間もない8月20日。 東京・銀座でメダリストによるパレードが行なわれた。 開催決定 リリースによれば8月16日 から実施までの間隔が非常に短く、筆者も興味はあったが、現地に行くことは諦めた。 さらにテレビ中継にも期待していなかった 中継告知がたまたま筆者に届かなかっただけかもしれないが。 ところが当日、フタを開けてみたらテレビ各局がこぞって生中継を実施。 少なくとも日本テレビ、TBS、フジテレビは11時台のワイドショー番組を通常編成のまま、そのいちコーナー的に中継した。 面白かったのが、この3局ともカメラ設置位置がまったくバラバラだったこと。 普通であればパレード運営者側がマスコミ用にカメラ設置場所をあらかじめ用意するのだろうが、さすがに余裕がなかったのだろう。 各局とも、沿道のビルを独自に確保して中継したようだ。 メダリスト勢はバスに乗ってパレードしたが、その身が1つである以上、進行方向の左右どちらかにしか存在し得ない。 しかし、タイムシフトマシンなら何でもないことだ。 ・冒頭5分がつまらなかったら、見ない チャンネルごとの曜日別番組表も利用できる 現状における、筆者の究極の結論。 当然、すべてを見ることはできないので、興味のある番組のみを優先して見る。 では「興味のある番組」とは、どんなものだろうか。 まず、生活スタイルに完全に組み込まれ、ちょっとやそっとでは存在を忘れないお気に入り番組が挙げられる。 例えば、プライムタイムのニュース番組や、何年も続いている長寿番組枠 笑点やサザエさん 、ドラマ フジテレビの月9 や映画 テレビ朝日の日曜洋画劇場 などがある。 このほかの番組といえば、チャンネルのザッピングや、番組表を見ていてたまたま発見したとか、FacebookやTwitterで友達の書き込みを見たとか、「何らかの偶然」が重ならないことには、そもそも見ない。 ここまではタイムシフトマシン非導入の環境でも、基本的に同じ傾向にあるだろう。 このいくつかの偶然を経た上で、タイムシフトマシン利用者はほぼ間違いなく「番組を最初から見る」。 20時から始まる1時間バラエティーを、帰宅や夕食の都合で8時20分から見ることは多いはずだが、タイムシフトマシンがあればその妥協は不要だ。 番組のストックは莫大。 自分のお気に入り番組も山ほど見られる。 そんな状況では「偶然見つけた番組」に対するハードルがとてつもなく高くなってしまう。 ゆえに、番組冒頭の数分がつまらない、興味のない内容だと、そこで再生を停止。 わずか1年で番組視聴スタイルがここまで先鋭化したことに、我ながらちょっと恐ろしさを覚える。 ネットの世界では、記事の見出しが特に重要だと言われる。 ワンフレーズで面白さを予感させるものでなければ、そのページへのリンクがクリックされないからだ。 タイムシフトマシンの普及が進んだ場合、テレビ番組にとっての見出しと言える冒頭部が、今まで以上に作り込まれるようになるかもしれない。 47Z7を実際に設置してみたところ ここまでタイムシフトマシンの効能を3点ほどご紹介してみたが、この印象はすべて、自宅の居間でレグザサーバーを1年間運用して得たものだ。 筆者の場合、両親と夕飯の食卓を囲みながら、あるいは風呂あがり前後に、居間でテレビを見る機会が多いので、そこから導き出されたスタイルでもある。 一方で「タイムシフトマシンを私室に置いたらどうなるか? 」は、この1年間ずっと考えていたことだった。 フリーのライターである筆者は私室で仕事をするし、テレビゲームでも遊ぶ。 寝る間際にオフタイマーをかけながらNFL中継を見たりもする。 もしかしたら、HDD録画のシーク音が気になったりするかも知れない。 そこで今回は、お借りした47Z7を私室に置いてみることにした。 もともとは同じく東芝の37Z9000 2009年末発売 を私室用テレビとしているのだが、それを一時的に入れ替えた。 レビュー記事執筆のための一時的使用というより、公私混同上等、完全に普段使いのテレビとして47Z7に接しての感想が、今回の記事だ。 最初の懸案は「そもそも置けるのか? 」だった。 画面インチ数で言えば10インチもアップしてしまう。 もちろん、カタログスペック上は置けることを確認していたのだが、主電源ボタンを操作するための空き空間であるとか、端子部の配置が変わってアンテナケーブルが届かなくなるとか、いろいろな影響を予想していた。 結論を言うと、特に問題はなかった。 もともと私室用のテレビラック2007年春ごろに購入したもので、当時は「28~37インチテレビ用」という触れ込みだった。 実際の天板横幅は1050mm。 ちなみに37Z9000の横幅は902mm、スタンドを含む高さが640mmとなっている。 そして2012年。 47Z7の本体横幅は1,064mm、スタンドを含む高さが696mmである。 画面サイズが10インチアップしているのに、なんとかギリギリ、かつての37インチ用スタンドに置けてしまう。 画面サイズが決まっている以上、これはつまり狭額縁化の効果にほかならない。 「少しでも大きな画面のテレビが欲しい」という人にとって、この効果は無視できない。 なお、47Z7は画面を正面に見て左手側に電源ボタンや端子部が集中しているため、筆者の環境では周辺家具との干渉もなかった。 こちらは、筆者が普段から使っている37Z9000。 一方で、スタンド底面の形状には注意が必要かも知れない。 一見すると、47Z7のスタンドは底面がベターッと平面なように思えるが、実際には正方形状のゴム足が4つ角を支える形状となっている。 このため、ワイヤーシェルフ上に設置しようとすると、シェルフの網目の大きさによってはゴム足がはまり込んでしまい、上手く固定できないのだ。 筆者はエレクターへの設置を一度試みたのだが、分厚い板を使う必要に迫られた。 念のため、覚えておくといいだろう。 もう1つ注意したいのがリモコンの受光部。 47Z7では画面下中央部にあるため、手前にセンタースピーカーを置けない。 近年、センタースピーカーはテレビ台内部へ設置するケースが多いようだが、古い機材を使い続けたい人はお気をつけを。 筆者は、センタースピーカーを左にオフセットさせて使ってます……。 BS視聴中にさらにリモコンのBSボタンを押すと表示される「選局ガイド」 純粋にテレビとして47Z7と向き合ってみても、37Z9000と比べていろいろな変化に気付かされる。 「地アナ」周りのボタンやメニューがごっそりなくなっているのは当たり前だが、BSチャンネル増加への対応もその1つ。 BS視聴中、BSボタンもう一度押すと「選局ガイド」が表示され、Jスポーツやアニマックスといった新興BS局にも、チャンネル番号入力不要で切り替えられる。 リモコンも若干変わった。 西川善司氏が「」でも説明しているように、「番組説明」ボタンがなくなっている。 番組表だけではわからない、ちょっと突っ込んだ情報 出演者や、ドラマのあらすじなど を簡単に呼び出せ、重宝していただけに筆者も正直とまどった。 ただ、何の対策もなく番組説明ボタンが廃止されたわけではない。 手間は増えたが、個人的に許容範囲だと思える。 47Z7のリモコンには「番組説明」ボタンがないが、「クイック」メニューから同等の機能が呼び出せる 同じメーカーのテレビを買い続けている身として、リモコンのボタン配置はつくづく興味深い。 カタログの構成を見て「今回のイチオシ機能はコレなのか」と気付くように、リモコンのボタン配置は、ある意味で開発者からのメッセージなのではなかろうか。 「ほら、音量キーの横にこんなボタンを付けたから押してくださいね! 」という声が聞こえそうである。 その例でいくと「二画面」ボタンも若干扱いが変わったらしく、スライドふた内への配置となった。 歴代Zシリーズは恐らくほぼすべて複数チューナー機だと思われるが、それだけに2画面機能の使い勝手も高い。 大量得点差によって勝敗が決しつつあるプロ野球を子画面 音消し にし、裏の旅番組を見るなんてことを筆者は頻繁にやる。 ただ47Z7はタイムシフトマシンやクラウド機能など、新規機能が盛りだくさんなだけに、やむなしと言ったところか。 消費電力についても触れておこう。 37Z9000は蛍光管バックライト採用機の中で事実上の最後といえる機種だが、185W。 対して、47Z7はLEDバックライトで180Wである。 繰り返すが、10インチアップしてこの数値である。 いやはや、電子機器の進化とはスゴイものだ。 ボタン一発、映像入力切換不要でタイムシフトマシンを使えるのはやはりメリット まず基本の確認として、47Z7のタイムシフトマシンは後付け式だ。 テレビ本体に加え、別売HDDを用意することで、初めて利用できる。 今回は、東芝純正の「THD-250T1」をお借りし、47Z7背面に吊り下げ設置してある。 47Z7のタイムシフトマシンは、テレビの操作メニューから完全シームレスに利用できる点は、やはり絶大なメリットだ。 別体式のレグザサーバーとは異なり、映像入力切換の必要も当然ない。 ビデオ機器やITに不慣れな世代へタイムシフトマシンをアピールには、テレビのリモコンに「タイムシフト」ボタンが付いていることが何よりも重要だろう。 タイムシフトマシンで再生中。 通常録画との機能差はほとんどない 再生感覚も極めて自然。 タイムシフトマシン用「過去番組表」呼び出し時はもちろん、スキップやピクチャーサーチでもたつく感はほとんどない。 ただし、レグザサーバーと比較してどうしても見劣りしてしまうのが「最大保存時間」時間だ。 対象となるチャンネルは6局までと変わらないが、タイムシフトマシン用HDDの容量がレグザサーバー DBR-M190 は4TBであるのに対し、THD-250T1は2TBと約半分。 加えて、47Z7とTHD-250T1の組み合わせではAVC録画ができない。 DRモードでの録画となるため、映像品質面では申し分ないものの、番組の網羅性は低いと言わざるを得ない。 筆者の方でも実際に試してみたが、6チャンネル設定での最大保存時間は、ほぼカタログ値どおりで、約40~45時間前後。 日によって多少の誤差もあるようだが、それでも50時間を超えることはないようだ。 この計算でいくと、24時間録画し続けた場合、ある日の夕食時に番組を見ようとすると、前々日の朝の番組はほぼ間違いなく消去されている。 24時間録画設定だと、およそ1日半程度の保存となる 対して、筆者が日常的に使っているレグザサーバーでは、AVCによる映像圧縮を行っているものの、だいたい180時間近い保存が可能になっている。 日数に直すと7日と12時間ほどとなり、前週同曜日の番組が見られる可能性もかなり高い。 これだと、リアルタイムで放送されていた番組を見つけた瞬間、遡って前週の放送回を見てから、再び最新の回を戻って見たりできる。 筆者は、この方式で「アメトーーク! 」や「Get Sports」を楽しむ機会が実際に多い。 今回の試用では当初、24時間・6チャンネル体制でのタイムシフト録画を行ったが、やはり1日半程度の番組蓄積では「好きな時間に好きな番組を見る」というのは限界がある。 「あー、一昨日の『午後のロードショー』で、『ペイルライダー』やってるじゃん! そこで今回は割り切って、試用期間後半はタイムシフトマシンの録画スケジュールを調整して、19時から25時の1日6時間のみを6チャンネル分録画する体制に変更してみた。 この体制だと、さかのぼれる期間はおよそ7日間。 土曜日の昼間に、前週土曜日の録画分を見ることができる。 テレビCMされるような注目番組、例えば大型バラエティー番組やドラマはほぼ抑えられる。 遅めのニュースやスポーツ番組も何とか見られる。 筆者の設定では、番組の状況に関わらず25時00分で録画中断。 間髪入れずに翌日19時00分の番組がはじまる ただし、寂しいのは24時45分から25時15分にかけて放送されるような番組。 25時00分になった瞬間にバッサリ録画が終了するので、気付かずに再生し続けるといきなり翌日19時00分の番組に切り替わっていてビックリする。 時間限定録画の場合、リモコンにせっかくある「始めにジャンプ」ボタンが活かしにくくなるのも難点だ。 このボタンは「今自分が見ている番組を最初から見たい」という時に押すもので、レグザサーバーにも当然同様のボタンがある。 しかしレグザサーバーはあくまでもテレビとは別の独立した機械。 電源オンやテレビ入力切換が一手間かかるため、レグザサーバー側のチューナでオンタイムの番組を見てはいない状況だ。 テレビの電源をオンにし、ザッピングし、そこで見たい番組がなかったときに今度はレグザサーバーの電源をオン。 過去番組表から番組を探すので、正直言って「始めにジャンプ」ボタンをまともに使ったことがない 実際にレグザサーバーを繋いでいるテレビがHDMIリンクに対応していないせいでもあるのだが。 「始めにジャンプ」機能を活かすには、24時間録画したいのだが 対して、Z7はテレビとタイムシフトマシンが一体化している。 テレビの電源をオンにするだけで、タイムシフトマシンがほぼシームレスに起動する。 それだけに「始めにジャンプ」の有効度が高そうなのだが、1日のうち6時間程度の録画では、24時間録画と比べて相対的に活用度は低い。 ただ今回は、私室に試用のZ7を設置した反動もあるかもしれない。 家人が行き交う居間であれば、テレビの電源がオンになっている時間は、1人が占有する私室用テレビより当然長くなる。 タイムシフトマシンの録画時間が24時間であっても6時間であっても、それに合わせた使い方が見出せるだろう。 また、私室設置で気になったのが、タイムシフト録画実行時の動作音だ。 レグザサーバーのレビュー記事の際にも若干言及したが、やはりZ7でも2台分のHDDが同時に駆動するということもあって、無音とは言い難い。 家具の配置、イスやベッドとの近さでも変わってくると思うが、念頭に置いておいてほしい。 というわけで、稼働率、動作音などのもろもろを踏まえると、現状における筆者の結論は「タイムシフトマシンは居間設置がベスト」。 ネットワーク経由で私室からZ7の蓄積番組を見るという選択肢も十分あるはずだ。 なお、タイムシフトマシンの新機能である「ざんまいプレイ」や、「TimeOn」の使用感については、にてお伝えする。
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次の誰もが一度は夢見るライフスタイルを、制限付きながら現実化させたのが、東芝の「タイムシフトマシン」だ。 複数の地上デジタルチャンネルを、HDD容量の許す限り自動録画し続けるという、ある種の力業で実現したこの機能は、2009年発売の超高級テレビ「CELL REGZA X1」で初お目見えして以来、東芝製ハイエンドテレビの看板機能として、着実に進化を遂げている。 遅ればせながら筆者も2011年末にレグザサーバー DBR-M190 を自腹で導入。 実際に丸1年近く「タイムシフトマシンのある生活」を過ごしてみたが、とにかく便利と断言できる。 衣食住のような超必須アイテムではないが、旅先でホテルに泊まる際などに、いざタイムシフトマシンがないと、その偉大さを実感することしきりだ。 そのタイムシフトマシンを搭載する最新テレビが、10月末に発売を開始した「REGZA Z7」だ。 今回、47インチモデルの「47Z7」を約2週間お借りできる機会を得たので、普段使いの私室 兼寝室 用テレビと完全に入れ替え、仕事半分・実用半分でミッチリとその使用感を試してみた。 その模様を2回にわたってレポートする。 筆者宅のレグザサーバー「DBR-M190」。 2011年末購入 そんなわけで「タイムシフトマシン歴1年」となった筆者。 春夏秋冬使ってみて、新たに分かった・気付かされたことも多数あったので、まずはレグザサーバーの後日談をダイジェスト的にご紹介しておきたい。 ・オリンピック観戦で大活躍! 今となってはもう懐かしの出来事だが、2012年はオリンピックイヤーだった。 開催地のロンドンとはかなり時差があるため、人気種目の決勝が日本の深夜にスタートすることもかなり多かった。 すでに記憶があやふやなところもあるが、陸上の男子100m決勝はその最たる例だったように思う 早朝の5時前後? もちろん録画予約しておけばよいのだが、オリンピック放送はとにかく数が多いため、よほど注意して番組表や公式サイトをチェックしておかないと、予約すべきかどうかも迷いがちだ。 筆者の場合も男子100m決勝はリアルタイムで見なかった。 翌朝、結果を知ってから、タイムシフトマシンで遡って鑑賞した。 レースそのものはスポーツ番組で繰り返し放送されるが、その前後の選手紹介やウイニングランは大概カットされる傾向にある。 しかし、100mは競技時間が非常に短いので、その前後にも面白みが詰まっている。 タイムシフトマシンの効果を実感した瞬間だ。 もう1つ印象深かったのがレスリング中継。 日本時間の22時~26時くらいにかけてトーナメント1回戦から決勝までを生中継する機会が多かったように思う。 加えて、試合スケジュールが非常に独特で、1回戦から準決勝までを集中的に行い、その後数時間空けてから1~3位決定戦が始まる。 この空き時間は中継そのものが一時中断したり、それまでのダイジェストを流すことが多かったようだ。 しかし、レスリングはメダルの期待が事前から非常に高く、観戦する筆者の気分も高まっていた。 そこで、タイムシフトマシンに保存されていた事前カードや、1位決定戦で対戦する外国人選手の試合などを、自分の好きなペースで繰り返し見られた。 つまり、生中継観戦の予習に役立ってくれたというわけだ。 ・メダリスト銀座パレードを3局分まるまる視聴! 過去番組表から検索が可能。 ネット経由でおすすめ番組情報を入手することもできる オリンピック終了から間もない8月20日。 東京・銀座でメダリストによるパレードが行なわれた。 開催決定 リリースによれば8月16日 から実施までの間隔が非常に短く、筆者も興味はあったが、現地に行くことは諦めた。 さらにテレビ中継にも期待していなかった 中継告知がたまたま筆者に届かなかっただけかもしれないが。 ところが当日、フタを開けてみたらテレビ各局がこぞって生中継を実施。 少なくとも日本テレビ、TBS、フジテレビは11時台のワイドショー番組を通常編成のまま、そのいちコーナー的に中継した。 面白かったのが、この3局ともカメラ設置位置がまったくバラバラだったこと。 普通であればパレード運営者側がマスコミ用にカメラ設置場所をあらかじめ用意するのだろうが、さすがに余裕がなかったのだろう。 各局とも、沿道のビルを独自に確保して中継したようだ。 メダリスト勢はバスに乗ってパレードしたが、その身が1つである以上、進行方向の左右どちらかにしか存在し得ない。 しかし、タイムシフトマシンなら何でもないことだ。 ・冒頭5分がつまらなかったら、見ない チャンネルごとの曜日別番組表も利用できる 現状における、筆者の究極の結論。 当然、すべてを見ることはできないので、興味のある番組のみを優先して見る。 では「興味のある番組」とは、どんなものだろうか。 まず、生活スタイルに完全に組み込まれ、ちょっとやそっとでは存在を忘れないお気に入り番組が挙げられる。 例えば、プライムタイムのニュース番組や、何年も続いている長寿番組枠 笑点やサザエさん 、ドラマ フジテレビの月9 や映画 テレビ朝日の日曜洋画劇場 などがある。 このほかの番組といえば、チャンネルのザッピングや、番組表を見ていてたまたま発見したとか、FacebookやTwitterで友達の書き込みを見たとか、「何らかの偶然」が重ならないことには、そもそも見ない。 ここまではタイムシフトマシン非導入の環境でも、基本的に同じ傾向にあるだろう。 このいくつかの偶然を経た上で、タイムシフトマシン利用者はほぼ間違いなく「番組を最初から見る」。 20時から始まる1時間バラエティーを、帰宅や夕食の都合で8時20分から見ることは多いはずだが、タイムシフトマシンがあればその妥協は不要だ。 番組のストックは莫大。 自分のお気に入り番組も山ほど見られる。 そんな状況では「偶然見つけた番組」に対するハードルがとてつもなく高くなってしまう。 ゆえに、番組冒頭の数分がつまらない、興味のない内容だと、そこで再生を停止。 わずか1年で番組視聴スタイルがここまで先鋭化したことに、我ながらちょっと恐ろしさを覚える。 ネットの世界では、記事の見出しが特に重要だと言われる。 ワンフレーズで面白さを予感させるものでなければ、そのページへのリンクがクリックされないからだ。 タイムシフトマシンの普及が進んだ場合、テレビ番組にとっての見出しと言える冒頭部が、今まで以上に作り込まれるようになるかもしれない。 47Z7を実際に設置してみたところ ここまでタイムシフトマシンの効能を3点ほどご紹介してみたが、この印象はすべて、自宅の居間でレグザサーバーを1年間運用して得たものだ。 筆者の場合、両親と夕飯の食卓を囲みながら、あるいは風呂あがり前後に、居間でテレビを見る機会が多いので、そこから導き出されたスタイルでもある。 一方で「タイムシフトマシンを私室に置いたらどうなるか? 」は、この1年間ずっと考えていたことだった。 フリーのライターである筆者は私室で仕事をするし、テレビゲームでも遊ぶ。 寝る間際にオフタイマーをかけながらNFL中継を見たりもする。 もしかしたら、HDD録画のシーク音が気になったりするかも知れない。 そこで今回は、お借りした47Z7を私室に置いてみることにした。 もともとは同じく東芝の37Z9000 2009年末発売 を私室用テレビとしているのだが、それを一時的に入れ替えた。 レビュー記事執筆のための一時的使用というより、公私混同上等、完全に普段使いのテレビとして47Z7に接しての感想が、今回の記事だ。 最初の懸案は「そもそも置けるのか? 」だった。 画面インチ数で言えば10インチもアップしてしまう。 もちろん、カタログスペック上は置けることを確認していたのだが、主電源ボタンを操作するための空き空間であるとか、端子部の配置が変わってアンテナケーブルが届かなくなるとか、いろいろな影響を予想していた。 結論を言うと、特に問題はなかった。 もともと私室用のテレビラック2007年春ごろに購入したもので、当時は「28~37インチテレビ用」という触れ込みだった。 実際の天板横幅は1050mm。 ちなみに37Z9000の横幅は902mm、スタンドを含む高さが640mmとなっている。 そして2012年。 47Z7の本体横幅は1,064mm、スタンドを含む高さが696mmである。 画面サイズが10インチアップしているのに、なんとかギリギリ、かつての37インチ用スタンドに置けてしまう。 画面サイズが決まっている以上、これはつまり狭額縁化の効果にほかならない。 「少しでも大きな画面のテレビが欲しい」という人にとって、この効果は無視できない。 なお、47Z7は画面を正面に見て左手側に電源ボタンや端子部が集中しているため、筆者の環境では周辺家具との干渉もなかった。 こちらは、筆者が普段から使っている37Z9000。 一方で、スタンド底面の形状には注意が必要かも知れない。 一見すると、47Z7のスタンドは底面がベターッと平面なように思えるが、実際には正方形状のゴム足が4つ角を支える形状となっている。 このため、ワイヤーシェルフ上に設置しようとすると、シェルフの網目の大きさによってはゴム足がはまり込んでしまい、上手く固定できないのだ。 筆者はエレクターへの設置を一度試みたのだが、分厚い板を使う必要に迫られた。 念のため、覚えておくといいだろう。 もう1つ注意したいのがリモコンの受光部。 47Z7では画面下中央部にあるため、手前にセンタースピーカーを置けない。 近年、センタースピーカーはテレビ台内部へ設置するケースが多いようだが、古い機材を使い続けたい人はお気をつけを。 筆者は、センタースピーカーを左にオフセットさせて使ってます……。 BS視聴中にさらにリモコンのBSボタンを押すと表示される「選局ガイド」 純粋にテレビとして47Z7と向き合ってみても、37Z9000と比べていろいろな変化に気付かされる。 「地アナ」周りのボタンやメニューがごっそりなくなっているのは当たり前だが、BSチャンネル増加への対応もその1つ。 BS視聴中、BSボタンもう一度押すと「選局ガイド」が表示され、Jスポーツやアニマックスといった新興BS局にも、チャンネル番号入力不要で切り替えられる。 リモコンも若干変わった。 西川善司氏が「」でも説明しているように、「番組説明」ボタンがなくなっている。 番組表だけではわからない、ちょっと突っ込んだ情報 出演者や、ドラマのあらすじなど を簡単に呼び出せ、重宝していただけに筆者も正直とまどった。 ただ、何の対策もなく番組説明ボタンが廃止されたわけではない。 手間は増えたが、個人的に許容範囲だと思える。 47Z7のリモコンには「番組説明」ボタンがないが、「クイック」メニューから同等の機能が呼び出せる 同じメーカーのテレビを買い続けている身として、リモコンのボタン配置はつくづく興味深い。 カタログの構成を見て「今回のイチオシ機能はコレなのか」と気付くように、リモコンのボタン配置は、ある意味で開発者からのメッセージなのではなかろうか。 「ほら、音量キーの横にこんなボタンを付けたから押してくださいね! 」という声が聞こえそうである。 その例でいくと「二画面」ボタンも若干扱いが変わったらしく、スライドふた内への配置となった。 歴代Zシリーズは恐らくほぼすべて複数チューナー機だと思われるが、それだけに2画面機能の使い勝手も高い。 大量得点差によって勝敗が決しつつあるプロ野球を子画面 音消し にし、裏の旅番組を見るなんてことを筆者は頻繁にやる。 ただ47Z7はタイムシフトマシンやクラウド機能など、新規機能が盛りだくさんなだけに、やむなしと言ったところか。 消費電力についても触れておこう。 37Z9000は蛍光管バックライト採用機の中で事実上の最後といえる機種だが、185W。 対して、47Z7はLEDバックライトで180Wである。 繰り返すが、10インチアップしてこの数値である。 いやはや、電子機器の進化とはスゴイものだ。 ボタン一発、映像入力切換不要でタイムシフトマシンを使えるのはやはりメリット まず基本の確認として、47Z7のタイムシフトマシンは後付け式だ。 テレビ本体に加え、別売HDDを用意することで、初めて利用できる。 今回は、東芝純正の「THD-250T1」をお借りし、47Z7背面に吊り下げ設置してある。 47Z7のタイムシフトマシンは、テレビの操作メニューから完全シームレスに利用できる点は、やはり絶大なメリットだ。 別体式のレグザサーバーとは異なり、映像入力切換の必要も当然ない。 ビデオ機器やITに不慣れな世代へタイムシフトマシンをアピールには、テレビのリモコンに「タイムシフト」ボタンが付いていることが何よりも重要だろう。 タイムシフトマシンで再生中。 通常録画との機能差はほとんどない 再生感覚も極めて自然。 タイムシフトマシン用「過去番組表」呼び出し時はもちろん、スキップやピクチャーサーチでもたつく感はほとんどない。 ただし、レグザサーバーと比較してどうしても見劣りしてしまうのが「最大保存時間」時間だ。 対象となるチャンネルは6局までと変わらないが、タイムシフトマシン用HDDの容量がレグザサーバー DBR-M190 は4TBであるのに対し、THD-250T1は2TBと約半分。 加えて、47Z7とTHD-250T1の組み合わせではAVC録画ができない。 DRモードでの録画となるため、映像品質面では申し分ないものの、番組の網羅性は低いと言わざるを得ない。 筆者の方でも実際に試してみたが、6チャンネル設定での最大保存時間は、ほぼカタログ値どおりで、約40~45時間前後。 日によって多少の誤差もあるようだが、それでも50時間を超えることはないようだ。 この計算でいくと、24時間録画し続けた場合、ある日の夕食時に番組を見ようとすると、前々日の朝の番組はほぼ間違いなく消去されている。 24時間録画設定だと、およそ1日半程度の保存となる 対して、筆者が日常的に使っているレグザサーバーでは、AVCによる映像圧縮を行っているものの、だいたい180時間近い保存が可能になっている。 日数に直すと7日と12時間ほどとなり、前週同曜日の番組が見られる可能性もかなり高い。 これだと、リアルタイムで放送されていた番組を見つけた瞬間、遡って前週の放送回を見てから、再び最新の回を戻って見たりできる。 筆者は、この方式で「アメトーーク! 」や「Get Sports」を楽しむ機会が実際に多い。 今回の試用では当初、24時間・6チャンネル体制でのタイムシフト録画を行ったが、やはり1日半程度の番組蓄積では「好きな時間に好きな番組を見る」というのは限界がある。 「あー、一昨日の『午後のロードショー』で、『ペイルライダー』やってるじゃん! そこで今回は割り切って、試用期間後半はタイムシフトマシンの録画スケジュールを調整して、19時から25時の1日6時間のみを6チャンネル分録画する体制に変更してみた。 この体制だと、さかのぼれる期間はおよそ7日間。 土曜日の昼間に、前週土曜日の録画分を見ることができる。 テレビCMされるような注目番組、例えば大型バラエティー番組やドラマはほぼ抑えられる。 遅めのニュースやスポーツ番組も何とか見られる。 筆者の設定では、番組の状況に関わらず25時00分で録画中断。 間髪入れずに翌日19時00分の番組がはじまる ただし、寂しいのは24時45分から25時15分にかけて放送されるような番組。 25時00分になった瞬間にバッサリ録画が終了するので、気付かずに再生し続けるといきなり翌日19時00分の番組に切り替わっていてビックリする。 時間限定録画の場合、リモコンにせっかくある「始めにジャンプ」ボタンが活かしにくくなるのも難点だ。 このボタンは「今自分が見ている番組を最初から見たい」という時に押すもので、レグザサーバーにも当然同様のボタンがある。 しかしレグザサーバーはあくまでもテレビとは別の独立した機械。 電源オンやテレビ入力切換が一手間かかるため、レグザサーバー側のチューナでオンタイムの番組を見てはいない状況だ。 テレビの電源をオンにし、ザッピングし、そこで見たい番組がなかったときに今度はレグザサーバーの電源をオン。 過去番組表から番組を探すので、正直言って「始めにジャンプ」ボタンをまともに使ったことがない 実際にレグザサーバーを繋いでいるテレビがHDMIリンクに対応していないせいでもあるのだが。 「始めにジャンプ」機能を活かすには、24時間録画したいのだが 対して、Z7はテレビとタイムシフトマシンが一体化している。 テレビの電源をオンにするだけで、タイムシフトマシンがほぼシームレスに起動する。 それだけに「始めにジャンプ」の有効度が高そうなのだが、1日のうち6時間程度の録画では、24時間録画と比べて相対的に活用度は低い。 ただ今回は、私室に試用のZ7を設置した反動もあるかもしれない。 家人が行き交う居間であれば、テレビの電源がオンになっている時間は、1人が占有する私室用テレビより当然長くなる。 タイムシフトマシンの録画時間が24時間であっても6時間であっても、それに合わせた使い方が見出せるだろう。 また、私室設置で気になったのが、タイムシフト録画実行時の動作音だ。 レグザサーバーのレビュー記事の際にも若干言及したが、やはりZ7でも2台分のHDDが同時に駆動するということもあって、無音とは言い難い。 家具の配置、イスやベッドとの近さでも変わってくると思うが、念頭に置いておいてほしい。 というわけで、稼働率、動作音などのもろもろを踏まえると、現状における筆者の結論は「タイムシフトマシンは居間設置がベスト」。 ネットワーク経由で私室からZ7の蓄積番組を見るという選択肢も十分あるはずだ。 なお、タイムシフトマシンの新機能である「ざんまいプレイ」や、「TimeOn」の使用感については、にてお伝えする。
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